特許第6120841号(P6120841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エピガン ナムローゼ フェンノートシャップの特許一覧

特許6120841III−Vエピタキシャル層を成長させるための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120841
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】III−Vエピタキシャル層を成長させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20170417BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20170417BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20170417BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H01L21/205
   H01L29/80 H
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-520601(P2014-520601)
(86)(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公表番号】特表2014-521229(P2014-521229A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012063317
(87)【国際公開番号】WO2013010828
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】1112327.0
(32)【優先日】2011年7月18日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514012568
【氏名又は名称】エピガン ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】デールーン,ヨッフ
(72)【発明者】
【氏名】デグローテ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ジャメイン,マリアンネ
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/060992(WO,A1)
【文献】 特開2011−082216(JP,A)
【文献】 特開2002−170877(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/108055(WO,A1)
【文献】 特開2010−016089(JP,A)
【文献】 特開平10−107213(JP,A)
【文献】 特開平06−177332(JP,A)
【文献】 国際公開第00/016391(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/338
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高出力用途、高圧用途、高出力RF増幅器、多重化および双方向性電源スイッチングの1つ以上に好適なトランジスタまたはダイオードである半導体構造を含んでいる素子を製造する方法であって、
Si、SiGe、Ge、絶縁体上のSiおよび絶縁体上のGeの1つ以上を含んでいる基板を準備する工程;
上記基板上にIII−V族のエピタキシャルな半導体のバッファ層を設けることによって、上記バッファ層および基板の間に導電性界面を得る工程;
上記バッファ層を覆う1つ以上の保護層を形成する工程;
上記1つ以上の保護層を形成した後に、上記III−V族のエピタキシャルな半導体のバッファ層を貫いて上記基板の中まで、表面を規定している1つ以上の局所的な電気絶縁体を上記導電性界面に形成することによって、上記導電性界面における電流を遮断する工程、ここで、
上記半導体構造がトランジスタであるとき、上記1つ以上の局所的な電気絶縁体のうちの少なくとも1つは、当該トランジスタのゲートおよびドレインの間に形成されているか、または当該トランジスタのゲートは、上記1つ以上の局所的な電気絶縁体のまっすぐ上に置かれており、
上記半導体構造がダイオードであるとき、上記1つ以上の局所的な電気絶縁体のうちの少なくとも1つは、当該ダイオードのカソードおよびアノードの間に形成されている;
上記1つ以上の局所的な電気絶縁体の、上記表面を平坦化する工程
記表面を平坦化することの後に、上記1つ以上の保護層を除去する工程;ならびに
上記1つ以上の保護層を除去することの後に、III−V族のエピタキシャル層を選択的かつエピタキシャルに成長させる工程を包含している、方法。
【請求項2】
上記1つ以上の局所的な電気絶縁体は、シャロートレンチアイソレーション、LOCOS、不純物インプランテーション、ディープトレンチエッチングおよびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記1つ以上の局所的な電気絶縁体は、規則的なパターンに形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記素子は、ゲートおよびドレインを含んでおり、当該ゲートは、ゲート−ドレイン距離だけ当該ドレインから離されており、
上記規則的なパターンの周期は、上記ゲート−ドレイン距離より小さく、
上記規則的なパターンにおける複数の上記局所的な絶縁体の配列物、ならびに上記ゲートおよびドレインの配列物は、同一平面、および実質的に同一方向にある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記1つ以上の電気絶縁体のそれぞれは、25nm〜2.5μmの幅を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記1つ以上の電気絶縁体のうち2つの隣接する電気絶縁体が、0.2μm〜20μmの幅の間隙によって離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記1つ以上の保護層は、III−V族の層、SiN層およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の層を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記1つ以上の保護層は、(i)上記バッファ層上に付与されているGaNのスタック、(ii)GaN層上に付与されているAlN、および(iii)AlN層上に付与されているSiN層を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記基板およびバッファ層の少なくとも1つを、複数の局所的な上記電気絶縁体を用いてパターニングすることによってIII−V族の層を選択的に再成長させることを含んでいる上記再成長プロセスを実施することをさらに包含している、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
III−Vエピタキシャル層を基板上に成長させる方法、および、基板、当該基板上にあるバッファ層を備えており、当該基板およびバッファ層の間に導電性パスが存在する半導体構造、ならびに、そのような半導体構造を含んでいる素子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIII−Nエピタキシャル層を基板上に堆積させるとき、いわゆるSi基板の“Gaメルトバック”を抑制するために、成長は、AlN層の堆積から始められる。上記界面におけるバンド整合またはSiへのGaの拡散に起因して、SiおよびAlNの間の界面に導電層が形成される。この導電層は、Si上のそのようなIII−Nバッファの上部に構築される素子のRF動作および高圧動作の両方にとって好ましくない。
【0003】
RF素子の場合、RF信号は、この層と静電的に結合し、伝搬する信号における所望されない損失の原因になり得る。
【0004】
十分に大きい接続間隔を有している高圧素子の場合、素子は、III−N/Si界面およびIII−N/Si界面自身における導電パスまで、接続から伸びている2本の脚からなるパスを介した高い電界条件下において、早期に絶縁破壊を受ける。すなわち、ソース領域およびドレイン領域の間の距離が大きくても、シリコン上のAlGaN/GaN HEMT素子は、飽和絶縁破壊電圧を有していることが観察されている。絶縁破壊飽和のレベルは、エピタキシャル積層の合計の厚さに応じている。高い絶縁破壊電圧は、ウエハの大きな反りまたは割れた層を生じ、ウエハのコストを上昇させる厚いエピタキシャル層を必要とする。CN101719465は、シリコン基板 GaNに基づく半導体材料を製造する方法を提供している。当該方法は、製品の品質および製造効率を向上させるために、Gaに基づく半導体材料を伸ばす処理においてGaによってシリコン表面を再融解させる問題を解決することを目的とする。上記方法は、以下の工程、特にアルミニウム窒化物バッファ層を成長させるための第1のMOCVDの反応チャンバにおいて、シリコン基板上にアルミニウム窒化物バッファ層を生成させること;工程が完了した後にアルミニウム窒化物バッファ層を取り出して、後の使用のためのシリコン基板 アルミニウム窒化物テンプレートを形成すること;GaNに基づく半導体材料を成長させるための第2のMOCVDに、後の使用のためのシリコン基板 アルミニウム窒化物テンプレートを入れて、GaNに基づく半導体材料を伸ばすこと;および工程が完了した後にアルミニウム窒化物テンプレートを取り出して、シリコン基板 GaNに基づく半導体材料を形成することを包含している。上記方法は、発光ダイオード、ダイオードレーザおよびパワーデバイスなどの製造に適用され得る。
【0005】
Umeda, et al.は、“Blocking-Voltage Boosting Technology for GaN Transistors by Widening Depletion Layer in Si Substrates”(2010 IEEE Electron Devices Meeting, San Francisco, CA, pages 20.5.1 - 20.5.4)において、AlGaN/GaN ヘテロ接合型電界効果トランジスタ(HFET)の阻止電圧を、高い抵抗性のSi基板における空乏層を広げることによって高めるための新規な手法を提案している。阻止電圧向上(BVB)の手法は、AlN/Siにおける界面の反転層からの漏れ電流を止めるためのチャネル阻害物として、チップの周辺領域におけるイオンインプランテーションを利用している。空乏層は、チャネル阻害物の補助によって基板に広げられており、HFETの阻止電圧を上昇させる。オフ状態のHFETの絶縁破壊電圧は、Si上にある1.4μmの厚さのエピタキシャルなGaNについて、チャネル阻害物なしの760VからBVB手法によって1340Vまで向上されている。この手法は、製造コストのさらなる低下を導く、Si上のエピタキシャルな薄いGaNについてさえ、阻止電圧を向上させる大きな補助になっている。
【0006】
しかし、このアプローチは、絶縁破壊電圧飽和の問題を必ずしも解決しない。
【0007】
Srivastava et al.は、“Record Breakdown Voltage (2200 V) of GaN DHFETs on Si With 2-μm Buffer Thickness by Local Substrate Removal”(EDL 32-1 2011)において、シリコン貫通ビアを連想させる局所的な基板除去手法(ソース−ドレイン領域の下部)を提案しており、わずか2μmの厚さのAlGaNバッファを有しているSi(111)基板上にあるAlGaN/GaN/AlGaNのダブルヘテロ構造FETの、これまでに達成された最高の絶縁破壊電圧を報告している。局所的なSiの除去前では、VBDは、ゲート−ドレイン距離(LGD)≧8μmのとき、〜700Vにおいて飽和する。しかし、エッチングによって基板を局所的に除去した後、LGD=20μmを有している素子について、2200VのVBDを示す。さらに、ホール測定から、彼らは、局所的な基板の除去を組み込むアプローチは、2−D電子ガスチャネル特性に影響しないと結論付けている。
【0008】
不利益な点は、能動素子が、信頼性の問題を引き起こし得る非常に薄い膜上に配置されていること、およびキャリア基板の除去が、積層の熱耐性に悪影響を及ぼすことである。
【0009】
他のアプローチにおいて、半導体基板を貫いて埋込絶縁層まで(または半導体基板および埋込絶縁層を貫いて)トレンチがエッチングされ、下にある取扱い中のウエハから“ソースアイランド”および“ドレインアイランド”を完全に分離している、SOI基板が使用される。
【0010】
不利益な点は、能動素子および熱が分散され得る基板の背面の間に、非常に高い熱抵抗を有している酸化物が常に存在することである。
【0011】
Nitronexは、プラスティックチャネルにおける電子の密度は、成長前におけるSi基板の窒化物形成(米国特許第7,247,889号)によって、1016/cm未満のレベルまで低下され得るが、これは、導電性チャネルを完全に破壊せず、したがって絶縁破壊飽和を解消しないことを最終的に示した。
【0012】
典型的に、以上の処理は、標準的なCMOSプロセスにおいて実施され得ず、したがって、仮に可能であっても過剰な措置を取らざるを得ない。例えば処理条件が最適化されていないので、そのようなことは、費用がかかるだけでなく、歩留りにも影響し得る。
【0013】
米国特許出願公開第2008/0048196号は、要素の材料層における結晶転位が、1つ以上のトレンチを基板にエッチングすることによって確実に回避され得る、電子要素および/または光学要素、ならびに要素を製造する方法に関する。トレンチは、トレンチが半導体層に完全に覆われ、ガス充填の空洞(空気充填の空洞)を形成するように、少なくとも1つの半導体層を用いて側方に過成長させられる。要素は、上記半導体層または当該半導体層上に付加されているさらなる半導体層に組み込まれている。要素の活性層は、空洞より上に、好ましくは単独に、配置されている。最適な熱拡散を達成するために、空洞は要素の幅よりわずかに広い。導光板を有している電子光学要素について、Strittmatter et al.は、光学的に光を閉じ込める手段として、半導体から空洞までの移行を使用している。要素がトランジスタである場合、Strittmatter et al.は、RF損失を排除するために、素子の下部にある空洞によって基板を置き換えている。両方の場合に、空洞は、要素の活性領域、したがって要素全体の大きさを少なくとも有している必要がある。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明は、機能性および利点を損なうことなく上述の不利益の1つ以上を解消させる、III−Vエピタキシャル層を基板上に成長させる方法、同様に半導体構造、当該半導体構造を含んでいる素子、当該素子および/または半導体構造を含んでいる電子回路に関する。特に、本発明は、素子形成前(例えば、活性層の堆積または成長の前)のウエハの全面処理に関する。
【0015】
改良された半導体素子、基板または方法(特に、飽和絶縁破壊電圧を有しておらず、結果として高圧に耐えるためのエピタキシャル層を必要としない代替的なAlGaN/GaN HEMT素子)を提供することが、本発明の目的である。まず第1に、AlN核生成層(6.2eV)およびSi基板(1.11eV)のバンドギャップは、非常に異なり、AlN界面における極性変化がさらにある。複合したこれらは、電子によって占められている界面における量子井戸の形成を導き得る。次に、Al原子およびGa原子は、高温の工程(例えば、アニーリングおよび成長)の間に基板に分散し得る。これらの原子は、結果として電荷輸送を可能にするドーパント原子であり、したがって導電性パスを生成する。
【0016】
本発明は半導体構造を製造する方法に関する。当該方法は、
基板(例えば、Si、SiGe、Ge、基板およびそれらの組み合わせ、好ましくはSi基板(例えば<111>Si基板))を準備すること、
上記基板上にエピタキシャルな半導体のバッファ層(例えばIII−Vバッファ層(例えばIII−窒化物層))を設けて、当該エピタキシャルな半導体のバッファ層および基板の間に(例えば導電性の)界面を形成すること、または当該バッファ層を設けることによって当該界面を得ること、ならびに、
上記界面における電流を遮断するために、当該界面にある基板に1つ以上の局所的な電気絶縁を形成することを包含している。そのような絶縁は、シャロートレンチアイソレーション(STI)、LOCOS、不純物インプランテーション、ディープトレンチエッチングおよびこれらの組み合わせであり得る。上記基板における上記1つ以上の局所的な絶縁は、規則的なパターンに形成され得る。
【0017】
また、本発明は半導体構造を製造する方法に関する。当該方法は、
基板(例えば、Si、SiGe、Ge、絶縁体上のSi、絶縁体上のGe基板およびそれらの組み合わせ、好ましくはSi基板(例えば<111>Si基板))を準備すること;
上記基板上にエピタキシャルな半導体のバッファ層(例えばIII−Vバッファ層(例えばIII−窒化物層))を設けることによって、当該バッファ層および上記基板の間に導電性界面を得ること;
上記導電性界面における電流を遮断するために、上記導電性界面および部分的に上記基板に、1つ以上の局所的な電気絶縁を形成すること;ならびに、
上記1つ以上の局所的な電気絶縁を、少なくとも1つの上記局所的な電気絶縁が当該素子の高圧の端子および低圧の端子の間に配置されるように、素子と位置合わせすることを包含している。
【0018】
好ましい実施形態によれば、上記方法は、上記バッファ層を貫いて上記基板に1つ以上のトレンチをエッチングすることをさらに包含している。
【0019】
また、本発明は半導体構造に関する。当該半導体構造は、
基板(例えば、Si、SiGe、Ge、基板およびそれらの組み合わせ、好ましくはSi基板(例えば<111>Si基板))、
上記基板上にあるバッファ層(例えばIII−Vバッファ層(例えばIII−窒化物層))を備えており、
上記バッファ層は、当該バッファおよび上記基板の間に界面を有しており、
導電性パスは、1つ以上の電気絶縁(例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)、LOCOS、不純物インプランテーション、ディープトレンチエッチングおよびこれらの組み合わせ)によって遮断されていることを特徴とし、上記基板およびバッファ層の間の上記界面に存在している。
【0020】
(a)上記1つ以上の局所的な電気絶縁は、25nm〜2.5μmの幅、より好ましくは50nm〜1.5μmの幅、より一層好ましくは100nm〜1μmの幅(例えば200nm〜500nmの幅)であるか、および/または、
(b)上記1つ以上の局所的な電気絶縁の間の間隙は、0.2μm〜20μmの幅、より好ましくは0.5μm〜10μmの幅、より一層好ましくは1μm〜5μmの幅であるか、および/または、
(c)上記1つ以上の局所的な電気絶縁の規則的なパターンの周期は、ゲートからドレインまでの距離より小さく、当該周期および距離は、同一平面にあり、好ましくは実質的に同一方向にある、ことが好ましい。
【0021】
また、本発明は、半導体構造を含んでいる素子、ならびに上述のように当該素子および/または半導体構造を含んでいる電子回路に関する。
【0022】
本発明の実施形態の利点は、処理の間におけるより良好な熱制御である。
【0023】
本発明において、基板およびバッファの間に存在する導電層は、例えば標準的なSiのCMOSプロセスであるシャロートレンチアイソレーション(すなわちSTI)の改変された様式によって、AlN/AlGaNバッファ層を用いて一例において被覆されている、通常の(例えばSi<111>)ウエハをパターニングすることによって妨げられている。これを実現するために、トレンチパターンは、Si/III−窒化物の界面を貫いている。代替的に、トレンチをエッチングする他の絶縁処理(例えばディープトレンチエッチング)と組み合わせても、Siの局所的な酸化(LOCOS)または不純物インプランテーションが、使用され得る。絶縁処理の間にAlN/AlGaN表面を保護するために、バッファ層は、一例において再成長前に選択的に除去されるGaN/(AlN)/SiN保護積層を用いて、被覆される。
【0024】
一例において、保護積層GaN/(Al(Ga)N)/SiNを用いて被覆することによってAl含有III−N混合物を含んでいる機能層によって終結している、基板上のエピタキシャル構造は、標準的な種々の半導体プロセスの工程に続いて供され得、かつ機能層に対する選択的なエピタキシャル再成長のためにMOCVDリアクタにさらに再導入され得るように、設けられている。
【0025】
より詳細には、一例において、保護積層によって被覆されるSi上のAlN/AlGaNバッファ構造が、まず成長させられ;それは、絶縁領域(例えば、III−窒化物スタックを貫いてSi基板に伸びているパターン)を、これらの領域(例えばパターン)がSi基板およびIII−窒化物スタックの間の導電性界面を妨げるように、好ましくはSTIによって、画定するためにMOCVD装置から取り出され;その後に残りの保護積層の部分は除去され;ウエハは、保護積層の残部を除去し、かつ第2のエピタキシャルプロセスを実施するために、MOCVDリアクタに再導入される。
【0026】
上述の通り、一例において、本方法は、プロセスの工程が、多大な(特段の)労力なくそれに組み込まれ得るので、CMOSプロセスに使用される。実際に、本方法は、従来技術の方法と異なり、CMOSプロセスに組み込まれるために、明らかに適している。
【0027】
本基板は、例えば、Si、SiGe、Ge基板、好ましくはSi基板(例えば<111>Si基板)、およびそれらの組み合わせ(例えば、SiGeおよびそれらの(初期)層を含んでいる基板(例えば、複数の層のスタック))である。
【0028】
エピタキシャル成長させたバッファ層は、基板上に設けられる。本発明におけるバッファ層は、例えばバッファ層のバンドギャップが、考慮している特性(例えば、バッファ層の高い破壊臨界電界)をもたらすために、基板のバンドギャップより十分に高い(例えば、それぞれ基板について1.1eVおよびAlN核生成層について6.2eV)点において、基板と異なる性質である。基板のバンドギャップよりバッファ層のバンドギャップは、例えば、少なくとも数eV(例えば2eVを超えるか、好ましくは3eVを超えるか、より好ましくは4eVを超える)高い。上記高い破壊臨界電界は、例えば、1MV/cmを超えるか、好ましくは2MV/cmを超えるか、より好ましくは3MV/cmを超える(例えば5MV/cmを超える)か、またはそれ以上にはるかに高い。バッファ層は、一例においてIII−Vバッファ層である。本明細書における“III”は、現在では13族および3族の元素(例えばB、Al、Ga、In、Ti、Sc、Y、ならびにランタノイド系列およびアクチノイド系列)であるIII族の元素を指す。本明細書における“V”は、現在ではN族の元素(例えばN、P、As、Sb、Bi)であるV族の元素を指す。バッファ層は、第1の層が典型的に核生成層である一例において、複数の層のスタックを含んでいる。
【0029】
本発明の目的は、基板およびバッファ層の間における導電層を崩壊させることである。基板における1つ以上の局所的な絶縁が形成されている種々の実施形態が予測される。結果として、1つ以上の島構造または島状構造(例えば図9の構造など)が形成される。絶縁は、電荷の流れに抵抗する材料である電気絶縁体(誘電体とも呼ばれる)に関する。絶縁材料において、価電子は、それらの原子に強く結合されている。これらの材料は、絶縁体または絶縁として電気機器に使用される。それらの機能は、それら自身に電流を通すことなく、導電体を支持または分離することである。すなわち、相対的に大きいバンドギャップを有している材料は、かなりの程度まで電子の流れを妨げるために、備えられている。好適な絶縁は、シャロートレンチアイソレーション(STI)、LOCOS、不純物インプランテーション、ディープトレンチエッチングおよびこれらの組み合わせである。一例において、絶縁は、パターン化プロセス(例えばリソグラフィープロセス)を用いてもたらされる。絶縁の寸法は相対的に小さいことが好ましい。
【0030】
一例において、絶縁は、規則的なパターン(例えば反復性のパターン)として、基板に形成されている。一例において、そのようなパターンは、さらなる処理工程を用いて整列化され、ここで例えば、絶縁パターンまたはIC−パターン(例えば、トランジスタおよびダイオードのパターン)は機能的に重なる。さらに、IC−パターンのレベル(例えば、それらの1つ以上の境界)において、重なり得る。他の例において、パターンの周期は、パターンが、その機能性を維持しながら、さらなる処理工程に対して調整される必要のないように、素子の寸法に対してそれぞれ選択される。
【0031】
本発明の他の目的は、異質の基板上にIII−窒化物層を堆積させるときに応力操作を容易にすることである。半導体構造の絶縁破壊電圧は、好適な絶縁領域(例えばパターン)がそれをいったん妨げると、導電層によって制限されないので、III−窒化物層の厚さは、十分に縮小され得、その組成は単純化され得、ウエハの処理量およびコスト、軽減されたウエハの反り、ならびにウエハの軽減された脆弱性についての利点を有している。
【0032】
したがって、本発明は、上述した1つ以上の問題に対する解決法を提供する。特に、基板およびバッファの間における導電層は、崩壊させられ、結果としてそのような導電層を含んでいる構造に対する不利を少なくする。上述の不利益のすべては、これによって解消される。
【0033】
この記載の利点は、明細書の全体を通じて詳述されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来技術に係る半導体素子の断面図である。
図2】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図3a】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図3b】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図4】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図5】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図6】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図7】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図8a】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図8b】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図8c】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図8d】本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図9a】本発明に係る半導体素子を製造する方法の平面図である。
図9b】本発明に係る半導体素子を製造する方法の平面図である。
図9c】本発明に係る半導体素子を製造する方法の平面図である。
図9d】本発明に係る半導体素子を製造する方法の平面図である。
図9e】本発明に係る半導体素子を製造する方法の平面図である。
図9f】本発明に係る半導体素子を製造する方法の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、特定の実施態様に関して図面を参照して説明されているが、本発明は、それらに限定されることなく、特許請求の範囲のみによって限定される。説明されている図面は、概略に過ぎず、非限定的である。図面において、いくつかの要素の大きさは、拡大されており、例示を目的とする大きさを描写していない。寸法および相対的な寸法は、本発明の実施に対する実際の縮尺と対応していない。
【0036】
第1の局面において、本発明は半導体構造を製造する方法に関する。当該方法は、
基板(例えば、Si、SiGe、Ge、基板およびそれらの組み合わせ、好ましくはSi基板(例えば<111>Si基板))を準備すること、
上記基板上にエピタキシャルな半導体のバッファ層(例えばIII−Vバッファ層(例えばIII−窒化物層))を設け、このようにして界面を形成すること;および、
上記界面にある基板に1つ以上の局所的な電気絶縁(例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)、LOCOS、不純物インプランテーション、ディープトレンチエッチングおよびこれらの組み合わせ)を形成することを包含している。基板における1つ以上の局所的な絶縁は、規則的なパターンに形成され得る。
【0037】
特に本発明は、素子の形成前(例えば、活性層の堆積または成長前)におけるウエハ全面の処理に関する。
【0038】
本方法の一例において、上記1つ以上の局所的な電気絶縁は、25nm〜2.5μmの幅、好ましくは50nm〜1.5μmの幅、より好ましくは100nm〜1μmの幅(例えば200nm〜500nmの幅)であるか、および/または、上記1つ以上の局所的な電気絶縁の間の間隙は、0.2μm〜20μmの幅、好ましくは0.5μm〜10μmの幅、より好ましくは1μm〜5μmの幅(例えば2μm)であるか、および/または、上記1つ以上の局所的な電気絶縁の上記規則的なパターンの周期は、ゲートからドレインまでの距離より小さく、当該周期および距離は同一平面にある。
【0039】
導電層を十分に崩壊させるために、絶縁は小さすぎない(すなわち25nmを超える幅)ことが好ましいことが見出されている。さらなる利点が得られないとき、絶縁は(相対的に)大きい必要がない。ほとんどの用途にとって2.5μmの幅で十分である。
【0040】
(1つまたは)複数の絶縁を設けることによって、これらは間隙によって分離される。絶縁間の間隙は一例において少なくとも0.1μmの幅であることが見出されている。これによって、構造(すなわち素子)(例えばトランジスタ)の他の機能的な形態は、それらの機能性の消失なしに作製され得る。それでも、さらなる利点が得られないとき、間隙は(相対的に)大きい必要がない。ほとんどの用途にとって20μmの幅で十分である。間隙が大きくなり過ぎると、崩壊された導電層は過度に大きな範囲をさらに示し、したがって絶縁間の間隙は一例において20μm未満である。そのような間隙に集められる電荷を考慮して、ある時点において放電に導くように、間隙の範囲は一例において十分に小さい(すなわち20μm未満)。
【0041】
上述の範囲は、ある程度まで使用される技術に依存する(すなわち相対的により微細な特徴を用いてより進んだ技術は、相対的により微細な、絶縁および間隙を用いる場合により良好に機能する)。
【0042】
本方法の一例において、バッファ層は、1つ以上の局所的な絶縁(例えば、III−V層(例えば、GaN、AlN、AlGaNおよびInAlGaN)、SiN層およびこれらの組み合わせ)を形成する前に、1つ以上の保護層を用いて被覆される。
【0043】
本方法の一例において、1つ以上の保護層は、上記バッファ層上に付与されているGaN、GaN層上に付与されているAlN、およびAlN層上に付与されているSiNのスタックである。
【0044】
1つ以上の保護層は、続く処理の間において下にあるバッファ層を保護する。結果として、本半導体構造は、他のプロセス、特にCMOSプロセスと完全に適合する。さらに、バッファ層が保護層によって保護されるので、バッファ層は、特別な予防策なしで、優れた形状を維持し、さらに処理され得る。さらに、1つ以上の保護層が除去される処理の性質(例えば、ドライエッチングおよび/またはウェットエッチング)によって、得られるバッファ層の表面は、さらに処理(例えば再成長)される良好な状態にある。以上は、処理によって得られる利点を巧みに利用している。
【0045】
好ましい例において、マスク層は、MOCVDリアクタにおいてインシチュに堆積された高密度を有しているSiNである。このSiNは、化学量論的または非化学量論的であり得る。他の例において、SiNはいくらかのAlを含んでいる(AlSiN)。一例において、SiNは、典型的に50〜500nm(例えば200nm)の厚さである。
【0046】
本方法の一例において、1つ以上の保護層は、再成長の前に除去される(好ましくは選択的に除去される)。
【0047】
バッファ層の良質な表面を得るために、1つ以上の保護層は、例えば保護層の選択的なドライエッチングおよび/またはウェットエッチングによって、除去される。これらの処理は当業者によって周知である。
【0048】
本方法の一例において、絶縁は、例えばCMPによって、保護層の除去前に平坦化される表面を形成する。
【0049】
絶縁(特に誘電性の絶縁)を形成した後に、表面(例えばウエハの表面)は、平坦ではない(すなわち十分に平坦ではない)。実質的に平坦な表面を得るために、表面は、例えばCMPによって、研磨され得るか、または(薄い)誘電体層(例えばSiO)の堆積によって平坦化され得る。堆積された層はいずれにせよほとんどの場合に除去される必要があるので、より少ない処理工程をともなうために、CMPが好ましい。
【0050】
本方法の一例において、再成長は、例えば絶縁する領域(例えばパターン(例えば、SiNパターン、SiOパターンおよびそれらの組み合わせ))を用いて基板および/またはバッファ層をパターニングすることによって、選択的に実施される。III−V層(例えばIII−N層)の再成長が好ましく実施される。
【0051】
エピタキシャル再成長の一例において、出発材料の表面は、再成長されるエピタキシャル層の核生成がこの表面の原子配置によって特に決定されるので、汚染のない状態“エピレディ(epi-ready)”であることを必要とする。例えばAlを一般的に含んでいる合金および(In)Al(Ga)N合金は、酸化および他の種類の汚染(ひっかき傷、表面における化学量論的な変化など)を非常に起こしやすいので、任意の処理工程は、これらの積層の表面状態を悪化させ得、その上部に対する質の高いエピタキシャル成長を不可能にし得る。
【0052】
一例において、選択的な過成長は、誘電体パターン(例えば、シリコン酸化物パターンまたはシリコン窒化物パターン)を用いて、基板または第1のエピタキシャル構造をパターニングすることによって実施される。成長条件を変更することによって、例えばGaNの、エピタキシャルな再成長は、誘電体(SiOまたはSiN)パターンではなく、基板または第1のエピタキシャル構造の上に生じる。これは、“選択的な”成長という用語を指し、例えばGaNが、SiOまたはSiNにおいて核生成しないことに起因する。GaN材料にAlを加えることは、この選択性を低下させることが知られている。より詳細には、AlNのエピタキシャル成長は、成長表面に対するAl原子の低い移動度のために、選択的ではなくなる。したがって、Alに富むAlGaNの堆積は、任意のパターニングが実施される前に、存在している必要がある。しかし、大気またはプロセス条件に対するAlに富む合金のばくろは、上述の通り、上部表面の汚染を引き起こす。
【0053】
一例において、エピタキシャル層が成長する成長前部の方向は、成長条件を変更することによって変えられ、絶縁パターンが過成長され得る。これらの処理は、当業者によって周知であり、エピタキシャルな側方過成長(ELOG)と呼ばれている。成長方向の変化は、応力が成長層に形成される様式を変え、異質の基板にIII−窒化物を堆積させるときの新たな母数空間を広げる。応力技術は、通常、AlNおよびGaNの間に挿入されるAlGaN中間層を必要とするが、一例においてこれはもはや必要とされない。
【0054】
第2の局面において、本発明は半導体構造に関する。当該半導体構造は、
基板(例えば、Si、SiGe、Ge、基板およびそれらの組み合わせ、好ましくはSi基板(例えば<111>Si基板))、
上記基板上にあるバッファ層(例えばIII−Vバッファ層(例えばIII−窒化物層))を備えており、
上記バッファ層は、当該バッファおよび上記基板の間に界面を有しており、
導電性パスは、上記基板およびバッファ層の間の上記界面に存在しており、上記界面に流れる電流を妨げるために当該界面に形成されている1つ以上の電気絶縁(例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)、LOCOS、不純物インプランテーション、ディープトレンチエッチングおよびこれらの組み合わせ)によって遮断されていることを特徴とする。
【0055】
(a)上記1つ以上の局所的な電気絶縁は、25nm〜2.5μmの幅、より好ましくは50nm〜1.5μmの幅、より一層好ましくは100nm〜1μmの幅(例えば200nm〜500nmの幅)であるか、および/または、
(b)上記1つ以上の局所的な電気絶縁の間の間隙は、0.2μm〜20μmの幅、より好ましくは0.5μm〜10μmの幅、より一層好ましくは1μm〜5μmの幅であるか、および/または、
(c)上記1つ以上の局所的な電気絶縁の規則的なパターンの周期は、ゲートからドレインまでの距離より小さく、当該周期および距離は、同一平面にあり、好ましくは実質的に同一方向にある、ことが好ましい。
【0056】
本半導体構造は、例えば電圧破壊、静電結合(の非存在)、高圧動作などの観点において、安定な基板−バッファ層構造を提供する。
【0057】
本半導体構造の一例において、基板は局所的に除去されている。
【0058】
一例において、例えば添付の図面に示されているように、絶縁は基板において部分的に形成されている。
【0059】
一例において、導電層における早発性の絶縁破壊が解消されており、かつ上層のスタックが絶縁破壊を決定するためのパラメータではなくなっているので、バッファ層の厚さは、非常に薄く維持されており、半導体構造は、高い破壊電圧を維持している。一例において、バッファ構造は、AlN核生成層、およびバリア層およびSiN保護層によって被覆されている250nm(150〜500nmの範囲、明確に1μm未満)の薄いGaNチャネルのみからなる。
【0060】
第3の局面において、本発明は半導体構造(例えば、トランジスタ、FET、HEMT、DHFET、LED、ダイオードおよびパワーデバイス)を含んでいる素子に関する。
【0061】
考慮されているFETの種類およびその用途は、例えば、CNFET、センサ、増幅器およびメモリのノードとして同時に機能する、完全空乏化構造に形成されたFETであるDEPFET;それは画像(光子)センサとして使用され得る;デュアルゲートを有しているMOSFETであるDGMOSFET;例えば3元半導体(例えばAlGaN)におけるバンドギャップ技術を使用して作製され得る、HFET(ヘテロ構造FET)とも呼ばれるHEMT(高電子移動度トランジスタ);完全に空乏化した広いバンドギャップを有している材料が、ゲートおよび本体の間に絶縁を形成している;電力制御用の素子であるIGBT(絶縁ゲート型双極性トランジスタ);それは、双極状の主導電チャネルと結合されたMOSFETと同種の構造を有している;それらは、動作の200〜3000Vのドレイン−ソース電位範囲のために広く使用される;1〜200Vのドレイン−ソース電位についていまだに選択対象の素子であるパワーMOSFET;溶液におけるイオン濃度を測定するために使用されるイオン感応性の電界効果トランジスタであるISFET;イオン濃度(例えばH、pH電極にある)が変化するとき、トランジスタを通る電流はそれに応じて変化する;本体からゲートを分離するために逆バイアスのp−n接合を使用している、JFET(接合型電界効果トランジスタ);JFETのp−n接合をショットキー障壁と置き換えているMESFET(金属半導体電界効果トランジスタ);GaAsおよび他のIII−V半導体材料に使用される;ゲートおよび本体の間にある絶縁体(一般的にはSiO)を利用する、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ);ならびに迅速なスイッチング能および電圧遮断能が重要である、内燃機関のイグニッションコイルスイッチングに用途のあるIGBTである。
【0062】
FETにおいて、電子は、リニアモードにおいて動作されているとき、チャネルに沿っていずれかの方向に流れ得る。素子が、典型的に(常にそうとは限らず)、ソースからドレインまで左右対称に構築されているので、ドレイン端子およびソース端子の命名規則はいくぶん任意である。これは、FETを、アナログ信号のスイッチング(多重化)またはパス間の電力のスイッチング(双方向性電源スイッチング)にとって好適にする。この考え方によれば、例えば、ソリッドステートの混在基板またはパワーマトリクスコンバータを構築可能である。
【0063】
一部の用途(例えば高圧FET)のために、素子は、典型的に、ドレイン端子および他の端子の間の高圧に耐えるために、より大きな間隔を空けることによって、ソース端子およびゲート端子から分離されているドレイン端子をともなって、左右非対称に構築される。
【0064】
第4の局面において、本発明は、素子および/または半導体構造を含んでいる電子回路(例えば電子回路、スイッチ、高出力RF増幅器、高出力用途、高圧用途、画像センサ、バイオセンサ、イオンセンサ、コンバータ回路、ハーフブリッジ、…RF電力増幅器)に関する。
【0065】
電子回路は、例えばデジタル回路および同様に電力用途(現代のクロックアナログ回路、電圧調整器、増幅器、電力送信機、電力変換器(例えばAC−DCコンバータ、DC−DCコンバータ(例えばハーフブリッジ、フルブリッジまたはプッシュプル回路など)およびDC−ACコンバータ)、モータドライバなどが挙げられる)において、用途を見出されている。
【0066】
本電子回路は、例えば上述のデジタル回路、または電力変換用途および電力切替え用途の回路に使用される。
【0067】
本電子回路は、例えば生物学的な成分を物理化学的な検出器の構成要素と結合させる、分析物の検出のための分析装置であるバイオセンサに使用される。一例において、それは、3つの部分:
感受性の生物学的要素、生物学的に生成された材料または生物模倣物;
生物学的な要素との分析物の相互作用から生じる信号を他の信号に変換する変換器または検出器の構成要素;ならびに、
付属する電子部品またはシグナルプロセッサからなる。
【0068】
本電子回路は、例えばガスセンサまたはイオンセンサに使用される。
【0069】
本発明は添付の図面によってさらに詳細に説明される。図面は、例示であり、性質を説明しており、本発明の範囲を限定しない。自明であるか、またはそうではない多くの変更が、特許請求の範囲によって規定されている保護の範囲内に収まっていると考えられ得るのは、当業者にとって明らかである。
【0070】
[図面の簡単な説明]
図1は、従来技術に係る半導体素子の断面図である。
図2は、本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図3a〜bは、本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図4〜7および図8a〜dは、本発明に係る半導体素子を製造する方法の断面図である。
図9a〜fは、本発明に係る半導体素子を製造する方法の平面図である。
【0071】
[図面の詳細な説明]
本発明は、特定の実施態様に関して図面を参照して説明されているが、本発明は、それらに限定されることなく、特許請求の範囲のみによって限定される。説明されている図面は、概略に過ぎず、非限定的である。図面において、いくつかの要素の大きさは、拡大されており、例示を目的とする大きさを描写していない。寸法および相対的な寸法は、本発明の実施に対する実際の縮尺と対応していない。
【0072】
特許請求の範囲に使用されている“含んでいる”という用語は、以下に挙げられている手段に限定されると解釈されるべきではない。したがって、“手段AおよびBを含んでいる装置”という表現は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されない。それは、直接的に関連する素子の構成がAおよびBだけであることを意味している。
【0073】
同様に、“結合された”という用語は、直接的な接続のみに限定されると解釈されるべきではない。したがって、“装置Bに結合された装置A”という表現は、装置Aの出力が装置Bの入力に対して直接的に接続されている装置またはシステムに限定されるべきではない。それは、Aの出力およびBの出力の間に、他の装置または手段を含んでいるパスであり得るパスが存在することを意味している。
【0074】
本発明は、いくつかの実施形態に関する詳細な説明によって、説明されている。本発明の他の実施形態が、本発明の真の精神または技術的教示から逸脱することなく当業者によって構成され得ることは、明らかであり、したがって本発明は、添付の特許請求の範囲の表現によってのみ限定される。本発明が、任意のトランジスタ技術において構成され得る類似の回路(例えば、バイポーラ、CMOS、BICMOSが挙げられるが、これらに限定されない)に適用可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0075】
(発明および製造工程の説明)
本発明の一例において、基板(層1)上のエピタキシャルバッファ構造(層2)は、AlN核生成層によって構成されているとともに、GaN(層3)、Al(Ga)N(層4)、およびSiN(層5)から構成される(Al(Ga)N(層4)およびSiN(層5)は任意)保護積層によってそのまま覆われた1つ以上の(In)AlGaNバッファ層によって任意に構成されている(従来技術を示す比較図1を参照)。構造は、基板とバッファ構成層(図1において矢印で示されている)との間に形成された導電チャネルをさらに備えている。この構造には、種々の標準的な半導体プロセスの工程(例えば、リソグラフィ、エッチング、堆積、インプラント、または酸化など)を実行し得、バッファ層上における選択的なエピタキシャル再成長のために、当該構造をMOCVD反応装置にさらに再導入し得る。一例において、基板(1)は、Si<111>である。他の例において、基板(1)はGe<111>である。また、他の例において、基板(1)は、結晶性Geの被覆を有しているSiである。上述のSiおよびGeの間には、SiGe移行層が存在し得る。
【0076】
一例において、AlN核生成層は、一般的に200nmの厚さ(50nm〜500nm)を有している。各AlGaNバッファ層は、一例において一般的に300nmの厚さ(50nm〜500nm)を有しており、Al含有量が0%〜100%の範囲内、好ましくは1%〜99%の範囲内、より好ましくは20%〜90%の範囲内(例えば50%)である。これらのバッファ層は、任意に他のIII族元素(例えばインジウム)を層内に有し得る。AlGaNバッファ(2)全体は、一般的に100nm〜5μmの厚さ(例えば、500nm〜4μmの厚さ)を有している。一例において、保護積層の各層の一般的な厚さは、0.1nm〜100nmである。例えば、GaNが5nmであり、Al(Ga)Nが0nm〜100nm(例えば2nm)であり、SiNが50nm〜500nm(例えば200nm)である。
【0077】
SiN(層5)などの最上部の保護層は、高い温度安定性および化学特性を有しているため、必要なあらゆる処理工程(例えば、パターントレンチエッチング、STI形成、ディープトレンチアイソレーション、パターンインプランテーションなど)の間、他の層の中でも下層に位置するIII−窒化物層を保護する。(SiOxとともに)SiNは、通常はSi CMOS技術における誘電体として使用されており、特に追加の処理の間に傷つきやすいウエハ領域を保護するための(犠牲)被覆材料として使用される。好適な例において、この層は、高密度のSiNであり、MOCVDリアクタにおいてインシチュ堆積される。このSiNは、化学量論的または非化学量論的であり得る。他の例において、SiNは、Al(AlSiN)を含み得る。一例において、SiNは、一般的に50nm〜500nmの厚さ(例えば200nmの厚さ)を有している。処理の終了時に、このSiNは(フッ素に基づく化学作用における)ドライエッチングまたはウェットエッチングによって取り除かれる。インシチュSiNは、他の処理が行われる前に、PECVDまたはLPCVD SiNもしくはSiO(500nm以上の厚さにする場合)、または他の材料もしくは材料スタックによって、外部から肥厚化し得る。
【0078】
好適な例において、トレンチ(6a)の位置がリソグラフィパターン(好ましくは周期的および反復性)によって画定され、導電チャネルの妨害は、改良STI処理(図2、3aおよび3bを参照)によって行われる。トレンチは、例えばClに基づくドライエッチング処理(図2を参照)を用いて、SiNおよびすべてのIII−窒化物層を貫いて、Si基板上にエッチングされる。レジストを取り除いた後、トレンチの側壁は、例えば熱酸化され、トレンチを埋めるために、例えばCVD SiO(もしくはSiN、またはこれらの組み合わせ)が堆積される。一例において、STI処理の最後の工程(図3bを参照)において、ウエハは化学的機械的研磨(CMP)工程によって平坦化される。
【0079】
一例において、一般的にトレンチは25nm〜2.5μmの幅、好ましくは50nm〜1.5μmの幅、より好ましくは100nm〜1μmの幅(例えば、200〜500nmの幅)を有しているか、および/または、1つ以上の局所的な絶縁の間の間隙は、0.2μm〜20μmの幅、好ましくは0.5μm〜10μmの幅、より好ましくは1μm〜5μmの幅を有している。好ましい例において、少なくとも1つの連続したトレンチをゲートおよびドレインの間に配置するために、素子の長手方向におけるSTIパターンの周期は、ゲートからドレインまでの距離(同一方向において特定される距離)より(著しく)小さい。パターンの典型的な例は、図9a〜9fに見られ得る(例えば、長方形、三角形、六角形、円形および楕円形、正方形、または多角形など)。他の例において、STIパターンおよび素子は、上述のように設計され、素子のリソグラフィ処理において配置または互いに位置合わせされる。一例において、上述の配置または上述の位置合わせは、少なくとも1つまたは1つのトレンチが素子の高圧(または第1)の端子および低圧(または第2)の端子の間に位置するように行われる。一例において、上述の配置または上述の位置合わせは、少なくとも1つまたは1つのトレンチが素子の高圧の端子および低圧の端子の間のみに位置し、高圧または低圧の端子の下または当該端子よりも下に位置しないように行われる。一例において、上述の配置または上述の位置合わせは、素子の高圧の端子および低圧の端子の間に位置している少なくとも1つまたは単一(すなわち、すべて)の(複数の)トレンチが素子の高圧の端子および低圧の端子の間のみに位置し、高圧または低圧の端子の下または当該端子よりも下に位置しないように行われる。
【0080】
他の例において、上述の配置は、少なくとも1つまたは単一のトレンチが素子のゲートおよびドレインの間に位置するように行われる。他の例において、上述の配置は、少なくとも1つまたは1つのトレンチが素子のゲートおよびドレインの間のみに位置し、ゲートおよびドレインの下またはゲートおよびドレインより下に位置しないように行われる。一例において、上述の配置または上述の位置合わせは、素子のゲートよびドレインの間に位置している少なくとも1つまたは単一(すなわち、すべて)の(複数の)トレンチが素子のゲートおよびドレインの間のみに位置し、ゲートおよびドレインの下またはゲートおよびドレインよりも下に位置しないように行われる。
【0081】
高圧の端子および低圧の端子は、それぞれトランジスタ素子のドレインおよびゲートに対応し得ることが十分に理解される。高圧の端子および低圧の端子は、それぞれダイオード素子のカソードおよびアノードに対応し得ることが十分に理解される。これらの高圧および低圧の一般的な値は、当業者にとって周知である。低圧は、例えば10V未満の電圧であり得る。高圧は、例えば10Vを超える電圧であり得る。
【0082】
他の例において、絶縁パターンおよび素子は、素子のゲートが絶縁パターンの直上(すなわち過成長領域の上)に位置するように配置または位置合わせされる。これは、ゲートより下のエピタキシャル材料がより低い転位密度を有し、結果的により信頼性のある素子が得られる点で好都合である。
【0083】
他の例において、トレンチは、素子の外周に、または外周を越えて位置しており、当該外周を完全に取り囲んでいる(図9fを参照)。
【0084】
他の例において、アイソレーションは、ディープトレンチエッチング(6a)によって、III−窒化物層を貫いてSi基板上に行われる。
【0085】
他の例において、トレンチエッチングの後、トレンチエッチングによって露出したSi基板の一部を熱酸化する。
【0086】
他の例において、絶縁は、(トレンチエッチングとの組み合わせありまたはなしの)不純物インプランテーションによって行われる。
【0087】
他の例において、絶縁は、プラズマ処理によるシャローインプランテーションが後に行われるトレンチエッチングによって行われる。
【0088】
他の例において、絶縁は、不純物の(Siへの)熱的内部拡散が後に行われるトレンチエッチングによって行われる。
【0089】
保護積層は、エッチング停止層をSiNより下の位置などに任意に含み得る。このエッチング停止層は、AlGaNを含み得る。フッ素化学作用におけるドライエッチングおよびウェットエッチングのいずれも、極めて高い選択性をもってAlGaN層にて停止する(図5を参照)。これによって、AlGaNまたは下に位置するいかなる層も取り除くことなく、残留するSiNを完全に取り除くことができる。このようにして、下に位置する層の厚さを薄いままに維持することができる。好ましい例において、このエッチング停止層は、純粋なAlNであり、それから、AlNは、例えばアルカリ性溶液またはレジスト現像液によるウェットエッチングにおいて取り除かれ、GaN層を露出させる(図6を参照)。他の例において、AlNはGaをさらに含み、除去は、制御されたドライエッチング処理(GaNに対して非選択的)によってなされる。
【0090】
(In)Al(Ga)N機能層およびGaN被覆それぞれによって終結されたエピタキシャル積層を含む、残留する構造は、再成長のためにリアクタに導入される(図6に示される構造)。好ましい例において、この時点のGaN被覆の厚さは、2〜10nm(例えば5nm)である。これは、当該GaN被覆は、エッチング停止層によって保護されており、当該エッチング停止層が、完全かつ徹底的に、選択的に取り除かれたためである。一例において、積層は、再成長の前にアンモニアオーバーフロー下で高温に加熱される。選択された条件下において、GaNは、一般的に2nm/min〜40nm/minの速度(例えば、10nm/minの速度)で蒸発し、バッファスタックの最上部のAlGaN層を露出させる(図7を参照)。この点に関しては、この層が常に被覆されており、その結果、存在し得るいかなる汚染源にも曝されていないため、その表面はエピタキシャル再成長を可能にする適正な汚れのない状態になっている点で好都合である。成長は、第1の段階ではSTIトレンチ間の表面上にのみ発生する(図8aを参照)。特定の時点で成長条件が変化し、III−窒化物層が側面に沿って成長を開始することによって(図8bを参照)、成長の前線は、トレンチ上を横に移動する。そして、最終的にトレンチを完全に覆うことによって、連続かつ結合した層が形成される(図8cを参照)。
【0091】
一例において、エピタキシャル層の成長における成長前部の方向は、成長条件を調整することによって変化する。これにより、絶縁パターンの過成長が可能となる。これらの処理は、当業者に周知であり、エピタキシャル側方過成長(ELOG)と呼ばれている。成長方向の変化は、応力が成長層に形成される様式を変え、他の基板上にIII−窒化物を堆積するときの母数空間を広げる。応力技術は、通常、AlNおよびGaNの間に挿入されるAlGaN中間層を必要とするが、一例においてこれはもはや必要とされない。
【0092】
成長は、過成長構造の上に活性素子層を含むために、そのまま継続し得る(図8dを参照)。一例において、活性素子層は、チャネル層およびバリア層を備える。一例において、チャネル層は、GaNまたはその合金の1種を含んでいる。一例において、バリア層は、AlGaN、InAlN、またはInAlGaNを含んでいる。他の例において、チャネル層およびバリア層は、SiN保護層によって覆われている。このSiNは、チャネル層およびバリア層と同じエピタキシャル処理において、MOCVDによって堆積され得る。
【0093】
他の例において、活性素子層は、n型半導体層、活性発光積層、およびp型半導体層を含んでいる。一例において、n型半導体層は、GaN、AlGaN、InGaN、またはこれらの合金を含んでおり、適当な元素(例えばSi)を用いてドープされた不純物を含んでいる。一例において、活性発光積層は、InAlGaNバリアによって互いに分離された1つ以上のInAlGaN量子井戸を含んでいる。一例において、p型半導体層は、GaN、AlGaN、InGaN、またはこれらの合金を含んでおり、適当な元素(例えばMg)を用いてドープされた不純物を含んでいる。
【0094】
好ましい例において、能動素子はトランジスタである。トランジスタは、一例においてHEMT素子として定義される。種々の型のHEMT素子が、文献から知られている(例えば、PHEMT、E−HEMT、D−HEMT、またはDHFET)。
【0095】
他の例において、能動素子はダイオードである。他の例において、能動素子は発光ダイオードである。
【0096】
上述した方法の工程、例、大きさなどの2つ以上は、最終的な素子、トランジスタなどの要求に応じて、本発明において組み合わせられ得る。
【0097】
一例において、活性素子に対する処理は、オーム接触の形成から開始する。一例において、これは、フォトレジストの堆積、オーム接触の領域を画定するリソグラフィ工程、および保護層の除去(保護層が存在する場合)を開始することによって、行われる。一例において、この除去は、フッ素の化学作用に基づくドライエッチングシステム(例えばエッチングガスとしてのSFまたはCF、ならびにそれぞれ10Wおよび150WのRF(すなわち“プラテン(platen)”)およびICP(すなわち“コイル”)のエッチング出力を用いる誘導結合プラズマシステム)においてなされる。次の工程では、TiおよびAlを含む金属スタックは、例えば熱蒸発、スパッタリング、または電子ビーム蒸発によって堆積される。一例において、TiおよびAlは、他の金属(例えば、超硬合金、Ti、またはNi)およびAuによって、さらに覆われる。金属パターンは、フォトレジスト上の金属に対してリフトオフを実施することによって連続して画定されるものであり、バリア層と接触していない。他の例において、フォトレジストは最初に除去され、TiおよびAlを含む金属スタックが堆積された後、第2のフォトレジスト堆積およびフォトリソグラフィ工程を行うことにより、金属スタックが不要な領域に対して当該金属スタックのドライエッチングを行い、フォトレジストを除去する。一例において、上述のとおりに規定された金属パターンに対して、合金化工程(例えば、800℃〜900℃の温度の、水素、発泡ガス、または窒素ガスなどの還元雰囲気下または不活性雰囲気下における所要時間1分間の急速熱アニーリング工程)が行われる。
【0098】
一例において、絶縁パターンを画定することによって処理は継続する。これは、フォトレジスト堆積およびフォトリソグラフィ工程を実施することによって行われる。一例において、上述のとおりに形成されたフォトレジストパターンは、メサのエッチング(例えば、塩素の化学作用に基づいたドライエッチング方式(例えば、エッチングガスとしてClまたはBClを使用し、RF(または“プラテン”)およびICP(または“コイル”)のエッチング電力をそれぞれ50Wおよび150Wとした誘導結合プラズマ方式)によるもの)のマスクとして機能する。他の例において、上述のとおりに形成されたパターンは、不純物のインプランテーション(例えば、窒素、ヘリウム、水素、ホウ素、鉄、またはマグネシウムのインプラントによるもの)のマスクとして機能する。一例において、不純物のインプランテーションは、3重のインプランテーション段階(例えば、30keVの加速電圧下において、6×1012/cmの量のN14をインプラントする第1の段階、160keVの加速電圧下において、1.8×1013/cmの量のN14をインプラントする第2の段階、および400keVの加速電圧下において、2.5×1013/cmの量のN14をインプラントする第3の段階)を使用する。
【0099】
一例において、ゲート接触の規定によって処理は継続する。一例において、これは、フォトレジストの堆積、ゲート接触の最下部を規定するフォトリソグラフィ工程、および保護層の除去(保護層が存在する場合)を開始することによって、行われる。一例において、この除去は、フッ素の化学作用に基づくドライエッチングシステム(例えばエッチングガスとしてのSFまたはCF、ならびにそれぞれ10Wおよび150WのRF(すなわち“プラテン(platen)”)およびICP(すなわち“コイル”)のエッチング出力を用いる誘導結合プラズマシステム)において行われる。一例において、SiNの局所的な除去の後に、フォトレジストは除去され、露出したAlGaNバリアに対して再生工程(例えば、300℃〜600℃の間の温度の、アンモニア、水素、酸素、窒素もしくはオゾンの存在下における熱アニーリング、またはアンモニア、水素、酸素、窒素もしくはオゾンの存在下におけるプラズマ処理)が行われる。
【0100】
一例において、再生工程の後に、フォトレジストの堆積工程およびリソグラフィ工程が、ゲートの最下部に対して適切に位置合わせされて実行される。その後、ゲートの金属スタックが堆積される(例えば、Ni、Pt、W、WN、またはTiNを含み、かつAl、Au、またはCuによって覆われる)。金属パターンは、バリア層に接触せずに、フォトレジスト上の金属のリフトオフを実行することによって、連続して規定される。他の例において、再生工程の後に、ゲートの金属スタックが堆積される(例えば、Ni、Pt、W、WN、またはTiNを含み、かつ、Al、AuまたはCuによって覆われる)。その後、フォトレジストの堆積工程およびリソグラフィ工程が、ゲートの最下部に対して適切に位置合わせされて実行される。このようにして画定されたフォトレジストパターンは、金属スタックのドライエッチングが不要な領域において、当該ドライエッチングを行うときのマスクとして機能する。続いて、フォトレジストは除去される。一例において、付加的な保護層が加えられる。一例において、保護層は、例えばLPCVD、PE−CVD、またはICP−CVDを用いて堆積させられたSiNまたはSi酸化物を含んでいる。一例において、フォトリソグラフィ工程および保護層のエッチング(例えば、HFまたは緩衝化HFにおけるウェットエッチング、またはフッ素の化学作用におけるRIEまたはICPのプラズマ器具でのドライエッチング)を行うことによって、素子端子を剥き出しにするための開口部を保護層に形成する。
【0101】
一例において、ゲート、ソースおよびドレインの電流のための電気抵抗の低い経路を与えるために、付加的な金属の相互接続層が当業者に公知の方法を用いて画定される。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図9f