(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリコン基板上に形成された、第1チャネルと、前記第1チャネルの両側に配置される第1ソース/ドレインとを有する第1素子と、第2チャネルと、前記第2チャネルの両側に配置される第2ソース/ドレインとを有する第2素子とを備えた半導体装置の製造方法であって、
前記第2素子は、前記第2チャネルの歪み量を測定し、測定された歪み量に基づいて、前記第1チャネルの歪み量を推定するために使用される素子であり、
前記第2素子が形成される第2素子形成領域上に第1マスクを形成して、前記第1マスクに覆われた前記第2素子形成領域及び前記第1チャネルが形成される第1チャネル形成領域に、第1極性を有する不純物を注入する第1工程と、
前記第1ソース/ドレインが形成される第1ソース/ドレイン形成領域及び前記第2ソース/ドレインが形成される第2ソース/ドレイン形成領域それぞれに、第2極性を有する不純物を注入して、前記第1ソース/ドレイン及び前記第2ソース/ドレインを形成する第2工程と、
前記第1ソース/ドレイン及び前記第2ソース/ドレインそれぞれの上に、シリサイド層を形成する第3工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
シリコン基板上に形成された、第1チャネルと、前記第1チャネルの両側に配置される第1ソース/ドレインとを有する第1素子と、第2チャネルと、前記第2チャネルの両側に配置される第2ソース/ドレインとを有する第2素子とを備えた半導体装置を測定する方法であって、
前記半導体装置は、前記第2素子が形成される第2素子形成領域上に第1マスクを形成して、前記第1マスクに覆われた前記第2素子形成領域及び前記第1チャネルが形成される第1チャネル形成領域に、第1極性を有する不純物を注入する第1工程と、
前記第1ソース/ドレインが形成される第1ソース/ドレイン形成領域及び前記第2ソース/ドレインが形成される第2ソース/ドレイン形成領域それぞれに、第2極性を有する不純物を注入して、前記第1ソース/ドレイン及び前記第2ソース/ドレインを形成する第2工程と、
前記第1ソース/ドレイン及び前記第2ソース/ドレインそれぞれの上に、シリサイド層を形成する第3工程を用いて製造されており、
前記第2チャネルにおける歪み量を測定して、前記第1チャネルの歪み量を推定する方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本明細書で開示する半導体装置の好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0023】
図1は、本明細書に開示する半導体装置の一実施形態を示す図である。
図2は、本明細書に開示する半導体装置が形成されたシリコン基板を示す図である。
【0024】
半導体装置10は、トランジスタが形成される第1デバイス領域T1及び第2デバイス領域T2と、歪み量を測定するための第1モニタ領域M1及び第2モニタ領域M2とを有する。第1デバイス領域T1及び第2デバイス領域T2と、第1モニタ領域M1及び第2モニタ領域M2は、同一のシリコン基板11上に形成される。
【0025】
第1モニタ領域M1は、第1デバイス領域T1の歪み量を推定するために形成される領域であり、第2モニタ領域M2は、第2デバイス領域T2の歪み量を推定するために形成される領域である。
【0026】
図2に示すように、第1デバイス領域T1及び第2デバイス領域T2は、シリコン基板11上において、回路素子等が形成される回路形成領域30に配置される。第1モニタ領域M1及び第2モニタ領域M2は、シリコン基板11上において、モニタ領域31に配置される。モニタ領域31は、シリコン基板11上において、回路形成領域30と回路形成領域30との間のスクライブ領域に配置されることが、回路形成領域30の素子密度を低減しない観点から好ましい。また、モニタ領域31は、回路形成領域30に配置されても良い。第1モニタ領域M1と第2モニタ領域M2とは、同一のモニタ領域31に配置されなくても良い。
【0027】
第1デバイス領域T1には、N型MOSトランジスタ1aが配置される。N型MOSトランジスタ1aは、P型不純物が注入されたP型チャネル領域A1と、P型チャネル領域A1の両側に配置されるN型ソース/ドレイン領域B1とを有する。
【0028】
第2デバイス領域T2には、P型MOSトランジスタ1bが配置される。P型MOSトランジスタ1bは、N型不純物が注入されたN型チャネル領域A2と、N型チャネル領域A2の両側に配置されるP型ソース/ドレイン領域B2とを有する。
【0029】
N型MOSトランジスタ1aとP型MOSトランジスタ1bとにより、CMOSトランジスタが形成され得る。
【0030】
第1モニタ領域M1には、N型MOSトランジスタ1cが配置される。N型MOSトランジスタ1cは、不純物が注入されないモニタチャネル領域C1と、モニタチャネル領域C1の両側に配置されるN型ソース/ドレイン領域D1とを有する。N型MOSトランジスタ1cは、モニタチャネル領域C1の応力状態が、N型MOSトランジスタ1aのP型チャネル領域A1と同じになるように形成される。即ち、モニタチャネル領域C1の歪み量は、P型チャネル領域A1と同じである。
【0031】
第2モニタ領域M2には、P型MOSトランジスタ1dが配置される。P型MOSトランジスタ1dは、不純物が注入されないモニタチャネル領域C2と、モニタチャネル領域C2の両側に配置されるP型ソース/ドレイン領域D2とを有する。P型MOSトランジスタ1dは、モニタチャネル領域C2の応力状態が、P型MOSトランジスタ1bのN型チャネル領域A2と同じになるように形成される。即ち、モニタチャネル領域C2の歪み量は、N型チャネル領域A2と同じである。
【0032】
モニタチャネル領域C1、C2には、不純物が注入されていないので、ラマン散乱分光法を用いて、結晶の歪み量を正確に測定することができる。
【0033】
N型MOSトランジスタ1aのP型チャネル領域A1の歪み量は、不純物が注入されないN型MOSトランジスタ1cのモニタチャネル領域C1の歪み量に基づいて推定することができる。具体的には、ラマン散乱分光法を用いて、N型MOSトランジスタ1cのモニタチャネル領域C1の歪み量を測定し、測定された歪み量が、モニタチャネル領域C1の歪み量であると推定される。
【0034】
このように、不純物が注入されているP型チャネル領域A1の歪み量を、モニタチャネル領域C1の測定値に基づいて推定することにより、不純物の影響を受けずにP型チャネル領域A1の歪み量を得ることができる。
【0035】
同様に、P型MOSトランジスタ1bのN型チャネル領域A2の歪み量は、不純物が注入されないP型MOSトランジスタ1dのモニタチャネル領域C2の歪み量に基づいて推定することができる。具体的には、ラマン散乱分光法を用いて、P型MOSトランジスタ1dのモニタチャネル領域C2の歪み量を測定し、測定された歪み量が、N型チャネル領域A2の歪み量であると推定される。
【0036】
このように、不純物が注入されているN型チャネル領域A2の歪み量を、モニタチャネル領域C2の測定値に基づいて推定することにより、不純物の影響を受けずにN型チャネル領域A2の歪み量を得ることができる。
【0037】
次に、各領域に配置されるトランジスタの構造について、更に説明する。
【0038】
まず、第1デバイス領域T1に配置されるN型MOSトランジスタ1aについて説明する。第2デバイス領域T2に配置されるP型MOSトランジスタ1bは、極性が異なる他は、N型MOSトランジスタ1aと同様の構造を有するので、N型MOSトランジスタ1aに関する説明は、P型MOSトランジスタ1bに対しても適宜適用される。
【0039】
図1に示すように、単結晶のシリコン基板11には、素子分離層12で画成された第1デバイス領域T1が配置される。第1デバイス領域T1は、P型の極性を有するP型ウェル13aを有し、このP型ウェル13aには、P型MOSトランジスタ1bが配置される。
【0040】
シリコン基板11上にはP型チャネル領域A1に対応してゲート絶縁膜14aが配置される。ゲート絶縁膜14aは、例えば、シリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜により形成される。P型チャネル領域A1は、2つのN型ソース/ドレイン領域B1に挟まれた領域であり、ゲート電極15aから印加される電場により、キャリアの流れが制御される領域である。
【0041】
また、ゲート絶縁膜14a上にはゲート電極15aが配置される。ゲート電極15aは、例えば、タングステン又はポリシリコンにより形成される。
【0042】
ゲート電極15aの両側には、第1サイドウォール16aが配置される。第1サイドウォール16aの外側には、第2サイドウォール17aが配置される。第1サイドウォール16a及び第2サイドウォール17aは、ラマン散乱分光法で試料に照射される入射光を透過する材料を用いて形成されることが好ましい。ラマン散乱分光法の入射光として、通常、可視光〜紫外光が用いられる。この場合、第1サイドウォール16a及び第2サイドウォール17aの形成材料として、例えば、窒化ケイ素を用いることができる。
【0043】
シリコン基板11中には、第2サイドウォール17aの外側に、N型の極性を有するN型ソース/ドレイン領域B1が配置される。
【0044】
N型ソース/ドレイン領域B1から第2サイドウォール17aの下の部分に向かって、N型の極性を有するエクステンション領域19aが延びている。
【0045】
P型チャネル領域A1の両側の部分は、エクステンション領域19aと重畳しているので、このエクステンション領域19aと重畳しているP型チャネル領域A1の部分は、チャネルとしての電気的特性を有さない。
【0046】
また、エクステンション領域19a及びN型ソース/ドレイン領域B1を囲むように、不純物拡散抑制領域18aが配置される。不純物拡散抑制領域18aは、エクステンション領域19a及びN型ソース/ドレイン領域B1の不純物元素が他の領域に拡散することを抑制する働きを有する。
【0047】
不純物拡散抑制領域18aを形成する不純物拡散抑制元素としては、例えば、炭素、窒素又はフッ素を用いることができる。
【0048】
また、N型ソース/ドレイン領域B1上には、シリサイド層20aが配置される。
【0049】
シリコン基板11上には、N型MOSトランジスタ1aを埋め込むように絶縁層21が形成される。絶縁層21は、ラマン散乱分光法で試料に照射される入射光を透過する材料を用いて形成されることが好ましい。絶縁層21の形成材料として、例えば、酸化ケイ素を用いることができる。
【0050】
シリサイド層20a上には、絶縁層21を貫通するコンタクト22が配置される。
【0051】
以上が、N型MOSトランジスタ1aの説明である。
【0052】
P型MOSトランジスタ1bは、第2デバイス領域T2におけるN型の極性を有するN型ウェル13bに配置される。P型MOSトランジスタ1bは、P型の極性を有するP型ソース/ドレイン領域B2と、P型の極性を有するエクステンション領域19bを有する。上述したように、N型MOSトランジスタ1aに関する説明は、P型MOSトランジスタ1bに対しても適宜適用される。
【0053】
次に、第1モニタ領域M1に配置されるN型MOSトランジスタ1cについて、以下に説明する。第2モニタ領域M2に配置されるP型MOSトランジスタ1dは、極性が異なる他は、N型MOSトランジスタ1cと同様の構造を有するので、N型MOSトランジスタ1cに関する説明は、P型MOSトランジスタ1dに対しても適宜適用される。
【0054】
N型MOSトランジスタ1cは、第1モニタ領域M1に配置される。第1モニタ領域M1は、P型ウェルを有さない。また、N型MOSトランジスタ1cは、エクステンション領域を有さない。更に、モニタチャネル領域C1には不純物が注入されない。これらのことを除いては、N型MOSトランジスタ1cは、上述したN型MOSトランジスタ1aと同様の構造を有する。そして、N型MOSトランジスタ1cの各構造は、N型MOSトランジスタ1aの対応する各構造と同じように形成される。
【0055】
第1モニタ領域M1にP型ウェルが配置されず、また及びN型MOSトランジスタ1cがエクステンション領域を有さない理由は、モニタチャネル領域C1に対して、不純物が注入又は拡散することを防止するためである。
【0056】
一方、N型MOSトランジスタ1cは、N型MOSトランジスタ1aと同様に、N型の極性を有するN型ソース/ドレイン領域D1及びシリサイド層20cを有する。
【0057】
N型MOSトランジスタ1cがシリサイド層20cを有する理由は、シリサイド層20cがモニタチャネル領域C1に対して与える応力の状態を、N型MOSトランジスタ1aと同様に再現するためである。
【0058】
従って、N型MOSトランジスタ1cのシリサイド層20cは、N型MOSトランジスタ1aのシリサイド層20aと同じように形成される。
【0059】
シリサイド層20cは、N型ソース/ドレイン領域D1の上に形成されるが、シリサイド層20cの厚さは、N型ソース/ドレイン領域D1の極性又は不純物の濃度により影響を受けることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0060】
そこで、N型MOSトランジスタ1cでは、N型ソース/ドレイン領域D1を、N型MOSトランジスタ1aのN型ソース/ドレイン領域B1と同じように形成して、シリサイド層20cがシリサイド層20aと同じように形成される。
【0061】
モニタチャネル領域C1に歪みを与える構成要素としては、N型ソース/ドレイン領域D1以外にも、第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17c、並びに、コンタクト22等がある。そこで、第1モニタ領域M1におけるこれらの構成要素も、第1デバイス領域T1と同様に形成される。
【0062】
また、N型ソース/ドレイン領域D1を囲むように、不純物拡散抑制領域18cが配置される。不純物拡散抑制領域18cは、N型ソース/ドレイン領域D1の不純物元素がモニタチャネル領域C1に拡散することを抑制する働きを有する。
【0063】
N型MOSトランジスタ1cの第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17cは、上述したように、N型MOSトランジスタ1aと同様に、ラマン散乱分光法で試料に照射される入射光を透過する材料を用いて形成されることが好ましい。これは、モニタチャネル領域C1に入射し散乱する散乱光の波数シフトに影響を与えないようにするためである。
【0064】
具体的には、N型MOSトランジスタ1cの第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17cは、N型MOSトランジスタ1aの第1サイドウォール16a及び第2サイドウォール17aと同じ材料を用いて、同じように形成される。
【0065】
モニタチャネル領域C1の上には、ゲート電極15cが配置される。このゲート電極15cは、通常、金属又はポリシリコンによって形成される。金属は、可視光から紫外光を透過しない。ポリシリコンは、散乱光の波数シフトに影響を与える。
【0066】
第1モニタ領域M1では、第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17cの下に位置するモニタチャネル領域C1の部分であるチャネル測定領域E1の歪み量が測定される。
【0067】
そこで、モニタチャネル領域C1には、第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17cを透過させて、チャネル測定領域E1に光を入射し、且つ、チャネル測定領域E1で散乱した光を、第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17cを透過させて測定する。
【0068】
N型MOSトランジスタ1aのモニタチャネル領域A1は、通常、ラマン散乱分光法による測定は行われない。この観点からは、N型MOSトランジスタ1aの第1サイドウォール16a及び第2サイドウォール17aは、ラマン散乱分光法で照射される入射光を透過する材料を用いて形成されることは求められない。だが、N型MOSトランジスタ1aの第1サイドウォール16a及び第2サイドウォール17aは、N型MOSトランジスタ1cの第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17cと同時に形成されるので、同じ特性を有することになる。
【0069】
以上が、N型MOSトランジスタ1cの説明である。
【0070】
P型MOSトランジスタ1dは、第2モニタ領域M2に配置される。第2モニタ領域M2には、N型ウェルは配置されない。また、P型MOSトランジスタ1dは、エクステンション領域を有さない。更に、P型MOSトランジスタ1dのモニタチャネル領域C2には不純物が注入されない。一方、P型MOSトランジスタ1dは、P型の極性を有するP型ソース/ドレイン領域D2及びシリサイド層20dを有する。また、第2モニタ領域M2では、第1サイドウォール16d及び第2サイドウォール17dの下に位置するモニタチャネル領域C2の部分であるチャネル測定領域E2の歪み量が測定される。上述したように、N型MOSトランジスタ1cに関する説明は、P型MOSトランジスタ1dに対しても適宜適用される。
【0071】
シリコン基板11上には、上述した第1モニタ領域M1及び第2モニタ領域M2を有するモニタ領域31が、少なくとも1つ配置される。また、複数のモニタ領域31を、シリコン基板11上に配置することにより、シリコン基板11上の歪み量の分布を測定することができる。
【0072】
モニタ領域31がスクライブ領域に配置される場合には、シリコン基板11が回路形成領域30ごとに切断される前に、モニタ領域31の歪み量の測定を行うことが好ましい。
【0073】
次に、上述した本実施形態の半導体装置の製造方法の好ましい一実施形態を、図面を参照して、以下に説明する。
【0074】
半導体装置の製造方法に対する基本的な考え方は、以下の通りである。
【0075】
1.モニタ領域のトランジスタのモニタチャネル領域には、不純物を注入しない。この観点から、モニタ領域では、歪みを与えるシリサイド層を形成するためのソース/ドレイン領域以外には、不純物の注入は行わない。
【0076】
2.モニタ領域のトランジスタのモニタチャネル領域が有する歪み量が、デバイス領域のトランジスタのチャネル領域が有する歪み量と同じになるようにする。この観点から、モニタ領域のトランジスタの各構成要素は、デバイス領域のトランジスタの対応する各構成要素と同時に同じ条件で同じ材料を用いて形成される。
【0077】
本実施形態では、シリコン基板11上において、回路領域30及びモニタ領域31(
図2参照)は、同時に形成される。以下に説明する各工程の処理は、シリコン基板11の全面に対して、同時に同じ条件で行われるので、シリコン基板11上の離れた場所ある回路領域30とモニタ領域31の対応する構成要素は、同じように形成される。
【0078】
まず、
図3に示すように、シリコン基板11に素子分離層12が形成されて、第1デバイス領域T1が形成される第1デバイス形成領域S1と、第2デバイス領域T2が形成される第2デバイス形成領域S2が規定される。同様に、シリコン基板11に素子分離層12が形成されて、第1モニタ領域M1が形成される第1モニタ形成領域N1と、第2モニタ領域M2が形成される第2モニタ形成領域N2が規定される。
【0079】
また、第1デバイス形成領域S1には、P型チャネル領域A1が形成されるP型チャネル形成領域F1及びN型ソース/ドレイン領域B1が形成されるN型ソース/ドレイン形成領域G1が示されている。第2デバイス形成領域S2には、N型チャネル領域A2が形成されるN型チャネル形成領域F2及びP型ソース/ドレイン領域B2が形成されるP型ソース/ドレイン形成領域G2が示されている。
【0080】
同様に、第1モニタ形成領域N1には、モニタチャネル領域C1が形成されるモニタチャネル形成領域H1及びN型ソース/ドレイン領域D1が形成されるN型ソース/ドレイン形成領域I1が示されている。第2モニタ形成領域N2には、モニタチャネル領域C2が形成されるモニタチャネル形成領域H2及びP型ソース/ドレイン領域D2が形成されるP型ソース/ドレイン形成領域I2が示されている。
【0081】
次に、
図4に示すように、第2デバイス形成領域S2上にマスク40を形成すると共に、第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2にマスク41が形成される。そして、第1デバイス形成領域S1、及び、マスク40で覆われた第2デバイス形成領域S2、及び、マスク41で覆われた第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2に対して、P型不純物が注入されて、第1デバイス形成領域S1にP型ウェル13aが形成される。マスクで覆われたシリコン基板11の部分には、不純物は注入されない。そして、マスク40が除去される。
【0082】
次に、
図5に示すように、第1デバイス形成領域S1上にマスク42が形成される。そして、マスク42で覆われた第1デバイス形成領域S1、及び、第2デバイス形成領域S2、及び、マスク41で覆われた第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2に対して、N型不純物が注入されて、第2デバイス形成領域S2にN型ウェル13bが形成される。マスクで覆われたシリコン基板11の部分には、不純物は注入されない。そして、マスク42が除去される。
【0083】
次に、
図6に示すように、第2デバイス形成領域S2上にマスク43が形成される。そして、第1デバイス形成領域S1、及び、マスク43で覆われた第2デバイス形成領域S2、及び、マスク41で覆われた第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2に対して、P型不純物が注入されて、第1デバイス形成領域S1にP型不純物領域44が形成される。P型不純物領域44は、P型チャネル形成領域F1を含む領域である。P型チャネル形成領域F1は、将来、P型チャネル領域A1になる領域である。P型不純物の注入量として、例えば、2×10
12から8×10
12cm
−2の範囲にすることができる。そして、マスク43が除去される。
【0084】
次に、
図7に示すように、第1デバイス形成領域S1上にマスク45が形成される。そして、マスク45で覆われた第1デバイス形成領域S1、及び、第2デバイス形成領域S2、及び、マスク41で覆われた第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2に対して、N型不純物が注入されて、第2デバイス形成領域S2にN型不純物領域46が形成される。N型不純物領域46は、N型チャネル形成領域F2を含む領域である。N型チャネル形成領域F2は、将来、N型チャネル領域A2になる領域である。N型不純物の注入量として、例えば、2×10
12から8×10
12cm
−2の範囲にすることができる。そして、マスク45及びマスク41が除去される。
【0085】
次に、
図8に示すように、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術等を用いて、P型チャネル形成領域F1と、N型チャネル形成領域F2と、モニタチャネル形成領域H1,H2上において、ゲート絶縁膜14a〜14d及びゲート電極15aが形成される。ゲート絶縁膜14a〜14dは、同じ材料を用いて、同じ形状に同時に形成される。同様に、ゲート電極15aは、同じ材料を用いて、同じ形状に同時に形成される。
【0086】
次に、
図9に示すように、第1デバイス形成領域S1、及び第2デバイス形成領域S2、及び第1モニタ形成領域N1、及び第2モニタ形成領域N2それぞれに、不純物の拡散を抑制する不純物拡散抑制元素が同じように注入されて、不純物拡散抑制領域18a〜18dが形成される。不純物拡散抑制領域18a〜18dは、将来形成されるソース/ドレイン領域を含むように形成されることが好ましい。また、不純物拡散抑制領域18a、18bは、将来形成されるエクステンション領域を含むように形成されることが好ましい。
【0087】
不純物拡散抑制元素は、炭素原子イオン、炭素クラスタ、又はC
7H
7のような分子イオン、又は、窒素原子イオン、窒素分子(N
2)のような分子イオンを用いて注入することができる。
【0088】
不純物拡散抑制元素として炭素を注入する場合には、炭素の注入量として、5×10
14から5×10
15cm
−2の範囲にすることができる。
【0089】
次に、
図10に示すように、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術等を用いて、ゲート電極15aの両側に第1サイドウォール16aが形成され、且つ、ゲート電極15cの両側に第1サイドウォール16cが第1サイドウォール16aと同じように形成される。また、ゲート電極15bの両側に第1サイドウォール16bが形成され、且つ、ゲート電極15dの両側に第1サイドウォール16dが第1サイドウォール16bと同じように形成される。本実施形態では、第1サイドウォール16a〜16dは、同じ材料を用いて、同じ形状に同時に形成される。
【0090】
次に、
図11に示すように、第1デバイス形成領域S1上にマスク47を形成すると共に、第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2上にマスク48が形成される。そして、マスク47で覆われた第1デバイス形成領域S1、及び、第2デバイス形成領域S2、及び、マスク48で覆われた第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2に対して、P型不純物が注入される。そして、ゲート電極15bを挟む第1サイドウォール16bの外側にエクステンション領域19bが形成される。P型不純物の注入量として、例えば、2×10
14から5×10
14cm
−2の範囲にすることができる。マスクで覆われたシリコン基板11の部分には、不純物は注入されない。そして、マスク47が除去される。
【0091】
次に、
図12に示すように、第2デバイス形成領域S2上にマスク49が形成される。そして、第1デバイス形成領域S1、及び、マスク49で覆われた第2デバイス形成領域S2、及び、マスク48で覆われた第1モニタ形成領域N1及び第2モニタ形成領域N2に対して、N型不純物が注入される。そして、ゲート電極15aを挟む第1サイドウォール16aの外側にエクステンション領域19aが形成される。N型不純物の注入量として、例えば、2×10
14から5×10
14cm
−2の範囲にすることができる。マスクで覆われたシリコン基板11の部分には、不純物は注入されない。そして、マスク49及びマスク48が除去される。
【0092】
次に、
図13に示すように、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術等を用いて、第1サイドウォール16aの外側に第2サイドウォール17aが形成され、且つ第1サイドウォール16cの外側に、第2サイドウォール17cが第2サイドウォール17aと同じように形成される。また、第1サイドウォール16bの外側に第2サイドウォール17bが形成され、且つ第1サイドウォール16dの外側に、第2サイドウォール17dが第2サイドウォール17bと同じように形成される。本実施形態では、第2サイドウォール17a〜17dは、同じ材料を用いて、同じ形状に同時に形成される。
【0093】
次に、
図14に示すように、第1デバイス形成領域S1上にマスク50が形成されると共に、第1モニタ形成領域N1上にマスク51が形成される。そして、マスク50で覆われた第1デバイス形成領域S1、及び、第2デバイス形成領域S2、及び、マスク51で覆われた第1モニタ形成領域N1、及び、第2モニタ形成領域N2に対して、P型不純物が注入される。
【0094】
第2デバイス形成領域S2では、ゲート電極15b及び第1サイドウォール16b及び第2サイドウォール17bをマスクとして、P型ソース/ドレイン形成領域G2にP型不純物が注入されて、P型ソース/ドレイン領域B2が形成される。同時に、第2モニタ形成領域N2では、ゲート電極15d及び第1サイドウォール16d及び第2サイドウォール17dをマスクとして、P型ソース/ドレイン形成領域I2にP型不純物が注入されて、P型ソース/ドレイン領域D2が形成される。マスクで覆われたシリコン基板11の部分には、不純物は注入されない。
【0095】
また、第2デバイス形成領域S2では、P型ソース/ドレイン領域B2に挟まれたN型チャネル領域A2が形成される。同様に、第2モニタ形成領域N2では、P型ソース/ドレイン領域D2に挟まれたモニタチャネル領域C2が形成される。
【0096】
P型不純物は、P型ソース/ドレイン形成領域G2及びP型ソース/ドレイン形成領域I2に対して、不純物の添加量及び不純物が注入される領域(広さ及び深さ)が同じになるように注入される。ここで、P型ソース/ドレイン形成領域G2及びP型ソース/ドレイン形成領域I2に注入されるP型不純物の注入量は、エクステンション領域19bへの注入量よりも10倍以上に多くすることが好ましい。P型不純物の注入量としては、例えば、5×10
15cm
−2とすることができる。そして、マスク50及びマスク51が除去される。
【0097】
次に、
図15に示すように、第2デバイス形成領域S2上にマスク52が形成されると共に、第2モニタ形成領域N2上にマスク53が形成される。そして、第1デバイス形成領域S1、及び、マスク52で覆われた第2デバイス形成領域S2、及び、第1モニタ形成領域N1、及び、マスク53で覆われた第2モニタ形成領域S2に対して、N型不純物が注入される。
【0098】
第1デバイス形成領域S1では、ゲート電極15a及び第1サイドウォール16a及び第2サイドウォール17aをマスクとして、N型ソース/ドレイン形成領域G1にN型不純物が注入されて、N型ソース/ドレイン領域B1が形成される。同時に、第1モニタ形成領域N1では、ゲート電極15c及び第1サイドウォール16c及び第2サイドウォール17cをマスクとして、N型ソース/ドレイン形成領域I1にN型不純物が注入されて、N型ソース/ドレイン領域D1が形成される。マスクで覆われたシリコン基板11の部分には、不純物は注入されない。
【0099】
また、第1デバイス形成領域S1では、N型ソース/ドレイン領域B1に挟まれたP型チャネル領域A1が形成される。同様に、第1モニタ形成領域N1では、N型ソース/ドレイン領域D1に挟まれたモニタチャネル領域C1が形成される。
【0100】
N型不純物は、N型ソース/ドレイン形成領域G1及びN型ソース/ドレイン形成領域I1に対して、不純物の添加量及び不純物が注入される領域(広さ及び深さ)が同じになるように注入される。ここで、N型ソース/ドレイン形成領域G1及びN型ソース/ドレイン形成領域I1に注入されるN型不純物の注入量は、エクステンション領域19aへの注入量よりも10倍以上に多くすることが好ましい。N型不純物の注入量としては、例えば、5×10
15cm
−2とすることができる。そして、マスク52及びマスク53が除去される。
【0101】
そして、シリコン基板11は加熱処理されて、不純物を電気的に活性化する。加熱処理としは、例えば、温度1100〜1150℃で、1秒間以下の時間で行うことができる。この加熱処理では、不純物拡散抑制領域18cの働きによって、N型ソース/ドレイン領域D1のN型不純物が、モニタチャネル領域C1に拡散することが抑制される。同様に、不純物拡散抑制領域18dの働きによって、P型ソース/ドレイン領域D2のP型不純物が、モニタチャネル領域C2に拡散することが抑制される。
【0102】
次に、
図16に示すように、N型ソース/ドレイン領域B1及びN型ソース/ドレイン領域D1それぞれの上に、シリサイド層20a及びシリサイド層20cが同じように形成される。N型ソース/ドレイン領域D1の不純物の極性及び不純物の濃度は、N型ソース/ドレイン領域B1と同じであるので、シリサイド層20cの厚さは、シリサイド層20aと同じに形成される。
【0103】
従って、シリサイド層20aがP型チャネル領域A1に与える応力の状態は、シリサイド層20cがモニタチャネル領域C1に与える応力の状態と同じになる。
【0104】
同様に、P型ソース/ドレイン領域B2及びP型ソース/ドレイン領域D2それぞれの上に、シリサイド層20b及びシリサイド層20dが同じように形成される。P型ソース/ドレイン領域D2の不純物の極性及び不純物の濃度は、P型ソース/ドレイン領域B2と同じであるので、シリサイド層20dの厚さは、シリサイド層20bと同じに形成される。
【0105】
従って、シリサイド層20bがN型チャネル領域A2に与える応力の状態は、シリサイド層20dがモニタチャネル領域C2に与える応力の状態と同じになる。
【0106】
シリサイド層20a〜20dを形成する方法としては、例えば、サリサイド法を用いることができる。
【0107】
このようにして、N型MOSトランジスタ1aを有する第1デバイス領域T1と、P型MOSトランジスタ1bを有する第2デバイス領域T2と、N型MOSトランジスタ1cを有する第1モニタ領域M1と、P型MOSトランジスタ1dを有する第2モニタ領域M2が形成される。
【0108】
なお、N型MOSトランジスタ1aのN型ソース/ドレイン領域B1の不純物濃度は、エクステンション領域19aを形成するために注入されたP型不純物の分だけ、N型ソース/ドレイン領域D1よりも高い。しかし、エクステンション領域19aの不純物濃度が、N型ソース/ドレイン領域B1の1/10以下であれば、シリサイド層の厚さに対する影響を無視できる。
【0109】
P型MOSトランジスタ1bのP型ソース/ドレイン領域B2の不純物濃度と、P型ソース/ドレイン領域D2の濃度との違いに対しても同様である。
【0110】
次に、本明細書に開示する半導体装置を測定する方法を、
図17に示すフローチャートを参照して、以下に説明する。
【0111】
まず、ステップS1において、シリコン基板11上の第1モニタ領域M1のモニタチャネル領域C1及び第2モニタ領域M2のモニタチャネル領域C2の歪み量が、ラマン散乱分光法を用いて測定される。ラマン散乱分光法としては、顕微ラマン散乱分光法を用いることが好ましい。
【0112】
図1に示すように、第1モニタ領域M1では、チャネル測定領域E1の歪み量が測定される。同様に、第2モニタ領域M2では、チャネル測定領域E2の歪み量が測定される。
【0113】
次に、ステップS2において、測定された第1モニタ領域M1のモニタチャネル領域C1の歪み量に基づいて、第1デバイス領域T1のP型チャネル領域A1の歪み量が推定される。同様に、測定された第2モニタ領域M2のモニタチャネル領域C2の歪み量に基づいて、第2デバイス領域T2のN型チャネル領域A2の歪み量が推定される。
【0114】
上述した本実施形態の半導体装置を測定する方法によれば、P型不純物が注入されているP型チャネル領域A1の歪み量が、ラマン散乱分光法を用いて、モニタチャネル領域C1の歪み量を測定することにより得られる。同様に、N型不純物が注入されているN型チャネル領域A2の歪み量が、ラマン散乱分光法を用いて、モニタチャネル領域C2の歪み量を測定することにより得られる。
【0115】
本発明では、上述した実施形態の半導体装置の製造方法及び半導体装置を測定する方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0116】
例えば、上述した実施形態では、不純物拡散抑制領域を形成していたが、ソース/ドレイン領域又はエクステンション領域からチャネル領域への不純物の拡散が無視できる場合には、不純物拡散抑制領域を形成しなくても良い。
【0117】
また、上述した実施形態では、エクステンション領域を形成していたが、エクステンション領域を形成しなくても良い。
【0118】
また、上述した半導体装置を測定する方法の実施形態では、ラマン散乱分光法を用いて、モニタチャネル領域の非破壊測定を行っていたが、電子線回折法を用いて、破断したモニタチャネル領域の歪み量を測定しても良い。
【0119】
更に、本明細書に開示する半導体装置の製造方法及び半導体装置を測定する方法は、シリコンゲルマニウム混晶等を用いてチャネル領域を歪ませている半導体装置に対しても適用できる。
【0120】
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。