【実施例】
【0043】
(実施例1)
ファストゲンブルーAE−8(青色顔料、ピグメントブルー15:6、DIC株式会社製
) 20.90重量部
マイクロリスブルー 4G−A(顔料をエチルセルロースキャリアーに微分散させた加工顔料、ピグメントブルー15:3とエチルセルロースとの比率が6:4、BASF(株)
製、ドイツ) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(紫色顔料、ピグメントバイオレット23、DIC株式会社製) 2.03重量部
ソルスパース12000(顔料誘導体、日本ルーブリゾール(株)製) 1.04重量部
ソルスパース20000(分子内にアミノ基を有する高分子活性剤、日本ルーブリゾール
(株)製) 4.10重量部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学(株)製)
3.85重量部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学(株)製)
2.35重量部
トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル 47.20重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 11.30重量部
フォスファノールLB400(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸)
0.30重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1−ラウリルアミン)
0.20重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が7600000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が330mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が760Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.25の青色インキを得た。
(実施例2)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 20.90重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 2.03重量部
ソルスパース12000(前述) 1.04重量部
ソルスパース24000(分子内にアミノ基を有する高分子活性剤、日本ルーブリゾール
(株)製) 5.10重量部
エスレックBH−3(前述) 5.00重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテルエーテル 47.10重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 12.10重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース24000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が8400000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が450mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が600Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.38の青色インキを得た。
(実施例3)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 20.90重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 2.03重量部
ソルスパース22000(前述) 1.00重量部
ソルスパース20000(前述) 3.00重量部
SKレジン(ケトン樹脂、ヒュルス(株)製) 5.60重量部
PVPK−90(ポリビニルピロリドン、ISPジャパン(株)製) 0.50重量部
ヘキシレングリコール 48.94重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 11.30重量部
上記成分中のソルスパース22000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が7800000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が360mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が620Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.45の青色インキを得た。
(実施例4)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 23.00重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 1.41重量部
ソルスパース12000(前述) 1.04重量部
ソルスパース20000(前述) 5.10重量部
エスレックBH−3(前述) 3.30重量部
PVPK−90(前述) 2.58重量部
トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル 46.64重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 10.20重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が8500000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が470mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が560Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.33の青色インキを得た。
(実施例5)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 1.35重量部
Chomofine Blue A3R(C.I.Pigment Blue 60、大
日精化工業(株)製) 25.60重量部
ソルスパース12000(前述) 1.04重量部
ソルスパース24000(分子内にアミノ基を有する高分子活性剤、日本ルーブリゾール
(株)製) 3.70重量部
エトセル20(エチルセルロース、ダウ・ケミカル日本(株)製) 5.13重量部
エスレックBH−3(前述) 2.20重量部
SKレジン(前述) 4.49重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテルエーテル 46.59重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 9.9重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース24000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とChomofine Blue A3Rを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が8800000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が520mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が780Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.53の青色インキを得た。
(実施例6)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 20.90重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 2.03重量部
ソルスパース12000(前述) 1.04重量部
ソルスパース20000(前述) 4.10重量部
エスレックBL−1(前述) 3.84重量部
SKレジン(前述) 4.00重量部
PVPK−90(前述) 0.17重量部
ヘキシレングリコール 48.39重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 8.3重量部
フォスファノールLB400(前述) 0.30重量部
ナイミーンL201(前述) 0.20重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が7700000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が340mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が620Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.62の青色インキを得た。
(実施例7)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 20.90重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 2.03重量部
ソルスパース12000(前述) 0.70重量部
ソルスパース22000(前述) 0.30重量部
ソルスパース20000(前述) 3.20重量部
エスレックBH−3(前述) 2.35重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテルエーテル 48.79重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 15.00重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース22000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が8000000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が440mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が560Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.55の青色インキを得た。
(実施例8)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 20.90重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 2.03重量部
ソルスパース12000(前述) 1.04重量部
ソルスパース24000(前述) 4.10重量部
エスレックBL−1(前述) 3.84重量部
エスレックBH−3(前述) 2.35重量部
トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル 51.21重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 7.30重量部
フォスファノールLB400(前述) 0.30重量部
ナイミーンL201(前述) 0.20重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース24000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が8500000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が500mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が570Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.48の青色インキを得た。
(実施例9)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 16.00重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 6.73重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 2.03重量部
ソルスパース12000(前述) 1.04重量部
ソルスパース20000(前述) 2.50重量部
エスレックBL−1(前述) 1.80重量部
エスレックBH−3(前述) 2.35重量部
PVPK−90(前述) 2.00重量部
トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル 41.65重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 23.40重量部
フォスファノールLB400(前述) 0.30重量部
ナイミーンL201(前述) 0.20重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が7500000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が450mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が660Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.38の青色インキを得た。
(比較例1)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 15.02重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 17.20重量部
ソルスパース12000(前述) 1.78重量部
ソルスパース20000(前述) 7.13重量部
SKレジン(前述) 10.56重量部
PVPK−90(前述) 0.40重量部
トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル 17.10重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテルエーテル 23.68重量部
3−メチル−1、5−ペンタンジオール 7.13重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8を添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が20500000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が3900mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が838Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.28の青色インキを得た。
(比較例2)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 19.00重量部
マイクロリスブルー 4G−A(前述) 17.20重量部
ソルスパース12000(前述) 1.00重量部
ソルスパース20000(前述) 3.00重量部
SKレジン(前述) 10.56重量部
PVPK−90(前述) 0.40重量部
トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル 17.10重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテルエーテル 23.68重量部
3−メチル−1、5−ペンタンジオール 8.06重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8を添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が16000000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が2800mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が770Pa、0.019rad/secにおけるtanδが0.88の青色インキを得た。
(比較例3)
Chromofine Blue 4920(Pigment Blue 15:3、大日精化工業(株)製) 12.00重量部
ソルスパース12000(前述) 1.20重量部
ソルスパース20000(前述) 3.00重量部
ハイラック110H(ケトンレジン、日立化成工業(株)製) 16.00重量部
PVPK−90(前述) 0.50重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテルエーテル 52.80重量部
ベンジルアルコール 12.00重量部
オレイン酸 2.50重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、Chromofine Blue 4920を添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が12600mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が5000mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が0.1Pa、0.019rad/secにおけるtanδが70の青色インキを得た。
(比較例4)
ファストゲンブルーAE−8(前述) 21.30重量部
ファストゲンスーパーバイオレットRZS(前述) 5.60重量部
ソルスパース12000(前述) 1.04重量部
ソルスパース20000(前述) 4.10重量部
エトセル20(前述) 5.13重量部
エスレックBL−1(前述) 3.84重量部
エスレックBH−3(前述) 2.35重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテルエーテル 31.10重量部
ベンジルアルコール 25.04重量部
フォスファノールLB400(前述 0.30重量部
ナイミーンL201(前述) 0.20重量部
上記成分中のソルスパース12000とソルスパース20000と全溶剤とを加熱攪拌し、ファストゲンブルーAE−8とファストゲンスーパーバイオレットRZSを添加し、ビーズミルで1時間分散した。得られた顔料分散体と残りの成分とをラボミキサーにて混合加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.019s
−1での粘度が65000mPa・s、剪断速度10000s
−1での粘度が2000mPa・s、0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が9Pa、0.019rad/secにおけるtanδが50の青色インキを得た。
【0044】
以上、実施例1〜9、比較例1〜4で得られたインキ組成物を市販の油性ボールペン(BK70、ボール径0.7mm、ぺんてる(株)製、ペン先はステンレスチップと超硬合金のボールよりなっている)と同様の筆記具に0.3g充填し、試験サンプルとした。但し、インキが高粘度であるために、吐出が困難な場合には、上記サンプルにバネや圧縮空気等で加圧している状態で筆記できるように工夫改造して、同様の評価を実施した。
【0045】
試験項目としては、−20℃環境下での筆記抵抗値の測定および、25℃における筆跡の綺麗さ(中抜け、筆跡幅、筆跡滲み、カスレ)評価を行った。
【0046】
−20℃環境下における筆記抵抗値の測定:上記実施例1〜9および比較例1〜4のインキを充填した各ボールペンサンプルをn=3本ずつ用意し、恒温室にてサンプルを−20℃環境下に24時間静置し、その後−20℃恒温室内にて静・動摩擦測定機(Tribo−master Type TL201Sa、株式会社トリニティーラボ製)を用い、ペン作成後未筆記のボールペンサンプルを、筆記荷重を150g、筆記角度70度、筆記速度1cm/secおよび10cm/secで15cm筆記させたときの筆記抵抗値を測定した。
【0047】
筆記抵抗値の測定は、測定周波数200Hzにて10秒間測定を行った。測定開始0.5秒から2.0秒までの間で得られた筆記抵抗値のデータから、各ボールペンサンプルの筆記抵抗値の平均値を算出し、実施例、比較例の筆記抵抗値の代表値とした。
中抜けの評価:実施例と比較例のインキを充填した各ボールペンサンプルによって、25℃65%の恒温恒湿室内において一筆書きで「☆」の字を手書き筆記した。これを10回繰り返した。目視で筆跡上の中抜け箇所を確認して、「☆」の字10個分の中抜け個数を計測した。
【0048】
螺旋機筆記試験機によって筆記し、以下の評価を行った。螺旋筆記の試験機の筆記条件は、25℃65%の恒温恒湿室内で筆記速度7cm/sec、筆記角度70°、筆記荷重150gで行った。
筆跡滲みの評価
(1)筆跡幅:実施例と比較例のインキを充填した各ボールペンサンプルによって、螺旋筆記した。螺旋筆記で得られた筆跡を25℃65%の恒温恒湿室内にて1時間静置し、十分に筆跡を乾燥させたあと、100〜200mにおける筆跡幅をランダムに10点測定し、筆跡幅の平均値を算出した。
(2)凹凸やヒゲ状の滲み:実施例と比較例のインキを充填した各ボールペンサンプルによって、前記条件にて螺旋筆記した筆跡を筆跡乾燥後に顕微鏡にて200倍に拡大し、筆跡と紙面の境目を観察した。このとき、紙の繊維に沿って横に広がった凹凸やヒゲ状の滲みの、筆記線5cm当たりの滲みの数を目視で確認した。
筆跡カスレの評価:実施例と比較例のインキを充填した各ボールペンサンプルによって、前記条件にて螺旋筆記した筆跡を筆跡乾燥後、筆跡のカスレ箇所を目視で計測し、n=10本の平均値を算出した。
【0049】
【表1】
実施例1〜9のボールペン用インキは、分子内にアミノ基を有する高分子活性剤の顔料分散剤量の重量比は顔料全量を1としたとき0.11以上0.19以下であるので、分散が良好でかつ分子内にアミノ基を有する高分子活性剤の顔料分散剤がインキ中に過剰に存在することを抑制することができ、エチルセルロースと分子内にアミノ基を有する高分子活性剤の顔料分散剤との間で分子間相互作用による弱いネットワークを形成するのを防ぎ、低温環境下(−20℃)でも高い剪断減粘性を保ち軽い書き味を維持できた。
【0050】
特に、実施例1〜7のボールペン用インキ組成物は、分子内にアミノ基を有する高分子活性剤の顔料分散剤の重量比が溶解性パラメーター(SP値)が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤全量を1としたとき0.21以上0.49以下の範囲にあるのでエチルセルロースに対する適度に高い溶解力により、顔料表面に吸着しない過剰な分子内にアミノ基を有する高分子活性剤の顔料分散剤とエチルセルロースとのネットワークの構造の強化を阻害し、高い剪断減粘性を保持して軽い書き味を維持する効果が高くなり、より軽い書き味を維持することができた。
【0051】
これに対して、比較例1は分子内にアミノ基を有する高分子活性剤の顔料分散剤の重量比が顔料全量を1としたとき0.19より大きいため、低温環境下(−20℃)においては、エチルセルロースの分子運動が低下するのに加え、ネットワークの構造が強固になり筆記時の剪断力によって十分に流動することができなくなり、書き味が非常に重くなってしまった。
【0052】
比較例2は分子内にアミノ基を有する高分子活性剤の顔料分散剤量の重量比が顔料全量を1としたとき0.11未満であるので、顔料を安定に分散させることができず、顔料の凝集や沈降によるカスレを生じてしまった。
【0053】
比較例3〜4は、溶剤にベンジルアルコールを使用して0℃1週間定温保管後のカスレを防止することを防止できるが、―20℃環境での効果は不十分であり、またエチルセルロースを均一に溶解することができないので、滲み、中抜けが非常に多く発生してしまった。
【0054】
実施例1〜9および比較例1〜2のボールペン用インキ組成物は、剪断速度0.019s
−1の時に200000mPa・s以上で、剪断速度10000s
−1の時に5000mPa・s以下で、角周波数0.019rad/secにおける貯蔵弾性率が10Pa以上であり、角周波数0.019rad/secにおけるtanδが1.0未満あるので、筆記時にはボールが回転することによる剪断力でインキは低粘度化されて高いインキの流動性が得られ、中抜けも生じず、ボールが筆跡状から通り過ぎると同時に、インキは静置状態の高粘度の状態に戻りやすいので、インキは転写された瞬間の筆跡部分からそれ以上筆跡の無い紙面へ流されることはなく、紙面等に置かれたインキが、置かれた形態のまま移動しないので、筆跡幅が細く滲みのない綺麗な筆跡が得られた。
【0055】
これに対し、比較例3〜4のボールペン用インキ組成物は、剪断速度剪断速度0.019s
−1の時に200000mPa・s未満で、インキは静置時に液体状態であるので、筆跡上の流動性もある状態であり、滲みを抑えられなかった。
【0056】
以上、詳細に説明したように本発明のボールペン用インキ組成物は、筆跡幅が細く、筆跡と紙面との境目には僅かな凹凸やヒゲ状の滲みもなく、中抜けもない綺麗な筆跡が得られる少なくとも銅フタロシアニン顔料を用いたボールペン用油性青色インキ組成物に関して、低温環境下においても軽い書き味が得られるボールペン用油性インキ組成物に関するものである。