(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の通知手段を使い分けて自機の状況を管理装置に通知する場合において、特定の通知手段の使用頻度を抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る電子機器は、
通常時モードと
、当該通常時モードよりも電力消費が少ない節電時モードを含む自機の制御モードを切り替える切替手段と、前記制御モードが前記
通常時モードであるとき、自機又は外部において決められる
時間間隔で自機の状況を管理装置に通知する第1の通知手段と、前記切替手段により前記制御モードが前記
節電時モードに切り替えられる前に、
前記時間間隔に基づいて今後の通知予定時刻を算出し、当該通知予定時刻における
自機の状況を推測して記憶媒体にあらかじめ記録する記録手段と、前記制御モードが前記
節電時モードであるとき、前記記録手段により記録された前記状況を前記
通知予定時刻において前記管理装置に通知する第2の通知手段とを備える構成を有する。
【0006】
本発明の請求項2に係る電子機器は、請求項1に記載の構成において、前記記録手段は、前記制御モードが前記
節電時モードである場合において、前記記憶媒体にあらかじめ記録した前記状況が通知済みとなったとき、その後の前記状況を推測して前記記憶媒体に記録する構成を有する。
本発明の請求項3に係る電子機器は、請求項1又は2に記載の構成において、前記記録手段は、前記切替手段により前記制御モードが前記
節電時モードに切り替えられた場合において、前記記憶媒体に空きがあるとき、前記状況を補充する構成を有する。
本発明の請求項4に係る電子機器は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の構成において、前記第2の通知手段は、前記第1の通知手段と動作主体が異なる構成を有する。
本発明の請求項5に係る電子機器は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の構成において、前記第2の通知手段による通知は、前記第1の通知手段による通知よりも消費電力が少ない構成を有する。
本発明の請求項6に係る電子機器は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の構成において、前記記憶媒体は、前記
通常時モードにおいてあらかじめ決められた機能を実現するための記憶媒体であって、前記記録手段は、前記記憶媒体のうちの前記
節電時モードにおいて使用されない領域を開放し、当該領域に前記状況を記録する構成を有する。
【0007】
本発明の請求項7に係る電力管理システムは、請求項1ないし6のいずれか1項に記載
の電子機器と、前記電子機器により通知された当該
電子機器の状況に基づいて処理を実行する管理装置とを備える構成を有する。
【0008】
本発明の請求項8に係るプログラムは、電子機器のコンピュータを、自機の制御モードを切り替える切替手段と、前記制御モードが
通常時モードであるとき、自機又は外部において決められる
時間間隔で自機の状況を管理装置に通知する第1の通知手段と、前記切替手段により前記制御モードが前記
通常時モードから切り替えられる前に、
前記時間間隔に基づいて今後の通知予定時刻を算出し、当該通知予定時刻における
自機の状況を推測して記憶媒体にあらかじめ記録する記録手段と、前記制御モードが
、前記通常時モードよりも電力消費が少ない節電時モードであるとき、前記記録手段により記録された前記状況を前記
通知予定時刻において前記管理装置に通知させるように第2の通知手段を制御する制御手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1、7、8の構成によれば、第2の通知手段によってあらかじめ記録された自機の状況を通知しない場合に比べ、第1の通知手段の使用頻度を抑制することができる。
本発明の請求項2の構成によれば、記憶媒体にあらかじめ記録した状況が通知済みである場合において、記憶媒体に再度記録を行わない場合に比べ、第1の通知手段の使用頻度を抑制することができる。
本発明の請求項3の構成によれば、補充を行わない場合に比べ、第1の通知手段の使用頻度を抑制することができる。
本発明の請求項4の構成によれば、当該構成を有しない場合に比べ、通知による消費電力を少なくすることができる。
本発明の請求項5の構成によれば、第1の通知手段と第2の通知手段とが同じ動作主体によって動作する場合に比べ、第1の通知手段の動作主体による動作の頻度を抑制することができる。
本発明の請求項6の構成によれば、記憶媒体のうちの第2のモードにおいて使用されない領域を利用して状況を記録することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施例]
図1は、本発明の一実施例である電力管理システム10の全体構成を示すブロック図である。電力管理システム10は、オフィスやビル内に設けられたLAN(Local Area Network)を用いて構成されるシステムであり、インターネットなどの外部ネットワーク20に接続されている。電力管理システム10は、管理装置100と、中継機器200と、電子機器300と、ファイアウォール400とを少なくとも備える。
【0012】
本実施例において、電力管理システム10を構成するこれらの装置及び機器は、HEMS、BEMSなどのエネルギーマネジメントシステムに対応したものであるとする。電力管理システム10における通信は、ECHONET Lite、IEEE1888などのエネルギーマネジメントシステムに対応した通信規格に準拠して行われる。
【0013】
管理装置100は、電力管理システム10内の各機器を管理する装置であり、電力管理システム10におけるサーバ装置である。管理装置100は、電力管理システム10内の各機器の制御モードを切り替えたり、当該各機器の状況を示す情報(後述する運転状況データ)を受信したりする。
【0014】
中継機器200は、管理装置100と電子機器300の通信を中継する装置である。中継機器200は、例えば、ルータやハブである。なお、中継機器200は、電子機器300と同様に、後述する運転状況データを送信する機能を有するものとする。
【0015】
電子機器300は、電力管理システム10において主たる管理対象となる装置である。電子機器300は、特定の機器に限定されず、さまざまなものが該当し得る。電子機器300としては、例えば、空調機器(いわゆるエアコン等)、事務機器(ファクシミリ装置、コピー機、プリンタ、パーソナルコンピュータ等)、家電(冷蔵庫、テレビ等)、照明機器などが該当する。
【0016】
電子機器300は、複数の制御モードのいずれかで動作する。ここにおいて、制御モードとは、当該機器の制御の態様を示すものである。電子機器300の制御モードには、「通常時モード」と「節電時モード」とが少なくとも含まれる。節電時モードとは、通常時モードよりも電力消費が少ない制御モードをいい、例えば、いわゆるスリープ状態になるモードのことである。通常時モードは、本発明における「第1のモード」の一例に相当し、節電時モードは、本発明における「第2のモード」の一例に相当する。
【0017】
ファイアウォール400は、電力管理システム10に対する外部ネットワーク20からのアクセスを制御する装置である。ファイアウォール400は、あらかじめ決められた規則(ポリシー)に従って、外部ネットワーク20からのアクセスを許可又は禁止する。
【0018】
図2は、管理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。管理装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130とを備える。制御部110は、管理装置100の各部の動作を制御する手段である。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置やメモリを備え、プログラムを実行することによって制御を行う。記憶部120は、制御部110が必要とするデータを記憶する手段である。記憶部120は、ハードディスクなどの記憶媒体を備え、制御部110によるデータの書き込み及び読み出しを受け付ける。記憶部120は、電力管理システム10内のネットワーク構成を示すトポロジ情報を記憶している。管理装置100は、このトポロジ情報を参照することにより、各機器がどのように接続されているか特定可能である。通信部130は、電子機器300との間でデータを送受信する手段である。通信部130は、NIC(Network Interface Card)やモデムを備え、中継機器200を介したデータ通信に必要な処理を実行する。
【0019】
なお、管理装置100は、電力管理システム10における電力使用量を表示する機能を有していてもよいし、表示手段を備える他の装置(パーソナルコンピュータ、モニタ等)に電力使用量を表示させる機能を有していてもよい。なお、ここでいう「他の装置」は、LAN内にあってもよいし、外部ネットワーク20を介してLAN外から接続されるものであってもよい。
【0020】
図3は、電子機器300のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。上述したとおり、電子機器300は特定の機器に限定されないが、ここでは例示として、いわゆる複合機の構成例を挙げる。ここでいう複合機とは、原稿を読み取るスキャン機能とファクシミリ通信を行うファクシミリ機能とを有する画像形成装置をいう。
【0021】
電子機器300は、制御部310と、記憶部320と、通信部330と、画像読取部340と、画像形成部350とを備える。制御部310は、電子機器300の各部の動作を制御する手段である。制御部310は、CPU、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの演算処理装置やメモリを備え、プログラムを実行することによって制御を行う。記憶部320は、データを記憶する手段である。記憶部320は、例えば、後述する運転状況データを記憶可能である。通信部330は、管理装置100、他の電子機器300又は外部ネットワーク20との間でデータを送受信する手段である。
【0022】
画像読取部340は、原稿を光学的に読み取る手段である。画像読取部340は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子を備え、光電変換によって原稿を表す画像データを生成する。画像形成部350は、画像データに応じた画像を形成する手段である。画像形成部350は、例えば電子写真プロセス(帯電、露光、現像、転写及び定着)によって記録媒体(用紙等)に画像を形成する。なお、画像形成部350の記録方式は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式や熱転写方式であってもよい。また、画像形成部350が形成する画像は、モノクロとカラーのいずれであってもよい。
【0023】
図4は、電子機器300が画像形成装置である場合の制御部310の構成例を示すブロック図である。制御部310は、より詳細には、CPU311と、システムメモリ312と、ASIC313と、ページメモリ314と、RTC(Real Time Clock)315と、PHY(Physical layer)チップ316とを備える。また、ASIC313は、送信モジュール313aを含んで構成される。
【0024】
CPU311及びASIC313は、いずれも処理を実行する手段である。ただし、CPU311及びASIC313は、実行する処理に相違がある。画像形成装置において、CPU311は、主として装置全体の制御に係る処理を実行するのに対し、ASIC313は、主として特定用途(ここでは画像処理)に係る処理を実行する。送信モジュール313aは、ASIC313の一部を構成し、後述する運転状況データを送信する機能を有する。
【0025】
システムメモリ312及びページメモリ314は、いずれも揮発性の記憶媒体である。システムメモリ312は、CPU311によって用いられ、ページメモリ314は、ASIC313によって用いられる。ページメモリ314は、ページ単位の画像データを記憶するためのメモリである。ページメモリ314には、運転状況データに相当するパケット(以下「通知用パケット」という。)を記憶するための記憶領域が確保される。すなわち、ページメモリ314は、パケットバッファとしても用いられる。
【0026】
RTC315は、電子機器300全体としての電源のオン・オフによらず計時を続ける計時機能を有する。RTC315は、現在時刻の特定に利用される。PHYチップ316は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルの物理層に対応する処理を実行する手段である。
【0027】
電力管理システム10のハードウェア構成は、以上のとおりである。この構成のもと、電力管理システム10においては、管理装置100によってシステム内の電力使用量(すなわち、各装置・機器の電力使用量の総量)が管理される。中継機器200及び電子機器300は、必要に応じて、自機の状況を表す運転状況データを管理装置100に送信する。管理装置100は、各機器から送信された運転状況データを集計し、集計結果に応じた処理を実行する。
【0028】
また、管理装置100は、ある条件が満たされたとき、電子機器300の制御モードを変更する。制御モードを変更する条件とは、例えば、システム内の電力使用量があらかじめ決められた閾値を超えることである。また、管理装置100は、外部ネットワーク20を介して、電力の需給が逼迫している状態であることを示す情報(あるいは逆に、電力の需給が逼迫している状態が解除されたことを示す情報)を他の装置から受信したときに電子機器300の制御モードを変更してもよい。
【0029】
図5は、電子機器300の機能的構成を示すブロック図である。電子機器300の制御部310は、切替手段301、第1の通知手段302、記録手段303及び第2の通知手段304を実現する。なお、切替手段301、第1の通知手段302及び記録手段303は、CPU311によって実現され、第2の通知手段204は、ASIC313の送信モジュール313aによって実現される。
【0030】
切替手段301は、自機(電子機器300)の制御モードを切り替える手段である。切替手段301は、管理装置100からの指示に応じて制御モードを切り替える。管理装置100からの指示には、制御モードを通常時モードから節電時モードに切り替える指示と、節電時モードから通常時モードに切り替える指示とがある。これらの指示のことを、以下においては「切替指示」という。
【0031】
第1の通知手段302は、通常時モードにおいて、管理装置100に自機の状況を通知する手段である。第1の通知手段302は、自機の制御モードが通常時モードであるときに、自機又は外部において決められる通知タイミングで、自機の状況を管理装置100に通知する。具体的には、第1の通知手段302は、運転状況データを含む通知用パケットを通信部330を介して送信することによって自機の状況を通知する。運転状況データには、自機の運転によって消費される電力を表す電力値(単位はワット)を示すデータと、時刻を示すデータとが少なくとも含まれる。また、運転状況データには、自機の動作状態を示すデータなどが含まれてもよい。ここにおいて、動作状態とは、例えば電子機器300が電子写真方式の画像形成装置である場合、定着装置のオン・オフや、CPUのオン・オフなどを示す。
【0032】
記録手段303は、自機の状況を記録する手段である。記録手段303は、自機の制御モードが節電時モードに切り替えられる前に、予測される通知タイミングにおける自機の状況を推測し、当該状況を示す通知用パケット(すなわち運転状況データ)をあらかじめパケットバッファ(すなわちページメモリ314)に記録しておく。すなわち、記録手段303は、節電時モードにおいて送信される通知用パケットをあらかじめ作成し、これを事前に蓄積するものである。
【0033】
第2の通知手段304は、節電時モードにおいて、管理装置100に自機の状況を通知する手段である。第2の通知手段304は、管理装置100に自機の状況を通知する手段である点において第1の通知手段302と共通するが、動作するときの制御モードが異なる点において第1の通知手段302と相違する。また、第2の通知手段304は、記録手段303によりあらかじめパケットバッファに記録されている通知用パケットを送信することによって自機の状況を通知する点においても第1の通知手段302と相違する。
【0034】
なお、本実施例において、第2の通知手段304による通知は、第1の通知手段302による通知よりも消費電力が少ない。なぜならば、第2の通知手段304による通知は、第1の通知手段302による通知、すなわちCPU311を用いた通知と異なり、ASIC313の送信モジュール313aによって実現されるからである。このとき、CPU311は、電源がオフになるなどして通常時モードよりも消費電力が少ない状態となっている。したがって、制御部310全体としてみた場合、節電時モードにおける状況の通知は、通常時モードにおける状況の通知よりも消費電力が少なくなる。
【0035】
図6、7、8は、電子機器300が実行する処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明は、通知用パケットの通知タイミングがあらかじめ決められた時間間隔に設定されている場合であって、この通知タイミングを電子機器300側で判断する場合の処理を説明したものである。また、以下に説明する各ステップの処理には、CPU311が動作主体になるものとASIC313の送信モジュール313aが動作主体になるものとが含まれている。
【0036】
制御部310は、まず、あらかじめ決められた時間間隔で通知用パケットを送信するようにタイマを設定する(ステップSa1)。ここでいう時間間隔、すなわち通知タイミングは、例えば、5分毎、10分毎などである。次に、制御部310は、制御モードとして通常時モードを設定する(ステップSa2)。ここで、制御部310は、CPU311によるタイマ割込を有効(enable)にする(ステップSa3)。
【0037】
ここから、制御部310は、管理装置100からの切替指示の有無に応じて動作を異ならせる。制御部310は、切替指示を示すパケットを受信するまでは、通常時モードで動作する。すなわち、制御部310は、切替指示の有無を判断し(ステップSa4)、これがなければ、タイマに設定された時間が経過したか否かを判断し(ステップSa5)、タイマに設定された時間が経過していれば、そのときの時刻(現在時刻)を特定する(ステップSa6)。そして、制御部310は、通知用パケットを作成し(ステップSa7)、通信部330を介してこれを送信する(ステップSa8)。制御部310は、切替指示を示すパケットを受信するまでは、このステップSa4〜Sa8の処理を繰り返す。すなわち、制御部は、このとき通知用パケットをタイマで設定された時間間隔で送信し続ける。
【0038】
一方、切替指示を示すパケットを受信すると、制御部310は、ページメモリ314の記憶領域のうちの節電時モードにおいて使用されない領域を開放し、通知用パケットを記録するための領域として確保する(ステップSa9)。例えば、制御部310は、ページメモリ314が節電時モードにおいて画像データを記憶する必要がないため、通常時モードにおいて画像データを記憶するために確保されている領域をソフトウェア的に開放し、当該領域をパケットバッファとして利用可能な状態にする。なお、制御部310は、ページメモリ314の全体をパケットバッファとして用いてもよい。
【0039】
また、制御部310は、制御モードを節電時モードに切り替える前に、通知用パケットを事前に作成及び記録する処理を実行し(ステップSa10)、タイマの割込先をCPU311から送信モジュール313aに切り替える(ステップSa11)。すなわち、制御部310は、CPU311によるタイマ割込を無効(disable)にし、ASIC313の送信モジュール313aによるタイマ割込を有効にする。これらの処理が終了したら、制御部310は、制御モードを通常時モードから節電時モードに切り替える(ステップSa12)。ここで、CPU311の電源はオフになる。
【0040】
図7は、ステップSa10の処理(以下「パケット記録処理」という。)をより詳細に示すフローチャートである。ここにおいて、制御部310は、パケットバッファの空きサイズ(容量)を特定し(ステップSb1)、通知用パケットのパケットサイズに基づいて、現在の空き領域に格納可能な通知用パケットの個数を算出する(ステップSb2)。続いて、制御部310は、現在時刻を特定し(ステップSb3)、タイマに設定された時間間隔と通知用パケットを最後に送信した時刻とに基づいて、通知用パケットの今後の送信予定時刻を算出する(ステップSb4)。ステップSb4において、制御部310は、ステップSb2において算出した個数分の送信予定時刻を算出する。そして、制御部310は、現在の空き領域に格納可能な個数分の通知用パケットを作成し(ステップSb5)、これをパケットバッファに記録する(ステップSb6)。
【0041】
なお、パケットバッファに記録される通知用パケットは、ステップSb4において算出された送信予定時刻とそのときの電力値(の推測値)を少なくとも含む。ここにおいて、節電時モードにおける電力値は、あらかじめ推測可能である。節電時モードは、CPU311の電源をオフにし、最小限の消費電力で動作し続ける制御モードであるため、その最小限の消費電力をあらかじめ求めておくことによって電力値が推測可能になっている。
【0042】
ところで、(パケット記録処理を含む)ステップSa12までの動作主体は、CPU311である。一方、ステップSa12において、制御モードが通常時モードから節電時モードに切り替わると、CPU311の電源がオフになり、動作主体はCPU311から送信モジュール313aに変化する。
図8に示す処理は、制御モードが節電時モードに移行し、動作主体が送信モジュール313aに切り替わってからの処理である。
【0043】
図8に示すように、制御部310は、節電時モードにおいて、タイマに設定された時間が経過したか否かを判断し(ステップSa13)タイマに設定された時間が経過したらパケットバッファに未送信の通知用パケットがあるか否かを判断する(ステップSa14)。制御部310は、未送信の通知用パケットがあれば、送信予定時刻が現在時刻に最も近いものから送信し(ステップSa15)、送信したパケットをパケットバッファから削除する(ステップSa16)。制御部310は、未送信の通知用パケットがある間は、このステップSa13〜Sa16の処理を繰り返し実行する。
【0044】
一方、ステップSa14において、未送信の通知用パケットがないと判断した場合、制御部310は、パケットを再度作成するために、CPU311を一時的に復帰させる。制御部310は、CPU311によって、送信すべき通知用パケットの作成(ステップSa17)及び送信(ステップSa18)を実行するとともに、ステップSa10と同様のパケット記録処理を実行することによってその後に必要となる通知用パケットをあらかじめ作成及び記録して補充を行う(ステップSa19)。制御部310は、パケット記録処理が終了したら、再びCPU311の電源をオフにし、ステップSa13以降の処理を繰り返す。なお、ステップSa19のパケット記録処理は、必須ではなく、CPU311がその都度通知用パケットを作成してもよい。
【0045】
また、制御部310は、ステップSa13において、タイマに設定された時間が経過していない場合には、CPU311を復帰させる割込が発生したか否かを判断する(ステップSa20)。制御部310は、このような割込が発生していなければ、ステップSa13の判断を実行する一方、割込が発生した場合には、割込の内容に応じた処理を実行する。ここにおいて、制御部310は、この割込が制御モードの切替指示であるか否かを判断し(ステップSa21)、切替指示であれば、ステップSa2の処理、すなわち制御モードを節電時モードから通常時モードに切り替える設定を実行し、ステップSa3以降の処理を再び実行する。また、制御部310は、切替指示以外の割込が発生した場合にも、それぞれの割込の内容に応じた処理を実行する(ステップSa22)。例えば、このとき制御部310は、受信したパケットが自機での応答が必要なパケットか否かを判断し、必要に応じて応答したりする。
【0046】
なお、通知タイミングは、(電子機器300側ではなく)管理装置100において設定されてもよい。この場合、管理装置100は、通知用パケットを要求するためのパケット(以下「通知要求パケット」という。)を電子機器300に対して送信する。電子機器300は、タイマに代えてこの通知要求パケットをトリガとして、
図6、7、8に示した処理を実行すればよい。また、この場合において、電子機器300は、通知要求パケットの受信間隔に基づいて送信予定時刻を推測すればよい。
【0047】
電子機器300は、このように動作することで、通知用パケットをあらかじめ記録しておき、送信モジュール313aによって送信しない場合に比べ、CPU311によって通知用パケットを送信する頻度が少なくなる。また、送信モジュール313aによる通知用パケットの送信(すなわち自機の状況の通知)は、CPU311の電源をオンにした状態でこれを行う場合に比べ、消費電力が少ない。したがって、電子機器300は、通知用パケットをあらかじめ記録しておき、送信モジュール313aによって送信しない場合に比べ、消費電力が少なくなる。
【0048】
[変形例]
本発明の実施の形態は、上述した実施例に限定されるものではなく、例えば、以下の変形例に示す形態であってもよい。また、これらの変形例は、必要に応じて、併用したりその一部を置き換えたりすることによって、互いに組み合わされてもよい。
【0049】
(変形例1)
電子機器300は、制御モードとして、通常時モードと節電時モード以外のモードを有していてもよい。例えば、電子機器300は、3種類以上の制御モードを有し、電力消費の抑制の度合いをより段階的に制御し得るように構成されていてもよい。
【0050】
(変形例2)
本発明において、パケットバッファとして機能する記憶媒体は、ページメモリに限定されない。パケットバッファとして機能する記憶媒体は、節電時モードにおける動作主体に応じて異なり得るものであり、通常時モードにおける機能もさまざまである。
【0051】
図9は、制御部310の構成の他の例を示すブロック図である。制御部310は、ASIC313の送信モジュール313aに代えて、送信モジュール311aをCPU311に備える点において
図4に示した構成と相違し、その他の点においては
図4に示した構成と共通の構成を有する。また、この例においては、ページメモリ314に代えてシステムメモリ312がパケットバッファとして機能する。この例において、制御部310は、制御モードが節電時モードであるとき、CPU311が送信モジュール311aを除き機能を停止した状態になり、通知用パケットの送信を送信モジュール311aにおいて実行するように構成されている。制御部310は、この構成においても、節電時モードにおいて通常時モードよりも消費電力が少なくなる。
【0052】
また、本発明における記憶媒体は、パケットバッファ専用に確保された記憶媒体であってもよいが、上述した実施例のように、通常時モードにおいてあらかじめ決められた機能(画像データを記憶する機能)のために用いられる領域のうちの節電時モードにおいて使用されない領域を利用するものであるとより望ましいといえる。
【0053】
(変形例3)
運転状況データは、実際の電力値に代えて、電力値の算出の基礎となる情報を含んでいてもよい。すなわち、運転状況データは、電力使用量を算出し得る情報を少なくとも含んでいればよい。また、電子機器300が明るさを調節可能な照明機器である場合には、設定された明るさを示す情報が運転状況データに含まれてもよいし、電子機器300が空調機器である場合には、設定温度、室温、風の強さなどが運転状況データに含まれてもよい。このような場合には、運転状況データに基づいて管理装置100が実際の電力値を算出すればよい。
【0054】
(変形例4)
管理装置100は、管理対象の全ての機器から運転状況データを受信しなくてもよい。例えば、動作中の消費電力がほとんど変化せず、電力値をほぼ正確に予測し得るような電子機器300がある場合には、運転状況データを受信せずに電力値を予測してもよい。例えば、中継機器200については、電子機器300と同様に運転状況データが送信されてもよいし、電力値が予測されてもよい。
【0055】
(変形例5)
本発明は、コンピュータに本発明に係る電子機器の機能を実現させるためのプログラムとして提供されてもよいし、かかるプログラムを記録した記録媒体の形態で提供されてもよい。さらに、本発明に係るプログラムは、ネットワークやその他の通信手段を介して外部装置から取得され、電子機器にダウンロードされてもよい。