特許第6120516号(P6120516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120516
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】部品補給システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-221276(P2012-221276)
(22)【出願日】2012年10月3日
(65)【公開番号】特開2014-75423(P2014-75423A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁志
(72)【発明者】
【氏名】加古 純一
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−182246(JP,A)
【文献】 特開平08−018277(JP,A)
【文献】 特開昭48−007465(JP,A)
【文献】 実開平02−124928(JP,U)
【文献】 特開2005−183679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B65G 47/34−47/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品実装機に部品を補給する部品補給システムにして、
多数の部品を収容した複数の部品リールを保管する部品保管庫と、
該部品保管庫と前記複数の部品実装機との間に設けられ、前記部品実装機からの部品切れ信号に基づいて前記部品保管庫より自動的に取り出された所要の前記部品リールを前記部品実装機に向けて自動的に搬送する部品リール搬送手段と、
前記複数の部品実装機に配設され、前記部品リール搬送手段によって搬送された前記部品リールを自動的に収納する複数の部品リール収納手段とを備え、
前記部品リール収納手段を、複数の前記部品リールを収納可能で、これら部品リールを搬送された順序で取り出し口より1つずつ取り出せるように構成したことを特徴とする部品補給システム。
【請求項2】
請求項1において、前記部品リール収納手段は、前記取り出し口より取り出された前記部品リールが前記部品実装機に補給された後、次の部品リールを前記取り出し口より取り出せるようにする分離機構を有している部品補給システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記部品リール収納手段は、前記部品リールを、垂直状態で水平方向に並べて収納するようになっている部品補給システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記部品リール搬送手段は、天井コンベアを備え、該天井コンベアには、前記各部品実装機の前記部品リール収納手段に向けて前記部品リールを搬送する複数のダクトが接続され、これら複数のダクトの手前に、前記部品リールのIDを読み取るID読み取り機と、該ID読み取り機の読み取り結果に基づいて前記部品リールを、前記天井コンベアより前記ダクトに送り出す行き先変更部材が設けられている部品補給システム。
【請求項5】
請求項4において、前記天井コンベアは、前記部品リールを水平状態で搬送し、前記ダクトは、前記部品リールを垂直状態で前記部品リール収納手段に収納するようになっている部品補給システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記各部品実装機は、部品切れ予告リストを記憶しており、該部品切れ予告リストのうち前記部品リール収納手段に収納された部品と、未だ収納されていない部品とを作業者が区別可能に表示するようにした部品補給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品実装機に対して部品の補給を自動的に行えるようにした部品補給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の部品実装機を備えた部品実装システムにおいては、種類の異なる多数の部品を保管する部品保管庫が、部品実装機とは異なる位置に設けられ、この部品保管庫に設けられた保管棚に、部品を収容した多数の部品リールや、これら部品リールを装着したテープフィーダ等が保管されるようになっている。
【0003】
そして、ある部品実装機で部品切れが生ずると、作業者によって部品保管庫から、部品切れとなった部品を収容した部品リールが選ばれ、当該部品リールは作業者によって部品の補給が必要な部品実装機の部品供給装置まで運ばれ、スプライシング等によって部品が補給されるようになっている。このようにして、ある部品実装機で部品切れが生じても、部品の供給を継続して行えるようにし、実装作業が中断されることがないようにしている。この種の部品実装システムが特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−44626号公報
【特許文献2】特開平7−246531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の部品実装システムにおいては、部品実装機の部品使用状況に応じて、通常、作業者が部品保管庫内の部品棚から手動で対象部品をピックアップする必要があり、また、部品保管庫からの部品実装機への払い出しは、作業者が対象部品を台車に載せ、部品切れを生じた部品実装機を確認しながら、手動で部品実装機のテープフィーダに部品を補給する必要がある。このため、部品補給作業が煩雑となり、部品補給に時間を要することとなった。
【0006】
また、従来においては、台車を使って作業者が部品保管庫と部品実装機間を往復する作業を極力減らすために、部品実装機側にまとまった量の部品を保管する部品棚を設置する場合が多く、このような場合には、部品実装機側の作業用スペースが減少される問題があった。さらに、部品補給中や部品棚での部品の選別等の段取り作業において、作業者が該当する部品の取り違いや入れ間違い等の過ちを犯すおそれがあった。
【0007】
本発明は、上述した従来の問題を解消するためになされたもので、部品保管庫と複数の部品実装機に配設した部品リール収納手段との間で部品リールを搬送する部品リール搬送手段によって、部品の補給を自動的に行えるようにし、かつ作業者管理において過ちが起きづらいようにした部品補給システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、複数の部品実装機に部品を補給する部品補給システムにして、多数の部品を収容した複数の部品リールを保管する部品保管庫と、該部品保管庫と前記複数の部品実装機との間に設けられ、前記部品実装機からの部品切れ信号に基づいて前記部品保管庫より自動的に取り出された所要の前記部品リールを前記部品実装機に向けて自動的に搬送する部品リール搬送手段と、前記各部品実装機に配設され、前記部品リール搬送手段によって搬送された前記部品リールを自動的に収納する複数の部品リール収納手段とを備え、前記部品リール収納手段を、複数の前記部品リールを収納可能で、これら部品リールを搬送された順序で取り出し口より1つずつ取り出せるように構成したことである。
【0009】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記部品リール収納手段は、前記取り出し口より取り出された前記部品リールが前記部品実装機に補給された後、次の部品リールを前記取り出し口より取り出せるようにする分離機構を有していることである。
【0010】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または請求項2において、前記部品リール収納手段は、前記部品リールを、垂直状態で水平方向に並べて収納するようになっていることである。
【0011】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記部品リール搬送手段は、天井コンベアを備え、該天井コンベアには、前記各部品実装機の前記部品リール収納手段に向けて前記部品リールを搬送する複数のダクトが接続され、これら複数のダクトの手前に、前記部品リールのIDを読み取るID読み取り機と、該ID読み取り機の読み取り結果に基づいて前記部品リールを、前記天井コンベアより前記ダクトに送り出す行き先変更部材が設けられていることである。
【0012】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項4において、前記天井コンベアは、前記部品リールを水平状態で搬送し、前記ダクトは、前記部品リールを垂直状態で前記部品リール収納手段に収納するようになっていることである。
【0013】
請求項6に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記各部品実装機は、部品切れ予告リストを記憶しており、該部品切れ予告リストのうち前記部品リール収納手段に収納された部品と、未だ収納されていない部品とを作業者が区別可能に表示するようにしたことである。
【発明の効果】
【0014】
上記した構成によれば、部品保管庫と部品実装機との間で部品リールを自動的に搬送する部品リール搬送手段によって、部品リールを部品実装機に配設された部品リール収納手段に自動的に収納することができるので、作業者は部品リール収納手段に収納された部品リールを収納された順序で取り出し、部品切れを生じた部品実装機に容易に補給することができる。

【0015】
これによって、部品補給の省人化および自動化が可能となるとともに、部品補給中や部品棚での部品の選別等の段取り作業において、作業者による該当する部品の取り違いや入れ間違い等のミスを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る部品補給システムの全体を示す概略平面図である。
図2】部品リールを示す図である。
図3】部品リール搬送手段による部品リールの流れを示す説明図である。
図4】部品実装機を示す概略平面図である。
図5】部品実装機に配設される部品リール収納手段の一例を示す図である。
図6】部品リール収納手段に部品リールを投入するダクトの一例を示す図である。
図7】部品実装機を制御する制御装置のブロック図である。
図8】制御装置に格納される部品切れ予告リストを示す図である。
図9】部品リール収納手段の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る部品補給システム10の全体を概略的に示すもので、当該部品補給システム10は、プリント基板に電子部品(以下、単に部品と称す)を実装する複数(実施の形態においては4台)の部品実装機11A〜11Dと、部品種の異なる多数の部品(部品リール)を保管する部品保管庫12と、部品保管庫12と各部品実装機11A〜11Dとの各間で部品リールを搬送する部品リール搬送手段13と、各部品実装機11A〜11Dにそれぞれ配設され、部品リール搬送手段13によって搬送された部品リールを収納する複数の部品リール収納手段14A〜14Dを備えている。
【0018】
部品保管庫12には、多数の部品を収容した複数の部品リール20(図2参照)が、図略の保管棚に整列して保管されており、その中から所要の部品を収容した部品リール20が検索され、部品リール搬送手段13に投入される。なお、部品リール20は、後述するように、部品種が各々異なる多数の部品を収容したテープを巻回し、部品供給装置のテープフィーダ50(図4参照)に着脱可能に取付けられるものである。
【0019】
部品リール20には、図2に示すように、これに巻回されたテープに収容された部品のシリアルIDを表わすバーコード20aが貼付されている。バーコード20aは、後述するバーコードリーダ(ID読み取り機)によって読取られ、これによって、部品リール20に収容された部品のシリアルIDを取得できる。
【0020】
部品リール搬送手段13は、図1に示すように、無端状の天井コンベア15を備え、この天井コンベア15に複数のダクト(シューター)16A〜16Dの一端がそれぞれ接続され、ダクト16A〜16Dの各他端は、部品リール収納手段14A〜14Dの各投入口17に向けてそれぞれ開口されている。複数のダクト16A〜16Dは、部品リール20をダクト内を自然落下させながら、部品リール収納手段14A〜14Dの各投入口17より部品リール収納手段14A〜14D内に収納できるものである。
【0021】
天井コンベア15と複数のダクト16A〜16Dとの各接続点の手前には、図3に示すように、天井コンベア15を搬送される部品リール20のバーコード(ID)20aを読み取るバーコードリーダ(ID読み取り機)21がそれぞれ配設されている。また、天井コンベア15とダクト16A〜16Dとの各接続点には、部品リール20の行き先を変更するレバーからなる行き先変更部材22がそれぞれ回動可能に設けられ、図略のアクチュエータによって回動されるようになっている。
【0022】
行き先変更部材(レバー)22は、バーコードリーダ21による読み取り結果に基づいて、天井コンベア15を搬送される部品リール20を必要なダクト16A〜16Dに送り出し、これによって、部品リール20はダクト16A〜16Dを介して部品リール収納手段14A〜14Dに収納される。
【0023】
複数の部品実装機11A〜11Dは、図4に示すように、部品移載装置31と、部品供給装置32と、基板保持装置33と、基板搬送装置34を備えている。
【0024】
基板搬送装置34は、部品実装機11A〜11Dの各基台41上に設けられ、プリント基板Bを搬送レール42に沿って搬送する図略のベルトコンベヤを備え、プリント基板Bを基板保持装置33上に搬入するとともに、基板保持装置33より搬出するものである。図4においては、プリント基板Bの搬送方向をX軸方向とし、それと直交する方向をY軸方向としている。基板保持装置33は、図示を省略するが、プリント基板Bを支持する基板支持装置と、プリント基板Bをクランプするクランプ装置とを含んでいる。
【0025】
部品移載装置31はXYロボットからなり、基台41の上方位置にY軸方向に移動可能に支持されたY軸移動台43と、Y軸移動台43上にX軸方向に移動可能に支持されたX軸移動台44と、X軸移動台44上に取付けられた実装ヘッド45とを備えている。X軸移動台44およびY軸移動台43は、図略のX軸サーボモータおよびY軸サーボモータにより、X軸方向およびY軸方向へ移動制御されるようになっている。
【0026】
実装ヘッド45には、図示してないが、ノズル軸がX軸およびY軸方向と直交するZ軸方向(上下方向)に昇降可能に、かつZ軸線の回りに回転可能に支持されている。ノズル軸には、部品を吸着する吸着ノズルが着脱可能に装着されている。
【0027】
X軸移動台44上には、CCDカメラからなる基板撮像装置47が取付けられ、基板撮像装置47は、基板保持装置33上に位置決めされたプリント基板Bに形成された基準マークおよび基板IDマークを撮像し、基板位置基準情報および基板ID情報を取得するようになっている。そして、基板撮像装置47によって取得された基板位置基準情報に基づいて、実装ヘッド45をプリント基板Bに対してXY方向に位置補正するとともに、基板ID情報に基づいて、プリント基板Bへの部品の実装作業を制御するようになっている。
【0028】
また、基台41上には、吸着ノズルに吸着された部品を下方より撮像するCCDカメラからなる部品撮像装置48が設けられている。部品撮像装置48は、吸着ノズルに吸着した部品を、部品供給装置32からプリント基板B上に移動する途中で撮像し、吸着ノズルの中心に対する部品の芯ずれおよび角度ずれを検出し、これらに基づいて実装ヘッド45のXY方向移動量を補正するとともに、ノズル軸の回転角度を補正するようにしている。
【0029】
部品供給装置32は、フィーダ型部品供給装置からなり、フィーダ型部品供給装置には、テーピングされた部品を供給する複数のテープフィーダ50がフィーダベース51に形成された複数のスロット(図示せず)にそれぞれ着脱可能に装着されており、複数のテープフィーダ50はX軸方向に並設されている。
【0030】
テープフィーダ50は、多数の部品を間隔を有して収容したテープを巻回した部品リール20を有しており、部品リール20に巻回したテープを、テープフィーダ50に内蔵された図略のモータにより駆動されるスプロケットによって間歇的に送り出すことにより、テープに収容された部品を所定の部品供給位置に順次供給できるようになっている。
【0031】
なお、テープフィーダ50は、フィーダベース51に設けられた図略のスロットに着脱可能に装着されるようになっており、テープフィーダ50がフィーダベース51に装着されると、図略のコネクタが接続されて、フィーダベース51側からテープフィーダ50に電源が供給されるとともに、テープフィーダ50の制御部とフィーダベース51の制御部との間で必要な制御信号(部品要求信号、部品供給完了信号等)やテープフィーダ50のID等の管理情報が送信されるようになっている。
【0032】
図5は、部品リール収納手段14Aの一例を示すもので、当該部品リール収納手段14Aは、部品リール20を立てた状態(垂直状態)で横方向(水平方向)に複数並べて収納できる横置き収納ボックス53を有している。横置き収納ボックス53の一端上方には、ダクト16Aによって搬送された垂直状態の部品リール20を受け入れる投入口17が形成され、横置き収納ボックス53の他端側方には、部品リール20を取り出す取り出し口55が形成されている。なお、横置き収納ボックス53の構成を分かりやすくするために、収納ボックス53を内部が透しできるように図示している。
【0033】
横置き収納ボックス53内には、複数の部品リール20を垂直状態でかつ互いに分離した状態を保ちながら取り出し口55に向けて送るらせん状のリールスタンド57が、水平軸線の回りに回転可能に支持されている。リールスタンド57の中心軸58の一端には駆動モータ59が連結され、駆動モータ59によってリールスタンド57が一方向に回転されることにより、横置き収納ボックス53内に収納された複数の部品リール20が取り出し口55に向けて送られる。
【0034】
取り出し口55に対応して部品リール台60が設置され、取り出し口55まで送られた部品リール20は、リールスタンド57より離脱されることにより、垂直状態から水平状態に姿勢変換され、部品リール台60上に保持される。
【0035】
上記したリールスタンド57および駆動モータ59により、取り出し口55より部品リール台60上に取り出された部品リール20が部品実装機11Aに補給された後、次の部品リール20を取り出し口55より取り出せるようにする分離機構100を構成している。
【0036】
横置き収納ボックス53の投入口17および部品リール台60には、それぞれセンサ61、62が設けられ、センサ61によって、投入口17の真下に部品リール20が存在しないことが確認されると、天井コンベア15から投入口17への部品リール20の受け入れを許可するようになっている。これに対し、投入口17の真下に部品リール20が存在する場合には、天井コンベア15からの部品リール20の受け入れを拒否し、当該部品リール20を天井コンベア15で循環させるようにしている。
【0037】
一方、センサ62によって、部品リール台60より部品リール20が取り除かれた、すなわち、部品リール10が部品実装機11Aに運ばれたことが確認されると、駆動モータ59が駆動されてリールスタンド57が所定角度回転され、横置き収納ボックス53内に収納された部品リール20が1ピッチ送られる。
【0038】
図6は、ダクト16Aの一例を示すもので、ダクト16Aは、天井コンベア15によって水平状態で搬送されてきた部品リール20を、ダクト16Aを通過する途中で、横置き収納ボックス53の投入口17に平行な垂直姿勢に変換するようになっている。すなわち、ダクト16Aの一端開口16A1は、天井コンベア15の搬送方向に沿って細長く(長方形)に形成され、この一端開口16A1に、天井コンベア15を水平状態で搬送されてきた部品リール20が、行き先変更部材22よってダクト16Aに送り出されることにより、ダクト16Aの一端開口16A1にほぼ垂直状態で進入される。
【0039】
これに対し、横置き収納ボックス53の投入口17は、天井コンベア15の搬送方向と直交する方向に細長く形成され、ダクト16Aの他端開口16A2は、この投入口17に対応するように細長く(長方形)形成されている。そして、ダクト16Aの途中には、一端開口16A1と他端開口16A2を互いに接続するようにねじれ部16A3が形成されている。これによって、横置き収納ボックス53の投入口17が、天井コンベア15の搬送方向と直交する方向に細長く形成されている場合でも、部品リール20がダクト16A内を搬送される途中で姿勢が変換され、投入口17より横置き収納ボックス53内に収納される。
【0040】
他の部品リール収納手段14B〜14Dおよびダクト16B〜16Dも、上記した部品リール収納手段14Aおよびダクト16Aと同じように構成されている。
【0041】
各部品実装機11A〜11Dには、制御装置70がそれぞれ設けられている。制御装置70は、図7に示すように、CPU71,ROM72,RAM73およびそれらに接続された入出力インターフェース74を備えている。
【0042】
入出力インターフェース74には、部品移載装置31、部品供給装置32、基板保持装置33および基板搬送装置34を制御する実装機制御部75と、基板撮像装置47および部品撮像装置48によって撮像された画像データを画像処理する画像処理部76と、各部品実装機11A〜11Dに装備されたバーコードリーダ78にて読み取られた部品リール20のバーコード20aを照合する部品照合部77と、表示部と操作入力部を備えた入出力装置79が接続されている。
【0043】
制御装置70のROM72には、テープフィーダ50に収容された部品のシリアルID毎に、部品の型番,寸法,収容された部品個数等のデータが保存されている。これにより、バーコードリーダ78によって部品リール20のバーコード20aが読み取られ、部品のシリアルIDが取得されると、部品の型番等を認識できるようになっている。
【0044】
制御装置70のRAM73には、図8に示すような、部品切れ予告リストPDが保存されている。部品切れ予告リストPDは、部品切れが生ずる部品名と、その部品名の部品を収容したテープフィーダ50が装着されたスロットNo.と、部品切れ予告時間(部品の残数から予測した時間)からなり、ある部品実装機11A(または、11B、11C、11D)で部品切れが近づくと、その部品名、スロットNo.および部品切れの予告時間が部品切れ予告リストPDに加えられ、入出力装置79の表示部に表示されるようになっている。
【0045】
そして、部品切れが近づいた部品を収容した部品リール20が、上記した部品リール収納手段14A(または、14B、14C、14D)に収納されると、部品切れ予告リストPDの該当する部品名の欄が、例えば、赤色表示から青色表示に変更され、作業者に部品リール20の準備状況を知らせるようになっている。
【0046】
各制御装置70は、複数の部品実装機11A〜11Dおよび部品保管庫12を制御する管理コンピュータ80にそれぞれ接続されている。管理コンピュータ80は、部品補給システム10を統合制御する制御部81を備え、この制御部81に、部品リール搬送手段13を搬送制御する搬送制御部82および部品リール収納手段14A〜14Dを送り制御する送り制御部83が接続されている。
【0047】
次に上記した実施の形態における部品補給動作について説明する。複数の部品実装機11A〜11Dにおいては、予め定められたプログラムに従って、部品供給装置32より供給された部品が実装ヘッド45に設けた図略の吸着ノズルによって吸着され、基板保持装置33に保持されたプリント基板Bに実装される。
【0048】
なお、以下の説明においては、複数の部品実装機11A〜11D、部品リール収納手段14A〜14Dおよびダクト16A〜16Dのうちの1つを特定する場合には、第1の部品実装機11A、第2の部品リール収納手段14B等のように称し、特に特定しない場合には、符号A〜Dを省略して部品実装機11、部品リール収納手段14あるいはダクト16と称することにする。
【0049】
各部品実装機11においては、部品供給装置32のテープフィーダ50より部品が取り出される毎に部品の残数が管理され、あるテープフィーダ50において部品切れが近づくと、部品実装機11の制御装置70より管理コンピュータ80に対し、部品の補給要求が指令される。
【0050】
かかる部品の補給要求指令に基づいて、部品保管庫12に保管された多数の部品リール20の中から、部品補給が必要な部品名の部品を収容した部品リール20が検索され、当該部品リール20は部品リール搬送手段13(天井コンベア15)に自動的に投入され、必要な部品実装機11に向けて搬送される。
【0051】
この場合、部品保管庫12に保管された多数の部品リール20の中から、部品補給が必要な部品名の部品を収容した部品リール20を作業者によって検索し、作業者によって部品リール20を天井コンベア15に投入することもできる。
【0052】
天井コンベア15を搬送される部品リール20は、各部品実装機11に連なる各ダクト16に到着する手前で、ID読み取り機21によってシリアルIDを読み取られ、管理コンピュータ80に送信される。管理コンピュータ80には、シリアルIDの部品リール20の補給先に関するデータが保存されているので、当該部品リール20を第1の部品実装機11Aに搬送する場合には、第1の部品実装機11Aに連なる第1のダクト16Aとの接続点に設けられた行き先変更部材22が回動されて、部品リール20が天井コンベア15より第1のダクト16Aに送り出される。
【0053】
なお、この際、センサ61(図5参照)からの信号によって、第1の部品リール収納手段13(横置き収納ボックス53)の投入口17部分に、部品リール20が存在していることが確認されると、行き先変更部材22は作動されず、部品リール20は天井コンベア15を搬送し続ける。
【0054】
同様に、当該部品リール20を第1の部品実装機11A以外に搬送する場合には、第1のダクト16Aとの接続点に設けられた行き先変更部材22は作動されず、部品リール20は第1のダクト16Aを通過して、さらに天井コンベア15によって搬送される。そして、上記したと同様に、第2のダクト14Bとの接続点において、第2のダクト14Bに送り出すかどうか判断される。
【0055】
部品リール20が、例えば、第1のダクト16Aに送り込まれると、部品リール20は第1のダクト16Aによって姿勢を変換されながら、第1の部品実装機11Aに配設された部品リール収納手段14A(横置き収納ボックス53)の投入口17より垂直状態で投入される。
【0056】
一方、センサ62からの信号によって、横置き収納ボックス53の部品リール台60上に部品リール20が存在していないことが確認されると、駆動モータ59によってリールスタンド57が一方向に回転される。これによって、横置き収納ボックス53内に収納された複数の部品リール20が取り出し口55に向けて送られる。取り出し口55まで送られた部品リール20は、リールスタンド57より離脱され、垂直状態から水平状態に姿勢を変換されて部品リール台60に保持される。
【0057】
部品リール台60に保持された部品リール20は、作業者によって部品切れを生じたテープフィーダ50位置に運ばれ、作業者によりバーコードリーダ78(図7参照)を用いて部品リール20のバーコード20aが読み取られ、第1の部品実装機11Aの制御装置70より指令された補給部品と同じ種類のものであるか否かが部品照合部77によって照合される。照合の結果、同じ種類のものであることが確認されると、作業者によりスプライシング作業が実施され、部品の補給が完了する。
【0058】
このように、必要な部品リール20を部品リール搬送手段13によって、複数の部品実装機11A〜11Dに配設された部品リール収納手段14A〜14Dに自動的に配送するようになっているので、従来のように、作業者が部品保管庫12と複数の部品実装機11A〜11Dとの各間で、部品リール20を台車等に載せて往復する必要がなくなり、必要な部品リール20を自動的に効率よく補給することが可能となる。
【0059】
図9は、部品リール収納手段の変形例を示すもので、部品リール収納手段114は、部品リール20を水平状態で上下方向に複数並べて収納可能な縦置き収納ボックス153を有している。縦置き収納ボックス153の上端には、ダクト116によって搬送された水平状態の部品リール20を受け入れる投入口117が形成され、縦置き収納ボックス153の下端側方には、部品リール20を取り出す取り出し口155が開口されている。
【0060】
縦置き収納ボックス153内には、複数の部品リール20を上下方向に分離して支持する複数の可動式ストッパ91a、91b、91c、91dが上下方向に間隔を有して配設されている。各可動式ストッパ91a〜91dは、図略の作動装置によって水平方向に進退可能となっており、前進位置で部品リール20を支持し、後退位置で支持していた部品リール20を下方に落下させるようになっている。
【0061】
この際、複数の可動式ストッパ91a〜91dは、下方より順次進退作動されるようになっており、縦置き収納ボックス153の下端に保持された部品リール20が取り出し口155より取り出され、下端が空になると、最下部に位置する第1の可動式ストッパ91aが後退され、第1の可動式ストッパ91aで支持していた部品リール20が下端に落下される。その後、第1の可動式ストッパ91aが前進されるとともに、その1つ上に位置する第2の可動式ストッパ91bが後退され、第2の可動式ストッパ91bで支持していた部品リール20が第1の可動式ストッパ91aによって支持される位置に落下される。
【0062】
このように、複数の可動式ストッパ91a〜91dを下方より順次作動させることにより、縦置き収納ボックス153内に投入された部品リール20が1ピッチずつ下方に移動される。そして、縦置き収納ボックス153の下端に位置された部品リール20が適宜の手段により、取り出し口155より取り出される。
【0063】
投入口117および取り出し口155には、それぞれセンサ93、94が設けられ、部品の補給のために取り出し口155より部品リール20が取り出されると、センサ94によって、縦置き収納ボックス153の下端が空の状態になったことが認識される。これによって、上記した複数の可動式ストッパ91a〜91dの順次動作が開始される。
【0064】
また、縦置き収納ボックス153の上端に部品リール20が存在しない場合には、これがセンサ93によって確認され、天井コンベア15からの部品リール20の受け入れを許可するようになっている。しかしながら、上端に部品リール20が存在する場合には、天井コンベア15からの部品リール20の受け入れを拒否し、当該部品リール20を天井コンベア15で循環させる。上記した複数の可動式ストッパ91a〜91dにより、取り出し口155より取り出された部品リール20が部品実装機11に補給された後、次の部品リール20を取り出し口55より取り出せるようにする分離機構100を構成している。
【0065】
上記した実施の形態によれば、多数の部品を収容した複数の部品リール20を保管する部品保管庫12と、部品実装機11A〜11Dからの部品切れ信号に基づいて部品保管庫12より取り出された所要の部品リール20を部品実装機11A〜11Dに向けて搬送する部品リール搬送手段13と、部品リール搬送手段13によって搬送された部品リール20を収納する複数の部品リール収納手段14A〜14Dとを備え、各部品リール収納手段14A〜14Dを、複数の部品リール20を収納可能で、これら部品リール20を搬送された順序で取り出し口55より1つずつ取り出せるように構成した。
【0066】
これにより、従来のように、作業者が部品保管庫12と複数の部品実装機11A〜11Dとの各間で、部品リール20を台車等に載せて往復する必要がなくなり、必要な部品リール20を自動的に効率よく補給することができるようになり、省人化が可能となる。しかも、部品補給中や部品棚での部品の選別等の段取り作業において、作業者による該当する部品の取り違いや入れ間違い等のミスを減らすことができる。
【0067】
しかも、従来のように、部品実装機側に部品リール20を保管する部品棚を設置することが不要となり、部品リール20を収納する収納ボックス53、153等からなる省スペースの部品リール収納手段14A〜14Dを設けるだけでよいので、部品補給を少ないスペースで行うことができる。
【0068】
上記した実施の形態によれば、部品リール収納手段14A〜14Dは、取り出し口55、155より取り出された部品リール20が各部品実装機11A〜11Dに補給された後、次の部品リール20を取り出し口55、155より取り出せるようにする分離機構100を有しているので、作業者は取り出し口55、155より取り出した部品リール20を、部品補給が必要な箇所に間違いなく運搬することができる。
【0069】
上記した実施の形態によれば、部品リール収納手段14A〜14Dは、部品リール20を、垂直状態で水平方向に並べて収納するようになっているので、複数の部品リール20を部品リール収納手段14A〜14Dに、簡単な構成で分離状態に収納でき、部品リール収納手段14A〜14Dからの部品リール20の取り出しを容易に行うことができる。
【0070】
上記した実施の形態によれば、部品リール搬送手段13は、天井コンベア15からなり、天井コンベア15には、各部品実装機11A〜11Dの部品リール収納手段14A〜14Dに向けて部品リール20を搬送する複数のダクト16A〜16Dが接続され、これら複数のダクト16A〜16Dの手前に、部品リール20のID20aを読み取るID読み取り機21と、ID読み取り機21の読み取り結果に基づいて部品リール20を、天井コンベア15よりダクト16A〜16Dに送り出す行き先変更部材22が設けられているので、部品リール20を部品リール収納手段14A〜14Dに的確に仕分けすることができる。
【0071】
上記した実施の形態によれば、天井コンベア15は、部品リール20を水平状態で搬送し、ダクト16A〜16Dは、部品リール20を垂直状態で部品リール収納手段14A〜14Dに収納するようになっているので、天井コンベア15における部品リール20の搬送姿勢と、部品リール収納手段14A〜14Dにおける部品リール20の収納姿勢が異なっている場合でも、特別な姿勢変換機構を設けることが不要となる。
【0072】
上記した実施の形態によれば、各部品実装機11A〜11Dは、部品切れ予告リストPDを記憶しており、部品切れ予告リストPDのうち部品リール収納手段14A〜14Dに収納された部品と、未だ収納されていない部品とを作業者が区別可能に表示するようにしたので、作業者は部品の補給状況を的確に把握することができる。
【0073】
上記した実施の形態においては、部品実装機11A〜11Dを、実装ヘッド45を用いてプリント基板Bに部品を実装する単一の実装機モジュールとして説明したが、部品実装機11A〜11Dを、複数の実装機モジュールおよび印刷機モジュール等からなる部品実装機(生産ライン)としてもよいことは勿論である。この場合、複数の実装機モジュール毎にそれぞれ部品リール収納手段を設けてもよいし、また、複数の実装機モジュールに対して共用の1つの部品リール収納手段を設けてもよい。
【0074】
なお、上記した実施の形態で述べた部品リール搬送手段13および部品リール収納手段14A〜14Dの構成は、本発明の実施に好適な一例を示したものにすぎず、実施の形態で述べた構成に限定されるものでない。また、本部品補給システムは、システムを構成する複数の部品実装機の全てに適用しなくとも一部の部品実装機のみに適用する構成としてもよい。
【0075】
斯様に、本発明は実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る部品実装システムは、部品保管庫と複数の実装機モジュールとの間で部品リールに収容された部品を補給するものに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0077】
10…部品補給システム、11A〜11D…部品実装機、12…部品保管庫、13…部品リール搬送手段、14A〜14D、114…部品リール収納手段、15…天井コンベア、16A〜16D、116…ダクト、17、117…投入口、20…部品リール、20a…ID(バーコード)、21、78…ID読み取り機(バーコードリーダ)、32…部品供給装置、45…実装ヘッド、50…テープフィーダ、53、153…収納ボックス、55、155…取り出し口、70…制御装置、80…管理コンピュータ、100…分離機構、PD…部品切れ予告リスト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9