(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仕切り手段は更に、前記筒状体と前記容器との間の空間を、少なくとも二以上の貯蔵空間に仕切る仕切り部材を含んでいる、ことを特徴とする請求項3に記載の粉粒体貯蔵槽。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の粉粒体用貯蔵槽を
図14に示す。以下、粉粒体の具体例としてコンクリート用粗骨材を具体例として挙げ、従来技術について説明する。
【0005】
図14に示すように、従来構造の貯蔵槽を利用してコンクリート用粗骨材を貯蔵する場合、粗骨材をなす粉粒体は、落下させることによって斜度が安息角の円錐形の山になる。粉粒体は、この山の斜面を伝って行く過程で粗いものは裾付近に流れ、細かいものが中央付近に留まる傾向にある。すなわち、従来技術では、サイロやホッパーの内径Dに起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)が生じる。
【0006】
このように従来技術では、貯蔵槽に収容されている粉粒体の山は、
図14に示すように、中央部が細かく、裾部は粗いものに分離される。この現象は、広く一般的に利用されているサイロやホッパー内でも起きるため、払い出し時に極端に「細かいもの」が出たり、「粗いもの」が出ることになる。すなわち、貯蔵槽内において粉粒体の均一性が失われて、大きさが異なった分布となり、偏った状態で粉粒体が貯蔵槽から排出される。
【0007】
かかる偏析の影響は、粉粒体を使用する製品の品質に及ぶことになる。例えば、レディーミクストコンクリートの場合、粗骨材は細かいものから粗いものまで等分に配合されていることが設計の基本になっていることから、貯蔵槽での偏析の影響は、結果的にスランプ(軟らかさ)や強度の低下に出ることになる。
【0008】
したがって従来技術では、サイロやホッパー内にある粉粒体が、「細かいもの」「粗いもの」に分離され、均一性を失って貯蔵槽から排出されるといった問題があった。また、このような貯蔵槽から取り出した粉粒体をコンクリートや化学製品などの製造に使用する場合、粉粒体の偏析の影響によって品質が不安定になるといった問題があった。
【0009】
なお、従来技術の貯蔵槽としては、特許文献1、2に開示されたものが公知となっているが、これらの従来技術には、いずれも次のような問題がある。
【0010】
特許文献1(特開2003-054682)では、ほぼサイロ中央部付近から粉粒体が落下することから仕切板などがあっても、サイロ内径に起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)は不可避的に生じる。つまり、特許文献1の技術では、前述した従来技術と同様の問題が生ずる。
【0011】
特許文献2(特開平11-180490)では、サイロ下部の払い出し部内側に仕切板を入れてサイロ内の断面の粉粒体を均等に払い出すものであって、偏析した粒体を再び均一にしようとするものである。すなわち、サイロ内径に起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)は生じる。したがって、特許文献2の技術でも、前述した従来技術と同様の問題が生ずる。
【0012】
そこで、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、サイロやホッパーなどの貯蔵槽内での粉粒体の偏りを少なくし、該粉粒体を用いた製品の品質(性能や効能など)を安定化させることを可能にする、新たな粉粒体貯蔵槽及び粉粒体貯蔵プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的は、
粉粒体を一時的に貯蔵し排出するサイロやホッパーとして用いられる貯蔵槽であって、
粉粒体を収容可能な容器と、
前記容器の内側空間を二以上の貯蔵空間に仕切って、容器内径(特に筒状の本体部の内径)に起因する粉粒体の分離や偏りが生じないようにする、仕切り手段と、
前記貯蔵空間の何れか一又は二以上に向けて粉粒体が向かうように、粉粒体の流れを制御する制御手段と、
前記貯蔵空間に貯蔵された粉粒体を排出するための排出口と、
を有する粉粒体貯蔵槽によって達成される。
【0014】
上記粉粒体貯蔵槽は、前記貯蔵空間に一時的に貯蔵されている粉粒体を、前記排出口の方へガイドするための排出ガイド手段を、更に有していてもよい。
【0015】
また上記粉粒体貯蔵槽において、前記仕切り手段は、内側に貯蔵空間を有する筒状体を含んで構成されていてもよく、その場合、前記筒状体は、前記容器の内側空間に設けられている。
【0016】
また上記粉粒体貯蔵槽は、前記容器内で前記筒状体を支えるための支持部材を更に有していてもよい。
【0017】
また上記粉粒体貯蔵槽において、前記仕切り手段は更に、前記筒状体と前記容器との間の空間を、少なくとも二以上の貯蔵空間に仕切る仕切り部材を含んでいてもよい。
【0018】
また上記粉粒体貯蔵槽において、前記制御手段は、例えば、
粉粒体が第1の貯蔵空間に向かうように、該粉粒体の流れを制御する第1の制御部と、
粉粒体が第2の貯蔵空間に向かうように、該粉粒体の流れを制御する第2の制御部と、
を有していてもよい。
【0019】
また上記粉粒体貯蔵槽において、前記制御手段は、
粉粒体が第1の貯蔵空間に向かうように、該粉粒体の流れを制御する第1の制御部と、
前記第1の貯蔵空間が満たされた場合に、粉粒体が第2の貯蔵空間に向かうように、該粉粒体の流れを制御する第2の制御部と、
を有していてもよい。
【0020】
また上記粉粒体貯蔵槽において、前記制御手段は、二以上の貯蔵空間に対して、順次、粉粒体を送り込むように構成されていてもよい。
【0021】
また、前述した目的は、上述した粉粒体貯蔵槽と、前記粉粒体貯蔵槽が具備する制御手段に向けて粉粒体を搬送する搬送手段と、を有することを特徴とする粉粒体貯蔵プラントによって達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る貯蔵槽(サイロ・ホッパー)は、容器内側空間を二以上の貯蔵空間に仕切る仕切り手段を具備している。具体的には、仕切り手段によって、容器内側空間を(縦方向ではなく)横方向において複数の部屋に分割する。つまり、容器内(貯蔵槽の内部)を上から見た状態で、容器内側空間が複数の部屋に分割されて見えるように、容器内を区画する。このように横方向で仕切られた複数の部屋には、それぞれ粉粒体が送り込まれて部屋毎に一時的に貯蔵されるようになっている。
このように、容器の内側空間を複数区画(複数の部屋)に仕切って分割することで、前述した「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が無くなって、容器内での粉粒体の偏り(粗いもの、細かいものの分離)が大幅に低減されるので、容器内での粉粒体の均一性を維持することが可能になる。そして、貯蔵槽内での粉粒体の偏りが少なくなって、粉粒体が(粗いもの、細かいものに殆ど分離されることなく)均一性をほぼ保って排出される結果、該粉粒体を用いた製品の品質(性能や効能など)を安定化させることが可能になる。つまり、常に一定の品質の製品を製造することが可能になる。
また、容器内側空間を二以上の貯蔵空間に仕切ることで、容器内に収容される粉粒体は、従来のように円錐形の「一つの大きな山」になるのではなく、「複数の小さな山」になるので、粉粒体を収容可能な有効容積が従来よりも大きくなり、容器内側空間を有効活用することができる。つまり、容器の有効容積が従来よりも大幅に増えることになる。
また、本発明に係る貯蔵槽では、容器に設けた制御手段(粉粒体が送り込まれる方向を制御する手段)によって、搬送されてきた粉粒体が貯蔵空間の何れか一又は二以上に向かうように、粉粒体を方向付ける(整流する)ようになっている。したがって、容器内に設けた複数の貯蔵空間(仕切られた別々の貯蔵空間)に対して粉粒体を送り込むことが可能になる。また、このような制御手段を設けることで、容器内に設けた複数の貯蔵空間に、スムーズに粉粒体が導かれるようになる。
【0023】
また、本発明に係る貯蔵槽では、貯蔵空間に一時的に貯蔵されている粉粒体を、排出口の方へガイドするための排出ガイド手段が設けられている。これにより、粉粒体がいずれの貯蔵空間に収容されたとしても、当該粉粒体を滞りなく排出することが可能になる。つまり、均一性が保たれた粉粒体を確実に排出することができる。
【0024】
また、本発明に係る貯蔵槽において、仕切り手段は、内側に貯蔵空間を有する筒状体を含んで構成されており、この筒状体は容器の内側空間に設けられている。このように、仕切り手段の全部または一部の構成要素として筒状体を採用することで、容器内に簡単に複数の貯蔵空間(部屋)を形成することができる。また、筒状体は形態が比較的安定しているため、仕切り手段に強度を付与することができる。
【0025】
また、本発明に係る貯蔵槽は、容器内で筒状体を支えるための支持部材を具備している。容器内で支持部材によって筒状体を支えることで、該筒状体が設計位置に確実に保持され、また、筒状体周囲の貯蔵空間を設計サイズに保つことができ、さらに、筒状体の倒壊が防止されて立設状態が確実に維持される。
【0026】
また、本発明に係る貯蔵槽において、仕切り手段は、筒状体のほか、該筒状体と容器との間の空間を、少なくとも二以上の貯蔵空間に仕切る仕切り部材を含んで構成されている。これにより、容器内側空間を三以上の貯蔵空間に仕切ることが可能になり、その結果、個々の貯蔵空間の横方向の寸法(横断方向の断面サイズ)が小さくなって、貯蔵槽内での粉粒体の偏りをより一層低減することができる。また、容器の有効容積をより一層増やすことができる。
【0027】
また、本発明に係る貯蔵槽において、制御手段は、
・粉粒体が第1の貯蔵空間に向かうように、該粉粒体の流れを制御する第1の制御部と、
・粉粒体が第2の貯蔵空間に向かうように、該粉粒体の流れを制御する第2の制御部と、
を有している、
このような特徴の制御手段を設けることで、複数の貯蔵空間のそれぞれに、漏れなく粉粒体を行き渡らせることができる。つまり、容器の内側空間を、粉粒体の収容空間として無駄なく有効活用することができる。
【0028】
なお、第2の制御部は、第1の貯蔵空間が満たされた場合に(つまり一定の条件を満たした場合に)、粉粒体が第2の貯蔵空間に向かうように該粉粒体の流れを制御してもよい。すなわち、複数の貯蔵空間に対して、(同時ではなく)順次、粉粒体を振り分けるようにしてもよい。これにより、すべての貯蔵空間に対して同時に(同時並行的に)粉粒体を振り分ける場合と比較して、粉粒体の分離をより一層防止することができる。
【0029】
また、本発明に係る粉粒体貯蔵プラントは、上述した貯蔵槽と、当該貯蔵槽が具備する制御手段に向けて粉粒体を搬送する搬送手段を有している。これにより、貯蔵槽内に設けた貯蔵空間(部屋)に粉粒体を行き渡らせることができ、貯蔵槽の内側空間を無駄なく有効活用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、粉粒体を一時的に貯蔵し排出する粉粒体貯蔵槽(以下「貯蔵槽」と略称)に関するものであり、この貯蔵槽の具体例としてはサイロやホッパーなどが挙げられる。また、貯蔵槽に一時的に貯蔵する粉粒体の具体的態様には、粉体、粒体、フレーク状体などが含まれる。また、粉粒体の具体例としては、コンクリート用の粗骨材などが挙げられる。
【0032】
以下、
図1〜
図4に基づいて、本発明の具体的実施形態について説明する。
なお、添付図面では、貯蔵槽の具体例として、サイロからなる貯蔵槽を図示し、また、粉粒体の具体例として、粗骨材などからなる粒体を図示する。ただし、本発明の貯蔵槽をサイロに限定する趣旨ではなく、また、粉粒体を粗骨材に限定する趣旨ではない。
【0033】
(第1実施形態の貯蔵槽の構成)
図1〜
図3に示すように、粉粒体を一時的に貯蔵し排出する貯蔵槽1は、主として、
・粗骨材などの粉粒体を収容可能な容器3と、
・容器3の内側空間を二以上の貯蔵空間(部屋)に仕切る仕切り手段5と、
・仕切られた各貯蔵空間に粉粒体が向かうように粉粒体の流れを制御する制御部材7と、
・搬送されてきた粉粒体が容器3内(貯蔵槽1内)に入ることを可能にする供給口9と、
・貯蔵空間に貯蔵された粉粒体を排出して取り出すための排出口11と、
・排出口11を所定のタイミングで開閉する開閉部材13を
有している。
【0034】
容器3は、既存のサイロなどと同様に、筒状の本体部15と、該本体部の下端に設けられた逆円錐状(略すり鉢状)のホッパー部17を有している。上側に位置する「本体部15」と下側に位置する「ホッパー部17」の結合体である容器3は、その内側空間に粉粒体を収容可能であって、且つ、該粉粒体を排出可能に構成されている。
【0035】
ホッパー部17の内側のすり鉢状の傾斜面19は、前記貯蔵空間に一時的に貯蔵されている粉粒体を、排出口11の方へガイドする排出ガイド手段として機能する。このように、ホッパー部17の内周面をすり鉢状に形成することで、容器3内に粉粒体が残留することなく、良好に排出することができる。なお、本実施形態では、ホッパー部17を具備する容器3を一例として用いているが、このようなホッパー部17やすり鉢状の傾斜面19が無い容器を具備する貯蔵槽も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0036】
仕切り手段5は、容器3の内側空間を二以上の貯蔵空間(部屋)に仕切って、容器本体部15の内径Dに起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)などが生じないようにする役割を担っている。本実施形態では、仕切り手段5は、筒状体21(内側に空間を有する柱状体)と複数の仕切り板23(板状の仕切り部材)を含んで構成されている。仕切り手段5による分割によって生じた複数の貯蔵空間には、それぞれ、供給口9を介して投入される粉粒体が収容される。
【0037】
仕切り手段5の一部である筒状体21は、本実施形態では一例として、断面略六角形の筒状体で構成され、内側に貯蔵空間を有している。本実施形態において、筒状体21の内側の貯蔵空間を、「第1の貯蔵空間」と称する。
【0038】
この筒状体21は、
図1(b)に示すように、上開口部を供給口9の方に向け、且つ、下開口部を排出口11の方に向けた状態で、平面視で容器3の略中央に位置するように、容器3の内側空間に縦向きに据え付けられている。
【0039】
容器3内に縦向きに設置された筒状体21は、
図1(b)に示すように、容器3の本体部15及びホッパー部17の両方の内側空間に位置している。筒状体21の上開口部から入り込んだ粉粒体は、
図4に示すように、重力等の作用を受けて当該筒状体の内側空間を上から下に向かって流動し、下開口部から排出口11へ向けて排出される。つまり、筒状体21は、容器3内での粉粒体の流れを妨げない。
【0040】
仕切り手段5の一部である仕切り板23(板状の仕切り部材)は、筒状体21の外周面と容器3の内周面との間の空間を、少なくとも二以上の貯蔵空間に仕切る役割を担っている。本実施形態では、縦向きの仕切り板23を筒状体21の周囲に等間隔で6枚設けて、筒状体21の外周面と容器3の内周面との間の空間を、均等サイズになるように6つ貯蔵空間に仕切っている。以下、筒状体21の外側で仕切り板23によって仕切られた6つ貯蔵空間を、それぞれ、「第2の貯蔵空間」と称する。
【0041】
仕切り板23は、容器3内において縦向きに設置され、その下端は排出口11に方向に向いている。
図4に示すように、仕切り板23によって仕切られた第2の貯蔵空間32に入り込んだ粉粒体は、重力等の作用を受けて上から下に向かって流動し、隙間35を介して排出口11へ向かって流れる。つまり、仕切り板23は、容器3内での粉粒体の流れを妨げない。
【0042】
この仕切り板23は、筒状体21と容器3の内周面(又は容器内の下面)をつないで、該筒状体を容器内で支持する。具体的には、各仕切り板23の両側部の一方は、その全部または一部が容器3(本体部15)の内周面に当接し又は固定されており、また、両側部の他方は、その全部または一部が筒状体21の外周面に当接し又は固定されている。また、各仕切り板23の底部は、その全部または一部がホッパー部17の内周面に当接し又は固定されている。つまり本実施形態では、仕切り板23は、容器3内で筒状体21を支えるための支持部材としても機能する。
【0043】
また、本実施形態において、筒状体21は、
図1(b)に示すように、下方のホッパー部17との間に隙間35を空けた状態で、周囲の6枚の仕切り板によって支えられ保持されている。つまり、筒状体21の下端と、ホッパー部17の傾斜面19との間には、粉粒体が排出口11へ向かって流動可能な隙間が設けられていて、この状態(ホッパー部17の傾斜面19との間に隙間35を空けた状態)を維持するように周囲の仕切り板23によって支えられている。
【0044】
なお、
図2及び
図3に例示する実施形態では、はじめに容器3内に仕切り板23を据え付けて、次いで、筒状体21を容器3内に据え付けているが、組立順序はこれに限定されるものではなく、例えば、はじめに筒状体21を容器3内に据え付けて、次いで、容器3内に仕切り板23を設けてもよい。あるいは、予め筒状体21の外周に仕切り板23を取り付けておき、その状態で、筒状体21と仕切り板23の結合体を容器3内に据え付けてもよい。
【0045】
粉粒体制御部材7(制御手段)は、筒状体21の上部に据え付ける多角形又は円の錐台を基本とした形状の部材であり、第1の貯蔵空間31、第2の貯蔵空間32のそれぞれに粉粒体が向かうように、粉粒体の流れを制御する。つまり、粉粒体制御部材7(制御手段)は、供給口9を介して落下してくる粉粒体の流れを整える整流部材としても機能する。
【0046】
この粉粒体制御部材7は、
図2(c)及び
図3(c)に示すように、中央に設けられた開口部41と、該開口部の周囲から外側に張り出した複数の張出部43を有している。複数の張出部43は、開口部41の周囲を起点として放射方向(外側方向)に張り出しているとともに、粉粒体を送り出すシュートとして機能するように斜め下向きに張り出している。
【0047】
なお、
図1、
図2の斜視図では、粉粒体制御部材7の形状を簡略化して図示しているが、粉粒体制御部材7の具体的形状は、
図3(c)の平面図に示すとおりである。すなわち、各張出部43には、隣接する張出部と張出部との間に平面視矩形のスリット44が形成されるように、側部が部分的に切り欠いてある。スリット44を構成する各切欠き部の幅は、仕切板23の厚み分の寸法となっている。
【0048】
粉粒体制御部材7(制御手段)が具備する開口部41は、平面視で粉粒体制御部材7の略中央に位置している。
図4に示すように、この開口部41は、粉粒体が第1の貯蔵空間31に向かうように、該粉粒体の流れを制御する「第1の制御部」として機能する。別言すれば、粉粒体制御部材7の開口部41は、上から落下してきた粉粒体が第1の貯蔵空間41(筒状体21の内側)に向かうように、該粉粒体を導く「第1のガイド部」として機能する。
【0049】
また、粉粒体制御部材7(制御手段)が具備する複数の張出部43は、
図4に示すように、それぞれ、粉粒体が第2の貯蔵空間32に向かうように、該粉粒体の流れを制御する「第2の制御部」として機能する。別言すれば、各張出部43は、上から落下してきた粉粒体が第2の貯蔵空間32(筒状体21の外側であって容器3の内側)に向かうように、該粉粒体を導く「第2のガイド部」として機能する。
【0050】
なお本実施形態において、複数の張出部43(第2の制御部)は、第1の貯蔵空間31が満たされた場合に、粉粒体が第2の貯蔵空間32に向かうように、該粉粒体の流れを制御するように構成されている。
【0051】
上記構成の粉粒体制御部材7(制御手段)は、容器3内に設けられた筒状体21の上部に据え付けられている。具体的には、
図1(b)に示すように、粉粒体制御部材7の開口部41が、筒状体21の上開口部を臨むように(筒状体21の上開口部と上下方向で対向するように)、且つ、各張出部43が第2の貯蔵空間32に向かって張り出すように、筒状体21の上に粉粒体制御部材7が設けられている。
【0052】
また、粉粒体制御部材7を据え付ける際には、
図3(d)に示すように、隣接する張出部43の間のスリット44に仕切板23を差し込むとともに、その状態で、各張出部43を仕切り板23に対して溶接する。このようにスリット44に差し込んで溶接することで、粉粒体制御部材7の姿勢が安定するので、貯蔵槽の稼働中に粉粒体制御部材7がガタついたり傾くことがない。
【0053】
(第1実施形態の貯蔵槽の機能・作用)
次に、
図5A、
図5B、
図5Cに基づいて、上述した第1実施形態の貯蔵槽の機能・作用について説明する。
【0054】
図5Aに示すように、コンベア等の搬送手段2によって搬送されてきた粉粒体は、該搬送手段2から送り出されると、貯蔵槽1の供給口9に向かって自重によって落下する。なお、搬送手段2と貯蔵槽1は、該搬送手段から送り出された粉粒体が、粉粒体制御部材7の開口部41に向かって落下するように相対的に位置決めされている。
【0055】
供給口9を介して容器3内に落下してきた粉粒体は、
図5Aに示すように、はじめに粉粒体制御部材7の開口部41を通り抜け、筒状体21の内側空間(第1の貯蔵空間31)に収容される。このとき、貯蔵槽1の開閉部材13は閉じた状態にあるので、排出口11から粉粒体が排出されることはない。したがって、搬送手段2から落下してきた粉粒体は、
図5Aに示すように、はじめに筒状体21の内側空間(第1の貯蔵空間31)に収容され、当該第1の貯蔵空間内でその嵩を増してゆく。
【0056】
なお、
図5Aに示すように、従来のサイロやホッパーに比べ、粉粒体の山(
図5Aにおいて破線で示す)に沿って流れる距離が短いことから、筒状体の内側(第1の貯蔵空間31)に落下し収容された粉粒体は、「粗いもの」と「細かいもの」に分離されにくい。すなわち、筒状体21の内側(第1の貯蔵空間31)に落下した粉粒体は、従来のような「貯蔵槽の内径Dの影響」を受けないため、
図14に示すような「一つの大きな山」になることはなく、そのため「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が生じることがない。
【0057】
そして、筒状体21の内側(第1の貯蔵空間31)に、粉粒体が落下し続けると、やがて、当該第1の貯蔵空間が粉粒体で満たされるとともに、粉粒体制御部材7の開口部41が粉粒体でほぼ塞がれる。そのため、筒状体21の内側(第1の貯蔵空間31)が粉粒体で満たされると、以後は
図5Bに示すように、落下してくる粉粒体は、シュートの如く機能する粉粒体制御部材7の張出部43に沿って導かれ、筒状体21の外側(第2の貯蔵空間32)に送り出される。
【0058】
したがって本実施形態では、搬送手段2から送り出された粉粒体は、はじめに開口部41を介して第1の貯蔵空間31に収容され、該第1の貯蔵空間31が粉粒体でほぼ満たされると、それ以降に落下してくる粉粒体は、粉粒体制御部材7の張出部43のシュート機能によって外側へ導かれて、第2の貯蔵空間32に送り出される。本実施形態では、複数の第2の貯蔵空間32のそれぞれに向かって、粉粒体制御部材7の張出部43が個別に張り出しているので、複数の第2の貯蔵空間32のすべてに粉粒体が送り込まれる。
【0059】
なお、筒状体21と容器3の間(第2の貯蔵空間32)に落ちた粉粒体も、筒状体21の内側(第1の貯蔵空間31)に落下し収容された粉粒体と同様に、従来のサイロやホッパーに比べて粉粒体の山(
図5Bにおいて破線で示す)に沿って流れる距離が短いことから、「粗いもの」と「細かいもの」が分離されにくい。すなわち、筒状体21の外側(第2の貯蔵空間32)に落下した粉粒体は、従来のような「貯蔵槽の内径Dの影響」を受けないため、
図14に示すような「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が生じることがない。
【0060】
そして、貯蔵空間31,32が粉粒体で満たされた状態から開閉部材13を開くと、毎回ほぼ「粗いもの」「細かいもの」が均一に払い出される。具体的には、
図5Cに示す二点鎖線毎に粉粒体が排出口11を介して払い出される。
【0061】
(第1実施形態の貯蔵槽の変形例)
上述した第1実施形態に係る貯蔵槽は、本発明の一例であって、特許請求の範囲に記載の貯蔵槽をこれに限定する趣旨ではない。例えば、第1実施形態に係る貯蔵槽の変形例として、
図6に示すような変形例を採用することも可能である。
【0062】
すなわち、上述した第1実施形態では、貯蔵槽が具備する筒状体21として、
図6(a)に示すような断面略六角形の筒状体21を採用しているが、
図6(b)に示すような断面略8角形の筒状体21cを採用してもよく、あるいは、他の形状の断面多角形の筒状体を採用することも可能である。
【0063】
また、本発明で採用可能な筒状体の断面形状は、必ずしも断面多角形に限定されるものではなく、
図6(c)に示すような断面円形の筒状体21cを採用することも可能である。
【0064】
また、この出願において筒状体とは、必ずしもパイプ状の単管のみを意味するものではなく、
図6(d)に示すように二重化した筒状体21dであってもよく、あるいは、三重以上に多重化した筒状体を採用することも可能である。また、本発明で採用可能な筒状体には、多重化したものだけでなく、断面ハニカム状の筒状体のほか、内部が隔壁等で複数の部屋に仕切られたその他の筒状体も含まれる。
【0065】
なお、
図6(d)に示すように二重化した筒状体を用いる場合には、前述した粉粒体制御部材7が具備する傾斜した張出部43の途中に穴を開け、当該穴を介して、内側の筒状体と外側の本体部との間のスペース(貯蔵空間/部屋)に粉粒体を落下させることも可能である。
【0066】
また、筒状体として、断面略8角形、断面略円形、その他の形状の筒状体を採用した場合には、その形状に合わせて仕切り板の枚数を変更することも可能である。すなわち、筒状体の周囲に設ける仕切り板の枚数は特に限定されるものではなく、筒状体の形状、重量、サイズなどに応じて、適宜変更することが可能である。
【0067】
(第2実施形態の貯蔵槽の構成)
次に、
図7及び
図8に基づいて、本発明に係る貯蔵槽の第2実施形態について説明する。
【0068】
第2実施形態に係る貯蔵槽は、粉粒体制御部材の点で前述した第1実施形態と相違し、他の点は第1実施形態と共通している。
前述した第1実施形態と共通する構成については、添付図面において同じ符号を記載し、説明を簡略化又は省略する。
【0069】
図7(a)に示すように、第2実施形態に係る貯蔵槽が具備する粉粒体制御部材7bは、平面視で開口部41が中央に位置し、その周囲を取り囲むように、6枚の張出部43a、43b、43c、43d、43e、43fが設けられている。各張出部は、前述した第1実施形態と同様に、粉粒体を送り出すシュートとして機能するように斜め下向きに張り出している。
【0070】
第2実施形態の粉粒体制御部材7bは、平面視では
図3(c)に示す第1実施形態と同様に見えるが、6枚の張出部43a〜43fには高低差(段差)が付けられている。
図7(b)に示すように本実施形態では、張出部43aが最も低いところに位置し、張出部43b、43c、43d、43eの順に高くなり、張出部43fが最も高いところに位置する。つまり、各張出部は、隣接する張出部との間に高低差(段差)を付けた状態で溶接されており、設置高さがそれぞれ異なっている。
【0071】
本実施形態の場合では、最も高いところにある張出部43fを基準として、
・高低差H5の位置に張出部43aが設置され、
・高低差H4の位置に張出部43bが設置され、
・高低差H3の位置に張出部43cが設置され、
・高低差H2の位置に張出部43dが設置され、
・高低差H1の位置に張出部43eが設置されている。
高低差H1〜H5の関係は、H5>H4>H3>H2>H1、となっている。
【0072】
なお、上述した高低差は一例であり、設計に応じて高低の順序や段差の程度を自由に変更することができる。
【0073】
また、粉粒体制御部材7bを真上から見ると、隣接する張出部と張出部の間には、第1実施形態と同様に、平面視矩形のスリット45が形成されているように見える。スリット45を構成する切欠き部の幅は、仕切板23の厚み分の寸法となっている。
【0074】
上記構成の粉粒体制御部材7b(制御手段)は、第1実施形態と同様、
図8に示すように、容器3内に設けられた筒状体21の上部に据え付けられている。また、粉粒体制御部材7bを据え付ける際には、隣接する張出部と張出部の間のスリット45(切欠き部)に仕切板23を差し込むとともに、その状態で、張出部43a〜43fを仕切り板23に対して溶接する。
【0075】
容器3に設けられた筒状体21の内側空間は、第1実施形態と同様に、第1の貯蔵空間31として機能する。筒状体21の外側は、第1実施形態と同様に、6枚の仕切り板23によって6つの部屋に仕切られており、当該6つの部屋に向かって6枚の張出部43a〜43が個別に張り出して入り込んでいる。
【0076】
図8に示すように、
張出部43aが斜め下向きに張り出した部屋は、第2の貯蔵空間82として機能する。つまり、張出部43aは、第2の貯蔵空間82に対して粉粒体を送り出すシュートとして機能する。
張出部43bが斜め下向きに張り出した部屋は、第3の貯蔵空間83として機能する。つまり、張出部43bは、第3の貯蔵空間83に対して粉粒体を送り出すシュートとして機能する。
張出部43cが斜め下向きに張り出した部屋は、第4の貯蔵空間84として機能する。つまり、張出部43cは、第4の貯蔵空間84に対して粉粒体を送り出すシュートとして機能する。
張出部43dが斜め下向きに張り出した部屋は、第5の貯蔵空間85として機能する。つまり、張出部43dは、第5の貯蔵空間85に対して粉粒体を送り出すシュートとして機能する。
張出部43eが斜め下向きに張り出した部屋は、第6の貯蔵空間86として機能する。つまり、張出部43eは、第6の貯蔵空間86に対して粉粒体を送り出すシュートとして機能する。
張出部43fが斜め下向きに張り出した部屋は、第7の貯蔵空間87として機能する。つまり、張出部43fは、第7の貯蔵空間87に対して粉粒体を送り出すシュートとして機能する。
【0077】
(第2実施形態の貯蔵槽の機能・作用)
次に、
図9A〜
図9Eに基づいて、上述した第2実施形態の貯蔵槽の機能・作用について説明する。
【0078】
図9Aに示すように、コンベア等の搬送手段2によって搬送されてきた粉粒体は、該搬送手段2から送り出されると、貯蔵槽1bの供給口9に向かって自重によって落下する。なお、搬送手段2と貯蔵槽1bは、該搬送手段から送り出された粉粒体が、粉粒体制御部材7bの開口部41に向かって落下するように相対的に位置決めされている。
【0079】
供給口9を介して容器3内に落下してきた粉粒体は、
図9Aに示すように、はじめに粉粒体制御部材7bの開口部41を通り抜け、筒状体21の内側空間(第1の貯蔵空間31)に収容される。このとき、貯蔵槽1bの開閉部材13は閉じた状態にあるので、排出口11から粉粒体が排出されることはない。したがって、搬送手段2から落下してきた粉粒体は、
図9Aに示すように、はじめに筒状体21の内側空間(第1の貯蔵空間31)に収容され、当該第1の貯蔵空間内でその嵩を増してゆく。
【0080】
なお、
図9Aに示すように、従来のサイロやホッパーに比べ、粉粒体の山(
図9Aにおいて破線で示す)に沿って流れる距離が短いことから、筒状体の内側(第1の貯蔵空間31)に落下し収容された粉粒体は、「粗いもの」と「細かいもの」に分離されにくい。すなわち、筒状体21の内側(第1の貯蔵空間31)に落下した粉粒体は、従来のような「貯蔵槽の内径Dの影響」を受けないため、
図14に示すような「一つの大きな山」になることはなく、そのため「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が生じることがない。
【0081】
そして、筒状体21の内側(第1の貯蔵空間31)に、粉粒体が落下し続けると、やがて、粉粒体の天端が、一段目の張出部43aに到達する。そして、引き続き落下してくる粉粒体は、
図9Bに示すように、一段目の張出部43aに沿って導かれ、第2の貯蔵空間82に送り出される。
【0082】
なお、前述したとおり、張出部43a〜43fには高低差(段差)があるため、一段目の張出部43aが実質的にシュートとして機能しているときは、他の張出部に粉粒体が及ぶことがない。したがって、張出部43aによって粉粒体が第2の貯蔵空間82に送り出されるときに、他の張出部から粉粒体が送り出されることはない。
【0083】
そして、第2の貯蔵空間82に粉粒体が落下し続けると、貯蔵空間31,82における粉粒体の天端が張出部43bの高さに近づいてゆく。そして、貯蔵空間31,82における粉粒体の天端が張出部43bの高さに到達すると、次に
図9cに示すように、落下してくる粉粒体は、二段目の張出部43bに沿って導かれ、第3の貯蔵空間83に送り出される。
【0084】
なお、二段目の張出部43bが実質的にシュートとして機能しているときは、一段目の張出部43aのシュートとしての機能は既に停止しており、また、他の張出部に粉粒体が及ぶことがない。したがって、張出部43bによって粉粒体が第3の貯蔵空間83に送り出されるときに、他の張出部から粉粒体が送り出されることはない。
【0085】
以後は、高さの違う複数段の張出部43c、43d、43eによって、順次、対応する貯蔵空間に粉粒体が送り出され、最終的に
図9Dに示すように、落下してくる粉粒体は、最も高いところにある6段目の張出部43fに沿って導かれ、第7の貯蔵空間87に送り出される。
【0086】
したがって本実施形態では、搬送手段2から送り出された粉粒体は、はじめに開口部41を介して第1の貯蔵空間31に収容され、該第1の貯蔵空間31が粉粒体でほぼ満たされると、それ以降に落下してくる粉粒体は、高低差のある複数段の張出部43a〜43fによって、順番に(低位置にある張出部から順番に)、貯蔵空間82〜87に個別に送り出される。したがって本実施形態では、搬送手段2から送り出される粉粒体は、貯蔵空間31,82〜87に対して、(同時ではなく)順番に振り分けられる。
【0087】
なお、筒状体21と容器3の間(貯蔵空間82〜87)に落ちた粉粒体も、筒状体21の内側(第1の貯蔵空間31)に落下し収容された粉粒体と同様に、従来のサイロやホッパーに比べて粉粒体の山(
図9において破線で示す)に沿って流れる距離が短いことから、「粗いもの」と「細かいもの」が分離されにくい。すなわち、筒状体21の外側(第2の貯蔵空間32)に落下した粉粒体は、従来のような「貯蔵槽の内径Dの影響」を受けないため、
図14に示すような「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が生じることがない。
【0088】
そして、貯蔵空間31,82〜87が粉粒体で満たされた状態から開閉部材13を開くと、毎回ほぼ「粗いもの」「細かいもの」が均一に払い出される。具体的には、
図9Eに示す二点鎖線毎に粉粒体が排出口11を介して払い出される。
【0089】
上述した第2実施形態の貯蔵槽によれば、複数の貯蔵空間に対して時間差をつけて個別に(順番に)粉粒体を送り込むようになっているので、粉粒体の分離をより一層防止することができる。
すなわち、第1実施形態の場合では、第1の貯蔵空間31が満たされた後、6方向に同時に粉粒体が振りまかれることになる。
ところが、図示するようなベルトコンベアなどの搬送手段2においては、落下する骨材等の粉粒体が、図面左側で細かく、図面右側で粗くなる傾向があると考えられる。(ベルトコンベアの上では、細かいものは粗い粉粒体の間をすり抜けて下側に集まりやすい。ベルトコンベアの最後のローラの遠心力により粗いものが図面右側寄りに飛ばされる。)したがって、粉粒体が6方向に均等に振りまかれるとは限らない。
これに対し第2実施形態では、任意の方向に粉粒体が順次送り出されるように、複数の張出部に高低差(段差)を付けているので、第1実施形態の場合のように6方向に同時に粉粒体が振りまかれることがなく、粉粒体が分離しにくい、といった効果が達成される。
【0090】
(第3実施形態の貯蔵槽の構成)
次に、
図10に基づいて、本発明に係る貯蔵槽の第3実施形態について説明する。
なお、前述した第1実施形態と同様の構成については、添付図面において同じ符号を記載し、説明を簡略化又は省略する。
【0091】
図10に示すように、粉粒体を一時的に貯蔵し排出する貯蔵槽1cは、主として、
・粗骨材などの粉粒体を収容可能な容器3と、
・容器の内側空間を二等分する隔壁51(仕切り手段)と、
・粉粒体を所定方向に導くように粉粒体の流れを制御する粉粒体制御部材53と、
・搬送されてきた粉粒体が容器3内(貯蔵槽内)に入ることを可能にする供給口9と、
・貯蔵空間に貯蔵された粉粒体を排出して取り出すための排出口11と、
・排出口11を所定のタイミングで開閉する開閉部材13を
有している。
【0092】
隔壁51(仕切り手段)は、容器3の内側空間を、均等サイズの二つの貯蔵空間に仕切って、容器本体部15の内径Dに起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)などが生じないようにする役割を担っている。本実施形態では、隔壁51は、一枚の板状の仕切り部材で構成されている。隔壁51による分割によって生じた2つの貯蔵空間61,62には、それぞれ、供給口9を介して投入される粉粒体が収容される。
【0093】
以下、隔壁51によって仕切られた一方の貯蔵空間を「第1の貯蔵空間」と称し、他方を「第2の貯蔵空間」と称する。
【0094】
板状の隔壁51は、容器3内において縦向きに設置され、その下端は排出口11の方向に向いている。また、隔壁51は、下方のホッパー部17との間に隙間55を空けた状態で、容器3の内周面に対して固定されている。
【0095】
隔壁51によって仕切られた貯蔵空間61,62に入り込んだ粉粒体は、重力等の作用を受けて上から下に向かって流動し、隙間55を介して排出口11へ向かって流れる。つまり、隔壁51は、容器3内での粉粒体の流れを妨げない。
【0096】
制御手段である粉粒体制御部材53は、半楕円形の板状部材(楕円形の一部を切り欠いた様な板状の部材)であり、貯蔵空間61,62のそれぞれに粉粒体が向かうように、粉粒体の流れを制御する。つまり、粉粒体制御部材53(制御手段)は、供給口9を介して落下してくる粉粒体の流れを整える整流部材としても機能する。
【0097】
この粉粒体制御部材53は、
図10に示すように、板状部材をくり貫いて形成された貫通孔71を有している。また、粉粒体制御部材53は、
図10に示すように第1の貯蔵空間61の上部を塞ぐように、傾斜した状態で設けられている。また、粉粒体制御部材53は、第2の貯蔵空間62に向かって下方に傾斜するように、且つ、第2の貯蔵空間62に張り出すように設けられている。
【0098】
粉粒体制御部材53(制御手段)が具備する貫通孔71は、第1の貯蔵空間61の上部に位置している。この貫通孔71は、粉粒体が第1の貯蔵空間61に向かうように、該粉粒体の流れを制御する「第1の制御部」として機能する。別言すれば、貫通孔71は、上から落下してきた粉粒体が第1の貯蔵空間61に向かうように、該粉粒体を導く「第1のガイド部」として機能する。
【0099】
また、粉粒体制御部材53の貫通孔71以外の部分(特に、貫通孔71から斜め下に張り出した張出部73)は、粉粒体が第2の貯蔵空間に向かうように、該粉粒体の流れを制御する「第2の制御部」として機能する。別言すれば、当該部分は、上から落下してきた粉粒体が第2の貯蔵空間62に向かうように、該粉粒体を導く「第2のガイド部」として機能する。
【0100】
なお本実施形態において、粉粒体制御部材53の貫通孔71以外の部分(特に、貫通孔から斜め下に張り出した張出部73)は、第1の貯蔵空間61が満たされた場合に、粉粒体が第2の貯蔵空間62に向かうように、該粉粒体の流れを制御するように構成されている。
【0101】
上記構成の粉粒体制御部材53(制御手段)は、容器3内に設けられた隔壁51の上部に据え付けられている。具体的には、
図10(c)に示すように、粉粒体制御部材53の貫通孔71が、第1の貯蔵空間61を臨むように(第1の貯蔵空間61と上下方向で対向するように)、且つ、斜め下向きの状態で第2の貯蔵空間62に張り出すように、隔壁51の上に粉粒体制御部材53が設けられている。
【0102】
(第3実施形態の貯蔵槽の機能・作用)
次に、
図11に基づいて、上述した第3実施形態の貯蔵槽の機能・作用について説明する。
【0103】
図11(a)に示すように、コンベア等の搬送手段2によって搬送されてきた粉粒体は、該搬送手段2から送り出されると、貯蔵槽1cの供給口9に向かって自重によって落下する。なお、搬送手段2と貯蔵槽1cは、該搬送手段2から送り出された粉粒体が、粉粒体制御部材53の貫通孔71に向かって落下するように相対的に位置決めされている。
【0104】
供給口9を介して容器3内に落下してきた粉粒体は、
図11(a)に示すように、はじめに粉粒体制御部材53の貫通孔71を通り抜け、第1の貯蔵空間61に収容される。このとき、貯蔵槽の開閉部材13は閉じた状態にあるので、排出口11から粉粒体が排出されることはない。したがって、搬送手段2から落下してきた粉粒体は、
図11(b)に示すように、はじめに第1の貯蔵空間61に収容され、当該第1の貯蔵空間内でその嵩を増してゆく。
【0105】
なお、
図11(a)に示すように、従来のサイロやホッパーに比べ、粉粒体の山(
図11(a)において破線で示す)に沿って流れる距離が短いことから、第1の貯蔵空間61に落下し収容された粉粒体は、「粗いもの」と「細かいもの」に分離されにくい。すなわち、第1の貯蔵空間61に落下した粉粒体は、従来のような「貯蔵槽の内径Dの影響」を受けないため、
図14に示すような「一つの大きな山」になることはなく、そのため「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が生じることがない。
【0106】
そして、第1の貯蔵空間61に粉粒体が落下し続けると、やがて、当該第1の貯蔵空間61が粉粒体で満たされるとともに、粉粒体制御部材53の貫通孔71が粉粒体でほぼ塞がれる。そのため、第1の貯蔵空間61が粉粒体で満たされると、以後は
図11(b)に示すように、落下してくる粉粒体は、シュートの如く機能する粉粒体制御部材53の張出部73に沿って導かれ、第2の貯蔵空間62に送り出される。
【0107】
したがって本実施形態では、搬送手段2から送り出された粉粒体は、はじめに貫通孔71を介して第1の貯蔵空間61に収容され、該第1の貯蔵空間61が粉粒体でほぼ満たされると、それ以降に落下してくる粉粒体は、粉粒体制御部材53の張出部73のシュート機能によって外側へ導かれて、第2の貯蔵空間62に送り出される。
【0108】
なお、第2の貯蔵空間62に落ちた粉粒体も、第1の貯蔵空間61に落下し収容された粉粒体と同様に、従来のサイロやホッパーに比べて粉粒体の山(
図11において破線で示す)に沿って流れる距離が短いことから、「粗いもの」と「細かいもの」が分離されにくい。すなわち、第2の貯蔵空間62に落下した粉粒体は、従来のような「貯蔵槽の内径Dの影響」を受けないため、
図14に示すような「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が生じることがない。
【0109】
そして、各貯蔵空間が粉粒体で満たされた状態から開閉部材を開くと、毎回ほぼ「粗いもの」「細かいもの」が均一に払い出される。
【0110】
(第3実施形態の貯蔵槽の変形例)
上述した第3実施形態に係る貯蔵槽は、本発明の一例であって、特許請求の範囲に記載の貯蔵槽をこれに限定する趣旨ではない。例えば、第3実施形態に係る貯蔵槽の変形例として、
図12や
図13に示す変形例を採用することも可能である。
【0111】
すなわち、上述した第3実施形態に係る貯蔵槽1cでは、粉粒体制御部材53として、半楕円形の板状部材を採用しているが、粉粒体制御部材の形状は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば
図12に示すように、貫通孔が形成された桶形部材からなる粉粒体制御部材53bで構成することも可能である。
【0112】
また、上述した第3実施形態に係る貯蔵槽1cでは、仕切り手段として一枚の隔壁51を採用しているが、隔壁の構成は図示するものに限定されず、例えば
図13(a)に示すように、容器3内を4等分する断面略十字状に組み合わせた隔壁51aで仕切り手段を構成してもよく、あるいは、
図13(b)に示すように容器3内を3等分する隔壁51cで仕切り手段を構成してもよい。なお、本発明において、隔壁(仕切り手段)は必ずしも容器内を等分する必要はなく、分割する貯蔵空間のサイズに差を設けることも可能である。
【0113】
(その他)
以上のとおり本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態・変形例は、本発明の例示であって、本発明の技術的範囲をこれらに限定する趣旨ではない。特に、本発明の貯蔵槽は、図示するようなサイロ型に限定されるものではなく、ホッパー型、タンク型(平底型)など、種々のタイプの貯蔵槽が本発明の技術的範囲に含まれる。
【0114】
また、上述した実施形態は、サイロやホッパーなどの貯蔵槽に関するものであったが、当該貯蔵槽を具備する粉粒体貯蔵プラントとして本発明を実施することも可能である。
【0115】
粉粒体貯蔵プラントに関する本発明は、例えば
図5に示すように、上述した貯蔵槽と、この貯蔵槽が具備する粉粒体制御部材(制御手段)に向けて粉粒体を搬送する搬送手段などによって構成される。
【解決手段】本発明に係る貯蔵槽(サイロ・ホッパー)は、容器内側空間を複数の貯蔵空間(部屋)に仕切る筒状体などの仕切り手段を具備している。仕切られた複数の部屋には、それぞれ粉粒体が送り込まれて部屋毎に一時的に貯蔵される。このように、容器の内側空間を複数の部屋に仕切って分割することで、「貯蔵槽の内径Dに起因する偏析」が無くなって、容器内での粉粒体の偏析(粗いもの、細かいものの分離)が大幅に低減されるので、容器内での粉粒体の均一性を維持できる。そして、貯蔵槽内での粉粒体の偏りが少なくなって、粉粒体が(粗いもの、細かいものに殆ど分離されることなく)均一性を保って排出される結果、該粉粒体を用いた製品の品質(性能や効能など)を安定化させることができる。