特許第6119673号(P6119673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119673
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20170417BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H01R13/24
   H01R13/74 A
   H01R13/74 K
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-115534(P2014-115534)
(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公開番号】特開2015-230780(P2015-230780A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椋野 潤一
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 勝彦
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−022871(JP,A)
【文献】 特開2007−188675(JP,A)
【文献】 特開2009−070656(JP,A)
【文献】 特開2000−048884(JP,A)
【文献】 実開平07−018367(JP,U)
【文献】 特開2006−164682(JP,A)
【文献】 実開平02−039483(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース壁を有し、内部に機器側端子を備えた機器ケースに取り付けられるコネクタであって、
開口面を有し、前記開口面に開口するばね収容部を有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに固定されて前記ケース壁に取り付けられる固定プレートと、
前記コネクタハウジングの前記開口面と前記ケース壁との間で挟持されるシール部材と、
前記ばね収容部の内部に配置されるばね部材と、を備え
前記ばね部材が、
前記コネクタハウジングに支持される支持部と、
前記開口面側に凸となるように湾曲し、凸形状の頂部が前記機器側端子と当接する接点部とされた弾性変形部とを備え、
前記弾性変形部が、前記支持部に連なる側から前記接点部をまたいで反対側に向かって延びるスリットを有しているコネクタ。
【請求項2】
前記固定プレートを前記ケース壁に向かって押圧しつつ固定する固定部材を備える、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド車に搭載されたモータ、インバータ等の機器に電線を接続するためのコネクタとして、電線の端末部をハウジングで保持し、ハウジングを機器のケースに固定し、電線の端末に固着した電線側端子を、ケース内の機器側端子に接続する構造のものがある。電線側端子と機器側端子との接続構造の一例としては、機器側端子に対して電線側端子を重ね合わせ、両端子をボルト締めにより固定するものがある(例えば、特開2009−272132号公報を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−272132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成では、ボルトを配置するスペース、および、ボルトの締結作業を行うためのスペースを確保する必要があるため、コネクタが大型化する傾向にある。また、部品点数が増加し、製造工程が複雑化するために、コストが増大する傾向にある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化や製造コストの削減が可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケース壁を有し、内部に機器側端子を備えた機器ケースに取り付けられるコネクタであって、開口面を有し、前記開口面に開口するばね収容部を有するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに固定されて前記ケース壁に取り付けられる固定プレートと、前記コネクタハウジングの前記開口面と前記ケース壁との間で挟持されるシール部材と、前記ばね収容部の内部に配置されるばね部材とを備え、前記ばね部材が、前記コネクタハウジングに支持される支持部と、前記開口面側に凸となるように湾曲し、凸形状の頂部が前記機器側端子と当接する接点部とされた弾性変形部とを備え、前記弾性変形部が、前記支持部に連なる側から前記接点部をまたいで反対側に向かって延びるスリットを有している。
【0007】
上記の構成によれば、ばね部材は、ばね性を有し、相手側の部材である機器側端子が接点部に押し付けられることにより、接点部から支持部に向かう方向に撓みつつ、機器側端子に対して弾性的に当接する。したがって、機器側端子を、コネクタが機器ケースに取り付けられた状態でばね部材が機器側端子に押し付けられる位置に配置しておけば、ばね部材を、そのばね性によって機器側端子と接続させることができる。特に、弾性変形部にスリットを設けておくことにより、弾性変形部の剛性を低下させ、ばね部材に対し、機器側端子との接続を確保するために十分なばね性を付与することができる。
【0008】
これにより、コネクタの端子と機器側端子とを接続するためのボルトが不要となり、ボルトの締結作業も不要となる。さらに、ボルトを配置するスペース、および、ボルトの締結作業を行うためのスペースも不要となる。これにより、コネクタの小型化が可能となり、部品削減および製造工程の削減によるコスト低減が可能となる。
【0009】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
コネクタが、前記固定プレートを前記ケース壁に向かって押圧しつつ固定する固定部材を備えていてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、固定プレートが固定部材によってケース壁に向かって押圧されつつ固定されることに伴い、ばね部材が機器側端子に向かって押し付けられる。つまり、コネクタの取り付けの際に固定プレートがボルトによって機器ケースに押圧される方向と、ばね部材が機器側端子に向かって押し付けられる方向が同じであるので、コネクタを機器ケースに取り付ける作業によって、ばね部材と機器側端子とを弾性的に当接させ、両者を接続させることができる。これにより、製造工程のさらなる簡略化が可能となり、コスト低減が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型化や製造コストの削減が可能なコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のコネクタの斜視図
図2】実施形態のコネクタの正面図
図3】実施形態のコネクタの側面図
図4図2のA−A線断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図1図4を参照しつつ説明する。本実施形態のコネクタは、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載され、モータ、インバータ等の機器を収容する機器ケース70に取り付けられるシールドコネクタ10である。
【0015】
[機器ケース70]
機器ケース70は、電磁的なシールド機能を備える金属製の箱であって、図4に示すように、機器を収容する内部空間と外部空間とを隔てるケース壁71を有している。ケース壁71は、装着孔72を有している。装着孔72は、ケース壁71のケース内側を向く壁面からケース外側を向く壁面まで貫通する貫通孔である。機器ケース70の内部には、機器に接続された複数の機器側端子73が配置されている。各機器側端子73は、装着孔72の配置位置よりも機器ケース70の内側に引っ込んだ位置に配置されている。
【0016】
[端子付き電線80]
端子付き電線80は、図4に示すように、電線81と電線側端子82とを備えている。電線81は、詳細には図示しないが、芯線と、芯線の外周を被覆する絶縁被覆とを備える、一般的な構成のものである。電線側端子82は、電線81の端末に接続された端子である。電線側端子82は、金属製であって、その一端部が絶縁被覆の端末から露出する芯線に圧着されている。
【0017】
[シールドコネクタ10]
シールドコネクタ10は、機器ケース70に取り付けられるコネクタである。シールドコネクタ10は、図1に示すように、コネクタハウジング20(以下、「ハウジング20」と略記する)と、シール部材40と、固定プレート50と、複数のばね部材60とを備えている。ハウジング20は、複数のばね部材60と、複数の端子付き電線80とを保持する部材である。シール部材40は、ハウジング20に装着されて、ハウジング20とケース壁71との間をシールする部材である。固定プレート50は、ハウジング20に固定されて、ボルトB(固定部材に該当)によって機器ケース70に取り付けられる部材である。ばね部材60は、端子付き電線80と接続され、シールドコネクタ10が機器ケース70に取り付けられた状態で、機器側端子73と導通する部材である。
【0018】
(ハウジング20)
ハウジング20は、合成樹脂製であって、内部にばね部材60が配置されるフード部21と、固定プレート50を保持するプレート保持部26と、複数の端子付き電線80をそれぞれ保持する複数の電線保持部28と、ばね部材60を保持する複数の第1ばね保持部30および複数の第2ばね保持部32とを備えている。
【0019】
フード部21は、両端が開口した筒状の部分であって、図1および図2に示すように、角部が丸められた細長い長方形の断面を有し、互いに略平行に配置される2つの長壁22A、22Bと、2つの長壁22A、22Bの端縁同士をそれぞれ繋ぐ2つの短壁23とを有している。フード部21は、図4に示すように、筒の軸方向がケース壁71に対して垂直となる向きで配置される。フード部21の両端の開口面のうち一方の開口面は、ケース壁71と対向して、ケース壁71と平行に配置される対向面24である。フード部21の内部空間は、ばね部材60を収容するばね収容部25となっている。
【0020】
プレート保持部26は、フード部21の外周面から外に向かって突出するリブ状の部分である。プレート保持部26は、図1に示すように、フード部21の外周面の全周にわたって配置されており、図4に示すように、フード部21の両端のうち対向面24側の端部に位置している。プレート保持部26は、プレート保持溝27を有している。プレート保持溝27は、図4に示すように、プレート保持部26の外周面を基準として内側に(筒の中心に向かって)凹む溝であって、プレート保持部26の全周にわたって配置されている。
【0021】
複数の電線保持部28のそれぞれは、図4に示すように、長壁22Aから外側に向かって垂直に延びる円筒状の部分である。複数の電線保持部28は、図1および図2に示すように、2つの長壁22A、22Bのうち一方の長壁22Aに、フード部21の周方向に沿って並列して配置されており、図4に示すように、プレート保持部26に対して対向面24とは反対側に位置している。各電線保持部28の内部に、各電線81の端部と、電線側端子82とが配置されている。
【0022】
複数の第1ばね保持部30および複数の第2ばね保持部32のそれぞれは、図4に示すように、フード部21の内周面からばね収容部25内に(筒の中心に向かって)突出するリブ状の部分である。複数の第1ばね保持部30は、フード部21の一方の長壁22Aに、フード部21の周方向に沿って並列して配置されており、複数の第2ばね保持部32は、他方の長壁22Bに、フード部21の周方向に沿って並列して配置されている。第1ばね保持部30と第2ばね保持部32とは、図2に示すように、それぞれ1つずつが互いに対となり、向かい合って配置されている。
【0023】
各第1ばね保持部30は、図4に示すように、ばね保持孔31を有している。ばね保持孔31は、第1ばね保持部30の内側面(フード部21の内周面と平行な面)からフード部21の外周面まで貫通する孔であって、電線保持部28の内部空間に連通している。
【0024】
各第2ばね保持部32は、図4に示すように、ばね保持溝33を有している。ばね保持溝33は、第2ばね保持部32の内側面(フード部21の内周面と平行な面)を基準として外側に(フード部21の外周面に向かって)凹む溝である。
【0025】
フード部21は、シール部材40を装着するための装着溝29を有している。装着溝29は、図4に示すように、対向面24を基準として、フード部21の他方の端面に向かって凹む溝であって、対向面24の全周にわたって配置されている。
【0026】
(シール部材40)
シール部材40は、ゴムなどの弾性部材により形成された部材であって、図1および図2に示すように、角部が丸められた細長い長方形の環である。シール部材40は、装着溝29の内部に配設される。シール部材40の厚さは、図4に示すように、装着溝29の深さよりも大きくされており、シール部材40は、その一部が装着溝29からケース壁71に向かって少しはみ出した状態で配置される。シール部材40は、シールドコネクタ10が機器ケース70に取り付けられる際に、ハウジング20とケース壁71との間で挟み付けられて、ハウジング20とケース壁71との間をシールする役割を果たす。
【0027】
(固定プレート50)
固定プレート50は、金属製であって、図1および図2に示すように、全体として長方形の板である。固定プレート50を構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、ステンレス等、必要に応じて任意の金属から適宜に選択することができる。
【0028】
固定プレート50は、図1および図4に示すように、主板51と、フード取付孔52と、4つのボルト挿通孔53と、補強壁54とを有している。主板51は、全体として長方形の金属板であって、2つの長辺と、2つの長辺間をそれぞれ連結する2つの短辺とを有している。フード取付孔52は、主板51の一方の板面から他方の板面まで貫通する、孔縁が略楕円形の貫通孔である。4つのボルト挿通孔53は、シールドコネクタ10を機器ケース70に固定するためのボルトBが挿通される孔であって、主板51の四隅に、フード取付孔52を取り囲んで配置されている。各ボルト挿通孔53は、主板51の一方の板面から他方の板面まで貫通する貫通孔である。
【0029】
固定プレート50は、図4に示すように、フード取付孔52の周辺部分がプレート保持溝27の内部に配置され、外周縁部を露出させた状態で、ハウジング20に固定されている。固定プレート50は、フード部21における筒の軸方向と垂直に(対向面24およびケース壁71と平行に)配置されている。
【0030】
補強壁54は、図1および図4に示すように、固定プレート50の2つの長辺のうち一方の長辺から、主板51に対して角度をなして立ち上がる壁である。補強壁54は、長辺の全長にわたって配置されている。補強壁54は、シールドコネクタ10が機器ケース70に取り付けられる際に、主板51が撓んでシール部材40とケース壁71との密着が確保できなくなることを防止するための部分である。
【0031】
(ばね部材60)
ばね部材60は、両端がハウジング20に支持される金属製の板ばねであって、弾性変形部61と、2つの支持部63、64とを備えている。
【0032】
弾性変形部61は、図1および図4に示すように、略U字状に湾曲した板状の部分である。2つの支持部63、64は、図4に示すように、弾性変形部61の両端から、それぞれ外側(互いに離間する方向)に向かって延びる板状の部分である。
【0033】
弾性変形部61は、図1および図4に示すように、対向面24の方を向く面が凸面となるように、つまり、機器ケース70の方を向く面が凸面となるようにして配置され、凸形状の頂上部分である接点部62とその近接部分がフード部21の外側へ突出し、その他の部分(支持部63、64に近接する部分)がフード部21の内部に位置している。接点部62は、シールドコネクタ10が機器ケース70に取り付けられた際に、機器側端子73と接触する部分である。
【0034】
2つの支持部63、64のうち一方は、第1支持部63であって、図4に示すように、ばね保持溝33の内部に固定されている。他方は、第2支持部64であって、図4に示すように、ばね保持孔31を貫通して配置されている。第2支持部64の先端部は、電線保持部28の内部に突出し、電線側端子82と接続されている。
【0035】
弾性変形部61は、図1および図2に示すように、複数のスリット65を有している。各スリット65は、弾性変形部61において、第1支持部63から第2支持部64に向かう方向に延び、接点部62をまたいで配置されている。各スリット65の両端のうち一方の端部は、弾性変形部61と第1支持部63との境界位置よりもやや接点部62に近接した位置にあり、他方の端部は、弾性変形部61と第2支持部64との境界位置よりもやや接点部62に近接した位置にある。複数のスリット65は、互いに平行に、かつ、一定の間隔を空けて並んでいる。これらのスリット65によって、弾性変形部61の接点部62が複数に分割されている。
【0036】
各弾性変形部61は、接点部62から支持部63、64に向かう方向に、つまり、固定プレート50の板面と交差方向に潰れるように撓むことが可能となっている。
【0037】
[シールドコネクタ10の機器ケース70への取り付け]
次に、シールドコネクタ10の機器ケース70への取り付け手順について説明する。まず、シールドコネクタ10を、固定プレート50がケース壁71と平行となり、対向面24がケース壁71の方を向く姿勢で、ケース壁71に取り付ける。このとき、シール部材40がケース壁71の外壁面において装着孔72の周縁部分に重なるようにする。ばね部材60は、接点部62とその近縁部分が装着孔72から機器ケース70の内部に進入し、機器側端子73と接触した状態となる(図4参照)。
【0038】
この状態で、固定プレート50を、ボルト挿通孔53に挿通されたボルトBを用いて機器ケース70に固定する。ボルトBは、外周面にねじが切られた軸部と、軸部の一端に配置されて軸部よりも大きな外径を有する頭部とを備える一般的な形状のものであって、詳細には図示しないが、機器ケース70に配置されたナット、あるいはねじ孔に対してねじ付けられる。ボルトBは、固定プレート50のケース壁71とは反対側の面(対向面24が配置されている側とは反対側の面)からボルト挿通孔53に挿通され(図1参照)、固定プレート50およびケース壁71に対して垂直方向に締め込まれる。この締め込みに伴い、固定プレート50がボルトBの頭部によってケース壁71に向かって押圧される。これに伴い、各弾性変形部61の接点部62が各機器側端子73に押し付けられ、各弾性変形部61が、接点部62から支持部63、64に向かう方向に撓みながら機器側端子73に弾性的に当接する(図4参照)。これにより、各ばね部材60と各機器側端子73とが電気的に接続される。
【0039】
[まとめ]
上記のように本実施形態によれば、シールドコネクタ10は、対向面24に開口するばね収容部25を有するハウジング20と、ハウジング20に固定されてケース壁71に取り付けられる固定プレート50と、ばね収容部25の内部に配置されるばね部材60とを備えている。ばね部材60は、ハウジング20に支持される第1支持部63および第2支持部64と、対向面24側が凸となるように湾曲し、凸形状の頂部である接点部62が機器側端子73と当接する接点部62とされた弾性変形部61とを備え、弾性変形部61が、第1支持部63および第2支持部64のうち一方に連なる側から接点部62をまたいで反対側に向かって延びるスリット65を有している。
【0040】
上記の構成によれば、ばね部材60は、ばね性を有しており、機器側端子73によって接点部62を押圧されることにより、接点部62から第1支持部63および第2支持部64に向かう方向に撓みつつ、機器側端子73に対して弾性的に当接する。したがって、機器側端子73を、シールドコネクタ10が機器ケース70に取り付けられた状態でばね部材60が機器側端子73に押し付けられる位置に配置しておけば、ばね部材60を、そのばね性によって機器側端子73と接続させることができる。特に、スリット65の存在により、弾性変形部61の剛性を低下させ、ばね部材60に対し、機器側端子73との接続を確保するために十分なばね性を付与することができる。
【0041】
これにより、電線側端子82と機器側端子73とを接続するためのボルトが不要となり、ボルトの締結作業も不要となる。さらに、ボルトを配置するスペース、および、ボルトの締結作業を行うためのスペースも不要となる。これにより、シールドコネクタ10の小型化が可能となり、部品削減および製造工程の削減によるコスト低減が可能となる。
【0042】
また、弾性変形部61がスリット65を有していることの効果として、上記したばね性の確保の他に、以下のような点が挙げられる。
【0043】
シールドコネクタ10が傾いて取り付けられた場合でも、接点部62においてスリット65により分割された各部分が独立して撓むため、弾性変形部61が機器側端子73に対して多接点で接触することができ、ばね部材60と機器側端子73との接続信頼性を高めることができる。さらに、接点部62と機器側端子73との間に異物が侵入しても、異物がスリット65の内部に逃げるから、ばね部材60と機器側端子73との接続不良を回避することができる。
【0044】
さらに、シールドコネクタ10は、ボルトBを備えており、このボルトBによって、固定プレート50がケース壁71に向かって押圧されつつ固定される。
【0045】
上記の構成によれば、固定プレート50がボルトBによってケース壁71に向かって押圧されつつ固定されることに伴い、ばね部材60が機器側端子73に向かって押圧されつつ当接する。つまり、シールドコネクタ10の取り付けの際に固定プレート50がボルトBによって機器ケース70に押圧される方向と、ばね部材60が機器側端子73に向かって押し付けられる方向が同じであるので、シールドコネクタ10を機器ケース70に取り付ける作業によって、ばね部材60と機器側端子73とを弾性的に当接させ、両者を接続させることができる。これにより、製造工程のさらなる簡略化が可能となり、コスト低減が可能となる。
【0046】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ばね部材60は弾性変形部61の一端に第1支持部63が、他端に第2支持部64が配置され、両端でハウジング20に支持されていたが、弾性変形部61の両端のうちどちらか一方に支持部が配置され、一方の端部でのみハウジングに支持されていても構わない。
【0047】
(2)上記実施形態では、弾性変形部61が複数のスリット65を有していたが、弾性変形部が1本のスリットを有するものであっても構わない。
【符号の説明】
【0048】
10…シールドコネクタ(コネクタ)
20…コネクタハウジング
24…対向面(開口面)
25…ばね収容部
50…固定プレート
60…ばね部材
61…弾性変形部
62…接点部(頂部)
63…第1支持部
64…第2支持部
65…スリット
B…ボルト(固定部材)
70…機器ケース
71…ケース壁
73…機器側端子
図1
図2
図3
図4