特許第6120587号(P6120587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120587
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】容器詰飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20170417BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20170417BHJP
   A23F 3/16 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
   A23L33/105
   A23F3/16
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-15056(P2013-15056)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-143961(P2014-143961A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】小田 遼介
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−319075(JP,A)
【文献】 特開2005−245351(JP,A)
【文献】 特開平01−174328(JP,A)
【文献】 特開2011−030512(JP,A)
【文献】 特開2012−070641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
A23F 3/00−3/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D);
(A)非重合体カテキン類 0.03〜0.4質量%
(B)スクラロース
(C)アセスルファムカリウム
(D)環状オリゴ糖 0.002〜0.2質量%
を含有し、
成分(B)と成分(C)との質量比〔(B):(C)〕が1::1である、加熱殺菌された容器詰飲料。
【請求項2】
成分(B)の含有量が0.002〜0.03質量%である、請求項1記載の容器詰飲料。
【請求項3】
成分(C)の含有量が0.001〜0.03質量%である、請求項1又は2記載の容器詰飲料。
【請求項4】
成分(D)の含有量が0.002〜0.2質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
【請求項5】
pHが2〜5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
【請求項6】
(B)スクラロースと、(C)アセスルファムカリウムとの質量比〔(B):(C)〕を1::1に調整し、0.002〜0.2質量%の(D)環状オリゴ糖とともに配合する、0.03〜0.4質量%の(A)非重合体カテキン類を含有する加熱殺菌された容器詰飲料の劣化臭抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりから、ポリフェノールの生理効果が注目されている。例えば、ポリフェノールの一つである非重合体カテキン類について、コレステロール上昇作用やアミラーゼ活性阻害作用などが報告されており、これらを強化した非重合体カテキン類含有容器詰飲料が開発されている。
【0003】
一方、甘味料においても、健康志向の高まりから、ショ糖よりも強い甘味を有するため少ない使用量で甘味を付与できる低カロリー甘味料として高甘味度甘味料が注目されており、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロースなどの高甘味度甘味料の利用が検討されている。例えば、ホップ抽出物の苦味をアセスルファムカリウムにより低減する技術(特許文献1)、コラーゲンの呈味をスクラロース及びステビアにより改善する技術(特許文献2)、スクラロース、アスパルテーム、アセサルフェームK、またはこれらの混合物によりカテキンの生理効果を発現しつつ苦味を改良した飲料(特許文献3)、重合体カテキン類の苦渋味をアスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムカリウム又はアリテームにより低減する技術(特許文献4)、炭酸飲料の呈味をアスパルテームで改善する技術(特許文献5)、スクラロースの甘味の後引き感をアセスルファムカリウムにより改善する技術(特許文献6)など呈味改善のための技術が数多く提案されているが、劣化臭の改善についての報告はない。
劣化臭の改善については、サイクロデキストリンを用いて緑茶飲料のレトルト臭を抑制するという技術が知られている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−55074号公報
【特許文献2】特開2006−204287号公報
【特許文献3】特表2009−544294号公報
【特許文献4】特開2009−65872号公報
【特許文献5】特開2011−103858号公報
【特許文献6】特開2008−253276号公報
【特許文献7】特開平1−174328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容器詰飲料は、時と場所を問わず直接飲用できる点で利便性が高く、また嗜好性の高い飲料であるが、常温流通や長期保存するために製造時において加熱殺菌することが避けられない。しかしながら、製造時の加熱殺菌処理(レトルト等)により、非重合体カテキン類の原料並びにその他配合物由来の風味成分の存在により特有の劣化臭を生成し、また長期保存中に劣化臭が強調され、嗜好性が低下することが重要な課題となっている。当該課題を解決する従来技術として、前記サイクロデキストリンを用いてレトルト臭を抑制する方法があるが、非重合体カテキン類が高濃度となるとサイクロデキストリンのみではその効果が十分ではなく、長期保存においても満足いくものではないことが判明した。
そこで、本発明の課題は、加熱殺菌後及び保存後の劣化臭が抑制された非重合体カテキン類含有容器詰飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑み検討した結果、環状オリゴ糖に加え、スクラロース及びアセスルファムカリウムを併用し、かつそれらを特定の量比で配合したときに、加熱殺菌による劣化臭の抑制効果が発現されることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D);
(A)非重合体カテキン類 0.03〜0.4質量%
(B)スクラロース
(C)アセスルファムカリウム
(D)環状オリゴ糖
を含有し、成分(B)と成分(C)との質量比〔(B):(C)〕が1:6〜6:1である、加熱殺菌された容器詰飲料を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、(B)スクラロースと、(C)アセスルファムカリウムとの質量比〔(B):(C)〕を1:6〜6:1に調整し、(D)環状オリゴ糖とともに配合する、0.03〜0.4質量%の(A)非重合体カテキン類を含有する加熱殺菌された容器詰飲料の劣化臭抑制方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加熱殺菌後及び保存後の劣化臭が抑制された非重合体カテキン類含有容器詰飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の容器詰飲料は、(A)非重合体カテキン類を含有する。
本発明の容器詰飲料中の(A)非重合体カテキン類の含有量は0.03〜0.4質量%であるが、生理効果発現の観点から、0.04質量%以上が好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、また風味の観点から、0.35質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.25質量%以下が更に好ましい。かかる(A)非重合体カテキン類の含有量の範囲としては、本発明の容器詰飲料中に、好ましくは0.03〜0.35質量%、より好ましくは0.04〜0.3質量%、更に好ましくは0.05〜0.25質量%である。ここで、本明細書において「非重合体カテキン類」とは、エピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピカテキンからなるエピ体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、ガロカテキン及びカテキンからなる非エピ体を併せての総称であり、非重合体カテキン類の濃度は上記8種の合計量に基づいて定義される。
【0011】
また、本発明の容器詰飲料は、加熱殺菌後及び保存後の劣化臭を抑制するために、(B)スクラロース及び(C)アセスルファムカリウムを含有する。
(B)スクラロース及び(C)アセスルファムカリウムは、高甘味度甘味料として一般に市販されているものを特に限定なく使用することができる。
【0012】
本発明の容器詰飲料中の(B)スクラロースと(C)アセスルファムカリウムとの質量比〔(B):(C)〕が1:6〜6:1であるが、より一層の劣化臭抑制の観点から、1:5〜5:1が好ましく、1:4〜4:1がより好ましく、1:4〜2:1が更に好ましく、1:4〜1.2:1が更に好ましく、1:2.5〜1:1が殊更に好ましい。
【0013】
本発明の容器詰飲料中の(B)スクラロースと(C)アセスルファムカリウムの各含有量は、上記質量比となるように適宜選択可能であるが、より一層の劣化臭抑制の観点から、各成分の含有量を次のようにすることが好ましい。
すなわち、(B)スクラロースの含有量は、0.002質量%以上が好ましく、0.0025質量%以上がより好ましく、0.003質量%以上が更に好ましく、そして、0.03質量%以下が好ましく、0.025質量%以下がより好ましく、0.017質量%以下が更に好ましい。(B)スクラロースの含有量の範囲としては、好ましくは0.002〜0.03質量%、より好ましくは0.0025〜0.025質量%、更により好ましくは0.003〜0.017質量%である。
また、(C)アセスルファムカリウムの含有量は、0.001質量%以上が好ましく、0.0015質量%以上がより好ましく、0.003質量%以上が更に好ましく、そして、0.03質量%以下が好ましく、0.028質量%以下がより好ましく、0.025質量%以下が更に好ましい。(C)アセスルファムカリウムの含有量の範囲としては、好ましくは0.001〜0.03質量%、より好ましくは0.0015〜0.028質量%、更により好ましくは0.003〜0.025質量%である。
【0014】
本発明の容器詰飲料は、(D)環状オリゴ糖を含有する。
(D)環状オリゴ糖としては、D−グルコースがα(1→4)グルコシド結合により環状につながった構造を有するオリゴ糖であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、また市販品を使用してもよい。
【0015】
本発明の容器詰飲料中の(D)環状オリゴ糖の含有量は、劣化臭をより一層の抑制する観点から、0.002質量%以上が好ましく、0.004質量%以上がより好ましく、0.006質量%以上が更に好ましく、そして、0.2質量%以下が好ましく、0.18質量%以下がより好ましく、0.16質量%以下が更に好ましい。(D)環状オリゴ糖の含有量の範囲としては、好ましくは0.002〜0.2質量%、より好ましくは0.004〜0.18質量%、更により好ましくは0.006〜0.16質量%である。
【0016】
容器詰飲料中の(B)スクラロース、(C)アセスルファムカリウム及び(D)環状オリゴ糖の含有量の分析法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により行うことができ、常法に従い各サンプルの標準品を用いた検量線から算出することができる。
測定試料は、例えば、次のように調製することができる。
〔スクラロース〕
試料を水又はエタノールで中和後、超音波抽出を行い、抽出液を固相抽出カラム(例えば、Bond Elut C18(アジレント・テクノロジー株式会社))に通液後、メタノールで洗浄する。得られた洗浄液を濃縮、乾固し、水を加えて定容する。得られた試料をサンプリングしてHPLCにて測定する。この際、検出器はRIにて行うのが好ましい。
〔アセスルファムカリウム〕
試料を0.01mol/Lリン酸二水素アンモニウム及びメタノールの混液(容量比1:1)で溶解抽出後、遠心分離する。その後、メンブランフィルターで濾過後、定容する。得られた試料をサンプリングしてHPLCにて測定する。この際、検出器はRIにて行うのが好ましい。
〔環状オリゴ糖〕
試料をメンブランフィルターでろ過し、試料をサンプリングしてHPLCにて測定する。この際、検出器はRIにて行うのが好ましい。
【0017】
本発明の容器詰飲料には、所望により、酸味料、pH調整剤、甘味料(スクラロース及びアセスルファムカリウムを除く)、炭酸ガス、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、起泡剤、泡安定剤、各種エステル類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、野菜エキス類、花蜜エキス類、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を組み合わせて含有させることができる。なお、添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定可能である。
【0018】
本発明の容器詰飲料のpH(20℃)は、風味及び保存安定性の観点から、2以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、そして、5以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。pHの範囲としては、好ましくは2〜5、より好ましくは2.5〜4.5、更に好ましくは3〜4である。
【0019】
本発明の容器詰飲料としては、例えば、緑茶飲料等の不発酵茶飲料、烏龍茶飲料等の半発酵茶飲料、紅茶飲料等の発酵茶飲料が挙げられる。また、例えば、炭酸飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、スポーツドリンク、エネルギードリンク、ニアウォーター、アイソトニック飲料、ハイポトニック飲料、ハイパートニック飲料等とすることもできる。
【0020】
本発明の容器詰飲料は、例えば、カテキン製剤と、(B)スクラロースと、(C)アセスルファムカリウムと、(D)環状オリゴ糖を配合し、(A)非重合体カテキン類の濃度、(B)スクラロースと(C)アセスルファムカリウムとの質量比を調整して製造することができる。
【0021】
カテキン製剤としては、例えば、茶から得られた抽出物が挙げられる。茶としては、例えば、Camellia属、例えば、C.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶樹が好適に使用される。茶葉は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。不発酵茶としては、例えば、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、緑茶が好適である。また、抽出方法としては、攪拌抽出、カラム抽出等の公知の方法を採用することができる。
また、カテキン製剤として市販品を使用してもよい。市販品としては、三井農林社製の「ポリフェノン」、伊藤園社製の「テアフラン」、太陽化学社製の「サンフェノン」等が例示される。
【0022】
また、カテキン製剤として、カテキン製剤を精製したものを使用することもできる。
精製方法としては、例えば、下記(i)及び(ii)のいずれかの方法、あるいは2以上の組み合わせが挙げられる。
(i)茶抽出物を水、又は水と水溶性有機溶媒(例えば、エタノール)との混合物(以下、「有機溶媒水溶液」という)に懸濁して生じた沈殿を除去する方法(例えば、特開2004−147508号公報、特開2004−149416号公報)。
(ii)茶抽出物を活性炭、酸性白土及び活性白土から選択される少なくとも1種の吸着剤と接触させる方法(例えば、特開2007−282568号公報)。
【0023】
上記(i)及び(ii)の方法において、茶抽出物としてタンナーゼ処理したものを使用してもよく、また(i)及び(ii)の処理後、タンナーゼ処理することもできる。ここで、「タンナーゼ処理」とは、茶抽出物を、タンナーゼ活性を有する酵素と接触させることをいう。なお、タンナーゼ処理における具体的な操作方法は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0024】
本発明の容器詰飲料に使用できる容器としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器が挙げられる。
本発明の容器詰飲料は加熱殺菌されたものであるが、加熱殺菌方法としては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)などを挙げることができる。また、容器詰飲料の容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、PETボトルを飲料容器として用いる場合などはUHT殺菌が好ましい。また、加熱装置や加熱方式にも特に制限はなく、例えば、直接水蒸気を吹き込むスチームインジェクション式や飲料を水蒸気中に噴射して加熱するスチームインフュージョン式などの直接加熱方式、プレートやチューブなど表面熱交換器を用いる間接加熱方式など公知の方法を採用することができる。
【0025】
以上、本発明の容器詰飲料について説明したが、非重合体カテキン類を含有する加熱殺菌された容器詰飲料の劣化臭抑制剤及び劣化臭抑制方法においても、上記と同様の構成を採用することができる。
【0026】
前述の実施形態に関し、本発明は更に以下の容器詰飲料、非重合体カテキン類を含有する加熱殺菌された容器詰飲料の劣化臭抑制方法を開示する。
【0027】
<1>
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D);
(A)非重合体カテキン類 0.03〜0.4質量%
(B)スクラロース
(C)アセスルファムカリウム
(D)環状オリゴ糖
を含有し、
成分(B)と成分(C)との質量比〔(B):(C)〕が1:6〜6:1である、加熱殺菌された容器詰飲料。
【0028】
<2>
(B)スクラロースと、(C)アセスルファムカリウムとの質量比〔(B):(C)〕を1:6〜6:1に調整し、(D)環状オリゴ糖とともに配合する、0.03〜0.4質量%の(A)非重合体カテキン類を含有する加熱殺菌された容器詰飲料の劣化臭抑制方法。
【0029】
<3>
(A)非重合体カテキン類の含有量が、好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であって、好ましくは0.35質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.25質量%以下である、前記<1>記載の容器詰飲料又は前記<2>記載の容器詰飲料の劣化臭抑制方法(以下、「容器詰飲料又は容器詰飲料の劣化臭抑制方法」を「容器詰飲料等」と称する)。
<4>
(A)非重合体カテキン類の含有量が、好ましくは0.03〜0.35質量%、より好ましくは0.04〜0.3質量%、更に好ましくは0.05〜0.25質量%である、前記<1>〜<3>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<5>
(A)非重合体カテキン類が、好ましくはエピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、ガロカテキン及びカテキンから選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<6>
(B)スクラロースの含有量が、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.0025質量%以上、更に好ましくは0.003質量%以上であって、好ましくは0.03質量%以下、より好ましくは0.025質量%以下、更に好ましくは0.017質量%以下である、前記<1>〜<5>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<7>
(B)スクラロースの含有量が、好ましくは0.002〜0.03質量%、より好ましくは0.0025〜0.025質量%、更により好ましくは0.003〜0.017質量%である、前記<1>〜<6>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<8>
(C)アセスルファムカリウムの含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.0015質量%以上、更に好ましくは0.003質量%以上であって、好ましくは0.03質量%以下、より好ましくは0.028質量%以下、更に好ましくは0.025質量%以下である、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<9>
(C)アセスルファムカリウムの含有量が、好ましくは0.001〜0.03質量%、より好ましくは0.0015〜0.028質量%、更により好ましくは0.003〜0.025質量%である、前記<1>〜<8>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<10>
(D)環状オリゴ糖が、好ましくはD−グルコースがα(1→4)グルコシド結合により環状につながった構造を有するオリゴ糖、更に好ましくはα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンから選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
【0030】
<11>
(D)環状オリゴ糖の含有量が、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.004質量%以上、更に好ましくは0.006質量%以上であって、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.18質量%以下、更に好ましくは0.16質量%以下である、前記<1>〜<10>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<12>
(D)環状オリゴ糖の含有量が、好ましくは0.002〜0.2質量%、より好ましくは0.004〜0.18質量%、更により好ましくは0.006〜0.16質量%である、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<13>
当該容器詰飲料が、好ましくは酸味料、pH調整剤、甘味料(スクラロース及びアセスルファムカリウムを除く)、炭酸ガス、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、起泡剤、泡安定剤、各種エステル類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、野菜エキス類、花蜜エキス類及び品質安定剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する、前記<1>〜<12>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<14>
当該容器詰飲料が、好ましくは不発酵茶飲料(好ましくは緑茶飲料)、半発酵茶飲料(好ましくは烏龍茶飲料)、発酵茶飲料(好ましくは紅茶飲料)炭酸飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、スポーツドリンク、エネルギードリンク、ニアウォーター、アイソトニック飲料、ハイポトニック飲料、又はハイパートニック飲料である、前記<1>〜<13>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<15>
(A)非重合体カテキン類が、好ましくは不発酵茶、半発酵茶又は発酵茶から得られた茶抽出物、更に好ましくは緑茶抽出物に由来するものである、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<16>
茶抽出物又は緑茶抽出物が、好ましくは精製されたものである、前記<15>記載の容器詰飲料等。
<17>
当該容器詰飲料の容器がとしては、好ましくはPETボトル、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、又は瓶である、前記<1>〜<16>のいずれか一に記載の容器詰飲料等。
<18>
(B)スクラロースと(C)アセスルファムカリウムとの質量比〔(B):(C)〕が、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:4〜4:1、更に好ましくは1:4〜2:1、更に好ましくは1:4〜1.2:1、更に好ましくは1:2.5〜1:1である、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<19>
pHが、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3以上であって、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4以下である、前記<1>〜<18>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<20>
pHが、好ましくは2〜5、より好ましくは2.5〜4.5、更に好ましくは3〜4である、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
【0031】
<21>
(B)スクラロースと(C)アセスルファムカリウムとの質量比〔(B):(C)〕を、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:4〜4:1、更に好ましくは1:4〜2:1、更に好ましくは1:4〜1.2:1、更に好ましくは1:2.5〜1:1に調整する、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載の容器詰飲料の劣化臭抑制方法。
<22>
pHを、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3以上であって、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4以下に調整する、前記<1>〜<17>、<21>のいずれか一に記載の容器詰飲料の劣化臭抑制方法。
<23>
pHを、好ましくは2〜5、より好ましくは2.5〜4.5、更に好ましくは3〜4に調整する、前記<1>〜<17>、<21>、<22>のいずれか一に記載の容器詰飲料劣化臭抑制方法。
【実施例】
【0032】
1.非重合体カテキン類の分析
フィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は0.1mol/Lの酢酸水溶液、B液は0.1mol/Lの酢酸アセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0033】
2.官能評価
加熱殺菌後の各容器詰飲料の、加熱殺菌前のものに対する劣化臭、及び加熱殺菌後に55℃で10日間保存した後の各容器詰飲料の、当該保存前のものに対する劣化臭について、専門パネル10名による官能試験を行い、その後各専門パネルの評点の平均値を求めた。
【0034】
加熱殺菌後、保存後の劣化臭の評価基準
評点5:劣化臭を生じない
4:劣化臭がほとんど生じない
3:劣化臭が極僅かに生ずる
2:劣化臭がやや生ずる
1:劣化臭が生ずる
【0035】
製造例1
〔カテキン製剤の調製〕
市販の緑茶抽出物(ポリフェノンHG、三井農林社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭16gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過し、濁りの除去を行った。40℃、減圧下にてエタノールを留去し、減圧濃縮を行うことにより、カテキン製剤を得た。得られたカテキン製剤は、固形分中の非重合体カテキン類の含有量が14質量%であった。
【0036】
実施例1〜11及び比較例1〜10
表1に示す量の各成分を配合して飲料を製造し、108℃で0.5分間の加熱殺菌処理を行った後、PETボトルに充填し容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料の成分分析及び官能評価の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から、一定量の非重合体カテキン類に、スクラロースとアセスルファムカリウムの量比を特定範囲内に制御した上で、環状オリゴ糖ともに含有させることにより、加熱殺菌後及び保存後の劣化臭が抑制された容器詰飲料が得られることがわかる。