(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液保持性の吸収体並びに該吸収体の肌対向面側に配置された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配置された裏面シートを具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部と、該排泄部対向部よりも着用者の背側に配される後方部とを有する吸収性本体を備え、着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
前記吸収性本体における前記後方部の縦方向に沿う両側部それぞれから横方向外方に延出する一対の後方フラップ部を備え、一対の該後方フラップ部それぞれの非肌対向面に、該後方フラップ部を着衣に固定する縦長の後方粘着部が形成されており、
前記吸収性本体の肌対向面に、前記表面シート及び前記吸収体が前記裏面シート側に向かって一体的に凹陥してなる線状溝が形成されており、該線状溝は、前記後方部を縦方向に延びる縦溝と、該後方部において該縦溝より横方向内方に位置する内方溝とを含み、
前記縦溝は縦方向において途切れた途切れ部を有しており、該途切れ部が、前記後方粘着部の縦方向前後端それぞれを通って横方向に延びる2本の仮想直線に挟まれた後方部特定領域内に存し、且つ該後方部特定領域内に前記内方溝が存している吸収性物品。
前記縦溝は前記途切れ部を複数有しており、その複数の途切れ部の全てが前記後方部特定領域内に存し、且つその複数の途切れ部のうち、縦方向の最前方に位置する途切れ部が、前記内方溝の側方に存している請求項1に記載の吸収性物品。
前記縦溝は、前記吸収性本体を横方向に二分する中心線を挟んで一対形成されており、その一対の縦溝は、それぞれ、縦方向に隣接する2つの前記途切れ部に挟まれた分断領域を前記後方部特定領域内に有し、該分断領域は、平面視においてその縦方向前端が縦方向後端より横方向内方に位置するように、縦方向に対して傾いている請求項2に記載の吸収性物品。
前記後方粘着部の縦方向の長さが前記後方フラップ部の縦方向の長さの10〜30%であり、前記排泄部対向部と前記後方部との境界から該後方粘着部の縦方向前端までの長さが60〜90mmである請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキンに基づき図面を参照して説明する。本実施形態のナプキン1は、
図1及び
図2に示すように、液保持性の吸収体4並びに該吸収体4の肌対向面側に配置された表面シート2及び該吸収体4の非肌対向面側に配置された裏面シート3を具備する吸収性本体5を備え、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。
【0013】
尚、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性本体5)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、縦方向Xは、吸収性物品(吸収性本体)の長辺に沿う方向(長手方向)に一致し、横方向Yは、吸収性物品(吸収性本体)の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致する。
【0014】
吸収性本体5は、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部Bと、着用時に排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)に配される前方部Aと、着用時に排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)に配される後方部Cとを縦方向Xに有している。ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置(当該吸収性物品の正しい着用位置)が維持された状態を意味し、吸収性物品が該着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
【0015】
ナプキン1は、吸収性本体5に加えて更に、吸収性本体5における排泄部対向部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部7,7と、吸収性本体5における後方部Cの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対の後方フラップ部8,8とを有している。このような、後方フラップ部を有する生理用ナプキンは、就寝時等に長時間使用するのに適しており、夜用の生理用ナプキンとして特に有用である。
【0016】
尚、本発明の吸収性物品において、排泄部対向部は、本実施形態のナプキン1のようにウイング部を有する場合には、吸収性物品の縦方向(吸収性物品の長手方向、図中のX方向)においてウイング部を有する領域(ウイング部の縦方向一方側の付け根と他方側の付け根とに挟まれた領域)である。ウイング部を有しない吸収性物品における排泄部対向部は、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向(吸収性物品の幅方向、図中のY方向)に横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向の前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域と同じか又は該領域よりも狭い領域である。
【0017】
図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート10と共にサイドフラップ部6を形成している。裏面シート3とサイドシート10とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていても良い。
【0018】
本実施形態における吸収体4は、
図2に示すように、吸収性シート401〜403の積層体からなり、
図1及び
図2に示すように、排泄部対向部Bに中高部42を有している。吸収体4は、2枚の吸収性シート401,402間に別の吸収性シート403を挟持した構造を有し、この別の吸収性シート403は中高部42に配されている。中高部42は、排泄部対向部Bのみに形成され、前方部A及び後方部Cには形成されていない。中高部42は、
図2に示すように、吸収体4を構成する吸収性シートの積層枚数が、その周囲に位置する部分より多く、厚みが大きい部分である。このため、ナプキン1は、排泄部対向部Bに、表面シート2側(ナプキン1の肌対向面側)に突出した隆起部を形成している。また、吸収体4は、吸収体4の外形を形成する主吸収体40と、主吸収体40の一部に重ねて配された主吸収体40より小型の補助吸収体41とを有している。主吸収体40は、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状で且つ前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cに亘って延びる2枚の同形同大の吸収性シート401,402からなり、補助吸収体41は、平面視において略矩形形状であり、排泄部対向部Bからその近傍の後方部Cに亘って配されている。補助吸収体41は、1枚の吸収性シート403を折り畳んで2層構造としたものであり、主吸収体40を構成する2枚の吸収性シート401,402間に配されている。中高部42には、この補助吸収体41(1枚の吸収性シート403を折り畳んで複数層の構造としたもの)が配されている。主吸収体40の一部に補助吸収体41を配することで、吸収体4の一部の吸収容量を容易且つ効率的に増大させることができる。補助吸収体41は、主吸収体40を構成する2枚の吸収性シート401,402間に配置するのに代えて、主吸収体40を構成する上側の吸収性シート401の肌対向面側に積層しても良いし、主吸収体40を構成する下側の吸収性シート402の非肌対向面側に積層しても良い。また、吸収性シート間は、接合されていなくても良いし、まばらに散布した接着剤等によって接着されていても良い。
【0019】
吸収体4は、中高部42の厚みが、好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下である。より具体的には、中高部42の厚みは0.7mm以上5mm以下が好ましく、更には1mm以上4mm以下であることが好ましい。中高部42の厚みをこの範囲とすることで、中高部42が形成されている排泄部対向部Bにおける良好な着用感と高い吸収性能とを両立することが容易となる。また、本実施形態のナプキン1のように吸収性物品がウイング部を備えている場合には、その着用時に排泄部対向部での吸収体のヨレを抑制しやすくなる。中高部42以外の吸収体4の厚み、即ち主吸収体40(2枚の吸収性シート401,402の積層体)の厚みに関しては、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.5mm以下である。より具体的には、主吸収体40の厚みは、0.5mm以上3mm以下、更には0.6mm以上2.5mm以下であることが、高い吸収性能と着用者の動きへの追従性を高める観点から好ましい。
【0020】
また、吸収体4において、中高部42とその周辺部との境界又はその近傍における両者の厚み差(段差)は2mm以下であることが好ましく、更に1.5mm以下であることが好ましい。この目的は、排泄部対向部Bにおいて、中高部42とその周辺部分の主吸収体40のみが存在する領域との境界付近におけるヨレの発生を抑制することである。この段差が大きいと、着用中にナプキン1が着用者の動きに追従した際、段差による隙間を埋めようとするため、結果として段差の影響でヨレが生じ易くなることがあるが、該段差を前記範囲内に設定とすることで、排泄部対向部Bにおけるヨレの発生を抑える効果が高まる。前述した吸収体4の各部の厚みは下記方法により測定される。
【0021】
<吸収体の厚みの測定方法>
測定対象物である吸収体を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、5cN/cm
2の荷重下での厚みを測定する。本発明における厚みの測定には、厚み計 PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いた。このとき、厚み計の先端部と測定対象物における測定部分との間に、平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が5cN/cm
2となるようにプレートの大きさを調整する。
【0022】
吸収性本体5の肌対向面(表面シート2の肌対向面)における縦方向Xに沿う両側部には、
図1に示すように、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート10,10が吸収性本体5の縦方向Xの略全長に亘って配されている。一対のサイドシート10,10は、それぞれ、排泄部対向部Bに位置する線状の第1接合線11と、該第1接合線11の縦方向Xの前後(前方部A及び後方部C)に位置する線状の第2接合線12とで吸収性本体5(表面シート2)に接合されている。第1接合線11は、平面視において横方向Yの外方に向けて凸の曲線状であり、第2接合線12は、平面視において縦方向に交差するように延びる線状(ジグザグ線状)である。サイドシート10は、撥水性の不織布からなる。このように、サイドシート10が接合線11,12にて吸収性本体5の肌対向面(表面シート2)に接合されていると、
図2に示すように、接合線11,12よりも横方向Yの内方に、サイドシート10と表面シート2とで画成される空間部Pが形成される。この空間部Pは、吸収性本体5の横方向Yの中央に向けて開口しているので、横方向Yの中央から外方へ流れる経血等の排泄液は空間部Pに収容されるようになり、結果として排泄液の漏れが効果的に防止される。
【0023】
サイドフラップ部6は、
図1に示すように、排泄部対向部Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部7,7が延設されている。また、サイドフラップ部6は、後方部Cにおいても横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対の後方フラップ部8,8が延設されている。また、表面シート2及び裏面シート3は、
図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
【0024】
ウイング部7は、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されて用いられるものである。ウイング部7は、
図1に示すように、平面視において、下底(上底よりも長い辺)が吸収性本体5の側部側に位置する略台形形状を有している。ウイング部7の非肌対向面には、該ウイング部7(ナプキン1)をショーツ等の着衣(図示せず)に固定するウイング部粘着部(図示せず)が形成されており、このウイング部粘着部によって、使用時に、着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されたウイング部7を、該クロッチ部に粘着固定できるようになされている。尚、ナプキン1においては、吸収性本体5とウイング部7との境界線は、ウイング部7の縦方向Xの両付け根を結ぶ直線(図示せず)である。
【0025】
一対の後方フラップ部8,8それぞれの非肌対向面(サイドシート10の非肌対向面)には、該後方フラップ部8(ナプキン1)をショーツ等の着衣(図示せず)に固定する縦長の後方粘着部9が形成されている。後方粘着部9は、平面視において縦方向Xに長い矩形形状をなしている。
図1に示すように、一方の後方フラップ部8における後方粘着部9と他方の後方フラップ部8における後方粘着部9とは、同形状同寸法で且つ縦方向Xに関して同位置に存しており、吸収性本体5を横方向Yに二分する中心線(図示せず)を基準として左右対称に形成されている。後方フラップ部8は、これを着衣に固定する際に折り返されず、その非肌対向面が広げられた状態(吸収性本体5の側方に延ばされた状態)で、後方粘着部9を介して着衣の肌対向面(内面)に粘着固定される。後方粘着部9及び前記ウイング部粘着部は、ホットメルト粘着剤を所定箇所に塗布することにより設けられており、ナプキン1の使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる図示しない剥離シートによって被覆されている。
【0026】
図1〜
図3に示すように、吸収性本体5の肌対向面(表面シート2の肌対向面)には、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状溝が形成されており、該線状溝は、後方部Cにおいて縦方向Xに延びる縦溝51と、後方部Cにおいて縦溝51より横方向Yの内方に位置する内方溝61とを含む。縦溝51は、内方溝61より横方向Yの外方に位置する溝であることから、外方溝(外方縦溝)とも言える。ここで、内方溝61に関し、「縦溝より横方向の内方に位置する」とは、横方向Yに平行な、同一の仮想直線上において内方溝61が縦溝51よりも内方に位置することを意味する。線状溝は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。線状溝においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。
【0027】
このような線状溝がナプキン1の肌対向面に形成されていると、吸収体4の平面方向の液の拡散が効果的に抑制されるようになり、また、吸収体4のヨレを防止できる。線状溝の形成は、経血等の排泄液の拡散防止、着用時の身体に対する密着性の向上等に特に有効である。特に、後方部Cに位置する縦溝51は、後方部Cのヨレ及び後ろ斜め方向の漏れを効果的に防止し、内方溝61は、ナプキン1の着用時に着用者の臀部の溝に沿うことで、後ろ漏れを効果的に防止し得る。線状溝の幅(長さ方向と直交する方向の長さ)及び深さは、この種の吸収性物品における線状溝と同様に設定すれば良い。
【0028】
ここで、縦溝に関して「延びる」とは、縦溝が途中で途切れることなく連続している状態に限られず、後述する途切れ部52A,52Bの如き、比較的短い長さ(概ね8mm以下)の、縦溝を構成する凹陥部(エンボス部)の存在しない部分(非凹陥部)があっても良く、縦溝全体として実質的に縦方向に連続していれば良い。また、線状溝における「線状」とは、溝(凹陥部)の形状が平面視において直線に限られず、曲線を含み、各線は、連続線でも破線でも良い。例えば、線状溝は、不連続な多数のエンボス(例えば、点エンボス)のなす列から構成されていても良い。この場合には、途切れ部の長さよりも、隣り合ったエンボス間の距離の方が短い。
【0029】
縦溝51は、
図1に示すように、吸収性本体5を横方向Yに二分する中心線(図示せず)を挟んで一対形成されており、これら一対の縦溝51,51は、該中心線を基準として左右対称に形成されている。一対の縦溝51,51は、それぞれ、後方部Cのみならず、排泄部対向部B及び前方部Aにも延びており、排泄部対向部Bにおいては、中高部42の横方向Yの外方を縦方向Xに延びている。また、排泄部対向部Bでは、縦溝51は横方向Yの内方に向けて凸の曲線状となっていて、排泄部対向部Bの縦方向Xの前後端側から中央側に向かって、一対の縦溝51,51間の間隔が狭くなっている。本実施形態のナプキン1では、排泄部対向部Bに吸収体4の中高部42が配置されており、当該構成の一対の縦溝51,51によって、中高部42の縦方向Xの中央が着用者肌側に向かって隆起し易くなされている。また、サイドシート10と吸収性本体5との第1の接合部線11,11が排泄部対向部Bで横方向Yの外方に向けて凸の曲線状となっているために、
図1に示すように、排泄部対向部Bの縦方向Xの中央領域では、溝51と第1接合線11との間隔が、その前後領域より広くなっている。このため、溝51を乗り越えた体液は、縦方向Xの前後方向へ拡がりながらサイドシート10と表面シート2とで画成される空間部P(
図2参照)へと導かれるので、横方向側部への液流速度が抑制される。しかも、排泄部対向部Bの縦方向Xの中央領域は、第1接合線11が横方向Yの外方に向けて凸の曲線状となっていることに起因して、その前後領域に比して空間部Pの容量が大きいので、サイドシート10を乗り越えて体液が横方向側部へと漏れる不都合が抑制されやすくなっている。
【0030】
本実施形態においては、前記線状溝として、
図1に示すように、縦方向Xに延びる溝51,61に加えて更に、横方向Yに延びる横溝71,72が、吸収性本体5の縦方向Xの前側から後側に向けてこの順で形成されている。横溝71は、前方部Aに位置し、平面視して吸収性本体5の縦方向Xの前端に向けて凸状に湾曲しており、また、横溝72は、後方部Cに位置し、平面視して吸収性本体5の縦方向Xの後端に向けて凸状に湾曲しており、両溝71,72は、その凸の向きが異なるだけで平面視形状は同じである。横溝71,72それぞれの凸の頂部は、吸収性本体5の横方向Yの中央に位置している。一対の縦溝51,51と横溝71,72とはそれらの長さ方向の端部において繋がっており、それにより、吸収性本体5の肌対向面に平面視環状(略長楕円形状)の溝が形成されている。ここで「平面視」とは、
図1のように、ナプキン1を肌当接面側から平面状に見ることを言う。
【0031】
内方溝61は、
図1に示す如き平面視において、吸収性本体5の縦方向Xの後端に向けて凸の略U字状をなし、その凸の頂部が、縦方向Xの後端61bとなっている。U字状の内方溝61の後端61b(U字の凸の頂部)は、後方フラップ部8の縦方向Xの略中央に位置している。また、U字状の内方溝61の縦方向Xの前端61a,61aは、排泄部対向部Bと後方部Cとの境界15又はその近傍(境界15から5mm以内)に位置しており、これにより、排泄部対向部Bから漏れ出した経血等の排泄液の平面方向の拡散が内方溝61によって効果的に防止される。排泄部対向部Bと後方部Cとの境界15は、「一対のウイング部7,7それぞれの縦方向Xの後方側の付け根を結んだ直線」又は「中高部42の縦方向Xの後端を通って横方向Yに延びる直線」に一致し、後方フラップ部8の縦方向前端8aが存する位置でもある。U字状の内方溝61において縦方向に延びている部分(後端61b及びその近傍以外の部分)は、平面視においてその縦方向Xの前端61aが後端より横方向Yの外方に位置するように、縦方向Xに対して傾いている。即ち、内方溝61は、平面視において、その前端61a側が後端61b側よりも横方向外方へ拡がり且つ前方部A側に向かって開いたU字形状であり、且つ後端部61bに向かうに従ってそのU字を構成する一対の溝61,61の間隔(横方向幅)が狭まる形状となっている。これによって、着用者臀部に対するフィット性と排泄物の漏れ抑制とが効果的に両立できる。
【0032】
本実施形態のナプキン1の主たる特徴の1つとして、
図1及び
図3に示すように、縦溝51は縦方向Xにおいて途切れており、その途切れ部52A,52Bが、後方粘着部9の縦方向Xの前後端9a,9bそれぞれを通って横方向Yに延びる2本の仮想直線L1,L2に挟まれた後方部特定領域CS内に存し、且つ後方部特定領域CS内に内方溝61が存している点が挙げられる。
【0033】
ここで、「縦溝(縦方向に延びる溝)が縦方向において途切れている」とは、縦溝を縦方向Xに沿って見たときに、該縦溝を構成する凹陥部(エンボス部)が存在しない部分(非凹陥部、非エンボス部)がある状態を意味する。即ち、縦溝を横方向Yに横断する1本の仮想直線を、該仮想直線の長さ方向を横方向Yに一致させた状態のままで、該縦溝の全長に亘って縦方向Xに移動させたときに、該仮想直線と該縦溝を構成する凹陥部とが重ならない部分があった場合、該縦溝は縦方向Xにおいて途切れているとし、その重ならない部分が「途切れ部」である。従って例えば、縦溝の「途切れ部」よりも縦方向Xの前方側で吸収性本体にヨレ(変形)が生じ、そのヨレが該縦溝を介して縦方向Xの後方側に伝搬しても、そのヨレの伝搬は「途切れ部」で断たれ、「途切れ部」より縦方向Xの後方側には伝搬しない。
図1及び
図3中符号52A,52Bで示す「途切れ部」は、斯かる縦溝の途切れの条件を満たす。
【0034】
これに対し、例えば
図4に示す縦溝80は、該縦溝80を構成する2本の連続直線状の溝81,82が繋がっておらず、両溝81,82間に非凹陥部(非エンボス部)83が存在するが、縦溝80を横方向Yに横断する1本の仮想直線L0を、その長さ方向を横方向Yに一致させた状態のままで縦方向Xに移動させた場合に、仮想直線L0は、非凹陥部83が存する部分を含め、縦溝80を構成する凹陥部と常に重なるので、縦溝80は縦方向において途切れておらず、非凹陥部83は、本発明でいうところの「途切れ部」ではない。従って仮に、非凹陥部83よりも縦方向Xの前方側(
図4の上方側)で吸収性本体にヨレが生じた場合、そのヨレは、非凹陥部83が存する部分を介して、縦方向Xの後方側(
図4の下方側)に伝搬することになる。
【0035】
また、本発明に係る「後方部特定領域」に関し、本実施形態においては
図1及び
図3に示すように、一対の後方フラップ部8,8における一方の後方粘着部9と他方の後方粘着部9とは、吸収性本体5を横方向Yに二分する中心線(図示せず)を基準として左右対称に形成されているため、両粘着部9,9どうしで、後方部特定領域CSを定める仮想直線L1,L2が一致するが、一方の後方粘着部と他方の後方粘着部とが左右非対称に形成されている場合は、それら左右非対称の一対の粘着部どうしで、縦方向前後端それぞれを通って横方向に延びる2本の仮想直線が一致せず、一方の後方粘着部の縦方向前後端を通る2本の仮想直線と他方の後方粘着部の縦方向前後端を通る2本の仮想直線との計4本の仮想直線が重ならずにそれぞれ独立に存在することになる。その場合は、左右どちらか一方の後方粘着部9の縦方向前後端部それぞれを通って横方向Yに平行に延びる2本の仮想直線に挟まれた領域を「後方部特定領域」とすれば良く、好ましくは、それら4本の仮想直線のうち、縦方向内方に位置する2本で定まる領域(縦方向において一方の後方粘着部と他方の後方粘着部とが重なる領域)を「後方部特定領域」とする。
【0036】
図1及び
図3に示すように、一対の縦溝51,51は、それぞれ、複数(2個)の途切れ部52A,52Bを有しており、その複数の途切れ部52A,52Bの全てが後方部特定領域CS内に存している。また、複数の途切れ部52A,52Bのうち、縦方向Xの最前方に位置する途切れ部52Aのみが内方溝61の側方に存しており、後方に位置する途切れ部52Bは内方溝61の側方には存していない。内方溝61は、本発明でいうところの「途切れ部」を有しておらず、連続している。内方溝61の後端61b(U字の凸の頂部)は、縦溝51が有する複数の前記途切れ部のうち、後方部特定領域CS内における縦方向Xの最前方に位置する途切れ部52Aと最後方に位置する途切れ部52Bとの間に位置している。
【0037】
ナプキン1においては、縦溝51が後方部Cにて縦方向Xにおいて途切れていることにより、ナプキン1の着用時において、排泄部対向部Bで生じたヨレが、その途切れ部52A(複数の途切れ部のうち縦方向Xの最前方に位置する途切れ部)よりも縦方向Xの後方には伝わらないため、後方フラップ部8のヨレやめくれが生じ難くなると共に、途切れ部52Aの横方向Yの内方に位置する、吸収性本体5の横方向中央部、特に平面視U字状の内方溝61で包囲された部分が着用者の肌側に向かって適度に隆起し、結果として、後方部Cが着用者の様々な動きや姿勢の変化に追従して身体にフィットする。この途切れ部52Aの横方向Yの内方での隆起が大きすぎると、途切れ部52Aの横方向Yの外方(後方フラップ部8)のヨレやめくれを招くおそれがあるが、ナプキン1においては途切れ部52Aが、一対の後方粘着部9,9に挟まれた領域である後方部特定領域CS内に存しているため、該隆起は、後方フラップ部8のヨレやめくれを発生させない程度に適度に抑制される。また、内方溝61よりも縦方向Xの後方に途切れ部52Bが存していることにより、内方溝61よりも後方側は、内方溝61による適度な隆起が発生することなく、吸収性本体5が略平面状態を維持した状態で、途切れ部52Bが起点となって身体に沿いやすくなるため、後方部Cの身体追従性が向上する。従って、ナプキン1は、後方部C(後方フラップ部8)のヨレやめくれが発生し難く、着用者の様々な動きや姿勢の変化に追従し得る高い身体追従性を有する。
【0038】
前記作用効果(後方部のヨレやめくれが発生し難く、身体追従性に優れる)の発現には、「縦溝51は縦方向Xにおいて途切れており、その途切れ部が後方部特定領域CS内に存し、且つ後方部特定領域CS内に内方溝61が存している」という構成(基本構成)が必須であり、本実施形態のナプキン1が備える他の構成、例えば下記構成1及び2は必須ではない。従って、本発明においては、縦溝51が有する複数の途切れ部の何れか1個が後方部特定領域CS内に存していれば良く、また、後方部特定領域CS内において途切れ部の側方に内方溝が存していなくても良い。但し、前記基本構成に加えて更に下記構成1及び構成2の少なくとも1つを備えることで、前記作用効果の発現がより一層確実になる。
【0039】
・構成1:縦溝51が有する複数(2個)の途切れ部52A,52Bのうち、縦方向Xの最前方に位置する最前方途切れ部52Aが後方部特定領域CS内に存している(縦溝51が有する複数の途切れ部52A,52Bの全てが後方部特定領域CS内に存している)。
・構成2:後方部特定領域CS内において縦溝51の途切れ部(特に最前方途切れ部52A)の側方(横方向Yの外方)に内方溝61が存している。
【0040】
前記作用効果の発現をより一層確実にする観点から、後方粘着部9の縦方向Xの長さT1(
図1参照)は、後方フラップ部8の縦方向Xの長さT2(
図1参照)に対して、好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上、そして、好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下、より具体的には、好ましくは10〜30%、更に好ましくは15〜25%である。また、後方粘着部9の長さT1は、好ましくは15mm以上、更に好ましくは20mm以上、そして、好ましくは50mm以下、更に好ましくは45mm以下、より具体的には、好ましくは15〜50mm、更に好ましくは20〜45mmである。尚、後方粘着部9は、縦方向Xに並んだ複数の粘着要素から構成されていても良い。その場合の縦方向Xの長さは、最も前側に存在する粘着要素の前側端部から、最も後ろ側に存在する粘着要素の後側端部までの距離である。
【0041】
同様の観点から、排泄部対向部Bと後方部Cとの境界15(後方フラップ部8の縦方向前端8a)から後方粘着部9の縦方向前端9aまでの長さT3(
図1参照)は、好ましくは60mm以上、更に好ましくは65mm以上、そして、好ましくは90mm以下、更に好ましくは80mm以下、より具体的には、好ましくは60〜90mm、更に好ましくは65〜80mmである。
【0042】
同様の観点から、途切れ部52A,52Bそれぞれの縦方向Xの長さは、好ましくは3mm以上、更に好ましくは3.5mm以上、そして、好ましくは8mm以下、更に好ましくは7mm以下、より具体的には、好ましくは3〜8mm、更に好ましくは3.5〜7mmである。
【0043】
尚、縦溝51が途切れ部52A,52Bを有していると、途切れ部52A,52Bの縦方向Xの長さの程度によっては、縦溝51の横方向Yの内方に存する経血等の排泄液が途切れ部52A,52Bを通って横方向Yの外方に移行し、横漏れを誘発することが懸念される。しかしながら、本実施形態においては前述したように、途切れ部52A,52Bの横方向Yの外方には、サイドシート10と表面シート2とで画成される空間部P(
図2参照)が形成されているので、排泄液が途切れ部52A,52Bを通って横方向Yの外方に移行したとしても、該排泄液は空間部Pに収容されるため、第2接合線12より横方向Yの外方には移行し難く、横漏れが生じ難い。
【0044】
図3に示すように、一対の縦溝51,51は、それぞれ、縦方向Xに隣接する2つの途切れ部52A,52Bに挟まれた分断領域53を後方部特定領域CS内に有している。各分断領域53は、平面視においてその縦方向前端53aが縦方向後端53bより横方向Yの内方に位置するように、縦方向Xに対して傾いており、一対の分断領域53,53の間隔は、縦方向Xの前方に向かうに従って漸次短くなっている。つまり、後方部特定領域CS内における一対の分断領域53,53は、平面視においてハの字(八の字)状をなしており、これにより、分断領域53がより安定的に面形状を維持しつつ着用者の身体に沿うようになり、身体追従性の一層の向上が図られる。
【0045】
ナプキン1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、裏面シート3としては、液不透過性の材料や撥水性の材料を用いることができる。液不透過性の材料としては、樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができ、撥水性の材料としては、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド等からなる多層構造の複合不織布、スパンボンド不織布、ヒートボンド不織布、エアスルー不織布等を用いることができる。
【0046】
吸収体4としては、ナプキン1の薄型化、低剛性化の観点から、木材パルプ等の繊維材料を積繊してなる積繊体ではなく、該積繊体に比して厚みが薄く低剛性の吸収性シートを用いることが望ましい。本実施形態のナプキン1において、吸収性シート401〜403としては、湿潤状態の吸水性ポリマーに生じる粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを介して、構成繊維間や構成繊維と吸水性ポリマーとの間を結合させてシート状としたもの等を好ましく用いることができる。また、吸収性シートとしては、特開平8−246395号公報記載の方法にて製造された吸収性シート、気流に乗せて供給した粉砕パルプ及び吸水性ポリマーを堆積させた後、接着剤(例えば酢酸ビニル系の接着剤、PVA等)で固めた乾式シート、紙や不織布の間にホットメルト接着剤等を塗布した後高吸収性ポリマーを散布して得られた吸収性シート、スパンボンド又はメルトブロー不織布製造工程中に高吸収性ポリマーを配合して得られた吸収性シート等を用いることができる。吸収性シートとして好適なものとしては、パルプ繊維の集合体に吸水性ポリマーを固定させたもの、エアレイド法で製造された乾式パルプシート、2枚の不織布間に粒子状の吸水性ポリマーを散布したものが挙げられる。これらの吸収性シートは、一枚を所定形状に裁断してシート状吸収体として用いることができる。吸収性シートの1枚あたりの厚みとしては、好ましくは0.1mm以上、特に0.3mm以上であり、また、好ましくは2mm以下、特に1.5mm以下であることが好ましい。より具体的には、0.1mm以上2mm以下、特に0.3mm以上1.5mm以下であることが好ましい。
【0047】
しかしながら、吸収体4としては、前述した吸収性シートに代えて、積繊型の吸収体を用いても良い。
図5には、この積繊型の吸収体の一例である吸収体4Aを備えたナプキン1Aの、排泄部対向部における横方向Yに沿った断面図(
図2相当図)が示されている。この場合、吸収体4Aは、積繊型の吸収体を複数(2個)積層してなる積層構造を有し、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状で且つ前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cに亘って延びる、下層吸収体45と、下層吸収体45よりも幅狭で且つ排泄部対向部Bにおいて下層吸収体45の横方向Yの中央部の肌対向面側に配置された、上層吸収体46とを有している。上層吸収体46と下層吸収体45とは別体の構造体であり、これらの積層体が中高部42を形成している。上層吸収体46は、平面視において矩形形状で、その長手方向を下層吸収体45の長手方向に一致させて、下層吸収体45上に配置されている。下層吸収体45と上層吸収体46との間は、接着剤によって接合されていても良い。下層吸収体45の厚みは、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.5mm以下である。より具体的には、下層吸収体45の厚みは、0.5mm以上3mm以下、更には0.6mm以上2.5mm以下であることが、高い吸収性能と着用者の動きへの追従性を高める観点から好ましい。
【0048】
下層吸収体45及び上層吸収体46(積繊型の吸収体)を構成する材料としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ、合繊繊維等の親水性繊維からなる繊維集合体、又は該繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたもの等を用いることができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。また、吸収体45,46は、前記繊維集合体等からなる液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアを被覆する液透過性のコアラップシートとを含んで構成されていても良く、その場合、吸収性コアとコアラップシートとの間は、所定の部位においてホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されていても良い。吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、例えば、ティッシュペーパー等の紙、各種不織布、開孔フィルム等の透水性シートを用いることができる。
【0049】
また、ナプキン1Aにおいては、
図5に示すように、サイドシート10は、ナプキン1Aの横方向Yの中央寄りに位置する部分が、シートの折り返しにより2層構造とされており、その折り返し部が、サイドシート10の縦方向Xに沿う内側縁部となっている。尚、ナプキン1Aについては、前述したナプキン1と異なる構成部分を説明し、ナプキン1と同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、ナプキン1についての説明が適宜適用される。ナプキン1Aによってもナプキン1と同様の効果が奏される。
【0050】
サイドシート10としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。その他の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、ヒートロール不織布、エアスルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。特に撥水性のエアスルー不織布を用いることが、肌触りのよさと横モレ防止の点から好ましい。
【0051】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、ナプキン1,1Aは、ウイング部7を有しないものであっても良い。また、吸収性本体5の非肌対向面(裏面シート3の非肌対向面)に、該本体5(ナプキン1)をショーツ等の着衣に固定する本体粘着部を設けても良い。本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナ(おりものシート)、失禁パッド等にも適用できる。
【0052】
前述した本発明の実施態様に関し、更に以下の付記を開示する。
【0053】
<1> 液保持性の吸収体並びに該吸収体の肌対向面側に配置された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配置された裏面シートを具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部と、該排泄部対向部よりも着用者の背側に配される後方部とを有する吸収性本体を備え、着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記吸収性本体における前記後方部の縦方向に沿う両側部それぞれから横方向外方に延出する一対の後方フラップ部を備え、一対の該後方フラップ部それぞれの非肌対向面に、該後方フラップ部を着衣に固定する縦長の後方粘着部が形成されており、前記吸収性本体の肌対向面に、前記表面シート及び前記吸収体が前記裏面シート側に向かって一体的に凹陥してなる線状溝が形成されており、該線状溝は、前記後方部を縦方向に延びる縦溝と、該後方部において該縦溝より横方向内方に位置する内方溝とを含み、前記縦溝は縦方向において途切れており、その途切れ部が、前記後方粘着部の縦方向前後端それぞれを通って横方向に延びる2本の仮想直線に挟まれた後方部特定領域内に存し、且つ該後方部特定領域内に前記内方溝が存している吸収性物品。
<2> 前記途切れ部の縦方向の長さは3mm以上8mm以下である前記<1>に記載の吸収性物品。
<3> 前記後方粘着部の縦方向の長さは15mm以上50mm以下である前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
【0054】
<4> 前記縦溝は前記途切れ部を複数有しており、その複数の途切れ部の全てが前記後方部特定領域内に存し、且つその複数の途切れ部のうち、縦方向の最前方に位置する途切れ部が、前記内方溝の側方に存している前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5> 前記縦溝は、前記吸収性本体を横方向に二分する中心線を挟んで一対形成されており、その一対の縦溝は、それぞれ、縦方向に隣接する2つの前記途切れ部に挟まれた分断領域を前記後方部特定領域内に有し、該分断領域は、平面視においてその縦方向前端が縦方向後端より横方向内方に位置するように、縦方向に対して傾いている前記<4>に記載の吸収性物品。
<6> 前記後方粘着部の縦方向の長さが前記後方フラップ部の縦方向の長さの10〜30%であり、前記排泄部対向部と前記後方部との境界から該後方粘着部の縦方向前端までの長さが60〜90mmである前記<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7> 前記内方溝の縦方向前端は、前記排泄部対向部と前記後方部との境界又はその近傍に存している前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0055】
<8> 前記内方溝は、平面視において、その縦方向の前端が後端側よりも横方向外方へ拡がり且つ着用時に前記排泄部対向部よりも着用者の腹側に配される前方部側に向かって開いたU字状である前記<1>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9> 前記内方溝の後端は、前記後方部特定領域内における縦方向の最前方の前記途切れ部と最後方の前記途切れ部との間に位置している前記<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10> 前記吸収体は、前記排泄部対向部において、周囲よりも厚みが大きい中高部を備えている前記<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
<11> 前記中高部の厚みは0.7mm以上5mm以下である前記<10>に記載の吸収性物品。
<12> 前記中高部は前記排泄部対向部のみに存在する前記<10>又は<11>に記載の吸収性物品。
【0056】
<13> 前記吸収体が、吸収性シートを含む前記<10>〜<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14> 前記吸収性シートが、パルプ繊維の集合体に吸水性ポリマーを固定させたもの、エアレイド法で製造された乾式パルプシート、又は2枚の不織布間に粒子状の吸水性ポリマーを散布したものである前記<13>に記載の吸収性物品。
<15> 前記中高部には、前記吸収性シートを折り畳んで複数層の構造としたものが配されている前記<13>又は<14>に記載の吸収性物品。
<16> 前記吸収体は、2枚の前記吸収性シートの間に別の前記吸収性シートを挟持した構造を有し、該別の吸収性シートは前記中高部に配されている前記<13>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0057】
<17> 前記中高部は、下層吸収体に上層吸収体を積層した構造であり、該下層吸収体の厚みは0.3mm以上3mm以下である前記<10>に記載の吸収性物品。
<18> 前記中高部とその周辺部との境界又はその近傍における両者の厚み差(段差)が2mm以下である前記<10>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19> 前記縦溝は、不連続な多数のエンボスのなす列から構成された不連続な線状であり、前記途切れ部の縦方向の長さは、多数の該エンボスにおける隣り合ったエンボス間の距離に比して長い前記<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0058】
<20> 平面視において前記吸収体の縦方向に沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシートが前記吸収性本体の縦方向の略全長に亘って配されており、前記一対のサイドシートは、それぞれ、前記排泄部対向部に位置する線状の第1接合線と、該第1接合線の縦方向の前後に位置する線状の第2接合線とで前記吸収性本体に接合されており、前記第1接合線及び前記第2接合線よりも横方向の内方に、前記サイドシートと前記表面シートとで画成される空間部が形成されている前記<1>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
<21> 前記第1接合線は、平面視において横方向外方に向けて凸の曲線状である前記<20>に記載の吸収性物品。
<22> 前記縦溝は、前記排泄部対向部では平面視において横方向内方に向けて凸の曲線状である前記<21>に記載の吸収性物品。
<23> 前記第2接合線は、平面視において縦方向に交差するように延びる線状である前記<20>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0059】
<24> 前記吸収性物品は、前記排泄部対向部の横方向両側部に一対のウイング部を備えている前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25> 前記吸収性物品は、ウイング部を備えておらず、横方向に延びる2本の折り線によって縦方向に3つに折り畳まれており、該2本の折り線に挟まれた領域が前記排泄部対向部である前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26> 前記吸収性物品が生理用ナプキンである前記<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収性物品。