【実施例】
【0033】
以下に実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
・表面積測定
走査型トンネル顕微鏡:エスアイアイナノテクノロジー社製 L−traceII/
NanoNaviIIステーションを使用し、3万倍で観測した。
・銅溶解量測定方法;以下の式により質量法にて算出した。
溶解量=(処理前質量−処理後質量)/(処理面積×銅の密度)
(式中、銅の密度は、8.96g/cm
3である。)
・配線幅測定
金属顕微鏡 オリンパス製 MX61Lを使用した。
・銅箔の引き剥がし強さ(ピール強度)測定
引き剥がし強さは、JIS C 6481に規定された方法に従って測定した。
【0034】
実施例1
化学銅メッキ基板(寸法15cm×15cm、メッキ厚1μm)、電気銅メッキ基板(寸法15cm×15cm、メッキ厚10μm)を、過酸化水素1質量%、硫酸3質量%、5−メチルテトラゾール0.1質量%、塩化物イオン1ppmを含むエッチング用液体組成物で液温30℃、スプレー圧0.1MPaでスプレー処理した。処理前後の基板の質量差より銅溶解量を算出して、単位時間あたりの銅溶解速度を算出した。更に、化学銅メッキ溶解速度と電気銅メッキ溶解速度の比を算出した。
【0035】
実施例2
過酸化水素0.5質量%、硫酸2.5質量%、5−メチルテトラゾール0.01質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.01質量%、塩化物イオン1ppmを含むエッチング用液体組成物を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0036】
実施例3
過酸化水素1.5質量%、硫酸4.5質量%、1−メチルテトラゾール0.02質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.02質量%、臭素イオン3ppmを含むエッチング用液体組成物を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0037】
比較例1
過酸化水素4質量%、硫酸9質量%、5−アミノテトラゾール0.3質量%、塩化物イオン10ppmを含むエッチング用液体組成物(特許文献4の実施例7と同様の組成)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0038】
比較例2
過酸化水素2.5質量%、硫酸13.7質量%、5−フェニルテトラゾール0.03質量%、4−ニトロベンゾトリアゾール0.07質量%、塩化物イオン8ppmを含むエッチング用液体組成物(特許文献5の実施例1と同様の組成)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0039】
比較例3
過酸化水素3質量%、硫酸10質量%、5−フェニルテトラゾール0.02質量%、トルエンスルホン酸0.2質量%、塩化物イオン3ppmを含むエッチング用液体組成物(特許文献6の実施例1と同様の組成)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0040】
比較例4
過酸化水素5.25質量%、硫酸12.5質量%、5−アミノテトラゾール0.06質量%、5−メチルテトラゾール0.02質量%、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸0.4質量%を含むエッチング用液体組成物(特許文献7の実施例1と同様の組成)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0041】
比較例5
過酸化水素1.5質量%、硫酸9質量%、5−メチルテトラゾール0.1質量%、テトラゾール0.05質量%、パラジウム1ppmを含むエッチング用液体組成物(特許文献8の実施例8と同様の組成)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0042】
比較例6
過酸化水素1.5質量%、硫酸5質量%、ベンゾトリアゾール0.3質量%、塩化物イオン5ppmを含むエッチング用液体組成物(特許文献9の実施例1と同様の組成)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0043】
比較例7
過酸化水素10質量%、硫酸16質量%、トリルトリアゾール0.2質量%、亜リン酸1質量%を含むエッチング用液体組成物(特許文献10の実施例1と同様の組成)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例4
厚み35μm電気銅箔(寸法150mm×150mm)のシャイニー面を、過酸化水素1質量%、硫酸3質量%、5−メチルテトラゾール0.2質量%、塩化物イオン1ppmを含むエッチング用液体組成物で液温30℃、スプレー圧0.1MPaで1分間スプレー処理した。処理前後の銅箔の質量差より銅溶解量を算出した結果、0.3μmであった。次に、エッチング後の銅箔表面を、走査型トンネル顕微鏡で30000倍の倍率で観測した。
図1は、このときに観測された銅箔表面の3次元画像である。
【0046】
走査型トンネル顕微鏡を用いて、エッチング後の銅箔表面の縦5μm×横5μmの領域内の表面積を測定した。その結果、銅箔の表面積は、42.5[μm
2]であった。比表面積は、42.5[μm
2]/25[μm
2]=1.7であった。
【0047】
エッチング後の銅箔を、真空熱プレスによって層間絶縁樹脂(三菱ガス化学製商品名:HL832NS)に積層し、銅張積層板を作製した。この銅張積層板において、銅箔のエッチングされた側の表面は、層間絶縁樹脂に密着している。このようにして得られた銅張積層板を用いて、銅箔の引き剥がし強さ(ピール強度)を測定した。その結果、銅箔の引き剥がし強さは、1.00kgf/cmであった。
【0048】
実施例5
過酸化水素0.5質量%、硫酸2.5質量%、5−メチルテトラゾール0.01質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.01質量%、塩化物イオン1ppmを含むエッチング用液体組成物を用いた以外は実施例4と同様に行った。
【0049】
比較例8
過酸化水素2質量%、硫酸10質量%、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール0.05質量%を含むエッチング用液体組成物(特許文献2の実施例4と同様の組成)を用いた以外は実施例4と同様に行った。
【0050】
比較例9
過酸化水素0.8質量%、硫酸4質量%、臭素イオン3ppmを含むエッチング用液体組成物(特許文献1の実施例1と同様の組成)を用いた以外は実施例4と同様に行った。
【0051】
比較例10
過酸化水素2質量%、硫酸9質量%、ベンゾトリアゾール0.025質量%、1,2,3−トリアゾール0.1質量%、フェノールスルホン酸ナトリウム一水和物0.1質量%を含むエッチング用液体組成物(特許文献3の実施例1と同様の組成)を用いた以外は実施例4と同様に行った。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例6
樹脂上に化学銅メッキ0.7μmを形成した基板(寸法510mm×340mm)にドライフィルムレジストを用いて導体部に厚み18μmの電気銅メッキを施した。次に、アミン系レジスト剥離液(三菱ガス化学製製品名:R−100S)にてレジストを剥離した。導体部の配線幅を金属顕微鏡(オリンパス株式会社製MX61L)にて測定した結果、配線幅は10μmであった。次に、シード層の化学銅メッキ(厚み0.7μm)を、過酸化水素1質量%、硫酸3質量%、5−メチルテトラゾール0.2質量%、塩化物イオン1ppmを含むエッチング用液体組成物(実施例4と同様の組成)で液温30℃、スプレー圧0.1MPaで1分間スプレー処理して化学銅メッキを完全に除去した。シード層(化学銅メッキ)を除去した後の配線幅の減少量を、金属顕微鏡(オリンパス株式会社製、MX61L)を用いて測定した結果、
図3に見られるように線幅減少量は0.5μmで良好であった。
【0054】
比較例11
過酸化水素4質量%、硫酸9質量%、5−アミノテトラゾール0.3質量%、塩化物イオン10ppmを含むエッチング用液体組成物(比較例1と同様の組成)を用いた以外は実施例6と同様に行った。シード層(化学銅メッキ)を除去した後の配線幅の減少量を、金属顕微鏡(オリンパス株式会社製、MX61L)を用いて測定した結果、
図4に見られるように線幅の減少がひどく、使用不可であった。