特許第6120513号(P6120513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120513
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ネット式梯子
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/34 20060101AFI20170417BHJP
   E06C 1/38 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   E06C1/34
   E06C1/38 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-211764(P2012-211764)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-66054(P2014-66054A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】595053777
【氏名又は名称】吉佳エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】大岡 伸吉
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−087793(JP,U)
【文献】 特開2002−088765(JP,A)
【文献】 実開昭52−053198(JP,U)
【文献】 実開昭50−087792(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C1/00−9/14
A62B5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性を有する線材を波形状に曲げることにより形成したネット構成用単体が複数個連続して連結され、
該連結は、隣り合うネット構成用単体をその曲げ部で互いに係合させて長尺状の網体を構成するように行われ、
該網体の網目は手足を掛けることが可能なサイズを有し、
使用時において前記網体の長さ方向の一端が固定され、他端が下方に垂下され
前記波形状は矩形波状であることを特徴とするネット式梯子。
【請求項2】
前記ネット構成用単体は、
前記網体の垂下状態における4つの鉛直部と該4つの鉛直部の間にそれぞれ位置する3つの水平部とを有し、
前記線材の両端には、隣り合うネット構成用単体と連結を行うための挿通部が設けられていること特徴とする請求項に記載のネット式梯子。
【請求項3】
前記網体には、前記垂下状態における略水平方向に延在する横ロープが上下に所定間隔をおいて複数本設けてられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のネット式梯子。
【請求項4】
前記線材は、引張強度が400〜2000N/mmの素線を複数本撚ってなる撚線であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のネット式梯子。
【請求項5】
平常時は建物の階上に保管され、緊急時に前記階上から垂下させる緊急時脱出用避難器具であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のネット式梯子。
【請求項6】
前記網体を垂下した状態における前記網体の前記建物側に耐火防煙シートが設けられたことを特徴とする請求項に記載のネット式梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納性及び携帯性、生産性、並びに昇降時の安全性に優れる昇降器具に関する。
【背景技術】
【0002】
梯子等の昇降器具は従来から種々のものが提案されており、家庭における作業用だけでなく、工事現場において、あるいは避難器具等に幅広く使用されている。数多くある昇降器具のうち汎用性が高いものは、携帯性や収納性に優れる折り畳み可能な梯子である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、避難器具として使用される昇降器具としては、特許文献2に記載の避難用梯子装置が知られている。この避難用梯子装置は、建物の外壁に設置されるものであり、使用する際に保管状態から使用状態に展開して、脱出者が階上から地上に降りて緊急的に避難するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−285779号公報
【特許文献2】特開2007−2452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のような折り畳み式梯子は、展開時の全長が長いほど折り畳み時のサイズが大きくなることから、収納性や携帯性を考慮するとその全長は一定の長さに制限される。そのため、上下に長い距離を移動する昇降器具としては使用することができない。一方、特許文献2に記載の避難用梯子装置は、これを作製するために使用する部品点数が多いため生産性の点から十分とはいえない。そして、従来からこのような昇降器具には安全性の更なる向上が求められ続けている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、全長が長くても収納性及び携帯性に優れ、更に生産性並びに昇降時の安全性に優れる昇降器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のネット式梯子は、
剛性を有する線材を波形状に曲げることにより形成したネット構成用単体が複数個連続して連結され、該連結は、隣り合うネット構成用単体をその曲げ部で互いに係合させて長尺状の網体を構成するように行われ、該網体の網目は手足を掛けることが可能なサイズを有し、使用時において前記網体の長さ方向の一端が固定され、他端が下方に垂下され、前記波形状は矩形波状であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、網体の網目構造によって手足を掛ける箇所が通常の梯子よりも多くなっていることから、使用者は無理なく昇り降りをすることができる。また、網体は剛性を有する線材で構成されており、手足を掛けるだけでは変形しないので、安定的に手足掛けを行うことができる。
【0009】
そして、網体はネット構成用単体を互いに係合した構造としているので、剛性を有する線材で形成されていたとしても、巻回する等して未使用時にコンパクトな状態とすることができる。従って、設置スペースが狭くても保管や格納が可能であり、また持ち運びにも適したものとなる。また、本ネット式梯子は波形状に曲げた線材を互いに係合させるだけで作製することができるので生産性の面でも優れている。矩形波状のネット構成用単体を互いに掛け合わせることにより、手足掛けを安定的に行うことができる水平部が形成されるので、安全性が更に向上したものとなる。
【0011】
請求項に記載のネット式梯子は、前記ネット構成用単体は、前記網体の垂下状態における4つの鉛直部と該4つの鉛直部の間にそれぞれ位置する3つの水平部とを有し、前記線材の両端には、隣り合うネット構成用単体と連結を行うための挿通部が設けられていること特徴とする。この構成によれば、簡易な構造の線材を使用して網体の網目構造を形成でき且つその線材は必要最低限の短いもので足りるので、更に生産性に優れたものとなる。
【0012】
請求項に記載のネット式梯子は、前記網体には、前記垂下状態における略水平方向に延在する横ロープが上下に所定間隔をおいて複数本設けてられていることを特徴とする。この構成によれば、網体の網目だけでなく横ロープにも手足を掛けることができるので、昇降時の安全性が更に向上する。
【0013】
請求項に記載のネット式梯子は、前記線材は、引張強度が400〜2000N/mm2の素線を複数本撚ってなる撚線であることを特徴とする。これにより網体の強度が十分に確保され、昇降者の荷重負荷による線材の変形を確実に防止することができる。また、上記高い範囲の引張強度を有する線材を使用すれば、ネット式梯子自体を軽量に設計することができるので、更に携帯性に優れたものとなる。
【0014】
請求項に記載のネット式梯子は、平常時は建物の階上に保管され、緊急時に前記階上から垂下させる緊急時脱出用避難器具であることを特徴とする。上記ネット式梯子は、巻回させた状態等の保管状態から一端を下方に垂下させた展開状態として、上方から下方に降りるのに適する。したがって、建物の階上から地上等の安全確保可能な場所に降りるための避難器具として有用である。
【0015】
請求項に記載のネット式梯子は、前記網体を垂下した状態における前記網体の前記建物側に耐火防煙シートが設けられたことを特徴とする。この構成によれば、火災時において脱出者の煙の吸引や火炎との接触を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のネット式梯子は、波形状に曲げた線材を互いに係合するだけで作製することができる網体から構成されるものであり、その全長が長い場合であっても巻回する等してコンパクトな状態とすることができる。そして、使用者は網体を構成する剛性を有する線材に安定的に手足を掛けて昇り降りを行うことができる。従って、本発明のネット式梯子は、全長が長くても収納性及び携帯性に優れ、また、生産性並びに昇降時の安全性に優れる昇降器具といえる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のネット式梯子の第1の実施の形態を示す全体図である。
図2】ネット構成用単体の詳細図である。
図3】線材の詳細図である。
図4】ネット式梯子の巻回状態を示す説明図である。
図5】ネット式梯子の短縮状態を示す説明図である。
図6】ネット式梯子の使用状態を示す説明図である。
図7】本発明のネット式梯子の第2の実施の形態を示す全体図である。
図8】ネット構成用単体の詳細図である。
図9】ネット式梯子を緊急時脱出用避難器具として使用した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明のネット式梯子の第1の実施の形態を示す全体図、図2はネット構成用単体を示す説明図、図4図1のネット式梯子の巻回状態を示す説明図、図5図1のネット式梯子の短縮状態を示す説明図、図6図1のネット式梯子の使用図である。
【0019】
図1に示されているように、本実施の形態のネット式梯子10は、一本の線材11を矩形波状に屈曲させて曲げることにより形成した複数のネット構成用単体12−1〜nから構成される長尺状の網体12を有し、それぞれ隣り合うネット構成用単体12−1〜nはその曲げ部である屈曲部において互いに係合させて連結されている。ネット構成用単体12−1〜nは設置状態における上下方向に連続して連結されている。
【0020】
図2図1に示したネット構成用単体12−1〜nの詳細図である。ネット構成用単体12−1〜nは剛性を有する線材11からなり、この線材11は矩形波状となるように同一平面上の6箇所13a〜fにおいてそれぞれ略直角に屈曲され、4つの鉛直部16a〜dとこの鉛直部16a〜dの間にそれぞれ位置する3つの水平部18a〜cを有している。水平部18a〜cの長さは、例えば10〜30cm、好ましくは15〜30cmであり、鉛直部14a〜dの長さは、例えば5〜30cm、好ましくは10〜30cmである。
【0021】
線材11はその両端を輪状の結び目とした挿通部14a、14bを有している。図1に示したネット式梯子10を作製するために隣り合うネット構成用単体12−1〜nをそれぞれ連結するには、この挿通部14a、14bに、両端が結び目とされていない状態の別のネット構成用単体の両端を挿通するとともに各曲げ部を係合させ、その後、挿通した側のネット構成用単体の線材11の両端を輪状の結び目とする作業を繰り返すことにより行う。図1に示されているように、隣り合うネット構成用単体は、一方の凹部が他方の凸部と係合するように各屈曲点で互いに掛け合わされて連結状態とされている。
【0022】
網体12の網目は手足を掛けることが可能なサイズを有しており、その網目構造の開口部は略矩形状とされている。開口部面積は例えば50〜900cm2、好ましくは150〜900cm2である。使用者は手では鉛直部16a〜dや水平部18a〜c(図2参照)を把持し、足では水平部18a〜c(図2参照)を踏むことにより、ネット式梯子10の昇り降りを行う。
【0023】
本発明のネット式梯子10は、網目構造を有する網体12を使用した梯子であるため手足を掛ける箇所が多く、無理なく昇り降りができることから、使用時における踏み外し等を防止でき、安全性に優れたものとなっている。また、波形状に曲げた線材を互いに係合させるだけで作製することができるので、生産性の面でも優れている。更に、本実施の形態のネット構成用単体12−1〜nは、一本の線材を6点で屈曲させ両端に挿通部を形成した簡易な構造であり、その線材は網目構造を形成するのに必要最低限の短いもので足りる。
【0024】
ネット構成用単体12−1〜nを構成する線材11としては、剛性の線材、特に金属製の線材を使用することができる。剛性の線材を使用した網体12は、使用者が手足を掛けるだけでは変形せず、安定的に手足を掛けて昇り降りをすることができる。
【0025】
線材11として好ましいものは、素線(例えば直径2mm〜5mm)を複数本(例えば2〜5本)撚ることにより作製された撚線(直径6〜25mm)である。素線は、特に引張強度が400〜2000N/mm2、好ましくは800〜2000N/mm2であるものが使用される。このような素線としてはステンレスや鉄製等の硬剛線を用いることができる。上記高い範囲の引張強度を有する線材を使用すれば、ネット式梯子自体を軽量に設計することができるので、持ち運びに更に有利である。図3に撚線からなる線材11の詳細図を示している。図示のように3本の素線21を撚ることにより撚線(線材11)が構成されている。撚線を使用することにより、線材を屈曲させて波形状とする場合にその屈曲を線材自体に損傷を与えることなく行うことができる。素線21は防食処理がなされていることが好ましい。防食処理は、例えば、亜鉛メッキ、アルミ亜鉛合金メッキ又は樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル)等で被覆処理することにより可能である。
【0026】
ネット式梯子10の幅は特に限定されないが0.5〜3m、長さは使用する場所の高さに合わせて適宜設定することができる。
【0027】
図4図1のネット式梯子10を巻回した状態を示す説明図である。上述したように、ネット式梯子10は剛性を有する線材で構成されており、その線材11自体は人力で曲げることは困難であるものの、各ネット構成用単体12−1〜nが互いに連結されている箇所においては、各ネット構成用単体は係合されているだけの非固定状態であるため全体構造上の折曲は可能である。従って、それぞれの係合されている箇所において、展開状態から段階的に折曲させることにより、巻回させることが可能である。
【0028】
本実施の形態のネット式梯子10は巻回だけでなく伸縮させることも可能である。図5はネット式梯子10の短縮状態を示す説明図である。展開状態である図1の状態から、各ネット構成用単体12−1〜nの間隔を狭めることにより、図示した短縮状態とすることができる。この短縮状態から展開状態とするには、網体12の長さ方向の一端を任意の場所に固定して、他端を下方に垂下させるか、引っ張るだけでよい。
【0029】
このように、ネット式梯子10は、保管時や運搬時においては巻回状態(図4)又は短縮状態(図5)としてコンパクトな状態とすることができることから収納性及び携帯性に優れている。
【0030】
図6は使用者が本実施の形態のネット式梯子10を昇り降りする様子を示す説明図である。ネット式梯子10の長さ方向の一端をシャックル等の連結部材(図示せず)で固定し、他端を下方へ垂下させた状態とした後、手足をそれぞれの水平部及び/又は鉛直部(図2に図示)に掛けて昇り降りを行う。本実施の形態のネット式梯子10は、水平部を有する矩形波状のネット構成用単体を使用しているので、その水平部に手足を安定的に掛けることが可能である。
【0031】
図7は本発明のネット式梯子の第2の実施の形態を示す全体図である。このネット式梯子30は、剛性を有する線材を三角波状に曲げて形成したネット構成用単体32−1〜nを複数個連結させて構成されるものであり、各ネット構成用単体32−1〜nはその曲げ部を互いに係合させることにより連結され、開口部が菱形である網体32が形成されている。
【0032】
菱形のサイズは対角線の縦方向の長さが例えば20〜60cm、好ましくは30〜45cm、対角線の横方向の長さが例えば15〜30cm、好ましくは15〜20cm程度とされ、菱形の内接円の直径は例えば10〜30cm、好ましくは10〜25cmである。
【0033】
図8に示すように、ネット構成用単体32−1〜nは線材31を三角波状(ジグザグ状)に屈曲させることにより形成されている。この屈曲させた線材の谷部と山部が、それぞれ隣り合うネット構成用単体の山部と谷部と係合するように連結される。線材31の両端はそれぞれ輪状の結び目34a,34bとされるものであり、図7に示されているように、ネット構成用単体連結時に隣り合う何れか一方のネット構成用単体32−1〜nの両端と結び合わされるものである。線材31としては、第1の実施の形態で説明したものと同様の線材を使用することができる。
【0034】
図7に示されているように、本実施の形態のネット式梯子30には、垂下状態における略水平方向に延在する横ロープ38が複数設けられている。横ロープ38は上下に所定間隔をおいて複数本設けられており、各横ロープ38はその両端において網体32と結ぶ等して連結されている。ネット式梯子30の使用者は、網体32の網目だけでなく横ロープ38にも手足を掛けて安全に昇り降りを行うことができる。各横ロープ38の間隔は、例えば20〜50cmである。横ロープ38としては、第1の実施の形態で説明した線材11や金属ワイヤー等を使用することができる。このような横ロープは第1の実施の形態のネット式梯子10にも設けることができる。
【0035】
本実施の形態のネット式梯子30も第1の実施の形態と同様に、係合部分で構造的折曲が可能で巻回することができるので、収納性及び携帯性に優れている。
【0036】
本発明のネット式梯子は、家庭や工事現場での作業用や、緊急時脱出用避難器具として好適に使用することができる。
【0037】
図9は、図1に示した第1の実施の形態のネット式梯子10を緊急時脱出用避難器具として使用した場合を示す説明図である。
【0038】
緊急時脱出用避難器具として使用する場合、ネット式梯子10は、平常時は建物の階上においてバルコニーや屋内の窓際に保管され、火災等の緊急時に網体の一端を階上から垂下させた展開状態で用いられるものである。
【0039】
平常時の保管状態では、図4及び図5で示した巻回状態又は短縮状態とされる。そして、火災や地震発生時等の緊急時において、上記した巻回状態や短縮状態から解かれて、地上方向に垂下されるものである。
【0040】
ネット梯子10の長さ方向の一端(階上側端部)は、少なくとも使用時において、保管される階上に固定され、地上側の他端は展開時において自由端とされるか、あるいは地上に配置された固定体に連結されて固定端とされる。図示した例では固定体52に固定した例を示している。
【0041】
固定体としては、ネット式梯子10で脱出者が降りる際にその負荷によって移動しない重量の大きい台座等を使用することができる。あるいは、ネット式梯子10の地上側端部と連結可能な連結用固定具を地面に予め設けておき、使用時にその連結用固定具とネット式梯子の地上側端部を連結することにより固定端としてもよい。
【0042】
固定端とする場合には、図示のように、地上方向に向かって建物とは反対側に傾斜するように垂下されていることが好ましい。これにより、仮に脱出者が手足を掛け外してもそのまま地上に転落することを防止することができる。
【0043】
また、本発明のネット式梯子10を緊急時脱出用避難器具として使用する場合、耐火防煙シート(図示せず)が備えられていることが好ましい。耐火防煙シートは、網体12(図1参照)の垂下状態においてその建物側に配置されるように網体12と平行に設けられる。耐火防煙シートを設けることにより脱出者の煙の吸引や火炎との接触を防止することができる。
【0044】
耐火防煙シートとしては耐火性を有するシートを用いることができる。耐火性を有するシートとしては、例えば、ガラス繊維やポリアミド繊維を使用した織物状シートが挙げられる。耐火防煙シートは網体12とほぼ同じ幅及び長さに設定されることが好ましい。
【0045】
本発明のネット式梯子は、このような緊急時脱出用避難器具だけでなく、様々な用途に使用することができる。例えば、山の急斜面の場所での昇り降りや、建設現場での昇り降り、あるいは家屋の高い場所での作業等にも使用することができる。
【0046】
本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。上述した例では、矩形波状又は三角波状に屈曲させた線材を示したが、これに限られず、正弦波状や鋸波状等の波形状に曲げて形成したネット構成用単体を用い、これを係合させて構成した網体でもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 ネット式梯子(第1の実施の形態)
11 線材
12−1〜n ネット構成用単体
13a〜d 屈曲部
14a、14b 挿通部
16a、16b、16c、16d 鉛直部
18a、18b、18c 水平部
21 素線
30 ネット式梯子(第2の実施の形態)
31 線材
32 網体
32−1〜n ネット構成用単体
34a、34b 結び目
38 横ロープ
52 固定体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9