(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
1−1.現像剤供給装置の外観
図1は、本発明の一実施形態に係る現像剤供給装置1の外観を示す図である。以下、図において、現像剤供給装置1の各構成の配置を説明するため、各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。また、図に示す座標記号のうち、内側が白い円の中に黒い円を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表している。また、内側が白い円の中に交差する2本の線分を描いた記号は、紙面手前側から奥側に向かう矢印を表している。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向を定義する。
【0010】
現像剤供給装置1は、画像形成装置に装着され、この画像形成装置に現像剤を供給するための装置である。画像形成装置は、供給された現像剤を用いて記録媒体に画像を形成する装置である。画像形成装置は、例えば、後述する現像器4や、その現像器4から供給される現像剤によって記録媒体に画像を形成する画像形成手段を有する。画像形成手段は、例えば、静電潜像を保持する像保持体、像保持体に保持された像を記録媒体に転写する転写装置(図示せず)などを有し、現像器4から供給される現像剤によって像保持体の表面に現像された像を転写装置が用紙などの記録媒体に転写することにより、その記録媒体に画像を形成する。
【0011】
図1において、−z方向は重力の方向である。
図1(a)に示すように、現像剤供給装置1は、現像剤を収容する収容器2を有する。収容器2にはハンドル21が設けられており、ユーザは、このハンドル21を掴むことで現像剤供給装置1を取り扱う。例えば、ユーザがこのハンドル21を+y方向に引くことで、現像剤供給装置1が画像形成装置から撤去される。
【0012】
収容器2の筐体は円筒状であり、その中心軸は現像剤供給装置1が画像形成装置に装着された状態でy軸方向に沿った方向に伸びている。
図1(b)に現像剤供給装置1を下方(すなわち−z方向の位置)から見た図を示す。
図1(b)に示す通り、収容器2の筐体には、その−z方向側の側面に開口部20が設けられている。収容器2の筐体の外側には、この開口部20を開閉する開閉部材3が設けられている。
図1(b)に示す状態において、開閉部材3は、開口部20を覆っている。開閉部材3が開口部20を覆うときに、開閉部材3に接触する開口部20の外縁には、シール5(後述)が設けられている。シール5は、開閉部材3と開口部20の外縁との間にあって開口部20を密閉し、開閉部材3と収容器2の筐体との間から現像剤が漏れ出すのを防ぐ密閉部材である。
【0013】
1−2.現像剤供給装置の構造
図2は、下方から見た開口部20を示す図である。
図2に示すように、開口部20は矩形であり、この開口部20の一辺から+y方向に向けて溝30が設けられている。溝30は筐体の外側に設けられており、例えばこの溝30に沿って開閉部材3に設けられた突起(図示せず)などが誘導されることで、開閉部材3は収容器2の筐体の壁面をy軸方向に沿って移動する。
【0014】
図3は、現像剤供給装置1が装着された画像形成装置の断面図である。
図3には、画像形成装置に現像剤供給装置1が装着された状態において、
図2中の現像剤供給装置1を矢視III−III方向から見た画像形成装置の断面図が示されている。画像形成装置に装着された現像剤供給装置1の下方(−z方向)には、現像器4が配置されている。現像器4は、上面にデッキ41が設けられた円筒部材42と、この円筒部材42の内部に設けられ、y軸方向に伸びる軸を中心に回転する搬送部材43とを有する。搬送部材43は、シャフトの周囲に螺旋状の羽根が設けられた部材であり、シャフトに伴って回転する羽根によって現像剤をこのシャフトが伸びる方向に沿って搬送する。
【0015】
現像剤供給装置1は、画像形成装置に装着されるとき、
図2の矢印D1方向(すなわち−y方向)に押し込まれる。デッキ41は、現像剤供給装置1を載せてy軸方向にスライドさせる。現像剤供給装置1が
図2に示す矢印D1方向に押し込まれると、収容器2の外側に設けられた開閉部材3がデッキ41に設けられた、例えば突起(図示せず)などに掛かり、開閉部材3は、収容器2から見て相対的に
図2に示す矢印D2方向(すなわち、+y方向)に移動させられる。これにより、開閉部材3は
図2に破線で示す位置に移動し、開口部20を開ける。現像剤供給装置1を載せたデッキ41には現像剤を受入れる受入口40が設けられており、開口部20が開閉部材3によって開けられたとき、この開口部20は、この受入口40に対向する位置に配置される。
【0016】
1−3.従来の現像剤供給装置の構造
ここで、従来技術の例を説明する。
図4は、従来の画像形成装置において用いられる現像剤供給装置1aの開閉部材3aが開口部20aを開閉する動作を示す図である。以下、従来の画像形成装置の各構成は、上述した実施形態の画像形成装置における対応する構成の符号に添字「a」を付した符号を用いて説明する。
【0017】
図4(a)に示すように、従来の画像形成装置において、開口部20aおよび受入口40aを介して現像剤供給装置1aの収容器2aに収容された現像剤が現像器4に供給されるとき、開閉部材3aの先端部P3aは、受入口40aの+y方向側の縁部P4aよりも矢印D1方向に突出していない。むしろ先端部P3aは、縁部P4aよりも矢印D1方向の反対方向(すなわち、+y方向)に配置される。
【0018】
収容器2aに収容された現像剤が開口部20aから受入口40aを通って現像器4へ供給されるとき、この現像剤は、
図4(a)に示す通路R1を矢印D3方向に落下する。ここで、先端部P3aおよび縁部P4aは、通路R1に面しているので、落下する現像剤に触れる。そして、
図4(b)に拡大して示すように、先端部P3aは縁部P4aの上方(すなわち+z方向)にあって縁部P4aよりも+y方向にあるため、現像器4aのデッキ41aの上に領域R2が発生する。この領域R2には落下する現像剤が蓄積し易いので、領域R2が存在することによってデッキ41aが汚れる場合がある。
【0019】
1−4.開閉部材の動作
(1)開口部を開ける動作
図5は、開閉部材3が開口部20を開閉する動作を示す図である。装着前の現像剤供給装置1において、開閉部材3は開口部20を閉じている。閉じられた開口部20の外縁と開閉部材3との間にはシール5が設けられている。シール5は、開閉部材3と開口部20の外縁との隙間から現像剤が外に漏れ出るのを防ぐ。
【0020】
現像剤供給装置1を画像形成装置に装着するとき、
図5(a)に示すように、デッキ41上を収容器2が矢印D1方向(−y方向)に沿って移動する。すなわち収容器2の位置が変化する。この移動中、開閉部材3のうち矢印D1方向の先端部P3が、受入口40の+y方向側の縁部P4よりも+y方向にある間にわたって、開閉部材3およびシール5は収容器2に伴って矢印D1方向に移動する。
【0021】
現像剤供給装置1がデッキ41上を矢印D1方向にスライドしていくと、開閉部材3は、デッキ41上に設けられた突起(図示せず)に掛かる位置に到達する。この位置は、上述した開閉部材3の先端部P3が、受入口40の+y方向側の縁部P4よりも矢印D1方向に突出する位置である。開閉部材3は、
図5(b)に示す位置で、デッキ41に設けられた突起に掛かって押しとどめられるので、矢印D1方向への移動を制限される。そして、この位置において、開閉部材3は、受入口40の一部に重なっている。
【0022】
ユーザが
図1に示したハンドル21などを操作して、現像剤供給装置1をさらに矢印D1方向に押し込むと、開閉部材3が押しとどめられたまま、シール5および収容器2は矢印D1方向に進む。そして、
図5(c)に示すように、収容器2は、開口部20が上述した開閉部材3の先端部P3よりも矢印D1方向に配置されるように移動する。これにより、開閉部材3は、収容器2から見て相対的に矢印D1方向の反対方向(矢印D2方向)に移動して開口部20を開ける。
【0023】
(2)開口部を閉める動作
ユーザがハンドル21を掴んで現像剤供給装置1を矢印D1方向の反対方向である矢印D2方向に引き抜くと、収容器2とシール5は矢印D2方向に移動する。ここで、
図5(c)に示す位置から
図5(b)に示す位置まで収容器2が移動する際に、開閉部材3はデッキ41との間で摩擦力が働くため収容器2に伴って矢印D2方向に移動しない。そして、収容器2が
図5(b)に示す位置に至ると、開口部20は、開閉部材3によって閉じられる。
【0024】
一方、収容器2がさらに矢印D2方向に移動して
図5(b)に示す位置を越えると、開閉部材3に設けられた突起(図示せず)が、
図2に示した溝30(
図5において図示せず)の−y方向の端部に到達するので、開閉部材3はこれ以上この位置に留まることができず、収容器2の移動に伴って矢印D2方向に移動する。その結果、収容器2、シール5および開閉部材3はともに矢印D2方向に移動し、現像剤供給装置1は画像形成装置から撤去される。
【0025】
以上、説明した動作により、開閉部材3は、受入口40の一部に重なった状態で開口部20を開けるので、開口部20から供給される現像剤が受入口40の外縁に蓄積され現像器4の表面を汚す可能性が低減される。
【0026】
また、現像剤供給装置1が画像形成装置から撤去される際にも、開閉部材3は開口部20を閉めるまで受入口40の一部に重なった状態を維持するので、引き抜かれる現像剤供給装置1の開口部20から現像剤が漏れて受入口40の外縁を汚す可能性が低減される。
【0027】
つまり、本発明の画像形成装置においては、開口部20が少しでも開けられて、現像剤が供給され得る状態になっているときには必ず、開閉部材3の先端部P3が、受入口40の+y方向側の縁部P4よりも矢印D1方向に突出しているので、開閉部材3は、受入口40の一部に重なった状態を維持している。したがって、従来技術のように現像剤の供給される通路に面していてデッキ41の上方を露出させるような領域R2が存在しない。
【0028】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
上述した実施形態において、現像剤供給装置は、現像器の上面に沿ってy軸方向にスライドさせて開口部を開閉させる構造であったが、現像剤供給装置を回転させて開口部を開閉させる構造であってもよい。
【0029】
図6は、変形例に係る現像剤供給装置1bの外観を示す図である。以下、変形例に係る画像形成装置の各構成は、上述した実施形態の画像形成装置における対応する構成の符号に添字「b」を付した符号を用いて説明する。
【0030】
図6(a)に示すように、現像剤供給装置1bは、現像剤を収容する収容器2bを有する。収容器2bの筐体は円筒状であり、その中心軸は現像剤供給装置1bが画像形成装置に装着された状態でy軸方向に沿った方向に伸びている。収容器2bにはハンドル21bが設けられており、ユーザは、このハンドル21bを掴むことで現像剤供給装置1bを取り扱う。また、
図6(b)に破線で示す通り、収容器2bの筐体には、その−z方向側の側面に開口部20bが設けられている。また、収容器2bの筐体の外側には、この開口部20bを開閉する開閉部材3bが設けられている。
図6(b)に示す状態において、開閉部材3bは、開口部20bを覆っている。
【0031】
図7は、下方から見た開口部20bを示す図である。開閉部材3bは、矩形の開口部が複数箇所に設けられた円筒状の部材であり、収容器2bに対して、その外壁側面を囲うようにして装着されている。開閉部材3bは、開口していない部分に収容器2bの開口部20bが対向するように収容器2の外壁側面に沿って回転することで、開口部20bを閉じる。また、開閉部材3bは、自身の開口部に収容器2bの開口部20bが対向するように収容器2の外壁側面に沿って回転することで、開口部20bを開ける。
【0032】
図8は、現像剤供給装置1bが装着された画像形成装置の断面図である。
図8には、画像形成装置に現像剤供給装置1bが装着された状態において、
図7中の現像剤供給装置1bを矢視VIII−VIII方向から見た画像形成装置の断面図が示されている。
図8において、矢印D4方向とは+y方向に見たときに収容器2bの軸Oを中心として時計回りに回転する方向であり、矢印D5方向とは+y方向に見たときに軸Oを中心として反時計回りに回転する方向である。
【0033】
画像形成装置に装着された現像剤供給装置1bの下方(−z方向)には、現像器4bが配置されている。現像器4bは、上面にデッキ41bが設けられた円筒部材42bと、この円筒部材42bの内部に設けられ、y軸方向に伸びる軸を中心に回転する搬送部材43bとを有する。
【0034】
現像剤供給装置1bは、画像形成装置において現像器4bのデッキ41b上に装着される。装着された段階では収容器2bの開口部20bは開けられていない。ユーザは、
図6に示したハンドル21bを掴んで現像剤供給装置1bを
図8の矢印D4方向に回転させる。このとき、収容器2bは回転する。すなわち、収容器2bの姿勢が変化する。そして、収容器2bの外側に設けられた開閉部材3bがデッキ41bに設けられた、例えば突起(図示せず)などに掛かり押しとどめられるので、開閉部材3bは、収容器2bから見て相対的に矢印D5方向に移動させられる。これにより、開閉部材3bは移動し、開口部20bを開ける。現像剤供給装置1bを載せたデッキ41bには現像剤を受入れる受入口40bが設けられており、開口部20bが開閉部材3bによって開けられたとき、この開口部20bは、この受入口40bに対向する位置に配置される。
【0035】
図9は、開閉部材3bが開口部20bを開閉する動作を示す図である。現像剤供給装置1bが画像形成装置に装着された段階で、開閉部材3bは現像器4bの上面であるデッキ41bに設けられた突起などに掛かって固定されている。そして、
図9(a)に示すように、固定された開閉部材3bの先端部P3bは、受入口40bの矢印D5方向側の縁部P4bよりも矢印D4方向に突出している。
【0036】
ユーザが
図1に示したハンドル21bなどを操作して、現像剤供給装置1bを矢印D4方向に回転させると、開閉部材3bがデッキ41bによって押しとどめられたまま、シール5bおよび収容器2bが矢印D4方向に回転し、
図9(b)に示すように、開口部20bが開けられる。これにより、収容器2bに収容された現像剤は、開口部20bおよび受入口40bを介して現像器4bに落下する。
【0037】
また、ユーザが
図1に示したハンドル21bなどを操作して、現像剤供給装置1bを矢印D5方向に回転させると、開閉部材3bがデッキ41bによって押しとどめられたまま、シール5bおよび収容器2bが矢印D5方向に回転し、
図9(a)に示すように、開口部20bが閉ざされる。
【0038】
以上のようにこの変形例の画像形成装置においても、開口部20bが少しでも開けられて、現像剤が供給され得る状態になっているときには必ず、開閉部材3bの先端部P3bが、受入口40bの矢印D5方向側の縁部P4よりも矢印D4方向、すなわち、現像剤の供給される通路側に突出しているので、開閉部材3bは、受入口40bの一部に重なった状態を維持している。したがって、供給される現像剤によって、現像器4bの表面が汚される可能性が低減される。
【0039】
2−2.変形例2
上述した実施形態および変形例において、開口部は矩形であったが、矩形以外の形状であってもよい。例えば、多角形や扇型、楕円などであってもよい。要するに開口部は、現像器における現像剤の受入口の一部に重なった状態の開閉部材によって開けられ、開けられている間は、その開閉部材が受入口の一部に重なった状態を維持するものであれば、どのような形状であってもよい。
【0040】
2−3.変形例3
上述した実施形態および変形例において、収容器の筐体は円筒状であったが、円筒状以外の形状であってもよい。