特許第6120752号(P6120752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120752
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】コージェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   F24H1/00 631A
   F24H1/00 602B
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-236303(P2013-236303)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-94577(P2015-94577A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 和茂
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−240016(JP,A)
【文献】 特開2010−262834(JP,A)
【文献】 特開2012−189228(JP,A)
【文献】 特開2009−204239(JP,A)
【文献】 特開2006−46736(JP,A)
【文献】 特開2004−333022(JP,A)
【文献】 特開2006−83720(JP,A)
【文献】 特開2013−96608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生した熱を、湯水を蓄熱媒体として用いて、上限蓄熱量まで蓄熱可能な蓄熱装置と、前記熱電併給装置を運転して熱と電気とを併せて発生する熱電発生運転、及び、前記蓄熱装置で蓄えている湯水を放出する熱放出運転の制御を行う運転制御手段とを備えるコージェネレーションシステムであって、
給水源から前記蓄熱装置への給水が遮断されている断水状態であるか否かを検出する断水検出手段を備え、
前記運転制御手段は、
前記断水検出手段が前記断水状態を検出していないとき、前記熱電発生運転を実行中に前記蓄熱装置での蓄熱量が上限蓄熱量に達すると、前記熱電発生運転の実行を継続しながら前記熱放出運転を実行し、
前記断水検出手段が前記断水状態を検出しているとき、前記熱電発生運転を実行中に前記蓄熱装置での蓄熱量が前記上限蓄熱量に達すると、前記熱放出運転を実行せずに前記熱電発生運転を停止するように構成されているコージェネレーションシステム。
【請求項2】
浴槽内に貯えられている湯水の水位を検出する水位検出手段を備え、
前記運転制御手段は、
前記熱放出運転において、湯水を前記浴槽内に放出するように構成され、
前記熱放出運転を開始するとき、前記水位検出手段で検出される前記浴槽内に貯えられている湯水の現在水位が、上限水位未満である所定水位以下であれば、湯水を第1設定温度に調節して前記浴槽内に放出するように構成されている請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記浴槽内に貯えられている湯水の温度を検出する浴槽湯水温度検出手段を備え、
前記運転制御手段は、前記熱放出運転を開始するとき、
前記水位検出手段で検出される前記浴槽内に貯えられている湯水の現在水位が、前記上限水位未満であり且つ前記所定水位より高く、並びに、前記浴槽湯水温度検出手段で検出される前記浴槽内に貯えられている湯水の現在温度が、前記第1設定温度未満であれば、湯水を前記第1設定温度より高い第2設定温度に調節して前記浴槽内に放出するように構成されている請求項2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記第1設定温度は、前記浴槽での入浴時の湯温として設定されている設定湯張温度である請求項2又は3に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
浴槽内に貯えられている湯水の水位を検出する水位検出手段と、
前記浴槽内に貯えられている湯水の温度を検出する浴槽湯水温度検出手段とを備え、
前記運転制御手段は、前記熱放出運転を開始するとき、
前記浴槽内に湯水を放出することで前記浴槽内に貯えられる湯水の水位が、前記浴槽での入浴時の水位として設定されている設定湯張水位になり、且つ、前記浴槽内に湯水を放出することで前記浴槽内に貯えられる湯水の温度が、前記浴槽での入浴時の湯温として設定されている設定湯張温度になるように、前記浴槽内に放出する湯水の量及び湯温を調節する請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項6】
前記熱放出運転の実行を使用者に報知する報知手段を備える請求項1〜5の何れか一項に記載のコージェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置と、その熱電併給装置で発生した熱を蓄える蓄熱装置とを備えるコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱電併給装置を備えるコージェネレーションシステムでは、例えば1台の熱電併給装置の運転によって発生する熱と電気とを、別個の熱需要部と電力需要部とで消費している。そのため、電力需要が発生するタイミングと熱需要が発生するタイミングとが一致していない場合には、電力需要を賄うために熱電併給装置を運転しているタイミングで熱需要が発生していない場合もある。尚、そのような場合であっても、コージェネレーションシステムが蓄熱装置を備えていることで、熱電併給装置で発生した熱を蓄電装置に一時的に蓄えておき、必要なときに利用することができる。
【0003】
但し、蓄熱装置へ新たに蓄えられる熱量が多い状態が継続すると、蓄熱装置での蓄熱量が上限蓄熱量に達する場合もある。コージェネレーションシステムが、蓄熱装置に蓄えられている熱を放出するためのラジエータなどを備えていれば、蓄熱装置の蓄熱量が上限蓄熱量に達したとしても、ラジエータで熱を放出して蓄熱量をそれ以上に増大させない対応をとることで、熱電併給装置の熱電発生運転と蓄熱装置への蓄熱運転とを継続できる。
【0004】
このようなコージェネレーションシステムが、蓄熱装置に蓄えられている熱を放出するためのラジエータなどを備えていない場合、蓄熱装置での蓄熱量が上限蓄熱量に達すると、熱電併給装置の熱電発生運転を停止して、蓄熱装置への蓄熱がそれ以上は行われないようにする必要がある。即ち、蓄熱装置での蓄熱量が上限蓄熱量に達すると、熱電併給装置から電力需要への電気の供給も停止される。
ところが、熱電併給装置から電力を供給するべき電力需要が存在している場合、熱が不要であっても、熱電併給装置を動かして電力を供給するための運転を行う必要がある場合もある。
【0005】
特許文献1には、燃料電池システムが自立発電状態である場合で、かつ、蓄熱検知器が満蓄状態より蓄熱量が小さい第1蓄熱量以上であることを検知した場合に、貯湯タンク内の温水を排出する排水制御、及び、貯湯タンク内の温水の使用を促す報知、及び、燃料電池システム外部の装置へ貯湯タンク内の温水の使用を促すデータを送信するデータ送信のうちの少なくとも1つの制御を行うことが記載されている。
特許文献1に記載のシステムでは、貯湯タンク内の温水を排出する排出制御を行う場合、排出を実行する前に、「貯湯タンクが満蓄になることを回避するため、自動排水いたします」といったメッセージを表示装置に表示することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−109901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシステムにおいて、貯湯タンクでの蓄熱量が上記第1蓄熱量以上になった結果として貯湯タンク内の湯水が排出されるということは、貯湯タンク内に貯えられていた湯水の量が減少するということである。この場合、給水源から貯湯タンクへの水の供給が継続的に行われる状況であれば(即ち、断水が発生していなければ)、貯湯タンク内の湯水が排出されたとしても貯湯タンクへは給水源から水が流入する。ところが、給水源から貯湯タンクへの水の供給が遮断されているような断水状態では、貯湯タンク内の湯水が排出されたとしても貯湯タンクへは給水源から水が流入しない。
【0008】
つまり、特許文献1に記載のシステムでは、給水源から貯湯タンクへの水の供給が遮断されている断水状態であるか否かが判定されないため、断水状態であっても上述したような湯水の排出を行ってしまう。その結果、断水中に貯湯タンク内の湯水が足りなくなるといった問題が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄熱装置の満蓄時の熱放出運転の制御と、断水時における湯水の確保とを両立できるコージェネレーションシステムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るコージェネレーションシステムの特徴構成は、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生した熱を、湯水を蓄熱媒体として用いて、上限蓄熱量まで蓄熱可能な蓄熱装置と、前記熱電併給装置を運転して熱と電気とを併せて発生する熱電発生運転、及び、前記蓄熱装置で蓄えている湯水を放出する熱放出運転の制御を行う運転制御手段とを備えるコージェネレーションシステムであって、
給水源から前記蓄熱装置への給水が遮断されている断水状態であるか否かを検出する断水検出手段を備え、
前記運転制御手段は、
前記断水検出手段が前記断水状態を検出していないとき、前記熱電発生運転を実行中に前記蓄熱装置での蓄熱量が上限蓄熱量に達すると、前記熱電発生運転の実行を継続しながら前記熱放出運転を実行し、
前記断水検出手段が前記断水状態を検出しているとき、前記熱電発生運転を実行中に前記蓄熱装置での蓄熱量が前記上限蓄熱量に達すると、前記熱放出運転を実行せずに前記熱電発生運転を停止するように構成されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、給水源から前記蓄熱装置への給水が遮断されている断水状態であるか否かを検出する断水検出手段を備え、運転制御手段は、熱電発生運転を実行中に蓄熱装置での蓄熱量が上限蓄熱量に達したとき、断水検出手段が断水状態を検出していなければ熱電発生運転の実行を継続しながら前記熱放出運転を実行し、断水検出手段が断水状態を検出していれば熱放出運転を実行せずに熱電発生運転を停止する。つまり、断水状態でなければ(即ち、湯水の確保を優先しなくてもよい状態であれば)、熱放出運転を行いながら熱電併給装置の継続的な運転を行うことができる。これに対して、断水状態であれば(即ち、湯水の確保を優先するべき状態であれば)、熱放出運転を実行せずに熱電発生運転が停止される。
従って、蓄熱装置の満蓄時の熱放出運転の制御と、断水時における湯水の確保とを両立できるコージェネレーションシステムを提供できる。
【0012】
本発明に係るコージェネレーションシステムの別の特徴構成は、浴槽内に貯えられている湯水の水位を検出する水位検出手段を備え、前記運転制御手段は、前記熱放出運転において、湯水を前記浴槽内に放出するように構成され、前記熱放出運転を開始するとき、前記水位検出手段で検出される前記浴槽内に貯えられている湯水の現在水位が、上限水位未満である所定水位以下であれば、湯水を第1設定温度に調節して前記浴槽内に放出するように構成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、熱放出運転を開始するときに浴槽内に貯えられている湯水の現在水位が所定水位以下であれば、即ち、浴槽に残されている湯水が比較的少ない状況であれば、その後の熱放出運転の実行によって浴槽内に湯水が放出されたとき、熱放出運転が実行された後に浴槽に貯まる湯水の温度は、熱放出運転の実行によって浴槽に放出された湯水の温度(第1設定温度)に大きく左右される。つまり、熱放出運転が実行された後に浴槽に貯まる湯水の温度を、所望の第1設定温度に近い温度(例えば、人間が触れたとしてもやけどを生じさせない温度等)に調節することができる。
【0014】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、前記浴槽内に貯えられている湯水の温度を検出する浴槽湯水温度検出手段を備え、前記運転制御手段は、前記熱放出運転を開始するとき、前記水位検出手段で検出される前記浴槽内に貯えられている湯水の現在水位が、前記上限水位未満であり且つ前記所定水位より高く、並びに、前記浴槽湯水温度検出手段で検出される前記浴槽内に貯えられている湯水の現在温度が、前記第1設定温度未満であれば、湯水を前記第1設定温度より高い第2設定温度に調節して前記浴槽内に放出するように構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、熱放出運転を開始するときに浴槽内に貯えられている湯水の現在水位が上記所定水位より高い状況であり、且つ、熱放出運転を開始するときに浴槽内に貯えられている湯水の現在温度が第1設定温度未満であれば、熱放出運転によって浴槽へ放出できる湯水の量は比較的少なく、且つ、その第1設定温度より高い温度の湯水を浴槽に放出しても、熱放出運転が実行された後に浴槽に貯まる湯水の温度が非常に高くなることはない。つまり、熱放出運転を開始するときに浴槽内に貯えられている湯水の現在温度が第1設定温度未満であったとしても、熱放出運転が実行された後に浴槽に貯まる湯水の温度をその温度よりも高くすることができる。
【0016】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、前記第1設定温度は、前記浴槽での入浴時の湯温として設定されている設定湯張温度である点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、設定湯張温度(第1設定温度)を基準として、熱放出運転によって浴槽に放出される湯水の温度が調節される。その結果、熱放出運転が実行された後に浴槽に貯まる湯水の温度が、設定湯張温度から大きく逸脱することがないようにできる。
【0018】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、浴槽内に貯えられている湯水の水位を検出する水位検出手段と、前記浴槽内に貯えられている湯水の温度を検出する浴槽湯水温度検出手段とを備え、前記運転制御手段は、前記熱放出運転を開始するとき、前記浴槽内に湯水を放出することで前記浴槽内に貯えられる湯水の水位が、前記浴槽での入浴時の水位として設定されている設定湯張水位になり、且つ、前記浴槽内に湯水を放出することで前記浴槽内に貯えられる湯水の温度が、前記浴槽での入浴時の湯温として設定されている設定湯張温度になるように、前記浴槽内に放出する湯水の量及び湯温を調節する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、運転制御手段は、熱放出運転を開始するときに浴槽内に貯えられている湯水の水位及び温度が、熱放出運転が実行された後に設定湯張水位及び設定湯張温度へとなるように、浴槽内に放出する湯水の量及び湯温を調節する。つまり、熱放出運転を実行することにより、浴槽において、通常の入浴時の湯張り運転を実行したのと同じ水位及び湯温の状態を作り出すことができる。
【0020】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、前記熱放出運転の実行を使用者に報知する報知手段を備える点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、使用者は、熱放出運転が実行されること、即ち、熱電発生運転を実行中に蓄熱装置での蓄熱量が上限蓄熱量に達した状況にあること、即ち、熱が余っている状況にあることを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】コージェネレーションシステムの構成を示す図である。
図2】リモコン装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
図3】手動運転が行われている状態で満蓄状態になったときの満蓄時処理を説明するフローチャートである。
図4】手動運転が行われている状態で満蓄状態になったときの満蓄時処理を説明するフローチャートである。
図5】手動運転が行われている状態で満蓄状態になったときの満蓄時処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1は、コージェネレーションシステムの構成を示す図である。図1に示すように、コージェネレーションシステムは、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置1と、熱電併給装置1で発生した熱を蓄える蓄熱装置としての貯湯タンク4と、熱電併給装置1を運転して熱と電気とを併せて発生させる熱電発生運転、及び、貯湯タンク4で蓄えている熱を放出する熱放出運転の制御を行う運転制御手段Cとを備える。運転制御手段Cは、後述する各種のポンプや弁などの動作や、コージェネレーションシステムが備える各装置の動作の制御も行う。本願において、「熱放出運転」は、その時点で熱需要が発生していない場所に熱を放出することを指す。
【0024】
〔システム構成の説明〕
熱電併給装置1は、熱と電気とを併せて発生させることのできる装置であれば、どのような構成のものでも構わない。例えば、燃料電池や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備えてエンジンの排熱と発電機の発電電力とを利用するような装置などを、熱電併給装置1として利用できる。図示は省略するが、熱電併給装置1の発電出力側には例えばインバータ等が設けられ、そのインバータは、熱電併給装置1の出力電力を商用電力系統から供給される電力と同じ電圧及び同じ周波数にするように構成されている。そして、インバータから出力される電力は、様々な電力負荷装置に供給される。
【0025】
熱電併給装置1と貯湯タンク4とは、蓄熱媒体(例えば、水(湯水)など)が循環する排熱循環路L8を用いて接続されている。つまり、湯水が、排熱循環路L8を介して、熱電併給装置1と貯湯タンク4との間を循環するように構成されている。運転制御手段Cは、熱電併給装置1を運転させている間、熱電併給装置1と貯湯タンク4との間に湯水を循環させる。湯水は、熱電併給装置1を冷却する役割と、熱電併給装置1から排熱を回収する役割とを担っている。
【0026】
貯湯タンク4には、温度成層を形成する形態で湯水が貯えられている。貯湯タンク4の内部下方には相対的に低温の湯水が貯えられ、貯湯タンク4の内部上方には相対的に高温の湯水が貯えられている。貯湯タンク4の内部には、下方側から上方側に向かって、貯湯温度センサ25と貯湯温度センサ26と貯湯温度センサ27と貯湯温度センサ28とが設けられている。貯湯タンク4の内部では、温度成層を形成する形態で湯水が貯えられているので、最も上方に設けられている貯湯温度センサ28は最も高温側の湯水の温度を計測し、最も下方に設けられている貯湯温度センサ25は最も低温側の湯水の温度を計測する。
【0027】
熱電併給装置1には、貯湯タンク4の内部下方から取り出された相対的に低温の湯水が、排熱循環路L8を通って供給される。熱電併給装置1の排熱を回収した後の相対的に高温の湯水(即ち、熱電併給装置1の冷却に用いられた後の湯水)は、排熱循環路L8を通って貯湯タンク4の内部上方に流入する。このように、貯湯タンク4に貯えられている相対的に低温の湯水が熱電併給装置1によって昇温され、その後、相対的に高温の湯水として貯湯タンク4に貯えられることになる。排熱循環路L8に設けられている温度センサ38によって、熱電併給装置1に供給される湯水の温度が検出される。排熱循環路L8に設けられている温度センサ39によって、熱電併給装置1で排熱を回収した後の湯水の温度が検出される。温度センサ38及び温度センサ39の検出結果は、運転制御手段Cに伝達され、記憶手段Sに記憶される。
【0028】
本実施形態では、熱電併給装置1から貯湯タンク4へ至る排熱循環路L8の途中に貯湯三方弁19が設けられている。排熱循環路L8はこの貯湯三方弁19からバイパス路L9へと分岐する。バイパス路L9は、貯湯タンク4から熱電併給装置1へ至る排熱循環路L8の途中の合流部に接続されている。貯湯タンク4をバイパスして、湯水を循環させることができる。具体的には、運転制御手段Cは、温度センサ39で検出される湯水の温度(即ち、熱電併給装置1から帰還する湯水の温度)が所定温度よりも低い場合、貯湯三方弁19を、貯湯タンク4側ではなく、バイパス路L9を流れる側に切り換えることで、低温の湯水が貯湯タンク4に帰還することを回避する。そして、バイパス路L9を流れた後、再度、熱電併給装置1に供給されて昇温された湯水の温度が温度センサ39の検出部位で所定温度以上になれば、貯湯三方弁19を貯湯タンク4側に切り換えて、その高温の湯水が貯湯タンク4へと帰還するようにする。例えば、熱電併給装置1の起動時には、熱電併給装置1からの排熱量が非常に少ないため、貯湯タンク4から熱電併給装置1へ湯水(即ち、低温の湯水)を供給しても、その供給した湯水の温度に近い温度の湯水が熱電併給装置1から帰還する。このような場合も、温度センサ39で検出される湯水の温度が所定温度以上になるまでは、湯水をバイパス路L9に流すようにする。
【0029】
貯湯タンク4に貯えられている湯水は、貯湯タンク4の内部上方に接続されている出湯路L1から取り出すことができる。出湯路L1の途中には、貯湯タンク4から出て、上流側三方弁13と補助熱源装置5と分岐部42と下流側三方弁14とが順に設けられている。また、出湯路L1の途中には、貯湯タンク4と上流側三方弁13との間で圧力スイッチ29が設けられ、上流側三方弁13と補助熱源装置5との間で水量センサ30及び上流側温度センサ31が設けられ、補助熱源装置5と分岐部42との間で下流側温度センサ32が設けられている。
【0030】
補助熱源装置5は、燃料を消費して熱を発生することで、湯水を加熱することができる装置である。例えば、補助熱源装置5は、供給されるガスを燃焼し、その燃焼熱などを用いて湯水を加熱する加熱運転状態で運転できる。補助熱源装置5の運転は、運転制御手段Cが制御する。
【0031】
圧力スイッチ29は、出湯路L1の内部の水圧を検出する機能を有している。例えば、圧力スイッチ29が設けられている部位での湯水の水圧が設定値以上であれば、圧力スイッチ29はオン状態を出力する。これに対して、圧力スイッチ29が設けられている部位での湯水の水圧が上記設定値未満になると、圧力スイッチ29はオフ状態を出力する。圧力スイッチ29の検出結果は、運転制御手段Cに伝達され、記憶手段Sに記憶される。
【0032】
水量センサ30は、上流側三方弁13よりも下流側の出湯路L1を流れる湯水の流量を計測する。水量センサ30の検出結果は、運転制御手段Cに伝達され、記憶手段Sに記憶される。
上流側温度センサ31は、補助熱源装置5へと流入する前の湯水の温度を計測する。つまり、補助熱源装置5が加熱運転状態であるとき、上流側温度センサ31は、補助熱源装置5によって加熱される前の湯水の温度を計測する。
下流側温度センサ32は、補助熱源装置5から流出した後の湯水の温度を計測する。つまり、補助熱源装置5が加熱運転状態であるとき、下流側温度センサ32は、補助熱源装置5によって加熱された後の湯水の温度を計測する。
【0033】
出湯路L1は、補助熱源装置5よりも下流側の分岐部42で給湯路L5を分岐し、その分岐部42よりも下流側の下流側三方弁14で湯水循環路L3と風呂循環路L4とに分れる。
【0034】
湯水循環路L3は、下流側三方弁14と暖房用熱交換器7と合流部46と循環ポンプ20と上流側三方弁13と補助熱源装置5とを経由して上記下流側三方弁14に戻る経路を辿る。湯水循環路L3を湯水が循環しており、且つ、補助熱源装置5が加熱運転状態であるとき、暖房用熱交換器7には、補助熱源装置5によって加熱された後の湯水が供給される。
【0035】
暖房循環路L7は、暖房用熱媒が、暖房ポンプ22と暖房用熱交換器7と暖房装置2とを順に循環する経路である。また、暖房循環路L7の途中には、暖房用熱媒が一時的に貯えられる暖房水タンク8も設けられている。本実施形態において、暖房用熱媒は水(湯水)である。
【0036】
暖房用熱交換器7では、湯水循環路L3を通流する湯水と、暖房循環路L7を通流する暖房用熱媒との熱交換が行われる。補助熱源装置5が加熱運転状態であるとき、湯水循環路L3を通流する湯水は補助熱源装置5によって加熱された後で暖房用熱交換器7に流入する。そして、暖房用熱交換器7において、暖房用循環路を通流する暖房用熱媒へ、補助熱源装置5によって加熱された後の湯水が保有する熱が伝達される。そして、暖房用熱交換器7において昇温された後の暖房用熱媒は、暖房循環路L7を通って暖房装置2へと供給される。暖房装置2で熱消費が行われた後の暖房用熱媒は、暖房循環路L7を通って暖房用熱交換器7に流入して昇温される。
【0037】
暖房循環路L7の途中には、暖房用熱交換器7と暖房装置2との間に温度センサ40が設けられ、暖房装置2と暖房水タンク8との間に温度センサ41が設けられる。温度センサ40は、暖房装置2に流入する暖房用熱媒の温度を計測し、温度センサ41は暖房装置2から流出する暖房用熱媒の温度を計測する。温度センサ40及び温度センサ41の検出結果は、運転制御手段Cに伝達され、記憶手段Sに記憶される。
【0038】
風呂循環路L4は、下流側三方弁14と風呂用熱交換器6と合流部50と合流部46と循環ポンプ20と上流側三方弁13と補助熱源装置5とを経由して上記下流側三方弁14に戻る経路を辿る。風呂循環路L4を湯水が循環しており、且つ、補助熱源装置5が加熱運転状態であるとき、風呂用熱交換器6には、補助熱源装置5によって加熱された後の湯水が供給される。
【0039】
浴槽水循環路L6は、湯水が、風呂ポンプ21と浴槽3とを順に循環する経路である。尚、浴槽3の水栓が開けられている場合、湯水は水栓から排出されるため、浴槽3から風呂用熱交換器6に湯水は帰還しない。
【0040】
風呂用熱交換器6では、風呂循環路L4を通流する湯水と、浴槽水循環路L6を通流する湯水との熱交換が行われる。補助熱源装置5が加熱運転状態であるとき、風呂循環路L4を通流する湯水は補助熱源装置5によって加熱された後で風呂用熱交換器6に流入する。そして、風呂用熱交換器6において、浴槽水循環路L6を通流する湯水へ、補助熱源装置5によって加熱された後の湯水が保有する熱が伝達される。そして、風呂用熱交換器6において昇温された後の湯水は、浴槽水循環路L6を通って浴槽3へと供給される。
【0041】
浴槽水循環路L6の途中には、浴槽3と合流部45との間に風呂水位センサ35及び風呂温度センサ36及び風呂水流スイッチ37が設けられる。風呂水位センサ35は、浴槽3に貯えられている湯水の水位を計測する装置であり、本発明の「水位検出手段」として機能する。風呂温度センサ36は、浴槽3に貯えられている湯水の温度を計測する装置であり、本発明の「浴槽湯水温度検出手段」として機能する。風呂水位センサ35及び風呂温度センサ36の検出結果は、運転制御手段Cに伝達され、記憶手段Sに記憶される。
【0042】
風呂水流スイッチ37は、浴槽水循環路L6の循環を検出する機能を有している。例えば、浴槽3に湯水が一定量貯まっている場合に風呂ポンプ21を運転させると、浴槽水循環路L6を湯水が循環し、風呂水流スイッチ37はオン状態を出力する。これに対して、浴槽3に湯水が一定量貯まっていない場合は、風呂ポンプ21を運転させても浴槽水循環路L6を湯水が循環しないため、風呂水流スイッチ37はオフ状態を出力する。風呂水流スイッチ37の検出結果は、運転制御手段Cに伝達され、記憶手段Sに記憶される。また、運転制御手段Cは、風呂水流スイッチ37によるオン状態又はオフ状態の出力結果を確定させた後、風呂ポンプ21を停止させる。
【0043】
浴槽水循環路L6の途中に設けられる合流部45には、給湯路L5が接続される。給湯路L5は、出湯路L1の途中の補助熱源装置5よりも下流側から分岐する分岐部42に接続されている。つまり、給湯路L5を流れる湯水は、貯湯タンク4の内部上方から出湯された湯水、或いは、貯湯タンク4の内部上方から出湯された後で更に補助熱源装置5によって加熱された後の湯水である。出湯路L1は、分岐部44において、カランなどに接続される給湯路L5aと、浴槽3(浴槽水循環路L6)に接続される給湯路L5bとに分岐する。給湯路L5bの途中には、湯張弁17及び水量センサ34が設けられる。水量センサの検出結果は運転制御手段Cに伝達され、記憶手段Sに記憶される。湯張弁17の動作は、運転制御手段Cが制御する。運転制御手段Cは、給湯路L5から浴槽水循環路L6へと湯水を新たに供給するとき、水量センサ34で検出される湯水の合計流量が所望の合計流量(例えば、後述するような1回の熱放出運転で放出される20L(リットル)等)になるように湯張弁17を開弁する。
【0044】
貯湯タンク4に貯えられている湯水は、給水路L2を経由して補給される。給水路L2は、上水などの給水源に接続されている。給水路L2は、貯湯タンク4に接続される給水路L2aと、暖房水タンク8に接続される給水路L2bと、給湯路L5に接続される給水路L2c、風呂循環路L4に接続される給水路L2dとに分岐する。
【0045】
給水路L2aには上水の水圧が常時加わっており、給水路L2aが接続される貯湯タンク4にもその水圧が加わっている。そのため、貯湯タンク4に接続されている各水路内にも給水圧が加わっており、各水路の先を開放するとその給水圧で湯水が押し出される。
【0046】
尚、給水源から給水路L2への給水が遮断されている断水状態であるとき、例えば、貯湯タンク4から出湯路L1及び給湯路L5及び浴槽水循環路L6を介して浴槽3へと湯水が流れ出すと、断水による給水圧の喪失によって貯湯タンク4や出湯路L1等の内部での水圧が低下したままになる。そして、出湯路L1の内部での水圧が設定値未満にまで低下したとき、出湯路L1の途中に設けられている圧力スイッチ29がオフ状態を検出することになる。
【0047】
給水路L2bは、給水路L2の途中に設けられる分岐部47から分岐し、暖房水タンク8に至る。給水路L2bの途中には、補給水閉止弁11と暖房補給水弁18とが設けられる。補給水閉止弁11は常に開状態にされており、暖房補給水弁18の動作は運転制御手段Cによって制御される。運転制御手段Cは、例えば暖房水タンク8の水位が低下すると、その水位を上昇させるように暖房補給水弁18を開弁し、暖房水タンク8へ水を流入させる。
【0048】
給水路L2cは、給水路L2の途中に設けられる分岐部48から分岐し、給湯路L5との合流部43に至る。給水路L2cの途中には、水比例弁16が設けられる。合流部43よりも上流側の給湯路L5には湯比例弁15が設けられる。合流部43よりも下流側の給湯路L5には、通流する湯水の温度を計測する給湯温度センサ33が設けられる。給湯温度センサ33の検出結果は運転制御手段Cに伝達されて、記憶手段Sに記憶される。水比例弁16及び湯比例弁15の動作は、運転制御手段Cが制御する。運転制御手段Cは、給湯温度センサ33で検出される湯水の温度が所望の温度になるように、給湯路L5から合流部43へと供給される相対的に高温の湯水の流量を湯比例弁15によって制御し、且つ、給水路から合流部へと供給される相対的に低温の上水の流量を水比例弁16によって制御する。
【0049】
給水路L2dは、給水路L2の途中に設けられる分岐部49から分岐し、風呂循環路L4の途中に設けられる合流部50に至る。給水路L2dの途中には、循環比例弁12が設けられる。運転制御手段Cは、補助熱源装置5で昇温した湯水を貯湯タンク4に貯える運転を行うとき、この循環比例弁12を開状態に制御し、それ以外の場合は循環比例弁12を閉状態に制御する。具体的には、運転制御手段Cは、補助熱源装置5で昇温した湯水を貯湯タンク4に貯える運転を行うとき、循環ポンプ20を動作させながら補助熱源装置5を運転し及び循環比例弁12を開状態に制御して、湯水を二つの経路、即ち、湯水循環路L3(循環ポンプ20→上流側三方弁13→補助熱源装置5→下流側三方弁14→合流部46→循環ポンプ20)と、それとは別の経路(循環ポンプ20→上流側三方弁13→貯湯タンク4→分岐部49→循環比例弁12→合流部50→循環ポンプ20)、とに湯水が流れる状態を作り出す。ここで、循環ポンプ20を通過した後の湯水には補助熱源装置5で昇温された高温の湯水が混合されており、その循環ポンプ20を通過した後の湯水が上流側三方弁13において貯湯タンク4側と補助熱源装置5側とに分配されるため、結果として、貯湯タンク4には補助熱源装置5で昇温した湯水が貯えられることになる。
【0050】
給水路L2の途中に設けられる分岐部47と分岐部48との間には、給水温度センサ23及び給水水量センサ24が設けられる。給水温度センサ23及び給水水量センサ24の検出結果は、運転制御手段Cに伝達されて、記憶手段Sに記憶される。
【0051】
本実施形態のコージェネレーションシステムでは、運転制御手段Cは、熱電併給装置1を運転して熱と電気とを併せて発生させる熱電発生運転、及び、貯湯タンク4で蓄えている熱を放出する熱放出運転の制御を行う。本実施形態では、貯湯タンク4に貯えている湯水を貯湯タンク4の外部に放出することで、貯湯タンク4で蓄えている熱を放出する熱放出運転を行う。本発明の「熱放出運転」とは、貯湯タンク4に蓄えている熱量を減少させることを第1の目的として緊急的に行う運転であり、何処かへの熱供給(即ち、貯湯タンク4から放出される湯水が利用されること)を目的としない。尚、熱放出運転を行うことで貯湯タンク4の外部に放出された熱が利用されることを否定するものではない。
【0052】
運転制御手段Cは様々な情報処理を行うことができる演算処理装置を用いて実現でき、例えば家庭内の台所や浴室、脱衣室などに設けられるリモコン装置Rと通信線(図示せず)を介して接続される。リモコン装置Rは、情報を表示する表示部r1、使用者からの指令情報などの入力を受け付ける情報入力部r2、情報を音声メッセージや鳴動音等によって出力する音声出力部r3を備える。表示部r1は、文字情報などを表示できる装置(例えば液晶表示装置など)を用いて実現できる。情報入力部r2は、操作ボタン等を用いて実現でき、或いは、タッチパネル式の表示部r1に表示させた画像ボタンを用いて実現できる。記憶手段Sは、半導体メモリなどを用いて実現でき、コージェネレーションシステムで取り扱われる情報を記憶する。尚、記憶手段Sは、運転制御手段Cやリモコン装置Rとは別体で設けられている場合や、運転制御手段Cやリモコン装置Rに内蔵されている場合など、何れであってもよい。
【0053】
〔満蓄時の動作〕
以下に、熱電発生運転を実行中に貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達した場合のコージェネレーションシステムの動作について説明する。尚、以下の説明では、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達した状態のことを、「満蓄」という用語で表すこともある。また、詳細は後述するが、「上限蓄熱量に達した状態(満蓄状態)」とは、温度成層を形成する形態で貯湯タンク4に貯えられている湯水のうち、最も低温の湯水の温度を計測する貯湯温度センサ25が、熱電併給装置1からの熱回収に用いるときの湯水(即ち、熱電併給装置1にとっての冷却水)に要求される上限湯水温度になったとき、即ち、貯湯タンク4に貯えられている全ての湯水の温度がその上限湯水温度になった状態を指す。
【0054】
本実施形態のコージェネレーションシステムでは、熱電併給装置1を自動運転及び手動運転の何れかで運転させることができる。運転制御手段Cは、リモコン装置Rによって使用者から自動運転が指令されると、熱電併給装置1を自動運転する。例えば、自動運転では、過去の電力負荷及び熱負荷から予測される予測電力負荷及び予測熱負荷に基づいて、自動的に熱電併給装置1の運転が行われる。これに対して、運転制御手段Cは、リモコン装置Rによって使用者から手動運転が指令されると、リモコン装置Rで受け付けた運転開始指令及び運転停止指令に応じて、或いは、リモコン装置Rで使用者から受け付けた運転時間帯で、熱電併給装置1を運転する。
【0055】
図2は、リモコン装置Rの表示部r1に表示される画面例を示す図である。
図2(a)は、上述した「自動運転」及び「手動運転」の何れで熱電併給装置1を運転するのかを使用者が指令するときの画面例である。運転制御手段Cは、リモコン装置Rの表示部r1に対して、図2(a)に示すような画面を表示させる。図2(a)では、「手動運転」に対して矢印(「⇒」)が対応する状態が示され、使用者が「手動運転」を指令したことが示されている。尚、使用者が「自動運転」を希望する場合には、情報入力部r2を用いて矢印が「自動運転」に対応する状態にすればよい。
以上のように、本発明の「使用者からの運転指令を受け付ける運転指令受付手段」は、情報入力部r2を用いて実現できる。
【0056】
そして、運転制御手段Cは、自動運転及び手動運転において熱電併給装置1を運転するときには、熱電併給装置1を運転して熱と電気とを併せて発生させる熱電発生運転を実行し、それと併せて、熱を貯湯タンク4へ回収する熱回収運転も行う。その結果、熱電併給装置1の熱電発生運転が行われているとき、貯湯タンク4には常に熱の蓄熱が行われる。そのため、貯湯タンク4に対して新たに蓄えられる熱量が、給湯用途(浴槽3での給湯用途を含む)での熱需要を上回っている場合、貯湯タンク4での蓄熱量は増加する。
【0057】
そして、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達する(即ち、満蓄状態になる)こともある。例えば、運転制御手段Cは、貯湯タンク4に貯えられている湯水のうち、最も低温の湯水の温度を計測する貯湯温度センサ25が、熱電併給装置1からの熱回収に用いるときの湯水に要求される上限湯水温度になったとき、即ち、貯湯タンク4に貯えられている全ての湯水の温度がその上限湯水温度になったとき、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達したと判定する。
【0058】
言い換えると、貯湯タンク4の湯水は、熱電併給装置1からの熱回収に用いるため、即ち、熱電併給装置1を冷却するために利用されるので、上限湯水温度より高い温度の湯水を熱電併給装置1に供給することはできない。つまり、上限湯水温度は、熱電併給装置1の冷却水として許容される上限温度に対応する。そのため、運転制御手段Cは、熱電併給装置1に供給される湯水の近くに存在している湯水の温度を計測する貯湯温度センサ25が上限湯水温度を検出したとき、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達したと判定する。すなわち、本実施形態では、上限蓄熱量とは必ずしも貯湯タンク4での一定の蓄熱量閾値で規定されるのではなく、貯湯タンク4の特定箇所の温度などで規定されものである。従って、上述したような貯湯タンク4の貯湯温度センサ25の検出温度のみに基づいて判定する場合だけでなく、その上部の貯湯温度センサ26の温度が上限湯水温度に達したか否か、若しくは、貯湯温度センサ25及び貯湯温度センサ26の両方の検出温度が上限湯水温度に達したか否か等に基づいて、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達した否かを判定してもよい。
【0059】
本実施形態において、運転制御手段Cは、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達した場合、貯湯タンク4に蓄えている熱を外部に放出しながら(即ち、熱放出運転を実行しながら)熱電併給装置1の熱電発生運転の実行を継続する対応をとるように構成されている。
本実施形態では、貯湯タンク4に蓄熱媒体としての湯水を貯えることで貯湯タンク4に熱を蓄え、貯湯タンク4から湯水を放出することで貯湯タンク4からの熱の放出を行う(即ち、熱放出運転を行う)ように構成されている。そして、使用者は、熱放出運転を行うときに放出することを許容する湯水の積算湯量と湯水の温度とを設定できる。例えば、本実施形態では、1回の熱放出運転において、20L(リットル)の湯水を放出する。但し、熱放出運転が行われることで貯湯タンク4での蓄熱量が一旦は上限蓄熱量未満になったとしても、その後、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達し、再び、熱放出運転が行われることもある。そして、例えば20Lの湯水を放出する熱放出運転が何度も繰り返された場合、それら複数回の熱放出運転によって放出される積算湯量が非常に多くなる可能性がある。そこで、本実施形態では、熱放出運転によって放出される積算湯量に上限値を設定し、その積算湯量の上限値を超える熱放出運転を行わせないための設定が可能となっている。図2(b)及び図2(c)は、それらの設定画面の例である。
【0060】
具体的には、図2(b)では、使用者に対して「放出する積算湯量の上限は?」という問い掛けを表示し、加えて、放出する積算湯量を「無制限」に設定する対応、放出する積算湯量を「上限100L(リットル)」に設定する対応、放出する積算湯量を「上限200L」に設定する対応、の何れの対応を希望するかの指令を受け付けようとしている。図2(b)では、「上限100L」に対して矢印:「⇒」が対応する状態が示され、使用者が、放出する積算湯量を「上限100L」に設定する指令を行ったことが示されている。この積算湯量は、例えば熱電併給装置1の運転状態に連動して積算される値、或いは、所定期間内で積算される値など、適宜設定変更可能である。積算湯量が熱電併給装置1の運転状態に連動して積算される値である場合、例えば、熱電併給装置1が発電開始するとともに積算開始され、発電停止されるとゼロにリセットされるように設定できる。或いは、積算湯量が所定期間内に積算される値である場合、例えば時刻0時0分から積算開始され、その24時間後の時刻0時0分にゼロにリセットされると共に再び積算開始されるように設定できる。
【0061】
また、図2(c)では、使用者に対して「放出する湯温は?」という問い掛けを表示し、加えて、放出する湯水の温度を「無制限」に設定する対応、放出する湯水の温度を「40℃以下」に設定する対応、放出する湯水の温度を「42℃以下」に設定する対応、の何れの対応を希望するかの指令を受け付けようとしている。図2(c)では、「40℃以下」に対して矢印:「⇒」が対応する状態が示され、使用者が、放出する湯水の温度を「40℃以下」に設定する指令を行ったことが示されている。
【0062】
例えば、給水路L2から貯湯タンク4へ供給される水の温度が15℃である場合、その15℃の水が熱電併給装置1での排熱回収のために貯湯タンク4から熱電併給装置1へと供給され、熱電併給装置1から貯湯タンク4へは約56℃の湯水が帰還する。その結果、放出する湯水の温度を「無制限」に設定した場合、貯湯タンク4に貯えられているこの約56℃の湯水が放出される。放出する湯水の温度を「40℃以下」に設定した場合、及び、放出する湯水の温度を「42℃以下」に設定した場合、後述するように、貯湯タンク4に貯えられているこの約56℃の湯水に対して水が混合されて温度調節が行われた上で熱放出が実施される。1回の熱放出運転において放出する湯水の量(例えば、上述した20L等)は、最終的に温度調節がされた後での湯水の湯量であるので、同じ「20L」を放出するとしても、貯湯タンク4から56℃の湯水をそのまま20L放出する場合と、56℃の湯水に対して水を加えて温度調節を行った後の湯水を20L放出する場合とでは、貯湯タンク4から実際に減少する熱量は異なる。つまり、貯湯タンク4から56℃の湯水をそのまま20L放出する方が、貯湯タンク4の約56℃の湯水に他所から水を混合した上で20L放出する場合よりも、貯湯タンク4から実際に減少する熱量は大きくなる。
【0063】
上述したように、本実施形態では、熱放出運転において、貯湯タンク4内の湯水を浴槽3に放出する。具体的には、運転制御手段Cは、給湯路L5に設けられている湯比例弁15及び水比例弁16及び湯張弁17を開放作動させ、貯湯タンク4に貯えられている湯水を浴槽3に放出するという熱放出運転を行うことができる。但し、給水源から貯湯タンク4への水の供給が遮断されているような断水状態では、貯湯タンク4内の湯水を浴槽3に放出することは好ましくなく、湯水をできるだけ多く確保しておいた方がよい。
【0064】
そこで、本実施形態では、運転制御手段Cは、断水検出手段(後述する「圧力スイッチ29」で実現される)が断水状態を検出していないとき、熱電併給装置1の熱電発生運転を実行中に貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達すると、熱電併給装置1の熱電発生運転の実行を継続しながら熱放出運転を実行し、断水検出手段が断水状態を検出しているとき、熱電併給装置1の熱電発生運転を実行中に貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達すると、熱放出運転を実行せずに熱電併給装置1の熱電発生運転を停止する。つまり、断水状態であるときは、貯湯タンク4における湯水の保持が優先的に行われることになる。
【0065】
以下に本実施形態での満蓄時処理の内容について説明する。
図3は、手動運転が行われている状態で満蓄状態になったときの満蓄時処理を説明するフローチャートである。
尚、本実施形態において、運転制御手段Cは、熱電併給装置1を自動運転しているときに満蓄状態になると、単に熱電併給装置1の熱電発生運転を停止して熱放出運転を実行しないように構成されている。つまり、本実施形態では、熱電併給装置1を自動運転している間は熱放出運転を行わない。
【0066】
工程#10において運転制御手段Cは、コージェネレーションシステムが断水状態であるか否かを判定する。具体的には、運転制御手段Cは、給水源から貯湯タンク4への給水が遮断されている断水状態であるか否かを判定する。
運転制御手段Cは、断水状態であるか否かを判定するために、以下の断水状態判定工程を実行する。
【0067】
先ず、運転制御手段Cは、湯比例弁15及び水比例弁16及び湯張弁17を開作動させ、その後の圧力スイッチ29の動作を検出する。圧力スイッチ29がオフ状態になれば、給水路L2から貯湯タンク4へ水が補給されていないということであるので、運転制御手段Cは断水状態であると判定する。これに対して、圧力スイッチ29がオン状態であれば、給水路L2から貯湯タンク4へ水が補給されているということであるので、運転制御手段Cは断水状態ではないと判定する。
【0068】
そして、運転制御手段Cは、断水状態であると判定した場合には工程#16に移行し、断水状態ではないと判定した場合には工程#11に移行する。
【0069】
工程#11において運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂ポンプ21をONにして作動させる。これにより、浴槽3の風呂アダプタ3aの位置まで湯水がある場合は浴槽水循環路L6が湯水によって満たされ、風呂アダプタ3aの位置まで湯水がない場合は浴槽水循環路L6は湯水に満たされない。
【0070】
次に、工程#12において運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水流スイッチ37がON状態であるか否かを判定する。
浴槽3に湯水が一定量貯まっている場合に風呂ポンプ21を運転させると、浴槽水循環路L6を湯水が循環し、風呂水流スイッチ37はON状態を出力する。これに対して、浴槽3に湯水が一定量貯まっていない場合は、風呂ポンプ21を運転させても浴槽水循環路L6を湯水が循環しないため、風呂水流スイッチ37はOFF状態を出力する。運転制御手段Cは、風呂水流スイッチ37によるオン状態又はオフ状態の出力結果を確定させた後、風呂ポンプ21を停止させる。
そして、風呂水流スイッチ37がON状態となる場合は、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35での風呂水位の計測が可能となる。風呂水流スイッチ37がOFF状態を出力するような状況であれば、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35での風呂水位の計測はできない(即ち、風呂水位は計測下限未満)。
【0071】
そして、運転制御手段Cは、工程#12において風呂水流スイッチ37がON状態であると判定した場合には(即ち、風呂水位の計測が可能の場合には)、工程#13に移行する。これに対して、運転制御手段Cは、風呂水流スイッチ37がOFF状態であると判定した場合には(即ち、風呂水位の計測ができない場合には)、工程#15に移行する。
【0072】
工程#13において、運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35の検出結果に基づいて、浴槽3に残されている湯水の風呂水位を計測する。そして、次に工程#14において運転制御手段Cは、計測した浴槽3での湯水の風呂水位が上限水位未満であるか否かを判定する。そして、運転制御手段は、湯水の風呂水位が上限水位未満である場合(即ち、浴槽3に湯水を受け入れる余裕がある場合)には工程#15へ移行し、湯水の風呂水位が上限水位以上である場合(浴槽3に湯水を受け入れる余裕が無い場合)には工程#16に移行する。
【0073】
この「上限水位」は、例えば浴槽3から湯水が溢れ出すことのない最高水位や、浴槽での入浴時の水位として設定されている設定湯張水位など、任意に設定できる。
【0074】
運転制御手段Cは、工程#15において、熱放出運転を実行し、且つ、熱電併給装置1の熱電発生運転の実行を継続する。運転制御手段Cは、熱放出運転を実行するとき、放出する湯水の温度を、図2(c)に示したように、放出運転を行うときに設定されている湯水の設定温度に調節し、その温度の湯水を例えば20Lだけ放出する。具体的には、運転制御手段Cは、湯張弁17を開弁し、給湯路L5に設けられている給湯温度センサ33で検出する湯水の温度が上記設定湯温になるように、湯比例弁15及び水比例弁16の開度を調節する。運転制御手段Cは、給湯路L5bの途中に設けられている水量センサ34の検出結果に基づいて、放出される湯水の量が1回の熱放出運転によって放出する例えば20L等に達したことを知ることができる。また、運転制御手段Cは、過去の熱放出運転によって放出された積算湯量を記憶手段Sに記憶している。
【0075】
運転制御手段Cは、この熱放出運転を行うとき、熱放出運転の実行を使用者に報知してもよい。例えば、運転制御手段Cは、熱放出運転の実行を、リモコン装置Rの表示部r1を用いて文字情報で表示することや、音声出力部r3を用いて音声メッセージや鳴動音を出力することなどにより報知できる。この場合、リモコン装置Rの表示部r1や音声出力部r3が本発明の「報知手段」として機能する。
【0076】
加えて、運転制御手段Cは、記憶手段Sに記憶してある過去の熱放出運転で放出した積算湯量の情報を参照して、積算湯量が、図2(b)に示したように、熱放出運転を行うときに設定されている湯水の積算湯量の上限値(図2(b)で例示した「上限100L」、「上限200L」であり、以下、単に「100L」、「200L」等と記載する)に達したか否かを判定する。放出済みの積算湯量が設定された上限値に達した場合には、運転制御手段Cは、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
尚、運転制御手段Cは、放出される湯水の量が1回の熱放出運転によって放出する例えば20L等に達していない場合、或いは、放出済みの積算湯量が上限値(100L、200L等)に達していない場合であっても、浴槽3における湯水の水位が上限水位になると、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
【0077】
運転制御手段Cは、工程#16において、熱放出運転を停止させ(即ち、実行中から停止状態に移行させる、或いは、停止状態のまま維持する)、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止状態に移行させる。その結果、貯湯タンク4から湯水が放出されることもなく、且つ、熱電併給装置1の排熱が貯湯タンク4へ上限蓄熱量を超えて蓄えられることを制限できる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、給水源から貯湯タンク4への給水が遮断されている断水状態であるか否かを検出する断水検出手段としての圧力スイッチ29を備え、運転制御手段Cは、熱電併給装置1の熱電発生運転を実行中に貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達したとき、圧力スイッチ29が断水状態を検出していなければ熱電発生運転の実行を継続しながら熱電併給装置1の熱放出運転を実行し、圧力スイッチ29が断水状態を検出していれば熱放出運転を実行せずに熱電併給装置1の熱電発生運転を停止する。つまり、断水状態でなければ(即ち、湯水の確保を優先しなくてもよい状態であれば)、熱放出運転を行いながら熱電併給装置1の継続的な運転を行うことができる。これに対して、断水状態であれば(即ち、湯水の確保を優先するべき状態であれば)、熱放出運転を実行せずに熱電併給装置1の熱電発生運転が停止される。従って、貯湯タンク4の満蓄時の熱放出運転の制御と、断水時における湯水の確保とを両立できるコージェネレーションシステムを提供できる。
【0079】
<第2実施形態>
第2実施形態のコージェネシステムは、運転制御手段Cが行う満蓄時処理の内容が第1実施形態で説明した満蓄時処理の内容と異なる。以下に、第2実施形態での満蓄時処理の内容について説明するが、第1実施形態と同様の内容については説明を省略する。
【0080】
以下に本実施形態での満蓄時処理の内容について説明する。
図4は、手動運転が行われている状態で満蓄状態になったときの満蓄時処理を説明するフローチャートである。
【0081】
工程#20において運転制御手段Cは、コージェネレーションシステムが断水状態であるか否かを判定する。具体的には、運転制御手段Cは、給水源から貯湯タンク4への給水が遮断されている断水状態であるか否かを判定する。断水状態であるか否かの判定手法は第1実施形態で説明した手法と同様である。
そして、運転制御手段Cは、断水状態であると判定した場合には工程#31に移行し、断水状態ではないと判定した場合には工程#21に移行する。
【0082】
工程#21において運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂ポンプ21をONにして作動させる。これにより、浴槽3の風呂アダプタ3aの位置まで湯水がある場合は浴槽水循環路L6が湯水によって満たされ、風呂アダプタ3aの位置まで湯水がない場合は浴槽水循環路L6は湯水に満たされない。
【0083】
次に、工程#22において運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水流スイッチ37がON状態であるか否かを判定する。
浴槽3に湯水が一定量貯まっている場合に風呂ポンプ21を運転させると、浴槽水循環路L6を湯水が循環し、風呂水流スイッチ37はON状態を出力する。これに対して、浴槽3に湯水が一定量貯まっていない場合は、風呂ポンプ21を運転させても浴槽水循環路L6を湯水が循環しないため、風呂水流スイッチ37はOFF状態を出力する。運転制御手段Cは、風呂水流スイッチ37によるオン状態又はオフ状態の出力結果を確定させた後、風呂ポンプ21を停止させる。
そして、風呂水流スイッチ37がON状態となる場合は、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35での風呂水位の計測が可能となる。風呂水流スイッチ37がOFF状態を出力するような状況であれば、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35での風呂水位の計測はできない(即ち、風呂水位は計測下限未満)。
【0084】
そして、運転制御手段Cは、工程#22において風呂水流スイッチ37がON状態であると判定した場合には(即ち、風呂水位の計測が可能の場合には)、工程#24に移行する。これに対して、運転制御手段Cは、風呂水流スイッチ37がOFF状態であると判定した場合には(即ち、風呂水位の計測ができない場合には)、工程#23に移行する。
【0085】
工程#23において運転制御手段Cは、熱放出運転を実行し、且つ、熱電併給装置1の熱電発生運転の実行を継続する。運転制御手段Cは、熱放出運転を実行するとき、放出する湯水の温度を、図2(c)に示したように、放出運転を行うときに設定されている湯水の上限温度(例えば、40℃等)に調節し、その温度の湯水を例えば20Lだけ放出する。また、運転制御手段Cは、記憶手段Sに記憶してある過去の熱放出運転で放出した積算湯量の情報を参照して、その積算湯量が、図2(b)に示したように、熱放出運転を行うときに設定されている湯水の積算湯量の上限値(100L、200L等)に達したか否かを判定する。放出済みの積算湯量が設定された上限値に達した場合には、運転制御手段Cは、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
【0086】
工程#24において、運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35の検出結果に基づいて、浴槽3に残されている湯水の風呂水位を計測する。そして、次に工程#25において運転制御手段Cは、計測した浴槽3での湯水の風呂水位が上限水位未満であるか否かを判定する。
そして、運転制御手段Cは、湯水の風呂水位が上限水位未満である場合(即ち、浴槽3に湯水を受け入れる余裕がある場合)には工程#26へ移行し、湯水の風呂水位が上限水位以上である場合(浴槽3に湯水を受け入れる余裕が無い場合)には工程#31に移行する。
【0087】
工程#31において運転制御手段Cは、熱放出運転を停止させ(即ち、実行中から停止状態に移行させる、或いは、停止状態のまま維持する)、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止状態に移行させる。その結果、貯湯タンク4から湯水が放出されることもなく、且つ、熱電併給装置1の排熱が貯湯タンク4へ上限蓄熱量を超えて蓄えられることを制限できる。
【0088】
運転制御手段Cは、工程#26において、現在の風呂水位が、上述した上限水位未満である所定水位以下であるか否かを判定する。運転制御手段Cは、工程#26において現在の風呂水位が所定水位以下であると判定すれば工程#30に移行し、風呂水位が所定水位より高いと判定すれば工程#27に移行する。
【0089】
この「所定水位」は、上限水位未満の範囲で任意に設定できる。
【0090】
運転制御手段Cは、工程#26において現在の風呂水位が所定水位より高いと判定した場合、工程#27において、風呂温度センサ36を用いて浴槽3内に残っている湯水温度を計測する。そして、工程#28において運転制御手段Cは、浴槽3内に残っている湯水温度が第1設定温度未満であるか否かを判定する。この第1設定温度は、上述したように、浴槽3での入浴時の湯温として設定されている設定湯張温度である。
【0091】
運転制御手段Cは、工程#28において浴槽3内に残っている湯水温度が第1設定温度未満であると判定した場合、工程#29に移行して、放出する湯水の温度を第2設定温度に調節すると共にその温度の湯水を例えば20Lだけ浴槽3内に放出する熱放出運転を実行し、且つ、熱電併給装置1の熱電発生運転の実行を継続する。尚、運転制御手段Cは、記憶手段Sに記憶してある過去の熱放出運転で放出した積算湯量の情報を参照して、積算湯量が上限値(100L、200L等)に達した場合には、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。ここで、第2設定温度は、上記第1設定温度(設定湯張温度)より高い温度である。
【0092】
このように、運転制御手段Cは、熱放出運転を開始するとき、風呂水位センサ(水位検出手段)35で検出される浴槽3内に貯えられている湯水の現在水位が、上限水位未満であり且つ所定水位より高く、並びに、風呂温度センサ(浴槽湯水温度検出手段)36で検出される浴槽3内に貯えられている湯水の現在温度が、第1設定温度未満であれば、湯水を第1設定温度より高い第2設定温度に調節して浴槽3内に放出する。尚、運転制御手段Cは、放出される湯水の量が1回の熱放出運転によって放出する例えば20L等に達していない場合、或いは、放出済みの積算湯量が上限値(100L、200L等)に達していない場合であっても、浴槽3における湯水の水位が上限水位になると、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
【0093】
この場合、熱放出運転を開始するときに浴槽3内に貯えられている湯水の現在水位が上記所定水位より高い状況であり、且つ、熱放出運転を開始するときに浴槽3内に貯えられている湯水の現在温度が第1設定温度未満であれば、熱放出運転によって浴槽3へ放出できる湯水の量は比較的少なく、且つ、その第1設定温度より高い温度の湯水を浴槽3に放出しても、熱放出運転が実行された後に浴槽3に貯まる湯水の温度が非常に高くなることはない。つまり、熱放出運転を開始するときに浴槽3内に貯えられている湯水の現在温度が第1設定温度未満であったとしても、熱放出運転が実行された後に浴槽3に貯まる湯水の温度をその温度よりも高くすることができる。
【0094】
これに対して、運転制御手段Cは、工程#28において浴槽3内に残っている湯水温度が第1設定温度以上であると判定した場合、工程#30に移行する。
【0095】
工程#30において運転制御手段Cは、放出する湯水の温度を第1設定温度(設定湯張温度)に調節すると共にその温度の湯水を例えば20Lだけ浴槽3内に放出する熱放出運転を実行し、且つ、熱電併給装置1の熱電発生運転の実行を継続する。尚、運転制御手段Cは、記憶手段Sに記憶してある過去の熱放出運転で放出した積算湯量の情報を参照して、積算湯量が上限値(100L、200L等)に達した場合には、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
【0096】
このように、運転制御手段Cは、熱放出運転を開始するとき、風呂水位センサ35で検出される浴槽3内に貯えられている湯水の現在水位が、上限水位未満である所定水位以下であれば、湯水を第1設定温度に調節して浴槽3内に放出する。尚、運転制御手段Cは、熱放出運転によって浴槽3における湯水の水位が上限水位になると、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。また、運転制御手段Cは、放出される湯水の量が1回の熱放出運転によって放出する例えば20L等に達していない場合、或いは、放出済みの積算湯量が上限値(100L、200L等)に達していない場合であっても、浴槽3における湯水の水位が上限水位になると、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
【0097】
この場合、熱放出運転を開始するときに浴槽3内に貯えられている湯水の現在水位が所定水位以下であるので、即ち、浴槽3に残されている湯水が比較的少ない状況であるので、その後の熱放出運転の実行によって浴槽3内に湯水が放出されたとき、熱放出運転が実行された後に浴槽3に貯まる湯水の温度は、熱放出運転の実行によって浴槽3に放出された湯水の温度(第1設定温度)に大きく左右される。つまり、熱放出運転が実行された後に浴槽3に貯まる湯水の温度を、所望の第1設定温度に近い温度(例えば、人間が触れたとしてもやけどを生じさせない温度等)に調節することができる。
【0098】
<第3実施形態>
第3実施形態のコージェネシステムは、運転制御手段Cが行う満蓄時処理の内容が第1実施形態及び第2実施形態で説明した満蓄時処理の内容と異なる。以下に、第3実施形態での満蓄時処理の内容について説明するが、上記実施形態と同様の内容については説明を省略する。
【0099】
以下に本実施形態での満蓄時処理の内容について説明する。
図5は、手動運転が行われている状態で満蓄状態になったときの満蓄時処理を説明するフローチャートである。
【0100】
工程#40において運転制御手段Cは、コージェネレーションシステムが断水状態であるか否かを判定する。具体的には、運転制御手段Cは、給水源から貯湯タンク4への給水が遮断されている断水状態であるか否かを判定する。断水状態であるか否かの判定手法は第1実施形態で説明した手法と同様である。
そして、運転制御手段Cは、断水状態であると判定した場合には工程#48に移行し、断水状態ではないと判定した場合には工程#41に移行する。
【0101】
工程#41において運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂ポンプ21をONにして作動させる。これにより、浴槽3の風呂アダプタ3aの位置まで湯水がある場合は浴槽水循環路L6が湯水によって満たされ、風呂アダプタ3aの位置まで湯水がない場合は浴槽水循環路L6は湯水に満たされない。
【0102】
次に、工程#42において運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水流スイッチ37がON状態であるか否かを判定する。
浴槽3に湯水が一定量貯まっている場合に風呂ポンプ21を運転させると、浴槽水循環路L6を湯水が循環し、風呂水流スイッチ37はON状態を出力する。これに対して、浴槽3に湯水が一定量貯まっていない場合は、風呂ポンプ21を運転させても浴槽水循環路L6を湯水が循環しないため、風呂水流スイッチ37はOFF状態を出力する。運転制御手段Cは、風呂水流スイッチ37によるオン状態又はオフ状態の出力結果を確定させた後、風呂ポンプ21を停止させる。
そして、風呂水流スイッチ37がON状態となる場合は、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35での風呂水位の計測が可能となる。風呂水流スイッチ37がOFF状態を出力するような状況であれば、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35での風呂水位の計測はできない(即ち、風呂水位は計測下限未満)。
【0103】
そして、運転制御手段Cは、工程#42において風呂水流スイッチ37がON状態であると判定した場合には(即ち、風呂水位の計測が可能の場合には)、工程#44に移行する。これに対して、運転制御手段Cは、風呂水流スイッチ37がOFF状態であると判定した場合には(即ち、風呂水位の計測ができない場合には)、工程#43に移行する。
【0104】
工程#43において運転制御手段Cは、熱放出運転を実行し、且つ、熱電併給装置1の熱電発生運転の実行を継続する。運転制御手段Cは、熱放出運転を実行するとき、放出する湯水の温度を、図2(c)に示したように、放出運転を行うときに設定されている湯水の上限温度(例えば、40℃等)に調節すると共にその温度の湯水を例えば20Lだけ放出する。尚、運転制御手段Cは、記憶手段Sに記憶してある過去の熱放出運転で放出した積算湯量の情報を参照して、積算湯量が上限値(100L、200L等)に達した場合には、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
【0105】
工程#44において、運転制御手段Cは、浴槽水循環路L6の途中に設けられている風呂水位センサ35の検出結果に基づいて、浴槽3に残されている湯水の風呂水位を計測する。そして、次に工程#45において運転制御手段Cは、計測した浴槽3での湯水の風呂水位が上限水位未満であるか否かを判定する。
そして、運転制御手段Cは、湯水の風呂水位が上限水位未満である場合(即ち、浴槽3に湯水を受け入れる余裕がある場合)には工程#46へ移行し、湯水の風呂水位が上限水位以上である場合(浴槽3に湯水を受け入れる余裕が無い場合)には工程#48に移行する。
【0106】
尚、本実施形態では、上限水位は、浴槽3での入浴時の水位として設定されている設定湯張水位である。つまり、後述するように、熱放出運転では、設定湯張水位までしか浴槽3への湯水の放出を行わないため、設定湯張水位を上限水位としている。
【0107】
工程#48において運転制御手段Cは、熱放出運転を停止させ(即ち、実行中から停止状態に移行させる、或いは、停止状態のまま維持する)、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止状態に移行させる。その結果、貯湯タンク4から湯水が放出されることもなく、且つ、熱電併給装置1の排熱が貯湯タンク4へ上限蓄熱量を超えて蓄えられることを制限できる。
【0108】
運転制御手段Cは、工程#46において、風呂温度センサ36を用いて、浴槽3に残されている湯水の現在の温度を計測する。
そして、運転制御手段Cは、工程#47において湯水を浴槽3内に放出する熱放出運転を実行し、且つ、熱電併給装置1の熱電発生運転を継続する。このとき、運転制御手段Cは、浴槽3内に湯水を放出することで浴槽3内に貯えられる湯水の水位が設定湯張水位になり、且つ、浴槽3内に湯水を放出することで浴槽3内に貯えられる湯水の温度が、浴槽3での入浴時の湯温として設定されている設定湯張温度になるように、浴槽3内に放出する湯水の量及び湯温を調節する。尚、運転制御手段Cは、記憶手段Sに記憶してある過去の熱放出運転で放出した積算湯量の情報を参照して、積算湯量が上限値(100L、200L等)に達した場合には、それ以上の湯水の放出を制限する(即ち、熱放出運転を停止させる)と共に、その後に上限蓄熱量に達した時点で、熱電併給装置1の熱電発生運転を停止させる。
【0109】
例えば、運転制御手段Cは、工程#44で計測した浴槽3に残されている湯水の現在水位、及び、工程#46で計測した浴槽3に残されている湯水の現在温度を記憶しておくと共に、記憶手段Sに記憶している設定湯張水位及び設定湯張温度を読み出す。そして、運転制御手段Cは、それらの情報に基づいて、浴槽3に残されている現在水位及び現在温度の湯水に対して、どれだけの温度の湯水をどれだけの量だけ追加すると、設定湯張水位及び設定湯張温度になるのかを導出する。その後、運転制御手段Cは、導出した追加湯水の温度及び量に基づいて、貯湯タンク4から浴槽3へ実際の湯水追加(熱放出運転)を行う。尚、貯湯タンク4に貯えられている湯水の温度が、熱放出運転によって追加する必要のある追加湯水の温度に満たない場合もある。そのような場合、運転制御手段Cは、貯湯タンク4に貯えられている湯水を、熱放出運転によって追加する必要のある追加湯水の温度に満たないままで浴槽3へ供給する。
【0110】
このように、運転制御手段Cは、熱放出運転を開始するときに浴槽3内に貯えられている湯水の水位及び温度が、熱放出運転が実行された後に設定湯張水位及び設定湯張温度へとなるように、浴槽3内に放出する湯水の量及び湯温を調節する。つまり、熱放出運転を実行することにより、浴槽3において、通常の入浴時の湯張り運転を実行したのと同じ水位及び湯温の状態を作り出すことができる。
【0111】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、熱電併給装置1を自動運転している間は熱放出運転を行わない例を説明したが、上記実施形態で説明した手動運転の場合と同様に、熱電併給装置1を自動運転している間にも熱放出運転を行うようにしてもよい。
【0112】
<2>
上記実施形態では、熱放出運転を行うときに放出する積算湯量(100L、200L)や湯温(40℃、42℃)を使用者が設定可能である例を説明したが、使用者が他の設定を行えるようにしてもよい。例えば、上記実施形態では、運転制御手段Cが、熱放出運転を行うときに、熱放出運転の実行を使用者に報知する例を説明したが、このような報知を行うか否かを使用者が設定できるように構成してもよい。
【0113】
<3>
上記実施形態では、湯水の温度や、1回の熱放出運転において放出する湯量(20L)、積算湯量の上限値(100L、200L)などについての具体的な数値を挙げたが、それらの数値は単に例示目的で挙げたものであり、本発明がそれらの数値に限定されることはない。例えば、上記実施形態では、1回の熱放出運転において放出する湯量を20Lとする例を説明したが、この値を10L、30L等の値に変更しても良い。
或いは、1回の熱放出運転において放出する湯量を上述のような固定値ではなく、可変値にしてもよい。例えば、熱放出運転として、貯湯タンク4から一定熱量の湯水を放出するように変更してもよいし、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量未満になるまで湯水を放出するように変更してもよい。これら場合、熱放出運転において放出する湯水の量は、放出する湯水の温度等に応じて可変値となる。
【0114】
<4>
上記実施形態では、運転制御手段Cが工程#10(図3)、工程#20(図4)、工程#40(図5)において断水状態であるか否かの判定を行う例を説明したが、運転制御手段Cが他のタイミングにおいて断水状態であるか否かの判定を行ってもよい。
例えば、図3のフローチャートを用いて説明すると、運転制御手段Cが、熱放出運転を実行中(工程#16)にも断水状態であるか否かの判定を行ってもよい。そして、運転制御手段Cは、断水状態であると判定した場合には、その時点で工程#16に移行して熱放出運転を停止させ及び熱電併給装置1の熱電発生運転を停止状態に移行させる。尚、運転制御手段Cが、熱放出運転(工程#15)を実行中に断水状態であるか否かの判定を行う場合には、工程#10を行わないように図3のフローチャートを改変してもよい。
また、断水検出手段の例として圧力スイッチ29を挙げたが、他の機器を用いて断水検出手段を構成してもよい。断水が発生していると、例えば出湯路L1に加わる給水圧が低下するため、熱放出運転(工程#15)を実行中に放出される湯水の単位時間当たりの流量が少なくなる。そこで、運転制御手段Cは、熱放出運転(工程#15)を実行中等のタイミングで、上述した何れかの水量センサ(例えば、水量センサ34等)で検出される単位時間当たりの湯水の流量が設定流量未満である場合には、断水状態であると判定できる。つまり、水量センサ34等を用いて断水検出手段を構成することができる。
尚、ここでは図3のフローチャートを用いて説明したが、図4及び図5のフローチャートに対して同様の改変を行ってもよい。
【0115】
<5>
上記実施形態において、湯水(蓄熱媒体)を放出する以外の熱放出手段をコージェネレーションシステムが備えていてもよい。例えば、貯湯タンク4から熱電併給装置1へ向かう間の排熱循環路L8に空冷式ラジエータなどの熱放出手段を設けてもよい。そして、運転制御手段Cが、例えば、熱電発生運転を実行中に貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達する前段階で空冷式ラジエータを用いた少量の熱放出によって湯水の冷却を行ってもよい。そして、例えば外気温度の上昇や熱電併給装置1からの排熱量の増加があることで、空冷式ラジエータによる熱放出を継続しているにも関わらず、熱電併給装置1の熱電発生運転を実行中に貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達したときに、運転制御手段Cが、上記実施形態で説明した湯水(蓄熱媒体)の放出という形態での熱放出運転を行うように構成してもよい。この場合、空冷式ラジエータで冷却した後の湯水の温度が所定の上限温度に達すると、貯湯タンク4での蓄熱量が上限蓄熱量に達したと判定する。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、蓄熱装置の満蓄時の熱放出運転の制御と、断水時における湯水の確保とを両立できるコージェネレーションシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0117】
1 熱電併給装置
3 浴槽
4 貯湯タンク(蓄熱装置)
29 圧力スイッチ(断水検出手段)
35 風呂水位センサ(水位検出手段)
36 風呂温度センサ(浴槽湯水温度検出手段)
C 運転制御手段
r3 音声出力部(報知手段)
図1
図2
図3
図4
図5