(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119967
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】濾過ユニット、及び濁水処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/01 20060101AFI20170417BHJP
B01D 35/027 20060101ALI20170417BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
B01D29/04 530A
B01D29/04 510A
B01D29/04 510D
B01D29/04 510F
B01D35/02 F
B01D23/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-281950(P2012-281950)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-124564(P2014-124564A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500133587
【氏名又は名称】株式会社ウエスコット
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 公聖
(72)【発明者】
【氏名】宮本 容幸
【審査官】
中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−225455(JP,A)
【文献】
特開2012−143728(JP,A)
【文献】
米国特許第06245701(US,B1)
【文献】
特開平02−099109(JP,A)
【文献】
実開平05−049001(JP,U)
【文献】
特開平08−057219(JP,A)
【文献】
実開昭63−193512(JP,U)
【文献】
実開平04−026100(JP,U)
【文献】
実開昭59−142003(JP,U)
【文献】
実開昭58−183213(JP,U)
【文献】
特開2007−237007(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/003383(WO,A1)
【文献】
実開昭49−84760(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00−24/48
B01D 29/00−29/96
B01D 35/00−35/04
B01D 35/10−35/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁水を浄化する濾過フィルターを、横に並べて上下に重ねるとともに、横に並べた接合部が上下で連続しない状態で枠体内に収容し、上下面が網体で形成された濾過カートリッジと、
前記濾過カートリッジを上下に重ねて収容するボックスと、
前記ボックスの四隅の支柱を兼ねて前記ボックスを支える脚と、
前記ボックスの上面四隅の吊治具と、を備えることを特徴とする濾過ユニット。
【請求項2】
前記ボックスは底面に開口を備えることを特徴とする請求項1に記載の濾過ユニット。
【請求項3】
水槽内に、請求項1または2に記載の濾過ユニットを設置したことを特徴とする濁水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濁水を浄化する濾過フィルターを組み込んだ濾過カートリッジを含む濾過ユニットと、その濾過ユニットを備える濁水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、沈殿物によって埋まることによるフィルター有効面積の低減を防止するため、濁水を浄化するフィルターをタンク内に横置きに設置する濁水処理装置を提案した。
具体的には、フィルターは濾過材料を円柱状に形成したもので、その円柱状のフィルターを上下で向きを互い違いに設置する。そして、ノッチタンク内において、フィルターを、下方に流入口を有する流入側仕切り材と、上方に排水口を有する排水側仕切り材との間に設置する。
【0003】
さらに、本出願人は、特許文献2において、沈殿物によって埋まることによるフィルター有効面積の低減を防止しながら、タンク内に簡単に設置できるようにするため、濁水を浄化するフィルターを横置きに並べて収容するカートリッジと、このカートリッジの下面周囲に着脱可能に取り付けられる脚と、を備える濾過ユニットを提案した。
具体的には、カートリッジは、上下に複数段重ねられる。そのカートリッジは、枠体の上下面に網体を着脱可能に取り付けて構成される。そして、カートリッジの外周面に、タンク内面との漏水防止用のパッキング材を備える。また、網体の周囲に、上下に重ねられるカートリッジとの漏水防止用のパッキング材を備える。
【0004】
このように従来、円柱状に成形されたフィルターをカートリッジ式にして取扱い等を容易にし、また、フィルター間及びフィルター外周にはゴムやスポンジ製の漏水防止材を取り付け、カートリッジ式の漏水防止対策としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−161389号公報
【特許文献2】特開2012−143728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、カートリッジ枠外周と水槽の空隙にもゴムやスポンジ製の漏水防止材を取り付けていたが、供用時の水圧による水槽の変形に追随するのには限界があり、この部分が漏水の原因となることがあった。また、変形により仕切板とノッチタンクの溶接部分が破断する等の問題点があった。
【0007】
本発明の課題は、水槽が外側に変形しても漏水の心配が無い濾過ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
濁水を浄化する濾過フィルターを
、横に並べて上下に重ねるとともに、横に並べた接合部が上下で連続しない状態で枠体内に収容し、上下面が網体で形成された濾過カートリッジ
と、
前記濾過カートリッジを上下に重ねて収容するボックスと、
前記ボックスの四隅の支柱を兼ねて前記ボックスを支える脚と、
前記ボックスの上面四隅の吊治具と、を備える濾過ユニットを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の濾過ユニットであって、
前記ボックスは底面に開口を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
水槽内に、請求項1または2に記載の濾過ユニットを設置した濁水処理装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、濾過ユニットのボックスが水槽と独立しているので、水槽が外側に変形しても漏水の心配が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明を適用した濾過フィルターの一実施形態の構成を示す斜視図である。
【
図3】濾過カートリッジと濾過ユニットの分解斜視図である。
【
図4】
図3の濾過カートリッジを濾過ユニットに収容した状態を示した図である。
【
図6】濾過カートリッジの側面を透視化して吊治具を設けた例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1は本発明を適用した濾過フィルター1の一実施形態の構成を示すもので、1AはAタイプの濾過フィルター、1BはBタイプの濾過フィルターである。
【0014】
図示のように、濾過フィルター1の形状をほぼ平坦な平形で平面視長方形としている。
【0015】
ここで、濾過フィルター1としては、乾燥植物体を平形に成形して同質のネットで包んだバイオログナチュラルフィルター(バイオログは登録商標)を使用する。図示例では5つに分割している。
例えば、Aタイプの平形濾過フィルター1Aの重量は9kg/個、Bタイプの平形濾過フィルター1Bの重量は14kg/個程度となる。
【0016】
図示例において、Aタイプの平形濾過フィルター1Aを横に3枚並べた上に、Bタイプの平形濾過フィルター1Bを横に2枚並べた構成となっている。
なお、このように分割した場合は、漏水防止機能の面から、図示のように、フィルター1A・1Bの横方に並ぶ鉛直接合面が上下で連続しないことが好ましい。
【0017】
図2は水槽Tへの設置例を示したもので、平形濾過フィルター1を密実に収容した濾過カートリッジ2を、専用の濾過ユニット10のボックス11に予め2段重ねてセットし、その濾過ユニット10を水槽T内に独立設置する。
【0018】
図3は濾過カートリッジ2と濾過ユニット10を示したものである。
【0019】
図示のように、上面が開放されたボックス11は、底面に開口12を備えて、その開口12の周囲にゴム板13を改良して止水強化した構造となっていて、四隅には支柱を兼ねた脚14が備えられている。そして、ボックス11には、側面に通水用のパイプ15が備えられて、上面の四隅に吊冶具16が備えられている。このように、ボックス11に吊治具16を設けて、濾過ユニット10をクレーンで設置できる。
【0020】
また、図示例において、濾過カートリッジ2には、上面の四隅近傍に脱着可能な吊冶具6が備えられている。
【0021】
図4は濾過カートリッジ2を濾過ユニット10に収容した状態を示した図である。
【0022】
図示のように、ボックス11内に濾過カートリッジ2を2段重ねて収容し、上段の濾過カートリッジ2をボックス11の側面に止め具17で固定して、浮力によるカートリッジの浮き上がりを防止する。
【0023】
図5は濾過カートリッジ2を拡大したものである。
【0024】
図示のように、濾過カートリッジ2には、全側面が覆われた枠体3の上下面に網体4が取り付けられている。
【0025】
図2に示したように、水槽T内において、ボックス11は水没する形になるので、水圧による変形はほとんど生じず、点線矢印で示すように、処理すべき濁水が好適にボックス11内を通過するようになる。図示例では、ボックス11内に仕切板18が設けられている。
【0026】
なお、ボックス11はカートリッジ2の自重を保持できる程度の強度があればよい。
また、図示のように、ボックス11にパイプ15を設けて自然流下させる方式としたり、浄化された濁水を図示しない水中ポンプで抜いたりする方式としてもよい。
【0027】
図6は濾過カートリッジ2の側面を透視化して吊治具6を設けた例を示した斜視図である。この例では、平形濾過フィルターを上下で2分割としている。
【0028】
以上、実施形態の平形濾過フィルター1によれば、従来の円柱状フィルターの課題であった点接触面が無くなり、漏水上の物理的な弱点を無くすことができる。
また、濾過カートリッジ2に入れる平形濾過フィルター1を分割することで、人力で用意にハンドリングできるので、フィルター交換作業が容易になる。
従って、例えば狭隘な場所でクレーン作業による交換が簡単にできない現場などに適用できる。
【0029】
そして、実施形態の濾過ユニット10によれば、専用のボックス11と水槽Tが独立しているので、水槽Tが水圧で外側に変形しても漏水の心配が無くなる。
従って、現場で用意する水槽形状にとらわれないで適用できる。
しかも、現地止水作業及び設置作業が軽減できる。
【0030】
(変形例)
以上の実施形態においては、平形濾過フィルターに対し下から上に水が流れるように したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上から下に水が流れるようにしたり、横方向に流れるようにしたりしてもよい。
また、実施形態では、乾燥植物体を圧縮成形したバイオログナチュラルフィルターとしたが、乾燥植物体を圧縮成形した成形体以外のフィルター、例えば細かい繊維を使用したループ状のモールコードや、熱可塑性合成樹脂を加熱溶融してノズルより押し出し、繊條としたものをカールさせたまま積み重ね、繊條の相互接点を溶着成型して一体化したポーラス材等でもよい。
【0031】
さらに、実施形態では、カートリッジを上下二段重ねたユニットとしたが、必要に応じ三段以上としてもよい。その場合、脚の高さを調節することで、カートリッジの段数を調節することができる。
そして、実施形態では、平形濾過フィルターとしたが、濾過カートリッジには、円柱状や他の形状の濾過フィルターを収容してもよい。
また、濾過カートリッジ、ユニット、水槽の形状、流入口、排水口の位置等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1 平形濾過フィルター
2 濾過カートリッジ
3 枠体
4 網体
5 枠体
6 吊冶具
10 濾過ユニット
11 ボックス
12 開口
13 ゴム板
14 脚
15 パイプ
16 吊冶具
17 止め具
18 仕切板
T 水槽