(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記印刷関連情報における前記噴射回数の設定値は、同じ階調の色を有する画像データに基づく印刷を前記爪部の前記中央部と前記端部側とに行ったときに、前記爪部の前記中央部での印刷濃度と前記端部側での印刷濃度とが同等となる値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
前記印刷関連情報における前記噴射回数の設定値は、同じ階調の色を有する画像データに基づく印刷を前記爪部の前記中央部と前記端部側とに行ったときに、前記爪部の前記中央部での印刷濃度と前記端部側での印刷濃度とが同等となる値に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の印刷制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
先ず、
図1から
図29を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第1の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図であり、
図2は、ネイルプリント装置の内部構成を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2及び蓋体4を備えている。このケース本体2及び蓋体4は、ケース本体2の上面後端部に設けたヒンジ3を介して、互いに連結されている。
【0016】
上記ケース本体2は平面視で長円状に形成されている。このケース本体2には前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。
また、ケース本体2の天板2fには後述する操作部12が設置されており、天板2fのほぼ中央部には表示部13が設定されている。
なお、ケース本体2及び蓋体4の形状、構成はここに例示したものに限定されない。
【0017】
また、ケース本体2にはネイルプリント装置1の装置本体10が収容されている。この装置本体10は、
図2に示す印刷指固定手段を構成している印刷指固定部20、撮影手段を構成している撮影部30、印刷手段を構成している印刷部40及び制御手段を構成している制御装置50(
図8参照)を備えている。これら印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50は機枠11に設けられている。
なお、機枠11は下部機枠11a及び上部機枠11bによって構成されている。そして、下部機枠11aは箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置され、上部機枠11bは下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている。
【0018】
印刷指固定部20は、機枠11の中の下部機枠11aに設けられている。この下部機枠11aに設けられた印刷指挿入部20a、非印刷指挿入部20b及び掴み部20cによって印刷指固定部20が構成されている。
ここで、印刷指挿入部20aは、印刷しようとする爪部Tに対応する指(以下「印刷指」という。)U1を挿入するめための指挿入部である(
図3参照)。印刷指挿入部20aの底面(印刷指載置面)は、印刷指U1を載置する指載置手段として機能する。印刷指U1の撮影や印刷は、印刷指U1がこの指載置手段としての印刷指挿入部20aの印刷指載置面に載置された状態で行われる。
また、非印刷指挿入部20bは、印刷指以外の指(以下「非印刷指」という。)U2を挿入するための指挿入部である(
図3参照)。
また、掴み部20cは、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで挟持することが可能な部分である。本実施形態において、この掴み部20cは印刷指挿入部20aと非印刷指挿入部20bとを仕切る隔壁21によって構成されている。
【0019】
この隔壁21の上面は平坦な印刷指載置面を構成している。この隔壁21の指挿入側端部には膨出部22が形成されている。この膨出部22は、印刷指挿入部20a及び非印刷指挿入部20bに印刷指U1及び非印刷指U2を深く挿入した際に、印刷指U1及び非印刷指U2の付け根U3が当接する部分に形成されている。膨出部22は、印刷指U1の腹全体が印刷指載置面に当接した状態で、印刷指U1と非印刷指U2とで隔壁21(掴み部20c)を強く挟持することができるように、指挿入方向の断面が、隔壁21の下面から下方に向けて膨出するように円形となっている。なお、膨出部22の形状は、断面円形に限定されることなく、断面楕円形,多角形等の非円形であってもよい。
【0020】
例えば、左手の親指以外の4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)が印刷指U1となる場合には、
図3に示すように、ユーザは印刷指挿入部20aに4本の印刷指U1を挿入し、非印刷指挿入部20bに非印刷指U2である親指を挿入する。この場合、ユーザが印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することにより、印刷指U1が掴み部20cの上で固定される。
また、親指のみが印刷指U1となる場合には、親指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入さし、親指以外の4本の指(非印刷指U2)を非印刷指挿入部20bに挿入する。この場合にも、ユーザが印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1が固定される。
【0021】
また、
図4は、本実施形態に係るネイルプリント装置1の正面側の断面図であり、
図5は、ネイルプリント装置1の側断面図である。
図4及び
図5に示すように、撮影部30は、機枠11の中の上部機枠11bに設けられている。本実施形態において、撮影部30は、カメラ32、照明灯33及びスリット光照射手段35を備えている。
すなわち、上部機枠11bに設置された基板31の中央部下面には、ドライバーを内蔵した200万画素程度以上の画素を有するカメラ32が設置されている。また、基板31には、カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。
この撮影部30は、指載置手段である印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1を照明灯33によって照明し、カメラ32によってその印刷指U1の爪部T(印刷対象物)の爪領域Ta(印刷対象面)を撮影して、印刷対象領域画像である爪領域画像を含む指爪画像を得る撮影手段として機能する。
また、本実施形態では、この撮影部30により取得された印刷指U1の指爪画像は、後述する印刷関連情報に含まれるものであり、指爪画像を取得する撮影部30は、印刷関連情報を取得する印刷関連情報取得手段として機能する。
【0022】
また、本実施形態では、撮影部30は、後述する高さ寸法測定部512とともに、印刷指挿入部20aに挿入されたユーザの印刷指U1の爪部Tの高さ方向の寸法を測定する高さ寸法測定手段(爪形状取得手段)を構成している。高さ寸法測定手段は、印刷関連情報としての爪高さ寸法を取得する印刷関連情報取得手段として機能する。
具体的には、
図6(A)及び
図7(A)に示すように、爪部Tの幅方向の端部が指の爪床の皮膚から離れる両サイドの部分(これを「ストレスポイントSp」という。なお、
図6(A)、(B)及び
図10においては、左側のストレスポイントをSpL、右側のストレスポイントをSpRとしている。)を結ぶ線上の中心点を基準点Cpとして、この基準点Cp周辺の画像をカメラ32等により取得する。ユーザがこの印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1を時計回り又は反時計回りに回転させると、撮影部30は、カメラ32等により基準点Cpの位置を追尾して基準点Cp周辺の画像を随時取得し続ける。そして、
図6(B)及び
図7(B)に示すように、基準点Cpが端部に来た状態、すなわち、印刷指U1が真横になった状態の画像が撮影部30により撮影されると、この画像から高さ寸法測定部512が爪部Tの高さ方向の寸法を取得するようになっている。このような手法で爪部Tの高さ方向の寸法を測定する場合には、高さ方向の寸法を測定するための特別な装置等を必要としないため、装置が大型化せず、装置コストも抑えることができる。
【0023】
また、印刷部40は、印刷対象物である爪部Tの印刷対象面である爪領域Ta(
図6等参照)に対してインクを噴射して色や模様等の印刷を施す印刷手段であり、主に上部機枠11bに設けられている。
すなわち、
図4及び
図5に示すように、上部機枠11bの両側板には、2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、
図5に示すように、主キャリッジ42の前壁42aおよび後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部には、印刷ヘッド46が搭載されている。
本実施形態において、この印刷ヘッド46は、インクを微滴化し、被印字媒体に対し直接に吹き付けて印刷を行うインクジェット方式の印刷ヘッドである。なお、印刷ヘッド46の記録方式はインクジェット方式に限定されない。
【0024】
主キャリッジ42は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ43に連結され、モータ43の正逆回転によって、ガイドロッド41に沿って左右方向に移動ように構成されている。また、副キャリッジ45は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ47に連結され、モータ47の正逆回転によって、ガイドロッド44に沿って前後方向に移動するように構成されている。
また、下部機枠11aには、印刷ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48が設けられている。インクカートリッジ48は、図示しないインク供給管を介して印刷ヘッド46と接続されており、適宜印刷ヘッド46にインクを供給するようになっている。なお、印刷ヘッド46自体にインクカートリッジを搭載する構成としてもよい。
【0025】
印刷部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モータ43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、印刷ヘッド46、モータ47及びインクカートリッジ48等を備えて構成されている。この印刷部40のモータ43、印刷ヘッド46、モータ47は、後述する制御装置50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
【0026】
操作部12は、ユーザが各種入力を行うための入力手段である。
操作部12には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、その他各種の入力を行うための操作釦121が配置されている。
【0027】
本実施形態において、操作部12は、ユーザの個人識別情報を入力する識別情報入力手段として機能する。
ここで、個人識別情報とは、ユーザを特定することのできる情報であり、例えば、ユーザの氏名や任意に設定されたパスワード、コード番号等である。なお、個人識別情報はユーザを識別できる情報であればよく、ここに例示したものに限定されない。例えば、複数の情報が組み合わさって個人識別情報が構成されていてもよい。
【0028】
表示部13は、例えば液晶パネル(液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display))等で構成された表示手段である。
なお、表示部13の表面に、タッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、図示しないスタイラスペンや指先等によるタッチ操作により、表示部13の表面をタッチすることによっても各種の入力を行うことができるように構成され、表示部13もユーザの個人識別情報を入力する識別情報入力手段として機能し得る。
【0029】
表示部13には、例えば、印刷指U1を撮影した指爪画像やその中の爪領域Ta、印刷指U1の爪領域Taに印刷すべき画像としてのネイルデザイン画像、デザイン確認用のサムネイル画像、各種指示画面等が表示されるようになっている。
【0030】
また、制御装置50は上部機枠11bに設けられている。この制御装置50は、基板31に設置されており、
図8に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)等によって構成されている制御部51、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)52及びRAM53(Random Access Memory)等を備えるコンピュータである。なお、記憶手段は、制御装置50内のROM52、RAM53に限定されず、他に記憶手段が設けられていてもよい。
【0031】
ROM52には、ユーザの登録処理を行うユーザ登録プログラム、印刷指が既に登録処理が行われているか否かを判断する登録有無判断プログラム、爪部Tの高さ方向の寸法を測定する爪高さ測定プログラム、爪部Tの幅方向の寸法を測定する爪幅測定プログラム、ユーザの爪部Tの形状をパターン分類して最適なテーブルを選択するテーブル選択プログラム、ユーザの爪部Tの形状に対応したピッチ調整テーブルを生成するテーブル生成プログラム、印刷用のデータを生成するための印刷用データ生成プログラム、印刷処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、制御装置50はこれらのプログラムを実行してネイルプリント装置1の各部を制御するようになっている。
また、本実施形態においてROM52は、元画像データ、パターン分類用データ、ピッチ調整基本テーブル等を備えている(
図9参照)。
【0032】
ここで、元画像データは、印刷対象面である印刷指U1の爪部Tの爪領域Taに印刷すべき画像(ネイルデザイン)の元画像データであり、ROM52は、この元画像データを記憶する元画像データ記憶手段として機能する。
【0033】
また、パターン分類用データは、後述するテーブル選択部51が、印刷対象物である爪部Tを、印刷部40の記録ヘッド46からのインク噴射方向における高さ寸法に応じてパターン分類するために必要なデータである。
本実施形態では、テーブル選択部513は、ストレスポイントをSpL、SpR(
図10参照)における爪部Tの幅方向の断面において端部から1000μm中央部に寄った位置(これを以下「基準位置P」とする(
図11参照)。)の高さ寸法に応じて爪部Tを3つの爪形状パターンA〜Cに分類するようになっており、パターン分類用データは、この基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法の閾値である。
【0034】
図11は、本実施形態においてテーブル選択部513により分類される爪形状パターンの例を示した図である。本実施形態では、3つの爪形状パターンA〜Cの閾値データがパターン分類用データとしてROM52に記憶されている。
すなわち、
図11に示すように、爪形状パターンAは、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法が2000μmよりも高いか否かが閾値となっており、この高さ寸法が2000μmよりも高い場合には爪形状パターンAと分類される。また、爪形状パターンBは、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法が、1000μm以上2000μm以下であることが閾値となっており、この高さ寸法がこの範囲内の値をとる場合には爪形状パターンBと分類される。また、爪形状パターンCは、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法が、1000μmよりも低いか否かが閾値となっており、この高さ寸法が1000μmよりも低い場合には爪形状パターンCと分類される。
【0035】
なお、基準位置Pの位置や閾値の値は一例であり、上記数値に限定されない。
また、爪形状パターンの分類のための閾値の設定の仕方は、ここに例示したものに限定されない。例えば、爪部の幅方向の断面の端部同士をつないだ直線と爪部Tの断面端部における立ち上がり角度αに応じて閾値を設定してもよい。
すなわち、
図11及び
図12に示すように、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法が大きい場合には、端部における立ち上がり角度αも大きく、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法が小さい場合には端部における立ち上がり角度αも小さくなる。例えば、本実施形態では、爪形状パターンAでは、立ち上がり角度αは60度以上であり(
図12(A)参照)、爪形状パターンBでは、立ち上がり角度αは45度以上であり(
図12(B)参照)、爪形状パターンCでは、立ち上がり角度αは45度未満となっている(
図12(C)参照)。このため、立ち上がり角度αの値を閾値として規定することによって、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法の値を閾値として規定する場合と同様に爪形状のパターン分類を行うことができる。
また、本実施形態では、爪形状パターンをA〜Cの3種類に分類する場合を例としたが、爪形状パターンの数はこれに限定されず、これより少なくてもよいし、さらに多くの爪形状パターンの閾値を設定しておき、より細かく爪部Tの形状を分類することができるようにしてもよい。
テーブル選択部513がユーザの印刷指U1の爪部Tの爪形状を爪形状パターンA〜Cのいずれかに分類した結果は、当該ユーザの印刷関連情報としてRAM53の個人登録レジスタ53aに記憶されてもよい。
【0036】
図12(A)〜(C)に示すように、爪部Tの断面の幅方向に水平に一定間隔Δxを刻んだ場合に、このΔxあたりの爪部Tの表面長さをΔLとすると、ΔLは、ΔL=Δx/cosαとの式で表すことができる。
図12(A)は、爪形状パターンAの場合を表しており、
図12(B)は、爪形状パターンBの場合を表しており、
図12(C)は、爪形状パターンCの場合を表している。
図12(A)に示す爪形状パターンAのように、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法が大きく、端部における立ち上がり角度αも大きい場合には、爪部Tの端部の表面長さΔLは長くなる。
他方、
図12(C)に示す爪形状パターンCのように、基準位置Pにおける爪部Tの高さ寸法が小さく端部における立ち上がり角度αも小さい場合には、爪部Tの端部の表面長さΔLは短くなる。
また、ΔLの値は、爪部Tの幅方向の中央部に行くにしたがって、爪部Tの断面の幅方向に水平に一定間隔を刻んだ長さ寸法であるΔxの値に近づいていく。
【0037】
例えば
図13(A)及び(B)に示すように、幅方向(
図13(A)及び(B)等においてWt)の中央部が高く盛り上がり、幅方向Wtの端部に行くほど低くなる湾曲形状をなす爪部T(印刷対象物)の爪領域Ta(印刷対象面)全体に格子柄(
図13(B)におけるA点部分の拡大図を
図14に示す。)を印刷する場合、
図14に示すように、ΔLの値が大きいところでは、ΔLの値が小さいところと同じ印刷ピッチで印刷を行うと、爪部Tの長さ方向Htには均一であるが、爪部Tの幅方向Wtの端部に行くに従って印刷濃度が薄くなり、デザインも爪部Tの幅方向(高さ方向)Wtに延びてしまう。
このため、幅方向Wtの端部においても平面部分と同様の印刷濃度で伸びや歪み等のない画像の印刷を行うためには、ΔLの値が大きい部分において、ΔLの値が小さい部分よりも印刷ピッチが細かくなるように調整する必要がある。
【0038】
ピッチ調整基本テーブルは、このような印刷ピッチの調整を行うためのテーブルであり、印刷対象面である爪領域Taの幅方向Wtの中央部よりも幅方向Wtの両端部の方が印刷部40による印刷の際の印刷ピッチが細かくなるように対応付けられたテーブルである。本実施形態において、ROM52は、ピッチ調整基本テーブルを記憶する基本テーブル記憶手段として機能する。
本実施形態では、ピッチ調整基本テーブルとして、爪領域Ta(印刷対象面)の幅方向Wtの中央部よりも幅方向Wtの両端部の方が印刷部40による印刷の際のインクの噴射回数が多くなるように対応付けられた噴射回数基本テーブルが記憶されている。
【0039】
図15は、ピッチ調整基本テーブルとしての噴射回数基本テーブルの一例である。
図15に示すように、噴射回数基本テーブルは、上記爪形状パターンA〜Cに応じて3種類用意されている。噴射回数基本テーブルは、幅方向Wtの両端部が低く中央部近傍が高く盛り上がった湾曲形状をなす印刷対象面である爪領域Taを有する爪部Tの全域において印刷に必要な記録濃度(以下「必要濃度」とする。)が確保されるようにインクの噴射回数を調整するものである。
【0040】
ここで、
図16を参照しつつ、爪部Tにおける必要濃度について説明する。
図16は、一般的な爪部Tの形状である幅方向Wtの両端部が低く中央部近傍が高く盛り上がった湾曲形状をした爪部Tについて、必要濃度を確保するために必要な濃度率を示す必要濃度率と、爪部Tの断面の高さ寸法との関係の一例を表したグラフである。なお、
図16では、爪部Tの幅方向の寸法が8000μmであり、爪部Tの断面の高さ方向の寸法が最も高い中央部近傍で3000μm程度である場合を例としている。
ここで、必要濃度率とは、爪部Tの断面幅方向に水平に一定間隔Δxを刻んだ場合(
図12(A)〜(C)参照)に、このΔxに対応する爪部表面の実際の長さ寸法ΔL(
図12(A)〜(C)参照)を、Δxで除したもの(ΔL/Δx)である。
平面に対して印刷する場合(すなわち、爪部Tの断面幅方向に水平に刻んだ一定間隔Δxと、これに対応する爪部表面の実際の長さ寸法ΔLとがほぼ等しい場合)には、必要濃度率は「1」となり、Δxに対応する爪部表面の実際の長さ寸法ΔLが長くなるにしたがって必要濃度率の値は大きくなる。
爪部Tの高さや盛り上がり方には人により個人差があるが、爪領域が湾曲し曲面となっている部分でも、例えば
図16の一点鎖線で示すように、爪部Tの両端部近傍以外では必要濃度率(ΔL/Δx)はほぼ一定の「1」を示している。すなわち、この領域では平面に対して印刷する場合とほぼ同等の記録濃度で印刷すれば足りる。これに対して、左右の端部からそれぞれ中央部に向かって1000μmまでの範囲では、必要濃度率が大きくなっており、最も端部に近いあたりでは必要濃度率の値は「4」程度となっている。
【0041】
噴射回数基本テーブルは、このような爪部Tにおける必要濃度率に対応して、
図15に示すように、爪部Tの中央部及びその近傍には、平面におけるインクの噴射回数と同じ回数である、基準となる平均噴射回数(これを「基準噴射回数」という。)を示す「1」を、爪部Tの端部にはこの基準噴射回数の2倍から4倍の平均噴射回数を示す「2」「3」「4」のいずれかがそれぞれ対応付けられている。
【0042】
なお、
図16に示すように、爪部Tにおける必要濃度率が「1」以外である部分(すなわち、ピッチ調整が必要となる部分)は、爪部Tの幅方向の端部から中央部にかけての2000μm以内の範囲内にほぼ収まっていることから、噴射回数基本テーブルは、幅方向の一端部から中央部にかけての2000μm分の噴射回数を100μmを1単位(以下「1項」とする。)として指定したものであり、
図15に示すように、1項から20項までとなっている。
また、爪部Tは、幅方向の中央部を中心としてほぼ左右対称となっていることから、噴射回数基本テーブルは、一端部から中央部にかけての2000μm分(1項〜20項)のみで構成されており、爪部Tの逆側については噴射回数基本テーブルにおいて対応付けられた数値を左右反転させて適用することで対応する。
【0043】
なお、本実施形態では、ピッチ調整基本テーブルが記録ヘッド46からインクを噴射する噴射回数を調整する噴射回数基本テーブルである場合を例示したが、ピッチ調整基本テーブルはインクの噴射量を調整可能なものであればよく、ここに例示したものに限定されない。インクの噴射量は、1回の噴射あたりのインク量と噴射回数とを乗じたものであり、この両者又はいずれか一方を調整することによって噴射量を調整するものであればよい。
【0044】
図15に示すように、例えば、爪形状パターンAに対応する噴射回数基本テーブルでは、爪部Tの幅方向の最端部の1項(
図15において「1」)に最も噴射回数の多い「4」(すなわち、平面における噴射回数である基準噴射回数の4倍)が対応付けられ、これに隣接する8項(
図15において「2」から「9」)に次に噴射回数の多い「3」(すなわち、平面における噴射回数である基準噴射回数の3倍)が対応付けられ、さらにこれに隣接する4項(
図15において「10」から「13」)に次に必要濃度率の高い「2」(すなわち、平面における噴射回数である基準噴射回数の2倍)が対応付けられ、これ以外には全て基準噴射回数である「1」がそれぞれ対応付けられている。
また、例えば、爪形状パターンBに対応する噴射回数基本テーブルでは、爪部Tの幅方向の最端部の2項(
図15において「1」及び「2」)には噴射回数「3」(すなわち、平面における噴射回数である基準噴射回数の3倍)が対応付けられ、これに隣接する6項(
図15において「3」から「8」)には噴射回数「2」(すなわち、平面における噴射回数である基準噴射回数の2倍)が対応付けられ、これ以外には全て基準噴射回数である「1」がそれぞれ対応付けられている。
なお、各数値(噴射回数)については、ここでは爪部Tの幅方向の最端部の1項から10項(
図15において「1」から「10」)まで(すなわち、爪部Tの幅方向の端部から1000μmまで)の噴射回数の平均値が当該範囲内における「必要濃度率」の平均値になるように爪部Tの形状を考慮して決められているが、当該噴射回数の平均値は、爪形状パターンAでは3以上、爪形状パターンBでは1.5〜3.0、爪形状パターンCでは1〜1.5の範囲であるようにすることが望ましい。
また、爪部Tの幅方向の最端部の1項から10項(
図15において「1」から「10」)まで(すなわち、爪部Tの幅方向の端部から1000μmまで)において、印刷部40から噴射されるべきインクの記録濃度の平均値は、爪形状パターンAでは平面部分の2倍以上、爪形状パターンBでは平面部分の1.5倍〜2倍、爪形状パターンCでは平面部分の1.5倍未満とすることが望ましい。
【0045】
RAM53は、各種データ等を記憶する記憶領域と、制御部51が各種処理を行う際にプログラム等を展開する作業領域(図示せず)とを備えている。
本実施形態においてRAM53の記憶領域には、撮影部30により撮影された印刷対象領域画像としての爪領域画像、幅寸法測定部511によって測定された爪領域画像の幅方向の長さ寸法(
図10参照)、高さ寸法測定部512により取得された印刷部40のインク噴射方向における爪部Tの高さ寸法、テーブル選択部513によるユーザの爪部Tの形状のパターン分類結果、調整テーブル作成部514により噴射回数基本テーブルに基づいて生成されたユーザの爪部Tの形状に対応したピッチ調整テーブルとしての噴射回数調整テーブル(
図17から
図20参照)、印刷用データ生成部515によって生成された印刷用データ等が、ユーザの個人識別情報と対応付けられて、各指ごとに記憶される個人登録レジスタ53aが設けられている(
図9参照)。
なお、印刷関連情報はここに挙げた情報のうちの一部でもよい。
また、印刷関連情報はここに例示したものに限定されない。例えば、ユーザが過去に選択したネイルデザインの履歴や、ユーザが過去に選択したネイルデザインの傾向(例えば、明るめ/暗め、派手/大人しい、暖かい/冷たい等、デザインごとのプロフィール)等が含まれていてもよい。
また、ここで各指ごととは、両手の10本の指すべてについてそれぞれについて登録するものであってもよいし、左右の手指で大きな差異がない場合には、左右いずれかの手の5本の指(親指から小指までの5指)について登録するものであってもよい。
【0046】
また、制御部51は、機能的に見た場合、幅寸法測定部511、高さ寸法測定部512、テーブル選択部513、調整テーブル作成部514、印刷用データ生成部515、印刷制御部516、表示制御部517、ユーザ登録部518、登録有無判断部519等を備えている。これら幅寸法測定部511、高さ寸法測定部512、テーブル選択部513、調整テーブル作成部514、印刷用データ生成部515、印刷制御部516、表示制御部517、ユーザ登録部518、登録有無判断部519等としての機能は、CPUとROM52に記憶されたプログラムとの共働によって実現される。
【0047】
ユーザ登録部518は、識別情報入力手段である操作部12において入力されたユーザの個人識別情報と当該個人識別情報に対応するユーザについて印刷関連情報取得手段により取得された印刷関連情報とを対応付けて既登録情報としてRAM53の個人登録レジスタ53aに記憶させる登録処理を行うユーザ登録手段である。
ユーザ登録部518は、同一のユーザについて新たな印刷関連情報が取得されたときには、その印刷関連情報を当該ユーザの個人識別情報と対応付けて累積的に記憶させていくことが好ましい。
本実施形態では、印刷関連情報として、幅寸法測定部511により測定された爪部Tの幅方向の長さ寸法、高さ寸法測定部512によって取得された爪部Tの高さ寸法、テーブル選択部513により当該爪部Tに適用するテーブルとして選択された噴射回数基本テーブル(ピッチ調整基本テーブル)等、ユーザの爪形状に関する情報が取得されるようになっており、ユーザ登録部518は、これらの情報をユーザの個人識別情報と対応付けてRAM53の個人登録レジスタ53aに記憶させる。
なお、ユーザ登録部518によって行われる登録処理は、ユーザの爪形状に関する情報の登録に限定されない。爪形状に関する情報の登録は、ユーザ登録部518によって行われる登録処理(個人登録モード)の1つであり、その他にも各種の情報がユーザの個人識別情報と対応付けられて登録されるようになっていてもよい。その他の情報としては、例えば、上述のように、ユーザが過去に選択したネイルデザインの履歴や、ユーザが過去に選択したネイルデザインの傾向(例えば、明るめ/暗め、派手/大人しい、暖かい/冷たい等、デザインごとのプロフィール)がある。このような情報をユーザの個人識別情報と対応付けて記憶させておく場合、次回以降ネイルプリントを行う際に、ネイルプリント装置1がユーザの過去の傾向や好みに合致するネイルデザインを自動的にピックアップしたり、優先的に表示部13上に表示させるように構成してもよい。
【0048】
登録有無判断部519は、ユーザ登録部518によってRAM53の個人登録レジスタ53aに記憶された既登録情報と印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1について取得された情報とが合致するか否かを判断することにより、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1がユーザ登録部518によって既に登録処理が行われているか否かを判断する登録有無判断手段である。
本実施形態では、印刷指挿入部20aに印刷指U1が挿入されると、登録済みか否かをユーザに問い合せる確認画面(
図26参照)が表示させるようになっており、ユーザにより登録済みであるとの入力がなされた場合には、登録有無判断部519は、当該印刷指U1が登録処理済みのものと判断する。
なお、登録有無判断部519が印刷指U1の登録の有無を判断する手法はこれに限定されない。例えば、印刷指挿入部20aに印刷指U1が挿入されたときに、撮影部30により取得された当該印刷指の指爪画像と、ユーザ登録部518によって既に登録処理が行われているいずれかの印刷指U1の指爪画像とを比較し、両者が合致するか否かを判断して、両者が合致する場合に、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1が、ユーザ登録部518によって既に登録処理が行われている指であると判断してもよい。
この場合、登録有無判断部519は、例えば、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1について取得された爪部Tの高さ寸法や、幅寸法等といった爪部Tの形状に関する情報を、既に登録処理が行われているユーザの爪部Tに関する情報と比較し、両者が合致するか否かを判断して、合致する場合には既に登録処理が行われているユーザの爪部Tであると判断する。
【0049】
幅寸法測定部511は、撮影手段である撮影部30によって得られた爪領域画像(すなわち、印刷対象領域画像)の幅方向の長さ寸法を測定する幅寸法測定手段である。幅寸法測定部511は、印刷関連情報としての爪部の幅寸法を取得する印刷関連情報取得手段として機能する。
幅寸法測定部511が爪領域画像の幅方向の長さ寸法を測定する手法は特に限定されないが、例えば、事前に基準となる長さの画素数を測定してROM52等に記憶させておき、撮影部30により取得された爪領域画像の画素数をこの基準となる長さの画素数と比較することにより爪領域画像の画素数から爪領域画像の幅方向の長さ寸法を求める等の手法による。
本実施形態において、幅寸法測定部511は、まず、爪領域画像から左右のストレスポイントSpL,SpRを結んだライン(これを「基準ラインa0,b0」とする。)の長さ(すなわちa0,b0間の長さ寸法)を基準ラインa0,b0の幅寸法として取得する。さらに、この基準ラインa0,b0の上下複数個所について爪領域画像の幅寸法を基準ラインa0,b0の幅寸法を取得したのと同様の手法で取得する。例えば、
図10では、基準ラインa0,b0の幅寸法の他、この基準ラインa0,b0より下のラインa1,b1、ラインa2,b2、ラインa3,b3について幅寸法を取得した例を示しており、基準ラインa0,b0の幅寸法が10000μmであり、ラインa1,b1の幅寸法が8000μmであり、ラインa2,b2の幅寸法が5000μmであり、ラインa3,b3の幅寸法が200μmとなっている。
なお、幅寸法測定部511により何箇所のラインの幅寸法を取得するかは特に限定されないが、多くの箇所について幅寸法を取得するほど爪領域画像の形状を正確に把握することができ、精度の高い印刷を行うことができる。
【0050】
高さ寸法測定部512は、撮影部30により撮影されたスリット像を含む爪領域画像を取得して、このスリット像を分析し、これにより、印刷手段である印刷部40のインク噴射方向における爪部T(印刷対象物)の高さ寸法を算出するものであり、撮影部30とともに爪部Tの高さ方向の寸法を測定する高さ寸法測定手段を構成している。本実施形態においては、高さ寸法測定手段は、少なくとも左右のストレスポイントSpL,SpRを結んだライン上の爪部Tの幅方向の端部から1000μmの位置(
図11において「基準位置P」)の高さ方向の寸法を測定する。
高さ寸法測定部512が印刷部40のインク噴射方向における爪部Tの高さ寸法を測定する手法は特に限定されないが、本実施形態では、高さの違いによるスリット像の現れ方の違いから爪部Tの高さを算出するようになっている。なお、前述のように高さ寸法測定手段が爪部Tの高さ寸法を測定する手法は特に限定されず、例えば撮影部30によって爪部Tの側面にスポット光を照射して撮影を行った場合には、高さ寸法測定部512は、得られたスポット光像に基づいて爪部Tの高さを算出する。
なお、より精度の高い印刷を行うために、高さ寸法測定部512は、印刷対象物である爪部Tについて複数個所の高さ寸法を測定して、爪部Tの複数個所の高さ寸法を取得することが好ましい。この場合には、撮影部30は爪部Tの複数箇所においてスリット光を照射して撮影を行い、高さ寸法測定部512は、得られたスリット像に基づいて各部の爪部Tの高さを算出する。
【0051】
テーブル選択部513は、高さ寸法測定手段である撮影部及び高さ寸法測定部512により取得された爪部Tの高さ寸法に応じて、基本テーブル記憶手段であるROM52に記憶されている複数種類の噴射回数基本テーブルの中から当該爪部Tに適合する噴射回数基本テーブルを選択するテーブル選択手段である。
前述のように、本実施形態では、3種類の爪形状パターンA〜Cに対応して3種類の噴射回数基本テーブルがROM52に記憶されており、テーブル選択部513は、爪部Tの高さ寸法に応じて当該爪部Tの形状を分類し、その形状に最も適合する噴射回数基本テーブルを選択するようになっている。例えば、印刷対象となる爪部Tの基準位置Pの高さが2000μmより高ければ爪形状パターンAに分類され(
図11参照)、テーブル選択部513は爪形状パターンAに対応するパターンAの噴射回数基本テーブル(
図15参照)を選択する。また、爪部Tの基準位置Pの高さが1000μm以上200以下であれば爪形状パターンBに分類され(
図11参照)、テーブル選択部513は爪形状パターンBに対応するパターンBの噴射回数基本テーブル(
図15参照)を選択する。また、爪部Tの基準位置Pの高さが1000μmより低ければ爪形状パターンCに分類され(
図11参照)、テーブル選択部513は爪形状パターンCに対応するパターンCの噴射回数基本テーブル(
図15参照)を選択する。
例えば、ユーザ甲の親指の爪部Tに印刷を施す場合、
図9に示すように、甲の親指の爪形状パターンはAと分類されているため、ROM52に記憶されている噴射回数基本テーブルのうち、爪形状パターンAに対応する噴射回数基本テーブルAが適用される。
【0052】
調整テーブル作成部514は、基本テーブル記憶手段であるROM52に記憶されている噴射回数基本テーブル(ピッチ調整基本テーブル)に基づいて、幅寸法測定部511によって測定された爪領域画像(印刷対象領域画像)の幅方向の長さ寸法に対応した当該爪領域Ta(印刷対象面)の印刷に適用される個別のピッチ調整テーブルである噴射回数調整テーブルを作成するピッチ調整テーブル作成手段である。
調整テーブル作成部514は、まず、基準となる噴射回数調整テーブルを作成し、これに基づいて各ラインについての噴射回数調整テーブルを作成するようになっている。
【0053】
例えば、
図10に示す爪部Tについて各ラインの噴射回数調整テーブルを作成する場合には、調整テーブル作成部514は、まず、噴射回数基本テーブルに基づいて、基準となる噴射回数調整テーブルとして、基準ラインa0,b0の噴射回数調整テーブル(
図17参照)を作成する。前述のように、本実施形態において、噴射回数基本テーブルは、爪部Tの幅方向の端部から2000μmまでを100μm刻みを1単位(1項)とし、それぞれの項にインク噴射回数の値を指定したものであり(
図15において1項〜20項)、この1項から20項に割り当てられた噴射回数の値を、基準ラインa0,b0の左右の端部にそれぞれ端部から中央部に向かって1項から20項の順となるように割り当てる(
図17参照)。これにより、
図17に示すように、幅寸法が10000μmである基準ラインa0,b0の1項から20項及び81項から100項についての噴射回数の値が決定され、残りの21項から80項の部分については、噴射回数「1」が割り当てられる。この結果、爪部Tの両端部から1300μmの位置(すなわち、1項〜13項と88項〜100項)には噴射回数「2」以上が割り当てられ、これ以外の爪部Tの中央部分(すなわち、14項〜87項)には噴射回数「1」が割り当てられた噴射回数調整テーブルa0,b0が作成される。
【0054】
次に、この噴射回数調整テーブルa0,b0を基準として、爪部Tの他の幅寸法ax,bxの部分についての噴射回数調整テーブルを作成する。
具体的には、ax,bxの幅寸法が基準となる噴射回数調整テーブルを作成したa0,b0よりも大きい場合(ax,bx長さ>a0,b0長さ)には、噴射回数調整テーブルa0,b0における噴射回数の値「1」が割り当てられる部分(すなわち、噴射回数「1」が割り当てられる項)を必要な長さ分だけ増やし、長さax,bxの噴射回数調整テーブルax,bxを作成する。
逆に、ax,bxの幅寸法が基準となる噴射回数調整テーブルを作成したa0,b0よりも小さい場合(ax,bx長さ<a0,b0長さ)には、ax,bx長さ/a0,b0長さの比によって噴射回数調整テーブルa0,b0全体を縮小する。すなわち、噴射回数調整テーブルa0,b0の中心部分の噴射回数の値「1」が割り当てられている箇所を必要数減らす。また、噴射回数の値「2」以上が割り当てられている両端部の部分については全体の数をax,bx長さ/a0,b0長さの比によって縮小する。ただし縮小方法としては両端部の噴射回数の値の大きな部分から削減していく。
【0055】
すなわち、例えば
図18に示すように、幅寸法が8000μmであるラインa1,b1の場合には、8000μm/10000μmの比によって全体のテーブルを縮小し、噴射回数調整テーブルa0,b0では14項から87項までの74項あった噴射回数の値「1」が割り当てられた部分を11項から70項までの60項に減少させる。また、端部については、噴射回数調整テーブルa0,b0では両端部に1項から13項まで及び88項から100項まで、それぞれ13項あった噴射回数の値「1」以上が割り当てられた部分を1項から10項まで及び71項から80項まで、それぞれ10項に減少させる。そして、項数を減少させる際には、端部の噴射回数の値「4」、「3」が割り当てられている部分から削減する。
また、例えば
図19に示すように、幅寸法が5000μmであるラインa2,b2の場合には、5000μm/10000μmの比によって全体のテーブルを縮小し、噴射回数調整テーブルa0,b0では14項から87項までの74項あった噴射回数の値「1」が割り当てられた部分を8項から43項までの37項に減少させる。また、端部については、噴射回数調整テーブルa0,b0では両端部に1項から13項まで及び88項から100項まで、それぞれ13項あった噴射回数の値「1」以上が割り当てられた部分を1項から7項まで及び44項から50項まで、それぞれ7項に減少させる。そして、項数を減少させる際には、端部の噴射回数の値「4」、「3」が割り当てられている部分から削減する。
さらに、例えば
図20に示すように、幅寸法が200μmであるラインa3,b3の場合には、噴射回数調整テーブル全体で2項となり、200μm/10000μmの比によって全体のテーブルを縮小する。その結果、噴射回数調整テーブルa0,b0では14項から87項までの74項あった噴射回数の値「1」が割り当てられた部分が全て削除され、2項分にはそれぞれ噴射回数の値「3」が割り当てられる。
なお、ax,bxの幅寸法が基準となる噴射回数調整テーブルを作成したa0,b0の幅寸法と同じである場合には、噴射回数調整テーブルa0,b0をそのまま噴射回数調整テーブルax,bxとする。
【0056】
印刷用データ生成部515は、基本テーブル記憶手段であるROM52に記憶されている噴射回数基本テーブル(ピッチ調整基本テーブル)に応じて、元画像データ記憶手段であるROM52に記憶されている元画像データから幅寸法測定部511によって測定された爪領域Ta(印刷対象領域)の幅寸法に対応した印刷用データを生成する印刷用データ生成手段である。
本実施形態では、印刷用データ生成部515は、噴射回数基本テーブルに基づいて作成された各ラインごとの噴射回数調整テーブルに応じて印刷用データを生成するようになっている。
【0057】
本実施形態において、印刷用データ生成部515は、元画像データの各ラインについて、調整テーブル作成部514によって作成された噴射回数調整テーブルを参照しつつ印刷用データを生成する。インクの噴射回数を調整しない場合には、
図14に示すように端部に行くほど印刷濃度が薄くなってしまうが、このようにインクの噴射回数を端部に行くほど多くするように調整することにより、
図21(A)に示すように、端部まで印刷濃度を一定に保つことができる。
【0058】
印刷制御部516は、印刷用データ生成部515によって生成された印刷用データを印刷部40に出力し、印刷用データにしたがって爪部T(印刷対象物)の爪領域Ta(印刷対象面)に印刷を施すように印刷部40を制御する印刷制御手段である。
例えば、幅寸法a2,b2の部分に解像度20μmでインクを噴射していく場合、
図19に示す噴射回数調整テーブルa2,b2を参照し、記録ヘッド46が爪部Tの左端部から右側方向に向かう際には、爪領域Taへの最初のインク噴射回数は噴射回数調整テーブルa2,b2の値「3」となる。そこで、例えば1画素あたりの噴射回数が4回である場合、12回(4回×3)インクを噴射して100μm分(噴射回数調整テーブルa2,b2における1項分)の印刷を行う。そして、次の噴射回数調整テーブルa2,b2の値「3」を参照し、同様に印刷を行う。このように爪領域Taの幅寸法に応じて爪領域Taの全体について印刷を行う。
【0059】
なお、印刷用データにしたがってそのまま印刷すると、
図21(A)に示すように、端部においてデザインが伸びたり歪んだりしてしまい形が崩れた状態で印刷されてしまう。
そこで、本実施形態では、印刷制御部516は、印刷用データ生成部515によって生成された印刷用データを印刷部40に出力する際に、印刷用データを適宜間引くことにより、端部におけるデザインの伸びや歪みを生じないようにしている。
【0060】
具体的には、例えば
図17に示す噴射回数調整テーブルa0,b0のように、爪部Tの端部に噴射回数の値「4」が割り当てられている場合、1画素あたりのインク噴射回数を4回とすると、端部では、本来16画素分(4回×4)インクを噴射することとなる。この場合に、
図22に示すように、印刷制御部516が、2、3、4、6、7、8、10、11、12、14、15、16の画素を間引いて印刷用データを印刷部40に出力することにより、インクを噴射した総画素数は16であり平面の場合と同様であるが、1、5、9、13の画素しか印刷用データがないことから、この端部においては1/4に圧縮された画像が印刷されることとなり、これが実際の印刷対象面である爪領域Taの表面上で引き伸ばされた状態で印刷される。これにより、画素を間引いた分、解像度は多少落ちるものの、印刷濃度が端部まで均一でデザインの伸びや歪み、崩れ等のない良好な状態で印刷することができる。
【0061】
本実施形態において、印刷制御部516は、登録有無判断部519により、印刷指挿入部20aに挿入されている印刷指U1が既にユーザ登録部518による登録処理が行われている指であると判断したときに、当該印刷指U1に対応する印刷関連情報に応じて、当該印刷指U1についての印刷処理を行うように印刷部40を制御するようになっている。
【0062】
表示制御部517は、表示手段としての表示部13に各種の表示を表示させる表示制御手段である。本実施形態では、表示制御部517は、前述のようにデザイン選択画面、デザイン確認画面、各種の指示画面や確認画面等を表示部13に表示させるようになっている。
【0063】
なお、これらの各機能部の他、制御部51に、撮影部30により撮影された指爪画像に含まれている爪部Tの爪領域画像から爪部Tの輪郭を抽出する爪輪郭抽出手段としての爪輪郭抽出部を設けて、指爪画像から爪部Tの輪郭を抽出するようにしてもよい。
また、複数の印刷指U1について撮影部30により複数の印刷指U1に対応する複数の指爪画像(爪部Tについての爪領域画像を含む印刷指U1の画像)が取得された場合に、各指爪画像から各指の種類を検出する指種類検出手段としての指種類検出部を制御部51に設けてもよい。この場合、指種類検出部は、例えば指爪画像の配置、長さ寸法や幅寸法等に基づいて各指爪画像の指種類を検出する。
【0064】
次に、本実施形態における印刷制御処理について、
図23から
図29を参照しつつ説明する。
【0065】
図23に示すように、印刷制御処理の全体の流れとしては、まず、印刷指U1が印刷指挿入部20aに挿入されると、制御部51は、
図27に示すような登録有無確認画面を表示部13に表示させる(ステップS1)。登録有無確認画面には、ユーザ登録をする場合に操作する「YES」釦131、ユーザ登録を行わない場合に操作する「NO」釦132、既にユーザ登録を行っている場合に操作する「ユーザ登録済」釦133が表示されており、登録有無判断部519は、印刷指U1が登録済みか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、ユーザが「ユーザ登録済」釦133を操作したか否かを判断し、「ユーザ登録済」釦133を操作した場合(ステップS2;YES)には、登録されている印刷関連情報に応じて爪印刷処理(
図25参照)が行われる(ステップS3)。なお、前述のように、撮影部30によりユーザの爪部Tの爪領域画像(印刷対象領域である爪領域Taの画像)を取得して、登録有無判断部519は、この画像から得られる爪部Tの高さや形状等の情報が既登録の印刷関連情報のいずれかと合致するか否かを比較することによりユーザ登録済みか否かを判断してもよい。
他方、「ユーザ登録済」釦133が操作されなかった場合(ステップS2;NO)には、さらに、ユーザ登録を行うか否か(すなわち、
図27の登録有無確認画面において「YES」釦131が操作されたか否か)が判断される(ステップS4)。「YES」釦131が操作されない場合(ステップS4;NO)には、ユーザ登録を行わずに直ちに爪印刷処理(
図25参照)が行われる(ステップS3)。このように登録を行わずに印刷処理を行うことができるようにしておくことにより、例えば、ユーザの友人が一度だけネイルプリント装置1を使用する場合等は、ユーザ登録を行わずに、簡易に印刷処理を行うことができる。
「YES」釦131が操作された場合(ステップS4;YES)には、爪形状登録を行うか否かを問い合わせる問合せ画面(
図28参照)が表示部13に表示される(ステップS5)。問合せ画面には、ユーザが爪形状登録をする場合に操作する「YES」釦135、ユーザが爪形状登録を行わない場合に操作する「NO」釦136が表示されており、制御部51は、「YES」釦135が操作されたか否かを判断する(ステップS6)。「YES」釦135が操作された場合(ステップS6;YES)には、個人爪登録処理(
図24参照)を行う(ステップS7)。これに対して、「YES」釦135が操作されなかった場合(ステップS6;NO)には、好みのネイルデザインの登録等、爪形状登録以外の登録処理が行われる(ステップS8)。
【0066】
次に、個人爪登録処理(
図23のステップS7)について説明する。
個人爪登録処理を行う場合には、まず、ユーザが印刷対象となる印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、印刷指U1がセットされると、
図24に示すように、撮影部30により当該印刷指U1の爪部Tの爪領域画像が取得される(ステップS11)。そして、幅寸法測定部511により、例えば爪部TのストレスポイントSpL、SpR間の幅方向の長さ寸法が取得され(ステップS12)、その中心位置(すなわち、ストレスポイントSpL、SpRを結ぶ線上の中心点)である基準点Cpの位置情報を取得する(ステップS13)。そして、指を回転させるよう指示する指回転指示画面を表示部13に表示させる(ステップS14)。撮影部30は回転する指の画像を随時取得し(ステップS15)、制御部51は、この画像から基準点Cpが指の画像の端部に来たか否かを常に判断する(ステップS16)。そして、基準点Cpが指の画像の端部に来ていないと判断されるとき(ステップS16;NO)は、撮影部30による指の画像の取得(ステップS15)とステップS16の判断を繰り返す。他方、基準点Cpが指の画像の端部に来たと判断したとき(ステップS16;YES)は、この時点における基準点Cpと爪部TのストレスポイントSpL、SpRとの間の長さを爪部Tの高さ方向の寸法H(
図6(B))として取得する(ステップS17)。
爪部Tの高さ方向の寸法Hが取得されると、テーブル選択部513が当該高さ寸法に対応する爪形状パターンを選択する(ステップS18)。選択された爪形状パターンは、印刷関連情報として、ユーザ登録部518によりユーザの個人識別情報と対応付けられてRAMの個人登録レジスタ53a等の記憶部に記憶される(ステップS19)。
制御部51は、ユーザの全ての指について高さ寸法の取得及び爪形状パターンの選択が完了したか否かを常に判断し(ステップS20)、全ての指について完了していない場合(ステップS20;NO)は、完了するまでステップS11からステップS19の処理を繰り返す。他方、全ての指について完了した場合(ステップS20;YES)は、個人爪登録処理を終了する。なお、全ての指とは、両手の10本の指でもよいし、左右の手指で大きな差異がない場合には、左右いずれかの手の5本の指について処理が完了したことをもって全ての指についての処理が完了したものとしてよい。
【0067】
爪印刷処理を行う場合には、
図25に示すように、まず、ユーザ選択画面(
図29参照)が表示部13に表示され(ステップS31)、ユーザ個人の識別が行われる(ステップS32)。ユーザ選択画面には、ユーザ選択釦137が表示されており、ユーザは、その中からユーザ自身を選択する。登録有無判断部519は、ユーザ選択画面において選択されたユーザが既に爪形状の登録を行っているか否かを判断し(ステップS33)、登録を行っていないユーザである場合(ステップS33;NO)には、デフォルトで定められた爪形状パターン(例えば
図12(B)に示す爪形状パターンB)を適用し、ステップS37以下の処理を行う。
他方、登録済みのユーザである場合(ステップS33;YES)には、まず、ユーザにより爪部Tに印刷したいネイルデザインが選択される(ステップS34)。次に、選択されたユーザの爪部Tの印刷関連情報をRAM53の個人登録レジスタ53aから読み出し、当該印刷関連情報に含まれている爪形状パターンを読み込む(ステップS35)。そして、この爪形状パターンに対応するピッチ調整基本テーブルとしての噴射回数基本テーブル(例えば、爪形状パターンAに対応するパターンAの噴射回数基本テーブル。
図15参照)がテーブル選択部513により選択される(ステップS36)。
次に、
図26に示すように、幅寸法測定部511が、爪部Tの幅方向の基準となるライン(本実施形態では、ストレスラインSpLとSpRとを結んだラインである基準ラインa0,b0)の長さを測定する(ステップS37)。測定された幅寸法はRAM53の個人登録レジスタ53a等の記憶手段に記憶される(ステップS38)。なお、幅寸法測定部511はこの基準となるライン以外のラインについても複数個所幅方向の長さを取得してもよい。
次に、調整テーブル作成部514は、噴射回数基本テーブルに基づいて、まず、基準となるライン(本実施形態では、基準ラインa0,b0)の長さに応じた噴射回数調整テーブルa0,b0(
図17参照)を作成する(ステップS39)。さらに、調整テーブル作成部514は、印刷するそれぞれの箇所について当該箇所の幅方向の長さ寸法に対応する噴射回数調整テーブル(
図18から
図20参照)を作成する(ステップS40)。そして、印刷用データ生成部515は、作成された噴射回数調整テーブルを参照しつつ、元画像データから印刷用データを生成し(ステップS41)、印刷制御部516は、この印刷用データを印刷部40に出力して、記録ヘッド46から噴射回数調整テーブルに応じた噴射回数インクを噴射させ、各ラインについて順次印刷を行う(ステップS42)。なお、この際、印刷制御部516は印刷用データを適宜間引いて印刷部40に出力することにより、爪部Tの端部において伸びのない良好な画像を印刷することができる。制御部51は、全ての指について印刷が完了したか否かを判断し(ステップS43)、全ての指について印刷が完了している場合(ステップS43;YES)には、処理を終了し、全ての指について印刷が完了してない場合(ステップS43;NO)にはステップS40からステップS42の処理を繰り返す。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザの印刷指について爪形状パターン等の印刷関連情報を取得して、これをユーザの個人識別情報と対応付けて記憶させるユーザ登録処理を行う。そして、既に登録されているユーザについては、登録されている印刷関連情報を用いて印刷を行うことができる。このため、一旦登録を行なった後は、印刷の度に爪部Tの高さや幅寸法を測定する等の手間を省くことができ、簡易迅速に自分の爪部Tに合ったネイルプリントを行うことができる。
また、印刷関連情報として爪部Tの高さ寸法の情報を持ち、爪領域(印刷対象面)の幅方向の中央部よりも幅方向の両端部の方が印刷部40による印刷の際の印刷ピッチが細かくなるように対応付けられた複数種類のピッチ調整基本テーブルの中から、ユーザの爪部Tの高さ寸法に対応するピッチ調整基本テーブルを選択して適用することができる。このため、元画像データをユーザの爪部Tの形状に合わせて変換し印刷用のデータを生成することができ、湾曲形状をした爪部Tについて印刷する場合でも、端部まで印刷濃度が均一で、画像の伸びや歪み等も生じない高精細な画像を印刷することができる。
また、印刷指挿入部20aに挿入されたユーザの印刷指U1が既に登録されているものか否かを登録有無判断部519が判定する手法として、撮影部30によって撮影された印刷指U1の画像と既に登録処理が行われている印刷指の指爪画像とを比較し、両者が合致する場合に、当該印刷指U1が既に登録処理が行われている指であると判断するように構成した場合には、ユーザが既登録か否かを自ら入力しなくても自動的に判別できる。このため、ユーザの手間を省くことができ、より迅速な処理を行うことができる。
【0069】
[第2の実施の形態]
次に、
図30から
図36を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ネイルプリント装置が備えているピッチ調整基本テーブルが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0070】
本実施形態におけるネイルプリント装置は第1の実施形態とほぼ同様の装置構成を備えている。
【0071】
本実施形態では、ネイルプリント装置の制御装置50のROM52には、ピッチ調整基本テーブルとして、印刷対象面である爪領域Taの幅方向の中央部よりも幅方向の両端部の方が多くの単位画素データが割り付けられるように元画像データにおける画素を再配分する画像変換基本テーブルが記憶されている。
【0072】
図30は、ピッチ調整基本テーブルとしての画像変換基本テーブルの一例である。
図30に示すように、画像変換基本テーブルは、噴射回数基本テーブルと同様に、爪形状パターンA〜Cに応じて3種類用意されている。画像変換基本テーブルは、幅方向の両端部が低く中央部近傍が高く盛り上がった湾曲形状をなす印刷対象面である爪領域Taを有する爪部Tの全域において印刷に必要な記録濃度(以下「必要濃度」とする。)が確保されるように単位画素データの割り付け量を調整するものである。
【0073】
本実施形態では、制御部51のテーブル選択部513は、ROM52に記憶されている爪形状パターンA〜Cに応じた3種類の画像変換基本テーブル(
図30参照)の中からユーザの爪部Tの高さに応じて、適切な画像変換基本テーブルを選択するようになっている。画像変換基本テーブルは、第1の実施形態で示した噴射回数基本テーブルと同様に、爪部の幅方向の端部から2000μmまでを100μm刻みの項に分けて、各項に単位画素データ数の値を指定したものである(
図30において1項〜20項)。
【0074】
また、調整テーブル作成部514は、テーブル選択部513によって選択された画像変換基本テーブルに基づいてユーザの爪部Tの幅寸法に応じた画像変換調整テーブルを作成する。
調整テーブル作成部514は、第1の実施形態と同様に、まず爪部Tの基準ラインa0,b0についての画像変換調整テーブルを作成する。
図31及び
図32は、基準ラインa0,b0が10000μmの場合の画像変換調整テーブルの例を示したものである。例えば
図26における「a1」は、
図30に示す画像変換基本テーブルにしたがって、
図32に示すように「4」に対応付けられており、
図31における「a2」は、
図30に示す画像変換基本テーブルにしたがって、
図32に示すように「3」に対応付けられている。
すなわち、調整テーブル作成部514は、画像変換基本テーブルの1項から20項の各項に割り当てられた単位画素データ数の値を、基準ラインa0,b0の左右の端部にそれぞれ端部から中央部に向かって1項から20項の順となるように割り当てる(
図32参照)。これにより、
図32に示すように、幅寸法が10000μmである基準ラインa0,b0の1項から20項及び81項から100項についての単位画素データ数の値が決定され、残りの21項から80項の部分については、単位画素データ数「1」が割り当てられる。この結果、両端部から1300μmの位置(すなわち、1項〜13項と88項〜100項)には単位画素データ数「2」以上が割り当てられ、これ以外の爪部Tの中央部分(すなわち、14項〜87項)には単位画素データ数「1」が割り当てられた画像変換調整テーブルa0,b0が作成される。
さらに、調整テーブル作成部514は、この基準となる基準ラインa0,b0についての画像変換調整テーブルを縮小等することにより、各幅寸法ax,bxの部分も対応した個々の画像変換調整テーブルを作成する。
なお、
図33は、a2,b2の幅寸法が5000μmの場合(
図10参照)の画像変換調整テーブルの例を示したものである。なお、幅寸法ax,bxの部分に対応した画像変換調整テーブルの作成手法は第1の実施形態で説明したものと同様であることから、その説明を省略する。
【0075】
図34(A)及び
図34(B)は、画像変換調整テーブルに基づく元画像データの変換を模式的に示した説明図である。
例えば、
図34(A)及び
図34(B)に示すように、画像変換調整テーブルがT1からT8までの8項で構成され、爪部Tの端部に当たるT1とT8には「3」、T2とT7には「2」、それ以外の中央部分には「1」の単位画像データを割り付けるように対応付けられている場合、各項に割り付けられている割り付け数の和は「14」となっている。
そこで、この場合には、爪領域Taに印刷すべき元画像データを14ブロックに分割し、単位画素データの総数を「14」とする。そして、画像変換テーブルのT1の項には「3」の値が対応付けられていることから、14ブロックに分割された単位画素データのうち、3ブロック分のイメージデータが割り付けられる。この結果、
図34(A)に示すように、T1の項に対応する爪部T上の領域では、「1」の値が対応付けられているT3やT4に比べて、印刷の精細性が3倍の精細さで印刷されることとなる。
すなわち、
図34(A)に示すように、インク噴射方向における印刷部40との距離が幅方向の中央部では小さな距離L1であり、幅方向の端部に行くほど大きな距離L2となる湾曲形状をなす爪領域Taを有する爪部Tに対して印刷を行うにあたり、爪領域Taの幅方向の中央部の印刷ピッチP1よりも幅方向の両端部の方の印刷ピッチP2が印刷部40による印刷の際の印刷ピッチが細かくなるように対応付けられたピッチ調整基本テーブルに応じて、爪領域Taに印刷すべき画像の元画像データから爪領域画像の幅寸法に対応した印刷用データを生成し、この印刷用データにしたがって爪領域Taに印刷を施す。
【0076】
また、例えば、端部における領域に「4」の値が対応付けられている場合であって1画素あたりの噴射回数を4とした場合には、
図35に示すように、爪部Tの端部において、総画素数16画素(4×4)が印刷(噴射)される。このため、爪部Tの端部まで平面に印刷するのと同等の精細さを確保することができる。
このように画像変換基本テーブルに基づいて元画像データを変換することにより、爪部Tの形状に応じた印刷が可能になり、印刷すべきデザイン(元画像データの表されているデザイン)を爪部T上に印刷した際に、例えば
図36に示すような、伸びや歪み等の変形や印刷濃度の低下等が生じず、高精細な画像を印刷することができる。
【0077】
なお、ネイルプリント装置の性能において、仮にこの印刷精度を実現することができない場合(すなわち、印刷解像度が不足している場合)には、例えばT1、T2、T7、T8の項に対応する領域では画像データを必要な分解能まで適正に間引くことにより印刷されるデザインが伸びや歪みを生じないように正しく印刷することができる。
【0078】
なお、その他の構成は、第1の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
次に、本実施形態における印刷制御処理について説明する。
本実施形態においても、爪印刷処理を行う前に、事前にユーザの登録処理を行い、爪部Tの高さ情報、この爪部Tの高さに応じた爪形状パターンの分類結果等の印刷関連情報がユーザの氏名等の個人識別情報と対応付けられてRAM53の個人登録レジスタ53a等に記憶される。
【0080】
爪印刷処理(
図27参照)を行う場合には、まず、ユーザが登録済みか否かを判断し、未登録であればデフォルトの爪形状パターンに当てはめて以後の爪印刷処理を行う。他方、ユーザが登録済みの場合には、印刷関連情報に含まれる爪形状パターンの分類結果に応じて適用する画像変換基本テーブルを選択する。
次に、幅寸法測定部511が、爪部Tの幅方向の基準となるライン(本実施形態では、ストレスラインSpLとSpRとを結んだラインである基準ラインa0,b0)の長さを測定する。測定された幅寸法はRAMの個人登録レジスタ53a等の記憶手段に記憶される。なお、幅寸法測定部511はこの基準となるライン以外のラインについても複数個所幅方向の長さを取得してもよい。
次に、調整テーブル作成部514は、選択された画像変換基本テーブルに基づいて、まず、基準となるライン(本実施形態では、基準ラインa0,b0)の長さに応じた画像変換調整テーブルa0,b0(
図31及び
図32参照)を作成する。さらに、調整テーブル作成部514は、印刷するそれぞれの箇所について当該箇所の幅方向の長さ寸法に対応する画像変換調整テーブル(
図33参照)を作成する。そして、印刷用データ生成部515は、作成された画像変換調整テーブルを参照しつつ、元画像データから印刷用データを生成し、印刷制御部516は、この印刷用データを印刷部40に出力して、記録ヘッ46ドから画像変換調整テーブルに応じた単位画素データ数に応じてインクを噴射させ、各ラインについて順次印刷を行う。
なお、その他の処理については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザの印刷指について爪形状パターン等の印刷関連情報を取得して、これをユーザの個人識別情報と対応付けて記憶させるユーザ登録処理を行う。そして、既に登録されているユーザについては、登録されている印刷関連情報を用いて印刷を行うことができる。このため、一旦登録を行なった後は、印刷の度に爪部Tの高さや幅寸法を測定する等の手間を省くことができ、簡易迅速に自分の爪部Tに合ったネイルプリントを行うことができる。
また、印刷関連情報として爪部Tの高さ寸法の情報を持ち、爪領域(印刷対象面)の幅方向の中央部よりも幅方向の両端部の方が印刷部40による印刷の際の印刷ピッチが細かくなるように対応付けられた複数種類のピッチ調整基本テーブルの中から、ユーザの爪部Tの高さ寸法に対応するピッチ調整基本テーブルを選択して適用することができる。このため、元画像データをユーザの爪部Tの形状に合わせて変換し印刷用のデータを生成することができ、湾曲形状をした爪部Tについて印刷する場合でも、端部まで印刷濃度が均一で、画像の伸びや歪み等も生じない高精細な画像を印刷することができる。
また、印刷指挿入部20aに挿入されたユーザの印刷指U1が既に登録されているものか否かを登録有無判断部519が判定する手法として、撮影部30によって撮影された印刷指U1の画像と既に登録処理が行われている印刷指の指爪画像とを比較し、両者が合致する場合に、当該印刷指U1が既に登録処理が行われている指であると判断するように構成した場合には、ユーザが既登録か否かを自ら入力しなくても自動的に判別できる。このため、ユーザの手間を省くことができ、より迅速な処理を行うことができる。
また、ピッチ調整基本テーブルとしての画像変換基本テーブルを、印刷対象物(爪部T)の高さに応じて複数(本実施形態では爪形状パターンAからCに対応した3種類)備えており、事前に取得され登録されたユーザの爪部Tの高さに合う画像変換基本テーブルを選択できるようになっている。このため、ユーザの爪部Tの形状に合ったピッチ調整(単位画素データの割り当て数調整)を行うことができ、より確実に印刷濃度の低下やデザインの伸びや歪み等のない高精細な画像を印刷することができる。
【0082】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0083】
例えば、上記各実施形態では、ユーザの爪部Tの形状を爪形状パターンA〜Cに分類し、ピッチ調整基本テーブルもこの爪形状パターンA〜Cに対応して3種類備えている場合を例としたが、ユーザの爪部Tの形状を爪形状パターンA〜Cに分類することは、本発明の必須の要素ではない。
例えば、ピッチ調整基本テーブルとしての噴射回数基本テーブル又は画像変換基本テーブルを1種類だけ備え、これに基づいて印刷対象面である爪領域の幅方向の中央部よりも幅方向の両端部の方が印刷部40による印刷の際の印刷ピッチが細かくなるようにピッチ調整を行うようにしてもよい。
この場合には、爪部Tの高さ方向の寸法を取得する必要もなく、撮影部30により爪領域画像を取得したら、ピッチ調整基本テーブルを参照して元画像データからユーザの爪領域Taの幅方向の長さ寸法に応じた印刷用データを生成し、この印刷用データに従って爪印刷処理を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態では爪部の高さを取得する際に、ユーザ自らが指を回転させる構成としたが、爪部Tの高さを取得する構成はこれに限定されない。
例えば、
図37に示すように、指を真横にした状態で支持することのできる治具71を設けて、指を真横にした状態で固定し、撮影部30による撮影を行い、基準点Cpと爪部TのストレスポイントSpL、SpRとの間の長さを爪部Tの高さ方向の寸法H(
図6(B))として取得する構成とすることもできる。この場合には、ユーザによる指回転動作を行う必要がない。
【0085】
また、本実施形態では、ユーザが印刷指U1を回転させ、当該印刷指U1の基準点Cpの位置を撮影部30がカメラ32等により追尾して基準点Cpが端部に来た状態の画像から爪部Tの高さ方向の寸法を取得するものとしたが、爪部Tの高さ方向の寸法を取得する手法はこれに限定されない。
例えば、
図38及び
図39に示すように、照明灯33とは別個の照明手段として、印刷指U1の爪部Tに対してスリット光を斜め方向から照射可能に構成されたスリット光照射手段35を設けて、スリット像を撮影することにより爪部Tの高さ方向の寸法を取得してもよい。すなわち、スリット光を照射すると爪部Tの表面にスリット像が表出し、これをカメラ32で撮影してスリット像を含む爪領域画像を取得する。そして、取得されたスリット像を高さ寸法測定部512において分析し、爪部Tの高さを算出する。なお、別途スリット光照射手段35を設けずに、照明灯33の少なくとも一部が、爪部Tに対してスリット光を斜め方向から照射可能に構成されていてもよい。また、照射する光はスリット光に限定されず、スポット光を斜め方向から照射して、その影の現れ方を分析することにより爪部Tの高さを算出してもよい。
【0086】
また、上記各実施形態では、印刷手段である記録ヘッドのインク噴射方向における印刷手段との距離が幅方向の中央部では小さく、幅方向の端部に行くほど大きくなる湾曲形状をなす印刷対象面を有する印刷対象物に対して印刷を行う装置を例とし、爪部の高さ情報を印刷関連情報として登録する場合を例として説明しているが、本発明はこのような爪部の高さ情報を印刷関連情報として登録するものに限定されない。
すなわち、例えばユーザの爪の長さや幅寸法等、爪形状に関する情報や、ユーザの選択するネイルデザインの傾向等を印刷関連情報として登録しておき、一旦登録した後は、印刷の際に、登録された情報に基づいて印刷を行うようにすることにより、ユーザの爪形状や好みに合ったネイルプリントを簡易迅速に行うことが可能となる。
【0087】
また、上記各実施形態では、基準となるピッチ調整テーブル(噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブル)として基準ラインa0,b0についての噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブルを作成し、その他に、ラインa1,b1、ラインa2,b2等についてもそれぞれ個別の噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブルを作成して、これを参照しつつ印刷用データを作成する例について説明したが、基準ラインa0,b0についての噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブル以外のテーブルを作成することは必須ではない。
基準となる噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブルを作成したら、印刷時に、この基準となる噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブルを参照して、印刷箇所ごとの幅寸法に応じて噴射回数や単位画素データの割り付け数を設定し、印刷を行うようにしてもよい。
さらに、基準となる噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブルも作成せずに、ピッチ調整基本テーブルとしての噴射回数基本テーブル又は画像変換基本テーブルを直接参照して、元画像データからユーザの爪領域Taの幅方向の長さ寸法に応じた印刷用データを生成し、この印刷用データに従って爪印刷処理を行うようにしてもよい。
すなわち、ピッチ調整基本テーブルの値と印刷幅、印刷位置から毎回噴射回数や単位画素の割り当て数を求めてもよい。また、この場合には、毎回噴射回数や単位画素の割り当て数が印刷位置に対してリニアに変化するようにしてもよい。この場合には、調整テーブル作成部514を設ける必要がない。
また、印刷用データ生成部515を設けずに、印刷制御部516が、印刷時に、随時ピッチ調整基本テーブル又はこれに基づいて生成されたピッチ調整テーブルを参照しつつ印刷用データを印刷部40に出力するようにしてもよい。
【0088】
また、噴射回数調整テーブル又は画像変換調整テーブルは100μm刻みで値が指定されたテーブルとしたが、印刷部40の噴射解像度に合わせた1ライン分のデータテーブルとしてもよい。
【0089】
また、上記第1の実施形態では、ピッチ調整基本テーブルとして噴射回数基本テーブルを備え、第1の実施形態では、ピッチ調整基本テーブルとして画像変換基本テーブルを備える例を挙げて説明したが、ピッチ調整基本テーブルは噴射回数基本テーブル、画像変換基本テーブルのいずれか1つである必要はなく、両者を掛け合わせて適用してもよい。
例えば、ピッチ調整基本テーブルとして画像変換基本テーブルを備える場合に、画像データの間引きを行うことなく印刷した場合には噴射回数の調整を行うことは不要であり、全て平面の部分と同じように印刷すれば足りるが、印刷部40の印刷解像度が不足している場合には、画像データの間引きを行う必要がある。この場合には噴射回数基本テーブルを合わせて適用し、インクの噴射回数を調整することによって、画像データの間引きが行われた部分の印刷濃度が低下しないように調整することが好ましい。
【0090】
また、噴射回数基本テーブルを画像変換基本テーブルとして使用してもよい。
【0091】
また、高さ寸法測定部512は、印刷対象物である爪部Tについて複数個所の高さ寸法を測定して、複数個所の高さ寸法を取得するものとしてもよい。この場合には、高さの異なる部分には、それぞれ当該高さに応じた噴射回数基本テーブル(ピッチ調整基本テーブル)を適用するようにする。このように高さに応じて細かく噴射回数基本テーブル(ピッチ調整基本テーブル)を変えて適用することにより、よりユーザの爪部Tの形状に合致したピッチ調整を行うことができ、印刷濃度の低下やデザインの伸びや歪み等のない高精細な画像を印刷することができる。
【0092】
その他、本発明が本実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0093】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
ユーザの爪部に印刷を施す印刷手段を備えるネイルプリント装置において、
印刷しようとする爪部に対応する指である印刷指を挿入する印刷指挿入部と、
この印刷指挿入部に挿入されたユーザの印刷指について印刷関連情報を取得する印刷関連情報取得手段と、
ユーザの個人識別情報を入力する識別情報入力手段と、
前記識別情報入力手段において入力された個人識別情報と当該個人識別情報に対応するユーザについて前記印刷関連情報取得手段により取得された前記印刷関連情報とを対応付けて既登録情報として記憶させる登録処理を行うユーザ登録手段と、
前記ユーザ登録手段によって記憶された前記既登録情報と前記印刷指挿入部に挿入された印刷指について取得された情報とが合致するか否かを判断することにより、前記印刷指挿入部に挿入された印刷指が前記ユーザ登録手段によって既に登録処理が行われているか否かを判断する登録有無判断手段と、
この登録有無判断手段により既に登録処理が行われていると判断されたときに、当該印刷指に対応する前記印刷関連情報に応じて、当該印刷指についての印刷処理を行うように前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
<請求項2>
前記印刷関連情報取得手段は、前記印刷指の爪部の高さ寸法を取得する高さ取得手段を含み、
前記印刷対象面の幅方向の中央部よりも幅方向の両端部の方が前記印刷手段による印刷の際の印刷ピッチが細かくなるように対応付けられたピッチ調整基本テーブルを記憶する基本テーブル記憶手段と、
この基本テーブル記憶手段に記憶されている複数種類の前記ピッチ調整基本テーブルの中から前記高さ取得手段によって取得された爪部の高さ寸法に対応するピッチ調整基本テーブルを選択するテーブル選択手段と、をさらに備え、
前記印刷関連情報は、前記テーブル選択手段によって選択されたピッチ調整基本テーブルの情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
<請求項3>
前記印刷関連情報取得手段は、前記印刷指挿入部に挿入された印刷指を撮影して指爪画像を取得する撮影手段を含むとともに、
前記印刷関連情報は、前記撮影手段により取得された印刷指の指爪画像を含み、
前記登録有無判断手段は、前記印刷指挿入部に前記印刷指が挿入されたときに、前記撮影手段により取得された当該印刷指の指爪画像が、前記ユーザ登録手段によって既に登録処理が行われている印刷指の指爪画像と合致するか否かを判断し、両者が合致する場合に、前記印刷指挿入部に挿入された印刷指が、前記ユーザ登録手段によって既に登録処理が行われていると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
<請求項4>
印刷手段によってユーザの爪部に印刷を施すネイルプリント装置の印刷制御方法において、
印刷しようとする爪部に対応する指である印刷指を挿入する印刷指挿入部に挿入されたユーザの印刷指について印刷関連情報を取得する印刷関連情報取得ステップと、
ユーザの個人識別情報を入力する識別情報入力ステップと、
前記識別情報入力ステップにおいて入力された個人識別情報と当該個人識別情報に対応するユーザについて前記印刷関連情報取得ステップにおいて取得された前記印刷関連情報とを対応付けて既登録情報として記憶させる登録処理を行うユーザ登録ステップと、
前記ユーザ登録ステップにおいて記憶された前記既登録情報と前記印刷指挿入部に挿入された印刷指について取得された情報とが合致するか否かを判断することにより、前記印刷指挿入部に挿入された印刷指が前記ユーザ登録ステップにおいて既に登録処理が行われているか否かを判断する登録有無判断ステップと、
この登録有無判断ステップにおいて既に登録処理が行われていると判断されたときに、当該印刷指に対応する前記印刷関連情報に応じて、当該印刷指について印刷を行うように前記印刷手段を制御する印刷制御ステップと、を含んでいることを特徴とする印刷制御方法。