特許第6120469号(P6120469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6120469
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】真空ポンプの寿命を延ばす運用方法
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/20 20060101AFI20170417BHJP
   F04B 37/16 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   F04F5/20 C
   F04B37/16 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-184209(P2016-184209)
(22)【出願日】2016年9月21日
【審査請求日】2016年9月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513070082
【氏名又は名称】株式会社テクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】上田 実
(72)【発明者】
【氏名】小川 敬弘
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−166800(JP,U)
【文献】 実開平01−076600(JP,U)
【文献】 特開2005−188416(JP,A)
【文献】 特開2004−346858(JP,A)
【文献】 特開平10−238462(JP,A)
【文献】 特開平02−291494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 5/20
F04B 37/16
F04D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口した筒体と、前記筒体の内部に設ける流体駆動誘引体と、前記筒体を貫通し前記流体駆動誘引体と連通する給気管と、前記給気管から前記流体駆動誘引体の内壁を経由して前記筒体の下流側開口部へと連通する第1流路と、前記筒体の上流側開口部から前記流体駆動誘引体を経由して前記筒体の下流側開口部へと連通する最狭部が11ミリメートル以上である第2流路と、を備え、前記第1流路に駆動気体を給気した際に前記流体駆動誘引体の内壁に沿って流れ、前記第1流路の駆動気体が排出する際に前記第2流路に流体が誘引される流体誘引ユニットを真空ポンプの排気側に接続して真空ポンプの寿命を延ばす運用方法であって、
20リットル/分以上の流量で駆動気体を前記給気管に給気する第1工程と、
前記第1工程により給気された駆動気体が前記流体駆動誘引体の内壁に沿って前記流体駆動誘引体内から前記筒体の下流側開口部へと流れる第2工程と、
前記第2工程の流れにより当該真空ポンプから前記筒体の上流側へ流体を誘引する第3工程と、
前記第3工程で誘引した流体を前記筒体の下流側開口部へ排出する第4工程と、
により真空ポンプ及びその排気側配管の内部で発生する副生成物紛体を誘引し排出して真空ポンプの寿命を延ばす運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、真空ポンプの内部やその排気側配管の内部(以下、「真空ポンプ等の内部」という。)で発生する副生成物を誘引し排出する流体誘引ユニットを使用した真空ポンプの寿命を延ばす運用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、真空ポンプの排気側を吸引する装置は存在する。真空ポンプの排気側に連通接続する第1(上流側)筒体及び第2(下流側)筒体と、前記第1筒体と第2筒体との間に介在させる逆止支及びエゼクターと、により真空ポンプの排気側を吸引する装置もその1つである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2015−096113
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、真空ポンプ等の内部で発生した副生成物紛体が真空ポンプ等の内部で滞留すると、当該真空ポンプと排気側配管との接続箇所あるいは当該排気側配管の内周面に付着・堆積し、当該真空ポンプから下流方向の流路が小さく(細く)なってしまうことが知られており、前記現象は、流路詰まりや真空ポンプの故障を引き起こし、引いては真空ポンプの寿命を縮める要因ともなっていた。
【0005】
そのため、一定期間毎に、真空ポンプあるいは排気側配管を分解し、清掃を行うといったメンテナンス作業が必須となっており、相当のコストや時間を要していた。
【0006】
前述の特許文献1は、真空ポンプの排気側を吸引する優れた装置であるがエゼクターのノズル径が細い(作動例では1ミリメート。)ため、真空ポンプ等の内部から排出されるガス中に副生成物粉体が混在する環境下ではエゼクターのノズルの内部で副生成物粉体が詰まってしまう可能性があるため、真空ポンプ等の内部で副生成物が発生しない様なクリーンな環境化でしか適用できなかった。
【0007】
そこで、CVD、ドライエッチャーなど真空ポンプ等の内部から排出されるガス中に1ミリメートル以上の副生成物粉体が混在されて飛来してくる可能性がある環境化であっても適用できる流体誘引ユニットを提供することを課題とした。
【0008】
また、真空ポンプ等の内部から排出されるガス中に1ミリメートル以上の副生成物粉体が混在されて飛来してくる可能性がある環境化で真空ポンプの寿命を延ばす運用方法を提供することを課題とした。
【0009】
本願発明は、上述の課題を解決するために、両端が開口した筒体と、前記筒体の内部に設ける流体駆動誘引体と、前記筒体を貫通し前記流体駆動誘引体と連通する給気管と、前記給気管から前記流体駆動誘引体の内壁を経由して前記筒体の下流側開口部へと連通する第1流路と、前記筒体の上流側開口部から前記流体駆動誘引体を経由して前記筒体の下流側開口部へと連通する最狭部が11ミリメートル以上である第2流路と、を備え、前記第1流路に駆動気体を給気した際に前記流体駆動誘引体の内壁に沿って流れ、前記第1流路の駆動気体が排出する際に前記第2流路に流体が誘引される流体誘引ユニットを真空ポンプの排気側に接続して真空ポンプの寿命を延ばす運用方法であって、20リットル/分以上の流量で駆動気体を前記給気管に給気する第1工程と、前記第1工程により給気された駆動気体が前記流体駆動誘引体の内壁に沿って前記流体駆動誘引体内から前記筒体の下流側開口部へと流れる第2工程と、前記第2工程の流れにより当該真空ポンプから前記筒体の上流側へ流体を誘引する第3工程と、前記第3工程で誘引した流体を前記筒体の下流側開口部へ排出する第4工程と、により真空ポンプ及びその排気側配管の内部で発生する副生成物紛体を誘引し排出して真空ポンプの寿命を延ばす運用方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の真空ポンプの寿命を延ばす運用方法は、前記流体誘引ユニットを真空ポンプの排気側配管に接続し各工程を経ることにより、真空ポンプ等の内部で発生する副生成物紛体を誘引し排出して真空ポンプの寿命を延ばす。なお、本願発明の流体誘引ユニットは、第2流路の最狭部の内径が11ミリメートル以上であるため、真空ポンプ等の内部で発生した副生成物紛体(11ミリメートル未満に限る)を誘引し排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は流体誘引ユニットの全体図である。
図2図2は筒体の上流開口部側からみた内観図である。
図3図3は筒体の下流開口部側からみた内観図である。
図4図4は第1流路及び第2流路を示す説明図である。
図5図5は流体誘引ユニットの作動を説明するイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
真空ポンプの排気側配管に本願の流体誘引ユニット(上流側)を接続して使用する。
【実施例1】
【0013】
流体誘引ユニットの構成について、図1から図4に従い説明する。
【0014】
流体誘引ユニット(1)は、両端が開口した円筒形状の筒体(10)と、前記筒体の内部に設ける流体駆動誘引体(20)と、前記筒体を貫通し前記流体駆動誘引体と連通する給気管(30)と、で構成する(図1)。
【0015】
前記筒体(10)の上流側(図1で示す左端側)開口端部(11)には、上流側フランジ(13)を付設している(図1)。
【0016】
また、前記筒体(10)の下流側(図1で示す右端側)開口端部(12)には、下流側フランジ(14)を付設している(図1)。
【0017】
前記筒体の上流側開口部(11)の内径(L1)は、40ミリメートルとしている(図2)。
【0018】
なお、前記筒体(10)の下流側開口部(12)の内径も同様に40ミリメートルとしている(図示せず)。
【0019】
前記流体駆動誘引体(20)とは、駆動気体の流れによって上流側から下流側へ流体を誘引する作用が生じる構造体のことを指す。
【0020】
前記筒体(10)の上流側に配置される前記流体駆動誘引体(20)の一方端部の外径(L2)は35ミリメートルであり、前記筒体の中央側に向かって縮径している(図1及び図2)。
【0021】
また、前記筒体(10)の下流側に配置される前記流体駆動誘引体(20)の他方端部の内径(L3)は16ミリメートルであり、前記筒体の中央側に向かって僅かに縮径している(図3)。
【0022】
前記流体駆動誘引体(20)の一方部の外縁部と前記筒体(10)の上流側開口内縁部とは接着により固着しているが、その他の方法で固着してもよい。
【0023】
また、前記流体駆動誘引体(20)の一方部の外縁部と前記筒体(10)の上流側開口内縁部との隙間は、シール加工を施している方が好ましい。
【0024】
本願の流体誘引ユニット(1)には、前記給気管(30)から前記流体駆動誘引体(20)の内壁を経由して前記筒体の下流側開口部(12)へと連通する第1流路(41)及び前記筒体の上流側開口部(11)から前記流体駆動誘引体を経由して前記筒体の下流側開口部へと連通する第2流路(42)が存在する(図4)。
【0025】
前記第2流路(42)の中で最も狭い部分である最狭部の内径(L4)は、11ミリメートルとしている(図2)。
【0026】
次に、流体誘引ユニットを真空ポンプの排気側配管に接続し、駆動気体である窒素ガスを30リットル/分の流量で給気した際の作動について図5に従い説明する。
【0027】
窒素ガスを給気管(30)から給気すると前記窒素ガスは、流体駆動誘引体(20)の環状隙間からコアンダ効果により内壁に沿って下流側へ流れ、前記筒体の下流側開口部(12)から排出される。つまり、第1流路(41)を通って排出される。
【0028】
前記窒素ガスの流れによって、真空ポンプ(P)等の内部に浮遊する流体(副生成物紛体が混在する場合を含む)は、前記筒体の第2流路(42)を構成する前記筒体の上流側開口部に誘引される。
【0029】
前記第2流路(42)に誘引された流体は、前記筒体の下流側開口部(12)から排出される。
【0030】
なお、前記第2流路(42)の最狭部の内径が11ミリメートルであるため、前記第2流路に当該最狭部に詰まらない程度の副生成物紛体が混在する流体が通っても詰まることはない。
【0031】
副生成物紛体が混在する流体を想定して、直径3ミリメートルの樹脂ビーズを滞留させた配管径40ミリメートルの第1仮想環境及び配管径68ミリメートルの第2仮想環境で、駆動気体の流量を変化させて試験を行った。
【0032】
いずれの仮想環境の場合も、直径3ミリメートルの樹脂ビーズは20リットル/分で流れ始め、30リットル/分でスムーズに流れた。
【0033】
なお、本実施例では駆動気体として窒素ガスを用いたが、その他の駆動気体(例えば、圧搾空気など)を用いることも許容し得るものとする。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本願発明の真空ポンプの寿命を延ばす運用方法は、真空ポンプ等の内部で発生する副生成物紛体を誘引・排出し真空ポンプの寿命を延ばす優れた運用方法であるから産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0035】
1 流体誘引ユニット
10 筒体
11 上流側開口部、上流側開口端部
12 下流側開口部、下流側開口端部
13 上流側フランジ
14 下流側フランジ
20 流体駆動誘引体
30 給気管
41 第1流路
42 第2流路
P 真空ポンプ
L1 筒体の上流側の縁端部内径
L2 流体駆動誘引体の一方部の縁端部の外径
L3 流体駆動誘引体の他方部の遠端部の内径
L4 第2流路の最狭部の内径
【要約】
【課題】真空ポンプ等の内部で発生する副生成物紛体を誘引し排出する流体誘引ユニット等を提供すること。
【解決手段】流体誘引ユニット1は、両端が開口しその開口端部にフランジを付設した筒体10と、筒体10の内部に設ける流体駆動誘引体20と、流体駆動誘引体20に窒素ガスなどの駆動気体を給気する給気管30と、給気管30から流体駆動誘引体20の内壁を経由して筒体10の下流側開口部12と連通する第1流路41と、筒体10の上流開口部11から流体駆動誘引体20を経由して筒体10の下流側開口部12と連通する第2流路42と、を備える。第2流路42の最も狭い箇所の内径は、11ミリメートルとしている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5