(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2回動レバーの当接部、及び、前記第1回動レバーの当接部と前記第3回動レバーの当接部の少なくともいずれか一方の当接部は、回転自在な周面を備えている、請求項4に記載の械式避難時停止装置付きシャッター。
前記減衰機構は緩降装置であり、前記緩降装置は、上座板と下座板のいずれか一方に設けたダンパ付きピニオンギアと、他方に設けた高さ方向に延びるラックギアと、前記ピニオンギアと前記ラックギアとの間に設けたワンウェイクラッチ機構と、からなり、
前記ワンウェイクラッチ機構は、上座板に対する下座板の相対的な上動時には、前記ピニオンギアと前記ラックギアとの間の伝動を無効とし、上座板に対する下座板の相対的に下動時には、前記ピニオンギアと前記ラックギアとの間の伝動を有効とする、請求項1〜6いずれか1項に記載の械式避難時停止装置付きシャッター。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ブレーキの解放によりシャッターカーテンを自重降下させることができるシャッター(機械式避難時停止装置付きシャッター)において、回動ロックレバーの構成に特徴を持たせることで、一旦停止したシャッターカーテンが再下降するタイミングを遅延させる機構を実現することを目的とする。
本発明の他の目的は、ロック姿勢にある回動レバーを瞬時に非ロック姿勢へ回動させるものでありながら、一旦停止したシャッターカーテンが再下降するタイミングを遅延させる機構を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
第1の方向に移動してブレーキを解放し、第2の方向に移動してブレーキを復帰させる作動手段と、
前記作動手段を第2の方向に移動するように当該作動手段に一端側が連結された復帰ワイヤと、
シャッターカーテン下端に設けられ、上座板と、上座板に対して相対的に上動可能な下座板とからなる座板と、
上座板に設けられ、前記復帰ワイヤを他端側から巻き取る回転体と、
下座板の相対的な上動に連動してロック状態となって前記回転体の回転を規制するロック機構と、
減衰機構と、
を備え、
前記ロック機構は、第1回動レバーと、係止部を備えた第2回動レバーと、を有し、前記第2回動レバーは、障害物検知時の下座板の相対的な上動に連動して第1の方向に回動する第1回動レバーと一体で第1の方向に回動することで前記係止部が前記回転体に係止してロック状態となり、障害物除去後には、前記第2回動レバーは、前記第1回動レバーが第2の方向へ所定量回動した時点で第2の方向へ回動してロック状態が解除されるように構成されており、
前記減衰機構は、前記第1回動レバーが第2の方向へ回動する速度を低減するように設けられ、障害物除去後に、前記第1回動レバーを第2の方向へゆっくり回動させることで、ロック状態解除のタイミングを遅延させてなる、
機械式避難時停止装置付きシャッター、である。
1つの態様では、前記第1回動レバー及び前記第2回動レバーは、それぞれ第1付勢手段、第2付勢手段によって第2の方向に付勢されており、
障害物除去後には、前記第2回動レバーは、前記第1回動レバーが前記第1付勢手段によって第2の方向へ回動開始後所定時間経過後に前記第2付勢手段によって瞬時に第2の方向へ回動してロック状態が解除される。
【0008】
本発明では、ブレーキ解放により自重降下するシャッターカーテンの下座板が障害物に当たって上座板に対して相対的に上動すると、前記第1回動レバー及び第2回動レバーは、第2の姿勢となって復帰ワイヤの引き出しを規制し、上座板が下座板に対して相対的に所定量下動することで、当該引き出しが規制された復帰ワイヤが前記作動手段を第2の方向に移動させてブレーキを復帰させて当該シャッターカーテンの降下を停止させる。
障害物の除去後に復帰ワイヤの引き出しが可能となると、前記作動手段が第1の方向に移動してブレーキが解放されて当該シャッターカーテンが再降下するように構成されているが、前記第2回動レバーの第2の方向への回動開始のタイミングを、前記第1回動レバーの第2の方向への回動開始のタイミングよりも遅らせることで、前記第2回動レバーと回転体とのロック状態解除のタイミングを遅延させ、もって、前記復帰ワイヤの引き出し規制を解除するタイミングを遅延させる。
【0009】
1つの態様では、前記ロック装置は、係止状態にある前記第2回動レバーの第2の方向への回動を規制する回動規制手段を備え、
前記回動規制手段による回動規制は、前記第1回動レバーが第2の方向へ所定量回動した時点で解除されるように構成されている。
1つの態様では、前記ロック装置は、前記回動規制手段としての第3回動レバーを備え、
前記第3回動レバーは、前記回転体と係止状態にある前記第2回動レバーの当接部と係止する係止部と、前記第1回動レバーの当接部と当接する当接部と、を備え、
前記第1回動レバーが第2の方向へ所定量回動することに連動して前記第3回動レバーが回動することで、当該第3回動レバーと前記第2回動レバーとの係止状態が解除されて回動規制が解除される。
1つの態様では、前記第2回動レバーの当接部、及び、前記第1回動レバーの当接部と前記第3回動レバーの当接部の少なくともいずれか一方の当接部は、回転自在な周面を備えている。
1つの態様では、前記第2回動レバーの係止部は、軸周りに回転自在の回転ピンである。
【0010】
本発明において、減衰機構は例えばワンウェイダンパー(ロータリーダンパあるいは直動ダンパ)から構成することができる。
この場合、減衰機構を設ける位置は限定されない。
1つの態様では、第1回動レバーの第2の方向への回動が下座板の下動と連動している場合に、上座板と下座板との間に減衰機構を設けて下座板をゆっくり下降させて、第2の姿勢にある第1回動レバーを第2の方向にゆっくり回動させてもよい。
より具体的な態様例では、前記減衰機構は緩降装置であり、前記緩降装置は、上座板と下座板のいずれか一方に設けたダンパ付きピニオンギアと、他方に設けた高さ方向に延びるラックギアと、前記ピニオンギアと前記ラックギアとの間に設けたワンウェイクラッチ機構と、からなり、
前記ワンウェイクラッチ機構は、上座板に対する下座板の相対的な上動時には、前記ピニオンギアと前記ラックギアとの間の伝動を無効とし、上座板に対する下座板の相対的に下動時には、前記ピニオンギアと前記ラックギアとの間の伝動を有効とする。
前記ダンパ付きピニオンギアは典型的にはロータリーダンパによって回転に抵抗が与えられるピニオンギアである。
1つの態様では、前記ワンウェイクラッチ機構は、第1ギアと、第2ギアと、第1ギアと第2ギアとの間に設けたワンウェイクラッチと、からなり、第1ギアが前記ピニオンギアに噛合しており、第2ギアが前記ラックギアに噛合している。
1つの態様では、前記第1ギアは前記ピニオンギアに対して大径である。
1つの態様では、前記第1ギアは前記第2ギアに対して大径である。
1つの態様では、第1の姿勢と第2の姿勢との間で変位可能であり、下座板が上座板に対して相対的に上動すると第1の姿勢から第2姿勢へ変位し、下座板が上座板に対して相対的に下動すると第2の姿勢から第1姿勢へ変位可能となる、検知レバーと、検知レバーの変位を第1回動レバーの変位に連動させる連動機構と、を備えているものにおいて、
前記減衰機構は、前記第1回動レバーが第2の方向へ回動する速度を低減するように、前記第1回動レバーあるいは前記検知レバーの第2の姿勢から第1の姿勢への変位に抵抗を与えるように設けられる。
【0011】
1つの態様では、前記連動機構は、前記第1回動レバーの回動と前記検知レバーの回動を連動させるように前記第1回動レバーと前記検知レバーを連結し、前記検知レバーが第1の姿勢から第2の姿勢となることに連動して前記第1回動レバーを第2の姿勢とする連結手段(典型的にはワイヤ)である。
1つの態様では、前記検知レバーは、上座板と下座板との間に設けられ、下座板が上座板に対して相対的に上動すると第1の姿勢から第1の方向に回動して第2姿勢をとり、下座板が上座板に対して相対的に下動すると第2姿勢から第2の方向に回動して第1姿勢をとることが可能となる、回動検知レバーである。
また、前記連動機構は、第1回動レバーが、下座板の上動に連動して変位する検知レバーを介して第1の姿勢から第2の姿勢へ変位させる機構であればよく、可動部材同士の当接によって連動機構を構成してもよい。例えば、上座板と下座板との間に、座板の長さ方向に延びる検知体を設け、当該検知体を直接あるいは他の要素を介して第1回動レバーに当接させ、当該検知体が変位することで第1回動レバーが変位するものでもよい。
【0012】
1つの態様では、前記作動手段は、バネ部材を備え、当該バネ部材を圧縮しながら第2の方向に移動することでブレーキが復帰し、復帰ワイヤの引き出し規制が解除されると、圧縮されたバネ部材が伸長することで、第1の方向に移動してブレーキが解放される。
1つの態様では、前記復帰ワイヤは、巻き取れられる方向に付勢されていると共に、シャッターカーテンの自重降下に伴って前記回転体が回転することで当該復帰ワイヤが前記回転体からシャッターカーテン面部に沿って引き出し可能となっている。
1つの態様では、前記ロック装置は、前記回転体として、被係止部を備えたロックドラムと、復帰ワイヤを巻き取る方向に付勢する手段を備えた巻取ドラムと、を備えており、
前記復帰ワイヤは、ロックドラムに巻回してから前記巻取ドラムに巻き取られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、従来の回動ロックレバーを2つの部材(下座板の上動に連動して回動する第1回動レバー、ロックドラムに係止する第2回動レバー)から構成し、第2回動レバーのロック解除方向(第2の方向)への回動を、第1回動レバーの第2の方向への回動と分離することで、第2回動レバーを、前記第1回動レバーが第2の方向へ所定量回動した時点で第2の方向へ回動してロック状態が解除されるように構成し、、減衰機構によって第1回動レバーの第2の方向への回動をゆっくりと行うことによって、ロック状態解除のタイミングを遅延させて、障害物除去からシャッターカーテン再下降が開始されるまでの時間を遅延させる。
第2回動レバーは付勢手段によって第2の方向に瞬時に回動させることができるので、係止部を備えた回動ロック部材をゆっくりと第2の方向へ回動させるものに比べて、係止部が歯車の歯から外れる時に、回動ロック部材がバウンドして外れた歯の次の歯に噛み込む等の不具合を防止することができる。
ロック機構は、ロック状態にある第2回動レバーの第2の方向への回動を規制する回動規制手段(第3回動レバー)を備え、前記回動規制手段による回動規制は、第1回動レバーが第2の方向へ所定量回動した時点で解除されるように構成することで、第2回動レバーの係止部とロックドラムの被係止部とのロック状態解除までの遅延時間を長く取ることができる。
第2回動レバーの係止部を軸周りに回転自在の回転ピンとし、第3回動レバーの係止部に係止する第2回動レバーの当接部、及び、互いに当接する第1回動レバーの当接部と第3回動レバーの当接部の少なくともいずれか一方の当接部を回転自在な周面から形成することによって、第2回動レバーの係止部とロックドラムの被係止部との係脱時の衝撃音を小さくし、また、第1回動レバーと第3回動レバーとの当接、第2回動レバーと第3回動レバーとの当接時の不快な音の発生を抑制し、各レバー同士の接触部の耐久性も向上する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]シャッター装置及び避難時停止装置の全体構成
[A−1]シャッターの基本構成
図1に示すように、シャッター装置は、開口部を閉鎖するシャッターカーテン1と、開口部上方に位置してシャッターカーテン1を巻装する巻取シャフト2と、開口部左右両端に立設されたガイドレ−ル3と、を備えている。シャッターカーテン1は、複数枚の開口幅方向に延びる長尺状のスラットを上下に連結して構成されており、下端には座板4が設けてある。
図3、
図4左図、
図15に示すように、座板4は開口部幅方向に延びる長尺状の上座板40と、上座板40の下方側に上座板40に対して相対的に上下動自在に吊持された長尺状の下座板41とからなり、後述するように、座板4は障害物検知手段の一構成要素となっている。通常時には、シャッターカーテン1は、開閉機5によって巻取シャフト2を正逆回転駆動することで昇降して、開口部を開閉する。図では開閉機5を用いた電動シャッターを示したが、シャッター装置は、手動ハンドルやチェーンを用いるいわゆる手動式でもよい。また、通常時において、シャッターカーテンを自重で降下させて開口部を閉鎖するものでもよい。本発明は、ブレーキの解放によりシャッターカーテンを自重降下させることができるシャッターに関するものであり、本実施形態では、火災を検知した時に、ブレーキの解放によりシャッターカーテンを自重降下させるシャッターについて説明する。
【0016】
シャッターカーテン1は、開口部全開時(収納時)には、開閉機5の一構成要素であるブレーキによって下降が規制された状態で巻取シャフト2に巻装されている。この状態で火災が発生すると、防災盤6bからの火災検知信号によって自動閉鎖装置6が作動して、ワイヤW1を介してブレーキ解放・復帰装置7のブレーキ解放手段を作動させてブレーキを解除する。ブレーキが解除されると、シャッターカーテン1は、幅方向両端部がガイドレール3の溝部に案内されながら自重で下降し、座板4が着床することで開口部を全閉する。この時、シャッターカーテン1は、開閉機5に内蔵された調速器(ガバナ)の働きで調速された速度で下降するようになっている。
【0017】
開閉機5のブレーキケースからブレーキ解放レバー50が突出しており、ブレーキ解放レバー50を移動させることで、開閉機5及び巻取シャフト2の回転を規制しているブレーキが解放される。ブレーキを含む開閉機および当該ブレーキを解放するブレーキ解放レバーは周知である。具体的な態様例では、ブレーキ手段は、開閉機出力軸またはこの出力軸と一体で回転する回転部材に対して接離自在に対向するブレーキ板を有しており、シャッターカーテン収納時にはスプリング等の付勢手段によってブレーキ板が圧接されており、ブレーキが働いて巻取シャフトの回転が規制されている。ブレーキ解放レバーをスプリングに抗して揺動させることでブレーキ板が離隔してブレーキが解放され、巻取シャフトの回転が可能となって、シャッターカーテンが自重降下するようになっている。また、ブレーキ解放レバーをフリーにすれば、前記付勢手段であるスプリングによってブレーキ板が圧接されて自動的にブレーキ及びブレーキ解放レバーが復帰するようになっている。
【0018】
[A−2]自動閉鎖装置
自動閉鎖装置6は、防災盤6bからの火災検知信号の入力によって可動部が作動して、ブレーキ解放ワイヤW1を引くことで、作動手段を介してブレーキ解放レバーを移動させてブレーキを解放させる。自動閉鎖装置6がブレーキ解放ワイヤW1を引く態様としては幾つかの手法が知られており、自動閉鎖装置6に内蔵されたバネ部材のバネ力でブレーキ解放ワイヤW1を引くもの、自動閉鎖装置6に内蔵されたモータの駆動力でブレーキ解放ワイヤW1を引くもの等が挙げられる。自動閉鎖装置6は、ブレーキ解放・復帰装置7の作動手段を移動させてブレーキ解放レバーを移動させるものであれば、自動閉鎖装置6の具体的な構成は限定されない。図示の例では、自動閉鎖装置とブレーキ解放装置は別体で構成されているが、自動閉鎖装置一体型のブレーキ解放装置であってもよい。なお、本実施形態の自動閉鎖装置は、(いずれも図示しない)圧縮コイルスプリングと、該圧縮コイルスプリングを圧縮状態に保持するロック機構と、火災検知信号の入力により該ロック機構を解除するソレノイドとを備え、火災検知信号によりソレノイドが作動してロック機構が解除されたときに圧縮コイルスプリングが伸長することによりワイヤW1を引っ張る構成となっている。また、ワイヤW1を引くストロークは、第2作動体74の側辺741をフレーム70の垂壁704に当接する位置まで引っ張るのに十分なストロークを有している。
【0019】
[A−3]ブレーキ解放・復帰機構
ブレーキ解放・復帰装置7は、ブレーキ解放レバーをブレーキ解放方向に移動させる作動手段を備えており、火災検知信号が自動閉鎖装置6に入力されることで、自動閉鎖装置6によってブレーキ解放・復帰装置7の作動手段が移動してブレーキ解放レバーを移動させる。具体的な態様例では、作動手段は自動閉鎖装置6の可動部とブレーキ解放ワイヤW1で連結されており、火災検知信号が自動閉鎖装置6に入力されると、自動閉鎖装置6の可動部が移動してブレーキ解放ワイヤW1が引かれて、ブレーキ解放・復帰装置7の作動手段が自動閉鎖装置6側へ移動する。そして、自動閉鎖装置6側へ移動した作動手段が、ブレーキ解放レバーを移動させてブレーキを解放させる。ブレーキ解放ワイヤW1はアウターケーブルW1´内を延出する。
【0020】
シャッター装置は、いわゆる避難時停止装置を備えており、自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物Xに当たって当該障害物Xを検知すると、復帰ワイヤを介して開閉機5のブレーキを復帰させて、シャッターカーテン1の降下を停止させるようになっている。
【0021】
復帰ワイヤは、第1ワイヤW2と第2ワイヤW3とから構成されている。開口部上方部位には、開口幅方向の開閉機5が設置された側に寄って、中継装置8が設けてあり、座板4には、中継装置8の下方に位置するように開口幅方向の一側に寄って、ロック装置9が設けてある。ロック装置9は、中継装置8の略直下に位置するロックドラム90と、ロックドラム90に隣接する巻取ドラム91と、障害物検知時にロックドラム90の回転をロックするロック機構(後述する)と、を備えている。第1ワイヤW2と第2ワイヤW3は中継装置8を介して接続されている。第1ワイヤW2の一端はブレーキ解放・復帰装置7の作動手段に連結され、他端は中継装置8に連結されている。第1ワイヤW2はアウターケーブルW2´内を延出している。第2ワイヤW3の一端は中継装置8に連結されており、他端は座板4に設けたロック装置9のロックドラム90に巻回されて当該ロックドラム90を経由して、巻取ドラム91に巻回可能に連結されている。シャッターカーテン1の降下時には、第2ワイヤW3がロック装置9から引き出されながらシャッターカーテン1の面に沿って延びる。
【0022】
[A−4]中継装置
図5に示すように、中継装置8は、ロック装置9のロックドラム90の直上で、開口部上方のまぐさ内部に取り付けられている。中継装置8は、開口部上方に位置して前後方向(シャッタ収納部の奥行き方向)に延びる回動体80を備え、回動体80は、まぐさ内部に設けた取付ベース81の立ち上がり片に回動自在に設けてあり、回動体80は回動支点82を中心として、第1端部、第2端部がそれぞれ上下動するように回動する。第1端部には、ワイヤW2の端部の固定部83が形成されており、第2端部には、ワイヤW3の上端の固定部84が形成されている。第2端部に形成された固定部84に固定されたワイヤW3が下方に引っ張られると、回動体80が回動支点82を中心に回動して、第1端部が下方に下がり、第2端部が上方に移動して、ワイヤW2を引っ張る。なお、回転支点82から固定部83までの距離、回転支点82から固定部84までの距離を選択することで、ワイヤW3の引っ張り量と、ワイヤW2の引っ張り量の比率を適切に設定することができる。また、前記ワイヤW1、ワイヤW2及び(後述する手動閉鎖装置を接続する)ワイヤW4は、自転車のブレーキなどに使用されるタイプのアウターケーブル付きワイヤであって、それらのアウターケーブルの両端はそれらのワイヤが接続される各装置(自動閉鎖装置、手動閉鎖装置、ブレーキ解放・復帰機構)のケース等に固定される。そして、ワイヤW1、W2、W4のインナーワイヤは、前記各装置が通常状態(自動閉鎖装置及び手動閉鎖装置は作動前の待機状態、ブレーキ解放・復帰装置は
図12(A)の状態)で、緩み無く又は所定の張力を有する状態となるように調整し取り付けられる。なお、アウターケーブルの固定手段やインナーワイヤの長さ調整及び固定の手段は、防火設備等においては周知の技術であり詳細な説明は省略する。
【0023】
[A−5]検知レバー
図3A、
図3B、
図4に示すように、上座板40と下座板41との間には、複数の検知レバー42が回動可能に設けてあり、自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物Xに当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42の下端部位はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はロック装置9のロック機構を構成する第1回動レバー92(後述する)の下端側に連結されている。下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、検知レバー42は、検知レバー42下端がロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に回動し、ワイヤ43はロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に引っ張られる。
【0024】
ワイヤ43が引っ張られて、第1回動レバー92が回動すると、ロック装置9のロック機構(詳細は後述する)によってロックドラム90の回転が規制され、シャッターカーテン1の降下中にロック装置9から引き出されている第2ワイヤW3の引き出しが停止し、さらに、シャッターカーテン1が降下することで第2ワイヤW3が下方に引かれ、中継装置8を介して、第1ワイヤW2が引かれて、ブレーキ解放レバーによるブレーキ解放を解除する。ブレーキ解放レバー50の解除により、開閉機5のブレーキに内蔵された復帰手段によってブレーキが復帰して、降下中のシャッターカーテン1が停止する。
【0025】
検知レバー42は、座板4の長さ方向に間隔を存して、より具体的には上座板40の長さ方向に間隔を存して、上座板40内に回動可能に取り付けられている。
図4に示すように、上座板40の下面には、支持部42Aが固定されており、検知レバー42は支持部42Aに対して回動可能に取り付けられている。検知レバー42は、板状の本体の左右から延びる被当接部420を備え、上方の回動支点421を中心に回動可能となっており、板状の本体の下端にはワイヤ43が連結されている。各検知レバー42は略水平状に延びるワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の基端はバネ材(コイルスプリング98)を介して第1回動レバー92の下端に連結されている。シャッターカーテン1の下降中に下座板41の底面部410が障害物に当たると、上動する下座板41の上端の左右の水平状の当接片411が検知レバー42の被当接部420に下方から当接して被当接部420を押し上げることで、検知レバー42をロック装置9のロックドラム90から離間する方向に上方に回動させ、検知レバー42の回動に伴ってワイヤ43がロックドラム90から離間するように横方向に引っ張られ、第1回動レバー92は、下端側がロックドラム90から離間し、上端側がロックドラム90に接近するように回動する。
なお、図示の態様では、下座板41の上動に連動して回動する検知レバー42の動きを、ワイヤ43を介して第1回動レバー92に伝達しているが、例えば、上座板40と下座板41との間に、座板4の長さ方向に延びる検知体42´を設け、当該検知体42´を直接あるいは他の要素を介して第1回動レバー92に当接させ、下座板41の上動に連動して当該検知体42´が変位することで第1回動レバーが回動するものでもよい(
図4A 参照)。
【0026】
[A−6]手動閉鎖装置
図6に示すように、シャッター装置の近傍の壁面には、操作し易い高さに手動閉鎖装置10が設けてある。手動閉鎖装置10は、中空の縦長直方体で、前面に開口を備えたボックス100と、ボックス100の前面の開口を開閉するカバー体101と、前面の下方部位に設けた押スイッチ102と、前面の側方部位に回動可能に設けた回動レバー103と、手動操作用のワイヤW4の端部(他端)をネジで固定するワイヤ端固定部104と、を備えている。1つの態様では、ボックス100内には、図示しない開放、閉鎖、停止スイッチが配置されている。
【0027】
手動閉鎖装置10は、ブレーキ解放・復帰装置7の作動部のブレーキ解放操作、ブレーキ復帰操作を操作可能なように手動操作用のワイヤW4によって連結されている。手動閉鎖装置10は、ブレーキ解放作動前の状態から第1操作(押しスイッチ102)によってブレーキを解放するように作動し、ブレーキ解放作動後の状態から第2操作(回動レバー103)によってブレーキを復帰させるように作動する。ここで、ワイヤW4には、後述する第1コイルスプリング76によりワイヤ端固定部104を(
図6において)上方へ引き上げようとする力が加わっているが、図示しないロック機構でワイヤ端固定部104が上方へ移動してワイヤW4が緩まないようにロックされている。押スイッチ102を押すと、前記ロックが外れてワイヤ端固定部104が所定距離上動して緊張状態にあるワイヤ4が緩み、また、回動レバー103を手前に回動すると、ワイヤ端固定部104が前述したロック位置まで引き下げられてワイヤW4が所定距離引っ張られ、ワイヤW4に張力が加わった状態でワイヤW4の移動がロックされる。上記所定距離は、1つの態様では、
図12における第1作動体73の移動距離あるいはそれよりも長い距離に設定される。手動閉鎖装置10を用いたブレーキ解放・復帰装置7のブレーキ解放操作、ブレーキ復帰操作の詳細な説明は後述する。
【0028】
[B]ロック装置
[B−1]ロック装置の構成
図1に示すように、ロック装置9は、座板4の長さ方向の一側(具体的には開口部幅方向の開閉機5が設けられた側)に寄った位置で上座板40に取り付けられている。ロック装置9の構成について、
図7〜
図11に基づいて詳細に説明する。なお、各要素の参照番号は
図8Aに最も詳細に記載されており、適宜参照されたい。ロック装置9は、回転自在のロックドラム90と、回転自在の巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94と、これらを内装するケース95と、を備えている。本実施形態では、ロックドラム90は、中継装置8の直下に位置しており、巻取ドラム91は、ロックドラム90の第1側に隣接して配置されており、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、保持レバー94は、ロックドラム90の第2側に隣接して配置されている。通常時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第1の姿勢(非ロック姿勢)にある(
図7、
図11参照)。障害物検知によるシャッター停止時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第2の姿勢(ロック姿勢)にあり(
図8、
図8A参照)、また、第2回動レバー93が第2の姿勢を維持する間は、第1回動レバー92が回動を開始しても、ロック装置9のロック状態が維持される(
図9、
図10参照)。
【0029】
ケース95は、上板950と、左右の側板951、952と、後板953と、着脱可能な前面カバー954(
図3A、
図3B参照)を備えており、下面は開放状となっている。上板950には、ワイヤW3を挿通させるガイド9500が形成されている。ケース95は、後板953の下端に形成した左右の取付片955を介して上座板40に図示しないネジで取り付けられており、また、上座板40の上面部の所定部位には、ケース95の下方部位と連通するように開口が形成されており、ケース95の下面は上座板40の内部に達している。
【0030】
ロックドラム90は、ロックドラム90を回転自在に支持する支持軸900と、ワイヤを巻回する凹状の周面901と、ロックドラム90の周縁(具体的には、周面901の厚さ方向の一側に位置して設けられ、周面901よりも大径の円板部902の周縁に連続状に形成された多数の歯状の被係止部903と、を備えている。ロックドラム90の周縁はいわば歯車を形成している。1つの態様では、周面901の厚さ方向の寸法は、ワイヤが並列状に3周巻回できるような寸法となっている。支持軸900は、ケース95の後板953に設けてあり、ロックドラム90は、支持軸900を介して後板953に回転自在に装着されている。
【0031】
巻取ドラム91は、巻取ドラム91を回転自在に支持する支持軸910と、ワイヤを巻回する周面911と、巻取ドラム91をワイヤの巻取方向に付勢するための手段としてのぜんまいばね(図示せず)と、を備えている。支持軸910は、ケース95の後板953に設けてあり、巻取ドラム91は、支持軸910を介して後板953に回転自在に装着されている。
【0032】
第1回動レバー92は、上下方向に延出する回動片であり、上側の第1部分920と、第1部分920に対してやや角度を付けて下方に延びる第2部分921と、からなり、第1部分920と第2部分921との接続部に位置して形成された回動支点922(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。
【0033】
第1回動レバー92は、回動支点922を中心として、上側の第1部分920がロックドラム90に接近する方向の第1の方向(ロック方向)、上側の第1部分920がロックドラム90から離間する方向の第2の方向(ロック解除方向)に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(
図7、
図11参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90に近接した側に回動した第2の姿勢にある(
図8、
図8A参照)。
【0034】
第1回動レバー92は、付勢手段として例示するコイルスプリング96によって第2の方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング96の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第1回動レバー92の第1部分920の上端において、ロックドラム90から離間する側に連結されている。ケース95の後板953の所定部位にはストッパとしてのピンP3が突設されており、第1回動レバー92が第1の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第1部分920のロックドラム90から離間する側の部位がピンP3に当接している。
【0035】
第1回動レバー92の第2部分921の下側は、ケース95の下端から下方に延出しており、下端には、ワイヤ43が連結されており、下座板41の上動に連動してワイヤ43に引かれると、第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って、第1方向に回動する。
【0036】
第2回動レバー93は、短辺930、931、長辺932を備えた2等辺三角形状の回動片であり、短辺931をロックドラム90に対向させて、短辺931及び長辺932の下側に位置する頂点に近接して形成された回動支点933(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。図示の態様では、第2回動レバー93の回動支点933と第1回動レバー92の回動支点922は共通の支持軸P1から形成されている。短辺930、931によって形成される頂点に近接して係止部934が形成されており、係止部934から離間するように長辺932に近接して当接部935が形成されており、短辺930、長辺932によって形成される頂点に近接して当接部936が形成されている。第2回動レバー93の係止部934は、ロックドラム90の被係止部903(歯車の歯)に係脱可能な形状を備えている。
【0037】
図8B下図に示すように、本実施形態では、第2回動レバー93は、対向する2枚のプレート(黒塗りで示す)を備え、支持軸P1は2枚のプレート間に貫設されており、係止部934は2枚のプレート間を連結するピン(回転自在な回転ピン)であり、当接部935は2枚のプレート間を連結するピンであり(
図8B下図では大部分が当接部936に隠れるので省略)、当接部936は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。なお、2枚のプレートからなる構成は第2回動レバー93の1つの態様に過ぎないものである。
【0038】
第2回動レバー93は、下側の回動支点933を中心として、上側がロックドラム90に接近する方向の第1方向、上側がロックドラム90から離間する方向の第2方向に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(
図7、
図11参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90に近接する側に回動した第2の姿勢にある(
図8、
図8A参照)。第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903から離間した非係止状態にあり、また、当接部935には、第1回動レバー92の第1部分920のロック装置に近い側の部位が当接している。第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止した係止状態にある。第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とが係止状態にある時には、ロックドラム90の回転が規制され、ロック装置9はワイヤW3の引き出しが規制されたロック状態となる。
【0039】
第2回動レバー93は、付勢手段として例示するコイルスプリング97によって、第2方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング97の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第2回動レバー92の当接部935に連結されている。図示の態様では、第2回動レバー93を第2方向へ付勢するコイルスプリング97と第1回動レバー92を第2方向へ付勢するコイルスプリング96は共通のピンP2に連結されているが、それぞれ別個のピンを用意して、別個のピンに連結させてもよい。また、図示の態様では、当接部935を形成するピンが、コイルスプリング97の他端の連結部を兼用しているが、当接部935とは異なる部位にコイルスプリング97の他端を連結してもよい。
【0040】
第2回動レバー93の当接部935には、第1回動レバー92の上側の第1部分920のロックドラム90に近い側の部位が当接している。下座板41の上動に連動してワイヤ43が引かれて第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935を押すことで、第2回動レバー93は、コイルスプリング97の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動する。第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、ロックドラム90の被係止部903に対して離間していた第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止して、ロック状態となる。
【0041】
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93の上方に位置して横方向に延びる部材であり、係止状態(第2の姿勢)にある第2回動レバー93の第2の方向への回動を規制する回動規制手段、換言すると、障害物除去後において、第2回動レバー93の係止状態を所定時間保持する保持レバーである。第3回動レバー94は、ロックドラム90に近い側の端部を回動支点940として、回動可能に回動可能にケース95に設けてあり、ロックドラム90から遠い側の端部が上下方向に回動可能となっている。回動支点940は、ケース95の後板953に突設した支持軸P4から形成されている。
【0042】
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、ロックドラム90から遠い側の端部である先端が第1の位置(上側)に回動した第1の姿勢(
図7参照)にあり、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、先端が第2の位置(下側)に回動した第2の姿勢(
図8参照)にある。
【0043】
横方向に延びる第3回動レバー94の下側部位には、ロック装置9がロック状態にある時、つまり、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936に係止する係止部941が形成されている。第3回動レバー94の下側部位には、係止部941に対して先端側に位置して当接部942が形成されている。
【0044】
図8B上図に示すように、本実施形態では、第3回動レバー94は、対向する2枚のプレート(黒塗りで示す)を備え、支持軸P4は2枚のプレート間に貫設されており、係止部941は2枚のプレートの先端間に挟持したブロックであり、当接部942は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。2枚のプレートからなる構成は第3回動レバー94の1つの態様に過ぎず、また、係止部941は一体形成されたものでもよい。図示の態様では、係止部941は側面視段部状であるが、係止部941の形状は限定されず、爪状ないし突起状であってもよい。
【0045】
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、第3回動レバー94の係止部941の角部が第2回動レバー93の当接部936に当接しており、第3回動レバー94の先端が下側へ回動することが規制されており、第1の姿勢が保持されている。この状態から、第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えると同時に第3回動レバー94が下側に回動し、第2回動レバー93の当接部936が係止部941に係止する。
【0046】
図8、
図8Aに示すように、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936は第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410に対向しており、また、第1回動レバー92の上端に形成された当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接している。第1回動レバー92の当接部923と第3回動レバー94の当接部942との当接状態及び第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410との対向状態(
図8A参照)ないし係止状態(
図9参照)は、少なくとも、第1回動レバー92が第2の姿勢から第2の方向へ所定量回動する間は維持される。第2の姿勢にある第3回動レバー94が上側に所定量回動することで、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936の係止状態が解除され、第3回動レバー94による回動規制が解除され、コイルスプリング97の力で第2姿勢にある第2回動レバー93は第2方向に回動する。
【0047】
第3回動レバー94の先端側には周面状の突片943が形成されており、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、突片943が左側の側片951に当接するようになっており、第3回動レバー94のさらなる上側への回動が規制されている。こうすることで、第3回動レバー94が第2姿勢から第1姿勢へ回動した時の跳ね上がりを防止している。図示の態様では、第3回動レバー94は、ロックドラム90側の端部を支点として片持ち状に回動可能に支持されており、第3回動レバー94を下から支える力が無くなると、第3回動レバー94の先端側は自重で下方に回動するようになっているが、第3回動レバー94の先端を図示しないバネ材(コイルスプリング等)によって下方に付勢してもよい。
【0048】
[B−2]ロック装置の作用
ブレーキが解放されてシャッターカーテン1が自重降下を開始すると、座板4の降下に伴って座板4に設けられたロック装置9(ロックドラム90、巻取ドラム91)も降下し、ロック装置9の降下に伴って、ぜんまいばねの力に打ち勝って、第2ワイヤW3は巻取ドラム91及びロックドラム90が回転しながら、シャッターカーテン1の降下距離分だけ引き出されていく。
【0049】
ロック装置9は、降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当接した時に、下座板41が上座板40に対して相対的に上動することに連動してロックドラム90の回転が規制されるように作動する。自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42の下端部位はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98を介して第1回動レバー92に連結されている。検知レバー42は、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、ロックドラム90から離隔する方向に回動してワイヤ43をロックドラム90から離隔する方向に引っ張り、第1回動レバー92が第1の姿勢から第2の姿勢へと回動する。
【0050】
第1回動レバー92が
図7に示す第1の姿勢から第1の方向へ回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接しながら押すことで、第1の姿勢にある第2回動レバー93は第1の回動レバー92と一緒に第1の方向へ回動して、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する(
図8、
図8A)。
【0051】
一方、
図7に示すように、第1の姿勢にある第3回動レバー94は、第1の姿勢にある第2回動レバー93の当接部936に当接することで、下側への回動が規制されている。第1の姿勢にある第2回動レバー93が第1回動レバー92と共に第1の方向へ回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えて係止部941に係止すると同時に、第3回動レバー94が自重で下側へ回動して第2の姿勢となる(
図8、
図8A)。
【0052】
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第2の姿勢は、ワイヤ43の引っ張り力により保持され、第2回動レバー93の第2の姿勢は、第2の姿勢にある第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接することで保持され、第3回動レバー94の第2の姿勢は、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接することで保持される。したがって、ワイヤ43が引っ張られた状態、すなわち、障害物検知状態にある時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢を維持し、ロック装置9がロック状態にあってロックドラム90の回転が規制される。
【0053】
ロックドラム90の回転が停止すると、第2ワイヤW3の引き出しが規制され第2ワイヤW3の長さが一定となり、この状態で上座板40(すなわちロックドラム90)が降下すると、第2ワイヤW3、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、作動手段がブレーキ復帰方向に移動し、ブレーキ解放レバー50が復帰してブレーキが復帰し、巻取シャフト2の回転を規制してシャッターカーテン1の降下が停止する。ここで、ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)を所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、ブレーキ復帰をさせるだけのシャッターカーテン1の降下量に対応する上動ストロークを備えていることが望ましい。さらに、この上動ストロークに加え、下座板41は、上座板40に対して、相対的に上動可能とするような余裕ストロークを備えていることが望ましい。この余裕ストロークによって、下座板41に障害物が接触した時に、当該下座板41の荷重のみを障害物に作用させることができ、障害物にシャッターカーテン全体の荷重が作用することを防止する。ここで、上座板40に対して相対的に上動する下座板41とから座板4を構成することは公知であるが、本実施形態では、上座板40に対する下座板41の可動距離は、従来の可動距離よりも大きい。具体的には、上座板40に対する下座板41の相対的な可能距離は、自重降下するシャッターカーテン1下端の下座板41が障害物Xに当たった時に検知レバー42を回動させて、第1回動レバー92をロックドラム90に係止させて当該ロックドラム90の回転を規制して巻取ドラム91に収納されている復帰ワイヤの引き出しを規制するまでの第1移動量(ロックのために第1回動レバー92及び第2回動レバー93を回動させる必要あり)と、復帰ワイヤの引き出しが規制された状態で上座板40が下座板41に対して相対的に下動することで前記引き出しが規制された復帰ワイヤを下方に引っ張ってブレーキを復帰させるまでの第2移動量(ロック後に復帰ワイヤを下方に引っ張る必要あり)と、ブレーキ復帰によってシャッターカーテン1の下降が停止した後で上座板40に対する下座板41の上動を許容する第3移動量(障害物Xに作用するであろう荷重を緩和する)と、の合計からなる。なお、復帰ワイヤを引くことに関連して、下座板41の上動ストロークが小さい場合であっても、復帰ワイヤの途中(例えば、中継装置8)や復帰ワイヤ(第1ワイヤW2)と作動手段との連結部位に位置させて、第2ワイヤW3の上動ストロークに対して大きい作動手段の牽引量を取り出す機構(例えば、リンク機構)を設けることでブレーキを復帰させることができる。
【0054】
障害物除去後に下座板41が下動して、ワイヤ43の引っ張りが無くなると、第2の姿勢にある第1回動レバー92がコイルスプリング96の力によって第2の方向に回動を開始する。本実施形態では、後述する減衰機構によって、第1回動レバー92は第2の方向にゆっくりした速度で回動する。第1回動レバー92の上端の当接部923は凹状の円弧面となっており、回動初期には、第3回動レバー94の当接部942の周面に対して摺動しながら、第1回動レバー92が第2の方向に回動を開始する一方、第2回動レバー93は、第2の姿勢(ロック状態)を維持している(
図9)。
図8と
図9を対比すればわかる通り、第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態の遊びの範囲において、第2の姿勢にある第1回動レバー92が第2の方向へ回動すると、第2回動レバー93もわずかに第2の方向に回動するが、当該係止状態は維持されており、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とはロック状態にある。
【0055】
第1回動レバー92が所定量回動した時点から、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接して作用し、第3回動レバー94の先端側の当接部942が第1回動レバー92の回動に連動して上方に押し上げられ、第3回動レバー94が所定量押し上げられると、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936との係止状態が解除され(係止状態が解除される直前まで、第2回動レバー93のロック状態が維持される)、第2回動レバー93はコイルスプリング97の力によって第2の方向に瞬時に回動し、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903との係止状態が解除され、ロック状態が解除される。ロック状態が解除される直前の状態を
図10に示す。
図10の状態から第1回動レバー92の当接部923によって第3回動レバー94の当接部942が完全に押し上げられると、第2回動レバー92の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態が外れて、同時に、コイルスプリング97によって第2回動レバー93が第2の方向に瞬時に回動して、係止部934がロックドラム90の被係止部903から外れて、ロックドラム90の回転が可能となる。
【0056】
本実施形態では、第2ワイヤW3を、ロックドラム90と、巻取ドラム91に分けて巻き取るようにしている。1つの回転体にワイヤの巻取機構とロック機構の両方を設けた場合には、ワイヤが回転体に乱巻きされ、多層に巻かれたワイヤに外側のワイヤが食い込んで、いわゆる巻き絞りが生じるおそれがある。ワイヤに巻き絞りが生じると、ワイヤの円滑な繰り出し、巻取りに影響を与える可能性がある。本実施形態では、第2ワイヤW3は先ずロックドラム90に3周巻かれてから、巻取ドラム91に巻装されるようになっており、第2ワイヤW3に発生し得る力はロックドラム90に作用するようになっている。ここで、ロックドラム90の周面901には、第2ワイヤW3が一層巻き(並行状の3巻き)なので、第2ワイヤW3に力が作用しても、回転中のロックドラム90の回転が急に停止しても、ワイヤに巻き絞りが生じることがない。また、第2ワイヤ3をロックドラム90に複数巻くことで、第2ワイヤ3がロックドラム90の周面901で滑ることを防止しており、ロックドラム90と巻取ドラム91が一緒に回転するようになっている。また、巻取ドラム91には、第2ワイヤ3を巻き取る方向に付勢するぜんまいばねが内蔵されているので、ロックドラム90がロックされて回転が停止しても、第2ワイヤW3の弛みは生じない。
【0057】
第1回動レバー92の下端は、コイルスプリング98を介してワイヤ43に連結されており、コイルスプリング98は緩衝用バネを構成している。ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤを所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止した後も相対的に上動する必要がある。この時、コイルスプリング98が伸びることで、ロックドラム90がロックされた後の下座板41の上動に伴うワイヤ43や係止部分(係止部934、被係止部903)への負荷を緩和している。より具体的に説明すると、ロック後(係止部934が被係止部903に係止した後)、さらに上座板40が下座板41に対して下動することで、下動した分だけ復帰ワイヤが引き下げられる。同時に、上座板40の下動によって、検知レバー42がさらに上方に回動して、ワイヤ43がさらに引かれるが、この時、コイルスプリング98が伸びることで、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に押し付けられることを防止する。
【0058】
[B−3]ロック装置の他の態様
図示の態様では、ロックドラム90と巻取りドラム91は隣接しているが、ロックドラム90と巻取ドラム91を離間(非限定な例示として、これらのドラムの半径寸法から直径寸法程度)させて配置してもよい。本実施形態では、ロックドラム90と巻取ドラム91を別体として設け、ロックドラム90をロックする構成に基づいて説明したが、出願人の先の出願である特許第4906612号(特開2009−13647号)に記載したもののように、ロックドラムと巻取ドラムを一体化してもよい。図示の態様では、ロックドラム90の一側にのみ第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94、検知レバー42を配置したが、ロックドラム90の両側に検知レバーを配置すると共に、それぞれの検知レバーに連結されるワイヤに連結される左右一対の第1回動レバーを設けてもよい。
【0059】
[C]減衰機構
本実施形態は、第2回動レバー93の第2の方向への回動開始タイミングを遅らせ、かつコイルスプリング97の作用によって瞬時に第2の方向に回動させてロック状態を解除することに特徴を備えている。第1回動レバー92の第2の方向への回動速度を遅くすることによって、障害物検知後にロック状態が解除されるまでの時間をさらに長くすることができる。すなわち、第2の姿勢にある第1回動レバー92が第2の方向へ回動する速度を低減するように減衰機構を設け、障害物除去後に、第1回動レバー92を第2の方向へゆっくり回動させることで、第3回動レバー94による第2回動レバー93の回動規制解除のタイミングを遅延させると共に、回動規制が解除された第2回動レバー93は、減衰機構の影響を受けずに、コイルスプリング97によって瞬時に第2の方向に回動し、速やかにロック状態が解除される。
【0060】
[C−1]第1の形態(上座板と下座板との間に設けた緩降装置)
図3Aに示す態様では、減衰機構は、上座板40と下座板41との間に設けた緩降装置44である。緩降装置44は、下座板41の底面部410が障害物に当たることで上座板40に対し上動した下座板41が、障害物が除去された後に再び上座板40に対して下動する際に、下座板41をゆっくり下動させるための装置である。緩降装置44は、例えば、上座板40と下座板41のいずれか一方に設けたワンウェイのロータリーダンパ及びピニオンギアと、他方に設けたラックギアからなる。
【0061】
図3Aに示すように、緩降装置44は、座板4の長さ方向に間隔を存して複数個配置されている。より具体的には、座板4の長さ方向に検知レバー42と緩降装置44が交互に配置されている。図示の態様では、検知レバー42と緩降装置44を1つずつ交互に配置したが、隣位の2つの検知レバー42間に複数個の緩降装置44を配置したたり、隣位の2つの緩降装置44間に複数個の検知レバー42を配置したりしてもよい。なお、必要に応じて、ガイド手段(リング、ローラ、アウターケーブル等)を設けて、緩降装置44を避けてワイヤ43が延びるようにできることが当業者に理解される。
【0062】
緩降装置44は油圧式でワンウェイのロータリーダンパ440を備えており、ロータリーダンパ440の回転に伴って、ロータリーダンパ440に設けたピニオンギア441がラックギア442に案内されて(同時に、上側フレーム443の側面部が下側フレーム444の側面部に案内されて)、上下動するようになっている。ロータリーダンパ440は、第1の方向に回転することで、ピニオンギア441がラックギア42に案内されて上方に移動し、第2の方向に回転することで、ピニオンギア441がラックギア42に案内されて下方に移動し、ロータリーダンパ440は第2の方向に回転する時にゆっくり回転するようになっている。
【0063】
下降中のシャッターカーテン1の下端の座板4の下座板41の底面部410に障害物が当ると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、下座板41の上動に伴って下座板41に装着された下側フレーム444に固定されたロータリーダンパ440が第1の方向に回転しながら(ピニオンギア441が上座板40のラックギア442に案内されて)上方に移動する(
図3A下図は、この状態を示す)。この時、検知レバー42が回動して、ワイヤ43を引っ張ることで、第1回動レバー92が第1の方向に回動し、同時に第2回動レバー93が第1の方向に回動して係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する。
【0064】
シャッターカーテン1の下端の座板4の下座板41の底面部410の障害物が取り除かれると、下座板41が上座板40に対して下動する。下座板41の下動に伴って下座板41に装着されたロータリーダンパ440が第2の方向に回転しながら(ピニオンギア441が上座板40のラックギア442に案内されて)下方に移動する。この時、ロータリーダンパ440(及び任意要素であるコイルスプリング445)の作動によって、下座板41はゆっくりと下動する。下座板41がゆっくりと下動することで、第2の姿勢にある第1回動レバー92はゆっくりと回動しながら戻り、第3回動レバー94による第2回動レバー93の回動規制解除のタイミングを遅延させる。
【0065】
[C−1]第2の形態(第1回動レバーの下端とワイヤとの間に設けた減衰機構)
図3Bに示す態様では、減衰機構45が、第2の姿勢にある第1回動レバー92の第2の方向への回動に抵抗を与えるように、第1回動レバー92とワイヤ43との間に設けられる。図示の態様では、減衰機構45は、ピニオンギアを備えたロータリーダンパ450と、ラック451と、からなる。
図3Bに示すように、第1回動レバー92の下端にラック451の一端が連結され、ラック451の他端はコイルスプリング98の一端に連結され、コイルスプリング98の他端はワイヤ43の端部に連結されている。ロータリーダンパ450は、後板953の延長部9530に取り付けられている。
【0066】
自重降下中のシャッターカーテン下端が障害物に当接すると、ワイヤ43が左方向へ引かれる。ラック451とコイルスプリング98がそのまま左方向へ引かれ、第1回動レバー92、第2回動レバー93が第1の方向に回動して、第2回動レバー93の係止部934が被係止部903に掛かり、ロックドラム90の回転を止める。この時には減衰機構45は働かない。 障害物が取除かれるとワイヤ43が右方向へ戻り、コイルスプリング98が縮み、ラック451が右方向へ戻るが、このときは減衰機構45が働き、ラック451はゆっくりと右方向へ戻ることになる。
【0067】
図3Bは減衰機構の1つの態様を示すに過ぎないものであり、減衰機構の配置態様としては、第1回動レバー92に直接作用するように(第2の姿勢から第1の姿勢へゆっくり変位するように)設ける態様(例えば、連結機構と連結する第1回動レバー92の端部、または、第1回動レバー92の回動軸)、連動機構部分に作用させることで、その結果、第1回動レバー92を第2の姿勢から第1の姿勢へゆっくり変位させる態様、検知レバー42に作用させることで、それに連動する第1回動レバー92を第2の姿勢から第1の姿勢へゆっくり変位させる態様、を例示することができる。
【0068】
[D]ブレーキ解放・復帰装置
[D−1]全体構成
図12乃至
図15に基づいてブレーキ解放・復帰装置7の具体的な構成について説明する。
図12は、手動閉鎖装置10を用いてシャッターカーテンを自重降下させる場合、
図13は、自動閉鎖装置6を用いてシャッターカーテンを自重降下させる場合を示している。
図12(A)、
図13(A)は、ブレーキが有効な状態(ブレーキ復帰状態)、
図12(B)、
図13(B)は、ブレーキ解放状態、
図12(C)、
図13(C)は、ブレーキ復帰状態とする動きを示す図である。図中、「左側」が「自動閉鎖装置側」となっており、ブレーキ解放レバー50が左側へ向かう方向が「ブレーキ解放方向」、左側へ移動したブレーキ解放レバー50が右側へ向かう方向が「ブレーキ復帰方向」である。
【0069】
ブレーキ解放・復帰装置7は、開閉機5のブレーキケースに対応して開閉機5の外側に取り付けられるフレーム70を備えている。フレーム70は、上壁700と、上壁700の左右端部より垂下する側壁701、702を備えており、対向状の側壁701、702間には水平状に延出するガイド軸71、72が設けてある。図示の態様では、
図15に示すように、ガイド軸71はフレーム70の幅方向中央部位で延びる1本の軸、ガイド軸72はフレーム70の幅方向に間隔を存して平行状に延びる2本の軸である。ガイド軸71、72の本数は図示のものに限定されない。
【0070】
上壁700にはブレーキ解放レバー50の先端部位を左右方向に移動可能に受け入れる開口7000が形成されており、ブレーキ解放レバー50の先端部位は上壁700の開口7000を挿通してフレーム70内に延出している。上壁700には、側壁702に寄った位置に、側壁702と対向するように垂壁703が形成されている。上壁700には、側壁701に近接した位置に、側壁701と対向するように垂壁704が形成されている。図示の態様では、垂壁703、704は、水平辺と垂直辺からなるL形状の部材の該水平辺を上壁700に連結することで、該垂直辺から形成される。フレーム70には下面カバー70A、側面カバー70Bが設けてあり、全体として箱状に形成されている(
図15参照)。
【0071】
ガイド軸71には、作動手段としての第1作動体73が左右方向(ガイド軸71の長さ方向)にスライド自在に設けてある。第1作動体73は、水平状に延出する底辺730と、底辺の左右端部から対向状に垂直に立ち上がる側辺731、732とから側面視コ字形状を備えており、左右の側辺731、732にはガイド軸71を挿通させる挿通孔が形成されている。第1作動体73の右側の側辺732には、手動閉鎖装置10から延びる手動操作用ワイヤW4の一端が固定されている。
【0072】
第1作動体73の側辺731、732の幅方向両端部にはガイド軸72を挿通させる挿通孔が形成されており、第1作動体73は、ガイド軸71、72の長さ方向に移動するスライダである。ガイド軸72には、さらに、作動手段としての第2作動体74、第3作動体75が左右方向(ガイド軸72の長さ方向)にスライド自在に設けてある。
【0073】
第2作動体74は、水平状に延出する上辺740と、上辺740の左右端部から対向状に垂下する側辺741、742とから側面視コ字形状を備えており、左右の側辺741、742にはガイド軸72を挿通させる挿通孔が形成されている。第2作動体74の左側の側辺741には、自動閉鎖装置6から延びるブレーキ解放ワイヤW1の一端が固定されている。第2作動体74の上辺740には、側辺741に寄った側(左側)に位置して開口7400が形成されている。ブレーキ解放レバー50の下端は、開口7400内までに達している。第2作動体74がどの位置にあっても、開口7400の少なくとも部分は上壁700の開口7000と所定範囲重なっており、第2作動体74が、後述する押圧片7510の移動及びブレーキ解放レバー50の移動を妨げないようになっている。
【0074】
第3作動体75は、水平状に延出する底辺750と、底辺750の左右端部から対向状に垂直に立ち上がる側辺751、752とから側面視コ字形状を備えており、左右の側辺751、752にはガイド軸72を挿通させる挿通孔が形成されている。第3作動体75の右側の側辺752には、復帰ワイヤを構成する第1ワイヤW2の一端が固定されている。第3作動体75の左側の側辺751の中央部位は右側の側辺752よりも大きい立ち上がり寸法(高さ)を備えた押圧片7510が形成されており、ブレーキ有効時には、当該押圧片7510がフレーム70内に突出したブレーキ解放レバー50の右側に位置して離間対向するようになっている(
図12(A)に示す態様では、押圧片7510は上壁700の開口7000の右側端縁に当接している)。ここで、第3作動体75の左側の側辺751の上半部は、第2作動体74の上辺740の開口7400を通って上方に延びており、上端の押圧片7510が上壁700の開口7000まで達している。こうすることで、押圧片7510の動作を、第2作動体74が妨げることがないようになっている。ブレーキ解放レバー50を挟んで側辺751と自動閉鎖装置6とが反対側に位置しており、ブレーキ解放レバー50の右側に位置する側辺751が左側に向かって移動することで、押圧片7510がブレーキ解放レバー50を押圧して左側(自動閉鎖装置側、ブレーキ解放方向)に移動させる。
【0075】
上壁700の側壁702に寄った位置に形成された垂壁703と側壁702との間に、第1作動体73の右側の側辺732が位置している。ガイド軸71には、第1作動体73の側辺731と垂壁703との間に位置して第1コイルスプリング76が巻装されている。第1コイルスプリング76の左側端部は第1作動体73の左側側辺731に当接しており、第1コイルスプリング76の右側端部はケース70の垂壁703に当接している。
【0076】
2本のガイド軸72のそれぞれには第2コイルスプリング77が巻装されており、各第2コイルスプリング77の左側端部は第3作動体75の左側側辺751に当接しており、各第2コイルスプリング77の右側端部は第2作動体74の右側側辺742に当接している。本実施形態において、第1コイルスプリング76の弾性力は、2本の第2コイルスプリング77の弾性力の合計よりも大きい。より一般化すると、ブレーキ解放・復帰装置7がN(N≧1)本の第1コイルスプリング76、M(≧1)本の第2コイルスプリング77を備えている場合に、単一の第1コイルスプリング76の弾性力×N>単一の第2コイルスプリング77の弾性力×M、である。図示の態様では、N=1、M=2である。
【0077】
[D−2]手動閉鎖装置を用いたブレーキ解放・復帰の動作
図12(A)に示すように、手動閉鎖装置10がブレーキ解放作動前の状態にある時(ブレーキ解放レバー50はブレーキを維持するブレーキ有効姿勢にあり、ブレーキ有効時である)には、緊張状態にあるワイヤW4が、第1作動体73の側辺732を図中右側に引っ張ることで、第1コイルスプリング76を圧縮状態に維持している。第3作動体75の左側側辺751の押圧片7510は、ブレーキ解放レバー50の右側に位置して離間対向している。第2作動体74の左側側辺741は、第1作動体73の左側側辺731の左側に位置して当接している。
【0078】
随時閉鎖を行いたい時には、手動閉鎖装置10の非常ボタン102を押すと、
図12(A)の状態から、第1作動体73の側辺732を図中右側に引っ張って第1コイルスプリング76を圧縮状態に維持しているワイヤW4が緊張状態から緩み、圧縮された第1コイルスプリング76が伸長することで、コイルスプリング76の左側端部が左側に移動し、第1作動体73の側壁731が図中左側に押し出されて第1作動体73が左側に移動する。左側に押し出される側壁731によって、第2作動体74の側壁741が左側に押し出されて、第2作動体74が左側に移動する。左側に移動した第2作動体74の側壁741は、ストッパとしての垂壁704に当接する。
【0079】
第2作動体74の右側側辺742は第2コイルスプリング77の右側端部に右側から当接しており、第2作動体74の側辺742が右側に移動することによって、第2コイルスプリング77を介して、第3作動体75の側辺751が左側に押し出されて、側辺751の押圧片がブレーキ解放レバー50を左側(自動閉鎖装置側)に移動させて、ブレーキを解放する(
図12(B))。この時、2本の第2コイルスプリング77の弾性力の合計は、ブレーキ解放レバー50の付勢力(開閉機5に内蔵された復帰手段により提供される復帰力)より大きいので、第2コイルスプリング77はそのままの状態で、ブレーキ解放レバー50の付勢力に打ち勝って左側に移動して、ブレーキ解放レバー50を自動閉鎖装置側に移動させてブレーキを解放する。ブレーキ解放により、シャッターカーテン1は自重降下を開始する。
【0080】
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、ワイヤW2が右側に引っ張られて、第2コイルスプリング77を圧縮しながら第3作動体75が右側に移動する。第3作動体75の右側側辺751の押圧片7510が右側に移動することで、ブレーキ解放レバー50を左側(ブレーキ解放方向)に押圧する力が解除され、ブレーキ解放レバー50がフリーとなって、ブレーキに内蔵された復帰手段(バネ部材)によってブレーキ及びブレーキ解放レバー50が復帰する(
図12(C))。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。この時、第2コイルスプリング77が圧縮されるだけで、第1作動体73、第2作動体74は移動しない。
【0081】
手動で自重降下させたシャッターカーテンを再び手動で停止させたい場合には、手動閉鎖装置10のレバー103を手前に引くと、第1作動体73に連結されているワイヤW4が右側に引っ張られ、第1コイルスプリング76を圧縮しながら第1作動体73が右側に移動する。
図12(B)の状態から、ブレーキ解放レバー50を復帰方向に移動させる復帰手段(バネ部材)に打ち勝ってブレーキ解放レバー50をブレーキ解放位置に保持する第1コイルスプリング76の伸長力が解除されることで、ブレーキ解放レバー50は、開閉機側の上記復帰手段の力で、第2作動体74、第3作動体75を伴って右側に移動し、ブレーキ及びブレーキ解放レバー50が復帰する。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。このようにして、ブレーキ解放レバー50は
図12(A)の位置に戻る。
図12(A)との違いは、ブレーキ解放レバー50と第3作動体75の右側側辺751の押圧片7510が接触している点である。
【0082】
[D−3]自動閉鎖装置を用いたブレーキ解放・復帰の動作
図13(A)は、
図12(A)と同じであり、
図12(A)の説明を援用することができる。火災感知器6aによって火災が感知されると、防災盤6bより信号(DC24V)が出力され、自動閉鎖装置6が作動して、ブレーキ解放ワイヤW1を引っ張る。
図13(A)の状態から、自動閉鎖装置6によってブレーキ解放ワイヤW1が左側に引かれると、第2作動体74の左側側辺741が自動閉鎖装置側に引かれて移動し、同時に第2作動体74の右側側辺742が自動閉鎖装置側に移動することで、第1コイルスプリング76(第1コイルスプリング76は、開閉機5に内蔵されたブレーキ解放レバー50の復帰手段よりも大きい弾性力を有している)を介して第3作動体75が自動閉鎖装置側に移動して、第3作動体75の左側側辺751の上端部の押圧片7510がブレーキ解放レバー50に当接してこれを移動させることでブレーキを解放する。
図13(B)はブレーキが解放された状態を示している。
【0083】
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、ワイヤW2が右側に引っ張られて、第2コイルスプリング77を圧縮しながら第3作動体75が右側に移動する。第3作動体75の右側側辺751の上部の押圧片7510が右側に移動することで、ブレーキ解放レバー50を左側(ブレーキ解放方向)に押圧する力が解除され、ブレーキ解放レバー50がフリーとなって、ブレーキに内蔵された復帰手段によってブレーキ及びブレーキ解放レバー50が復帰する(
図13(C))。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。この時、第2コイルスプリング77が圧縮されるだけで、第1作動体73、第2作動体74は移動しない。本実施形態の開閉機5のブレーキ解放レバー50は、ブレーキ有効姿勢(
図12(A)に示す位置)において、右方向(ブレーキ復帰方向ないしブレーキ維持方向)にAkgの付勢力が作用している。ブレーキ解放力(ブレーキ解放レバー50を解放位置まで移動させる力)はBkg(B>A)に設計されている。第2コイルスプリング77は2本の合計で、
図12(A)の状態でCkg、
図12(C)の状態でDkg(D>C>B)の力が作用するように設計されている。第1コイルスプリング76及び自動閉鎖装置6の圧縮コイルスプリングは、それぞれ、Ekg(E>D)、Fkg(F>D)の付勢力を持つスプリングに設計されている。なお、第2コイルスプリング77について、
図12(A)の状態は伸長状態、
図12(C)の状態は圧縮状態にあり、したがって、第2コイルスプリング77は伸長状態でCkgの力を作用できるようになっている。
【0084】
[E]他の実施形態
さらに、本発明の他の実施形態について
図16〜
図29を参照しつつ説明する。原則として、図面を通して、同一の要素に対しては同一の参照番号が付されており、
図16〜
図29において、既述の実施形態に係る図中の参照番号と同じ参照番号が付された要素の説明については、既述の記載を援用することができる。以下、既述の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0085】
[E−1]ロック装置
既述のロック装置9において、ロックドラム90を回転自在に支持する支持軸900及び巻取ドラム91を回転自在に支持する支持軸910は、ケース95の後板953に片持ち支持されている。これに対して、
図16、
図17に示す態様では、支持軸900及び支持軸910は両端で支持されている。
図17に示すように、ロックドラム90、巻取ドラム91の前面側には、ロックドラム90及び巻取ドラム91を挟んで後板953と対向するように前板954´が設けてある。前板954´は、少なくともロックドラム90、巻取ドラム91の中心部(支持軸900、910に対応する部位)の前側を覆うように延びている。図示の態様では、前板954´は、上側及び右側に折り曲げ片が一体形成されており、上側折り曲げ片を上板950に、右側折り曲げ片を側片952に当接させて螺子でケース95に固定される。支持軸900及び支持軸910は一端が後板953に、他端が前板954´に支持されている。支持軸900、支持軸910を両端で支持することで、片持ち支持に比べてより安定してロックドラム90、巻取ドラム91を回転支持することができる。
図17に示す態様では、ロックドラム90と巻取ドラム91間で延びるワイヤW3を挿通させるガイド部958は前板954´の下端の折曲部に形成されている。
図16、
図17には図示していないが、ケース95の前面には、さらに、前面カバー954(
図3A参照)が設けられる。
【0086】
図16、
図17に示す態様では、側片951、952の下端はそれぞれ外側に折り返されて折曲片956、957が形成されており、ケース95は、折曲片956、957を介して螺子956a、957aで上座板40の上面部400に取り付けられている。ケース95は外部に露出する螺子956a、957aを用いて上座板40に取り付けられているので、メンテナンス時等のケース95の取り外しが容易となる。
【0087】
図16、
図17に示すように、第1回動レバー92の下端には、フック状の係止部92´が形成されており、ワイヤ43の端部(ワイヤ43の端部にコイルスプリング98連結されている場合には、コイルスプリング98の端部)が係止部92´に係脱可能に係止されている。係止部92´は、第1回動レバー92の下端側において、ワイヤ43が延びる側とは反対側に形成された開口と、開口から下方に延びる溝部と、溝部によってワイヤ43が延びる側と反対側に形成された立ち上がり部と、から形成されており、溝部の底部はワイヤ43側に若干膨らんでおり、立ち上がり部の上端は開口に隣接して肉厚に形成されている。係止部92´の形状は、機械式避難時停止装置の動作時に、第1回動レバー92がいかなる回動姿勢にあっても、ワイヤ43が係止部92´から外れることがないような形状に形成されている。メンテナンス時等にはワイヤ43の端部を係止部92´から取り外すことができるので有利である。
【0088】
[E−2]検知レバー
図16に示すように、座板4の長さ方向には間隔を存して複数の検知レバー42が取り付けてある。
図18において、検知レバー42は、上座板40の上面部400の内側に固定された支持部42Aに対して回動可能に取り付けられている。
図18(B)、(C)に示すように、検知レバー42は、上端側がロック装置9に近く、下端側がロック装置9から遠くなるような傾斜姿勢で取り付けられている。検知レバー42の下端には被当接部420としてのローラが回転自在に設けてあり、障害物検知時に下座板41が上動すると、下座板41の底面部410にローラが押し上げられて、検知レバー42は、上方の回動支点421を中心に、下端側がロック装置9から離間する方向に回動可能となっている。検知レバー42の長さ方向中間部位のロック装置9側には突出部422が突成されており、突出部422にワイヤ43の挿通部423が設けてある。ワイヤ43に形成した当接部が挿通部423の周囲に当接することで、検知レバー42の回動に連動してワイヤ43が引かれるようになっている。
図18(A)、(B)の状態から下座板41が上動すると、下座板41の底面部410に押し上げられて検知レバー42が
図18(D)の実線の姿勢から二点鎖線の姿勢へ回動し、ワイヤ43をロック装置9から離隔する方向に引っ張る。ワイヤ43の挿通部423は突出部422に対して回動自在に装着されており、突出部422に連結部423が設けられたことと相俟って、検知レバー42の回動時にワイヤ43の水平姿勢を可及的に維持するようになっている。さらに、
図18(B)、(D)に示すように、検知レバー42の通常の傾斜姿勢において、挿通部423は回動支点421に対して右側(回動方向とは逆側)に位置しており、検知レバー42の回動時の挿通部423の上下の変動量が小さく抑えられている。
図18(A)、(B)に示すように、下座板41が上座板40に対して吊持された通常の状態では、検知レバー42の上側部位が支持部42Aに当接することで傾斜姿勢が維持されており、検知レバー42の下端のローラの周面は下座板41の底面部410から僅かに上方に離間している(
図18(A))。なお、通常の状態において、ローラ周面と下座板41の底面部410が接触していてもよい。
【0089】
[E−3]下座板の形状
図18(A)に示すように、上座板40は、上面部400と、上面部400の幅方向両端から垂下する左右の側面部401と、左右の側面部401の下端から互いに接近する方向に水平状に延びる被当接片402と、からなり、下座板41の上端の左右の水平状の当接片411が上座板40の被当接片402上に載ることで、上座板40に対して下座板41が吊持される。下座板41の水平状の当接片411には、上座板40の側面部401に近接対向する垂直状の立ち上がり片412が形成されており、下座板41の下端の角部に障害物が当たったような場合でも、下座板41の立ち上がり片412が上座板40の側面部401に当接することで傾動が規制され、上座板40に対して下座板41が建物開口部の前後方向(シャッターカーテンの厚さ方向)に大きく傾くことを規制している。
【0090】
[E−4]緩降装置
緩降装置44の他の実施形態を
図19、
図20に示す。緩降装置44は、下座板41の底面部410が障害物に当たることで上座板40に対して上動した下座板41が、障害物が除去された後に再び上座板40に対して下動する際に、下座板41をゆっくり下動させるための装置である。緩降装置44は、上座板40に設けたロータリーダンパ440及びピニオンギア441と、ラックギア442を備え下座板41と一体で上下動するように設けられた昇降体442Aと、ピニオンギア441とラックギア442との間に設けたワンウェイクラッチ機構と、からなる。
【0091】
ワンウェイクラッチ機構は、ピ二オンギア441と噛合し、ピ二オンギア441と連動して回転する大径の第1ギア446と、ラックギア442と噛合しラックギア442の上下動に連動して回転する小径の第2ギア447と、第1ギア446と第2ギア447との間に設けたワンウェイクラッチ448と、からなる。
【0092】
ワンウェイクラッチ448は、第2ギア447の第1の方向の回転は第1ギア446に伝達されず、第2ギア447は第2の方向に回転する時にのみ第1ギア446と一体で回転するように作動する。昇降体442Aが上動する時には、第2ギア447は第1の方向に回転し、したがって、昇降体442Aは抵抗を受けずに速やかに上動することができる。昇降体442Aが下動する時には、第2ギア447は第2の方向に回転し、第2ギア447と一体で第1ギア446が回転し、第1ギア446はロータリーダンパ―440を備えたピ二オンギア441と噛合していることから、第2ギア447はロータリーダンパ440の抵抗を受けつつゆっくりと回転し、したがって、昇降体442Aはゆっくりと下動することができる。
【0093】
さらに、ピニオンギア441は、ピ二オンギア441に対して大径の第1ギア446に噛合しているので、ピ二オンギア441の回転速度に比べて第1ギア446の回転速度がピ二オンギア441と第1ギア446の歯数比分減速され、第1ギア446と一体で回転する第2ギア447の回転速度も減速され、ピ二オンギア441とラックギア442が直接噛合しているような場合に比べて、昇降体442Aをゆっくりと下動させることができる。さらに、大径の第1ギア446と小径の第2ギア447が一体で回転し、小径の第2ギア447がラックギア442と噛合しているので、第1ギア446が直接ラックギア442に噛合していると仮定したような場合に比べて、昇降体442Aを同じ距離だけ下動させるのにより多くの回転が必要となり、昇降体442Aを第1ギア446と第2ギア447の歯数比分ゆっくりと下動させることができる。
【0094】
上座板40の内部には、箱状のケース449が固定されており、ケース449には、ロータリーダンパ440及びピニオンギア441、ワンウェイクラッチ機構が取り付けられている。ケース449は、上面部4490と、第1側面部4491と、第2側面部4492と、第1面部4493と、第2面部4494と、を備え、下側が開口状となっている。第1側面部4491の下端は第2側面部4492の下端よりも下方に延びている。第1側面部4491の下方部位にはワイヤ43の挿通孔4491aが形成されている。ケース449は、第1側面部4491をロック装置9から遠い側、第2側面部4492を近い側に位置させて、上面部4490を介して、上座板40の上面部400の下面に装着されている。なお、ケース449は逆の向きで取り付けてもよい。第1面部4493には、ロータリーダンパ440及びピニオンギア441が取り付けられている。第1面部4493と第2面部4494間に、ワンウェイクラッチ機構(第1ギア446、第2ギア447)の軸部が架け渡されている。
【0095】
昇降体442Aは垂直板状の本体からなり、
図19(A)に示すように、前記本体は平面視においてケース449の第1側面部4491、第2側面部4492に平行し、第1面部4493、第2面部4494に直交するように延びている。本体の下端には、円柱状の水平部が形成されており、水平部の両端部位4420は昇降体442Aの本体の幅方向両端部、及び、ケース449の第1側面部4493、第2側面部4494を越えて突出している。
図20に示すように、下座板41は、上端の左右の水平状の当接片411から垂下する左右の側面部413と、左右の側面部413の下端から互いに離間するように水平に延びる左右の水平部414と、を備え、水平部414と底面部410との間の下方部位は幅広空間415となっている。昇降体442Aの下端の円柱状の水平部は、幅広空間415に収まっており、水平部の両端部位4420が、下座板41の水平部414に下方から当接しており、下座板41の上下動と共に昇降体442Aが上下動するようになっている。
【0096】
垂直板状の昇降体442Aの本体は、ワンウェイクラッチ機構に対向する第1面と、第1側面部4491の内面に対向する第2面と、を備え、第1面には、当該第1面の幅方向の一側に寄った部位においてラックギア442が高さ方向に亘って形成されており、ラックギア442は第2ギア447に噛合している。前記本体には、幅方向の他側において、ワイヤ43を挿通させる縦長挿通孔4421が高さ方向に亘って形成されている。本体の前記第1面には、縦長挿通孔4421に隣接して高さ方向に亘って隆起部4422が突成されており、ケース449の第1面部4493の内面に高さ方向に亘って形成されたガイド突起4493aに摺接している。本体の前記第2面は、ケース449の第1側面部4491の内面に摺接している。昇降体442Aは、ラックギア422が第2ギア447に噛合し、隆起部4422がガイド突起4493aに摺接し、本体の前記第2面が第1側面部4491の内面に摺接することで、上座板40に固定されたケース4490に対して昇降するようになっている。ここでの摺接状態は、昇降体442Aの昇降動作に抵抗を与えない程度に昇降体442Aの上下方向のガイド機能を提供する。
図19(B)に示すように、ケース449の上面部4490には、下向き開口状の凹4490a部が形成されており、下座板41が上座板40に対して上動した状態で、昇降体442Aの上端部が凹部4490a内に位置するようになっている。こうすることで、下動した昇降体442Aをより高い位置に維持することができ、下座板41が上座板40に対して下動した状態で、昇降体442Aのラックギア422と第2ギア447とが十分に噛合でき、下座板41の上動時の初動を円滑に行えるようになっている。
【0097】
下降中のシャッターカーテン下端の座板4(
図20に示す状態にある)の下座板41が障害物に当接すると下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、昇降体442Aの上動に連動して第2ギア447が第1の方向に回転するが、第2ギア447の第1の方向への回転はワンウェイクラッチ448によって第1ギア446には伝達されず、第1ギア447は自由に回転する。したがって、下座板41は上座板40に対して瞬時に上動する。この時、検知レバー42が回動して、ワイヤ43を引っ張ることで、第1回動レバー92が第1の方向に回動し、同時に第2回動レバー93が第1の方向に回動して係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する。
【0098】
一方、下座板41が上座板40に対して上動した状態で、下座板41の下方の障害物が取り除かれると、下座板41は自重で下動を開始し、昇降体442Aの下動に連動して第2ギア447が第2の方向に回転するが、第2ギア447の第2の方向への回転はワンウェイクラッチ448によって第1ギア446に伝達され、さらに第1ギア446の回転はピ二オンギア441に伝達され、ピニオンギア441はロータリーダンパ440の作動によってゆっくりと回転する。さらに、ピニオンギア441は、ピ二オンギア441に対して大径の第1ギア446に噛合しているので、ピ二オンギア441の回転速度に比べて第1ギア446の回転速度がピ二オンギア441と第1ギア446の歯数比分減速され、第1ギア446と一体で回転する第2ギア447の回転速度も減速され、昇降体442A及び下座板41がゆっくりと下動する。さらに、大径の第1ギア446と小径の第2ギア447が一体で回転し、小径の第2ギア447がラックギア442と噛合しているので、第1ギア446が直接ラックギア442に噛合していると仮定したような場合に比べて、昇降体442Aを同じ距離だけ下動させるのにより多くの回転が必要となり、昇降体442A及び下座板41が第1ギア446と第2ギア447の歯数比分ゆっくりと下動する。下座板41がゆっくりと下動することで、第2の姿勢にある第1回動レバー92はゆっくりと回動しながら戻り、第3回動レバー94による第2回動レバー93の回動規制解除のタイミングを遅延させる。
【0099】
[E−5]中継装置
図21、
図22に示す態様では、中継装置8は、まぐさ部11の受け部材12に取り付けられている。受け部材12は断面視方形状の長尺部材であり、巻取シャフト2の両端を支持する左右のブラケット13の下端間に取り付けられている。
図23に示すように、中継装置8は、開口部上方に位置して前後方向(シャッタ収納部14の奥行き方向)に延びる回動体80と、受け部材12に取り付けられた取付ベース81と、からなる。取付ベース81は、回動体80が回動自在に取り付けられる左右の支持片810と、受け部材12に取り付けられる装着片811と、を備えている。回動体80は回動支点82を中心として、前後方向の第1端部、第2端部がそれぞれ上下動するように回動する。第1端部には、ワイヤW2の端部の固定部83が形成されており、第2端部には、ワイヤW3の上端の固定部84が形成されている。固定部83は、アウターケーブルW2´から露出したワイヤW2の端部を余端部を残して固定する第1固定部830と、前記余端部を固定する第2固定部831とからなり、第1固定部830、第2固定部831の2つの固定部によってワイヤW2の端部を強固に固定している。固定部83の下方にはアウターケーブルW2´の端部の固定部832が設けてある。固定部832は、取付ベース81の左右の支持片810の下方部位に装着されている。ワイヤW2及びアウターケーブルW2´は、受け部材12に取り付けられたガイド15を通してシャッター芯から離間する方向に導かれており、ブレーキ解放・復帰装置7(第3作動体75)に連結されている。固定部84は、ワイヤW3の端部を挟み込むと共に、ワイヤW3の端部にはワイヤ径に対して大径の係止部840が形成されており、ワイヤW3の端部を強固に固定している。第2端部に形成された固定部84に固定されたワイヤW3が下方に引っ張られると、回動体80が回動支点82を中心に回動して、第1端部が下方に下がり、第2端部が上方に移動して、ワイヤW2を引っ張るようになっている。
図23に示すように、中継装置8は、一方の支持片810と回動体80とを所定の位置で仮固定する仮固定螺子85を備えている。仮固定螺子85は、取付ベース81に対して所定の角度(ワイヤ取付時の適正角度)で回動体80を仮固定して回動を規制するものであり、回動体80が当該所定の角度の姿勢にある時に、ワイヤW2、ワイヤW3を回動体80に固定することで、中継装置8に対するワイヤ取付時における回動体80の姿勢の調整が不要となる。仮固定螺子85はワイヤ固定後に取り外される。また、
図21、
図22に示す態様では、天井内にシャッターが収納されるのに対して、
図24、
図25に示す態様では、シャッターボックス内にシャッターが収納される。
図24、
図25に示す態様では、シャッターボックスの側壁13´間には下方部位に位置してまぐさを形成する断面視方形状の長尺部材12´が取り付けてあり、長尺部材12´の長さ方向において中継装置8に対応する部位に、L形状の取付片16を介して取付部材17が設けてあり、中継装置8の装着片811は取付部材17に取り付けられている。取付部材17はいわゆるハット型に形成されており、ハット型を形成する左右の側片間をワイヤW2及びアウターケーブルW2´が通ってブレーキ解放・復帰装置7に向かって延びている。
【0100】
[E−5]ブレーキ解放・復帰装置
図26は、手動閉鎖装置10を用いてシャッターカーテンを自重降下させる場合、
図27は、自動閉鎖装置6を用いてシャッターカーテンを自重降下させる場合を示している。
図26(A)、
図27(A)は、ブレーキが有効な状態(ブレーキ復帰状態)、
図26(B)、
図27(B)は、ブレーキ解放状態、
図26(C)、
図27(C)は、ブレーキ復帰状態とする動きを示す図であり、
図26、
図27はそれぞれ
図12、
図13に対応している。
【0101】
フレーム70の対向状の側壁701、702間には水平状に延出するガイド軸71、72が設けてある。
図26〜
図28に示す態様では、2本のガイド軸71、2本のガイド軸72の合計4本のガイド軸を備えており、フレーム70の幅方向の両端側にはガイド軸71が配置され、各ガイド軸71の内側に位置して高さ方向に段違い状にガイド軸72がそれぞれ配置されている。
【0102】
図29(A)に示すように、第1作動体73は、水平状に延出する底辺730と、底辺の左右端部から対向状に垂直に立ち上がる側辺731、732とから側面視コ字形状を備えており、左右の側辺731、732にはガイド軸71を挿通させる挿通孔が形成されている。第1作動体73の右側の側辺732には、手動閉鎖装置10から延びる手動操作用ワイヤW4の一端が固定されている。側辺732にはワイヤW4の挿通溝が形成されており、当該挿通溝は底辺730の溝部7300と連通している。
図29(D)に示すように、ワイヤW4の端部は、前記挿通溝及び溝部7300の溝幅よりも大径の係止部となっており、ワイヤW4の端部の係止部の抜けが防止されている。底辺730には、幅方向中央かつ側辺732に近接して、溝部7300を挟んで2つの螺子孔が形成されている。溝部7300を下側から覆うようにプレート78を底辺730に当接させて、プレート78を螺子79で底辺730に固定する。
【0103】
図29(B)に示すように、第2作動体74は、水平状に延出する水平740´と、水平辺740´の左右端部に対して垂直状に延びる側辺741´、742´と、側辺741´の下端の中央部位に形成した水平状の2つの折曲辺743´と、からなり、左右の側辺741´、742´にはガイド軸72を挿通させる挿通孔が形成されており、側辺741´の下半部位にはガイド軸71を挿通させる挿通孔が形成されている。第2作動体74の左側の側辺741´には、自動閉鎖装置6から延びるブレーキ解放ワイヤW1の一端が固定されている。側辺741´にはワイヤW1の挿通溝が形成され、前記挿通溝は各折曲辺743´間の溝と連通しており、折曲辺743´の上側にワイヤW1の端部の係止部を位置させて、各折曲辺743´間の溝を下側から覆うようにプレート78を螺子79で折曲辺743´に固定する。
【0104】
図29(C)に示すように、第3作動体75は、水平状に延出する上辺750´と、上辺750´の左右端部から対向状に垂下する側辺751´、752´と、側辺752´の下端の中央部位に形成した水平状の2つの折曲辺753´と、からなり、左右の側辺751´、752´にはガイド軸72を挿通させる挿通孔が形成されている。第3作動体75の右側の側辺752´には、復帰ワイヤを構成する第1ワイヤW2の一端が固定されている。側辺752´には第1ワイヤW2の挿通溝が形成され、前記挿通溝は各折曲辺753´間の溝と連通しており、折曲辺753´の上側に第1ワイヤW2の端部の係止部を位置させて、各折曲辺753´間の溝を下側から覆うようにプレート78を螺子79で折曲辺743´に固定する。第3作動体75の左側の側辺751´の中央部位には押圧片7510が形成されている。
【0105】
図26〜
図28に示すように、ケース70の幅方向両端に位置して断面視コ字状の部材が設けてあり、当該部材から当接片703´が形成されている。ガイド軸71に巻装された第1コイルスプリング76の左側端部は第1作動体73の左側側辺731に当接しており、第1コイルスプリング76の右側端部は当接片703´に当接している。ガイド軸72に巻装された第2コイルスプリング77の左側端部は第3作動体75の左側側辺751´に当接しており、第2コイルスプリング77の右側端部は第2作動体74の右側側辺742´に当接している。
【0106】
第1作動体73、第2作動体74、第3作動体75の作動は、
図12〜
図15に示す態様と基本的に同じであるが、ガイド軸72に加えてガイド軸71も2本としたことで、第1作動体73がより安定して作動する。