特許第6120616号(P6120616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120616
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】複合平滑化工具
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/00 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   E04F21/00 D
【請求項の数】13
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-46618(P2013-46618)
(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-185438(P2013-185438A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】12158864.4
(32)【優先日】2012年3月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513057865
【氏名又は名称】アゼル ババエフ
【氏名又は名称原語表記】Azer BABAEV
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(72)【発明者】
【氏名】アゼル ババエフ
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202009017282(DE,U1)
【文献】 米国特許第05337523(US,A)
【文献】 特開昭62−264881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部刀部とを備えた平滑化工具であって、
前記把持部はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる中空形材部であり前記中空形材部は、内部に設けられた内部リブと、2つのブラケットと、対向する面に設けられた2つの凹部とを有し、前記2つのブラケットの少なくとも1つの内側には少なくとも1つの支持溝が設けられており、前記内部リブは前記対向する面に設けられた2つの凹部の一方から前記対向する面に設けられた2つの凹部の他方に延在しており、
前記刀部は後方延在部と、前記後方延在部に設けられた少なくとも1つの支持リブとを有し、前記少なくとも1つの支持リブは前記少なくとも1つの支持溝に収納され、
前記刀部は2つの型締リブをさらに有し、前記型締リブは、前記後方延在部及び前記少なくとも1つの支持リブとともに、前記2つのブラケットの少なくとも1つを、前記型締リブのそれぞれと、前記後方延在部と、前記少なくとも1つの支持リブとの間に型締し、
前記少なくとも1つの支持リブは凹部を形成する第一の空隙を有し、前記少なくとも1つの支持溝は凹部を形成する第二の空隙を有し、前記凹部を形成する第一の空隙と前記凹部を形成する第二の空隙とにより空隙が形成されることを特徴とする平滑化工具。
【請求項2】
請求項1に記載の平滑化工具において、前記刀部は冷間引抜鋼からなることを特徴とする平滑化工具。
【請求項3】
請求項2に記載の平滑化工具において、前記刀部の少なくとも一部に腐食防止用コーティングが施されていることを特徴とする平滑化工具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の平滑化工具において、前記型締リブは前記中空形材部に対して傾斜して延在していることを特徴とする平滑化工具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の平滑化工具において、前記少なくとも1つの支持リブは2つの支持リブを有し、前記少なくとも1つの支持溝は2つの支持溝有し、前記2つのブラケットのそれぞれに1つ設けられていることを特徴とする平滑化工具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の平滑化工具において、前記アルミニウム合金が質量的に主にアルミニウムを含むことを特徴とする平滑化工具。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の平滑化工具において、前記刀部は、前記刀部の長さ方向、前記刀部の先端及び前記後方延在部の中心線により定まる対称面に対して対称であることを特徴とする平滑化工具。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の平滑化工具において、前記中空形材部の横断面形状が台形であることを特徴とする平滑化工具。
【請求項9】
請求項に記載の平滑化工具において、前記中空形材部の前記刀部から離れた面が前記中空形材部の隣接面に対し垂直であることを特徴とする平滑化工具。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載の平滑化工具において、前記刀部及び前記ブラケットは摩擦力のみにより堅持されていることを特徴とする平滑化工具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の平滑化工具において、前記2つのブラケットの一部はそれぞれ前記2つの型締リブにより覆われるとともに、前記2つのブラケットの一部が露出していることを特徴とする平滑化工具。
【請求項12】
金属を含む把持部と刀部とを備えた平滑化工具であって、
前記把持部は中空形材からなり、2つのブラケットと支持凹部とを有し、
前記刀部は、前記把持部の前記支持凹部に収納される少なくとも1つの支持リブを有し、
前記刀部は2つの型締リブをさらに有し、前記2つのブラケットの一部はそれぞれ前記2つの型締リブにより覆われるとともに、前記2つのブラケットの一部が露出しており、
前記刀部は冷間引抜鋼からなり、前記刀部の少なくとも1部は腐食防止用コーティングが施されており、
前記型締リブは前記把持部に対して傾斜して延在しており、前記少なくとも1つの支持リブは凹部を形成する第一の空隙を有し、前記支持凹部は凹部を形成する第二の空隙を有し、前記凹部を形成する第一の空隙と前記凹部を形成する第二の空隙とにより空隙が形成されることを特徴とする平滑化工具。
【請求項13】
請求項12に記載の平滑化工具において、前記把持部の前記支持凹部は対向して設けられた2つの凹部を有することを特徴とする平滑化工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合平滑化工具関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する2つの部分からなる削取・平滑化工具がスイス特許公開公報CH 699 114 A2に開示されている。この文献に開示されている工具では、保持リブを備えた鋼刃が支持ブラケットを有するアルミニウム中空形材のL字状凹部に嵌合している。該刃は該凹部に側面側から滑入され、該削取・平滑化工具の側面に取り付けたカバーにより固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の公知工具は日常使用の応力やひずみに耐えられないことが多々あった。そのため、より丈夫な工具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、軽金属中空形材からなる把持部の2つのブラケットが鋼刃を嵌合して摩擦接続により保持し、摩擦力を増大させるために1つ又は2つの型締リブが対応するブラケットを握持している複合工具を提供する。かかる工具は、固定器具をさらに用いることなく、過度の応力やひずみにも耐えることができる。
【0005】
具体的な実施態様では、該刃は矢形の横断面形状を有し、該把持部の支持溝に収納される1つ又は2つの支持リブを有する。別の実施態様では、該把持部は内部リブを有しており、該内部リブは台形中空形材の平行面に設けられた2つの対向する把持凹部の間に配置されている別の実施態様では、該把持部の後面は隣接面に対し垂直である。
【0006】
別の実施態様では、該刃の鋼を冷間引抜することで硬度及び耐摩耗性を向上させている。さらに別の実施態様では、耐食性を向上させるために、該鋼刃の少なくとも該アルミニウム把持部の該ブラケットに握持される部分をコーティングしている。
【0007】
刃先と、少なくとも1つの支持リブを備えた後方延在部と、刃先から後方延在部の方向に傾斜して延在する1つ又は2つの型締リブとを有する形状にまで刃鋼を徐々に冷間引抜した後、所望の長さになるように切断し、調整した刀部をアルミニウム把持部の各コレットに挿入するこの方法では、上記と同様に該鋼刃は摩擦力により堅持されており、別の固定工程は不要である。具体的な実施態様では、耐食性を向上させるために、コレットに挿入する前に、該鋼刃の少なくともアルミニウムに直接接触する部分に絶縁フィルムをコーティングしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来の平滑化工具を示す断面図である。
図2】本発明の一実施例を示す断面図である。
図3】本発明の別の実施例を示す拡大図である。
図4】(A)〜(D)は本発明のさらに別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す従来の工具では、保持リブ1を有する鋼刃3が把持部を構成するアルミニウム中空形材2の2つのブラケット4の間に形成されたL字状凹部に側面側から滑入される。
【0010】
図1に示す工具と異なり、図2及び3に示す本発明の一実施例による工具10は、2つの型締リブ14と後方延在部16を備えた矢形状の刀部12を有する。後方延在部16には反対方向に突出した2つの支持リブ18が設けられ、支持リブ18は対応する把持部22の凹部(支持溝)20に係合する。型締リブ14及び支持リブ18の間に、把持部22は刀部12用コレットを形成する握持用ブラケット24を有する。
【0011】
刀部12の長さ方向に平行で、後方延在部16に直交する断面で見ると、型締リブ14は後方延在部16と離れている。換言すると、刀部12の長さ方向では、把持部22の握持用ブラケット24を受承する凹部が刀部12の型締リブ14と後方延在部16との間に形成されている。
【0012】
具体的な実施態様では、刀部12の後方延在部16の反対側の先端部は100°〜160°の角度θ1で湾曲している。さらに刀部12の少なくとも1つの型締リブ14の突出部が100°以上の角度θ2で湾曲している。該突出部は型締リブ14の刀部12の先端部から最も離れた部分である。あるいは又はさらに、刀部12の少なくとも1つの型締リブ14と後方延在部16との間の接続部分が100°以上の角度θ3で湾曲していても良い。本実施態様では、刀部12は長さ方向の中心軸Aを通り、かつ紙面に対し垂直の対称面に対して対称である。
【0013】
把持部22は一般的な角柱形又は台形であり、台形の場合は工具を把持しやすいように2つの平行面に把持凹部28が形成されている。アルミニウム又はアルミニウム合金からなる工具の中空形材の内部には、2つの把持凹部28の間に補強リブ26が設けられている。本実施態様では、台形の後面は隣接面に対し垂直である。もちろん、工具の一般形状は人間工学に基づき、後方の縁は把持したときに痛くないように適度に丸みを帯びている。同じ理由で、平行面の間の適切な厚さl1は25 ± 10 mmであり、後面と把持凹部28の最深部との間の幅l2は35 ± 10 mmであり、刃保持部の角度aは約15°〜30°であり、本実施態様では20°〜25°であるのが好ましい。
【0014】
該鋼刃は把持部22のブラケット24を握持する追加機能を有し、製造の際に特に注意を要する。冷間引抜により得られた刃が特に好適であり、型締リブ14の硬度及び耐摩耗性とさらに弾性も向上することが分かった。本製造方法は、刃先と、少なくとも1つの支持リブを備えた後方延在部と、刃先から後方延在部の方向に傾斜して延在する2つの型締リブとを有する形状にまで刃鋼を徐々に冷間引抜した後、刃鋼を切断し、本実施態様では、フィルムをコーティングした後に把持部ブラケット24により形成されるコレットに挿入する。この方法により生じる摩擦力は刃を堅持するのに十分であり、刃が不意に緩む危険はない。
【0015】
図4(A)〜(D)に示す別の実施態様では、工具10aは刀部12aが挿入されており、図2の工具10とほぼ同じ形状を有している。図4(A)は断面図を示し、図4(B)は全体図を示し、図4(C)は刀部12aの全体図を示し、図4(D)は工具10a及び刀部12aの両方を示し、刀部12aを挿入する様子を示している(実際は紙面に対し垂直の線に沿っている。)。この実施態様の相違点は、刀部12aが把持部10aに挿入される際に空隙30が残る点にある。この実施態様の角度aは図2に示す実施態様のものと同じである。
【0016】
特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を逸脱しない範囲で、当業者は上記実施態様を変更できる。
【符号の説明】
【0017】
10・・・工具
12・・・刀部
14・・・型締リブ
16・・・後方延在部
18・・・支持リブ
20・・・凹部
22・・・把持部
24・・・握持用ブラケット
26・・・補強リブ
28・・・把持凹部
図1
図2
図3
図4