(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記テールパイプ(15)を、前記酸化触媒装置(11)の排気口(12)に接続される第1パイプ(16)と、該第1パイプ(16)の後流側に外嵌される第2パイプ(17)と、該第2パイプ(17)の後流側に接続される第3パイプ(18)で形成し、
前記第2パイプ(17)の内径を第1パイプ(16)の外径よりも大径に形成し、
前記第3パイプ(18)の外周部に遮熱カバーを設け、
側面視において前記第2パイプ(17)の後下がり傾斜角度と、前記第3パイプ(18)の後下がり傾斜角度を略同一角度に設定した請求項1記載の作業車輌の原動部構造。
背面視において前記エンジン(E)の機体内側の部位を、前記脱穀装置(3)とグレンタンク(5)の間に形成された空間(W)に臨ませた請求項1又は2記載の作業車輌の原動部構造。
前記回転軸(24)の軸心方向視において前記駆動状態切換手段(45)をラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも外側に配置し、且つ、前記駆動状態切換手段(45)を酸化触媒装置(11)よりも機体後側に配置した請求項5又は6記載の作業車輌の原動部構造。
前記エンジン(E)とラジエータ(50)を接続するラジエータホース(50A)を、前記ラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも上側に配置した請求項5〜7のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の作業車輌の原動部構造では、排ガス浄化装置の機体内側部は、操作席の下側に配置された遮熱カバーから機体内側方向に突出しているので、排ガス浄化装置で加熱された周囲の空気が操作席に送風されることにより操作席内の温度を上昇させる問題があった。
また、排ガス浄化装置の排気ガスを外部に導くテールパイルを脱穀装置の下側に延設させているので、排気ガスの予熱を有効活用せずに外部に排出するという問題が指摘されていた。
【0006】
特許文献2の作業車輌の原動部構造では、ファンの正転方向時における外気のエンジンルーム内への吸入能力に比べて、ファンの逆転方向時における内気のエンジンルーム外への排気能力が低いため、エンジンルームのカバーに装着された濾過体に付着した藁屑、塵埃等を十分除去することができず、除去できない藁屑、塵埃等により濾過体が目詰まりを起こし、ラジエータの冷却効率が低下し、その結果、エンジンがオーバヒートするという問題があった。
また、伝動ベルトを備えるテンション操作体を回転させることにより、ファンを正転方向と逆転方向への切換えを行なっているために、伝動ベルトの劣化が著しく保守・点検作業の頻度が多いという問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、操縦席(6)と該操縦席(6)の下側にエンジン(E)を配置し、該エンジン(E)の上部における機体内側の部位に、エンジン(E)から排出される排気ガス中の未燃燃料を酸化する酸化触媒装置(11)を前後方向に沿って配置し、該酸化触媒装置(11)の後部の排気口(12)にテールパイプ(15)を接続し、前記テールパイプ(15)を後下がり傾斜に配置し、背面視において前記テールパイプ(15)を、刈取り穀
稈を脱穀する脱穀装置(3)と該脱穀装置(3)から揚穀された穀粒を貯留するグレンタンク(5)の間に形成された空間(W)に臨ませ
、前記エンジン(E)と、該エンジン(E)の右側に設けられたエンジン(E)を循環する冷却水を冷やすラジエータ(50)の間に、駆動状態と停止状態に切換可能な外気吸入用のラジエータファン(20)と駆動状態と停止状態に切換可能な排気用の排塵ファン(30)を配置し、側面視において前記操縦席(6)における機体内側に配置されたサイドパネル(6A)と酸化触媒装置(11)の間に、遮熱カバー(95)を設け、前記遮熱カバー(95)を、前記酸化触媒装置(11)の前部の前側に設けられた上下方向に延在する前側板(95A)と、前記酸化触媒装置(11)の上部の上側に設けられ前記前側板(95A)の上端部から後方へ延在する水平板(95B)と、前記酸化触媒装置(11)の後部の後側に設けられ前記水平板(95B)の後端部から後下がり傾斜して延在する傾斜板(95C)と、該傾斜板(95C)の後端部から下方向に延在する後側板(95D)のみで形成し、前記遮熱カバー(95)を酸化触媒装置(11)に対して所定の間隔を隔てて設け、前記前側板(95A)の下部と後側板(95D)の下部を、前記酸化触媒装置(11)の機体前側及び機体後側において、それぞれ酸化触媒装置(11)の下部よりも下側に延在させ、前記酸化触媒装置(11)は、前記エンジン(E)の上部左側に設けられたステー(11B)に、前後2本の支持部材(11A)により着脱自在に取付けられ、前記ステー(11B)には、前記酸化触媒装置(11)によって加熱された空気を酸化触媒装置(11)の左側に設けられた脱穀装置(3)に送風するための開口部(11C)を形成した作業車輌の原動部構造
である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記テールパイプ(15)を、前記酸化触媒装置(11)の排気口(12)に接続される第1パイプ(16)と、該第1パイプ(16)の後流側に外嵌される第2パイプ(17)と、該第2パイプ(17)の後流側に接続される第3パイプ(18)で形成し、前記第2パイプ(17)の内径を第1パイプ(16)の外径よりも大径に形成し、前記第3パイプ(18)の外周部に遮熱カバーを設け、側面視において前記第2パイプ(17)の後下がり傾斜角度と、前記第3パイプ(18)の後下がり傾斜角度を略同一角度に設定した請求項1記載の作業車輌の原動部構造である。
【0009】
請求項3に係る発明は、背面視において前記エンジン(E)の機体内側の部位を、前記脱穀装置(3)とグレンタンク(5)の間に形成された空間(W)に臨ませた請求項1又は2記載の作業車輌の原動部構造である。
【0010】
【0011】
【0012】
請求項
4に係る発明は、前記酸化触媒装置(11)の内部温度を計測する温度センサ(11D)を、前記酸化触媒装置(11)におけるラジエータファン(20)側の外周部位に設けた請求項
1〜3のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【0013】
請求項
5に係る発明は、前記ラジエータファン(20)と排塵ファン(30)を同一軸心上に設け、前記ラジエータファン(20)と排塵ファン(30)とを一方が駆動状態となり他方が非駆動状態となるように互いに背反的に切換える駆動状態切換手段(45)を設け、前記エンジン(E)から排出される排気ガス中の未燃燃料を酸化する酸化触媒装置(11)をエンジン(E)の上側に配置し、前記排塵ファン(30)を支持する筒状回転軸(34)内を貫通してラジエータファン(20)を支持する回転軸(24)を設け、前記回転軸(24)をラジエータ(50)の上下方向の中心よりも上側に配置した請求項
1〜4のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【0014】
請求項
6に係る発明は、前記回転軸(24)の軸心方向視において前記酸化触媒装置(11)をラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも外側に配置した請求項
5記載の作業車輌の原動部構造である。
【0015】
請求項
7に係る発明は、前記回転軸(24)の軸心方向視において前記駆動状態切換手段(45)をラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも外側に配置し、且つ、前記駆動状態切換手段(45)を酸化触媒装置(11)よりも機体後側に配置した請求項
5又は6記載の作業車輌の原動部構造である。
【0016】
請求項
8に係る発明は、前記エンジン(E)とラジエータ(50)を接続するラジエータホース(50A)を、前記ラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも上側に配置した請求項
5〜7のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【0017】
請求項
9に係る発明は、前記エンジン(E)の回転が伝動される後部伝動軸(110)をエンジン(E)の機体後側に設け、該後部伝動軸(110)に第1プーリ(121)と第2プーリ(131)を設け、前記回転軸(24)に第3プーリ(23)を設け、前記筒状回転軸(34)に第4プーリ(33)を設け、前記第1プーリ(121)と第3プーリ(23)に第1ベルト(122)を巻回し、前記第2プーリ(131)と第4プーリ(33)に第2ベルト(132)を巻回し、前記第1ベルト(122)を第2ベルト(132)よりもエンジン(E)側に配置した請求項
5〜8のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、操縦席(6)と操縦席(6)の下側にエンジン(E)を配置し、エンジン(E)の上部における機体内側の部位に、エンジン(E)から排出される排気ガス中の未燃燃料を酸化する酸化触媒装置(11)を前後方向に沿って配置し、酸化触媒装置(11)の後部の排気口(12)にテールパイプ(15)を接続し、テールパイプ(15)を後下がり傾斜に配置し、背面視においてテールパイプ(15)を、刈取り穀
稈を脱穀する脱穀装置(3)と脱穀装置(3)から揚穀された穀粒を貯留するグレンタンク(5)の間に形成された空間(W)に臨ませ
、エンジン(E)と、エンジン(E)の右側に設けられたエンジン(E)を循環する冷却水を冷やすラジエータ(50)の間に、駆動状態と停止状態に切換可能な外気吸入用のラジエータファン(20)と駆動状態と停止状態に切換可能な排気用の排塵ファン(30)を配置し、側面視において操縦席(6)における機体内側に配置されたサイドパネル(6A)と酸化触媒装置(11)の間に、遮熱カバー(95)を設け、遮熱カバー(95)を、酸化触媒装置(11)の前部の前側に設けられた上下方向に延在する前側板(95A)と、酸化触媒装置(11)の上部の上側に設けられ前側板(95A)の上端部から後方へ延在する水平板(95B)と、酸化触媒装置(11)の後部の後側に設けられ水平板(95B)の後端部から後下がり傾斜して延在する傾斜板(95C)と、傾斜板(95C)の後端部から下方向に延在する後側板(95D)のみで形成し、遮熱カバー(95)を酸化触媒装置(11)に対して所定の間隔を隔てて設け、前側板(95A)の下部と後側板(95D)の下部を、酸化触媒装置(11)の機体前側及び機体後側において、それぞれ酸化触媒装置(11)の下部よりも下側に延在させ、酸化触媒装置(11)は、エンジン(E)の上部左側に設けられたステー(11B)に、前後2本の支持部材(11A)により着脱自在に取付けられ、ステー(11B)には、酸化触媒装置(11)によって加熱された空気を酸化触媒装置(11)の左側に設けられた脱穀装置(3)に送風するための開口部(11C)を形成したので、走行風によってテールパイプ(15)を効率良く冷却することができる。
ラジエータファン(20)により吸入された外気によって前後方向に沿って配置された酸化触媒装置(11)を効率良く冷却することができる。また、酸化触媒装置(11)により加熱された内気の操縦席(6)への送風が遮熱カバー(95)により遮断されるために、操縦席(6)内の温度上昇を抑止することができる。
また、ラジエータファン(20)により吸入された外気が酸化触媒装置(11)の前後方向に逃げるのを防止できるために、ラジエータファン(20)により吸入された外気により酸化触媒装置(11)をさらに効率良く冷却することができる。
さらに、酸化触媒装置(11)によって加熱された空気を酸化触媒装置(11)の左側に設けられた脱穀装置(3)により効率良く送風することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、テールパイプ(15)を、酸化触媒装置(11)の排気口(12)に接続される第1パイプ(16)と、第1パイプ(16)の後流側に外嵌される第2パイプ(17)と、第2パイプ(17)の後流側に接続される第3パイプ(18)で形成し、第2パイプ(17)の内径を第1パイプ(16)の外径よりも大径に形成し、第3パイプ(18)の外周部に遮熱カバーを設け、 側面視において第2パイプ(17)の後下がり傾斜角度と、第3パイプ(18)の後下がり傾斜角度を略同一角度に設定しているので、第1パイプ(16)と第2パイプ(17)の隙間から外気を取込んで排気ガスの温度を下げることができる。また、第3パイプ(18)の遮熱カバーによって圃場の排藁等が引火するのを防止することができる。さらに、第2パイプ(17)と第3パイプ(18)の上側に藁屑等の堆積を防止することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、背面視においてエンジン(E)の機体内側の部位を、脱穀装置(3)とグレンタンク(5)の間に形成された空間(W)に臨ませているので、走行風によってエンジン(E)を効率良く冷却することができる。
【0021】
【0022】
【0023】
請求項
4記載の発明によれば、請求項
1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、酸化触媒装置(11)の内部温度を計測する温度センサ(11D)を、酸化触媒装置(11)におけるラジエータファン(20)側の外周部位に設けているので、ラジエータファン(20)により吸入された外気により温度センサ(11D)を冷却することができるために、過度の温度上昇に伴う温度センサ(11D)の誤作動を防止することができる。
【0024】
請求項
5記載の発明によれば、請求項
1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、ラジエータファン(20)と排塵ファン(30)を同一軸心上に設け、ラジエータファン(20)と排塵ファン(30)とを一方が駆動状態となり他方が非駆動状態となるように互いに背反的に切換える駆動状態切換手段(45)を設け、エンジン(E)から排出される排気ガス中の未燃燃料を酸化する酸化触媒装置(11)をエンジン(E)の上側に配置し、排塵ファン(30)を支持する筒状回転軸(34)内を貫通してラジエータファン(20)を支持する回転軸(24)を設け、回転軸(24)をラジエータ(50)の上下方向の中心よりも上側に配置しているので、ラジエータファン(20)によって吸入された外気がエンジン(E)の上側に配置されている酸化触媒装置(11)に効率良く送風され、酸化触媒装置(11)の温度上昇を抑制することができる。
また、ラジエータファン(20)が非駆動状態時には、排塵ファン(30)が駆動状態となるので、エンジン(E)や酸化触媒装置(11)によって暖められた内気は外部に素早く排出できエンジン(E)のオーバヒートを抑制することができる。
【0025】
請求項
6記載の発明によれば、請求項
5記載の発明の効果に加えて、回転軸(24)の軸心方向視において酸化触媒装置(11)をラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも外側に配置しているので、排塵ファン(30)の駆動状態時に酸化触媒装置(11)が内気を外部に排出する障害となることを防止することができる。
【0026】
請求項
7記載の発明によれば、請求項
5又は6記載の発明の効果に加えて、回転軸(24)の軸心方向視において駆動状態切換手段(45)をラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも外側に配置し、且つ、駆動状態切換手段(45)を酸化触媒装置(11)よりも機体後側に配置しているので、ラジエータファン(20)の駆動状態時に駆動状態切換手段(45)が吸入された外気の送風の障害となることを防止することができる。
【0027】
請求項
8記載の発明によれば、請求項
5〜7のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、エンジン(E)とラジエータ(50)を接続するラジエータホース(50A)を、
ラジエータファン(20)と排塵ファン(30)の外周部よりも上側に配置しているので、ラジエータファン(20)の駆動状態時にラジエータホース(50A)が吸入された外気の送風の障害となることを防止することができ、排塵ファン(30)の駆動状態時にはラジエータホース(50A)が内気を外部に排出する障害となることを防止することができる。
【0028】
請求項
9記載の発明によれば、請求項
5〜8のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、エンジン(E)の回転が伝動される後部伝動軸(110)をエンジン(E)の機体後側に設け、後部伝動軸(110)に第1プーリ(121)と第2プーリ(131)を設け、回転軸(24)に第3プーリ(23)を設け、筒状回転軸(34)に第4プーリ(33)を設け、第1プーリ(121)と第3プーリ(23)に第1ベルト(122)を巻回し、第2プーリ(131)と第4プーリ(33)に第2ベルト(132)を巻回し、第1ベルト(122)を第2ベルト(132)よりもエンジン(E)側に配置しているので、駆動時間が長い第1ベルト(122)の保守・点検作業を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために、操縦席に搭乗した操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0031】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下方には、左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上部左側には、脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前側には、圃場の穀
稈を収穫する刈取装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は、排出筒7によって外部に排出される。
【0032】
機体フレーム1の上部右側には、操作者が搭乗する操作部を備えた操縦席6が設けられ、操縦席6の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム8が設けられている。また、エンジンルーム8の右側には、エンジンルーム8の保守・点検用のカバー8Aが装着されており、カバー8Aの上下方向における中間部と下部には、目抜き鉄板等から形成された濾過体8Bが取付けられている。
【0033】
図3〜5に示すように、エンジンルーム8の内側には、エンジンEが設けられている。
【0034】
また、
図11〜14に示すように、エンジンEの上部左側には、エンジンEから排出された排気ガス中の未燃燃料を酸化するDOC等の酸化触媒装置11が設けられている。これにより、酸化触媒装置11により加熱された内気を効率的に脱穀装置3に向かって送風し、脱穀装置3内の脱穀穀粒の乾燥を促進させることができる。
【0035】
酸化触媒装置11は、エンジンEの上部左側に設けられたステー11Bに、前後2本の支持部材11Aにより着脱自在に取付けられている。また、前側の支持部材11Aの左側部は、エンジンEの上部右側から左右方向に向かって延在するステー11Eに連結されている。これにより、支持部材11A、ステー11Bの剛性が高まりエンジンEの振動等により支持部材11A、ステー11Bの変形を防止でき、酸化触媒装置11を確実に支持することができる。
【0036】
酸化触媒装置11の内部温度を所定の使用温度内に維持して、排気ガス中の未燃燃料を効率的に酸化処理するために、酸化触媒装置11の内部温度を計測する温度センサ11Dは、酸化触媒装置11の外周部のラジエータファン20側に設け、且つ、後述する遮熱カバー95で区画される内側に配置されている。これにより、ラジエータファン20で吸引された外気が温度センサ11Dに送風されて温度上昇に伴う誤計測を防止することができる。
【0037】
エンジンEの右側には、所定の間隔を隔ててエンジンEに供給される冷却水を冷却するラジエータ50が設けられ、エンジンEとラジエータ50を接続するゴム製のラジエータホース50Aは、エンジンルーム8における酸化触媒装置11と同一高さに設けられている。これにより、エンジンEとラジエータ50の間の空間にラジエータホース50Aを設ける必要がなく、エンジンEとラジエータ50の間に大きな空間を確保することができる。
【0038】
エンジンEとラジエータ50の間には、エンジンルーム8の外部から内部に向かって外気を吸入するラジエータファン20と、ラジエータファン20の左側に、エンジンルーム8の内部から外部に向かって内気を排気して濾過体8B上に付着した粉塵を除去する排塵ファン30が設けられている。
【0039】
ラジエータファン20の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、外気をエンジンルーム8の内側に吸入して、ラジエータ50等の表面に送風することにより、ラジエータ50の冷却効率を高めることができる。また、排塵ファン30の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、内気を外部に排気して、内気を濾過体8Bに送風することにより、濾過体8Bに付着した粉塵を除去することができ、ラジエータファン20による外気の吸入効率を一定に維持することができる。なお、便宜上、ラジエータファン20、排塵ファン30の回転時を駆動状態といい、ラジエータファン20、排塵ファン30の回転の停止時を停止状態という。
【0040】
ラジエータファン20は、回転軸24に取付けられる中心部と、中心部から径方向に向かって延出する羽根から形成されている。ラジエータファン20による外気の吸入効率を高めるために、本実施形態では羽根は、中心部の円周方向に所定の間隔を隔てて8枚設けているが、所望の吸入能力が得られる範囲で任意の枚数に変更することができる。
【0041】
同様に、排塵ファン30は、筒状回転軸34に取付けられる中心部と、中心部から径方向に向かって延出する羽根から形成されている。ラジエータファン20による外気の吸入効率の低下を防止するために、排塵ファン30の羽根の外径は、ラジエータファン20の羽根の外径よりも小さく形成されている。また、ラジエータファン20と、排塵ファン30の伝動構成を簡易にし、エンジンルーム8内の空間を有効に活用するために、排塵ファン30の羽根の翼角度は、ラジエータファン20の羽根の翼角度とは逆の翼角度を持って中心部に立設されている。これにより、排塵ファン30が取付けられた筒状回転軸34に伝動された回転方向と、ラジエータファン20が取付けられた回転軸24に伝動された回転方向が同一回転方向であっても、ラジエータファン20においては、外気を吸入してエンジンルーム8の内側に送風でき、排塵ファン30においては、内気をエンジンルーム8の外側に排気することができる。なお、排塵ファン30の羽根は、中心部の円周方向に所定の間隔を隔てて8枚設けているが、所望の送風能力が得られる範囲で任意の枚数に設定することができる。
【0042】
ラジエータ50とカバー8Aの間には、刈取装置4を昇降する油圧シリンダに供給されるオイルを冷却するオイルクーラ51と、エンジンEに供給される燃焼用の混合気体を冷却するインタークーラ52が設けられている。
【0043】
オイルクーラ51の前部は、蝶版53を介してプレート1Fの前部に取付けられ、オイルクーラ51と油圧シリンダを接続するゴム製のホース54は、プレート1Gに形成された開口部55内に挿通している。これにより、ラジエータ50の保守・点検作業時には、オイルクーラ51を蝶版53により回動し、ラジエータ50の右面を開放してラジエータ50の保守・点検を容易に行なうことができる。
【0044】
インタークーラ52の上下部は、それぞれ支持部材56を介してプレート1Fに取付けられ、インタークーラ52とエンジンEを接続するプレート1Fの右側に位置する金属製の配管57Aは、プレート1Gに形成された開口部58の外周部に固着されている。
また、インタークーラ52とエンジンEを接続するプレート1Fの左側に位置する金属製の配管57Bは、エンジンルーム8における酸化触媒装置11と同一高さに設けられている。これにより、エンジンEとラジエータ50の間の空間に配管57Bを設ける必要がなく、エンジンEとラジエータ50の間に大きな空間を確保することができる。
【0045】
プレート1Fは、操縦席6を支持するフレーム1A〜1Dの右前側フレーム1Aと右後側フレーム1Bに支持部材59Aを介して取付けられている。同様に、プレート1Gは、右前側フレーム1Aと右後側フレーム1Bに支持部材59Bを介して取付けられている。
【0046】
図10に示すように、エンジンEの回転動力は、エンジンEから右側に向かって延出するクランクシャフト60に伝動され、クランクシャフト60に伝動された回転動力は、プーリ61、ベルト62、プーリ63を介して、プーリ63を支持する後部伝動軸110に伝動される。
なお、クランクシャフト60に替えてエンジンEのクランクシャフト60の上側に位置するウオータポンプシャフト60Aや、クランクシャフト60の左上側に位置するオルタネータシャフト60Dや、エンジンEから左側に向かって延出するフライホイールシャフト60Bに伝動された回転動力をプーリ、ベルト等を介して後部伝動軸110に伝動させることもできる。また、クランクシャフト60と、ウオータポンプシャフト60Aと、オルタネータシャフト60Dに軸支されたプーリには、ベルト60Eが巻回されており、クランクシャフト60の回転動力は、ベルト60Eを介して、ウオータポンプシャフト60Aと、オルタネータシャフト60Dに伝動される。
【0047】
後部伝動軸110に伝動された回転動力は、プーリ121、ベルト(請求項の「第1ベルト」)122、プーリ(請求項の「第3プーリ」)23を介して、プーリ23を支持する回転軸24に伝動され、回転軸24の右側端部に支持されたラジエータファン20を回転させる。
【0048】
同様に、後部伝動軸110に伝動された回転動力は、プーリ131、ベルト(請求項の「第2ベルト」)132、プーリ(請求項の「第4プーリ」)33を介して、プーリ33を支持する筒状回転軸34に伝動され、筒状回転軸34の右側端部に支持された排塵ファン30を回転させる。なお、回転軸24は、ベアリングを介して支持部25の内側に内嵌されており、筒状回転軸34は、ベアリングを介して支持部25の外側に外嵌されている。
【0049】
プーリ(請求項の「第1プーリ」)121とプーリ23に巻回されたベルト122には、テンションローラ26が備えられており、テンションローラ26によりベルト122の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。
【0050】
同様に、プーリ(請求項の「第2プーリ」)131とプーリ33に巻回されたベルト132には、テンションローラ36が備えられており、テンションローラ36によりベルト132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。
【0051】
ラジエータファン20に回転動力を伝動するベルト122は、排塵ファン30に回転動力を伝動するベルト132よりもエンジンE側に設けられている。これにより、駆動時間が長いためにベルト132よりも早く劣化するベルト122の保守・点検作業を容易に行なうことができる。
【0052】
また、後部伝動軸110に伝動された回転動力は、一対の対向するベベルギヤを備えた伝動ギヤボックス70を介して、伝動ギヤボックス70から後側に向かって延出する軸71に伝動される。
【0053】
軸71に伝動された回転動力は、プーリ72、ベルト73、プーリ74を介して、プーリ74を支持する排出螺旋軸75に伝動される。排出螺旋軸75は、グレンタンク5の下部に前後方向に延在して設けられており、グレンタンク5に貯留された穀粒を排出筒7へ移送すると共に、排出筒7に内装された螺旋軸を駆動する。なお、プーリ72とベルト73に巻回されたベルト73には、テンションローラ(図示省略)が備えられており、テンションローラによりベルト73の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。
【0054】
本明細書において、中間伝動部150とは、プーリ61、ベルト62、プーリ63、後部伝動軸110、プーリ121、プーリ131、伝動ギヤボックス70、軸71、及びプーリ72から構成される部位をいい、ファン伝動部160とは、ベルト122、テンションローラ26、プーリ23、回転軸24、ラジエータファン20、ベルト132、テンションローラ36、プーリ33、筒状回転軸34、及び排塵ファン30から構成される部位をいい、排出伝動部170とは、ベルト73、プーリ74、及び排出螺旋軸75から構成される部位をいう。
【0055】
図3〜5に示すように、中間伝動部150は、エンジンルーム8の後部に設けられている。中間伝動部150のプーリ63、後部伝動軸110、プーリ121、プーリ131、伝動ギヤボックス70、軸71、及びプーリ72は、側面視において右後側フレーム1Bと左後側フレーム1Dよりも後側で、且つ、グレンタンク5の前壁5Aよりも前側の空間Sに設けられている。
【0056】
ファン伝動部160のベルト122、テンションローラ26、プーリ23、ベルト132、テンションローラ36、及びプーリ33は、エンジンEよりも右側で、且つ、ラジエータファン20の左側に並設された排塵ファン30よりも左側の間隔部Bに設けられている。すなわち、ファン伝動部160は、エンジンルーム8の後側に設けられた中間伝動部150から、間隔部Bに入り込んで設けられている。
【0057】
これにより、間隔部Bに設けられる部品を少なくし、エンジンEとラジエータファン20を接近して設けることができ、ラジエータファン20によって吸入された外気によりエンジンEを効率良く冷却させることができる。
また、エンジンEのクランクシャフト60と中間伝動部150のプーリ63を接近して設けることができ、ベルト62に起因する回転動力の伝動ロスを少なくすることができる。
さらに、中間伝動部150の保守・点検作業も容易に行なうことができ、中間伝動部150を小型・軽量に製作することが可能となる。
【0058】
次に、ラジエータファン20と排塵ファン30の駆動状態を切換える駆動状態切換手段45について説明する。
図6等に示すように、駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の左後側に位置する左後側フレーム1Dの後側に設けられている。より詳細には、駆動状態切換手段45は、左後側フレーム1Dから後側に向かって延出するエンジンEやラジエータ50を循環する冷却水の一部を一時的に貯留するリザーバタンク92を支持するするステー90の上部にボルト等の締結手段によって着脱自在に連結されたブラケット91に取付けられている。これにより、駆動状態切換手段45の保守・点検作業を容易に行うことができ、また、駆動状態切換手段45がラジエータファン20や排塵ファン30の送風を妨げることを防止できる。
【0059】
ブラケット91は、ステー90にリザーバタンク92を支持する締結手段を利用して共締めすることによりステー90に連結され、駆動状態切換手段45は、リザーバタンク92と反対側のブラケット91の左側面に取付けられている。これにより、部品点数を削減し、リザーバタンク92の破損時にリザーバタンク92から飛び散った冷却水により駆動状態切換手段45が故障することを防止できる。
【0060】
モータと減速機を備えた駆動状態切換手段45の出力軸45Dには、略長方形状のプレート45Eが支持されている。
図6に示すように、プレート45Eには、出力軸45Dから前後に所定間隔を隔てて2本のピン45Cが立設されている。2本のピン45Cにはそれぞれ連繋手段80のアウターケーブル80Aに内装されたインナーケーブル80Bの後端部が接続される。なお、出力軸45Dは、駆動状態切換手段45から右側に向かって延出し、プレート45E、インナーケーブル80B等は、リザーバタンク92の上側に設けられている。これにより、リザーバタンク92の上側の空間を有効活用することができる。
【0061】
次に、連繋手段80とベルト122,132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ26,36の接続について説明する。
図7,8に示すように、一側の連繋手段80のアウターケーブル80Aの前端部は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側上部に設けられたステー81に支持され、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。これにより、連繋手段80とステー81が、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。
【0062】
連繋手段80のインナーケーブル80Bの前端部は、プーリ23とプーリ121に巻回されたベルト122の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ26のベルトストッパ26Cにスプリング等の弾性部材82を介して接続されている。これにより、過度の負荷が駆動状態切換手段45に加わる回数を減少させ、駆動状態切換手段45の耐久性を向上させることができる。
なお、ベルトストッパ26Cは、回転軸24の軸心方向視において略く字形状に形成され、ベルト122に接触する先端側のベルト接触部と、テンションアーム26Bに固着される接続部とを備えている。また、接続部の中間部には、弾性部材82を介してインナーケーブル80Bの前端部が接続されている。
【0063】
テンションローラ26は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側下部に左右方向に設けられた支軸86に回転自在に取付けられたテンションアーム26Bと、テンションアーム26Bの先端部に回転自在に支持されたローラ26Aと、テンションアーム26Bの基部に固着されたベルトストッパ26Cを備えて構成されている。なお、支軸86は、ラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。これにより、支軸86が、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。
【0064】
また、テンションローラ26のテンションアーム26Bとステー81の下部は、テンションローラ26をベルト122に向かって付勢するスプリング85で接続されている。
【0065】
同様に、
図7,8に示すように、他側の連繋手段80のアウターケーブル80Aの前端部は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側上部に設けられたステー81に支持され、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。
【0066】
連繋手段80のインナーケーブル80Bの前端部は、プーリ33とプーリ131に巻回されたベルト132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ36のベルトストッパ36Cにスプリング等の弾性部材82を介して接続されている。なお、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24の外周よりも外側に設けられている。なお、ベルトストッパ36Cは、回転軸24の軸心方向視において略く字形状に形成され、ベルト132に接触する先端側のベルト接触部と、テンションアーム36Bに固着される接続部とを備えている。また、接続部の中間部には、弾性部材82を介してインナーケーブル80Bの前端部が接続されている。
【0067】
テンションローラ36は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側下部に左右方向に設けられた支軸86に回転自在に取付けられたテンションアーム36Bと、テンションアーム36Bの先端部に回転自在に支持されたローラ36Aと、テンションアーム26Bの基部に固着されたベルトストッパ36Cを備えて構成されている。
【0068】
また、テンションローラ36のテンションアーム36Bとステー81の下部は、テンションローラ36をベルト132に向かって付勢するスプリング85で接続されている。
【0069】
図8は、ラジエータファン20が駆動状態であり、排塵ファン30が停止状態であるテンションローラ26,36の状態が図示されている。
図8に示すように、駆動状態切換手段45によりプレート45Eを回転させて、連繋手段80のインナーケーブル80Bを引込みテンションローラ26のベルトストッパ26Cが時計方向に回転した場合には、テンションローラ26のローラ26Aは、ベルト122を押圧し、テンションローラ26のベルトストッパ26Cは、ベルト122から離間して非制動状態となり、プーリ121に伝動されたエンジンEの回転動力をプーリ23に伝動する。
一方、駆動状態切換手段45によりプレート45Eを回転させて、連繋手段80のインナーケーブル80Bを押出しテンションローラ36のベルトストッパ36Cが反時計方向に回転した場合には、テンションローラ36のローラ36Aは、ベルト132から離間し、テンションローラ36のベルトストッパ36Cは、ベルト132を押圧して制動状態となり、プーリ131に伝動されたエンジンEの回転動力のプーリ23への伝動を速やかに遮断する。これにより、
図8においては、排塵ファン30の回転を速やかに停止し、ラジエータファン20の送風を妨げることを防止することができる。
【0070】
なお、駆動状態切換手段45の駆動は、制御装置(図示省略)によりラジエータ50の冷却水の温度等の状態に合わせて自動的に行なわれるものであるが、操縦者が駆動状態切換手段45の切換えを手動操作できるように、操縦席6や、エンジンルーム8とグレンタンク5の前壁5Aの空間Sに切換えレバーを設けることもできる。
【0071】
次に、ラジエータファン20が取付けられた回転軸24と、排塵ファンが取付けられた筒状回転軸34を支持するブラケット140について説明する。
図7,8に示すように、ブラケット140は、ブラケット140の中心部に回転軸24を内嵌し、筒状回転軸34を外嵌する支持部25が固着され、
図3に示すように、ブラケット140における支持部25は、ラジエータ50の上下方向の中心部よりも上側に偏倚した位置に設けられている。これにより、ラジエータファン20により吸入された外気がエンジンEの上側に送風され、エンジンEや、エンジンEの上側に設けられた酸化触媒装置11を効率良く冷却することができる。
【0072】
ブラケット140は、回転軸24の軸心方向視で支持部25を中心に放射状に径方向に延在する3つのアーム部を有する三又形状に形成されている。すなわち、ブラケット140は、支持部25から略上前側に延在する前アーム部141と、支持部25から略後側に延在する後アーム部142と、支持部25から略下側に延在する下アーム部143を有している。
【0073】
前アーム部141は、先端側に延在するに従って右側(機体外側)に傾斜し、先端部は、右前側フレーム1Aに連結されている。後アーム部142は、回転軸24と直交する方向へ延在し、先端部は、右後側フレーム1Bと連結されている。下アーム部143は、先端側に延在するに従って右側(機体外側)に傾斜し、先端部は、機体フレーム1の上側に固着されたブラケット1Eに連結されている。
これにより、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。また、ブラケット140の剛性が高まり、回転軸24、筒状回転軸34を安定して支持することができ、ラジエータファン20、排塵ファン30を安定して回転させることができる。さらに、前アーム部141と下アーム部143の先端側は、右側(機体外側)に向かい傾斜しているので、ブラケット140の前側、下側において間隔部Bを広く形成できるので、ラジエータファン20、排塵ファン30、エンジンE等の保守・点検作業が容易に行なうことができる。
【0074】
次に、プーリ63の後部伝動軸110における取付け位置を変更する手段について説明する。
図9に示すように、エンジンEの回転動力が伝動されるプーリ63は、後部伝動軸110にキー64により固定されている。後部伝動軸110の外周面にキー溝111が形成されている。キー溝111内に挿入されたキー64が、プーリ63と後部伝動軸110の間に介在することで、プーリ63が、後部伝動軸110に相対回転不能な状態で固定される。なお、キー溝111は、後部伝動軸110の軸心方向に間隔をおいて、後部伝動軸110の外周面の2箇所に形成されている。
また、後部伝動軸110の外周面には、カラー112,113が外嵌されている。カラー112,113は、プーリ63が後部伝動軸110の軸心方向に移動することを規制する部材である。なお、
図9におけるカラー113の左右方向の長さは、カラー112の左右方向の長さよりも大きく形成されている。
【0075】
これにより、
図9(a),(b)に示すように、プーリ63の後部伝動軸110の軸心方向における取付け位置を容易に変更することができる。
図9(a)は、プーリ63が後部伝動軸110の軸心方向の左側部に取付けられた状態を示し、
図9(b)は、プーリ63が後部伝動軸110の軸心方向の右側部に取付けられた状態を示している。プーリ63の取付け位置を変更する場合には、キー64の挿入位置を変更し、プーリ63の左右側に配置されるカラー112,113を左右入替えて後部伝動軸110に外嵌する。また、プーリ63の位置変更に伴って、プーリ61とプーリ63に巻回されたベルト62を押圧するテンションローラ115A,115Bの位置を変更する。
【0076】
テンションローラ115A,115Bは、ローラ118と、ローラ118を支持するテンションアーム117を備えて構成されている。テンションローラ115A,115Bは、機体フレーム1にボルト等の締結手段により取付けられた支持部116に、テンションアーム117の基部に設けられたピン117Aが回転自在に支持されている。なお、テンションローラ115A,115Bをベルト62に付勢するために、テンションアーム117には、スプリング(図示省略)が接続されている。
【0077】
図9(a)に示すように、プーリ63を後部伝動軸110の軸心方向の左側部に取付けた場合は、ローラ118の右側にテンションアーム117が設けられている左側用テンションローラ115Aを使用し、
図9(b)に示すように、プーリ63を後部伝動軸110の軸心方向の右側部に取付けた場合には、ローラ118の左側にテンションアーム117が設けられている右側用テンションローラ115Bを使用するのが好適である。
【0078】
左側用テンションローラ115Aのテンションアーム117は、後部伝動軸110の軸心方向に屈曲しながら後部伝動軸110から離れる方向に延在している。一方、右側用テンションローラ115Bのテンションアーム117は、後部伝動軸110の軸心方向に屈曲せずに後部伝動軸110から離れる方向に延在し、テンショアーム117の基部に設けられたピン117Aは、左側用テンションローラ115Aのピン117Aよりも左右方向に長く形成されている。なお、右側用テンションローラ115Bは、左側用テンションローラ115Aよりも右側に設けるのが好適である。
【0079】
次に、エンジンEの上側に設けられた酸化触媒装置11により加熱された酸化触媒装置11の周囲の内気が操縦席6へ流入することを防止する方法について説明する。
図15,16に示すように、酸化触媒装置11と操縦席6の主変速レバー等が設けられているサイドパネル6Aの間には、遮熱カバー95が設けられている。なお、遮熱カバー95を設けることにより、排藁等の粉塵の酸化触媒装置11への堆積が防止できると共に、排藁等の粉塵の発火を防止でき、酸化触媒装置11の周辺に設けられる電装部品の温度上昇を防止することができる。
【0080】
図17に示すように、遮熱カバー95は、上下方向に延在する前側板95Aと、前側板95Aの上端部から前後方向に延在する水平板95Bと、水平板95Bの後端部から後下がり傾斜して延在する傾斜板95Cと、傾斜板95Cの後端部から上下方向に延在する後側板95Dから形成されている。なお、前側板95Aと、水平板95Bと、傾斜板95Cと、後側板95Dは、薄肉鉄板を折曲げ加工して一体的に形成されている。
【0081】
前側板95Aは、左前側フレーム1Cに設けられたウエルドナットに、水平板95Bは、左前側フレーム1Cと左後側フレーム1Dに連接された前後方向に延在する左側フレーム1Hに設けられたウエルドナットに、後側板95Dは、左後側フレーム1Dに設けられたウエルドナットにボルトにより着脱自在に取付けられている。これにより、酸化触媒装置11の保守・点検作業時には、遮熱カバー95を左前側フレーム1C等から取り外して、酸化触媒装置11の保守・点検作業を容易に行なうことができる。
【0082】
遮熱カバー95は、酸化触媒装置11と所定の間隔を隔てて酸化触媒装置11の前部、上部、後部を覆うように設けられている。
図17に示すように、遮熱カバー95の前側板95Aは、酸化触媒装置11の前部よりも所定の間隔を隔てて設けられた左前側フレーム1Cに沿って設けられ、前側板95Aの下部は、酸化触媒装置11の前部の下部よりも下側に延在している。また、遮熱カバー95の水平板95Bは、酸化触媒装置11の上部よりも所定の間隔を隔てて設けられた左側フレーム1Hに沿って設けられている。さらに、遮熱カバー95の後側板95Dは、酸化触媒装置11の後部よりも所定の間隔を隔てて設けられた左後側フレーム1Dに沿って設けられ、後側板95Dの下部は、酸化触媒装置11の後部の下部よりも下側に延在している。これにより、ラジエータファン20によって吸引された外気を右側から左側に向かって効率良く送風でき酸化触媒装置11を冷却すると共に、酸化触媒装置11によって加熱された内気を酸化触媒装置11の左側に設けられた脱穀装置3に効率良く送風して脱穀装置3内の脱穀穀粒を乾燥させることができる。
なお、酸化触媒装置11によって加熱された内気を酸化触媒装置11の左側に設けられた脱穀装置3により効率良く送風するために、酸化触媒装置11を支持するステー11Bに開口部11Cを設けるのが好適である。
【0083】
また、右後側フレーム1Bの上端部と左後側フレーム1Dの上端部は、左右方向に延在する後側フレーム1Kで連結され、左側フレーム1Hの下側には、操縦席6とエンジンEとを区画するエンジンルームカバー96が着脱自在に設けられている。なお、エンジンルームカバー96は、左右前側フレーム1A,1Cと左右後側フレーム1B,1Dで囲まれる部位に設けられており、主にエンジンEにより加熱されたエンジンEの周囲の内気の操縦席6への送風を遮断すると共に、遮熱カバーと協働して酸化触媒装置11により加熱された酸化触媒装置11の周囲の内気の操縦席6への送風を遮断することができる。
【0084】
次に、酸化触媒装置11から排出される排気ガスを外部に誘導するテールパイプ15について説明する。
図15,16に示すように、テールパイプ15は、酸化触媒装置11の排気口12に前部が接続される第1パイプ16と、第1パイプ16の後部に前部が接続される第2パイプ17と、第2パイプ17の後部に前部が接続される第3パイプ18とを備えて形成されている。
【0085】
第1パイプ16は、左側側視において酸化触媒装置11の排気口12に接続された前部から下後側に向かって延在し、背面視においては酸化触媒装置11の排気口12に接続された前部から左下側に向かって湾曲して延在している。これにより、脱穀装置3の唐箕3A等にエンジンEの回転動力を伝動するフライホイールシャフト60Bの後上側に設けられた脱穀入力プーリ3Bとも干渉を回避することができる。
【0086】
第2パイプ17は、左側側視において第1パイプ16の後部に接続された前部から下後側に向かって延在し、背面視においては第1パイプ16の後部に接続された前部から右下側に向かって延在している。なお、第2パイプ17の後端部は、側面視において脱穀装置3の前壁3Cよりも前側に位置する。
また、第2パイプ17の前部の内径は、第1パイプ16の後部の外径よりも大径に形成され、第2パイプ17の前部は、第1パイプ16の後部の外周部に対して所定の間隔を隔てて外嵌されている。これにより、第1パイプ16から第2パイプ17に排出された排気ガスにより第2パイプ17の前部の内部が負圧になり第1パイプ16の後部と第2パイプ17の前部の隙間から外気を第2パイプ17の前部に吸引して第2パイプ17に排出された排気ガスの温度を下げることができる。
【0087】
第3パイプ18は、左側側視において脱穀装置3の前壁3Cよりも前側に位置する第2パイプ
17の後部に接続された前部から下後側に向かって延在して脱穀装置3内の穀粒をグレンタンク5に揚穀する揚穀筒13の下部に対向する前側屈曲部に至り、前側屈曲部から下後側に向かって再び向かって延在して機体フレーム1に対向する後側屈曲部に至り、後側屈曲部から下後側に向かって再び向かって延在して後部に至る。なお、第3パイプ18の前側屈曲部から後側屈曲部に向かって延在する後下がり傾斜角度は、第3パイプ18の前部から前側屈曲部に向かって延在する後下がり傾斜角度と、第3パイプ18の後側屈曲部から後部に向かって延在する後下がり傾斜角度よりも大きく設定されている。これにより、排藁等の粉塵の第3パイプ18上への堆積を防止することができ、また、脱穀装置3と対向する第3パイプ18の部位を長く設定することができるので、脱穀装置3内の穀粒の乾燥を促進させることもできる。
また、第3パイプ18
は、第2パイプ16の後部に接続された前部から下後側に向かって直線状に延在している。なお、圃場上の排藁に第3パイプ18が直接接触して排藁の発火を防止するために、第3パイプ18の外周部は断面が略八角形のカバーで覆われている。
【0088】
図16に示すように、エンジンEを脱穀装置3に偏倚して設け、テールパイプ15を脱穀装置3とグレンタンク5の間に形成された空間W内に設けることにより、コンバインの走行時に空間W内に吸引される走行風によりエンジンEとテールパイプ15を効率良く冷却することができる。また、テールパイプ15の第2パイプ17の後部と第3パイプ18の前部の接合位置を空間W内に設けることにより圃場等との衝突により破損した第3パイプ18の交換作業を容易に行なうこともできる。さらに、オイルクーラ51等のホース54を冷却するために、オイルクーラ51等のホース54を脱穀装置3とグレンタンク5の間に形成された空間W内に設けることが好適である。