特許第6119703号(P6119703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6119703センサ装置、歪センサ装置、及び圧力センサ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119703
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】センサ装置、歪センサ装置、及び圧力センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20170417BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G01B7/16 Z
   G01L9/00 301G
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-180175(P2014-180175)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-53541(P2016-53541A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 健
(72)【発明者】
【氏名】濱松 伸到
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆司
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−129889(JP,A)
【文献】 特開2009−264976(JP,A)
【文献】 特開昭59−176639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00− 7/34
G01L 7/00−23/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に取り付けられる基板と、
前記基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成され、一端が前記基板に環状に接続される中間構造体と、
前記中間構造体の他端に接続され、前記中間構造体の変形を検出する検出素子と
を備え
前記中間構造体は、一端が開口され、中空構造を有し、円柱、角柱、円錐台、角錐台の何れかに形成される
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
測定対象物に取り付けられる基板と、
前記基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成され、一端が前記基板に環状に接続される中間構造体と、
前記中間構造体の他端に接続され、前記中間構造体の歪を検出する歪検出素子と
を備え
前記中間構造体は、一端が開口され、中空構造を有し、円柱、角柱、円錐台、角錐台の何れかに形成される
ことを特徴とする歪センサ装置。
【請求項3】
前記中間構造体の一端と前記基板との接続が、
ロウ付け、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、溶接接合の何れかで接合される
ことを特徴とする請求項2記載の歪センサ装置。
【請求項4】
前記中間構造体の他端と前記歪検出素子との接続が、
無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、陽極接合、金属拡散接合、常温直接接合の何れかで接合される
ことを特徴とする請求項2記載の歪センサ装置。
【請求項5】
前記中間構造体の他端の一部分のみが前記歪検出素子と接続される
ことを特徴とする請求項2記載の歪センサ装置。
【請求項6】
前記基板は、前記測定対象物の熱膨張係数と同等の熱膨張係数を有する材料で形成される
ことを特徴とする請求項2記載の歪センサ装置。
【請求項7】
前記基板の一方の面の全面が前記測定対象物に接合される
ことを特徴とする請求項5記載の歪センサ装置。
【請求項8】
前記基板は、前記測定対象物に対向する面に部分的に形成された足部を有し、
当該足部と前記測定対象物とが接合される
ことを特徴とする請求項5記載の歪センサ装置。
【請求項9】
前記歪検出素子が、半導体歪ゲージ又は振動式歪センサの何れか一方を備える
ことを特徴とする請求項2記載の歪センサ装置。
【請求項10】
前記基板、前記中間構造体、又は前記歪検出素子の何れかが、前記中間構造体の中空部に連通する連通孔を備える
ことを特徴とする請求項2記載の歪センサ装置。
【請求項11】
前記中間構造体は、前記基板に接続される一端の幅と、前記歪検出素子に接続される他端の幅とが異なるように形成される
ことを特徴とする請求項2記載の歪センサ装置。
【請求項12】
測定流体に連通する連通孔を備える基板と、
前記基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成され、一端が前記基板に環状に接続され、前記連通孔に連通する中空構造を有する中間構造体と、
前記中間構造体の他端に接続され、前記中間構造体の歪を検出する歪検出素子と
を備えることを特徴とする圧力センサ装置。
【請求項13】
前記中間構造体は、
一端が開口され、
円柱、角柱、円錐台、角錐台の何れかに形成される
ことを特徴とする請求項12記載の圧力センサ装置。
【請求項14】
前記中間構造体の一端と前記基板との接続が、
ロウ付け、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、溶接接合の何れかで接合される
ことを特徴とする請求項12記載の圧力センサ装置。
【請求項15】
前記中間構造体の他端と前記歪検出素子との接続が、
無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、陽極接合、金属拡散接合、常温直接接合の何れかで接合される
ことを特徴とする請求項12記載の圧力センサ装置。
【請求項16】
前記中間構造体の他端の一部分のみが前記歪検出素子と接続される
ことを特徴とする請求項12記載の圧力センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置、歪センサ装置、及び圧力センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の歪を測定するセンサ装置の代表的なものとして、歪ゲージ(ストレインゲージ)が挙げられる。この歪ゲージは、金属歪ゲージと半導体歪ゲージとに大別される。金属歪ゲージは、等方性導体である金属箔や細線等を用いた歪ゲージであり、半導体歪ゲージは、半導体のピエゾ抵抗効果(半導体の電気抵抗率が応力により変化する効果)を利用した歪ゲージである。この他に、半導体ウェハ上にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で振動子を作り込んだ振動式歪ゲージがある。この振動式歪ゲージは、振動子と、振動子の両端を固定する支持部と、支持部に歪を加えるための基材とを備えており、支持部の歪によって生ずる振動子の共振周波数の変化を検出することによって歪を検出するものである。
【0003】
金属歪ゲージのゲージ率(ゲージファクター)は、約1〜10程度であるのに対し、半導体歪ゲージのゲージ率は、〜100程度であって、振動式歪ゲージは、〜1000程度であり、歪感度は金属歪ゲージよりも半導体歪ゲージの方が高く、振動式歪ゲージは更に高い。このため、微小な歪を測定する場合には、金属歪ゲージよりも半導体歪ゲージが用いられることが多い。尚、測定対象物の歪が測定対象物に印加される圧力によって生ずる場合には、上記の歪ゲージは、測定対象物に印加される圧力を測定するために用いられることもある。
【0004】
上述した金属歪ゲージは、例えばポリイミド等の有機系接着剤を用いて測定対象物に貼り付けられた状態で用いられる。また、金属歪ゲージの温度誤差は、金属歪ゲージで用いられている等方性導体の熱膨張係数と測定対象物の熱膨張係数との差に起因して生ずることから、金属歪ゲージは、温度誤差を少なくするために、等方性導体の熱膨張係数が、測定対象物の熱膨張係数に近いものが使用される。
【0005】
以下の特許文献1には、半導体歪ゲージの従来例が開示されている。また、以下の特許文献2には、歪ゲージを用いて測定対象物に印加される圧力を測定する従来例が開示されている。また、以下の非特許文献1には、測定対象物に対して歪ゲージを接着する具体的な接着方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2002/035178号
【特許文献2】特許第4511844号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「ひずみゲージの接着法と防湿処理の一例」,[online],[平成26年8月12日検索],インターネット<http://www.kyowa-ei.com/jpn/technical/notes/bonding_procedure/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の通り、ポリイミド等の有機系接着剤を用いて金属歪ゲージが測定対象物に貼り付けられている場合には、金属歪ゲージと測定対象物との熱膨張係数の差によって有機系接着剤に応力が加わる。このため、温度変化が繰り返されて有機系接着剤に応力が繰り返し加わると、接着界面のずれや剥離が生じ易くなり、ドリフトやヒステリシスが生ずるという問題がある。近年、金属歪ゲージには数十年の長期に亘る使用が要求されているが、このようなドリフトやヒステリシスは、長期に使用される金属歪ゲージの測定結果を著しく悪化させることから生じないようにする必要がある。
【0009】
また、鋼材やコンクリート等に生ずる微小な歪を高い精度で測定するには、前述の通り、金属歪ゲージよりも歪感度の高い半導体歪ゲージを用いれば良いと考えられる。しかしながら、半導体歪ゲージは、鋼材やコンクリート等との熱膨張係数の差が大きいため、温度誤差が大きくなってしまい、鋼材やコンクリート等に生ずる微小な歪を高い精度で測定することができないという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ドリフトやヒステリシスを低減しつつ高い精度での測定を行うことが可能なセンサ装置、歪センサ装置、及び圧力センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のセンサ装置は、測定対象物に取り付けられる基板と、前記基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成され、一端が前記基板に接続される中間構造体と、前記中間構造体の他端に接続され、前記中間構造体の変位を検出する検出素子とを備えることを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明の歪センサ装置は、測定対象物に取り付けられる基板と、前記基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成され、一端が前記基板に環状に接続される中間構造体と、前記中間構造体の他端に接続され、前記中間構造体の歪を検出する歪検出素子とを備えることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記中間構造体が、一端が開口され、中空構造を有し、円柱、角柱、円錐台、角錐台の何れかに形成されることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記中間構造体の一端と前記基板との接続が、ロウ付け、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、溶接接合の何れかで接合されることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記中間構造体の他端と前記歪検出素子との接続が、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、陽極接合、金属拡散接合、常温直接接合の何れかで接合されることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記中間構造体の他端の一部分のみが前記歪検出素子と接続されることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記基板が、前記測定対象物の熱膨張係数と同等の熱膨張係数を有する材料で形成されることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記基板の一方の面の全面が前記測定対象物に接合されることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記基板が、前記測定対象物に対向する面に部分的に形成された足部を有し、当該足部と前記測定対象物とが接合されることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記歪検出素子が、半導体歪ゲージ又は振動式歪センサの何れか一方を備えることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記基板、前記中間構造体、又は前記歪検出素子の何れかが、前記中間構造体の中空部に連通する連通孔を備えることを特徴としている。
また、本発明の歪センサ装置は、前記中間構造体が、前記基板に接続される一端の幅と、前記歪検出素子に接続される他端の幅とが異なるように形成されることを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明の圧力センサ装置は、測定流体に連通する連通孔を備える基板と、前記基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成され、一端が前記基板に環状に接続され、前記連通孔に連通する中空構造を有する中間構造体と、前記中間構造体の他端に接続され、前記中間構造体の歪を検出する歪検出素子とを備えることを特徴としている。
また、本発明の圧力センサ装置は、前記中間構造体が、一端が開口され、円柱、角柱、円錐台、角錐台の何れかに形成されることを特徴としている。
また、本発明の圧力センサ装置は、前記中間構造体の一端と前記基板との接続が、ロウ付け、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、溶接接合の何れかで接合されることを特徴としている。
また、本発明の圧力センサ装置は、前記中間構造体の他端と前記歪検出素子との接続が、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、陽極接合、金属拡散接合、常温直接接合の何れかで接合されることを特徴としている。
また、本発明の圧力センサ装置は、前記中間構造体の他端の一部分のみが前記歪検出素子と接続されることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のセンサ装置(1〜5)は、測定対象物(OB)に取り付けられる基板(11)と、前記基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって筒形状に形成され、第1端(12a)が前記基板に接合された中間構造体(12)と、前記中間構造体の第2端(12b)に接合され、前記中間構造体の前記第2端における歪を検出する歪検出素子(13)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、測定対象物に歪が生ずると、測定対象物に接合されている基板及び基板に第1端が接合されている中間構造物に応力が生じ、測定対象物で生じた歪に応じた歪が中間構造物の第2端に生じ、この歪が中間構造物の第2端に接合された歪検出素子で検出される。
また、本発明のセンサ装置は、前記中間構造体が、前記基板と前記中間構造体との熱膨張係数差に起因して生じる、前記中間構造体の前記第2端における引張歪と、前記中間構造体の前記第1端の変形によって前記第2端の接合部に発生する圧縮歪とが打ち消し合うことによって、前記第2端に接合された歪検出素子が検出する熱膨張によって生じる歪がほぼ零となるように形状が設計されていることを特徴としている。
ここで、本発明のセンサ装置は、前記中間構造体が、前記基板、前記中間構造体、及び前記歪検出素子の熱膨張によって生ずる前記中間構造体の前記第2端における歪が零となるように、側壁の高さと厚みとの比が設定されていることを特徴としている。
また、本発明のセンサ装置は、前記中間構造体の側壁の高さと厚みとの比が、前記基板、前記中間構造体、及び前記歪検出素子の熱膨張によって生ずる前記中間構造体の前記第2端における歪が零となる値が複数存在する場合には、最も小さな値(R2)に設定されることを特徴としている。
或いは、本発明のセンサ装置は、前記中間構造体の側壁の高さと厚みとの比が、前記基板、前記中間構造体、及び前記歪検出素子の熱膨張によって生ずる前記中間構造体の前記第2端における歪が零となる値が存在しない場合には、前記基板、前記中間構造体、及び前記歪検出素子の熱膨張によって生ずる前記中間構造体の前記第2端における歪が最小となる値(R1)に設定されることを特徴としている。
また、本発明のセンサ装置は、前記基板が、前記測定対象物とほぼ同じ熱膨張係数を有する材料で形成されていることを特徴としている。
また、本発明のセンサ装置は、前記基板が、前記測定対象物に接する面が全面に亘って前記測定対象物に接合されていることを特徴としている。
或いは、本発明のセンサ装置は、前記基板が、前記測定対象物に対向する面に足部(11a)が部分的に形成されており、該足部が前記測定対象物に接触した状態で、前記測定対象物に接合されていることを特徴としている。
また、本発明のセンサ装置は、前記中間構造体が、前記第1,第2端側の少なくとも一方が有底とされた有底筒形状に形成されていることを特徴としている。
また、本発明のセンサ装置は、前記歪検出素子が、半導体歪ゲージ及び振動式歪センサの少なくとも一方を備えることを特徴としている。
また、本発明のセンサ装置は、前記基板、前記中間構造体、及び前記歪検出素子の少なくとも1つには、前記中間構造体の中空部(SP)に連通する連通孔(H)が形成されていることを特徴としている。
また、本発明のセンサ装置は、前記中間構造体が、高さ位置に応じて側壁の内径及び外径が変化するように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定対象物に取り付けられる基板よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成された中間構造体の一端を基板に接続するとともに、中間構造体の他端の変位を検出する検出素子を他端に接続するようにしているため、ドリフトやヒステリシスを低減しつつ高い精度での測定を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態によるセンサ装置の温度が上昇した際に生ずる歪を説明するための図である。
図3】本発明の第1実施形態によるセンサ装置における中間構造体の形状と熱歪との関係を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態において設計される中間構造体のおおよその形状を示す断面図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるセンサ装置の動作を説明するための図である。
図6】本発明の第2実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。
図7】本発明の第3実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。
図8】本発明の第4実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。
図9】本発明の第5実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。
図10】本発明の第6実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。
図11】中間構造体及び歪検出素子の形状の例を示す図である。
図12】歪検出素子の接続例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるセンサ装置について詳細に説明する。尚、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、必要に応じて各部材の寸法を適宜変えて図示している。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面矢視図である。図1に示す通り、本実施形態のセンサ装置1は、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13(検出素子)を備えており、測定対象物OBに取り付けられて、測定対象物OBの歪を測定する。尚、本実施形態では、測定対象物OBが、ステンレス鋼(SUS:Steel Use Stainless)で形成されたものであるとする。
【0017】
基板11は、平面視形状が矩形形状の部材であり、測定対象物OBに取り付けられて、センサ装置1を測定対象物OBに固定する。この基板11は、測定対象物OBと同様のステンレス鋼によって形成されている。つまり、基板11は、測定対象物OBと同じ(ほぼ同じ)熱膨張係数を有する材料によって形成されている。また、基板11は、測定対象物OBに接する面(底面)が、全面に亘って測定対象物OBに接合されている。これは、基板11と測定対象物OBとの間にヒステリシスの原因となる摩擦が生じないようにするためである。具体的に、基板11は、溶接、熱圧着等によって測定対象物OBに接合されている。
【0018】
中間構造体12は、有底円筒形状に形成された部材であり、ドリフトやヒステリシスを低減しつつ、測定対象物OBと歪検出素子13との熱膨張係数の差を緩和して微少な歪を高い精度で測定可能とするために設けられる。この中間構造体12は、基板11よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって形成されている。例えば、中間構造体12は、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、サイアロン(登録商標)(SiAlON)、窒化ケイ素(Si)等のセラミックスによって形成されている。
【0019】
また、中間構造体12は、有底とされていない端部12a(第1端)が基板11の上面に接続されている。ここで、基板11と中間構造体12との接続は、ロウ付け、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG(Spin On Glass)接合、溶接接合等を用いることができる。この中間構造体12の内径は数ミリメートル程度、端部12bに形成された上面膜M1の厚みは数百マイクロメートル程度に形成される。本実施形態では、中間構造体12の内径が4[mm]であり、上面膜M1の厚みが0.2[mm](=200[μm])であるとする。
【0020】
詳細は後述するが、中間構造体12は、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の熱膨張によって生ずる中間構造体12の有底とされた端部12b(第2端)における歪が所定の値(例えば、零)となるように形状(側壁の高さh及び厚みw)が設計されている。これは、測定対象物OBと歪検出素子13との熱膨張係数の差に起因して生ずる温度誤差を極力小さくするためである。
【0021】
歪検出素子13は、振動式歪ゲージ(振動式歪センサ:例えば、中間構造体12の上面膜M1の面内において互いに直交する方向の歪を測定する2つの振動式歪ゲージ)を備えており、測定対象物OBの歪に起因して生ずる中間構造体12の端部12bにおける歪を検出する。この歪検出素子13は、中間構造体12の端部12bに形成された上面膜M1に接続されている。ここで、歪検出素子13と上面膜M1との接続は、無機接着剤、低融点ガラス接合、SOG接合、陽極接合、金属拡散接合、常温直接接合等を用いることができる。尚、本実施形態では、歪検出素子13の厚みが0.1[mm]であるとする。
【0022】
次に、中間構造体12の形状(側壁の高さh及び厚みw)の設計法について説明する。中間構造体12の形状は、前述の通り、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の熱膨張によって生ずる中間構造体12の端部12bにおける歪が零となるよう(或いは、極力小さくなるように)設計される。つまり、温度変動によって中間構造体12の端部12bに生ずる歪が補償されるように設計される。
【0023】
図2は、本発明の第1実施形態によるセンサ装置の温度が上昇した際に生ずる歪を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。尚、図2では、歪検出素子13の図示を省略している。基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13は、異なる材料で形成されているため熱膨張係数は互いに異なる。具体的に、ステンレス鋼によって形成されている基板11の熱膨張係数α1は、16〜17[ppm/℃]程度であり、セラミックスによって形成されている中間構造体12の熱膨張係数α2は、1〜7.2[ppm/℃]程度であり、半導体(シリコン)によって形成されている歪検出素子13の熱膨張係数α3は、2.46〜4[ppm/℃]程度である。
【0024】
図2(a)に示す通り、センサ装置1の温度が上昇すると、センサ装置1を構成する基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13は、等方的に膨張する。例えば、基板11は、図2(a)中において矢印A1で示す通り、±X方向及び±Y方向に同じだけ熱膨張し、中間構造体12は、図2(a)中において矢印A2で示す通り、±X方向及び±Y方向に同じだけ熱膨張する。尚、基板11は、中間構造体12よりも熱膨張係数が大きいため、中間構造体12よりも大きく熱膨張する。
【0025】
ここで、中間構造体12の端部12aは、基板11の上面に接合されているため、図2(b)中において矢印A3で示す通り、基板11の熱膨張の影響を受けて本来よりも大きく膨張する。これに対し、中間構造体12の端部12bは、歪検出素子13が接合されているものの、図2(b)中において矢印A4で示す通り、おおむね中間構造体12の熱膨張係数α2に応じた本来の熱膨張となる。
【0026】
すると、図2(b)中において矢印A5で示す通り、中間構造体12は、端部12aの方が端部12bより膨張することによって端部12bの(上面膜M1)の周辺に曲げモーメントが生じる。これにより、中間構造体12の上面膜M1は下方(基板11側)に撓み、図2(b)中において矢印A6で示す通り、端部12bにおける中間構造体12(上面膜M1)の熱膨張を打ち消す方向に作用する圧縮歪が生ずる。中間構造体12は、基板11と中間構造体12との熱膨張係数差に起因して生じる、中間構造体12の端部12bにおける引張歪と、中間構造体12の端部12aの変形によって端部12bの接合部に発生する圧縮歪とが打ち消し合うことによって、端部12bに接合された歪検出素子13が検出する熱膨張によって生じる歪がほぼ零となるように形状が設計される。
【0027】
図3は、本発明の第1実施形態によるセンサ装置における中間構造体の形状と熱歪との関係を示す図であって、(a)実験結果を示す図であり、(b)は(a)の実験結果を分類した図である。尚、図3では、中間構造体12の形状を規定する側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)を横軸にとり、温度を20℃から100℃に上昇させたときに中間構造体12の端部12b(中間構造体12と歪検出素子13との界面)に生ずる熱歪を縦軸にとってある。
【0028】
図3(a)に示す実験結果は、側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)が異なる幾つかの中間構造体12について、温度を20℃から100℃に上昇させた時に生ずる熱歪を測定する実験を、中間構造体12の材質を変えつつ繰り返し行うことによって得られたものである。但し、中間構造体12の厚みwは1[mm]に固定してある。また、中間構造体12の材質として、以下のものを用いている。尚、図3(a)では、歪検出素子13が基板11に直接接合されている場合に生ずる熱歪を比較のために図示している(図中のSi/SUS参照)。
【0029】
・アルミナ(Al)(熱膨張係数:7.2[ppm/℃])
・窒化アルミニウム(AlN)(熱膨張係数:4.6[ppm/℃])
・焼結した炭化ケイ素(SiC)(熱膨張係数:4.1[ppm/℃])
・サイアロン(登録商標)(SiAlON)(熱膨張係数:3.2[ppm/℃])
・窒化ケイ素(Si)(熱膨張係数:2.6[ppm/℃])
【0030】
図3(a)の実験結果を参照すると、中間構造体12の材質に拘わらず、中間構造体12の側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)に応じて、以下の傾向があることが分かる。つまり、比(h/w)が0.1〜2程度の場合には、比(h/w)が大きくなるにつれて熱歪が徐々に小さくなり、比(h/w)が2程度の場合には、熱歪が極小となり、比(h/w)が2〜10程度の場合には、比(h/w)が大きくなるにつれて熱歪が緩やかに大きくなってある値に収束する傾向がある。
【0031】
尚、比(h/w)が十分小さい場合には、中間構造体12の側壁の剛性が高く、基板11で生じた熱膨張の影響が中間構造体12の端部12bに伝わり易い。このような場合に中間構造体12の端部12bに生ずる熱歪は、基板11とシリコン(歪検出素子13)とが直接接合されているときの熱膨張係数差によって生ずる熱歪に近づく。これに対し、比(h/w)が十分大きい場合には、中間構造体12の側壁の剛性が低く、基板11で生じた熱膨張の影響が中間構造体12の端部12bに伝わり難い。このような場合に中間構造体12の端部12bに生ずる熱歪は、中間構造体12とシリコン(歪検出素子13)との熱膨張係数差によって生ずる熱歪に収束する。
【0032】
また、図3(a)の実験結果は、中間構造体12の熱膨張係数の大きさに応じて、図3(b)に示す通り、3つの曲線L1〜L3に分類される。曲線L1は、中間構造体12が、シリコンとよりも熱膨張係数が小さな材料(窒化ケイ素(Si)等)で形成されている場合のものであり、熱歪が零となる点が1つである(零クロス点が1である)曲線である。
【0033】
曲線L2は、中間構造体12が、シリコンと同程度の熱膨張係数を有する材料(焼結した炭化ケイ素(SiC)、サイアロン(登録商標)(SiAlON)等)で形成されている場合のものであり、熱歪が零となる点が2つである(零クロス点が2である)曲線である。曲線L3は、中間構造体12が、シリコンよりも熱膨張係数が大きな材料(アルミナ(Al、窒化アルミニウム(AlN)等)で形成されている場合のものであり、熱歪が零となることはない(零クロス点が0である)曲線である。
【0034】
ここで、中間構造体12が、シリコンよりも熱膨張係数が小さな材料で形成されている場合には、曲線L1で示されている通り、零クロス点が1である。このため、中間構造体12は、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の熱膨張によって生ずる中間構造体12の端部12bにおける歪が零となるように、側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)が、零クロス点の値(図3(b)中の値R1)に設定される。
【0035】
これに対し、中間構造体12が、シリコンと同程度の熱膨張係数を有する材料で形成されている場合には、曲線L2で示されている通り、零クロス点が2である。このため、中間構造体12の側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)を、2つの零クロス点の何れか一方の値に設定すれば、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の熱膨張によって生ずる中間構造体12の端部12bにおける歪を零にすることができる。但し、測定対象物OBの歪に対するセンサ装置1の感度は、比(h/w)が小さい方が高くなるため、側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)は、2つの零クロス点の値のうちの最も小さな値(図3(b)中の値R2)に設定される。
【0036】
他方、中間構造体12が、シリコンよりも熱膨張係数が大きな材料で形成されている場合には、曲線L3で示されている通り、零クロス点が0であることから、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の熱膨張によって生ずる中間構造体12の端部12bにおける歪を零にすることはできない。このため、中間構造体12は、側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)が、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の熱膨張によって生ずる中間構造体12の端部12bにおける歪が最小となる値(図3(b)の値R3)に設定される。
【0037】
図4は、本発明の第1実施形態において設計される中間構造体のおおよその形状を示す断面図である。尚、図4(a)は、図3(b)中の曲線L1に分類される中間構造体、図4(b)は、図3(b)中の曲線L2に分類される中間構造体、図4(c)は、図3(b)中の曲線L3に分類される中間構造体のおおよその形状をそれぞれ示す図である。図4(a)〜(c)を参照すると、中間構造体12の側壁の厚みwは、図4(a)〜(c)の順で大きくなっており、中間構造体12の側壁の高さhは、図4(a),(b)ではほぼ同じであるが、図4(c)では極端に低くなっているのが分かる。
【0038】
つまり、図3(b)中の曲線L1〜L3に分類される中間構造体12は、側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)が順に大きな値に設定される(図中の値R1〜R3参照)。このため、図4(a)に示す中間構造体12は、側壁の高さhが図4(b)に示す中間構造体12と同様であるものの、側壁の厚みwが図4(b)に示す中間構造体12よりも小さい形状にされている。また、図4(c)に示す中間構造体12は、側壁の高さhが図4(a),(b)に示す中間構造体12とよりも低くされ、且つ、側壁の厚みwが大きくされた形状にされている。
【0039】
次に、上記構成におけるセンサ装置1の動作について簡単に説明する。図5は、本発明の第1実施形態におけるセンサ装置の動作を説明するための図である。図5中において矢印A11で示す通り、測定対象物OBに対してX方向の引っ張り応力が印加されたとする。すると、測定対象物OBは、X方向に引っ張られるとともに、ポアソン効果によりY方向に圧縮力が加わってY方向に縮もうとする。
【0040】
すると、測定対象物OBに接合されている基板11、及び基板11に端部12aが接合されている中間構造体12は、測定対象物OBと同様にX方向に引っ張られて引っ張り応力を受けるとともに(図5中の矢印A12参照)、Y方向に圧縮されて圧縮応力を受ける(図5中の矢印A13参照)。このような応力を受けると、中間構造体12は、図5に示す通り変形し、これにより測定対象物OBに作用した応力に応じた歪が中間構造体12の端部12bに生ずる。中間構造体12の端部12bに生じた歪は、中間構造体12の端部12bに接続された歪検出素子13によって検出される。このようにして、測定対象物OBに作用した応力に応じた歪が、センサ装置1で検出される。
【0041】
以上の通り、本実施形態のセンサ装置1は、測定対象物OBに取り付けられる基板11、基板11よりも小さな熱膨張係数を有する材料によって筒形状に形成され、端部12aが基板11に接合された中間構造体12、及び中間構造体12の端部12bに接合され、中間構造体12の端部12bにおける歪を検出する歪検出素子13を備えている。このため、ドリフトやヒステリシスを低減しつつ微少な歪を高い精度で測定することができる。
【0042】
ここで、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の熱膨張によって生ずる中間構造体12の端部12bにおける歪が零となるように、中間構造体12の側壁の高さhと厚みwとの比(h/w)を設定すれば、温度変動によって中間構造体12の端部12bに生ずる歪が補償される。これにより、温度変動の影響を受けることなく、微少な歪をより高い精度で測定することが可能になる。
【0043】
〔第2実施形態〕
図6は、本発明の第2実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。尚、図6においては、図1に示す構成に相当する構成については同じ符号を付してある。図6に示す通り、本実施形態のセンサ装置2は、ネジ又はリベット等の接合部材14を用いて測定対象物OBに取り付けられるものである。
【0044】
具体的に、本実施形態のセンサ装置2は、接合部材14の軸部が挿通される挿通孔が形成された基板11を備えており、この挿通孔に挿通された接合部材14を、測定対象物OBに形成された穴部に固定することによって測定対象物OBに取り付けられている。尚、接合部材14がネジである場合には、接合部材14の先端部を測定対象物OBの穴部(ネジ穴)に螺合させることによって固定される。また、接合部材14がリベットである場合には、先端部が測定対象物OBの穴部に介挿された接合部材14をかしめることによって固定される。
【0045】
ここで、基板11の裏面には、挿通孔が形成されている部分に、裏面から突出する形状の足部11aが形成されている。この足部11aは、基板11と測定対象物OBとの間の摩擦(ヒステリシスの原因となる摩擦)を少なくするためのものである。従って、基板11は、足部11aのみが測定対象物OBに接触した状態で、測定対象物OBに接合されることになる。このように、本実施形態では、基板11と測定対象物OBとの間の摩擦が極力少なくなるように、基板11がネジやリベット等の接合部材14を用いて測定対象物OBに接合されている。尚、中間構造体12の形状(側壁の高さh及び厚みw)は、第1実施形態と同様の設計法によって設計される。
【0046】
本実施形態のセンサ装置2は、基板11がネジやリベット等の接合部材14を用いて測定対象物OBに接合されている点を除いて、第1実施形態のセンサ装置1と同様である。このため、本実施形態においても、ドリフトやヒステリシスを低減しつつ微少な歪を高い精度で測定することができる。
【0047】
〔第3実施形態〕
図7は、本発明の第3実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。尚、図7においては、図1に示す構成に相当する構成については同じ符号を付してある。前述した第1,第2実施形態によるセンサ装置1,2が備える中間構造体12は、側壁が基板11に対して垂直に接合されるものであったが、本実施形態のセンサ装置3が備える中間構造体12は、側壁が基板11に対して傾斜した状態で接合されるものである。
【0048】
本実施形態のセンサ装置3が備える中間構造体12は、基板11に接続される端部12aの幅と、歪検出素子13に接続される端部12bの幅とが異なるように形成されたものである。具体的に、図7(a)に示す中間構造体12は、高さ位置が高くなるにつれて側壁の内径及び外径が徐々に大きくなるよう形成されたものである。これに対し、図7(b)に示す中間構造体12は、高さ位置が低くなるにつれて側壁の内径及び外径が徐々に大きくなるよう形成されたものである。このような中間構造体12を用いることで、基板11と中間構造体12との間の界面に発生する応力を小さくすることができる。
【0049】
〔第4実施形態〕
図8は、本発明の第4実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。尚、図8においては、図1に示す構成に相当する構成については同じ符号を付してある。前述した第1〜第3実施形態によるセンサ装置1〜3が備える中間構造体12は、端部12bのみが有底とされたものあったが、本実施形態のセンサ装置4が備える中間構造体12は、端部12a,12bの双方が有底とされ、或いは端部12a,12bの双方が有底とはされないものである。
【0050】
具体的に、図8(a)に示す中間構造体12は、端部12bに上面膜M1が形成されているとともに、端部12aに底面膜M2が形成されており、端部12a,12bの双方が有底とされている。これに対し、図8(b)に示す中間構造体12は、上記の上面膜M1及び底面膜M2に相当するものが端部12a,12bの何れにも形成されておらず、端部12a,12bの双方が有底とはされていない。尚、端部12a,12bの双方が有底とされている場合であっても、端部12a,12bの双方が有底とされてはいいない場合であっても、第1,第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0051】
〔第5実施形態〕
図9は、本発明の第5実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。尚、図9においては、図1に示す構成に相当する構成については同じ符号を付してある。前述した第1〜第4実施形態によるセンサ装置1〜4が、中間構造体12の中空部SPが基板11によって密閉された状態になってしまう場合には、温度変動が生ずると中空部SP内に残存する気体が膨張又は収縮して中間構造体12に歪が生じ、測定誤差が生ずる。これに対し、連通孔Hを形成することで、中空部SPの圧力とセンサ装置5の外部の圧力とを等しくすることができ、大気圧や温度の影響を受け難くすることができる。本実施形態のセンサ装置5は、中空部SPに連通する連通孔Hが形成されたものである。
【0052】
具体的に、図9(a)に示すセンサ装置5は、中空部SPに連通する連通孔Hが基板11の内部に形成されている。これに対し、図9(b)に示すセンサ装置5は、中空部SPに連通する連通孔Hが、基板11及び測定対象物OBを貫通するように形成されている。尚、中空部SPに連通する連通孔Hは、中間構造体12に形成されていても良く、歪検出素子13に形成されていても良く、或いは基板11と中間構造体12との接合部分に形成されていても良い。
【0053】
〔第6実施形態〕
図10は、本発明の第6実施形態によるセンサ装置の要部構成を示す断面図である。尚、図10においては、図1に示す構成に相当する構成については同じ符号を付してある。図10に示すセンサ装置6は、流体の圧力測定に用いることができる。このセンサ装置6は、基板11がカプラQによって流体の流路をなす配管Pに接続された分岐流路のフランジFLに固定されており、流体が連通孔Hを介して中空部SP内に導かれるようにされている。中空部SP内に導かれた流体の圧力に応じて中間構造体12の端部12bに生ずる歪を歪検出素子13で検出すれば、流体の圧力を測定することができる。尚、中間構造体12は、第1実施形態と同様の設計法によって設計されることから、流体の配管Pに生ずる熱膨張の影響を排除することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態によるセンサ装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、中間構造体12が有底円筒形状に形成されている例について説明したが、中間構造体12の形状及び歪検出素子13の形状(平面視形状)は任意の形状とすることができる。
【0055】
図11は、中間構造体及び歪検出素子の形状の例を示す図である。まず、中間構造体12は、図11(a),(b)に示す通り円筒形状であっても良く、図11(c),(d)に示す通り四角筒形状であっても良く、図11(e),(f)に示す通り六角筒形状であっても良い。尚、中間構造体12は円柱形状、角柱形状であっても良く、円錐台形状、角錐台形状であっても良い。
【0056】
次に、歪検出素子13は、図11(a),(c),(e)に示す通り、矩形形状であっても良く、図11(b),(d),(f)に示す通り、円形形状であっても良い。尚、歪検出素子13の平面視での大きさは任意である。例えば、図11(b),(c)に示す通り、歪検出素子13の平面視形状が中間構造体12の平面視形状と同じである場合には、歪検出素子13の大きさを中間構造体12と同じにしても良く、中間構造体12よりも小さくしても良い。
【0057】
また、歪検出素子13は、中間構造体12の端部12bの全部に接続されている必要は必ずしも無く、端部12bの一部のみに接続されていても良い。図12は、歪検出素子の接続例を示す図であって、(a)は中間構造体12の端部12bに上面膜M1が形成されている場合の接続例を示す図であり、(b)は中間構造体12の端部12bに上面膜M1が形成されていない場合の接続例を示す図である。
【0058】
図12(a)に示す通り、中間構造体12の端部12bに上面膜M1が形成されている場合には、例えば長方形状の歪検出素子13が上面膜M1の中央部を通るように上面膜M1に接続される。また、図12(b)に示す通り、中間構造体12の端部12bに上面膜M1が形成されていない場合には、例えば長方形状の歪検出素子13が歪検出素子13の端部12bにおいて径方向に橋渡されるように接続される。
【0059】
このように、歪検出素子13が中間構造体12の端部12bの一部のみに接続されている場合には、歪検出素子13が中間構造体12の端部12bの全部に接続されている場合に比べて歪検出素子13が変形し易くなり、歪検出素子13の検出感度を向上させることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、測定対象物OBがステンレス鋼によって形成されたものである場合を例に挙げて説明したが、測定対象物OBは、コンクリートによって形成されたものであっても良い。測定対象物OBがコンクリートによって形成されたものである場合には、基板11もコンクリートによって形成され、基板11と測定対象物OBとはコンクリート接合される。
【0061】
また、上記実施形態では、歪検出素子13が振動式歪ゲージを備えるものとして説明したが、歪検出素子13は、半導体歪ゲージを備えるものであっても、半導体歪ゲージ及び振動式歪ゲージの双方を備えるものであっても良い。
【0062】
また、上記実施形態で説明したセンサ装置1〜6は何れも、基板11、中間構造体12、及び歪検出素子13の3つの部材が接合されたものであった。しかしながら、基板11と中間構造体12との間、或いは中間構造体12と歪検出素子13との間に他の部材が接合されていても良い。
【符号の説明】
【0063】
1〜6 センサ装置
11 基板
11a 足部
12 中間構造体
12a 端部
12b 端部
13 歪検出素子
H 連通孔
OB 測定対象物
SP 中空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12