特許第6119995号(P6119995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119995
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】携帯端末用接続トレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 31/00 20060101AFI20170417BHJP
   G11B 33/02 20060101ALI20170417BHJP
   G11B 33/06 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G11B31/00 Z
   G11B33/02 501M
   G11B33/02 501S
   G11B33/06 M
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-204312(P2013-204312)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-69682(P2015-69682A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003676
【氏名又は名称】ティアック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲
(72)【発明者】
【氏名】井田 一輝
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−216154(JP,A)
【文献】 特開2012−009087(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/084271(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0008373(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 31/00
G11B 33/00−33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに格納された格納位置から、前記本体ケースから引き出された第1引出し位置を経由して第2引出し位置への移動と、その逆方向への移動とが可能な接続トレイと、
前記接続トレイに取り付けられており、前記第1引出し位置で第1タイプの携帯端末が接続可能な第1コネクタと、
前記接続トレイに取り付けられており、前記第2引出し位置で、前記第1タイプの携帯端末とは接続方式が異なる第2タイプの携帯端末が接続可能な第2コネクタと、
前記第1及び第2引出し位置において、前記接続トレイをロックしてその移動を阻止するロック機構と、
前記ロック機構のロックを解除して、前記接続トレイの移動を可能にするロック解除機構と、
を備えることを特徴とする携帯端末用接続トレイ装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、
ロックボスを有し、前記接続トレイに変位可能に取り付けられたロック板と、
前記接続トレイが前記格納位置から前記第2引出し位置に移動するときに、前記ロックボスに当接して前記ロック板を変位させるロックブラケットと、
前記ロックブラケットに形成され、前記接続トレイが前記第1引出し位置まで移動したときに、前記ロックボスが挿入され、前記接続トレイを前記第1引出し位置でロックするロック凹部と、
前記ロックブラケットに形成され、前記接続トレイが前記第2引出し位置まで移動したときに、前記ロックボスを受け止めて、前記接続トレイを前記第2引出し位置でロックするロック凸部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末用接続トレイ装置。
【請求項3】
前記ロック解除機構は、
前記接続トレイに設けられたロック解除ボタンと、
前記ロック解除ボタンに連結され、前記ロック解除ボタンの操作に連動して移動し、移動により前記ロック板を変位させて、前記ロック機構のロックを解除する移動板と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末用接続トレイ装置。
【請求項4】
前記格納位置において、前記接続トレイのロック及びロック解除をする格納ロック機構を備えることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末用接続トレイ装置。
【請求項5】
前記接続トレイに設けられ、前記第1コネクタの背後に起立する起立位置と倒伏位置との間で回転自在で、前記起立位置にあるときに前記第1コネクタに接続された前記第1タイプの携帯端末の背面を受け止めるストッパを備えることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載の携帯端末用接続トレイ装置。
【請求項6】
前記ストッパが前記起立位置にある状態で前記接続トレイが前記格納位置に向けて移動したときに、前記ストッパは前記本体ケースに当接して前記倒伏位置まで回転することを特徴とする請求項5に記載の携帯端末用接続トレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の本体ケースから引出し可能な携帯端末用接続トレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯プレーヤや携帯電話などの携帯端末で音楽を楽しむことが一般的になっている。この携帯端末は、音楽を記録するメモリや、音楽を再生する再生部等がケース内に収納され、また、ケースの前面には、音楽再生に関する情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)や、操作ボタン等が設けられている。操作ボタンを操作して所望の音楽を選択すると、その選択した音楽が再生され、イヤフォンやヘッドフォンで聞くことができる。
【0003】
携帯端末は、屋外ではヘッドフォン等が用いられるが、自宅などの室内では、CDプレーヤ等の電子機器に接続されて使用されることが多い。携帯端末から読み出した音楽データは、電子機器で信号処理されてからスピーカに送られ、迫力ある音量で音楽が再生される。
【0004】
特許文献1記載のVTR装置では、VTR装置(電子機器)の本体ケース内部に格納される格納位置と、本体ケースから引き出された引出し位置との間で移動自在な接続トレイ(扉部と称されている)を設け、この接続トレイにビデオカメラが接続されるコネクタを設けている。ビデオカメラを接続するときには、接続トレイを引出し位置まで引き出して、コネクタにビデオカメラを接続することで、ビデオカメラに装着されたビデオテープからVTR装置に装着されたビデオテープへのダビングを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−287972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯端末は、定期的にモデルチェンジが行われて新製品が発売される。この新製品では、新しい規格のコネクタが採用されることがある。この新旧の両製品を使用可能にするには、2タイプのコネクタが必要となる。この場合に、変換アダプタを準備し、これを旧タイプのコネクタに接続し、これに新型の携帯端末を接続することが多い。しかし、変換アダプタを用いると、新型携帯端末では、変換アダプタの厚み分だけ高くなるので、電子機器をラックに載置して使用する場合に、ラックが邪魔となり、新型携帯端末の装着がしにくくなる。
【0007】
そこで、接続トレイ上に、タイプが異なる複数のコネクタを並設し、各種の携帯端末を装着する方法が考えられる。この際に、各携帯端末を適切な位置で装着できるように、接続トレイの位置決め操作が確実に行われることが要請される。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、接続トレイの位置決め操作を確実に行うことができる携帯端末用接続トレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の携帯端末用接続トレイ装置は、本体ケースに格納された格納位置から、本体ケースから引き出された第1引出し位置を経由して第2引出し位置への移動と、その逆方向への移動とが可能な接続トレイと、この接続トレイに取り付けられており、第1引出し位置で第1タイプの携帯端末が接続可能な第1コネクタと、接続トレイに取り付けられており、第2引出し位置で、第1タイプの携帯端末とは接続方式が異なる第2タイプの携帯端末が接続可能な第2コネクタと、第1及び第2引出し位置において、接続トレイをロックしてその移動を阻止するロック機構と、このロック機構のロックを解除して、接続トレイの移動を可能にするロック解除機構と、を備えている。
【0010】
また、ロック機構は、ロックボスを有し、接続トレイに変位可能に取り付けられたロック板と、接続トレイが格納位置から第2引出し位置に移動するときに、ロックボスに当接してロック板を変位させるロックブラケットと、このロックブラケットに形成され、接続トレイが第1引出し位置まで移動したときに、ロックボスが挿入され、接続トレイを第1引出し位置でロックするロック凹部と、ロックブラケットに形成され、接続トレイが第2引出し位置まで移動したときに、ロックボスを受け止めて、接続トレイを第2引出し位置でロックするロック凸部と、を備えることが好ましい。
【0011】
さらに、ロック解除機構は、接続トレイに設けられたロック解除ボタンと、ロック解除ボタンに連結され、ロック解除ボタンの操作に連動して移動し、移動によりロック板を変位させて、ロック機構のロックを解除する移動板と、を備えることが好ましい。
【0012】
また、格納位置において、接続トレイのロック及びロック解除をする格納ロック機構を備えることが好ましい。
【0013】
さらに、接続トレイに設けられ、第1コネクタの背後に起立する起立位置と倒伏位置との間で回転自在で、起立位置にあるときに第1コネクタに接続された第1タイプの携帯端末の背面を受け止めるストッパを備えることが好ましい。
【0014】
また、ストッパが起立位置にある状態で接続トレイが格納位置に向けて移動したときに、ストッパは本体ケースに当接して倒伏位置まで回転することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、接続トレイの引出し中に、第1タイプの携帯端末が接続可能な第1引出し位置と、第2タイプの携帯端末が接続可能な第2引出し位置とに、それぞれロックするためのロック機構を設けたから、接続トレイの引出し位置の位置決めが簡単である。また、接続トレイが各引出し位置からみだりに動くのを阻止するから、接続トレイの移動により、携帯端末が本体ケースに衝突してコネクタ等を破損するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の携帯端末用接続トレイ装置を備えたCDプレーヤを示す斜視図である。
図2】接続トレイを第1引出し位置に引き出した状態のCDプレーヤを示す斜視図である。
図3】接続トレイを第2引出し位置に引き出した状態のCDプレーヤを示す斜視図である。
図4】接続トレイを引き出した状態の携帯端末用接続トレイ装置の一例を示す斜視図である。
図5】接続トレイを上トレイと下トレイとに分解した状態の斜視図である。
図6】下トレイの分解斜視図である。
図7】第1タイプ携帯端末の装着状態を示す側面図である。
図8】格納位置でのロックブラケットとロック板との関係を示す説明図である。
図9】第1引出し位置の手前の状態を示す説明図である。
図10】第1引出し位置の状態を示す説明図である。
図11】第1引出し位置でのロックを解除した状態を示す説明図である。
図12】第2引出し位置の状態を示す説明図である。
図13】コネクタの切換回路を示す回路図である。
図14】接続トレイに第1タイプ携帯端末を装着した状態のCDプレーヤを示す斜視図である。
図15】接続トレイに第2タイプ携帯端末を装着した状態のCDプレーヤを示す斜視図である。
図16】回転自在な接続トレイを設けた実施形態のCDプレーヤを示す平面図である。
図17】接続トレイを第2引出し位置まで回転した状態のCDプレーヤを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図3に示すように、CDプレーヤ2は、箱形をした本体ケース3を備え、この中にCDプレーヤ回路76(図13参照)が収納されている。また、CDプレーヤ2には、アンプを介してスピーカ(いずれも図示せず)が接続されており、迫力ある音量で音楽等が再生される。本体ケース3は、前側に取り付けられた前面パネル4を備える。
【0018】
本体ケース3内には、ディスク装置5と、携帯端末用接続トレイ装置6とが設けられている。ディスク装置5のディスクトレイ5aと、携帯端末用接続トレイ装置6の接続トレイ7とが、前面パネル4から引出し可能になっている。
【0019】
前面パネル4には、電源ボタン11、ディスクトレイ5aを開閉するための開閉ボタン12、再生ボタン13、停止ボタン14、セレクトボタン15等の各種操作ボタンと、LCD16とが設けられている。セレクトボタン15は、CDの再生を行うか、接続トレイ7にセットされた携帯端末の再生を行うかを選択する。
【0020】
ディスクトレイ5aは、周知のようにCDを保持するものであり、本体ケース3内部に格納される格納位置と、本体ケース3から引き出された引出し位置との間で移動可能である。ディスクトレイ5aは、モータ及びギア等を有する周知のトレイ移動機構により移動される。
【0021】
本体ケース3の内のディスク装置5は、周知のように、ピックアップヘッドと、CDを回転させるスピンドルモータ(いずれも図示せず)とを備える。ピックアップヘッドは、CDの半径方向に移動可能に設けられ、ディスクトレイ5aが格納位置にセットされているときに、スピンドルモータにより回転されるCDにアクセスする。
【0022】
接続トレイ7は、図1に示す格納位置、図2に示す第1引出し位置、図3に示す第2引出し位置に移動する。接続トレイ7が第1引出し位置にセットされているときは、接続トレイ7上に設けた第1コネクタ21に第1タイプ携帯端末31が接続される。第2引出し位置にセットされているときには、接続トレイ7上の第2コネクタ22に第2タイプ携帯端末32が接続される。
【0023】
この実施形態では、第1タイプ携帯端末31は、ピン数が例えば8個の新型であり、第2タイプ携帯端末32は、ピン数が例えば30個の旧型である。
【0024】
第1タイプ携帯端末31は、前面にLCD31aと操作ボタン31bとが設けられ、下面に第1コネクタ21に接続される第1端末端子31cが設けられている。第1タイプ携帯端末31の内部には、制御部と、音楽データを書換可能に記録したメモリとが設けられている。同様に、第2タイプ携帯端末32には、LCD32a、操作ボタン32b、第2コネクタ22に接続される第2端末端子32c、制御部、音楽データを書換可能に記録したメモリが設けられている。
【0025】
図4図7に示すように、携帯端末用接続トレイ装置6は、接続トレイ7と、接続トレイ7をスライド自在に保持するガイドユニット34と、このガイドユニット34の先端側に取り付けられたロックブラケット35とを備えている。ガイドユニット34は、上面が開口したチャンネル状をしており、本体ケース3内に固定されている。このガイドユニット34の左右の内面には、接続トレイ7を移動可能に支持する一対のレール34aが設けられている。接続トレイ7は、このレール34aにより支持され、本体ケース3内部に格納される格納位置から、本体ケース3から引き出された第1引出し位置を経由して第2引出し位置への移動と、その逆方向への移動とが可能となる。
【0026】
接続トレイ7は、上トレイ7aと、下トレイ7bとから構成され、これらはビス(図示せず)により固定されている。上トレイ7aの上トレイ本体38の前面には、フロントベゼル39が取り付けられている。上トレイ本体38には、凹状の第1ドック41と、第2ドック42とが前後方向に並んで形成されている。第1ドック41内には、8ピンの第1コネクタ21が取り付けられている。第2ドック42内には、30ピンの第2コネクタ22が取り付けられている。また、第1ドック41の背後に、第1タイプ携帯端末31を受け止めるストッパ43が設けられている。第1ドック41には凸部41aが形成され、この凸部41aは、水平方向に対して例えば15°傾いている。第1コネクタ21は、この凸部41aに取り付けられているため、第1コネクタ21も垂直方向に対して後方に15°傾いている。同様に、第2ドック42の底面も、後方に15°傾いているので、第2コネクタ22も同じ角度だけ傾いている。
【0027】
ストッパ43は、第1タイプ携帯端末31が倒れないように安定させるものであり、本体部43aと、軸部43bとを備え、この軸部43bを中心にして回転自在に上トレイ本体38に取り付けられている。ストッパ43は、第1コネクタ21の背後で約80°に起立して、第1タイプ携帯端末31を受け止める起立位置(図2図5図7参照)と、倒伏位置(図3及び図4参照)との間で回転する。本体部43aには、倒伏位置に位置するときに、第1コネクタ21との接触を防ぐための逃げ孔43cと、第1タイプ携帯端末31を受け止める凸部43dとが形成されている。上トレイ本体38には、ストッパ43を倒伏位置から起立位置に向けて回転させるときに指を差し込むための凹部38aが形成されている。
【0028】
第2ドック42には、第2タイプ携帯端末32下部の外周が嵌合するリング状のアダプタ44が取り付けられている。このアダプタ44は、第2タイプ携帯端末32に傷が付かないように、軟質のプラスチックまたは硬質のゴムで作られている。
【0029】
ガイドユニット34には、接続トレイ7を格納位置でロックするための周知のプッシュロック機構46が設けられている。下トレイ7bの下トレイ本体47には、このプッシュロック機構46によりロックされるロック爪47aが形成されている。プッシュロック機構46は、接続トレイ7を格納位置へ押すとロックされ、そして、格納位置でロックされた接続トレイ7を少し押し込むと、ロックが解除される。
【0030】
下トレイ本体47には、引き出し方向に延びた切欠き47bが形成されており、これを覆うようにカバー47cが形成されている。このカバー47cの端側にロック爪47aが形成されている。したがって、プッシュロック機構46は、このカバー47c内に入り込んでロック爪47aを係止する。
【0031】
上トレイ本体38の後端部には、接続トレイ7をイジェクトするためのイジェクトシャフト49が、前後方向に移動自在に設けられている。このイジェクトシャフト49は、コイルバネ(図示せず)に挿通されている。接続トレイ7が格納位置に向けて移動すると、イジェクトシャフト49の後端が本体ケース3の後側内壁に当接し、イジェクトシャフト49は、コイルバネを圧縮しながら前方に移動する。これにより、接続トレイ7が格納位置でロックされると、コイルバネが蓄勢された状態となる。そして、接続トレイ7のロックが解除されると、コイルバネによってイジェクトシャフト49が接続トレイ7を前方に押圧する。この押圧により、本実施形態では、接続トレイ7は、第1引出し位置(図2参照)の手前まで飛び出すことができる。
【0032】
下トレイ本体47には、ロック解除ボタン51と、このロック解除ボタン51に連結され、ロック解除ボタン51の操作に連動して前後方向に移動する移動板52と、この移動板52に連動して変形しながら移動するロック板53とが取り付けられている。ロック解除ボタン51は、上トレイ本体38に形成された開口から突出している。
【0033】
移動板52は、板状の本体部52aと、ロック解除ボタン51が取り付けられる取付部52bと、折り曲げ部52cと、バネ掛け部52dとが形成されている。本体部52aには、3個の長孔52eが形成され、折り曲げ部52cには、ピン54が固定されている。バネ掛け部52dと下トレイ本体47との間には、コイルバネ55が掛けられている。このコイルバネ55により、移動板52は後方に付勢されている。長孔52eには、下トレイ本体47に形成された円筒部47dが挿通されている。この円筒部47dの孔に、ワッシャ56を介して固定されたネジ57により、移動板52は前後方向に移動自在に取り付けられている。
【0034】
ロック板53は、樹脂で成形されており、板状の本体部53aと、この本体部53aに連設され、先端にスリット53bが形成されたL字状の位置決め板部53cと、この位置決め板部53cから延びる固定板部53dとを備える。本体部53aは、上面の中央部に移動板52のピン54に当接する凸部53eが形成され、後端部にロックボス53fが形成され、凸部53eとロックボス53fとの間には、長孔53gが形成されている。また、固定板部53dには、位置決め孔53hと挿通孔53iとが形成され、位置決め板部53cには、各孔53h,53iを露呈するための開口53jが形成されている。上トレイ本体38には、ロックボス53fが挿通される挿通孔38bが形成されている。この挿通孔38bは、ロックボス53fが孔内で多少動けるように、ロックボス53fよりも前後方向に長い。ロックボス53fは、挿通孔38bを挿通されて、上トレイ本体38の上面から突出している。
【0035】
下トレイ本体47には、スリット53bに挿入される凸部47eと、位置決め孔53hに挿入される位置決めボス47fと、ロック板53を受け止める円筒部47gと、長孔53gに挿通される円筒部47hと、バネ用ボス47iとが形成されている。位置決めボス47fが位置決め孔53hに挿入され、凸部47eがスリット53bに挿入された状態で、ネジ62が挿通孔53iを通して円筒部47gの孔に固定されている。これにより、ロック板53の固定板部53dは下トレイ本体47に固定されている。さらに、長孔53gを挿通された円筒部47hの孔に、ワッシャ63を介してネジ64が螺合されている。ロック板53は、固定板部53dが本体部53aに連結していないので、固定板部53dよりも後側部分が変形可能となっている。バネ用ボス47iには、コイルバネ65が挿入されている。このコイルバネ65により、ロック板53は上方に付勢されている。
【0036】
図8図12に示すように、ガイドユニット34に固定されたロックブラケット35の内面には、接続トレイ7を移動したときにロックボス53fが当接する第1テーパ面35a、第2テーパ面35b、第3テーパ面35c、肩部35d、第4テーパ面35eが形成されている。第2テーパ面35bと第3テーパ面35cとの間には、ロックボス53fが挿入され、接続トレイ7を第1引出し位置でロックするロック凹部35fが形成されている。なお、図8図12では、上トレイ7a及びガイドユニット34を省略し、ロックブラケット35のみを断面図で示している。
【0037】
ロックブラケット35の前面には、ロックボス53fを受け止めて、接続トレイ7を、第2引出し位置にロックするロック凸部35gが形成されている。本実施形態では、接続トレイ7を第1及び第2引出し位置でロックするロック機構70は、ロックボス53fが形成されたロック板53と、ロック凹部35f及びロック凸部35gが形成されたロックブラケット35とを有する。また、格納位置において接続トレイ7のロック及びロック解除をする格納ロック機構は、プッシュロック機構46とロック爪47aとを有する。なお、格納位置でのロックをロック機構70で行ってもよい。この場合には、ロックブラケット35を後方へ延長し、格納位置でのロックに用いられるロック凹部を形成すればよい。
【0038】
接続トレイ7が第2引出し位置にセットされている場合には、第1タイプ携帯端末31と第2タイプ携帯端末32との両方が、接続トレイ7に装着可能である。この場合には、後に装着された携帯端末が優先的にCDプレーヤ2に接続される。図13は、このための切換え回路を示すものである。第1,第2コネクタ21,22は、セレクタ74と接続検知部75とに接続されている。この接続検知部75は、第1,第2コネクタ21,22への第1,第2タイプ携帯端末31,32の接続状態を検知し、どちらが後に装着されたかを判定する。この判定により、後に装着されたコネクタを選択するための選択信号がセレクタ74に送られる。このセレクタ74は、第1,第2コネクタ21,22のうちの後に接続されたコネクタを選択し、そのコネクタからの音声データを、CDプレーヤ回路76に送る。
【0039】
なお、例えばロックボス53fでオンするマイクロスイッチを設け、このマイクロスイッチのオンから接続トレイ7が第2引出し位置にセットされたことを検知したときに、セレクタ74を第1コネクタ21から第2コネクタ22に切り換えてもよい。
【0040】
次に、上記実施形態の作用について、図14及び図15を参照して説明する。携帯端末に記録した音楽等を、CDプレーヤ2を介して鑑賞する場合には、接続トレイ7に携帯端末を装着する。
【0041】
例えば、新型の第1タイプ携帯端末31を使用する場合は、接続トレイ7を第1引出し位置まで引き出すことが必要である。この場合に、先ず、接続トレイ7のフロントベゼル39を手で軽く押す。このフロントベゼル39が押されると、プッシュロック機構46のロックが解除される。プッシュロック機構46からロック爪47aがフリーになると、イジェクトシャフト49は、蓄勢されたコイルバネの付勢により本体ケース3の後側内壁を押すから、図1及び図8に示す格納位置から、接続トレイ7は第1引出し位置の手前まで移動する。
【0042】
第1引出し位置の手前まで移動された後、フロントベゼル39を指でつまんで接続トレイ7を前方に移動する。この前方への移動により、図9に示すように、ロックボス53fが、ロックブラケット35の第1テーパ面35a及び第2テーパ面35bにより押される。ロック板53は、位置決め板部53cが多少変形しながら、本体部53aがコイルバネ65の付勢に抗して下方に変位する。
【0043】
図10に示すように、ロックボス53fがロックブラケット35のロック凹部35fに対面する位置まで接続トレイ7が移動されたときに、ロック板53は、コイルバネ65の付勢により、位置決め板部53cが元の形状に戻るとともに、本体部53aが上方へ変位する。これにより、ロックボス53fがロックブラケット35のロック凹部35fに挿入され、接続トレイ7は第1引出し位置でロックされる。
【0044】
接続トレイ7が第1引出し位置でロックされた後に、ストッパ43を手で起立位置まで回転する。そして、図14に示すように、第1タイプ携帯端末31の下端を第1ドック41に挿入して、第1端末端子31cを第1コネクタ21に接続する。図7に示すように、第1コネクタ21に接続された第1タイプ携帯端末31は、その背面がストッパ43で受け止められているので、前面の操作ボタン31bを押圧操作してもグラつくことなく安定している。
【0045】
第1タイプ携帯端末31を接続トレイ7にセットしてから、セレクトボタン15を操作して、再生モードを選択する。次に、第1タイプ携帯端末31の操作ボタン31bを操作して、第1タイプ携帯端末31のメモリに記録された音楽データの中から1つを選択する。この選択された音楽データは、第1コネクタ21、セレクタ74、CDプレーヤ回路76に送られる。このCDプレーヤ回路76で処理された音楽データは、アンプ(図示せず)を介してCDプレーヤ2に接続されたスピーカに送られ、スピーカから音楽が再生される。
【0046】
第1タイプ携帯端末31の使用を終了し、接続トレイ7を格納位置まで移動する場合には、第1タイプ携帯端末31を第1コネクタ21から抜き取り、ストッパ43を倒伏位置まで回転する。そして、ロック解除ボタン51を前方に押す。図11に示すように、ロック解除ボタン51が前方に押されると、これに連動して移動板52も前方に移動し、移動板52のピン54により押されてロック板53が変位する。これにより、ロックボス53fがロック凹部35fから抜け出るので、接続トレイ7の第1引出し位置でのロックが解除される。
【0047】
第1引出し位置でのロックが解除された後、フロントベゼル39を押圧して接続トレイ7を格納位置まで移動する。接続トレイ7を格納位置まで移動すると、下トレイ7bのロック爪47aが、プッシュロック機構46によりロックされ、接続トレイ7は格納位置でロックされる。
【0048】
ストッパ43を起立位置に位置させたままで、接続トレイ7を格納位置に向けて移動した場合には、ストッパ43の後面が前面パネル4の前面に当接して、ストッパ43は倒伏位置まで回転する。これにより、ストッパ43を閉じ忘れた場合でも、ストッパ43や接続トレイ7が破損することがない。
【0049】
旧型の第2タイプ携帯端末32を接続トレイ7にセットする場合には、接続トレイ7を図1に示す格納位置から図3に示す第2引出し位置へ引き出すことが必要である。この場合には、前述した手順により、接続トレイ7を第1引出し位置に移動する。この第1引出し位置では、接続トレイ7がロックされるから、ロック解除ボタン51を前方に引いてロックの解除操作をする。
【0050】
ロック解除ボタン51が前方に押されると、上述したように、接続トレイ7の第1引出し位置でのロックが解除される。次に、フロントベゼル39を指でつまんで接続トレイ7を前方に移動する。接続トレイ7が第1引出し位置からさらに前方に移動すると、ロック板53のロックボス53fが、ロックブラケット35の第3テーパ面35cで押されながら移動し、肩部35dに当たる。ここで接続トレイ7に負荷がかかるため、第2引出し位置に近づいたことが分かる。
【0051】
更に、フロントベゼル39をゆっくり引くと、ロックボス53fが肩部35dを乗り越えてから第4テーパ面35eを通り、図12に示すように、ロックブラケット35から抜け出る。ロック板53は、コイルバネ65の付勢により先端側が元の形状に戻るとともに、ロックボス53fが上方へ変位する。このロックボス53fは、ロックブラケット35のロック凸部35gで受け止められるので、接続トレイ7は、第2引出し位置でロックされる。なお、接続トレイ7の前方の移動が阻止されるようにストッパ(図示せず)で、接続トレイ7を係止すれば、前方の移動が規制される。また、ロック解除ボタン51を前方に押したままの状態で、接続トレイ7を引き出せば、第1引出し位置でのロック及びロック解除を行わずに、格納位置から第2引出し位置まで一気に引き出すことができる。
【0052】
接続トレイ7が第2引出し位置でロックされた後、図15に示すように、第2タイプ携帯端末32の下端を第2ドック42に挿入して、第2端末端子32cを第2コネクタ22に接続する。そして、第2タイプ携帯端末32を再生すると、音楽データは、第2コネクタ22、セレクタ74、CDプレーヤ回路76、アンプ(図示せず)を介してスピーカに送られ、スピーカから音楽が再生される。
【0053】
第2引出し位置では、第2タイプ携帯端末32の他に、第1タイプ携帯端末31も装着することができる。この場合に、例えば、第1タイプ携帯端末31の装着後に、第2タイプ携帯端末32が接続されると、この接続状態を示す信号が接続検知部75に送られる。この信号により、接続検知部75は、第2コネクタ22が第1コネクタ21の後に接続されたと判断する。この判断に基づいて、接続検知部75は、後に装着された第2コネクタ22を選択するための選択信号をセレクタ74に送る。この選択信号により、セレクタ74は、第1タイプ携帯端末31とCDプレーヤ回路76との接続を解除し、代わりに、第2タイプ携帯端末32をCDプレーヤ回路76に接続する。
【0054】
第2タイプ携帯端末32だけが装着された状態で、その使用を終了する場合には、接続トレイ7を格納位置まで移動し、第2タイプ携帯端末32を第2コネクタ22から抜き取る。次に、ロック解除ボタン51を前方に押すと、移動板52のピン54によりロック板53が変位して、ロックボス53fがロック凸部35gから抜け出る。これにより、接続トレイ7の第2引出し位置でのロックが解除される。第2引出し位置でのロックが解除された後、フロントベゼル39を押圧して接続トレイ7を後方に移動する。
【0055】
接続トレイ7は、第2引出し位置から後方に移動すると、ロック板53のロックボス53fが、ロックブラケット35のロック凹部35fに挿入され、第1引出し位置でロックされる。上記したように、接続トレイ7の第1引出し位置でのロックを解除した後、接続トレイ7を格納位置まで移動する。なお、ロック解除ボタン51を前方に押したままの状態を保つことで、接続トレイ7を第2引出し位置から格納位置まで一気に移動することができる。
【0056】
接続トレイ7を第1引出し位置及び第2引出し位置から格納位置に向けて移動する場合には、ロック解除ボタン51を操作してロックを解除する必要があり、この操作をしない限りは、接続トレイ7を移動することができない。したがって、第1,第2コネクタ21,22に第1,第2タイプ携帯端末31,32を接続したままの状態で誤って接続トレイ7を移動させようとしたときにも、第1,第2コネクタ21,22や第1,第2タイプ携帯端末31,32が破損することがない。
【0057】
一方、CDを再生する場合には、セレクトボタン15を操作して、CDの再生を選択した後、開閉ボタン12を操作して、ディスクトレイ5aを引出し位置まで移動し、CDを載せる。そして、開閉ボタン12を操作してディスクトレイ5aを格納位置まで移動すると、周知のようにCDはスピンドルモータとクランパとの間に挟持される。再生ボタン13を操作すると、スピンドルモータの回転によりCDが回転し、ピックアップヘッドは、回転中のCDにアクセスしてCDのデータを再生する。
【0058】
また、図16及び図17に示すように、CDプレーヤ100に、格納位置と、第1引出し位置(図16参照)を経由した第2引出し位置(図17参照)との間で回転自在な接続トレイ101を設けてもよい。この接続トレイ101には、第1及び第2タイプ携帯端末31,32が接続可能な第1コネクタ111及び第2コネクタ112が取り付けられている。この実施形態でも、上記実施形態と同様に、接続トレイ101を、第1及び第2引出し位置においてロックするロック機構と、ロックを解除するロック解除機構とを設ける。なお、図16及び図17では、ストッパの図示を省略している。
【0059】
なお、上記実施形態では、ロック板の変形により、接続トレイのロック及びロック解除を行っているが、ロック板の先端側を回転可能に取り付けてもよい。さらには、ロック板は、上下方向に移動自在、または揺動自在にしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、接続トレイに2個のコネクタを設けているが、3個以上のコネクタを設けてもよい。この場合には、コネクタの個数に応じた引出し位置でロックする。また、いずれのコネクタを有効化するかを手動で選択するセレクトボタンを設けてもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態では、8ピンのコネクタと30ピンのコネクタを設けているが、ピンの本数ではなく、接続端子の構造が異なった携帯端末の接続にも、本発明は利用できる。
【0062】
また、上記実施形態では、2個のコネクタのうちの1個のコネクタの後ろにストッパを配しているが、両方のコネクタの後ろにストッパを配してもよい。
【0063】
さらに、上記実施形態では、携帯端末用接続トレイ装置を備えたCDプレーヤにおいて携帯端末に記録された音楽データを再生しているが、携帯端末用接続トレイ装置を備えたDVD(BD)プレーヤでは、携帯端末に記録された音楽データだけでなく、動画データを再生してもよい。この場合には、携帯端末に記録された動画データは、コネクタ、DVD(BD)の制御部を介して、DVD(BD)に接続されたディスプレイに送られて表示される。
【符号の説明】
【0064】
2 CDプレーヤ
3 本体ケース
6 携帯端末用接続トレイ装置
7 接続トレイ
21,22 第1,第2コネクタ
31,32 第1,第2タイプ携帯端末
35 ロックブラケット
35f ロック凹部
35g ロック凸部
43 ストッパ
51 ロック解除ボタン
52 移動板
53 ロック板
53f ロックボス
図1
図2
図3
図4
図5
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