特許第6119982号(P6119982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119982
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】車両のフロントグリル装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20170417BHJP
   B60R 19/52 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   B60K11/04 J
   B60R19/52 M
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-134957(P2013-134957)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-9609(P2015-9609A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】沼田 健志
(72)【発明者】
【氏名】北川 省
(72)【発明者】
【氏名】福富 健
(72)【発明者】
【氏名】澤田 達郎
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−015123(JP,A)
【文献】 特開昭61−218713(JP,A)
【文献】 実開昭60−106860(JP,U)
【文献】 実開昭58−112625(JP,U)
【文献】 実開昭58−112627(JP,U)
【文献】 特開2011−052635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00−15/10
B60R 19/00−19/56
B62D 17/00−23/00
B62D 25/00−29/04
F01P 1/00−11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前面にエンジンルームに面して開口した開口部に設けられ、走行風をエンジンルーム内に導入する車両のフロントグリル装置であって、
車幅方向に延びる板状で車両上下方向に間隔をおいて互いに平行に配置される複数のフィンを有し、車両前後方向に揺動可能に支持されるフロントグリルと、前記フロントグリルを最も車両前方側に揺動した第1の位置と最も車両後方側に揺動した第2の位置との間で駆動する駆動手段と、を備え、
前記フロントグリルが前記第1の位置に位置したときに前記フィンが車両前後方向で上下に傾斜した状態とされ、前記フロントグリルの揺動位置が前記第1の位置から前記第2の位置側に移動するに従って前記フィンの車両前後方向での傾斜が次第に緩やかとなるよう構成され
前記フロントグリルは、上下方向一方の端部側に揺動支点を有し、当該揺動支点を中心に上下方向他方の端部側が前後方向に揺動可能とされており、
前記フィンは、その車両後方側の部位が前記揺動支点と反対側に向かって傾斜するよう屈曲形成されていることを特徴とする車両のフロントグリル装置。
【請求項2】
前記フロントグリルが前記第1の位置に位置したときに、上下で隣り合う前記フィンの一方の前端と他方の後端とが車両前後方向でラップした状態となることを特徴とする請求項1に記載の車両のフロントグリル装置。
【請求項3】
前記フロントグリルが前記第1の位置に位置したときに、当該フロントグリルの前面が前記開口部の周囲の車両前面と連続面を形成するように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両のフロントグリル装置。
【請求項4】
前記車両の走行速度及び前記車両のエンジン冷却水温度の少なくとも一方に基づいて、前記フロントグリルの揺動位置を移動するべく前記駆動手段を作動制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の車両のフロントグリル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンルーム内に走行風を導入する車両のフロントグリル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の前部には、エンジンルームに走行風を導入するフロントグリル装置が多く備えられている。フロントグリル装置は、エンジンルームに面して車両前部に設けられた開口部に設けられ、外観の向上を図るため、あるいは車両走行時において飛散物がエンジンルーム内に侵入しないように、例えば車幅方向に延びる桟状やメッシュ状に形成されている。
更に、走行時において空力特性を向上させるため、蓋状のフロントグリル(グリルカバー体)を上下方向に回動して開口部を開閉可能とした車両が考案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−40357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のフロントグリル装置では、1枚の板状の部材(グリルカバー体)を揺動させて開口部を開閉する構造であるため、揺動角を大きく必要とし、揺動装置が大型化してしまう。更には、開口時にフロントグリルが大きく車両前側にせり出すので、外観の低下を招くとともに、車両前方衝突時において歩行者等の安全性が低下する虞がある。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、コンパクトな構成で開口部への走行風の流入量を調整可能な車両のフロントグリル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、車両の前面にエンジンルームに面して開口した開口部に設けられ、走行風をエンジンルーム内に導入する車両のフロントグリル装置であって、車幅方向に延びる板状で車両上下方向に間隔をおいて互いに平行に配置される複数のフィンを有し、車両前後方向に揺動可能に支持されるフロントグリルと、フロントグリルを最も車両前方側に揺動した第1の位置と最も車両後方側に揺動した第2の位置との間で駆動する駆動手段と、を備え、フロントグリルが第1の位置に位置したときにフィンが車両前後方向で上下に傾斜した状態とされ、フロントグリルの揺動位置が第1の位置から第2の位置側に移動するに従ってフィンの車両前後方向での傾斜が次第に緩やかとなるよう構成され、フロントグリルは、上下方向一方の端部側に揺動支点を有し、当該揺動支点を中心に上下方向他方の端部側が前後方向に揺動可能とされており、フィンは、その車両後方側の部位が前記揺動支点と反対側に向かって傾斜するよう屈曲形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、フロントグリルが第1の位置に位置したときに、上下で隣り合うフィンの一方の前端と他方の後端とが車両前後方向でラップした状態となることを特徴とする
【0007】
請求項の発明は、請求項1または2において、フロントグリルが第1の位置に位置したときに、当該フロントグリルの前面が開口部の周囲の車両前面と連続面を形成するように配置されることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1からのいずれか1項において、車両の走行速度及び車両のエンジン冷却水温度の少なくとも一方に基づいて、フロントグリルの揺動位置を移動するべく駆動手段を作動制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1の車両のフロントグリル装置では、フロントグリルが第1の位置に位置するときには、フィンが車両前後方向に最も傾斜された状態となる。つまり車両前面視でフィンの間から見える開口部の開口面積が最も小さい状態となるので、フロントグリルを通過する走行風の流れがフィンによって遮られ、走行風が開口部からエンジンルーム内に流れ込み難くなる。このため、フロントグリルからエンジンルーム内に導入される走行風が抑制され、車両走行時の空気抵抗を低減することができる。一方で、フロントグリルが第2の位置に位置するときには、フィンの車両前後方向での傾斜が最も緩やかな状態となるので、車両前面視でフィンの間から見える開口部の開口面積が最も大きい状態となる。したがって、フロントグリルからエンジンルーム内に走行風をより多く取り入れることができるため、エンジンの冷却を効率的に行うことができる。
【0009】
このように、複数のフィンを有するフロントグリルを車両前後方向に揺動させるという簡単でコンパクトな構成で、エンジンルーム内への走行風の流入量が調整可能となり、必要に応じて車両の空力特性およびエンジン冷却性能を適宜調整することができる。
また、フロントグリルを第2の位置から第1の位置に揺動した際に、フィンの車両後方側の部位がより上下方向に傾斜した状態となるので、少ない揺動角度でフィンの間から見える開口部の開口面積を大きく変化させることができる。したがって、フロントグリルの揺動範囲をコンパクトにすることができる。また、フロントグリルが第1の位置に位置するときには、フィンの車両後方側の部位がより上下方向に立った状態となっているので、走行風の流れを遮る上でより一層有利となり、エンジンルーム内への走行風の流入をより確実に抑制することができる。
本発明の請求項2の車両のフロントグリル装置では、フロントグリルが第1の位置に位置したときに、車両前面視でフィンの間から見える開口部の開口面積をゼロとすることができる。このため、エンジンルーム内への走行風の流入がより一層抑制されるので、より確実に車両の空気抵抗を低減することができる。
【0011】
本発明の請求項の車両のフロントグリル装置では、フロントグリルが第1の位置に位置したときに、フロントグリルの前面が開口部の周囲の車両前面と連続面を形成するので、フロントグリル前面での走行風の乱流を抑え、空気抵抗をより低下させることができる。
本発明の請求項の車両のフロントグリル装置では、車両の走行速度及びエンジン冷却水温度の少なくとも一方に基づいて、駆動手段を作動制御してフロントグリルの揺動位置を制御することで、空気抵抗の低下及びエンジンの冷却を必要に応じて選択的に得ることができる。例えば、高速走行時にフロントグリルを第1の位置に位置させることで、開口部に流入する走行風を減少させ、空気抵抗を低下させることができ、エンジン冷却水高温時にフロントグリルを第2の位置に位置させることで、開口部に流入する走行風を増加させ、エンジンの冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るフロントグリル装置を備えた車両の一部前面図である。
図2】本実施形態のフロントグリル装置の側面図である。
図3】第2の位置に位置するフロントグリルに向かう走行風の流路を示す説明図である。
図4】第1の位置に位置するフロントグリルに向かう走行風の流路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフロントグリル装置1を備えた車両の一部前面図である。図2は、本実施形態のフロントグリル装置1の側面図である。
本発明の実施形態に係るフロントグリル装置1は、エンジンやラジエータを前部に搭載した車両に採用されている。図1、2に示すように、本実施形態の車両2の前面には、エンジンルーム3に面してフロントバンパー4の上部に車幅方向に長い矩形状の開口部5が設けられている。開口部5は、上側の縁部6が下側の縁部7よりも後方に位置している。
【0014】
フロントグリル装置1は、開口部5内に石等の飛来物が侵入しないように、また開口部5内が大きく露出しないように、開口部5を仕切るフロントグリル8を備えている。
フロントグリル8は、開口部5より若干大きい略矩形状に形成され、枠体11に複数のフィン10を設けて構成されている。フィン10は、上下方向に略等間隔をおいて車幅方向に互いに平行に延びる板状部材であり、枠体11は、フィン10の両端に垂直に設けられ、複数のフィン10の端部を夫々固定している。フロントグリル8は、フィン10が開口部5内を車幅方向に延びて、開口部5を上下方向に複数に分割するように配置されている。
【0015】
更に、フロントグリル8は、左右上部で夫々車幅方向に延びるシャフト12(揺動支点)を介して、当該シャフト12を回転中心に、開口部5の上側の縁部6より若干後方の位置で車体に対して車両前後方向に揺動可能に支持されている。
また、左右いずれか一方の枠体11の下部には、シャフト12を中心として円弧状に後方に延びて上面に内歯車が形成された内歯車部13が設けられている。
【0016】
内歯車部13は、車体に固定されたモータ14(駆動手段)によって回転駆動される外歯車15と噛み合い、モータ14の駆動によってフロントグリル8全体がシャフト12を中心として揺動可能となるように構成されている。
また、フロントグリル8は、車体に設けられたストッパ16、17によって、揺動角が規制されている。ストッパ16、17はフロントバンパー4から上方に突出するように設けられた突起物である。一方のストッパ16は、開口部5の下側の縁部7に設けられ、フロントグリル8の下部が前方に最も揺動したときに、縁部7よりも前方に突出しないように、フロントグリル8の揺動を規制する。第1の位置へ移動したフロントグリル8の前面は、車両の開口部5の左右の車両前面と連続面を形成するように設定されている。なお、この前方に最も揺動したフロントグリル8の位置を第1の位置という。
【0017】
また、他方のストッパ17は、シャフト12の支持位置の下方に設けられ、フロントグリル8の枠体11が車両上下方向に延びる位置から更に後方へ揺動しないように、フロントグリル8の揺動を規制する。なお、この後方に最も揺動したフロントグリル8の位置を第2の位置という。
第2の位置のとき、フロントグリル8の下部は、開口部5の下側の縁部7より後方に奥まった位置に位置する。本実施形態では、第1の位置と第2の位置との間のフロントグリル8の揺動可能角が約30度に設定されている。
【0018】
フィン10は、車両後方側の部位である後部10aが下方に屈曲されて縦断面でへの字状に形成されている。詳しくは、フィン10は、フロントグリル8が第2の位置に位置するときに、フィン10の車両前方側の部位である前部10bが略水平に位置し、後部10aが下方に、即ちシャフト12とは反対側に向かって約45度傾斜するように形成されている。また、フロントグリル8が第2の位置に位置するときに、フィン10の後端20が隣合う下方のフィン10の上面よりも上方に位置している。なお、本実施形態では、最下方のフィン10のみ後部10aが屈曲していない。
【0019】
モータ14は、コントロールユニット25(制御手段)により作動制御される。コントロールユニット25は、車両走行速度やエンジン冷却水温度を入力して、当該車両走行速度やエンジン冷却水温度に基づいてモータ14を作動制御する。例えば、車両走行速度が低下するに伴ってフロントグリル8を第2の位置へ後方移動し、車両走行速度が上昇するに伴ってフロントグリル8を第1の位置へ前方移動させる。あるいは、エンジン冷却水温度が上昇するに伴ってフロントグリル8を第2の位置へ後方移動し、エンジン冷却水温度が低下するに伴ってフロントグリル8を第1の位置へ前方移動させる。また、車両走行速度及びエンジン冷却水温度の両方、あるいはその他の車両状態等に基づいてモータ14を作動制御してもよい。
【0020】
図3は、第2の位置に位置するフロントグリル8に向かう走行風の流路を示す説明図である。図4は、第1の位置に位置するフロントグリル8に向かう走行風の流路を示す説明図である。なお、図3及び図4は、フロントグリル8の車幅方向中央部の縦断面図である。
以上のような構成により、本実施形態のフロントグリル装置1は、図3に示すように、車両前進走行時にフロントグリル8を第2の位置へ後方移動させたときに、フィン10の傾斜が緩やかとなり、フィン10の後端20とその下方のフィン10の上面との間が上下方向に離間する。したがって、車両前方からフロントグリル8に向かって来る走行風のうち、隣合うフィン10の間の上下方向離間寸法L1の部分を通過する走行風が、フィン10に衝突せずに通過して後方のエンジンルーム3内に流入する。即ち、フロントグリル8が第2の位置に位置すると、車両前面視でフィン10の間から見える開口部5の開口面積が最も大きい状態となり、フロントグリルからエンジンルーム内に流入する走行風の流量を確保して、エンジンやラジエータ等を十分に冷却することができる。
【0021】
また、図4に示すようにフロントグリル8を第1の位置へ前方移動させると、フィン10の後端20とその下方のフィン10の前端21とが車両前後方向でラップした状態となる。本実施形態では、フロントグリル8が第1の位置に位置すると、フィン10の後端20とその下方のフィン10の前端21との間の上下方向離間寸法L2が略0になるように設定されており、車両前面視での開口部5の開口面積が略0になる。
【0022】
したがって、フロントグリル8が第1の位置に位置するときには、フィン10が車両前後方向に最も傾斜された状態となり、車両前面視でフィン10の間から見える開口部5の開口面積が最も小さい状態となるので、フロントグリル8を通過する走行風の流れがフィン10によって遮られる。このときフィン10によって遮られた走行風は、フィン10の間で旋回流を発生させ、後続する走行風が開口部5からエンジンルーム3内に流れ込み難くなる。このため、フロントグリル8からエンジンルーム3内に導入される走行風が抑制されるので、車両走行時の空気抵抗を低減することができる。
【0023】
フロントグリル8を第1の位置へ移動させたとき、フロントグリル8の前面が後方に向かって斜め上方に傾斜するように位置するので、走行風の多くは、フロントグリル8の前面に沿って斜め上方に移動し、車両後方へ通過する。これにより、空気抵抗を低下させることができる。更に、フロントグリル8を第1の位置へ移動させたとき、フロントグリル8の前面が開口部5の周囲の車両前面と連続面を形成するので、フロントグリル8の前面での乱流を低下させ、空気抵抗をより低下させることができる。
【0024】
このように、複数のフィン10を有するフロントグリル8を揺動させることで、コンパクトな構成で、車両前部の開口部5に流入する走行風の流量を調節することができる。
また、本実施形態では、フィン10の形状をへの字状にすることで、フロントグリル8を第1の位置に位置させたときに、フロントグリル8の傾斜が小さくとも、車両前方から見た開口部5の開口面積を略0にすることができ、走行風のエンジンルーム3内への流入量を大きく低下させることができる。また、フロントグリル8の揺動角が小さくとも、車両前方から見た開口部5の開口面積を略0から大きく変化させることができ、走行風のエンジンルーム3内への流入量を大きく変化させることができる。このように、フロントグリル8の揺動角を抑えることで、内歯車部13を小型化することができるとともに、フロントグリル8の揺動スペースを小さくでき、フロントグリル装置1の車両2への搭載スペースを抑制することができる。
【0025】
また、フロントグリル8が開口部5内で移動するような構造であるので、フロントグリル8が移動しても車両2の外観の変化が抑えられる。特に、フロントグリル8を第1の位置へ移動させたときに、フロントグリル8が開口部5よりも前方に突出しないので、車両の外観の低下を抑えられる。また、フロントグリル8が開口部5よりも前方に突出しないので、前方衝突時における歩行者等の安全性を向上させることができる。
【0026】
また、上記のように、モータ14は、車両2の走行速度やエンジン冷却水温度に基づいてコントロールユニット25により作動制御されるので、例えば、高速走行時にフロントグリル8を第1の位置に位置させることで、開口部5に流入する走行風を減少させ、空気抵抗を低下させることができる。また、エンジン冷却水高温時にフロントグリル8を第2の位置に位置させることで、開口部5に流入する走行風を増加させ、エンジンの冷却性能を向上させることができる。
【0027】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、フロントグリル8の揺動支点をフロントグリル8の下部に配置して、フロントグリル8の上部を車両前後方向に揺動させるようにしてもよい。この場合、フィン10の後部10aを揺動支点とは反対側の上方へ向かって屈曲させるようにすればよい。また、フロントグリル8の移動機構について、シリンダとリンク機構等で構成してもよい。また、フィン10の個数、車両前後方向の長さ、屈曲角度やフロントグリル8の揺動角等を変更してもよく、フロントグリル8の前後移動時において車両前方から見た開口面積が所望の大きさに変化するように適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0028】
1 フロントグリル装置
2 車両
5 開口部
8 フロントグリル
10 フィン
10a 後部(後方側の部位)
12 シャフト(揺動支点)
14 モータ(駆動手段)
20 後端
21 前端
25 コントロールユニット(制御手段)
図1
図2
図3
図4