(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの一方に形成された一次側空間に圧縮エアを供給する給気用電磁弁及び前記一次側空間の圧縮エアを排気する排気用電磁弁とを有し、出力側の圧力に基づいて前記給気用電磁弁及び前記排気用電磁弁を制御する空気ばね圧調整部と、前記ダイヤフラムにより作動され出力側と入力側とを接続するパイロット式開閉弁と、前記ダイヤフラムにより作動され前記ダイヤフラムの他方に形成され出力側に連通する二次側空間を大気側に連通する排気弁とを備えた電空レギュレータによって、エア供給源から緯入れ用ノズルに供給する圧縮エアの緯入れ圧力を目標圧力に制御するエアジェット織機の圧縮エア圧力制御装置において、
前記給気用電磁弁の作動開始タイミングを決定する前記緯入れ圧力の下限圧力を、前記エアジェット織機の起動後、1回目の緯入れ終了時の前記緯入れ圧力より低く設定したことを特徴とするエアジェット織機おける圧縮エア圧力制御装置。
前記下限圧力は、前記エアジェット織機の起動後、2回目の緯入れ終了時の前記緯入れ圧力より高く設定したことを特徴とする請求項1に記載のエアジェット織機おける圧縮エア圧力制御装置。
前記排気用電磁弁の作動開始タイミングを決定する前記緯入れ圧力の上限圧力は、前記目標圧力と前記下限圧力との差分を前記目標圧力に加えた圧力に設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機おける圧縮エア圧力制御装置。
【背景技術】
【0002】
エアジェット織機においては、エア供給源から供給される高圧の圧縮エアをレギュレータにより緯入れに適した緯入れ圧力に減圧し、メインノズル及びサブノズルに供給している。近年のエアジェット織機では、例えば、毎分1000回転以上の高速運転が行われるため、緯入れ圧力を制御するレギュレータが高速運転に対応できるように、従来の手動式あるいはモータ式レギュレータから、例えば、特許文献1に開示されている電空レギュレータを採用するようになった。
【0003】
特許文献1では、電空レギュレータについて次のように開示している。流体噴射式織機には、緯入れ時の緯糸搬送に最適な流体圧力を設定するために、流体圧力供給側に圧力調整弁が設けられている。圧力調整弁には、自動制御により織機運転中に圧力制御を行い、常時最適な緯糸搬送状態にするため、圧力センサー内蔵の電気式圧力調整弁を用いる場合が多い。電気式圧力調整弁は、圧力センサーにより出力側圧力を検知して入力側の背圧室にフィードバックし、入力側圧力と出力側圧力との差を利用し、ダイヤフラムを介して調整弁の開度を調整し、設定圧力値通りの出力側圧力を実現するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアジェット織機では、緯入れにより圧縮エアが消費されるため、緯入れ毎に緯入れ圧力が低下する。緯入れ圧力の低下を圧力センサーで検知すると、電空レギュレータの背圧室フィードバック制御が作動し、入力側の圧縮エアを速やかに出力側へ供給する。このため、特許文献1に開示される電空レギュレータは単純に計算して、毎分1000回背圧室フィードバック制御を作動させる。従って、電空レギュレータが緯入れ毎に背圧室フィードバック制御を実行するために、緯入れ圧力がオーバーシュートを繰り返し易く、緯入れに適した設定圧力に収束させることが困難となる。
【0006】
緯入れ圧力の変動は、緯糸がメインノズルと反対側の所定の位置に達する緯糸到達タイミングのばらつきを発生させ、緯入れ不良の原因となる。緯糸到達タイミングのばらつきに起因する緯入れ不良の発生は、織物品質を低下するとともに、エアジェット織機の稼働率を低下する。また、エアジェット織機では、電空レギュレータの作動回数が極端に多くなり、電空レギュレータの寿命を大幅に低下させる問題がある。
【0007】
本願発明は、電空レギュレータを用いたエアジェット織機における圧縮エアの緯入れ圧力の変動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1は、ダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの一方に形成された一次側空間に圧縮エアを供給する給気用電磁弁及び前記一次側空間の圧縮エアを排気する排気用電磁弁とを有し、出力側の圧力に基づいて前記給気用電磁弁及び前記排気用電磁弁を制御する空気ばね圧調整部と、前記ダイヤフラムにより作動され出力側と入力側とを接続するパイロット式開閉弁と、前記ダイヤフラムにより作動さ
れ前記ダイヤフラムの他方に形成され出力側に連通する二次側空間を大気側に連通する排気弁とを備えた電空レギュレータによって、エア供給源から緯入れ用ノズルに供給する圧縮エアの緯入れ圧力を目標圧力に制御するエアジェット織機の圧縮エア圧力制御装置において、前記給気用電磁弁の作動開始タイミングを決定する前記緯入れ圧力の下限圧力を、前記エアジェット織機の起動後、1回目の緯入れ終了時の前記緯入れ圧力より低く設定したことを特徴とする。
【0009】
請求項1によれば、電空レギュレータの給気用電磁弁の作動タイミングを決定する下限圧力を適切に設定することにより、緯入れ圧力のオーバーシュートを防止し、緯入れ圧力の変動を抑制することができる。緯入れ圧力の変動の減少により、安定した緯糸飛走を実現できるため、緯糸の到達タイミングのばらつきに起因する緯入れ不良の発生を減少し、織物品質やエアジェット織機の稼働率を向上することができる。また、電空レギュレータの給気用電磁弁や排気用電磁弁の動作回数が減少するため、電空レギュレータの寿命を高めることができる。
【0010】
請求項2は、前記下限圧力は、前記エアジェット織機の起動後、2回目の緯入れ終了時の前記緯入れ圧力より高く設定したことを特徴とする。請求項2によれば、電空レギュレータの給気用電磁弁による緯入れ毎に生じる圧力制御や、圧力制御の開始遅れを防止し、最適な圧力制御タイミングと圧力制御回数を得ることができる。
【0011】
請求項3は、前記排気用電磁弁の作動開始タイミングを決定する前記緯入れ圧力の上限圧力は、前記目標圧力と前記下限圧力との差分を前記目標圧力に加えた圧力に設定することを特徴とする。請求項3によれば、エアジェット織機の起動時の1回目及び2回目の緯入れ以外は、緯入れに伴う緯入れ圧力の変動幅を下限圧力と上限圧力の間に収めることができ、安定した緯入れを行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、電空レギュレータを用いたエアジェット織機における緯入れ圧力の変動を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明における圧縮エア圧力制御装置の実施形態を
図1〜
図5に基づいて説明する。
図1は、エアジェット織機1の緯入れ装置における圧縮エアの配管系2をブロック図で示したものである。織布工場内に設置されたエア供給源3は、エアコンプレッサー及びドライヤー等の関連機器(図示せず)から構成され、配管4により圧縮エアをエアジェット織機1に供給している。配管4はエアジェット織機1に設けられた元圧開閉弁5を介してエアジェット織機1の配管6と接続している。元圧開閉弁5はエアジェット織機1への圧縮エアの供給、又は停止を行うことができる。
【0015】
配管6は、フィルタ7を介して、圧力計8に接続する。圧力計8は、エア供給源3から供給される圧縮エアの元圧力を計測する。元圧力は、エアジェット織機1の緯入れに使用する緯入れ圧力よりも高圧で供給されるように設定されている。圧力計8に接続した配管6は、電空レギュレータ9を介してメインエアタンク10と接続する。また、電空レギュレータ9とメインエアタンク10とを接続する配管6には、圧力計11が設けられている。
【0016】
電空レギュレータ9は、圧縮エアの元圧力を予め設定されている緯入れに適した緯入れ圧力に制御する。緯入れ圧力に制御された圧縮エアは、メインエアタンク10に供給され、貯蔵される。なお、緯入れ圧力は、元圧力より低圧に設定されている。圧力計11は、メインエアタンク10に貯留される圧縮エアの圧力、すなわちメインノズル圧力(緯入れ圧力)を計測し、メインノズル圧力が設定された圧力に制御されているか否かをチェックすることができる。メインエアタンク10は、配管6によりメインエアバルブ12を介してメインノズル13(緯入れ用ノズル)と接続されている。メインエアバルブ12は、開弁動作により圧縮エアをメインノズル13に供給し、閉弁動作によりメインノズル13への圧縮エアの供給を停止する。
【0017】
圧力計8と電空レギュレータ9とを接続する配管6から分岐された配管14は、絞り弁15を介してメインエアバルブ12とメインノズル13とを接続する配管6に接続し、微風回路16を構成している。従って、絞り弁15により調整された微量の圧縮エアは、緯入れ停止中に常時メインノズル13に供給されている。メインノズル13は、緯入れ停止中に、常時微風を噴射することにより、緯入れ後の緯糸先端を安定した状態で保持する。
【0018】
一方、圧力計8と電空レギュレータ9とを接続する配管6からさらに分岐された配管17は、電空レギュレータ9と同一の構造、機能を有する電空レギュレータ18を介してサブエアタンク19に接続する。また、電空レギュレータ18とサブエアタンク19とを接続する配管17には、圧力計20が設けられている。電空レギュレータ18は、エア供給源3から供給された圧縮エアの元圧力を緯入れに適したサブノズル圧力(緯入れ圧力)に制御する。このため、サブエアタンク19には、サブノズル圧力に制御された圧縮エアが貯蔵される。なお、サブノズル圧力は、メインノズル圧力と同一に設定されている。
【0019】
サブエアタンク19は、緯入れ方向に沿って配設された4つのサブエアバルブ21にそれぞれ配管17によって接続される。緯入れ方向に4つの群に分割されたサブノズル群22は、それぞれ複数本のサブノズル(緯入れ用ノズル)を備え、各サブエアバルブ21は各サブノズル群22の各サブノズルに配管17によって接続される。従って、各サブノズル群22には、各サブエアバルブ21の作動によりサブエアタンク19から設定されたサブノズル圧力の圧縮エアが供給され、緯入れが行われる。
【0020】
圧力計8、11、20はファンクションパネル23を備えた制御装置24に電気的に接続され、計測した圧縮エアの元圧力、メインノズル圧力、サブノズル圧力のデータを制御装置24に送信している。制御装置24には、圧力計8、11、20から送信されるデータや設定値等を記憶する記憶部(図示せず)及び元圧力、メインノズル圧力、サブノズル圧力のデータを基に各種計算を行う演算部(図示せず)が備えられる。
【0021】
また、制御装置24には、電空レギュレータ9及び電空レギュレータ18に対して、電力供給を制御するプログラム(図示せず)及び圧力制御を指令するプログラム(図示せず)が記憶されている。なお、制御装置24は、エアジェット織機1を運転するために必要な各種プログラムを備え、緯入れ時にメインエアバルブ12及びサブエアバルブ21に信号を送信し、緯入れ動作の開始及び停止を制御する。
【0022】
電空レギュレータ9及び電空レギュレータ18は、同一構造を有している。従って、本実施形態は、電空レギュレータ9の構成を
図2に基づいて詳細に説明する。電空レギュレータ9は、空気ばね圧調整部25、パイロット式開閉弁26、排気弁27、給気用電磁弁28及び排気用電磁弁29から構成されている。空気ばね圧調整部25は、筺体内に配設されたダイヤフラム30とダイヤフラム30の一方に形成された一次側空間31、他方に形成された二次側空間32とを備えている。ダイヤフラム30は、一次側空間31内の圧力及び二次側空間32内の圧力の差により、一次側空間31側あるいは二次側空間32側に変位される。
【0023】
一次側空間31は、管路33を介して給気用電磁弁28及び排気用電磁弁29に接続されている。給気用電磁弁28及び排気用電磁弁29は、それぞれ制御装置24に電気的に接続され、制御装置24からの指令により開閉動作を行う。給気用電磁弁28は、管路34を介してエア供給源3に接続する配管6に接続されている。従って、給気用電磁弁28が開弁した時、元圧力の圧縮エアは管路33を介して一次側空間31に供給される。排気用電磁弁29は、外部に開放された排気口35を備え、排気用電磁弁29が開弁した時、一次側空間31内の圧縮エアが排気口35から外部に放出される。
【0024】
パイロット式開閉弁26は、エア供給源3側の配管6に接続する入口36と、メインエアタンク10側の配管6に接続する出口37とを備えている。また、パイロット式開閉弁26は、空気ばね圧調整部25のダイヤフラム30に連結されているため、ダイヤフラム30の変位により開閉動作を行う。例えば、パイロット式開閉弁26は、一次側空間31が二次側空間32より高圧になると開弁し、二次側空間32が一次側空間31とバランス状態にあるか、高圧状態になると閉弁する。パイロット式開閉弁26の開弁時には、エア供給源3側の高圧の圧縮エアがメインエアタンク10側に供給される。なお、パイロット式開閉弁26の出口37に接続する配管6は、管路38によって二次側空間32と連通している。
【0025】
排気弁27は、二次側空間32に連通する管路39と大気側に連通する排気口40とを備え、パイロット式開閉弁26と同様にダイヤフラム30の変位により開閉動作を行う。例えば、排気弁27は、一次側空間31が二次側空間32とバランス状態にあるか、高圧状態になると閉弁する。二次側空間32が一次側空間31より高圧になると、排気弁27がダイヤフラム30の変位により開弁される。従って、二次側空間32内の圧縮エア、即ち、パイロット式開閉弁26の出口37側の圧縮エアが、管路38、二次側空間32及び管路39を介して排気口40から放出される。
【0026】
図3において、電空レギュレータ9の圧力制御に関する設定値について説明する。メインエアタンク10に貯留される圧縮エアのメインノズル圧力の目標圧力PTは予め設定され、制御装置24に記憶されている。従って、電空レギュレータ9は、メインノズル圧力が目標圧力PTとなるように圧力制御を行う。また、メインノズル圧力に対して、給気用電磁弁28の作動開始タイミングを決定する下限圧力PL及び排気用電磁弁29の作動開始タイミングを決定する上限圧力PUが設定され、制御装置24に記憶されている。
【0027】
下限圧力PLは、エアジェット織機1の起動後、1回目の緯入れ終了時のメインノズル圧力P1より低い圧力で、2回目の緯入れ終了時のメインノズル圧力P2よりも高い圧力となるように設定されている。本実施形態では、下限圧力PLは、緯入れ圧力P1と緯入れ圧力P2との中間となる圧力に設定されている。また、上限圧力PUは、目標圧力PTと下限圧力PLとの差分を目標圧力PTに加えた圧力に設定されている。
【0028】
下限圧力PLが、例えば、エアジェット織機1の起動後、1回目の緯入れ終了時のメインノズル圧力P1より高い圧力に設定された場合、緯入れ時のメインノズル圧力の低下中に、給気用電磁弁28及び排気用電磁弁29が作動するため、頻繁に圧力制御が行われ、好ましくない。即ち、給気用電磁弁28は緯入れ毎に作動し、給気用電磁弁28の圧力制御に伴うオーバーシュートにより、排気用電磁弁29が緯入れ毎に作動する。このため、圧力制御が頻繁に行われる結果、メインノズル圧力を目標圧力PTに収束できない恐れがある。給気用電磁弁28及び排気用電磁弁29は、頻繁に作動することにより、部品損傷を生じる恐れがある。
【0029】
また、下限圧力PLが、例えば、エアジェット織機1の起動後、2回目の緯入れ終了時のメインノズル圧力P2より低い圧力に設定された場合、3回目又は3回目以降の緯入れによるメインノズル圧力の低下で給気用電磁弁28が作動する形態となる。このため、圧力制御の開始が遅くなり、エアジェット織機1の起動後におけるメインノズル圧力の低下が大きく、緯入れ不良を発生する恐れがある。
【0030】
以下、
図3〜
図5に基づき、電空レギュレータ9によるメインノズル圧力の制御について説明する。エアジェット織機1が起動されると、圧力計11は電空レギュレータ9より下流側の圧縮エアの圧力(メインノズル圧力)を検出し、検出した圧力データを制御装置24に送信する。
図3に示すように、エアジェット織機1の起動後、1回目の緯入れが開始され、メインノズル圧力が低下するが、緯入れ終了時のメインノズル圧力P1は、下限圧力PLまで、低下していないため、制御装置24は電空レギュレータ9における給気用電磁弁28の開弁制御のための作動指令を発信しない。
【0031】
従って、電空レギュレータ9では、
図4に示すように、給気用電磁弁28及び排気用電磁弁29が閉弁状態に維持されるが、空気ばね圧調整部25の二次側空間32内の圧力はメインノズル圧力の変動により低下する。このため、ダイヤフラム30は、一次側空間31内の圧力により二次側空間32側へ、仮想線位置から実線位置へ変位され、パイロット式開閉弁26を開弁する。パイロット式開閉弁26の開弁により、エア供給源3側の高圧の圧縮エアが出口37からメインエアタンク10側の配管6へ供給され、メインノズル圧力を高める。しかし、エアジェット織機1の起動時は、一次側空間31内の圧力が十分に高く無く、ダイヤフラム30が大きく変位されないため、メインノズル圧力を目標圧力PTにまで高めることはできない。
【0032】
2回目の緯入れは、
図3に示すように、1回目の緯入れにより低下したメインノズル圧力が目標圧力PTにまで昇圧されていない状態で、開始されるため、メインノズル圧力は再度低下し、2回目の緯入れ中に、A点の位置で下限圧力PLを下回り、緯入れ終了時にはさらに低下した状態にある。制御装置24では、圧力計11から送信されるメインノズル圧力の検出データを、記憶された下限圧力PLと常時比較している。制御装置24は、検出されたメインノズル圧力が下限圧力PLを下回ったことを認識すると、電空レギュレータ9の給気用電磁弁28に作動指令を発信する。
【0033】
図5に示すように、給気用電磁弁28は、制御装置24からの指令により、ソレノイドが励磁されて下方に作動し、開弁する。エア供給源3側の高圧の圧縮エアは、管路34、給気用電磁弁28及び管路33を介して空気ばね圧調整部25の一次側空間31内に供給される。一次側空間31内の圧力は、高圧の圧縮エアの流入により昇圧し、ダイヤフラム30を仮想線位置から実線位置へ変位してパイロット式開閉弁26を開弁する。
【0034】
このため、エア供給源3側の高圧の圧縮エアがパイロット式開閉弁26の入口36及び出口37を介してメインエアタンク10側の配管6に供給され、メインノズル圧力を高める。給気用電磁弁28の作動は、制御装置24からの指令により作動する回数あるいは時間が予め定められている。メインノズル圧力は一旦、2回目の緯入れ終了時のメインノズル圧力P2まで低下するが、その後、給気用電磁弁28の作動により急速に昇圧される。但し、メインノズル圧力は、上限圧力PUに達するほど高められることが無く、次の3回目の緯入れが開始される。
【0035】
3回目の緯入れ終了時のメインノズル圧力は、給気用電磁弁28の作動により昇圧された後であるため、下限圧力PLを下回ることが無く、制御装置24は給気用電磁弁28の作動指令信号を発信しない。電空レギュレータ9では、
図5に示すように、給気用電磁弁28及び排気用電磁弁29は閉弁しているが、3回目の緯入れ終了時におけるメインノズル圧力の低下により、二次側空間32内の圧力が低下する。このため、ダイヤフラム30は、一次側空間31の圧力により、仮想線位置から実線で示した二次側空間32側の位置へ変位される。
【0036】
ダイヤフラム30の変位により、パイロット式開閉弁26が開弁し、エア供給源3側の高圧の圧縮エアがメインエアタンク10側に供給され、メインノズル圧力が昇圧される。3回目の緯入れ終了時では、給気用電磁弁28の作動後であるため、一次側空間31内の圧力が十分に高められている。このため、ダイヤフラム30は大きく変位され、高圧の圧縮エアの供給量が十分になり、メインノズル圧力は目標圧力PTに達する程度にまで、昇圧される。従って、3回目以降の緯入れ終了によるメインノズル圧力の低下は、メインノズル圧力の変動によるダイヤフラム30の変位により制御され、目標圧力PT付近に収束した状態でのメインノズル圧力の変動を維持することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、上限圧力PUは、目標圧力PTとの圧力差を下限圧力PLと同一に設定されているが、圧力差を同一にする必要は無い。例えば、上限圧力PUは、エアジェット織機1の通常運転中(起動後、3回目の緯入れ終了時以降)に制御されているメインノズル圧力の昇圧値より高い圧力に設定すれば十分である。また、本実施形態では、エアジェット織機1の運転中、メインノズル圧力が目標圧力PT付近に収束されているため、上限圧力PUは設定しなくてもよい。また、本実施形態では、電空レギュレータ9について説明したが、サブエアタンク19に接続する電空レギュレータ18においても、電空レギュレータ9と同様に、サブノズル圧力の制御が行われる。
【0038】
本実施形態は、エアジェット織機1の起動後における1回目の緯入れ終了時の緯入れ圧力より低くなるように、下限圧力PLを設定したことにより、電空レギュレータ9、18の給気用電磁弁28や排気用電磁弁29の作動回数を必要最小限に抑えることができる。また、エアジェット織機1の運転中は、緯入れによる緯入れ圧力の低下を利用してダイヤフラム30を変位し、緯入れ圧力の制御を行うため、給気用電磁弁28や排気用電磁弁29の作動を必要としない。このため、本実施形態は、緯入れ圧力の大きな変動を抑制し、緯入れ圧力を目標圧力PT付近に収束して安定化させることができるとともに給気用電磁弁28や排気用電磁弁29の作動回数を減らし、電空レギュレータ9、18の寿命を高めることができる。
【0039】
本願発明は、前記した実施形態の構成に限定されるものではなく、本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0040】
(1)本実施形態において、下限圧力PLは、エアジェット織機1の起動後、1回目の緯入れ終了時の緯入れ圧力P1と2回目の緯入れ終了時の緯入れ圧力P2との中間の圧力で設定しているが、緯入れ圧力P1と緯入れ圧力P2との間の圧力であれば、自由に設定することができる。
(2)本願発明は、メインノズル13の上流側に緯糸を牽引するタンデムノズルを配置したエアジェット織機や、メインノズル13を複数設けた多色用エアジェット織機において実施することができる。