(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動中の拡げられた布類に光源から検査光を照射して、前記布類を透過した検査光または前記布類で反射した検査光をカメラで撮影し、そのカメラの画像に基づき前記布類の表面または内部の汚れ等の異常を検査する布類検査装置において、
正常な検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを校正データとして保有する校正データ保有部と、
評価する検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを取得データとして保有する取得データ保有部と、
前記校正データと前記取得データとの差分を求めて1次差分データとする1次差分データ取得部と、
前記1次差分データを平滑化して平滑化データとする平滑化データ取得部と、
前記1次差分データと前記平滑化データとの差分を求めて2次差分データとする2次差分データ取得部と、
前記2次差分データの積算値が所定値以上となった場合に異物による光量低下があったと判定してその判定結果を出力する異物判定部と、
を具えることを特徴とする布類検査装置。
移動中の拡げられた布類に光源から検査光を照射して、前記布類を透過した検査光または前記布類で反射した検査光をカメラで撮影し、そのカメラの画像に基づき前記布類の表面または内部の汚れ等の異常を検査する布類検査装置において、
正常な検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを校正データとして保有する校正データ保有部と、
評価する検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを取得データとして保有する取得データ保有部と、
前記校正データを任意の幅間隔で複数に分割する校正データ分割部と、
前記取得データを前記校正データと同じ幅間隔で複数に分割する取得データ分割部と、
前記校正データと前記取得データとで前記複数に分割した各区間の画像のデータの平均値同士の差分を求めて分割差分データとする分割差分データ取得部と、
前記分割差分データの最大値が所定値以上となった場合に異物または光源劣化による光量低下があったと判定してその判定結果を出力する異物・光源劣化判定部と、
を具えることを特徴とする布類検査装置。
【背景技術】
【0002】
布類洗濯工場においては、病院やホテル等で使用されたシーツや布団カバー等の布類を洗濯した後、半乾きの状態で展張機により展張し、アイロンローラに送ってアイロン掛けし、折畳み機により折畳んで病院やホテル等へ再度供給している。従って、上記洗濯処理中の布類の表面または内部に汚れや破れ等の異常があった場合には、その布類を上述した通常の洗濯処理ラインから排除して別途処理する必要がある。
【0003】
このため本願出願人は、布類の表面または内部の汚れや破れ等の異常を検出する布類検査装置として従来、例えば特許文献1記載のものを提案している。この布類検査装置は、アイロンローラの下流側に配置される折畳み機と組み合わされて布類の表裏両面を検査するものであり、アイロンローラに連なる1番目のベルトコンベヤ上を移動する布類の上向きの面(通常は表面を下向きにしてアイロンローラにかけるため、アイロンローラを出た時点では裏面)を上方から1番目のカメラで撮影し、次いでその1番目のベルトコンベヤの終端部から下部にかけて向き合わせた2番目のベルトコンベヤで、1番目のベルトコンベヤの終端部から垂れ下がった布類を裏返してから、その布類を1番目のベルトコンベヤと2番目のベルトコンベヤとで挟んで搬送し、その2番目のベルトコンベヤの終端部から3番目のベルトコンベヤに引き渡す間に、移動中の布類のもう一方の面(通常は表面)を2番目のカメラで撮影し、これらのカメラで撮影した画像から、布類の両表面の汚れ等を検出し、その汚れ等が検出された布類は、通常の洗濯処理ラインから排除している。
【0004】
また、本願出願人は、布類の表面または内部の汚れや破れ等の異常を検出する布類検査装置として従来、例えば特許文献2記載のものも提案している。この布類検査装置は、皺伸ばし装置と一体とされたもので、作業員により洗濯、乾燥済みのタオル等の布類を積載されて搬送する1番目のベルトコンベアと、その1番目のベルトコンベヤから受け取った布類を搬送する2番目のベルトコンベヤと、その2番目のベルトコンベヤから受け取った布類を搬送して折畳み機に引き渡す3番目のベルトコンベヤとを備え、それらのベルトコンベヤの搬送速度を順次に速めることにより布類の皺伸ばしをするとともに、2番目のベルトコンベヤと3番目のベルトコンベヤとの間に配置した、黒色部と透明部とを持つ検査台上を移動する布類に、上方と下方の光源からそれぞれ検査光を照射し、上方の光源からの検査光の、黒色部上の布類での反射光を上方から1番目のカメラで撮影した画像と、下方の光源からの検査光の、透明部上の布類での反射光を下方から2番目のカメラで撮影した画像と、上方の光源から反射鏡で透明部に向けた検査光の、透明部上の布類での透過光を下方から2番目のカメラで撮影した画像とから、布類の両表面および内部の汚れと破れ等を検出し、その汚れや破れ等が検出された布類は、汚れの場合は再度洗濯処理に回し、破れの場合は廃棄している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本願出願人が上記従来の布類検査装置についてさらに研究を進めたところ、上記の二種類の布類検査装置では何れも、ベルトコンベヤによって移動する布類をその移動方向と交差する方向へ延在する1番目および2番目のカメラとしての1次元デジタルカメラで撮影し、その1次元画像を移動方向に繋げることで布類の2次元画像を得ており、その撮影のために検査光を布類に照射しているが、その検査光の光源(蛍光管やLED)の劣化や光路上に存在する埃などの異物が、検査精度の低下を招く要因となるということが判明した。このため本願出願人は、後者の装置について、1次元デジタルカメラが撮影したデータ(画素値)の最大値の低下を検知することによって光源劣化や埃による光量低下を検知し、調光可能な照明装置により明るさを調節することを試みたが、この方法では、光源の部分的な劣化や、後者の装置のように光路上に反射鏡や検査台の透明部を使用する場合の異物検出への対応が困難であるという不都合があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上述の如き従来の布類検査装置の課題を解決するものであり、この発明の布類検査装置の第1の態様は、
移動中の拡げられた布類に光源から検査光を照射して、前記布類を透過した検査光または前記布類で反射した検査光をカメラで撮影し、そのカメラの画像に基づき前記布類の表面または内部の汚れ等の異常を検査する布類検査装置において、
正常な検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを校正データとして保有する校正データ保有部と、
評価する検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを取得データとして保有する取得データ保有部と、
前記校正データと前記取得データとの差分を求めて1次差分データとする1次差分データ取得部と、
前記1次差分データを平滑化して平滑化データとする平滑化データ取得部と、
前記1次差分データと前記平滑化データとの差分を求めて2次差分データとする2次差分データ取得部と、
前記2次差分データの積算値が所定値以上となった場合に異物による光量低下があったと判定してその判定結果を出力する異物判定部と、
を具えることを特徴とするものである。
【0008】
また、この発明の布類検査装置の第2の態様は、
移動中の拡げられた布類に光源から検査光を照射して、前記布類を透過した検査光または前記布類で反射した検査光をカメラで連続的に撮影し、そのカメラの画像に基づき前記布類の表面または内部の汚れ等の異常を検査する布類検査装置において、
正常な検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを校正データとして保有する校正データ保有部と、
評価する検査光を前記カメラで撮影し、その検査光の画像データを取得データとして保有する取得データ保有部と、
前記校正データを任意の幅間隔で複数に分割する校正データ分割部と、
前記取得データを前記校正データと同じ幅間隔で複数に分割する取得データ分割部と、
前記校正データと前記取得データとで前記複数に分割した各区間の画像のデータの平均値同士の差分を求めて分割差分データとする分割差分データ取得部と、
前記分割差分データの最大値が所定値以上となった場合に異物または光源劣化による光量低下があったと判定してその判定結果を出力する異物・光源劣化判定部と、
を具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の布類検査装置の第1の態様にあっては、校正データ保有部が、検査光が正常な時点でのその検査光のカメラの画像データを校正データとして保有し、取得データ保有部が、検査光を評価する時点でのその検査光のカメラの画像データを取得データとして保有し、1次差分データ取得部が、前記校正データと前記取得データとの差分を求めて1次差分データとする。そしてこの校正データと取得データとの差分である1次差分データは埃等の異物による光量低下と光源劣化による光量低下との両方を含んでいる可能性があるため、ここではさらに平滑化データ取得部が、前記1次差分データを例えばローパスフィルタにより平滑化して光源劣化による光量低下を示す平滑化データとし、2次差分データ取得部が、前記1次差分データと前記平滑化データとの差分を求めて埃等の異物による光量低下を示す2次差分データとし、異物判定部が、前記2次差分データの積算(累計)値が所定値以上となった場合に埃等の異物による光量低下があったと判定してその判定結果を出力する。
【0010】
従って、この発明の布類検査装置の第1の態様によれば、検査光の光路上に埃等の異物が所定量以上存在する場合を判定して出力するので、その判定結果に基づき埃等の異物の除去を行い得て、検査精度の低下を防止することができ、しかも光路上に反射鏡や透過板を使用する場合でも、その判定を行うことができる。
【0011】
また、この発明の布類検査装置の第2の態様にあっては、校正データ保有部が、検査光が正常な時点でのその検査光のカメラの画像データを校正データとして保有し、取得データ保有部が、検査光を評価する時点でのその検査光のカメラの画像データを取得データとして保有し、校正データ分割部が、前記校正データを任意の幅間隔で複数に分割し、取得データ分割部が、前記取得データを前記校正データと同じ幅間隔で複数に分割し、分割差分データ取得部が、前記校正データと前記取得データとで前記複数に分割した各区間の画像のデータの平均値同士の差分を求めて分割差分データとする。そして、この分割差分データは埃等の異物による光量低下と光源劣化による光量低下との両方を含んでいる可能性があるため、異物・光源劣化判定部が、前記分割差分データの最大値が所定値以上となった場合に異物または光源劣化による光量低下があったと判定してその判定結果を出力する。
【0012】
従って、この第2の態様の発明の布類検査装置によれば、検査光の光路上に埃等の異物が所定量以上存在する場合および光源劣化が所定以上進行している場合を判定して出力するので、その判定結果に基づき埃等の異物の除去や光源の交換を行い得て、検査精度の低下を防止することができ、しかも光路上に反射鏡や透過板を使用する場合でも、その判定を行うことができる。
【0013】
なお、前記第1および第2の態様の発明の布類検査装置の少なくとも一方においては、前記カメラは、前記布類の移動方向と交差する方向に延在して前記検査光を連続的に撮影する1次元デジタルカメラであってもよく、このようにすれば、布類の検査を高速で連続的に行うことができるとともに布類検査装置を安価に構成することができる。
【0014】
また、前記第2の態様の発明の布類検査装置においては、前記分割差分データのピークのパターンに基づき、光量低下の原因が異物か光源劣化かを判定する原因判定部を具えていてもよく、このようにすれば、その判定結果に応じて埃等の異物の除去や光源の交換を行い得るのでより好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、
図1は、この発明の布類検査装置の第1および第2の態様に共通の一実施例の全体構成を示す側面図、
図2は、上記実施例の布類検査装置のA部を拡大して示す説明図、そして
図3(a)および
図3(b)は、上記実施例の布類検査装置のジャンプ台および受け台の構成を示す平面図および側面図であり、図中符号1は通常のアイロンローラ、2は通常の折畳み機、3はこの実施例の布類検査装置をそれぞれ示す。
【0017】
この実施例の布類検査装置3は、布類洗濯工場等において、アイロンローラ1と折畳み機2との間に配置され、そのアイロンローラ1から搬出されて折畳み機2に搬送される洗濯処理中の布類Fの表面または内部の汚れや破れ等の異常を検出するもので、ここにおける布類検査装置3は、両側に側板を持つ概略直方体の枠状の支持フレーム4と、その支持フレーム4内の
図1では左側部分に設けられて、アイロンローラ1から搬出された拡げられた布類Fを受け取って
図1では右方へ搬送する送り出しコンベヤ5と、その送り出しコンベヤ5に対しその搬送方向に間隔を空けるように支持フレーム4内の
図1では右側部分に設けられて、送り出しコンベヤ5から送り出された拡げられた布類Fを
図1では右方へ搬送し、折畳み機2からその前方に突出する搬入コンベヤ2aに引き渡す受け取りコンベヤ6と、拡げられた布類Fを上記送り出しコンベヤ5からその受け取りコンベヤ6へジャンプさせる、ジャンプ手段としてのジャンプ台7および受け台8と、を具えている。
【0018】
ここで、送り出しコンベヤ5および受け取りコンベヤ6は各々、
図3(a)の平面図に示すように、互いに幅方向に隙間を空けて多数横並びに配置された幅狭のコンベヤベルト9を有しており、ジャンプ台7は、
図2に拡大して示すとともに
図3(a),(b)の平面図および側面図に示すように、送り出しコンベヤ5の送り出し側端部(
図1では右端部)に突設されている。ここで、ジャンプ台7は、受け取りコンベヤ6の受け取り側端部(
図1では左端部)へ向かってコンベヤベルト9の隙間から多数の支持部を突き出した櫛状部7aと、送り出しコンベヤ5の延在方向と直交する水平方向(
図1では紙面と直交する方向)へ延在して櫛状部7aの支持部の先端同士を連結する連結部7bとを有している。
【0019】
また、受け台8は、これも
図2に拡大して示すとともに
図3(a),(b)の平面図および側面図に示すように、受け取りコンベヤ6の受け取り側端部(
図1では左端部)に突設されている。ここで、受け台8は、送り出しコンベヤ5の送り出し側端部(
図1では右端部)へ向かってコンベヤベルト9の隙間から支持部を突き出すとともにその支持部の先端同士を連結部7bと同様の連結部で連結した櫛状部材を有している。そして、ジャンプ台7の先端と受け台8の先端との間には水平方向に隙間Gが設けられるとともに、上下方向にも僅かに高さの差が設けられ、ジャンプ台7の先端は、受け台8の先端よりも僅かに高く位置している。
【0020】
さらに、この実施例の布類検査装置3は、上記隙間Gの斜め上方に配置された透過光源としてのLED10と、その隙間Gの斜め下方に送り出しコンベヤ5寄りおよび受け取りコンベヤ6寄りに振り分けて配置された反射光源としての蛍光管11と、支持フレーム4の受け取りコンベヤ6側の側部にブラケット12を介して取り付けられて送り出しコンベヤ5および受け取りコンベヤ6の延在方向と直交する水平方向(
図1では紙面と直交する方向)へ延在する、カメラとしての1台または複数台の1次元デジタルビデオカメラ(ラインセンサ)13と、支持フレーム4内の中央部の下部に配置されて1次元デジタルビデオカメラ13と平行に延在する反射鏡14と、を具えており、斜め下向きの1次元デジタルビデオカメラ13の光軸(光路)L1は、反射鏡14の斜め上向きの反射面により斜め上向きに屈曲されて蛍光管11の間および隙間Gを通り、透過光源としてのLED10に向けられている。
【0021】
さらに、この実施例の布類検査装置3は、送り出しコンベヤ5上にその送り出しコンベヤ5の延在方向と直交する水平方向(
図1では紙面と直交する方向)へ延在するように配置されてコンベヤベルト9の隙間から突出する支持部材で支持された黒板15と、拡げられた布類Fをその黒板15上で移動させるためにその黒板15の上流側に突設された櫛状部材16と、その黒板15の斜め上方に送り出しコンベヤ5寄りおよび受け取りコンベヤ6寄りに振り分けて配置された他の反射光源としての蛍光管17と、支持フレーム4の上部にブラケット18を介して取り付けられて送り出しコンベヤ5および受け取りコンベヤ6の延在方向と直交する水平方向(
図1では紙面と直交する方向)へ延在する、他のカメラとしての1次元デジタルビデオカメラ(ラインセンサ)19と、を具えており、1次元デジタルビデオカメラ19の光軸(光路)L2は、蛍光管17の間を通り、黒板15に向けられている。
【0022】
かかる構成を具えるこの実施例の布類検査装置3にあっては、ジャンプ台7が、送り出しコンベヤ5が搬送している拡げられた布類Fを下から支持して、先端からその拡げられた布類Fをジャンプさせ、そして受け台8が、そのジャンプ台7からジャンプした拡げられた布類Fを受けて受け取りコンベヤ6に引き渡すことで、送り出しコンベヤ5から受け取りコンベヤ6へ、拡げられた布類Fをジャンプさせ、その間、
図2に示すように、送り出しコンベヤ5と受け取りコンベヤ6との間の隙間Gをジャンプしている拡げられた布類Fに透過光源としてのLED10から照射されてその布類Fを透過した光と、その隙間Gをジャンプしている拡げられた布類Fに反射光源としての蛍光管11から照射されてその布類Fから反射した光との両方によって、拡げられた布類Fを1次元デジタルビデオカメラ13が撮影して、その布類Fの画像を、通常の画像処理装置を構成する図示しないコンピュータに出力する。
【0023】
従って、この実施例の布類検査装置3によれば、上記コンピュータで構成される画像処理装置が、送り出しコンベヤ5と受け取りコンベヤ6との間の隙間Gをジャンプしている拡げられた布類FにLED10から照射されてその布類Fを透過した光と、その隙間Gをジャンプしている拡げられた布類Fに蛍光管11から照射されてその布類Fから反射した光との両方によってその布類Fを撮影した1次元デジタルビデオカメラ13が出力する画像を、その布類Fの移動方向に繋げて2次元画像とし、その2次元画像に基づき、拡げられた布類Fの図では下側の表面と内部とを検査するので、高い検査能力で、布類Fの内部の汚れや破れ等の異常の他、布類Fと同系色の表面の汚れ等の異常の検出も充分におこなうことができ、しかも、布類Fを透明な台上に通して透過光で検査を行うのではないから、透明な台の汚れや傷つき等によって検査能力が低下するということもないので、その高い検査能力を長期間維持することができる。
【0024】
また、この実施例の布類検査装置3によれば、送り出しコンベヤ5上の拡げられた布類Fに反射光源としての蛍光管17から照射されてその布類Fの表面から反射した光によってその布類を撮影して画像を上記コンピュータに出力する、さらなる1次元デジタルビデオカメラ19を具えており、上記コンピュータで構成される画像処理装置が、その1次元デジタルビデオカメラ19が出力する画像をその布類Fの移動方向に繋げて2次元画像とし、その2次元画像に基づき、拡げられた布類Fの図では上側の表面と内部とを検査するので、拡げられた布類Fの両表面の、透過光では透過してしまうような透明に近い汚れ等でも、2台の1次元デジタルビデオカメラ13,19がそれぞれ出力する画像データ(1次元デジタルビデオカメラ13,19の長手方向に沿った各画素の受光量データ)に基づき検出できることから、さらに高い検査能力を発揮することができる。
【0025】
しかも、この実施例の布類検査装置3によれば、検査用のカメラとして、布類Fの移動方向と交差する方向に延在して検査光を連続的に撮影する1次元デジタルビデオカメラ13,19を用いているので、布類Fの検査を高速で連続的に行うことができるとともに布類検査装置を安価に構成することができる。
【0026】
ところでこの実施例の布類検査装置3では、拡げられた布類Fの図では下側の表面と内部とを検査するために、反射鏡14がここでは角パイプ状のベースフレーム20に取り付けられて、反射面を斜め上向きにして支持フレーム4に支持されていることから、そのままでは埃等の異物が頻繁に反射鏡14の反射面上に落下して付着することで異物の堆積が早期に生じ、堆積した異物が検査精度に影響を及ぼす可能性がある。また、同様にLED10や蛍光管11,17も埃等の異物が付着して検査光の光量が低下する可能性があり、それらLED10や蛍光管11,17自体の劣化によっても検査光の光量が低下する可能性がある。
【0027】
そこでこの実施例の布類検査装置3では、上記コンピュータがさらに、この発明の第1の態様のためにあらかじめ与えられたプログラムに基づき、
図4に示すように、校正データ保有部21と、取得データ保有部22と、1次差分データ取得部23と、平滑化データ取得部24と、2次差分データ取得部25と、異物判定部26とをそれぞれ構成し、
図5(a),(b)に示す如き異物判定処理を行う機能を果たす。
【0028】
すなわち、校正データ保有部21は、例えば光源としてのLED10や蛍光管11,17の新品への交換直後等の、検査光が正常な時点でその検査光を撮影した1次元デジタルビデオカメラ13,19の画像データを校正データとして保有し、取得データ保有部22は、例えばこの実施例の布類検査装置3の所定時間の稼動後等の、検査光を評価する時点でのその検査光を撮影した1次元デジタルビデオカメラ13,19の画像データを取得データとして保有し、1次差分データ取得部23は、1次元デジタルビデオカメラ13,19の画素間における感度のバラツキの影響を除外するため、
図5(a)に示すように、校正データ保有部21が保有する校正データと取得データ保有部22が保有する取得データとの差分を求めて1次差分データ(差分データA)とする。なお、これら校正データおよび取得データの取得の際は、送り出しコンベヤ5上や隙間Gに布類Fを存在させず、LED10からの検査光については蛍光管11の消灯状態にて1次元デジタルビデオカメラ13で直接撮影し、蛍光管11からの検査光についてはLED10の消灯状態にてLED10から反射する光を1次元デジタルビデオカメラ13で撮影し、蛍光管17からの検査光については黒板15から反射する光を1次元デジタルビデオカメラ19で撮影することで、判定結果への布類Fの状態の相違の影響を排除する。
【0029】
そしてこの校正データと取得データとの差分である1次差分データは埃等の異物による光量低下と光源劣化による光量低下との両方を含んでいる可能性があるため、平滑化データ取得部24は、上記1次差分データ(差分データA)を例えばローパスフィルタに通してそこから埃等の異物による細かい光量変化を除去することで平滑化して、光源劣化による光量低下を示す平滑化データとし、2次差分データ取得部25は、
図5(b)に示すように、上記1次差分データと上記平滑化データとの差分を求めて、埃等の異物による光量低下を示す2次差分データ(差分データB)とし、異物判定部26は、その2次差分データの積算(累計)値が所定の閾値以上となった場合に埃等の異物による光量低下があったと判定して、その判定結果を例えばディスプレイ装置等により出力する。
【0030】
従って、この発明の第1の態様に基づくこの実施例の布類検査装置3によれば、検査光の光路上に埃等の異物が所定量以上存在する場合を判定して出力するので、その判定結果に基づき埃等の異物の除去を行い得て、検査精度の低下を防止することができ、しかも1次元デジタルビデオカメラ13のように光路上に反射鏡14を使用する場合でも、その判定を行うことができる。
【0031】
さらにこの実施例の布類検査装置3では、上記コンピュータがまた、この発明の第2の態様のためにあらかじめ与えられたプログラムに基づき、
図6に示すように、校正データ保有部21と、取得データ保有部22と、校正データ分割部27と、取得データ分割部28と、分割差分データ取得部29と、異物・光源劣化判定部30と、原因判定部31とをそれぞれ構成し、
図7(a),(b),(c)に示す如き異物・光源劣化判定処理を行う機能を果たす。
【0032】
すなわち、校正データ保有部21は、第1の態様におけると同様、例えば光源としてのLED10や蛍光管11,17の新品への交換直後等の、検査光が正常な時点でその検査光を撮影した1次元デジタルビデオカメラ13,19の画像データを校正データとして保有し、取得データ保有部22は、これも第1の態様におけると同様、例えばこの実施例の布類検査装置3の所定時間の稼動後等の、検査光を評価する時点でのその検査光を撮影した1次元デジタルビデオカメラ13,19カメラの画像データを取得データとして保有し、校正データ分割部27は、
図7(a)の左側に示すように、校正データ保有部21が保有する校正データを任意の幅間隔で複数に分割し、取得データ分割部28は、
図7(a)の右側に示すように、取得データを校正データと同じ幅間隔で複数に分割し、分割差分データ取得部29は、
図7(b)に示すように、それら校正データと取得データとの、上記複数に分割した各区間の画像のデータの平均値同士の差分を求めて分割差分データ(差分データC)とする。
【0033】
そして、この分割差分データは埃等の異物による光量低下と光源劣化による光量低下との両方を含んでいる可能性があるため、異物・光源劣化判定部30は、上記分割差分データの最大値が所定の閾値以上となった場合に異物または光源劣化による光量低下があったと判定し、原因判定部31は、上記分割差分データのピークのパターンに基づき、光量低下の原因が異物か光源劣化かを判定し、これら異物・光源劣化判定部30および原因判定部31は、それらの判定結果を例えばディスプレイ装置等により出力する。
【0034】
ここで、上記分割差分データのピークのパターンが、例えば
図7(c)中左側に示すパターン1の場合は、主に蛍光管11,17の劣化により、端部の明るさが減少していると判断される。また、例えば
図7(c)中中央に示すパターン2の場合は、LED10では、一部素子の劣化、または異物による部分的な明るさの減少と判断され、蛍光管11,17では、
図8に示す如きアノードスポットやエンドバンド等と判定される。そして例えば
図7(c)中右側に示すパターン3の場合は、広範囲に亘る埃等の異物の堆積により、全体的に検査光の光量が低下したと判定される。
【0035】
従って、この第2の態様に基づくこの実施例の布類検査装置3によれば、検査光の光路上に埃等の異物が所定量以上存在する場合および光源劣化が所定以上進行している場合を判定して出力するので、その判定結果に基づき埃等の異物の除去や光源の交換を行い得て、検査精度の低下を防止することができ、しかも1次元デジタルビデオカメラ13のように光路上に反射鏡14を使用する場合でも、その判定を行うことができ、そして光量低下の原因が異物か光源劣化かを判定することから、その判定結果に応じて埃等の異物の除去や光源の交換を行うことができる。
【0036】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば上記実施例ではコンピュータが通常の画像処理装置の機能に加えて、この発明の第1の形態と第2の形態との両方の機能を兼ね具えているが、通常の画像処理装置の機能と、この発明の第1の形態および第2の形態の機能とを別々のコンピュータが具えてもよく、あるいは通常の画像処理装置の機能の他に必要に応じて第1の形態と第2の形態との何れか一方だけを具えてもよい。
【0037】
また、この発明の第1の形態および第2の形態の布類検査装置は、例えば特許文献2記載の布類検査装置に適用することもでき、その場合には上方の光源からの検査光の、検査台の黒色部での反射光を上方のカメラで撮影したり、検査台の透明部での透過光を下方のカメラで撮影したり、下方の光源からの検査光の、検査台の透明部での反射光を下方のカメラで撮影したりして、光源の劣化や光路上の異物の存在を判定するようにしてもよい。