特許第6120744号(P6120744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ かがつう株式会社の特許一覧

特許6120744バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具
<>
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000002
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000003
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000004
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000005
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000006
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000007
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000008
  • 特許6120744-バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120744
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】バッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170417BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20170417BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170417BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20170417BHJP
   F21S 9/03 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H02J7/00 Y
   H05B37/02 Z
   H01M10/48 P
   F21S9/02 150
   F21S9/03
   H02J7/00 302D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-201350(P2013-201350)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-70664(P2015-70664A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 翔太
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 英紀
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−025480(JP,A)
【文献】 特開2002−025628(JP,A)
【文献】 特開昭60−047397(JP,A)
【文献】 特開2010−223968(JP,A)
【文献】 特開平11−183574(JP,A)
【文献】 特開昭62−178125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00−9/90
F21L2/00−27/00
F21S2/00−19/00
G01R31/36
H01M10/42−10/48
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
H05B37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昼間に太陽電池によって充電し、夜間に照明用のランプ負荷に給電する独立電源形の照明器具に組み込むバッテリの劣化判定方法であって、バッテリの端子電圧に基づき、1日の間にバッテリの過充電状態、過放電状態の双方を検出することによりバッテリの劣化を判定することを特徴とするバッテリの劣化判定方法。
【請求項2】
太陽電池と、昼間に前記太陽電池によって充電するバッテリと、夜間に前記バッテリから給電する照明用のランプ負荷と、前記バッテリの端子電圧に基づいて前記バッテリの過充電状態、過放電状態をそれぞれ検出する過充電判定部、過放電判定部と、前記過充電判定部、過放電判定部により1日の間に前記バッテリが過充電状態、過放電状態の双方に到達したことを検出すると前記バッテリが劣化したと判定する劣化判定部とを備えてなる照明器具。
【請求項3】
前記太陽電池は、前記過充電判定部により前記バッテリが過充電状態になったことを検出すると前記バッテリから切り離すことを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記ランプ負荷は、前記過放電判定部により前記バッテリが過放電状態になったことを検出すると前記バッテリから切り離すことを特徴とする請求項2または請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
前記太陽電池の出力電圧に基づいて昼間、夜間を判定する昼夜判定部を付設し、前記ランプ負荷は、前記昼夜判定部により昼間であることを検出すると前記バッテリから切り離すことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか記載の照明器具。
【請求項6】
前記劣化判定部の出力側には、外部と無線通信可能な無線部を付設することを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、昼間に太陽電池によって充電し、夜間にランプ負荷に給電する独立電源形の照明器具に組み込むバッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を利用してバッテリを充電し、夜間の照明に利用する太陽電池付きの独立電源形の照明器具が広く普及しつつある。
【0003】
太陽電池付きの照明器具に組み込むバッテリとしては、低価格で自己放電が少ない鉛蓄電池が普通である。なお、鉛蓄電池は、充放電を繰り返すことにより劣化して容量が減少するが、充放電による劣化を少なくするには、過充電、過放電を防止するとともに、満充電後の放電深度が浅くなり過ぎないようにすることが肝要であるといわれている。そこで、このような充放電制御を実現するために、専用の充放電制御装置を組み込んだ照明器具も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−283139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、バッテリの寿命を長くするために適切な充放電制御を実現することができるものの、バッテリの劣化を判定し、それを検出することができる訳ではなく、バッテリが劣化した照明器具が動作不良のまま長期に亘って放置されることも十分あり得るという問題があった。バッテリの劣化は、夜間、照明器具の点灯時間が短いことでしか外見上発見できず、昼間の巡回点検で発見することが必ずしも容易でないからである。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、バッテリの端子電圧を監視することによって、バッテリの劣化を適確に判定することができるバッテリの劣化判定方法と、それを利用する照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためのこの出願に係る第1発明(請求項1に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、昼間に太陽電池によって充電し、夜間に照明用のランプ負荷に給電する独立電源形の照明器具に組み込むバッテリの劣化判定方法であって、バッテリの端子電圧に基づき、1日の間にバッテリの過充電状態、過放電状態の双方を検出することによりバッテリの劣化を判定することをその要旨とする。
【0008】
第2発明(請求項2に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、太陽電池と、昼間に太陽電池によって充電するバッテリと、夜間にバッテリから給電する照明用のランプ負荷と、バッテリの端子電圧に基づいてバッテリの過充電状態、過放電状態をそれぞれ検出する過充電判定部、過放電判定部と、過充電判定部、過放電判定部により1日の間にバッテリが過充電状態、過放電状態の双方に到達したことを検出するとバッテリが劣化したと判定する劣化判定部とを備えることをその要旨とする。
【0009】
なお、太陽電池は、過充電判定部によりバッテリが過充電状態になったことを検出するとバッテリから切り離すことができ、ランプ負荷は、過放電判定部によりバッテリが過放電状態になったことを検出するとバッテリから切り離すことができる。
【0010】
また、太陽電池の出力電圧に基づいて昼間、夜間を判定する昼夜判定部を付設し、ランプ負荷は、昼夜判定部により昼間であることを検出するとバッテリから切り離してもよい。
【0011】
さらに、劣化判定部の出力側には、外部と無線通信可能な無線部を付設することができる。
【発明の効果】
【0012】
かかる第1発明の構成によるときは、太陽電池付きの独立電源形の照明器具に組み込むバッテリの容量C〔Ah〕は、一般に、太陽電池による1日当りの充電量a〔Ah〕、ランプ負荷による1日当りの放電量b〔Ah〕に対し、C=an=bmに設定されている。ただし、n、mは、それぞれ太陽電池によりバッテリを0%から100%まで充電するに要する日数、ランプ負荷によりバッテリを100%から0%まで放電させるに要する日数であり、n>1、m>1である。そこで、この場合のバッテリは、1日のうちに0%から100%まで充電されたり、1日のうちに100%から0%に放電したりすることがなく、1日の間に過充電状態、過放電状態の双方を経験することがない。
【0013】
一方、バッテリが劣化して容量Cが容量Cx <Cに低下し、Cx <aとなれば、1日のうちに0%から100%まで充電可能となり、Cx <bとなれば、1日のうちに100%から0%まで放電可能となる。すなわち、バッテリは、Cx <a、Cx <bの双方が成立すると、1日の間に過充電状態、過放電状態の双方を経験する可能性があり、これを検出することにより確実に劣化を判定することができる。たとえば、C=65〔Ah〕、a=24〔Ah〕、b=13〔Ah〕、n=2.7〔日〕、m=5〔日〕とすると、Cx =12.9〔Ah〕≒C/5に劣化すれば、Cx <a、Cx <bとなってバッテリの劣化を判定することができる。なお、バッテリの過充電状態、過放電状態は、バッテリの端子電圧を監視し、端子電圧に基づいて判断することができる。また、ここでいうバッテリは、鉛蓄電池の他、ニッケルカドミウム電池などのアルカリ電池であってもよい。
【0014】
第2発明の構成によるときは、過充電判定部、過放電判定部は、それぞれバッテリの端子電圧に基づいてバッテリの過充電状態、過放電状態を検出することができ、劣化判定部は、過充電判定部、過放電判定部により、1日の間にバッテリが過充電状態、過放電状態の双方に到達したことを検出してバッテリの劣化を判定することができる。すなわち、第2発明は、過充電判定部、過放電判定部、劣化判定部を介して第1発明を実施し、第1発明の効果を奏することができる。
【0015】
太陽電池は、バッテリが過充電状態になったときにバッテリから切り離し、バッテリが極端な過充電状態になることを回避することができる。なお、太陽電池は、バッテリの端子電圧が低下して過充電状態から復帰したと判定されると、再度バッテリに接続すればよい。また、ランプ負荷は、バッテリが過放電状態になったときにバッテリから切り離し、バッテリが極端な過放電状態になることを回避することができる。なお、ランプ負荷は、端子電圧が上昇して過放電状態から復帰したときは、昼間でない限り、再度バッテリに接続すればよい。
【0016】
昼夜判定部は、太陽電池の出力電圧により昼間、夜間を判定することができる。そこで、ランプ負荷は、昼夜判定部により昼間であることが検出されると、バッテリから切り離して消灯させることができる。
【0017】
劣化判定部の出力側に付設する無線部は、送信モードに設定すると、劣化判定部からのバッテリが劣化した旨の情報を外部に無線で発信することができ、受信モードに設定すると、このようにして外部の無線部から発信される情報を受信し、その内容をたとえば併設の表示器上に表示することができる。そこで、送信モードの無線部を有する複数の照明器具は、受信モードの無線部を有する照明器具とともに、前者を子機、後者を親機としてグループ化し、親機においてグループ内の各照明器具のバッテリの集中管理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】全体構成ブロック系統図
図2】要部ブロック系統図(1)
図3】要部ブロック系統図(2)
図4】動作説明線図(1)
図5】動作説明線図(2)
図6】メッセージ説明図
図7】他の実施の形態を示す要部ブロック系統図(1)
図8】他の実施の形態を示す要部ブロック系統図(2)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0020】
照明器具は、太陽電池P、バッテリB、照明用のランプ負荷Lと、制御部10とを主要部材としてなる(図1)。
【0021】
太陽電池Pの出力は、逆流防止用のダイオードD、開閉器SW1 を介してバッテリBに接続されている。また、バッテリBの出力は、開閉器SW2 を介してランプ負荷Lに接続されている。
【0022】
制御部10は、過充電判定部11、過放電判定部12、劣化判定部13、昼夜判定部14を備えている。なお、バッテリBの端子電圧Vb は、過充電判定部11、過放電判定部12に分岐入力され、過充電判定部11からの過充電検出信号Sc1、過放電判定部12からの過放電検出信号Sc2は、劣化判定部13に個別に導入されている。劣化判定部13の出力は、判定信号S3 として表示器DPに入力されており、表示器DPは、バッテリBにより給電されている。また、過充電判定部11の別の出力は、制御信号S1 として開閉器SW1 に導かれている。
【0023】
太陽電池Pの出力電圧Vp は、昼夜判定部14に入力されている。昼夜判定部14からの反転昼間信号Sa は、アンドゲート15を介し、制御信号S2 として開閉器SW2 に導かれている。ただし、アンドゲート15には、過放電判定部12からの反転過放電信号Sb が併せて入力されている。
【0024】
過充電判定部11は、比較器11a、11b、フリップフロップ11cを組み合わせて構成されている(図2)。また、過放電判定部12は、比較器12a、12b、フリップフロップ12cを組み合わせて構成され、昼夜判定部14は、比較器14a、14b、フリップフロップ14c、インバータ14dを組み合わせて構成されている。
【0025】
バッテリBの端子電圧Vb は、過充電判定部11の比較器11a、11bの各一方の端子に分岐入力されている。比較器11a、11bの各他方の端子には、過充電検出電圧Vb1、過充電復帰電圧Vb2<Vb1が入力されている。比較器11aの出力は、フリップフロップ11cのセット端子Sに接続するとともに、過充電検出信号Sc1として外部に引き出されており、比較器11bの出力は、フリップフロップ11cのリセット端子Rに接続されている。また、フリップフロップ11cの出力端子Qは、制御信号S1 として外部に引き出されている。
【0026】
バッテリBの端子電圧Vb は、過放電判定部12の比較器12a、12bの各一方の端子にも併せて分岐入力されている。比較器12a、12bの各他方の端子には、過放電検出電圧Vb3、過放電復帰電圧Vb4>Vb3が入力されている。比較器12aの出力は、フリップフロップ12cのリセット端子Rに接続するとともに、過放電検出信号Sc2として外部に引き出されており、比較器12bの出力は、フリップフロップ12cのセット端子Sに接続されている。また、フリップフロップ12cの出力端子Qは、反転過放電信号Sb としてアンドゲート15に導かれている。
【0027】
太陽電池Pの出力電圧Vp は、昼夜判定部14の比較器14a、14bの各一方の端子に分岐入力されている。また、比較器14a、14bの各他方の端子には、日没判定電圧Vp1、日照判定電圧Vp2>Vp1が入力されており、比較器14a、14bの出力は、それぞれフリップフロップ14cのリセット端子R、セット端子Sに接続されている。また、フリップフロップ14cの出力端子Qは、インバータ14dを介し、反転昼間信号Sa としてアンドゲート15に導かれている。
【0028】
劣化判定部13は、フリップフロップ13a、13b、アンドゲート13c、フリップフロップ13dを備えて構成されている(図3)。
【0029】
フリップフロップ13a、13bの各セット端子Sには、それぞれ過充電判定部11からの過充電検出信号Sc1、過放電判定部12からの過放電検出信号Sc2が入力されている。また、フリップフロップ13a、13bの各リセット端子Rには、毎日1回定時にリセットパルスを発生する共通のパルス発生器13eの出力が分岐接続されており、フリップフロップ13a、13bの各出力端子Qは、共通のアンドゲート13cを介してフリップフロップ13dのセット端子Sに接続されている。フリップフロップ13dのリセット端子Rには、手動のリセットスイッチRSが接続され、フリップフロップ13dの出力端子Qは、判定信号S3 として外部に引き出されている。
【0030】
かかる照明器具の動作を説明すると、たとえば次のとおりである。
【0031】
図1において、太陽電池Pは、日中、太陽光によって発電すると、開閉器SW1 が閉じている限り、ダイオードDを介してバッテリBを充電することができる。また、バッテリBは、常時表示器DPに給電するとともに、開閉器SW2 が閉じている限り、照明用のランプ負荷Lに給電し、ランプ負荷Lを点灯させることができる。したがって、バッテリBの端子電圧Vb は、時刻tの経過とともに、1日の間にたとえば図4のように変化する。端子電圧Vb は、日中の太陽電池PによるバッテリBの充電中に滑らかに上昇し、夜間のランプ負荷Lの点灯中にバッテリBが放電して滑らかに下降するからである。一方、図2の過充電判定部11において、たとえば過充電検出電圧Vb1=15.0V、過充電復帰電圧Vb2=13.5Vに設定し、過放電判定部12において、たとえば過放電検出電圧Vb3=11.0V、過放電復帰電圧Vb4=12.6Vに設定することができる。
【0032】
そこで、過充電判定部11の比較器11a、過放電判定部12の比較器12aは、それぞれVb ≧Vb1、Vb ≦Vb3によりバッテリBが過充電状態、過放電状態になったことを検出して過充電検出信号Sc1、過放電検出信号Sc2を出力するとともに、フリップフロップ11cをセットし、フリップフロップ12cをリセットすることができる。したがって、フリップフロップ11cは、バッテリBの過充電状態においてセットされ(図4の時刻t=tb1〜tb2)、制御信号S1 を外部に出力することができる。また、フリップフロップ12cは、バッテリBの過放電状態においてリセットされ(図4の時刻t=tb3〜tb4)、反転過放電信号Sb をアンドゲート15に出力することができる。ただし、フリップフロップ11cは、比較器11bを介し、Vb ≦Vb2によりリセットされ(図4の時刻t=tb2)、フリップフロップ12cは、比較器12bを介し、Vb ≧Vb4 によりセットされる(図4の時刻t=tb4)。
【0033】
太陽電池Pの出力電圧Vp は、時刻tの経過とともに、たとえば図5のように変化する。すなわち、出力電圧Vp は、夜明けとともに上昇し、日中はほぼ一定のピーク値を保ち、夕方になると徐々に低下し、日没とともに消滅する。そこで、図2の昼夜判定部14において、たとえば日没判定電圧Vp1=5.5V、日照判定電圧Vp2=7.5Vに設定すると、昼夜判定部14のフリップフロップ14cは、明け方の時刻t=tp2において、比較器14bを介してVp ≧Vp2によりセットされ、夕方の時刻t=tp1において、比較器14aを介してVp ≦Vp1によりリセットされる。したがって、フリップフロップ14cの出力端子Qから、インバータ14dを介してアンドゲート15に入力される反転昼間信号Sa は、図4の時刻t=tp2〜tp1、tp1〜tp2において反転し、昼間、夜間の別を示すことができる。
【0034】
一方、図1において、開閉器SW1 は、過充電判定部11からの制御信号S1 により、バッテリBが過充電状態でないときに閉じ、太陽電池PによるバッテリBの充電を許容するとともに、バッテリBが過充電状態になると、制御信号S1 により開放されて太陽電池PをバッテリBから切り離し、バッテリBの充電を阻止することができる。また、開閉器SW2 は、アンドゲート15からの制御信号S2 により、昼間でないこと、または、バッテリBが過放電状態でないことを条件として閉じ、バッテリBによりランプ負荷Lを夜間に点灯させるとともに、バッテリBが過放電状態になると、ランプ負荷LをバッテリBから切り離すことができる。アンドゲート15には、昼夜判定部14からの反転昼間信号Sa 、過放電判定部12からの反転過放電信号Sb が入力されているからである。
【0035】
また、図3の劣化判定部13のフリップフロップ13a、13bは、それぞれ過充電判定部11からの過充電検出信号Sc1、過放電判定部12からの過放電検出信号Sc2によってセットされ、毎日1回定時においてパルス発生器13eからのリセットパルスによってリセットされる。そこで、フリップフロップ13a、13bの出力端子Q、Qに接続するアンドゲート13cは、バッテリBが劣化して、1日の間にバッテリBが過充電状態、過放電状態の双方に到達したことを検出してフリップフロップ13dをセットし、判定信号S3 を出力させることができる。
【0036】
劣化判定部13からの判定信号S3 は、表示器DPに入力されている(図1)。そこで、このときの表示器DPは、たとえば図6(A)のような警告メッセージを表示して巡回点検員に報知することができる。なお、表示器DPは、劣化判定部13からの判定信号S3 がないときは、たとえば図示しない別ルーチンにより、バッテリBの端子電圧Vb に基づき、バッテリBの現在の満充電容量に対する残容量の比率(%)を算出し、これをメッセージとして表示することができる(図6(B))。また、劣化判定部13のフリップフロップ13dは、たとえばバッテリBを交換後にリセットスイッチRSを手動操作することによりリセットされ(図3)、表示器DP上の警告メッセージを消去することができる。
【他の実施の形態】
【0037】
劣化判定部13は、アンドゲート13cとフリップフロップ13dとの間に計数部13fを介装することができる(図7)。
【0038】
計数部13fは、たとえば7ビットのシフトレジスタ13f1 とカウンタ13f2 とを縦続して構成されている。シフトレジスタ13f1 のクロック端子には、パルス発生器13eからのリセットパルスが導入され、カウンタ13f2 のクロック端子には、遅延要素13f3 を介してパルス発生器13eからのリセットパルスが分岐入力されている。シフトレジスタ13f1 は、フリップフロップ13a、13b、アンドゲート13cを介して検出される情報、すなわち、バッテリBが劣化して、1日の間にバッテリBが過充電状態、過放電状態の双方に到達した日を各ビットに対応させて7日間に亘って記憶し、カウンタ13f2 は、シフトレジスタ13f1 に記憶された情報をシリーズパルスに変換して計数し、たとえば3日の制限値に達したことを検出すると、後段のフリップフロップ13dをセットして判定信号S3 を出力させることができる。
【0039】
この場合の判定信号S3 は、フリップフロップ13a、13b、アンドゲート13cを介して検出されるバッテリBの単発の劣化情報に代えて、たとえば連続7日間の間に少なくとも3日に亘ってバッテリBが1日の間に過充電状態、過放電状態の双方に到達したことを示すから、バッテリBの劣化情報の確度を向上させることができる。なお、シフトレジスタ13f1 のビット数、カウンタ13f2 に設定する制限値は、それぞれ適宜に変更することができる。
【0040】
照明器具は、複数基をグループ化し、そのうちの1基を親機Mo とし、残りを子機M1 、M1 …とすることができる(図8)。親機Mo 、子機M1 、M1 …は、それぞれ劣化判定部13の出力側において、劣化判定部13からの判定信号S3 を分岐入力するアンテナAN付きの無線部WLを表示器DPに併設し、各子機M1 の無線部WLは、送信モードに設定し、親機Mo の無線部WLは、受信モードに設定するとともに、その出力が表示器DPに接続されている。なお、各無線部WLは、周知のWi−Fi、ZigBee、Bluetooth(登録商標)などを含む任意の無線通信システムであって、各子機M1 の送信モードの無線部WLから親機Mo の受信モードの無線部WLに対して情報を無線通信することができる。
【0041】
各子機M1 において、バッテリBが劣化して判定信号S3 が発生すると、その旨が子機M1 の表示器DPに表示されるとともに、無線部WLから無線送信される。そこで、親機Mo では、子機M1 からの情報を無線部WLにより受信し、特定の子機M1 のバッテリBが劣化した旨の警告メッセージを親機Mo の表示器DP上に表示することができる。子機M1 、M1 …を1基ずつ巡回点検することなく、親機Mo の表示器DP上にてバッテリBを集中管理することができる。なお、親機Mo の表示器DP上には、親機Mo のバッテリBが劣化した旨の警告メッセージも併せて表示可能である。
【0042】
以上の説明において、制御部10を構成する各部の論理回路は、図示のようにハードウエアによって構成する他、マイクロコンピュータ上のソフトウエアによって構成してもよく、たとえばプログラマブルコントローラのような制御機器によって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、LEDランプの他、蛍光灯ランプ、白熱ランプなどの任意のランプ光源を使用する太陽電池付きの独立電源形の街路灯、庭園灯、防犯灯などの用途に広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
P…太陽電池
L…ランプ負荷
B…バッテリ
Vp …出力電圧
Vb …端子電圧
11…過充電判定部
12…過放電判定部
13…劣化判定部
14…昼夜判定部

特許出願人 かがつう株式会社
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8