(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119973
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】車両の内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 37/00 20060101AFI20170417BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20170417BHJP
F02B 67/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
F02B37/00 301H
F02B37/00 302D
F01N3/24 T
F02B67/00 F
F02B67/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-35097(P2013-35097)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-163291(P2014-163291A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】松永 礼俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 康夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 広司
【審査官】
津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−56355(JP,A)
【文献】
特開2012−107560(JP,A)
【文献】
特開2007−297982(JP,A)
【文献】
特開2009−24525(JP,A)
【文献】
特開2007−262964(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/114448(WO,A1)
【文献】
米国特許第5934070(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00
F01N 3/24
F02B 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトが車両の幅方向に延びて配置されると共に、排気系が機関本体の前記車両の後側に配される車両用の内燃機関において、
前記排気系は、
前記機関本体のシリンダヘッド部に一体的に形成され、複数の排気管、及び、一つの排気出口を有する排気集合管と、
前記排気集合管の前記排気出口に接続される過給機のタービンと、
前記過給機のタービンで仕事を終えた排気を浄化する排気浄化装置とを備え、
前記過給機のタービンは、前記排気集合管及び前記排気浄化装置よりも上方に配置され、
前記過給機のコンプレッサで過給された吸気を冷却するインタークーラが前記機関本体の前記車両の前側に備えられ、前記過給機の吸気側通路と前記インタークーラは前記内燃機関の上部に配される接続配管により接続され、
前記車両の走行に伴って前記内燃機関の上部を流通する空気が、前記接続配管により前記過給機のタービンに向けて案内される
ことを特徴とする車両の内燃機関。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の内燃機関において、
前記過給機のタービンは、前記排気集合管の前記排気出口の上方に配置され、
前記過給機のタービンに送られる排気量を制御するためのウエイストゲートバルブが備えられ、
前記内燃機関は前記ウエイストゲートバルブの開閉をモータで制御するアクチュエータを有する
ことを特徴とする車両の内燃機関。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の内燃機関において、
前記過給機のタービン及び前記排気浄化装置と、前記アクチュエータとは、
前記排気集合管の前記排気出口を挟んで前記内燃機関の前後方向に分かれた位置に配置されている
ことを特徴とする車両の内燃機関。
【請求項4】
請求項2もしくは請求項3に記載の車両の内燃機関において、
前記過給機のタービン及び前記排気浄化装置と前記アクチュエータは、
前記車両の上面視で前記内燃機関の幅方向にずれた位置に配置されている
ことを特徴とする車両の内燃機関。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の車両の内燃機関において、
前記過給機は、ブラケットを介して前記機関本体に取り付けられ、
前記ブラケットは、前記排気浄化装置及び前記過給機のタービンと前記アクチュエータとの間で熱を遮断する遮熱板である
ことを特徴とする車両の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気系が車両の後側に配された横置きの内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内燃機関(エンジン)として、クランクシャフトが車両の幅方向に延びて配置される横置きのエンジン(横置きエンジン)が知られている。横置きエンジンでは、排気浄化触媒等の排気系をエンジン本体の後側に配することで、排気浄化触媒の活性化に有利な構造になる。
【0003】
また、過給機を備えた車両では、横置きエンジンの後側(排気系)に過給機のタービンを接続することで、即ち、排気ポートと過給機の入口までの経路長を短くすることで、過給機の性能を維持することができる(特許文献1参照)。
【0004】
排気系を車両の後側に配置した横置きのエンジンの場合、排気系の温度が上昇する虞があり、的確な冷却を考慮する必要があった。特に、過給機を備えたエンジンでは、機器の構成部材の温度上昇や周辺の部品の温度上昇を抑制する必要があるため、燃料を多く噴射して燃焼室の燃焼温度を抑制して対応しているのが現状であった。
【0005】
また、エンジンを停止した後は、冷却手段(冷却水の循環、冷却ファンの駆動)も停止するため、排気系の熱、特に、排気管や触媒装置の熱が過給機等に伝わる虞があるのが現状であった。
【0006】
また、エンジン停止から一定時間の間はファンが回転して冷却が継続されるようになっているが、冷却水の循環が停止することに伴う熱気の発生を抑制することには制約があるのが現状であった。
【0007】
更に、近年の内燃機関の小型化により、機器の配置のコンパクト化が要求され、特に、横置きの内燃機関を搭載した車両においては、内燃機関の機器同士の隙間が少なくなっているのが現状であった。
【0008】
これらのことから、機器をコンパクトに配置しても機器同士で相互に熱の影響を受け難い内燃機関が望まれているのが実情であった。
【0009】
一方、過給を精密にコントロールするために、近年ウエイストゲートバルブ駆動用のアクチュエータを負圧式から、電動モータを利用したアクチュエータへの採用が拡大しており、機器同士の熱伝達に対する要望はさらに厳しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−247423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、横置きの内燃機関で排気系が車両の後側に備えられていても、機器相互の熱の影響を受け難い車両の内燃機関の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の車両の内燃機関は、クランクシャフトが車両の幅方向に延びて配置されると共に、排気系が機関本体の前記車両の後側に配される車両用の内燃機関において、前記排気系は、前記機関本体のシリンダヘッド部に一体的に形成され、複数の排気管、及び、一つの排気出口を有する排気集合管と、前記排気集合管の前記排気出口に接続される過給機のタービンと、前記過給機のタービンで仕事を終えた排気を浄化する排気浄化装置とを備え、前記過給機のタービンは、前記排気集合管及び前記排気浄化装置よりも上方に配置され
、前記過給機のコンプレッサで過給された吸気を冷却するインタークーラが前記機関本体の前記車両の前側に備えられ、前記過給機の吸気側通路と前記インタークーラは前記内燃機関の上部に配される接続配管により接続され、前記車両の走行に伴って前記内燃機関の上部を流通する空気が、前記接続配管により前記過給機のタービンに向けて案内されることを特徴とする。
【0013】
請求項1に係る本発明では、複数の排気管、及び、一つの排気出口を有する排気集合管が、機関本体のシリンダヘッド部に一体的に形成されて、機器の配置がコンパクト化され、排気集合管、及び、排気浄化装置よりも上方に過給機が配置され、走行中に機関本体の上部を流通する空気が過給機のタービンに案内されやすくなり、過給機のタービンへの冷却効果が高まる。
そして、内燃機関の上部を流通する空気が、接続配管により過給機のタービンに向けて案内され、走行中の冷却空気により過給機のタービンに対する熱の影響を抑制することができ、内燃機関の燃費が向上する。
【0014】
このため、横置きの内燃機関で排気系が車両の後側に備えられていても、機器相互の熱の影響を受け難く、高速走行時の燃費悪化を防ぐことが可能になる。
【0015】
そして、請求項2に係る本発明の車両の内燃機関は、請求項1に記載の車両の内燃機関において、前記過給機のタービンは、前記排気集合管の前記排気出口の上方に配置され、前記過給機のタービンに送られる排気量を制御するためのウエイストゲートバルブが備えられ、前記内燃機関は、前記ウエイストゲートバルブの開閉をモータで制御するアクチュエータを有することを特徴とする。
【0016】
請求項2に係る本発明では、ウエイストゲートバルブ、及び、モータ(電動モータ)で制御するアクチュエータを含めて過給機に対する排気浄化装置の熱の影響が抑制される。
【0017】
また、請求項3に係る本発明の車両の内燃機関は、請求項2に記載の車両の内燃機関において、前記過給機のタービン及び前記排気浄化装置と、前記アクチュエータとは、前記排気集合管の前記排気出口を挟んで前記内燃機関の前後方向に分かれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に係る本発明では、過給機のタービン、排気浄化装置、及び、アクチュエータの位置が、排気集合管の排気出口を挟んで内燃機関の前後方向で(車両の幅方向で)分かれているので、過給機のタービン及びウエイストゲートバルブのアクチュエータが、排気浄化装置の熱の影響を直接受けることがない。
【0019】
また、請求項4に係る本発明の車両の内燃機関は、請求項2もしくは請求項3に記載の車両の内燃機関において、前記過給機のタービン及び前記排気浄化装置と前記アクチュエータは、前記車両の上面視で前記内燃機関の幅方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る本発明では、過給機のタービン及び排気浄化装置と、モータ(電動モータ)で構成されるアクチュエータの位置が、車両の上面視(内燃機関の平面視)で内燃機関の幅方向に(車両の前後方向に)分かれているので、アクチュエータが排気浄化装置及びタービンの熱の影響を直接受けることがない。
【0021】
因みに、特開2010−150961号公報には、車幅方向(内燃機関の前後方向)で、過給機と排気浄化装置が重なっていない例が示されているが、公報に開示された技術は、過給機の上下方向の位置が特定されておらず、更には、アクチュエータの位置が開示されておらず、平面視で車両の前後方向(内燃機関の幅方向)にずれている技術とは異なっている。
【0024】
また、
請求項5に係る本発明の車両の内燃機関は、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の車両の内燃機関において、前記過給機は、ブラケットを介して前記機関本体に取り付けられ、前記ブラケットは、前記
排気浄化装置及び前記過給機のタービンと前記アクチュエータとの間で熱を遮断する遮熱板であることを特徴とする。
【0025】
請求項5に係る本発明では、過給機を取り付けるためのブラケットにより
排気浄化装置と過給機との間の熱が遮断され、遮熱板により過給機に対する熱の影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の車両の内燃機関は、横置きの内燃機関で排気系が車両の後側に備えられていても、機器相互の熱の影響を受け難くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施例に係る内燃機関を説明する車両の概念図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る車両の内燃機関の概略系統図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る車両の内燃機関の外観図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る車両の内燃機関の排気側から見た側面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る車両の内燃機関の排気側から見た平面図である。
【
図6】過給機の取付き状況を説明する内燃機関の概略外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1、
図2に基づいて本発明の一実施例に係る内燃機関の全体構成を説明する。
【0029】
図1には本発明の一実施例に係る内燃機関を説明する車両の概念、
図2には本発明の一実施例に係る車両の内燃機関の概略系統を示してある。
【0030】
図1に基づいて内燃機関の搭載状況を説明する。
図に示すように、車両1の前方のエンジンルームには、内燃機関(エンジン)2が搭載され、エンジン2には、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4を含む機関本体(エンジン本体)5が備えられている。エンジン2(エンジン本体5)はクランクシャフト6が車両1の幅方向に延びて配置されている。
【0031】
エンジン2(エンジン本体5)の車両1の前側には、吸気系(吸気マニホールド、インタークーラ24、燃料供給系等)が備えられ、エンジン2(エンジン本体5)の車両1の後側には、排気系(排気管、過給機、ウエイストゲートバルブ、排気浄化触媒等)が備えられている。
【0032】
車両1の前側におけるエンジン本体5のシリンダヘッド4の上部(シリンダヘッドカバーの上部)には高圧燃料ポンプ11が取り付けられている。エンジン2には、エンジン本体5の各気筒の燃焼室に燃料を直接噴射する筒内噴射弁が気筒毎に備えられ、高圧燃料供給経路を介して高圧燃料ポンプ11からの燃料が筒内噴射弁に供給される。また、エンジン本体5の各気筒の吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁が吸気通路毎に備えられ、低圧燃料供給経路を介して低圧燃料ポンプからの燃料がポート噴射弁に供給される。
【0033】
図2に基づいてエンジン2の系統(構成)の概略を説明する。
図に示すように、エンジン2のシリンダヘッド4には気筒毎に吸気ポート7が形成され、各吸気ポート7の燃焼室12側には吸気バルブ8がそれぞれ設けられている。吸気バルブ8はエンジン回転に応じて回転するカムシャフトのカムに倣って開閉動作され、各吸気ポート7と燃焼室12との連通・遮断を行う。
【0034】
各吸気ポート7には吸気マニホールド9の一端がそれぞれ接続され、各吸気ポート7に吸気マニホールド9が連通している。シリンダヘッド4(または吸気マニホールド9)にはポート噴射弁13が取り付けられ、低圧燃料ポンプの駆動によりポート噴射弁13に燃料が送られる。
【0035】
また、エンジン2のシリンダヘッド4には気筒毎に排気ポート16がそれぞれ設けられ、各排気ポート16の燃焼室12側には排気バルブ10がそれぞれ設けられている。排気バルブ10はエンジン回転に応じて回転するカムシャフトのカムに倣って開閉動作され、各排気ポート16と燃焼室12との連通・遮断を行う。
【0036】
エンジン2のシリンダヘッド4には、排気ポート16と一体となる排気マニホールド17が形成され、排気ポート16及び排気マニホールド17がシリンダヘッド4の内部に収容されて排気集合管が構成されている。排気マニホールド17の他端が排気出口とされ、シリンダヘッド4から外に開口している。
【0037】
一方、シリンダヘッド4には燃焼室12に臨む筒内噴射弁18が取り付けられ、高圧燃料ポンプ11の駆動により筒内噴射弁18に燃料が送られる。
【0038】
上述したエンジン2は、運転状態に応じて、低圧燃料ポンプの駆動によるポート噴射弁13からの燃料噴射と、高圧燃料ポンプ11の駆動による筒内噴射弁18から燃料噴射とが適宜制御される。
【0039】
吸気マニホールド9には吸気管21が接続され、シリンダヘッド4から外に開口する排気マニホールド17の排気出口には接続管20が接続され、接続管20には過給機としてターボチャージャ23のタービン23aが接続されている。具体的には後述するが、ターボチャージャ23は、排気マニホールド17の排気出口(シリンダヘッド4から臨む排気開口)の上方に配されている。
【0040】
ターボチャージャ23のタービン23aにはコンプレッサ23bが連結され、ターボチャージャ23のコンプレッサ23bには吸気管21が接続されている。エンジン2の排気ガスが接続管20からターボチャージャ23に送られると、排気ガスの流れによりタービン23aが回転し、タービン23aの回転に伴ってコンプレッサ23bが回転して吸気管21内の吸気が過給される。
【0041】
コンプレッサ23bの下流側の吸気管21にはインタークーラ24が配され、ターボチャージャ23のコンプレッサ23bで過給された吸気は、インタークーラ24で冷却されてスロットル弁25を介して燃焼室12に送られる。ターボチャージャ23のタービン23aの出口には排気管22が接続され、排気管22には触媒装置としての排気浄化触媒26が備えられている。
【0042】
ターボチャージャ23の上流側の接続管20と下流側の排気管22との間にはウエイストゲートバルブ(WG弁)27が設けられ、WG弁27は電動モータ(アクチュエータ)27aの駆動により開閉される。アクチュエータ27aによるWG弁27の開閉によりターボチャージャ23のタービン23aに送られる排気の量が調整されて過給圧が調整される。
【0043】
図3から
図5に基づいてエンジン2の構造を具体的に説明する。
図3には車両1の後方側(後側から見た状態)のエンジン2の外観視、
図4には車両1の後方側からのエンジン2の側面視(エンジン2の前後方向が図中左右方向)、
図5にはエンジン2を車両の上面から見た平面視を示してある。
【0044】
図に示すように、車両1の後方側におけるエンジン本体5にはターボチャージャ23が取り付けられている。また、車両1の前方側におけるエンジン本体5の吸気マニホールド9にはインタークーラ24が取り付けられている。
【0045】
ターボチャージャ23のタービン23aの入口側は、シリンダヘッド4から外に開口する排気マニホールド17(
図2参照)の排気出口に接続管20(
図2参照)を介して接続され、ターボチャージャ23は排気マニホールド17(
図2参照)の上方に配置されている。
【0046】
ターボチャージャ23のタービン23aの出口側には、排気浄化触媒26を備えた排気管22が接続されている。ターボチャージャ23のコンプレッサ23bの入口側は、外気導入系に接続されて外気が導入され、ターボチャージャ23のコンプレッサ23bの出口側には、インタークーラ24の上流側に繋がる吸気配管21aが接続されている。
【0047】
吸気配管21aは、車両1の後側から見た状態で(
図4の状態で)、車幅方向の左側でターボチャージャ23のコンプレッサ23bに接続され、右奥に向かって延びてインタークーラ24の入口側に接続されている。平面視の状態では(
図5の状態では)、吸気配管21aは車幅方向の左側でコンプレッサに接続され、右上に向かって延びてインタークーラ24の入口側に接続されている。インタークーラ24の出口側にはインタークーラ24の下流側の吸気管21bが接続され、吸気管21bはスロットル弁を介して吸気マニホールド9に接続されている。
【0048】
ターボチャージャ23とインタークーラ24が吸気配管21aで接続されているため、車両1の走行時に流通する空気が吸気配管21aによりターボチャージャ23に案内され、また、温度が低い吸気配管21aによりターボチャージャ23と排気浄化触媒26の平面視での領域が分けられているので、ターボチャージャ23(WG弁27)に対する他の機器からの熱の影響を的確に防止することができる。
【0049】
車両1の後方側におけるエンジン本体5のターボチャージャ23のコンプレッサ23bの下部には、WG弁27のアクチュエータ27aが設けられている。WG弁27のアクチュエータ27aは、車両に搭載されるバッテリからの電力を受けて回動する電動モータ(モータ)が用いられ、モータの回動に合わせてWG弁27に接続されたロッドが回動し、WG弁27を開閉する。また、WG弁27のアクチュエータ27aはエンジン2の前後方向の範囲に配されて小型化が図られている。
【0050】
WG弁27のアクチュエータ27aは、ターボチャージャ23に対し、車両の前方側(
図4中手前側)にずれて配され、ターボチャージャ23のコンプレッサ23bに対して
図4中左側(車両1の前進方向左側)にずれて配されている。
【0051】
そして、アクチュエータ27aは、排気浄化触媒26及びターボチャージャ23のタービン23aに対し、車両の前後方向にずれて配されている。また、アクチュエータ27aはターボチャージャ23のタービン23a及び排気浄化触媒26に対し排気マニホールド17(
図2参照)の排気出口(排気集合部)の位置を挟んで
図4中左側(車両1の前進方向左側)に位置している。
【0052】
WG弁27のアクチュエータ27aを含むターボチャージャ23が排気マニホールド17の上方に配されているので、エンジンルームに供給される走行風がターボチャージャ23に直接当たり、排気マニホールド17の熱の影響を減らすことができると共に、アクチュエータ27aを排気浄化触媒26から離して配置することができ、排気浄化触媒26の熱の影響を減らすことができる。
【0053】
特にガソリンエンジンではディーゼルエンジンに比べ排気熱が高く、ターボチャージャ23の冷却効果が高くなることで、燃料を多く噴射して気化熱で冷却する必要がなくなり、燃費が向上する。
【0054】
また、排気出口(排気集合部)を挟んで、エンジン2の前後方向(車両1の幅方向)でタービン23a及び排気浄化触媒26とアクチュエータ27aとの領域が分かれるため、排気浄化触媒26およびタービン23aから電動モータで構成されるアクチュエータ27aへの熱の影響を減らすことができる。また、エンジン2の幅方向(車両1の前後方向)でターボチャージャ23及びアクチュエータ27aと排気浄化触媒26の領域が分かれるため、排気浄化触媒26及びターボチャージャ23からアクチュエータ27aへの熱の影響を減らすことができる。
【0055】
図6に基づいてターボチャージャ23の取付き部位の状況を説明する。
図6には過給機の取付き状況を説明するエンジン2の外観の概略を示してある。
図に示すように、シリンダヘッド4には、複数の排気ポート16及び排気マニホールド17が一体となった排気集合管が形成され、シリンダヘッド4から外に臨む排気集合管の出口には接続管20の一端が接続されている。接続管20の他端は上方に開口し、接続管20の他端はターボチャージャ23のタービン23aの入口が接続されている。
【0056】
つまり、ターボチャージャ23の本体の一部がそのまま排気マニホールド17に接続された状態の構造となり、小型化を図り熱容量を減らすことができる。
【0057】
ターボチャージャ23のタービン23aに接続される接続管20にはブラケット41が備えられ、ブラケット41がエンジン本体5に固定される。ブラケット41によりターボチャージャ23が支えられ、接続管20を含むターボチャージャ23がエンジン本体5に取り付けられる。
【0058】
接続管20は排気集合管の出口(排気出口)に対応して設けられているため、ブラケット41は排気出口に対応している。ブラケット41にはエンジン本体5の上下方向に延びる矩形壁42が備えられ、矩形壁42は排気浄化触媒26とターボチャージャ23の間に配されている。矩形壁42により排気浄化触媒26とターボチャージャ23との間の熱が遮断される(遮断板とされる)。
【0059】
従って、ターボチャージャ23をエンジン本体5に取り付けるためのブラケット41により、排気浄化触媒26との間の熱を遮断することができる。
【0060】
上述した車両1のエンジン2は、排気集合管、ターボチャージャ23及びWG弁27のアクチュエータ27a、排気浄化触媒26の間で、互いに熱の影響を受けないようにすることが可能になる。特に、電動のアクチュエータ27aを適用した際に、アクチュエータ27aをプロテクトする付属部品等を備えることなく熱害の対策が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、排気系が車両の後側に配された横置きの内燃機関の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
2 内燃機関(エンジン)
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 機関本体(エンジン本体)
6 クランクシャフト
7 吸気ポート
8 吸気バルブ
9 吸気マニホールド
10 排気バルブ
11 高圧燃料ポンプ
12 燃焼室
13 ポート噴射弁
16 排気ポート
17 排気マニホールド
18 筒内噴射弁
21 吸気管
22 排気管
23 ターボチャージャ
23a タービン
23b コンプレッサ
24 インタークーラ
25 スロットル弁
27 ウエイストゲートバルブ(WG弁)
27a 電動アクチュエータ(アクチュエータ)
41 ブラケット
42 矩形壁