特許第6120517号(P6120517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120517
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置用スタンド
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20170417BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G09F9/00 351
   G09F9/00 312
   H04N5/64 581G
   H04N5/64 581K
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-222455(P2012-222455)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-74812(P2014-74812A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】512257772
【氏名又は名称】株式会社アイレス
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】柿花 勝
【審査官】 南川 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0303800(US,A1)
【文献】 特開2007−163912(JP,A)
【文献】 特開2003−091242(JP,A)
【文献】 特開2006−218052(JP,A)
【文献】 特開2009−300974(JP,A)
【文献】 特開2004−145784(JP,A)
【文献】 特開2007−102209(JP,A)
【文献】 特開2010−107745(JP,A)
【文献】 特開2008−281602(JP,A)
【文献】 特表2013−533981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
G02F 1/13−1/163
H04N 5/64−5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な設置面上を移動することが可能に構成される基部と、
前記基部に設けられる移動体であって、鉛直方向に昇降することが可能に構成される移動部を有する移動体と、
ディスプレイ装置が取付けられるディスプレイ装置取付体と、
前記移動部および前記ディスプレイ装置取付体にわたって設けられ、前記移動部に対して近接離反方向および鉛直方向に前記ディスプレイ装置取付体を変位させることが可能に構成される位置調整手段と、を含み、
前記ディスプレイ装置取付体は、略四角枠状に形成され、
前記位置調整手段は、
前記ディスプレイ装置取付体の4つの角部のうち、下側に配置される2つの角部のうちの一方を、前記移動部に対して近接離反方向に変位させて、前記ディスプレイ装置取付体の前記移動部に対する位置を調整することが可能に構成される第1調整部と、
前記下側に配置される2つの角部のうちの他方を、前記移動部に対して近接離反方向に変位させて、前記ディスプレイ装置取付体の前記移動部に対する位置を調整することが可能に構成される第2調整部と、
前記ディスプレイ装置取付体の4つの角部のうち、上側に配置される2つの角部のうちの一方を鉛直方向に変位させて、前記移動部に対して鉛直方向の位置を調整することが可能に構成される第3調整部と、
前記上側に配置される2つの角部のうちの他方を鉛直方向に変位させて、前記移動部に対して鉛直方向の位置を調整することが可能に構成される第4調整部とを含み、
前記第1および第2調整部は、前記ディスプレイ装置取付体および前記移動部の一方から他方に向かって突出して該他方に接触し、接触箇所の変位によって前記ディスプレイ装置取付体の前記移動部に対する位置を近接離反方向に変位させ、
前記第3および第4調整部は、前記移動部に固定されて前記ディスプレイ装置取付体を支持し、支持箇所の変位によって前記ディスプレイ装置取付体を前記鉛直方向に変位させることを特徴とするディスプレイ装置用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチディスプレイ、液晶ディスプレイおよびプラズマディスプレイなどのディスプレイ装置を支持するディスプレイ装置用スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイおよびプラズマディスプレイなどのディスプレイ装置が広く普及し、60インチを超える大型ディスプレイ装置も屋内にとどまらず、あらゆる場所で利用されている。また複数のディスプレイ装置を一平面上でマトリクス状に組み合わせて1つのディスプレイ装置を構成する、いわゆるマルチディスプレイ装置も実用化され、広く利用されている。
【0003】
大型ディスプレイ装置およびマルチディスプレイ装置は、その重量が約100kg〜300kgと大きいこともあり、建物の壁面にボルトなどで固定された支持フレームに取付けられて設置され、または専用の設置台に設置されている。したがって、これら大型ディスプレイ装置およびマルチディスプレイ装置は、容易に移動できるものではない。
【0004】
一方、これらディスプレイ装置の普及にともない、たとえば展示会場、ライブ会場、屋外のイベント会場などにおける舞台装置においても、大型ディスプレイ装置およびマルチディスプレイ装置を使用したい、という要望がある。
【0005】
たとえばステージとステージの後方に設けられるバックパネルとも称される壁構造体とを備える舞台装置において、前記壁構造体にマルチディスプレイ装置を設置する場合、従来技術では、壁構造体に、予めマルチディスプレイ装置を配置するための開口部を形成し、該開口部に枠状のフレームを取り付けるための下地構造体を構築し、該下地構造体に前記フレームを取り付ける。そして、マルチディスプレイ装置を構成する各ディスプレイ装置を前記フレームにそれぞれ嵌め込んで取付け、こうして壁構造体にマルチディスプレイ装置が設置される。
【0006】
またディスプレイ装置用スタンドの他の従来技術としては、特許文献1記載の薄型ディスプレイ用のスタンドを挙げることができる。この従来技術では、薄型ディスプレイ用のスタンドは、支持脚とキャスタとアジャスタとからなる基台と、基台に固定され、基台から垂直に延びる2本の支柱と、前記支柱に摺動可能に設けられる昇降ケースと、昇降ケースの前面に設けられるベースフレームと、ベースフレームに設けられるアタッチメントと、を含んで構成される。
【0007】
この他の従来技術のスタンドは、支柱に摺動可能に設けられる昇降ケースを摺動させることによって、鉛直方向に関してディスプレイ装置の位置を調整することができる。また従来技術のスタンドは、ベースフレームが昇降ケースに対する近接離反方向に変位可能に構成されるので、前後方向に関してディスプレイ装置の位置を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3103390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の従来技術では、大型ディスプレイ装置およびマルチディスプレイ装置を設置するために、舞台装置の設営に加えて、下地構造体を構築する必要があり、舞台装置を撤去する際には、下地構造体も撤去しなければならない。そのため、大型ディスプレイ装置およびマルチディスプレイ装置を設置および撤去するために、多大なコストと時間が必要となる、という問題がある。
【0010】
また前述の従来技術では、下地構造体にフレームを取り付けた後に、大型ディスプレイ装置またはマルチディスプレイ装置を該フレームに設置するので、重量が大きい大型ディスプレイ装置またはマルチディスプレイ装置をフレームの位置まで移動させる必要があり、撤去時には、重量が大きい大型ディスプレイ装置またはマルチディスプレイ装置をフレームから取り外す必要がある。そのため、大型ディスプレイ装置またはマルチディスプレイ装置の設置および撤去に時間と労力を要する、という問題がある。
【0011】
このような問題を解消するため、予め壁構造体に、設置すべき大型ディスプレイ装置またはマルチディスプレイ装置に対応する開口部を形成し、大型ディスプレイ装置またはマルチディスプレイ装置を移動式のスタンドによって支持して設置することが考えられる。しかしながら、前述の他の従来技術のスタンドは、そもそも、前述した大型ディスプレイ装置またはマルチディスプレイ装置を想定したものではない。
【0012】
ディスプレイ装置の設置作業において、前述のように、重量が大きい大型ディスプレイ装置およびマルチディスプレイ装置は、自重によって両側部が中央部よりも下方へ左右個別に変形しており、しかも前後方向には、鉛直平面を基準にして、画面中央から4つの角部に向かって個別に前後方向に変形量が異なる。そのため、このようなディスプレイ装置を、設置対象とする壁構造体の開口部へ嵌め込むに際しては、ディスプレイ装置の位置調整のために多くの手間および時間を要し、ディスプレイ装置の設置作業を容易にかつ効率よく行うことが要求される。
【0013】
しかしながら、前述の他の従来技術のスタンドは、昇降ケースに対するベースフレームの鉛直方向の位置を調整することができず、ディスプレイ装置の鉛直方向の位置調整は、支柱に対する昇降ケースの鉛直方向の位置の調整のみで行われることになるので、ディスプレイ装置の位置の微調整ができず、設置作業を容易かつ効率よく行うことができない。
【0014】
本発明の目的は、重量の大きなディスプレイ装置であっても容易かつ効率よく設置することができるディスプレイ装置用スタンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、水平な設置面上を移動することが可能に構成される基部と、
前記基部に設けられる移動体であって、鉛直方向に昇降することが可能に構成される移動部を有する移動体と、
ディスプレイ装置が取付けられるディスプレイ装置取付体と、
前記移動部および前記ディスプレイ装置取付体にわたって設けられ、前記移動部に対して近接離反方向および鉛直方向に前記ディスプレイ装置取付体を変位させることが可能に構成される位置調整手段と、を含み、
前記ディスプレイ装置取付体は、略四角枠状に形成され、
前記位置調整手段は、
前記ディスプレイ装置取付体の4つの角部のうち、下側に配置される2つの角部のうちの一方を、前記移動部に対して近接離反方向に変位させて、前記ディスプレイ装置取付体の前記移動部に対する位置を調整することが可能に構成される第1調整部と、
前記下側に配置される2つの角部のうちの他方を、前記移動部に対して近接離反方向に変位させて、前記ディスプレイ装置取付体の前記移動部に対する位置を調整することが可能に構成される第2調整部と、
前記ディスプレイ装置取付体の4つの角部のうち、上側に配置される2つの角部のうちの一方を鉛直方向に変位させて、前記移動部に対して鉛直方向の位置を調整することが可能に構成される第3調整部と、
前記上側に配置される2つの角部のうちの他方を鉛直方向に変位させて、前記移動部に対して鉛直方向の位置を調整することが可能に構成される第4調整部とを含み、
前記第1および第2調整部は、前記ディスプレイ装置取付体および前記移動部の一方から他方に向かって突出して該他方に接触し、接触箇所の変位によって前記ディスプレイ装置取付体の前記移動部に対する位置を近接離反方向に変位させ、
前記第3および第4調整部は、前記移動部に固定されて前記ディスプレイ装置取付体を支持し、支持箇所の変位によって前記ディスプレイ装置取付体を前記鉛直方向に変位させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水平な設置面を移動することが可能に構成される基台に、鉛直方向に昇降することが可能に構成される移動部を有する移動体が設けられる。前記移動体の移動部とディスプレイ装置取付体とにわたって位置調整手段が設けられる。位置調整手段は、ディスプレイ装置取付体を移動部に対して近接離反方向および鉛直方向に変位させることができる。
【0018】
このようにディスプレイ装置用スタンドは、ディスプレイ装置がディスプレイ装置取付体に取付けられ、ディスプレイ装置取付体が前記位置調整手段を介して移動体の移動部に取付けられるので、基台によって設置面上を移動させて、希望する設置場所にディスプレイ装置用スタンドを配置し、ディスプレイ装置が設置されるべき所定の設置位置の近傍に該ディスプレイ装置が配置された状態から、該ディスプレイ装置を移動部によって鉛直方向に移動させて高さ位置を調整し、前記位置調整手段によって、該ディスプレイ装置を前記移動部に対して近接離反方向に変位させ、さらに鉛直方向に変位させて、該ディスプレイ装置を、容易かつ迅速に、前記所定の設置位置に高精度で位置決めして配置し、設置することができる。
【0019】
た、位置調整手段が第1〜第4調整部を含んで構成されるので、第1調整部によって、ディスプレイ装置取付体の4つの角部のうち、下側に配置される2つの角部のうちの一方を、移動部に対して近接離反方向に変位させて位置を調整することができる。また第2調整部によって、前記下側に配置される2つの角部のうちの他方を、移動部に対して近接離反方向に変位させて位置を調整することができる。さらに第3調整部によって、ディスプレイ装置取付体の4つの角部のうち、上側に配置される2つの角部のうちの一方を鉛直方向に変位させて鉛直方向の位置を調整することができる。さらに第4調整部によって、前記上側に配置される2つの角部のうちの他方を鉛直方向に変位させて、前記移動部に対する鉛直方向の位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るディスプレイ装置用スタンド1を右側面から見たときの内部構造を示す図である。
図2】ディスプレイ装置用スタンド1を背面から見たときの内部構造を示す図である。
図3】ディスプレイ装置用スタンド1を平面から見たときの内部構造を示す図である。
図4】移動体3の構成を示す部分拡大図である。
図5】移動部4がZ方向一方に移動した状態を右側面から見た模式図である。
図6】移動部4がZ方向一方に移動した状態を背面から見た模式図である。
図7】固定フレーム50を示す斜視図である。
図8】可動フレーム60を示す斜視図である。
図9】正面から見たときの位置調整手段5の構成を示す図である。
図10】平面から見たときの位置調整手段5の構成を示す図である。
図11】右側面から見たときの位置調整手段5の構成を示す図である。
図12】第1調整部A1の動作を説明する模式図であり、図12(1)は第1調整ボルト70の螺進前の状態を示す図であり、図12(2)は第1調整ボルト70の螺進後の状態を示す図である。
図13】第3調整部A3の構成を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るディスプレイ装置用スタンド1を右側面から見たときの内部構造を示す図であり、図2は、ディスプレイ装置用スタンド1を背面から見たときの内部構造を示す図であり、図3は、ディスプレイ装置用スタンド1を平面から見たときの内部構造を示す図であり、図4は、移動体3の構成を示す部分拡大図である。
【0022】
ディスプレイ装置用スタンド1(以下、「スタンド1」という。)は、水平な設置面80上を移動可能な基部2と、基部2に設けられる移動体であって鉛直方向に昇降可能に構成される移動部4を有する移動体3と、ディスプレイ装置7が取付けられるディスプレイ装置取付体6と、移動部4およびディスプレイ装置取付体6にわたって設けられ、ディスプレイ装置取付体6を移動部4に対する近接離反方向および鉛直方向に変位可能に構成される位置調整手段5とを含んで構成される。
【0023】
基部2は、四角板状の基台20と、基台20の長手方向の各端部側に設けられる2つの脚部21a,21bと、固定部10と、巻上げ機13とを含む。以下、基台20の長手方向を「X方向」と称し、前記長手方向に垂直な幅方向を「Y方向」と称し、前記長手方向および前記幅方向に垂直な方向を「Z方向」と称して説明する。
【0024】
基台20は、金属製のフレーム部材を枠組みして枠体を構成し、該枠体に板状部材を固定することによって実現することができる。基台20の下面にはキャスタ90が設けられる。これによって、基台20は設置面上を移動することができる。また基台20には、補助脚92が設けられる。補助脚92は、軸部と円盤状の脚部とを有する。補助脚92は、軸部が基台20に形成された孔に挿通され、脚部が設置面80に当接する。
【0025】
基台20のX方向の各端面部には、X方向に厚みを有するレール片22a,22bが形成される。レール片22a,22bは、Y方向に一様に延びて形成される。レール片22a,22bのZ方向の各表面部には、図示しない複数のリテーナが前記Y方向に間隔をあけて取り付けられる。
【0026】
脚部21a,21bは、四角柱状に形成され、Y方向に沿って延びる。各脚部21a,21bの基台20に臨む端面部には、X方向に厚みを有し、Y方向に延びる断面が凸状のレール片23a,23bが形成される。2つの脚部21a,21bの下面にはキャスタ91が設けられる。これによって各脚部21a,21bは、設置面80上を移動可能に構成される。
【0027】
基台20と2つの脚部21a,21bとの間には案内レール24a,24bがそれぞれ設けられる。案内レール24a,24bは、断面が略Hの字状に形成され、Y方向に延びる長尺材である。案内レール24a,24bの長手寸法は、基台20の幅寸法とほぼ同じ長さに設定される。案内レール24a,24bは、各レール片22a,22b,23a,23bがそれぞれ嵌り込む2つの案内部を有する。
【0028】
前記案内部には、基台20のレール片22a,22bと脚部21a,21bのレール片23a,23bとがそれぞれ差し込まれる。これによって、基台20と各脚部21a,21bとが案内レール24a,24bにより、Y方向に摺動可能に連結される。
【0029】
基台20と各脚部21a,21bとの間には、板状の位置固定部材25a,25bが取り付けられる。位置固定部材25a,25bは、基台20の上面と各脚部21a,21bの上面とにわたってそれぞれ設けられる。位置固定部材25a,25bは、X方向一端部が基台20にボルトによって固定され、X方向他端部が各脚部21a,21bにボルトによって固定される。
【0030】
これによって、位置固定部材25a,25bは、基台20と各脚部21a,21bとの摺動を規制し、基台20に対する各脚部21a,21bの位置を固定する。位置固定部材25a,25bの各脚部21a,21bの上面に配置される位置には、Y方向に間隔をあけて、複数の孔が形成される。位置固定部材25a,25bと各脚部21a,21bとは、前記孔にボルトの軸部が挿通されて固定される。基台20に対する各脚部21a,21bのY方向の位置は、ボルトの軸部が挿通される前記孔を変更することによって、調整することができる。
【0031】
固定部10は、一対の第1固定支柱30a,30bと、一対の第2固定支柱31a,31bと、中間支柱32とを有する。
【0032】
第1固定支柱30a,30bは、Z方向に延びる断面が略C字状の長尺材であり、互いに対向して設けられる。第1固定支柱30a,30bは、長手方向一端部が基台20に固定される。
【0033】
第2固定支柱31a,31bは、Z方向に延びる断面が略C字状の長尺材であり、互いに対向して設けられる。第2固定支柱31a,31bは、長手方向一端部が基台20に固定される。
【0034】
中間支柱32は、Z方向に延びる断面が略C字状の長尺材であり、基台20のX方向中間部で、かつ、第2固定支柱31a,31bよりもY方向に関して第1固定支柱30a,30bから離間した位置に設けられる。中間支柱32は、長手方向一端部が基台20に固定される。
【0035】
第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32の長手寸法は、同一に形成される。固定部10は、巻上げ機13を支持する板状の巻上げ機支持部材15と、後述する第2索条28a,28bの一端部が係止される板状の索条係止部材16とを含む。
【0036】
巻上げ機支持部材15は、第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32にそれぞれ固定される。巻上げ機支持部材15には、第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32がそれぞれ挿通される孔が形成され、第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32は、該孔にそれぞれ挿通されて、巻上げ機支持部材15を貫通して設けられる。
【0037】
索条係止部材16は、巻上げ機支持部材15よりもZ方向一方(上方)寄りに設けられる。索条係止部材16は、第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32にそれぞれ固定される。索条係止部材16には、第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32がそれぞれ挿通される孔が形成され、第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32は、該孔にそれぞれ挿通されて、索条係止部材16を貫通して設けられる。また索条係止部材16には、後述する第1索条27が挿通される孔が形成される。
【0038】
第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32の長手方向他端部には、略板状の蓋体33が取り付けられる。蓋体33の底部には、第1索条27が巻き掛けられる第1滑車17が設けられる。蓋体33は、第1固定支柱30a,30b、第2固定支柱31a,31bおよび中間支柱32の長手方向他端部側端面を覆う。
【0039】
巻上げ機13は、巻上げ機支持部材15に設置され、第1索条27の一部が巻き掛けられる。巻上げ機13は、第1索条27を巻き上げ、および巻き下ろし可能であり、たとえば手巻ウィンチまたは動力ウィンチによって実現される。
【0040】
第1索条27は、一端部側が巻上げ機13に巻き掛けられ、第1滑車17に巻き掛けられて、他端部が後述する可動部11の底部材41に係止される。第1索条27は、たとえばワイヤロープによって実現される。
移動体3は、可動部11と、移動部4とを含んで構成される。
【0041】
可動部11は、Z方向に延び、断面が略C字状の一対の可動レール40a,40bと、可動レール40a,40bの長手方向一端部に、可動レール40a,40b間にわたって設けられ、可動レール40a,40bの長手方向一端部側の端面を覆う板状の底部材41と、可動レール40a,40bの長手方向他端部に、Y方向に延び、可動レール40a,40b間にわたって設けられ、可動レール40a,40bの長手方向他端部側の端面を覆う板状の蓋体42と、を含んで構成される。
【0042】
蓋体42の下面であってY方向中間部には、後述する2本の第2索条28a,28bに対応して、2つの第2滑車18a,18bが設けられる。
【0043】
可動レール40a,40bの外表面部には、第2固定支柱31a,31bに形成される空間内に収容され、第2固定支柱31a,31b内でZ方向に移動可能な複数の案内ローラ43が取り付けられる。本実施形態では、案内ローラ43は、Z方向に間隔をあけて3つ取り付けられている。
【0044】
底部材41には、第1索条27の他端部が係止される。巻上げ機13を駆動して第1索条27を巻上げることによって、可動部11には第1滑車17に近接する方向への力が作用する。これによって、可動部11は、第2固定支柱31a,31bに案内されてZ方向一方(上方)に移動する。また巻上げ機13を駆動して第1索条27を巻下ろすと、可動部11は自重によって、第2固定支柱31a,31bに案内されてZ方向他方(下方)に移動する。
【0045】
移動部4は、移動部本体45と、フランジ部46a,46bと、案内ローラ47と、第2索条28a,28bとを含んで構成される。移動部本体45は、四角形の枠体とX方向に延びる2つの中桟とによって構成される。フランジ部46a,46bは、板状に形成され、移動部本体45からY方向に突出する。移動部本体45のフランジ部46a,46bが形成される側には、第2索条28a,28bの他端部がそれぞれ係止される係止部48a,48bが形成される。
【0046】
フランジ部46a,46bの遊端部には、可動レール40a,40bに形成される空間内に収容され、可動レール40a,40b内でZ方向に移動可能な複数の案内ローラ47が取り付けられる。本実施形態では、案内ローラ47は、Z方向に間隔をあけて3つ取り付けられている。
【0047】
第2索条28a,28bは、一端部が索条係止部材16に係止され、第2滑車18a,18bにそれぞれ巻き掛けられて、他端部が係止部48a,48bにそれぞれ係止される。第2索条28a,28bは、たとえばワイヤロープによって実現される。
【0048】
図5は、移動部4がZ方向一方に移動した状態を右側面から見た模式図であり、図6は、移動部4がZ方向一方に移動した状態を背面から見た模式図である。以下、移動部4および可動部11のZ方向への移動について説明する。
【0049】
移動部4および可動部11は、巻上げ機13によって第1索条27を巻き上げおよび巻き下ろしすることにより、Z方向に移動する。具体的に説明すると、巻上げ機13によって第1索条27を巻き上げると、可動部11がZ方向一方(上方)に移動する。可動部11がZ方向一方(上方)に移動すると、第2滑車18a,18bのZ方向における位置がZ方向一方(上方)に移動する。
【0050】
これによって第2索条28a,28bの他端部がZ方向一方(上方)に移動し、これにともなって移動部4は可動レール40a,40bに案内されてZ方向一方(上方)に移動する。
【0051】
反対に、巻上げ機13によって第1索条27を巻き下ろすと、可動部11がZ方向他方(下方)に移動する。可動部11がZ方向一方(下方)に移動すると、第2滑車18a,18bのZ方向における位置がZ方向他方(下方)に移動する。
【0052】
これによって第2索条28a,28bの他端部がZ方向他方(下方)に移動し、これにともなって移動部4は可動レール40a,40bに案内されてZ方向他方(下方)に移動する。このようにして、移動部4および可動部11は、Z方向に移動する。
【0053】
次に位置調整手段5について説明する。位置調整手段5は、固定フレーム50と可動フレーム51とを含む。図7は固定フレーム50を示す斜視図であり、図8は可動フレーム60を示す斜視図である。
【0054】
固定フレーム50は、略四角枠状に形成される板状のフレーム本体52と、フレーム本体52のZ方向一方側の角部にそれぞれ設けられる取付筐体53a,53bと、フレーム本体52のZ方向他方側の角部に連なり、X方向に延出して形成される延出部54a,54bとを有する。フレーム本体52は、移動部本体45にねじ止めされて固定される。
【0055】
取付筐体53a,53bは、四角箱状に形成される。取付筐体53a,53bの上面部には、ねじ孔55a,55bが形成される。また取付筐体53a,53bの下面部には、ねじ孔59a,59bが形成される。ねじ孔55aとねじ孔59aは、同一軸線上に中心が配置される。ねじ孔55bとねじ孔59bは、同一軸線上に中心が配置される。
【0056】
取付筐体53a,53bのフレーム本体52に臨む側面部およびこれと対向する側面部には、Z方向に延びる長孔56a,56bが形成される。取付筐体53a,53bのY方向一方(前方)に臨む表面部は、後述する可動フレーム60の嵌合片63a,63bが差し込まれる開口部57が形成される。
【0057】
延出部54a,54bは、板状に形成され、フレーム本体52に連なる。延出部54には、Y方向に貫通するねじ孔58a,58bが形成される。
【0058】
可動フレーム60は、格子状に形成されるフレーム本体61と、フレーム本体61のZ方向中間部からX方向に連なって形成されるフランジ部62a,62bと、フランジ部62a,62bからY方向他方(後方)に突出して形成される嵌合片63a,63bと、フレーム本体61のZ方向他方側の角部に連なり、X方向に延出して形成される延出部64a,64bとを有する。嵌合片63a,63bには、X方向に貫通するピン孔65が形成される。
【0059】
図9は、正面から見たときの位置調整手段5の構成を示す図であり、図10は、平面から見たときの位置調整手段5の構成を示す図であり、図11は右側面から見たときの位置調整手段5の構成を示す図である。
【0060】
固定フレーム50と可動フレーム60とは、取付筐体53a,53bの開口部57の開口に嵌合片63a,63bを差込み、ピン74a,74bを長孔56a,56b、ピン孔65に挿通し、ねじ孔55a,55bにZ方向一方側から固定ボルト75a,75bを螺着し、嵌合片63a,63bに当接させ、ねじ孔59a,59bにZ方向他方側から第3および第4調整ボルト72,73をそれぞれ螺着して、嵌合片63a,63bに当接させることによって、相互に連結される。このように、固定フレーム50と可動フレーム60とは、連結されるので、可動フレーム60は、固定フレーム50に対して、ピン74a,74bの軸線まわりに変位可能に連結される。
【0061】
第3および第4調整ボルト72,73は、軸部の先端が球面の一部を成す形状に形成される。これによって、第3および第4調整ボルト72,73は、嵌合片63a,63bに点接触する。このように、第3および第4調整ボルト72,73を嵌合片63a,63bに点接触させて支持することによって、可動フレーム60のピン74a,74bの軸線まわりの変位を円滑に許容することができる。
【0062】
位置調整手段5は、第1および第2調整ボルト70,71をさらに含む。第1調整ボルト70は、移動部4側からねじ孔58aに螺着され、固定フレーム50をY方向に貫通してその先端が延出部64aに当接して設けられる。第2調整用ボルト71は、移動部4側からねじ孔58bに螺着され固定フレーム50をY方向に貫通してその先端が延出部64bに当接して設けられる。
【0063】
第1および第2調整ボルト70,71は、軸部の先端が球面の一部を成す形状に形成される。これによって、第1および第2調整ボルト70,71は、延出部64a,64bに点接触する。このように、第1および第2調整ボルト70,71を延出部64a,64bに点接触させることによって、可動フレーム60の延出部64a,64bをY方向に円滑に移動させることができ、微小な調整をすることができる。
【0064】
位置調整手段5は、第1調整部A1と、第2調整部A2と、第3調整部A3と、第4調整部A4とを有する。延出部54aと、ねじ孔58aと、第1調整ボルト70によって第1調整部A1が構成される。延出部54bと、ねじ孔58bと、第2調整ボルト71によって第1調整部A2が構成される。
【0065】
嵌合片63aと、ピン孔65と、取付筐体53aと、ねじ孔55a,59aと、長孔56a,56bと、開口部57と、固定ボルト75aと、第3調整ボルト72とによって第3調整部A3が構成される。嵌合片63bと、ピン孔65と、取付筐体53bと、ねじ孔55b,59bと、長孔56a,56bと、開口部57と、固定ボルト75bと、第4調整ボルト73とによって第4調整部A4が構成される。
【0066】
ディスプレイ装置取付体6は、可動フレーム60のフレーム本体61にねじ止めされて固定される。本実施形態では、ディスプレイ装置取付体6は、マルチディスプレイ装置用のディスプレイ取付具であり、格子状に形成されたフレームである。また他の実施形態では、ディスプレイ装置取付体6は、取り付けるべきディスプレイ装置7に対応する枠状のフレームである。ディスプレイ装置取付体6は、公知であるので詳細な説明は省略する。
【0067】
次に第1〜第4調整部A1〜A4の動作について説明する。図12は、第1調整部A1の動作を説明する模式図であり、図12(1)は、第1調整ボルト70の螺進前の状態を示す図であり、図12(2)は、第1調整ボルト70の螺進後の状態を示す図である。
【0068】
可動フレーム60は、固定フレーム50に対して、ピン74a,74bの軸線まわりに変位可能に連結されるので、第1調整部A1は、第1調整ボルト70を螺進および螺退させ、延出部64bとの接触箇所の変位によって、延出部64aをY方向に変位させることができる。
【0069】
これによって、第1調整部A1は、ディスプレイ装置取付体6の4つの角部のうち、下側に配置される2つの角部のうちの一方を、移動部4に対して近接離反方向(Y方向)に変位させて、ディスプレイ装置取付体6の移動部4に対して近接離反方向(Y方向)の位置を調整することができる。
【0070】
可動フレーム60は、固定フレーム50に対して、ピン74a,74bの軸線まわりに変位可能に連結されるので、第2調整部A2は、第2調整ボルト71を螺進および螺退させ、延出部64bとの接触箇所の変位によって、延出部64bをY方向に変位させることができる。
【0071】
これによって、第2調整部A2は、ディスプレイ装置取付体6の4つの角部のうち、下側に配置される2つの角部のうちの他方を、移動部4に対して近接離反方向(Y方向)に変位させて、ディスプレイ装置取付体6の移動部4に対して近接離反方向(Y方向)の位置を調整することができる。
【0072】
図13は、第3調整部A3の構成を示す部分拡大断面図である。第3調整部A3は、固定ボルト75aおよび第3調整ボルト72を、螺進および螺退させることによって、ピン74aの鉛直方向(Z方向)位置を、長孔56a,56bに沿って調整することができる。
【0073】
これによって、第3調整部A3は、ディスプレイ装置取付体6の4つの角部のうち、上側に配置される2つの角部のうちの一方を鉛直方向(Z方向)に変位させて、移動部4に対する鉛直方向(Z方向)の位置を調整することができる。
【0074】
第4調整部A4は、固定ボルト75bおよび第4調整ボルト73を、螺進および螺退させることによって、ピン74bの鉛直方向(Z方向)位置を、長孔56a,56bに沿って調整することができる。
【0075】
これによって、第4調整部A4は、ディスプレイ装置取付体6の4つの角部のうち、上側に配置される2つの角部のうちの他方を鉛直方向(Z方向)に変位させて、移動部4に対する鉛直方向(Z方向)の位置を調整可能に構成される。
【符号の説明】
【0076】
1 ディスプレイ装置用スタンド
2 基部
3 移動体
4 移動部
5 位置調整手段
6 ディスプレイ装置取付体
7 ディスプレイ装置
10 固定部
11 可動部
12 移動部
13 巻上げ機
17 第1滑車
18a,18b 第2滑車
27 第1索条
28a,28b 第2索条
30a,30b 第1固定支柱
31a,31b 第2固定支柱
40a,40b 可動レール
41 底部材
43 案内ローラ
45 移動部本体
47 案内ローラ
50 固定フレーム
53a,53b 取付筐体
54a,54b 延出部
60 可動フレーム
63a,63b 嵌合片
64a,64b 延出部
65 ピン孔
70 第1調整ボルト
71 第2調整ボルト
72 第3調整ボルト
74 第4調整ボルト
74a,74b ピン
75a,75b 固定ボルト
A1 第1調整部
A2 第2調整部
A3 第3調整部
A4 第4調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13