【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の電気刺激装置においては、以下の「操作性」「安全性」「省スペース/コスト削減」において課題があった。
【0006】
(操作性)
出力調節器が複数設けられているので、連動モードの際にどれが目標設定出力調節器かが判りづらい。また、治療を開始した後に連動モードから独立モードに切り替わると、出力調節方法が治療途中で変わるので、使い方自体が判りづらい。
【0007】
(安全性)
連動モードが解除され、独立モードに切り替わると、出力調節を行うために出力調節器に手を近付けた際に、他のチャンネルの出力調節器に誤って手が接触してしまうと、意図しない出力変動が患者に作用し極めて危険である。また、この対策として最大出力抑制機能を搭載しても、目標出力以上の出力が患者に作用する可能性は残り危険である。また、一定時間の経過後に目標出力以上に調節できないようにするロック機構を設けると、治療途中でどうしても出力調節したい場合に、ロック機構を解除する操作を行うか、最初からやり直しをするなどの対応が必要となり煩わしい。
【0008】
(省スペース/コスト削減)
出力連動を実現するためには、複数設けられた出力調節器それぞれに出力調節器を駆動する駆動部を設ける必要があり、装置が複雑且つ高額となる他、故障頻度増大のリスクが伴う。仮に駆動部が故障すると、出力連動機能が使用不能となり、複数の出力調節器を個々に調節する必要が生じ、連動モードで習慣化したユーザの場合、適切な治療感が得られるように出力調節を行うことが困難である。また、出力調節器が各チャンネルごとに設けられているので、装置が大型化し、手狭な施設ではスペースの確保が困難である。また、同一のインタフェースで低周波・中周波・干渉波治療を行える機器は存在せず、使用者は低周波・中周波・干渉波治療の治療器を個々に購入する必要があり、機器設置スペースや導入コストが増大する他、個々の機器の使用方法に熟練する必要もあり、機器導入の妨げとなっている。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、操作性、安全性および省スペース/コスト削減において優れた電気刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数組の導子に電気刺激の出力を供給する出力回路と、出力調節を行うチャンネルを選択するチャンネル選択手段と、
チャンネル選択解除手段と、を備えると共に、前記出力回路の出力を調節する出力調節器が1個設けられ、前記出力調節器は、前記出力回路からの前記出力の開始前に前記チャンネル選択手段で選択されたチャンネルに接続された導子の出力を同時調節することが可能であ
って、前記出力の開始または調節後、新たなチャンネルの選択が検出されると、当該チャンネルをチャンネル選択状態に移行すると共に、前記チャンネル選択解除手段は、前記出力の開始または調節が行われたチャンネルのチャンネル選択を解除する機能を有する、ことを特徴とする。この場合、前記出力は、電圧でも電流でもよい。
【0011】
請求項1によれば、チャンネル選択手段により同時に出力調節すべき複数のチャンネルを確実かつ容易に選択して1個の出力調節器で同時に出力調節を行えるので、使用方法が判りやすく、機器の使用に熟練を要することなく誰でも簡単に使用できる。
【0012】
また、チャンネル選択後、1個の出力調節器を操作するのみで、通電作業が完了するので、手間がかからず、ヒューマンエラーによる事故発生のストレスが軽減され、操作者、患者共に安心して使用できる。
【0013】
さらに、出力調節器をチャンネル毎に設ける構成に比べて、装置が小型化でき、構造も簡素で故障も少なく、製造・管理コストが低減する。
【0014】
さらにまた、出力調節器をチャンネル毎に設ける構成に比べて、他のチャンネルの出力調節器に誤って手が接触し、意図しない出力変動が患者に作用する心配がない。
【0015】
また、チャンネル選択解除手段により、チャンネルを誤選択しても容易にチャンネル選択を解除でき安全である。また、例えば使用者が従来の治療器のように複数のチャンネルを一つずつ出力調節する使用方法に熟練しているのでその使用方法で使用したい場合や、一人の患者の複数の患部に同時に治療を行う際に患部によって出力の大きさを微調整したい場合等であっても、使用者や患者の要望に応じて従来と同様の使用方法で使用できる。
【0016】
また、例えば、通電を開始した後に異なる患者や対象部位を新たに通電したい場合でも、既に通電を開始している導子の出力を維持したまま新たにチャンネルを選択するだけで当該チャンネルに接続されている導子のみ出力調節が可能となり、簡便に安心して使用できる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、複数組の導子に電気刺激の出力を供給する出力回路と、出力調節を行うチャンネルを選択するチャンネル選択手段と、
チャンネル選択解除手段と、を備えると共に、前記出力回路の出力を調節する出力調節器が1個設けられ、前記出力調節器は、前記出力回路からの前記出力の開始前に前記チャンネル選択手段で選択されたチャンネルに接続された導子の出力を同時調節することが可能であ
って、前記チャンネル選択解除手段は、前記出力の開始または調節後、スイッチ操作を行うか一定時間経過すると、前記チャンネルの出力状態を保持したまま前記チャンネルの選択を解除する機能を有する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項2によれば、チャンネル選択手段により同時に出力調節すべき複数のチャンネルを確実かつ容易に選択して1個の出力調節器で同時に出力調節を行えるので、使用方法が判りやすく、機器の使用に熟練を要することなく誰でも簡単に使用できる。
【0019】
また、チャンネル選択後、1個の出力調節器を操作するのみで、通電作業が完了するので、手間がかからず、ヒューマンエラーによる事故発生のストレスが軽減され、操作者、患者共に安心して使用できる。
【0020】
さらに、出力調節器をチャンネル毎に設ける構成に比べて、装置が小型化でき、構造も簡素で故障も少なく、製造・管理コストが低減する。
【0021】
さらにまた、出力調節器をチャンネル毎に設ける構成に比べて、他のチャンネルの出力調節器に誤って手が接触し、意図しない出力変動が患者に作用する心配がない。
【0022】
また、チャンネル選択解除手段により、チャンネルを誤選択しても容易にチャンネル選択を解除でき安全である。また、例えば使用者が従来の治療器のように複数のチャンネルを一つずつ出力調節する使用方法に熟練しているのでその使用方法で使用したい場合や、一人の患者の複数の患部に同時に治療を行う際に患部によって出力の大きさを微調整したい場合等であっても、使用者や患者の要望に応じて従来と同様の使用方法で使用できる。
【0023】
また、前記出力の開始または調節後にそのチャンネルの通電状態を簡易な操作で保持でき、誤って出力調節器に手が触れて出力が変動する心配がなく安心して治療を継続することができる。
【0024】
請求項
3に記載の発明は、前記複数のチャンネルのうち、どのチャンネルを組み合わせるかを確定するグループ確定手段が設けられていることを特徴とする。また、請求項
4に記載の発明は、前記グループ確定手段が、前記出力の開始または調節後、スイッチ操作を行うか一定時間経過すると、前記チャンネルの組み合わせを確定することを特徴とする。
【0025】
請求項
3および
4によれば、複数の導子の組み合わせを確定することにより、例えば二人同時、あるいは異なる治療部位を同時に通電準備を行う際にも、治療対象患者や対象部位毎に確実にチャンネルの組み合わせを確定することができるので、途中で一旦、装着した導子が脱落したりしても、チャンネルの組み合わせの誤認識の心配がなくなり更に安全性が向上する。
【0026】
請求項
5に記載の発明は、前記グループ確定手段によりチャンネルの組み合わせが確定された後、当該グループに含まれないチャンネルが新たに選択されて当該チャンネルの選択が解除されるまでの間、前記組み合わせが確定されたグループ内のチャンネルを前記チャンネル選択手段により選択することができないようにしたことを特徴とする。
【0027】
請求項
5によれば、例えば、通電を開始した後に異なる患者や対象部位を新たに通電したい場合、既に通電を開始しているチャンネルを誤って選択して意図しない出力調節が行われる危険がなく、安心して使用できる。
【0028】
請求項
6に記載の発明は、導子選択表示手段および/またはグループ表示手段が設けられていることを特徴とする。
【0029】
請求項
6によれば、導子選択表示手段および/または導子セット表示手段により、治療対象患者や対象部位に対する複数のチャンネルの組み合わせが一目で確認できるので、安全確認が容易に行え、更に安心して使用することができる。
【0030】
請求項
7に記載の発明は、治療モード選択手段が設けられていることを特徴とする。請求項
7によれば、多種多様な治療条件の電気刺激治療を同一のインタフェースで使用できるので、使用方法が判りやすく、機器の使用に熟練することなく、誰でも簡単に使用できる。
【0031】
請求項
8に記載の発明は、治療モード選択手段により低周波治療、中周波治療、および干渉波治療のいずれか2つ以上のモードを選択可能であることを特徴とする。
【0032】
請求項
8によれば、多種多様な治療条件の電気刺激治療を同一のインタフェースで使用できるので、使用方法が判りやすく、機器の使用に熟練することなく、誰でも簡単に使用できる。
【0033】
また、請求項
8によれば、低周波治療、中周波治療、干渉波治療の治療器を個々に複数台購入するケースに比べて、場所をとらず、導入費用を格段に軽減できる。さらに、一般的に電気治療器を導入している医療施設では、患者を待たせることなく、より多くの患者を治療できるようにすることが課題であるが、特に請求項
8に記載の治療器を導入すれば、複数の患者や患部に対して、低周波治療、中周波治療、干渉波治療等の多種多様な治療を同時に行えるので、本装置を複数台導入すれば、例えば低周波治療目的の患者が集中するようなことがあっても患者の待ち時間が大幅に削減され、医療施設の評判が改善されて当該医療施設を利用する患者が増えると共に、より多くの患者を効率良く治療することで医療施設の収益が改善される効果も期待できる。