(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120385
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】歯茎マッサージ具
(51)【国際特許分類】
A61H 13/00 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
A61H13/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-209887(P2015-209887)
(22)【出願日】2015年10月26日
(62)【分割の表示】特願2013-254291(P2013-254291)の分割
【原出願日】2011年11月8日
(65)【公開番号】特開2016-13483(P2016-13483A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-250239(P2010-250239)
(32)【優先日】2010年11月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】397029873
【氏名又は名称】株式会社大木工藝
(73)【特許権者】
【識別番号】509349141
【氏名又は名称】京都府公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】大木 武彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 達彦
(72)【発明者】
【氏名】金村 成智
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】本城 賢一
【審査官】
久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−011176(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/068215(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3147663(JP,U)
【文献】
特開2010−030899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械部材を収容するとともに、選択スイッチが露設された把持部と、
前記選択スイッチの操作による通電により熱を発生する発熱体と、
焼成により高密度で整った炭素の結晶構造が形成されており全体が一体的に形成された1個のみの炭素成形体を有するものであって、該炭素成形体が、前記発熱体からの熱を熱伝導により直に歯茎に伝えるとともに、温度が高くなるに従って量が多くなった遠赤外線を放射し、前記歯茎の温度を伝導熱と遠赤外線の輻射熱により高める歯茎接触部と、
前記発熱体を制御するよう温度を検出する温度検出部と、
前記歯茎接触部を支持し、かつ、前記把持部に着脱自在に取り付けられるか又は一体的に形成される長尺の支持部と、を備えてなることを特徴とする歯茎マッサージ具。
【請求項2】
請求項1に記載の歯茎マッサージ具において、
前記電気機械部材は、モータを含んでおり、
前記歯茎接触部は、前記選択スイッチの前記操作による通電による該モータの回転運動により振動することを特徴とする歯茎マッサージ具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の歯茎マッサージ具において、
前記歯茎接触部は、前記炭素成形体の表面に、ダイヤモンドライクカーボンの被膜が設けられていることを特徴とする歯茎マッサージ具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯茎マッサージ具において、
前記炭素成形体の温度は37℃になるように制御されることを特徴とする歯茎マッサージ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯茎マッサージのための歯茎マッサージ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、口腔内の健康を維持するために、歯ブラシによる歯磨きに加えて、歯槽膿漏や歯肉炎の防止などを目的に、歯茎をマッサージし血行を良くする歯茎マッサージが行われることも少なくない。
【0003】
歯茎マッサージは、硬めの毛先の歯ブラシを用いて簡便に行うことも可能であるが、力の入れ過ぎなどによって歯茎の表面を傷めることが起こり得るので、それが起こり難い専用の歯茎マッサージ具が提案されている。例えば、特許文献1に記載の歯茎マッサージ具は、ローラーを歯茎に押し当てて適当な力で往復させることによってマッサージするものであり、ローラーによる圧力だけが歯茎に働くようにしている。また、特許文献2に記載の歯茎マッサージ具は、振動する軸の先端部に、半球状の突起を複数個形成した柔らかい歯茎接触部と磁石とを備えたものであり、振動や磁力だけが歯茎に働くようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−95527号公報
【特許文献2】特開2009−189431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2を含めた従来の歯茎マッサージ具は、そのマッサージ効果の面で、具体的には歯茎の血行をより促進するという面で、改善の余地があると考えられる。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、歯茎の血行をより促進することができ、しかも、歯茎の表面を傷め難くい歯茎マッサージ具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の好ましい実施形態に係る歯茎マッサージ具は、電気機械部材を収容するとともに、選択スイッチが露設された把持部と、前記選択スイッチの操作による通電により熱を発生する発熱体と、焼成により高密度で整った炭素の結晶構造が形成されており全体が一体的に形成された
1個のみの炭素成形体を有するものであって、該炭素成形体が、前記発熱体からの熱を熱伝導により直に歯茎に伝えるとともに、温度が高くなるに従って量が多くなった遠赤外線を放射し、前記歯茎の温度を伝導熱と遠赤外線の輻射熱により高める歯茎接触部と、前記発熱体を制御するよう温度を検出する温度検出部と、前記歯茎接触部を支持し、かつ、前記把持部に着脱自在に取り付けられるか又は一体的に形成される長尺の支持部と、を備えてなる。
【0008】
好ましくは、前記電気機械部材は、モータを含んでおり、前記歯茎接触部は、
前記選択スイッチの前記操作による通電による該モータの回転運動により振動する。
【0009】
好ましくは、
前記歯茎接触部は、前記炭素成形体の表面に、ダイヤモンドライクカーボンの被膜が設けられている。
【0010】
好ましくは、前記
炭素成形体の温度は37℃になるように制御される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の歯茎マッサージ具によれば、歯茎接触部の温度を高めて歯茎に押し当て、炭素成形体からの熱伝導と遠赤外線放射により、歯茎の温度を効率的に高めながらマッサージすることができ、その結果、歯茎の血行をより促進することができ、しかも
、歯茎の表面を傷め難いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る歯茎マッサージ具1の断面を示すものであって、(a)が模式的断面図、(b)が固定軸部3の近傍の拡大断面図である。
【
図2】同上の歯茎マッサージ具1の外観を縮小して示すものであって、(a)が斜視図、(b)が底面側から観察した斜視図である。
【
図4】同上の歯茎マッサージ具1の炭素成形体41の変形例を示す拡大断面図である。
【
図5】同上の歯茎マッサージ具1の歯茎接触部4の変形例を拡大して示すものであって、(a)が正面図、(b)が断面図である。
【
図6】同上の歯茎マッサージ具1の歯茎接触部4の別の変形例を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を説明する。本発明の実施形態に係る歯茎マッサージ具1は、
図1(a)及び(b)、
図2(a)及び(b)に示すように、長尺の把持部2と、把持部2に固定され、その一端から延出する固定軸部3と、固定軸部3の先端部の周りに回動可能状態で配置される歯茎接触部4と、歯茎接触部4に回動自在に係合してそれを支持し、かつ、把持部2に着脱自在に取り付けられる支持部5と、を備えている。
図1(a)においては、把持部2の内部の構成について、電気機械部材とその電気配線(破線部分)を模式的に示している。
【0014】
把持部2は、長尺、すなわち略長筒状の箱体であり、底部に外部からの操作が可能なように選択スイッチ21を露設し(露出させて設け)ている。また、把持部2は、内部に、電気機械部材である電池22、22’、サーモスタット23、モータ24などを収容している。電池22、22’は、選択スイッチ21の操作により、固定軸部3を熱するために後述の発熱体32に通電してそれを発熱させたり、固定軸部3を振動させるためにモータ24に通電して回転運動をさせたりする。モータ24の回転運動は振動を生じさせ、その振動は振動伝達手段24Aを介して固定軸部3に伝達される。
【0015】
図1(a)に示すこの実施形態は、選択スイッチ21によりオンとオフの2個の状態を選択できるものとし、オンの状態で固定軸部3を熱し、かつ、振動させるようにしたものである。より詳細には、電池22の正極とサーモスタット23の一端子の間、サーモスタット23の他端子と発熱体32の一端子の間、発熱体32の他端子と電池22’の負極の間、にそれぞれ電気配線が設けられ、また、電池22の正極とモータ24の一端子の間、モータ24の他端子と電池22’の負極の間、にそれぞれ電気配線が設けられ、電池22’の正極と選択スイッチ21の一端子の間、選択スイッチ21の他端子と電池22の負極の間、にそれぞれ電気配線が設けられている。オフ状態(図において選択スイッチ21が右にスライドした状態)にあると、2個の電池22、22’間は電気的に接続されず、オン状態(図において選択スイッチ21が左にスライドした状態)では、2個の電池22、22’間が電気的に接続され、発熱体32とモータ24はともに通電状態となり、固定軸部3は熱せられ、かつ、振動する。
【0016】
選択スイッチ21や電気機械部材、及びその電気配線は、仕様に合わせて、適宜変更することが可能である。例えば、選択スイッチ21を2個設け、それぞれのオンの状態で固定軸部3を熱したり、それと独立に振動させたりすることも可能である。また、電池22、22’の部分は、1個又は3個以上の一次電池や充電池に変更することが可能であり、また、装着状態で充電可能なようにすることも可能である。
【0017】
サーモスタット23は、歯茎接触部4の表面、すなわち歯茎に接触する部分が適温(例えば、最高温度40〜45℃程度)になるように制御するためのものであり、温度検出部分が後述の固定軸本体31に接触して配設されている。サーモスタット23は温度検出部分が検出する温度に従って、発熱体32の通電を制御する。
【0018】
固定軸部3は、熱伝導性が高い有底筒状の固定軸本体31(例えば、アルミニウム製やステンレス鋼製など)とその内部に通電により熱を発生する発熱体32を有している。発熱体32は、例えば、絶縁体で被覆したニクロム線を固定軸本体31の基端近傍から先端近傍まで往復させて配設したものを用いることができる。固定軸本体31は、発熱体32によって熱せられ、熱を歯茎接触部4に伝えるとともに、前述のサーモスタット23により温度が検出される。
【0019】
歯茎接触部4は、使用者が歯茎マッサージ具1を歯茎に押し当てて往復運動をさせると、それに追従して回動するものである。歯茎接触部4は、主要部材として、固定軸部3の熱を受けて歯茎に接触させる表面まで伝達する炭素成形体41を有しており、付属部材として支持部5に連結するための連結部材44を有している。
【0020】
この炭素成形体41は、焼成により高密度で整った炭素の結晶構造が形成されており、全体が一体的に形成されるものである。結晶構造は、全体的に方向が偏らずにほぼ等方になるようにすることができる。炭素成形体41は、以下のようにして製造することができる。すなわち、黒鉛、又は炭化物(竹炭など)の炭素粉にバインダを5重量%程度加えて固め、水圧などで等方に加圧して所定の塊(例えば方形もの)に成形する。そして、酸素が欠乏した状態で加熱し、2500〜3500℃程度で長時間かけて焼成する。この状態で、原料の炭素粉同士は結合し炭素が結晶化(黒鉛化、定形炭素化)する。なお、バインダは昇温途中の1000〜1200℃程度で揮発させる。その後、加熱を止め、温度を下げ、所望の形状に加工する。このようにして出来あがった炭素成形体41は、バインダが揮発しているので、ほぼ100%(99%以上)が炭素材となっている。また、かさ密度(かさ比重)は、1.77Mg/m
3以上である。
【0021】
炭素成形体41は、全体が結晶構造により結合しているために、物理的強度が高く、また熱伝導率も高い(100〜140W/(m・K)程度)。また、放射する遠赤外線の量が多く(
図3参照)、温度が高いほど多い。なお、
図3は、炭素成形体41の製造方法と同様にして製造した25×25×2(mm)の炭素成形体の遠赤外線放射特性である。実線が炭素成形体、破線が黒体の放射輝度である。分析装置は日本電子製フーリエ変換赤外分光光度計JIR−5500型/赤外放射ユニットIR―IRR200を用い、測定温度は50℃とした。
【0022】
炭素成形体41は、
図1(b)に示すように、略円柱状であって、歯茎に接触する大径の本体部分41aと、小径の取付部分41bと、が軸方向に一体に形成されており、固定軸部3が挿入される挿入孔41cがそれらの中心軸の位置に形成されている。
【0023】
本体部分41aは、例えば、外径が8〜10mm程度、軸方向の長さが15〜25mm程度とし、挿入孔41cの内径を3mm程度とすることができる。また、本体部分41aは、歯茎への接触が容易となるように種々の形状を採用することが可能である。例えば、
図1(b)に示すものは、先端部41aaが丸まった略半球状としているものであるが、
図4に示すように、外側面部41abの両端にR部分が小さい角部41ac、41ac’を形成することも可能である。
【0024】
取付部分41bは、後述の連結部材44が嵌着するように、外周面に環状の溝部41baが形成されている。
【0025】
挿入孔41cの内径は、固定軸部3の外径よりも若干大きくして(例えば、0.1mm程度)、固定軸部3から炭素成形体41への熱伝導を極力妨げず、その一方、歯茎接触部4が回動するときに固定軸部3が炭素成形体41にできるだけ接触しないようにして、できるだけ回動を妨げないようにする。また、挿入孔41cは本体部分41aの先端部41aaまでは貫通していないことが好ましい。そうすると、先端部41aaから異物が挿入孔41cに侵入することがないからであり、また、先端部41aaをマッサージのために有効に使用できるからである。
【0026】
歯茎接触部4の炭素成形体41は、その表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)の被膜42(例えば、厚みが2〜4μm程度)が設けられている。このダイヤモンドライクカーボンの被膜42は、プラズマCVDやPVDなどにより、気相成長させて結晶構造の炭素が形成されるものであり、炭素成形体41との密着性が良く、しかも、硬質である。また、殺菌性を得るために、ダイヤモンドライクカーボンの気相成長時にフッ素及び/又は銀を混合することも可能である。
【0027】
また、歯茎接触部4は、
図5に示すように、炭素成形体41(本体部分41a)の周面に柔らかい略半球状の弾性突起43を複数個設けてもよい。この弾性突起43は、炭素成形体41の表面よりも若干(例えば、0.2〜0.4mm程度)突出している。こうすると、歯茎接触部4が歯茎に急激に当接したときの衝撃を和らげることができる。弾性突起43は、人体関係に広く用いられているシリコーンゴムを材料とすることができる。弾性突起43は、外れ難くするために、炭素成形体41に断面略台形状の穴を形成しておいて、それを液状の材料(シリコーンゴム)で満たし、材料の表面を略半球状にして硬化させることによって形成するのが好ましい。
【0028】
連結部材44は、炭素成形体41と支持部5を連結する略短筒状のものである。連結部材44は、炭素成形体41の取付部分41bが一端から、支持部5が他端からが挿入されるように開口した中空部44aを有し、中空部44aの内側面には取付部分41bの溝部41baに嵌着する環状の第1突出部44bが形成されている。また、中空部44aの内側面には更に、環状の第2突出部44cが形成されている。
【0029】
支持部5は、長尺のものであり、中心軸に沿って固定軸部3が挿入される貫通孔が設けられている。支持部5は、一端の端部には環状の溝部5aが形成されており、歯茎接触部4の連結部材44が回動自在に係合(すなわち、回動可能状態で離れないように連結)する。支持部5は、また、把持部2に対して着脱自在に取り付け可能にする着脱機構5bを他端に有する。
【0030】
このように、歯茎マッサージ具1は、歯茎接触部4が支持部5に回動自在となるように係合して支持されており、かつ、歯茎接触部4と支持部5の中心軸に沿ってそれらに固定軸部3が挿入された状態にある。固定軸部3は把持部2に固定されており、支持部5は、使用状態では、把持部2に固定されている。このような構成にすることで、歯茎接触部4の外径を、歯茎接触部4が歯茎の奥部にまで届くように十分に小さくすることができる。また、
図6に示すように、歯茎接触部4にベアリング45を設け、ベアリング45の内径を炭素成形体41の挿入孔41cの内径よりも小さくして、挿入孔41cの内側面と固定軸部3の間の隙間を確保し易くすることも可能である。
図6に示すものは、歯茎接触部4の連結部材44の中空部44aにベアリング45を設けたものである。なお、ベアリング45の構造は既知のベアリングと同様であるので説明は省略する。
【0031】
この歯茎マッサージ具1の使用方法は以下のとおりである。すなわち、使用者は、把持部2を手で持って選択スイッチ21を操作し、固定軸部3を熱しかつ振動させ、歯茎接触部4を口腔内に入れ、歯茎に押し当てて適当な力で往復運動をさせることによって歯茎をマッサージする。
【0032】
この往復運動に追従して、歯茎接触部4は回動する。すなわち、歯茎に対して摺動(すり動き)はほとんどせず、歯茎に働くのは歯茎接触部4の回動の圧力であるので、歯茎の表面を傷めることが起こり難い。また、歯茎接触部4は、炭素成形体41の物理的強度が高く被膜42が硬質であるので、摩耗や破損が起こり難い。また、炭素成形体41や被膜42は、人体を形成する有機物の構成物質と同じであるため、歯茎に接触したときそれに馴染むものであり、人体への安全性が高い。それらは、金属やプラスチックでないので、金属アレルギーや化学物質アレルギーが生じないのは勿論である。
【0033】
選択スイッチ21の操作により固定軸部3が熱せられると、固定軸部3の熱は歯茎接触部4の炭素成形体41に伝導し、その温度は高くなる。炭素成形体41は、歯茎に、熱伝導により直に熱を伝えるとともに、温度が高くなるに従って量が多くなった遠赤外線を放射する。この遠赤外線は、歯茎の深部を加温する。これら伝導熱と遠赤外線の輻射熱により歯茎の温度は効率的に高められるので、歯茎接触部4による圧力との相乗効果により、歯茎の血行をより促進することができるのである。
【0034】
また、炭素成形体41は、熱伝導率が高いので、固定軸部3が挿入される挿入孔41cから表面までの温度の降下が少ない。そのため、発熱体32の温度を余り高くせずに済むとともに、固定軸本体31に接触しているサーモスタット23による温度制御の精度も良くなる。
【0035】
また、選択スイッチ21の操作により固定軸部3が振動すると、振動は歯茎接触部4を介して歯茎に伝えられる。この振動によって、歯茎の血行を更に促進することができる。
【0036】
なお、歯茎マッサージ具1を用いて歯肉線維芽細胞を加温(37℃及び42℃)する実験及び歯肉線維芽細胞に振動を与える実験を行ったところFGF−2(線維芽細胞増殖因子)が2.5倍〜3.5倍程度に、NGF(神経成長因子)が1.2倍〜1.3倍程度に増加する結果が得られた。FGF−2、NGFは、それぞれ線維芽細胞増殖作用、細胞修復促進作用を有するものである。
【0037】
以上、本発明の実施形態に係る歯茎マッサージ具1について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、歯茎マッサージ具1に発熱の機能を設けないことも場合によっては可能である。この場合、炭素成形体41は、外部から熱を与えられた後、歯茎に押し当てられればよい。また、歯茎マッサージ具1に振動の機能を設けないことも場合によっては可能である。この場合、上記のモータ24などは不要になる。
【0038】
また、歯茎接触部4の連結部材44を支持部5と一体的に形成し、連結部材44の第1突出部44bが炭素成形体41の溝部41baに回動自在に係合することにより、歯茎接触部4が支持部5に対して回動自在にすることも可能である。従って、この場合、連結部材44は歯茎接触部4に含まれずに、支持部5の一部となっていることになる。また、支持部5を把持部2に対して着脱自在とせずに、これらを一体的に形成することも場合によっては可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 歯茎マッサージ具
2 把持部
21 選択スイッチ
22、23、24 電気機械部材
3 固定軸部
4 歯茎接触部
41 炭素成形体
41c 挿入孔
42 被膜
43 弾性突起
5 支持部