【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1特徴構成は導電材分散塗料用の静電塗装装置に係り、その特徴は、
導電材を非導電性溶剤に分散させた塗料を貯留する塗料タンクを設け、
この塗料タンクから供給ポンプにより供給路を通じて給送される塗料を噴霧する噴霧部と、この噴霧部から噴霧する塗料を噴霧前の段階での高電圧印加により帯電させる電圧印加部とを備える塗装機を設け、
前記供給路における塗料を電気的に接地するアース部とそれよりも下流側に位置する前記電圧印加部との間に形成される電界により前記供給路における塗料に塗料中導電材の橋絡が形成されることを塗料撹拌により防止する撹拌手段を設けた導電材分散塗料用の静電塗装装置であって、
前記供給路を開閉する開閉バルブを、前記供給ポンプと前記塗装機との間において前記供給路に介装して、この開閉バルブを前記アース部とし、
前記撹拌手段を構成するのに、前記電圧印加部と前記アース部との間における前記供給路の塗料流れ方向における一部箇所を撹拌部として、前記供給路を通じた前記電圧印加部の側への塗料給送の有無にかかわらず、前記撹拌部における塗料を発生駆動力により撹拌することで前記橋絡の形成を前記撹拌部において阻止する駆動撹拌手段を設け
、
この駆動撹拌手段を構成するのに、循環ポンプにより前記供給路における塗料の一部を分岐部から抽出して、その抽出塗料を前記分岐部よりも上流側の合流部で前記供給路に戻す局部循環路を、前記電圧印加部と前記アース部との間において前記供給路に設け、
前記供給路における前記分岐部と前記合流部との間を前記撹拌部として、前記供給路を通じた前記電圧印加部の側への塗料給送の有無にかかわらず、前記供給路における前記分岐部と前記合流部との間の塗料を前記循環ポンプによる前記局部循環路を通じた塗料循環により撹拌する構成にしてある点にある。
【0013】
つまり、この構成では、
供給路を開閉する開閉バルブを、供給ポンプと塗装機との間において供給路に介装し、この開閉バルブをアース部とする構成で、電圧印加部とアース部との間における供給路の塗料流れ方向における一部箇所を撹拌部として、その撹拌部における塗料を駆動撹拌手段の発生駆動力により撹拌することで、その撹拌部における塗料中導電材の電界による結合を阻止する。
【0014】
したがって、この駆動撹拌手段を常時運転することで、供給路を通じた電圧印加部の側への塗料給送の有無(即ち、噴霧部からの塗料噴霧の有無)にかかわらず、電圧印加部とアース部との間の形成電界によるそれら電圧印加部とアース部との間での塗料中導電材の橋絡を上記撹拌部において確実に防止することができる。
【0015】
そして、この構成によれば、供給路の塗料流れ方向における一部箇所(撹拌部)において塗料を撹拌するだけであるから、先述した特許文献1や特許文献2の静電塗装装置に比べ塗装機近傍の三方バルブから塗料タンクにわたる長尺な循環経路(即ち、塗装装置の全体にわたるような循環経路)を不要にすることができ、また、そのことで供給ポンプも塗装機に塗料を給送するだけの低揚程の小型なもので済ませることができるとともに、別途設ける駆動撹拌手段に要求される駆動力も小さくて駆動撹拌手段そのものも小型なもので済み、これにより、装置コスト及び運転コストを効果的に低減し得るとともに省エネルギー化も効果的に促進することができる。
【0016】
さらに、この構成によれば、駆動撹拌手段により塗料撹拌する撹拌部を電圧印加部とアース部との間において供給路の任意箇所に配置することができて、そのことでアース部も電圧印加部により近い下流側寄り箇所に配置することが可能になり、これにより、アース部より上流側に位置して電気的な絶縁が不要となる装置内領域を大きくすることができ、このことからも装置コストを一層効果的に低減することができる。
【0017】
また、上記の第1特徴構成では、
前記駆動撹拌手段を構成するのに、循環ポンプにより前記供給路における塗料の一部を分岐部から抽出して、その抽出塗料を前記分岐部よりも上流側の合流部で前記供給路に戻す局部循環路を、前記電圧印加部と前記アース部との間において前記供給路に設け、
前記供給路における前記分岐部と前記合流部との間を前記撹拌部として、前記供給路を通じた前記電圧印加部の側への塗料給送の有無にかかわらず、前記供給路における前記分岐部と前記合流部との間の塗料を前記循環ポンプによる前記局部循環路を通じた塗料循環により撹拌する
から、次の効果も得ることができる。
【0018】
つまり、この構成では、供給路の塗料流れ方向の一部箇所(前記撹拌部)における塗料の撹拌として、循環ポンプによる上記局部循環路を通じた塗料循環により供給路における上記分岐部と上記合流部との間の塗料を撹拌するが、この撹拌では、合流部での塗料合流に伴う塗料の乱流化及び分岐部での塗料抽出に伴う塗料の乱流化も相俟って合流部と分岐部との間における塗料を効果的に撹拌することができて、合流部と分岐部との間における塗料中導電材の電界による結合を効果的に防止することができる。
【0019】
したがって、この構成によれば、循環ポンプを常時運転することで、供給路を通じた電圧印加部の側への塗料給送の有無(即ち、噴霧部からの塗料噴霧の有無)にかかわらず、電圧印加部とアース部との間での塗料中導電材の橋絡を上記分岐部と上記合流部の間において一層確実かつ効果的に防止することができる。
【0020】
また、この構成において、局部循環路は供給路における塗料流れ方向の一部箇所に対する短絡的な循環路でよいから、循環ポンプもごく小型なもので済む。
【0021】
本発明の第2特徴構成は、導電材分散塗料用の静電塗装装置に係り、その特徴は、
導電材を非導電性溶剤に分散させた塗料を貯留する塗料タンクを設け、
この塗料タンクから供給ポンプにより供給路を通じて給送される塗料を噴霧する噴霧部と、この噴霧部から噴霧する塗料を噴霧前の段階での高電圧印加により帯電させる電圧印加部とを備える塗装機を設け、
前記供給路における塗料を電気的に接地するアース部とそれよりも下流側に位置する前記電圧印加部との間に形成される電界により前記供給路における塗料に塗料中導電材の橋絡が形成されることを塗料撹拌により防止する撹拌手段を設けた導電材分散塗料用の静電塗装装置であって、
前記供給路を開閉する開閉バルブを、前記供給ポンプと前記塗装機との間において前記供給路に介装して、この開閉バルブと前記電圧印加部との間に前記アース部を配置し、
前記撹拌手段を構成するのに、前記電圧印加部と前記アース部との間における前記供給路の塗料流れ方向における一部箇所を撹拌部として、前記供給路を通じた前記電圧印加部の側への塗料給送の有無にかかわらず、前記撹拌部における塗料を発生駆動力により撹拌することで前記橋絡の形成を前記撹拌部において阻止する駆動撹拌手段を設け、
この駆動撹拌手段を構成するのに、循環ポンプにより前記供給路における塗料の一部を分岐部から抽出して、その抽出塗料を前記分岐部よりも上流側の合流部で前記供給路に戻す局部循環路を、前記電圧印加部と前記アース部との間に前記分岐部を配置するとともに前記アース部
と前記開閉バルブとの間に前記合流部を配置した状態で、前記供給路に設け、
前記分岐部を前記撹拌部として、前記供給路を通じた前記電圧印加部の側への塗料給送の有無にかかわらず、前記分岐部における塗料を前記循環ポンプによる前記局部循環路を通じた塗料循環により撹拌する構成にしてある点にある。
【0022】
つまり、この構成では、
前記の第1特徴構成と同様、循環ポンプの常時運転による局部循環路での塗料循環により供給路における分岐部と合流部との間の塗料を常時撹拌して塗料中導電材の橋絡を防止するが、特にこの構成では、
供給路を開閉する開閉バルブを、供給ポンプと塗装機との間において供給路に介装し、この開閉バルブと電圧印加部との間にアース部を配置する構成で、下流側の分岐部を電圧印加部とアース部との間に配置するのに対し、上流側の合流部をアース部と開閉バルブとの間に配置することで、電圧印加部とアース部との間での塗料中導電材の橋絡を上記分岐部とアース部との間(殊に塗料の乱流化による撹拌効果が大きい分岐部近傍)において確実に防止する。
【0023】
そして、この構成によれば、分岐部と合流部とのうち分岐部のみを電圧印加部とアース部との間に配置するから、塗装機における電圧印加部とアース部との離間寸法を小さくすることができて、アース部を電圧印加部に一層近い下流側寄り箇所に配置することができ、これにより、電気的な絶縁が不要となる装置内領域を一層大きくすることができて、装置コストを一層低減することができる。
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗装機において前記電圧印加部よりも塗料流れ方向で上流側に位置する塗装機後端部に前記アース部を配置してある点にある。
つまり、この構成によれば、塗装機の後端部よりも上流側に位置する装置内領域の全てについて電気的な絶縁を不要にすることができ、これにより、装置コストをさらに効果的
に低減することができる。
【0024】
なお、本発明は以上の通りであるが、本発明に対する参考構成としては、
前記供給路を開閉する開閉バルブを、前記供給ポンプと前記塗装機との間において前記供給路に介装して、この開閉バルブを前記アース部とし、
そして、前記電圧印加部と前記アース部との間における前記供給路の塗料流れ方向における一部箇所を撹拌部とすることにおいて、
前記駆動撹拌手段を構成するのに、前記供給路を通じた前記電圧印加部の側への塗料給送の有無にかかわらず前記撹拌部における塗料を発生振動により撹拌する振動装置を、前記供給路における前記撹拌部に設けることも考えられる。
【0025】
つまり、この構成では、供給路における塗料流れ方向の一部箇所に配置した振動装置の配置部を前記撹拌部として、その振動装置の配置部における塗料を振動装置の発生振動により撹拌することで、振動装置配置部における塗料中導電材の電界による結合を阻止する。
【0026】
したがって、この構成によれば、振動装置を常時運転することで、供給路を通じた電圧印加部の側への塗料給送の有無(即ち、噴霧部からの塗料噴霧の有無)にかかわらず、塗料中導電材の橋絡を振動装置の配置部において確実に防止することができる。
【0027】
そして、この構成によれば、振動装置の発生駆動力も小さなもので済み、また、前記第
1及び第
2特徴構成の如き局部循環路の形成さえも不要にし得ることで、装置コストを一層効果的に低減することができる。
【0028】
(削除)
【0029】
(削除)
【0030】
(削除)
【0031】
(削除)