(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピクセルの行および列のマトリクスをもつイメージ・センサーであって、各ピクセルが電荷を蓄積するためのフォトダイオードおよびノードをもち、かつ、電荷集積期間の終了時に前記フォトダイオードに蓄積された前記電荷を収集し、前記マトリクスが少なくとも2個のピクセルのグループとして、2個の前記ピクセルに生ずる前記電荷を1個のピクセル中にグループ化する手段とともに、構成され、一時的に電荷を蓄積する少なくとも1個の一時蓄積ゲート(G21)、前記一時蓄積ゲートは、前記2個のピクセルの第1ピクセルの第1フォトダイオード(PD1)と前記2個のピクセルの第2ピクセルの第2フォトダイオード(PD2)の間に配置され、および、前記第1フォトダイオードの側の上流側と前記第2フォトダイオードの側の下流側の間において非対称性を示し、および下記の電位:
− 前記電荷集積期間中に前記第1フォトダイオードおよび第2フォトダイオード間の電荷の移動を阻止する低電位、
− 次に、前記一時蓄積ゲートの下の2個の前記フォトダイオード中に蓄積された前記電荷の放電を可能にする一時蓄積制御信号としての、高電位、
− 次に、前記一時蓄積ゲート上の前記電荷の前記第2フォトダイオード方向のみへの放電を可能にする低電位、
を前記一時蓄積ゲートに加える手段をもつことを特徴とするイメージ・センサー。
前記マトリクスが4個のピクセルからなるグループとして構成され、4個からなるグループ中の第1(PD1)および第2(PD2)ピクセルがピクセルの第1行の2個の隣接ピクセルであり、かつ、第3(PD3)および第4(PD4)ピクセルが前記第1行に隣接する別の行の2つの隣接ピクセルであり、また、4個の前記ピクセルの前記フォトダイオード上の電荷の前記第4ピクセルの前記フォトダイオード中へのグループ化を可能にするために少なくとも3個の一時蓄積ゲートが設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイメージ・センサー。
前記マトリクスがnxm個(ただしn+m)>=2)のピクセルのグループとして構成され、かつ、nxm個のピクセルのグループから電荷をグループ化するために隣接ピクセルのフォトダイオード間の(nxm−1)個の一時蓄積ゲートをもつことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイメージ・センサー。
【背景技術】
【0002】
ユーザーの選択に応じて複数の隣接ピクセルをグループ化することにより解像度および感度を変更することができるマトリクス・センサーの製造は、すでに提案されている。高い解像度が必要な場合には、ピクセルは、お互いに独立に読み取られる。解像力低下の下に感度を高める場合には、ピクセルをグループ化し、ピクセルの各グループについて単一の信号を供給する。隣接ピクセルは、2×2または4×4またはより一般的にはm×nによりグループ化できる。ここで、mおよびnは2つの整数であり、それらの少なくとも1つは2以上である。
【0003】
ピクセルのグループ化(またはビニング)は、CCD(電荷移動装置)技術において使用されてきた。前記技術では、それは簡単な電荷移動により光生成電荷を加え合わせることを可能にするので、特に効果的である。活性ピクセルMOS技術では、それは、より複雑である。ピクセルからの出力信号は電圧であるからである。ピクセルをグループ化するために電圧をデジタル化し、かつ、複数のデジタル信号を加え合わせた場合、雑音も同様に加え合わされる。
【0004】
しかし、活性ピクセルMOS技術においてさえ、複数のピクセルにおいて光生成された電荷のアナログ形態の無制限のグループ化を可能にする電荷転送構造がすでに提案されている。電荷を電圧に変換する前に隣接ピクセルの電荷蓄積ノードを共有することにより電荷をグループ化する。提案された装置の不利益は、個々のピクセルをグループ化することを欲しない場合にそれらの読み取りを複雑化することである。さらに、これらの装置の電荷/電圧変換率は、ピクセルがグループ化された場合、それらが別々である場合より低下する。
【0005】
一例であるが、英国特許第2474014号明細書は、2個の隣接ピクセルの電荷蓄積ノードを接続するかまたは接続しないトランジスタの手段により2個のピクセル間の電荷の条件付き共有を可能にするアーキテクチャを提案している。この共有が行われたとき、電荷蓄積ノードの容量は著しく増加し、それにより電荷/電圧変換率が低下する。
【0006】
最後に、米国特許第6452153号明細書は、フォトダイオードと電荷蓄積ノード間の絶縁トランジスタを持たず、かつ、その代わりに、DCバイアスされる「スキミング・トランジスタ」と呼ばれるものを備えるピクセルの枠組み内の電荷共有を提案している。前記特許は、グループ化トランジスタをもつアーキテクチャを使用する。このアーキテクチャは、複数のフォトダイオードの出力をピクセルのうちのただ1個のピクセルの読み取りトランジスタに結合するように構成される。ピクセルが分離されたときとグループ化されたときに、電荷/電圧変換率は変わらないが、この特許において記述されている解決方法には、グループ化ピクセルから最も遠いフォトダイオード上の電荷がこのピクセルの読み取り回路に到着するのが困難であるために転送効率が低いという大きな不利益がある。転送されなかった電荷が次の画像に現れ、画像を損なう遅延現象を引き起こす。さらに、この構造は、低い信号レベルにおいて効率が非常に低い。それは、一定レベルより上の電荷をスキミングすることにより働くからである。電荷のグループ化は、低い光源レベルに特に興味がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、変換率を著しく変えることなく、それにも関わらず良好なレベルの転送効率をもってピクセルをグループ化することができるセンサーを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるセンサーは、少なくとも2個の隣接ピクセルにおける光生成電荷の独立またはグループ化収集を可能にする。それは、2個のピクセルのフォトダイオード間の一時蓄積ゲートおよびこのゲートの制御手段をもつ。電荷集積中、このゲートは、2個のピクセルのフォトダイオード間の電荷の通過を禁止する電位を与えられる。各ピクセル中の集積された電荷は、ピクセルをグループ化する要求がない場合、個別に読み取られる。電荷集積期間の終了時にピクセルをグループ化する要求がある場合、一時蓄積ゲートは、それを高電位にする一時蓄積制御信号を受け取る。このためにこの2個のフォトダイオード上の電荷は、このゲートの下で放電する。次に、一時蓄積制御信号の終了時に、ゲートは、ゲートが蓄積していた電荷を排出する傾向をもつ低電位に戻る。このゲートは、この最終段階における電荷転送の指向性を確保するために、その上流側(電荷を受け取る側)とその下流側(電荷を供給する側)の間で非対称に構成されており、そのために一時蓄積ゲートの下で蓄積された電荷は、2個のフォトダイオードのただ一方のみに向かって再び流れ始める。次に、2個のピクセルの電荷をこのようにグループ化したフォトダイオードに対応するピクセルが読み取られる。
【0010】
中間蓄積ゲートのこの非対称は、一時蓄積ゲートの下で、かつ、その一方の側(それは上流側と呼ぶことにする)において、上流に位置するフォトダイオードからの電荷の通過にとって狭い通路を作成することにより構成することが好ましい。この通路は、基準電位を与えられるドーピングされた領域により囲まれており、かつ、それは、一時蓄積信号の終了後に通路の電位(それは通路の両側のこれらのドーピングされた領域の影響を受ける)が下流側のゲートの下の電位より低い状態にとどまるために十分狭い。したがって、この狭い通路に電位障壁が作成され、それは、一時蓄積ゲートの下で蓄積された電荷を下流側から向かわせる。
【0011】
したがって、本発明は、ピクセルの行および列のマトリクスをもつイメージ・センサーを提案する。その各ピクセルは、電荷を蓄積するフォトダイオードおよびノードをもち、それにより電荷集積期間の終了時にフォトダイオードに蓄積された電荷を収集する。このマトリクスは、少なくとも2個のピクセルのグループとして、2個のピクセルに生じた電荷を1個のピクセルにグループ化する手段とともに、構成される。このセンサーは、それが一時的に電荷を蓄積するゲート(それは、上流側と下流側の間の非対称を示し、第1ピクセルのフォトダイオードと第2ピクセルのフォトダイオードの間に構成される)および以下に示す一連の電位を一時蓄積ゲートに加える手段をもつことにより特徴づけられる:
− 電荷集積期間中、第1フォトダイオードと第2フォトダイオード間の電荷の移動を禁止する低電位;
− 次に、2個のフォトダイオードに蓄積された電荷の一時蓄積ゲートの下の放電を可能にする高電位一時蓄積制御信号;
− 次に、中間蓄積ゲート上の電荷の第1フォトダイオードへの方向のみの放電を可能にする低電位。
【0012】
一時蓄積ゲートの非対称は、電荷転送の方向における非対称となっており、上流側は下流側と異なっている。これは、電荷転送の方向と平行である軸に関する対称を排除しない。
【0013】
実際には、フォトダイオードは、第1導電型の活性半導体層中に作成され、活性層の基準電位に接続されている第1型の表面層により覆われている第2導電型層の拡散をもっている。一時蓄積ゲートは、第1型の活性層部分の上に構成されているが、この活性層部分は、以下のとおりである:
− このフォトダイオードに向かって伸びる少なくとも1つの狭い通路の端部により第1ピクセルのフォトダイオードに隣接している;
− 狭い通路より広い側により第2ピクセルのフォトダイオードに隣接している;
− かつ、狭い通路の端部を除いて、第1導電型のドーピングされた絶縁領域により第1ピクセルのフォトダイオードから離隔されている。この領域は、フォトダイオードの表面層より濃厚にドーピングされ、この層と同様に、活性層の基準電位を与えられる。
【0014】
この通路は、下流側より高い電位障壁を活性層中に設定するために十分狭い。上流側に複数の狭い通路が存在してもよい。ただし、それは、それらのそれぞれが活性層中にかかる電位障壁を設定するために十分に狭いことを条件とする。第1導電型のドーピングされた絶縁領域は、これらの狭い通路の端部外でくまなく活性層部分のフォトダイオードを離隔する。
【0015】
1つの可能な実施形態では、マトリクスは、4個のピクセルのグループとして構成され、4個からなるグループ中の第1および第2のピクセルは、ピクセルの第1行の2個の隣接ピクセルであり、かつ、第3および第4のピクセルは、最初の行に隣接する行中の2個の隣接ピクセルであり、かつ、4個のピクセルのフォトダイオード上の電荷を第4のピクセルのフォトダイオードにグループ化することを可能にするために少なくとも3個の非対称一時蓄積ゲート(前述した意味の)が設けられる。
【0016】
電荷のグループ化は、一時蓄積ゲートの制御に応じて、いくつかの方法が可能である。
【0017】
1つの解決方法では、第1の一時蓄積ゲートは第1と第2のピクセル間に設けられ、第2のゲートは第2と第3のピクセル間に設けられ、第3のゲートは第3と第4のピクセル間に設けられ、かつ、連続してこれらのゲートを制御する手段が設けられる。第2ゲートの蓄積制御信号は、第1ゲートに加えられる蓄積制御信号の終了後に初めて第2ゲートに加えられ、かつ、第3ゲートの蓄積制御信号は、第2ゲートに加えられる蓄積制御信号の終了後に初めて第3ゲートに加えられる。したがって、電荷は第1電極から第2電極へ進み、次に第3電極に進み、最後に第4電極に達する。
【0018】
もう1つの解決方法では、第1一時蓄積ゲートは、第1と第4ピクセルの間に設けられ、第2ゲートは第2と第3ピクセルの間に設けられ、第3ゲートは第3と第4ピクセルの間に設けられ、かつ、これらのゲートを2つの連続するステップで制御する手段が設けられる。第1ゲートの蓄積制御信号は、第2ゲートの蓄積制御信号と同時に第1ゲートに加えられ、また、第3ゲートの蓄積制御信号は、第1および第2ゲートに加えられた蓄積制御信号の終了後に初めて第3ゲートに加えられる。したがって、電荷は、同時に、第1および第2フォトダイオードから第4および第3フォトダイオードに、それぞれ移行する。次に電荷は、第3から第4フォトダイオードに移行する。
【0019】
最後に、このマトリクスは、同様に、nxm個のピクセルのグループとして、ピクセルのフォトダイオードと隣接ピクセルのそれぞれとの間の(nxm−1)個の一時蓄積ゲートとともに、構成することもできる。最終ピクセルにおけるグループ化を行うために少なくとも(m+n−2)個のグループ化信号が必要である。
【0020】
すべての場合において、電荷/電圧変換率は、マトリクスがピクセルのグループ化を行うか否かに関係なく同じである。それは、ピクセルの電荷蓄積ノードの容量に関連している変換率である。
【0021】
本発明のその他の特徴および長所は、添付図面を参照して行う以下の詳細説明の読了により明らかとなるであろう。図面の内容は、次のとおりである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1の略図は、多数のピクセル行および列をもつマトリクス・センサーの一部であるピクセルを示す。各ピクセルは、以下を含んでいる:
− フォトダイオードPD;
− 転送トランジスタT1。これは、オフのとき、フォトダイオードと電荷蓄積ノードFD間の完全な絶縁を可能とし、次に、オンになったとき、フォトダイオードに生成された電荷の電荷蓄積ノードFDへの転送を可能にする。トランジスタT1は、マトリクス全体に共通とするかまたは少なくともピクセルの行に共通とすることができる転送信号TRAにより制御される;
− トランジスタT2。これは、トランジスタT1により制御される転送の前に蓄積ノードの電位の再初期設定を可能にする。オンにされたとき、このトランジスタは、蓄積ノードの電位を基準電圧とする。この基準電圧は、たとえば、一般供給電位Vddでよい。再初期設定制御は、行ごとに行われる;
− 電圧フォロワとして接続される読み取りトランジスタT3。このトランジスタは、このトランジスタのゲート上に存在する電位のソースへの転送を可能にする。そのゲートは、蓄積ノードFDに接続されている;
− 行選択トランジスタT4。このトランジスタは、読み取りトランジスタのソースを列導電体CCに接続する。列導電体CCは、同一列のすべてのピクセルに共通である。トランジスタT4は、同一行中のすべてのピクセルに共通である行導電体LSにより制御される。この行導電体は、選択信号SELにより制御される。選択信号SELは、ピクセルの種々の行を次々にアドレス指定する行デコーダから生ずる。
【0024】
オプションのトランジスタT5は、電荷集積期間の開始時にフォトダイオードの電位を再初期設定するために設けることができる。この目的のために、このトランジスタは、マトリクス全体にグローバルな信号GRにより制御される。
【0025】
在来、ピクセルの単一行のトランジスタT4は導通され、信号読み取りは二重抽出法の手段により行われる:行のピクセルのそれぞれにおける電荷蓄積を表す電位が列導電体CC上に個々に収集され、次に考察対象の行の蓄積ノードの電位が再初期設定され、再初期設定電位が列導電体上に収集される。読み取りは、各ピクセルについて収集された2つの電位間の差異の手段により行われる。
【0026】
図2は、
図1の配線図の可能な物理的構成の上面図を示す。この図の要素は、たとえば、弱くドーピングされたP
−型の活性半導体層から形成される。
【0027】
フォトダイオードPDは、このP
−層中のN型拡散であるが、P
−型半導体層の電位である低基準電位を与えられる微細表面P型層により覆うことが好ましい。したがって、それは、「ピン型」のフォトダイオードであり、その表面電位は、電荷集積中、固定される。
【0028】
このフォトダイオードは、横方向に、局部的またはその外縁のほぼ全体にわたってさえ、フォトダイオードの表面層よりも深くかつより強くドーピングされたP
+型層により区切ることができる。このP
+絶縁層は、同様に半導体層の電位を与えられ、かつ、P
−半導体層の基準電位をフォトダイオードの表面拡散に与える働きをする。P
+層は、活性層中の電荷のフォトダイオードから電荷蓄積ノードFDへの通過(ゲートの制御下の)を可能にするために、いずれにせよ、外縁の一部で中断される。このノードは、半導体層中のN
+型拡散である。フォトダイオードと蓄積ノードFD間におけるP
+層の中断は、
図1におけるトランジスタT1のゲートである絶縁ゲートG1により覆われる。フォトダイオードPDと蓄積ノードFD間の絶縁は、ゲートG1が低電位にあるときに、形成される。フォトダイオードから蓄積ノードへの電荷転送は、ゲートG1が高電位にあるときに行われる。
【0029】
絶縁ゲートG2(
図1の再初期設定トランジスタT2のゲート)は、蓄積ノードFDを再初期設定するために基準電位(この場合、供給電位Vdd)を与えられる別のN
+型拡散から蓄積ノードFDを離隔する。このN
+型拡散は、トランジスタT2のドレインとして働き、また、同様に読み取りトランジスタT3のドレインとしても働く。トランジスタT3のドレインは、そのソースから(別のN
+拡散)そのゲートG3により離隔される。ゲートG3は、接続により蓄積ノードFDに電気的に接続される。トランジスタT3のソースとして働くN
+拡散は、同様に選択トランジスタT4のドレインとして働く。このトランジスタT4のソースは、列導電体CCに接続されている。トランジスタT4のゲートG4は、そのソースをそのドレインから離隔する。最後に、フォトダイオードの電位を再初期設定するためにトランジスタT5がピクセル中に設けられる場合、追加ゲートG5が電位Vddを与えられるN
+型ドレイン拡散からフォトダイオードを離隔する。このゲートは、フォトダイオードを囲むP
+領域中の別の中断を覆う。
【0030】
N
+型およびP
+型の領域は、それら自体、電荷の流れ得ないまたは蓄積され得ない絶縁領域STIにより区切られている。これらの絶縁領域は、一般的に、活性P
−型半導体層中に作成される絶縁酸化ケイ素の充填された溝により形成されている。電荷は、フォトダイオードとN
+領域の間または2つのN
+領域の間のみ、その流れを許容するかまたは禁止するゲートに加えられる電位のレベルに基づいて、流れる。
【0031】
図3は、本発明による4個のピクセルの構成を示す。この構成は、各ピクセルの個別読み取りまたは4個のピクセルのグループ読み取りを可能にする。一時蓄積ゲートは、隣接ピクセルに属する2個のフォトダイオード間に設けられ、これらのゲートは、そのゲートにより蓄積電荷のフォトダイオードのうちの1個のみへの転送を行う方向的転送を可能にするために非対称であるという特殊機能をもっている。
【0032】
図3からわかるように、種々のピクセルの同様な要素間の接続を容易にするために、4個のピクセルの配置は、1つの列から次へ、または1つの行から次へ反転するのが好ましい。同一電位に接続する必要がある隣接ピクセルの近接配置される拡散は、1個のピクセルから隣接ピクセルに伸びる単一の拡散の中に結合することができる。同じ方法により、同一信号により制御される必要がある隣接ピクセルのゲートは、1個のピクセルから隣接ピクセルに伸びる単一のゲートの中に結合することができる。これは、1行中の2個の隣接ピクセルの両トランジスタT5のドレイン拡散に関する
図3の場合である。これは、1行中の2個の隣接ピクセルの両ゲートG5の場合であり、および1列中の2個の隣接ピクセルの両ゲートG2の場合も同様である。これは、1列中の隣接ピクセルの両ゲートG1の場合も同様であるが、蓄積ノードへの電荷転送を行ごとに行いたい場合には該当しない(「巻き上げシャッター」と呼ばれる電荷集積方法)。
【0033】
本発明に従って、少なくとも2つの隣接フォトダイオード間に電荷の一時蓄積ゲートを設ける。2個の隣接フォトダイオード間に配置される一時蓄積ゲートは、集積期間中に2個のフォトダイオードにより生成された電荷の合計を収集することができる。この目的のために、一時蓄積制御信号が集積期間の終了時に送出され、この制御信号中に2個のフォトダイオードからの電荷がゲートの下に集まる。これらのゲートは、さらに、2つのフォトダイオードのうちの一方のみにおいて、ゲートの下に蓄積された電荷を蓄積制御信号が終了したときに放電するために、それらの上流側と下流側の間で非対称に構成されている。
【0034】
4個のピクセルのグループ化を可能にする例示実施形態では、以下が設けられている:
− ゲートG21:1行中のフォトダイオードPD1およびPD2上の電荷のグループ化およびフォトダイオードPD2への放電を可能にする;
− ゲートG32:1行中のフォトダイオードPD2およびPD3上の電荷のグループ化およびフォトダイオードPD3への放電を可能にする;
− およびゲートG43:1行中のフォトダイオードPD3およびPD4上の電荷のグループ化およびフォトダイオードPD4への放電を可能にする。
【0035】
3つのゲートの一時蓄積制御信号は、集積期間の終了時に連続して送出される。フォトダイオードPD1上の電荷は、フォトダイオードPD2の中に移行する。フォトダイオードPD2に蓄積された電荷は、次にフォトダイオードPD3の中に移行する。そして最後に、フォトダイオードPD3に蓄積された電荷は、フォトダイオードPD4の中に移行する。
【0036】
したがって、3つの連続中間蓄積信号の後に、集積期間中に4個のピクセルにおいて発生した電荷は、フォトダイオードPD4中にグループ化される。次にこれらの電荷をフォトダイオードPD4に対応する列導電体上で読み取ることができる。
【0037】
一時蓄積ゲートは、活性P
−型半導体層の上に配置されており、それから微細絶縁層により絶縁されている。フォトダイオードのそれぞれを囲むP
+領域は、一時蓄積ゲートの場所で中断されており(それがG1およびG5の場所で中断されているように)、したがってフォトダイオードは、この場所で、一時蓄積ゲートにより覆われている活性P
−型半導体層部分と隣接している。
【0038】
続いて、一時蓄積ゲートにより覆われている活性P
−型層部分の形状が一時蓄積ゲートそれ自体の形状と同じであることと見做す。一時ゲートが電荷を蓄積することのできる活性層部分を超えて溢れ出る(たとえば、絶縁領域STIの上に)ことはあり得るが、しかし重要なことは、電荷の蓄積の可能にする活性層部分すなわち、微細絶縁層によりゲートから離隔されている活性層部分の形状である。ゲートの形状とゲートの下で電荷を蓄積できる活性層部分の形状の間に同一性が存在すると見做すのは、この理由からである。ゲートの絶縁領域STIへのあり得る溢出は、一時蓄積ゲートの一部であるとは見なされないからである。一時蓄積ゲートは2個のフォトダイオード間に配置されており、かつ、ゲートにより覆われている活性層部分は2個のフォトダイオードに隣接している。問題を分かりやすくするために、語彙の拡張により、フォトダイオードに隣接しているのは実際にはゲートの下の活性P
−層部分であるとしても、一時蓄積ゲートはフォトダイオードに隣接していることにする。
【0039】
ゲートの非対称性は、次の方法により得られる:下流フォトダイオード(ゲートG21のフォトダイオードPD2)は、一時蓄積制御信号の終了時に電荷が放電される先のフォトダイオードを指す。上流フォトダイオード(ゲートG21のフォトダイオードPD1)は、この信号の終了時に電荷を受け取ることができないフォトダイオードである。ゲートG21により覆われている活性層部分は、それが上流フォトダイオードPD1に隣接しているところよりも広い幅にわたり、下流フォトダイオードPD2に隣接している。したがって電荷は、広い通路を経てフォトダイオードPD2からゲートG21の下の活性層部分に移行することができるが、しかし電荷は、活性層の基準電位を与えられているP
+型絶縁領域間に囲まれている狭い通路のみを経てフォトダイオードPD1からゲートG21に移行できる。この通路の幅は、この通路の電位がそれを囲んでいるP
+領域の存在により影響を受けるために十分なほどに狭い。対照的に、ゲートが下流フォトダイオードに隣接しているところでは、通路の幅は、活性層部分の電位がどの場所においてもP
+領域の存在の影響を受けないほどに十分なほど広い。この場合、いくつかの狭い通路が存在しても、それらの各通路がそれを囲んでいるP
+領域の電位の影響を受けるほどに十分に狭いならば、差し支えない。
【0040】
したがって一時蓄積ゲートG21、G32およびG43は、それぞれ、
図3から分かるように、下流に位置するフォトダイオードに隣接する広い側面をもち、かつ、上流側に、上流に位置するフォトダイオードに隣接する端部をもつ少なくとも1個の狭いフィンガDGTをもっている。このフィンガの側面は、活性層の基準電位を与えられるP
+型領域の間に囲まれている。
【0041】
ゲートの形状およびゲートとフォトダイオード間の通路の幅のこの非対称性は、狭い通路について、一時蓄積制御信号の終了時に電位障壁を形成して電荷の上流フォトダイオードへの帰還を阻止するが、下流側には障壁を形成せず、電荷の下流フォトダイオードへ帰還を可能にする。この電位障壁の存在について、以下においてさらに詳しく説明する。
【0042】
図4は、
図3のラインA−A沿いに一時蓄積ゲートG21を通る垂直断面を示す。絶縁ゲートは、弱くP
−ドーピングされている活性半導体層部分の上に載っている。フォトダイオードPD1およびPD2は、それぞれ、ゲートのすぐ左と右に位置している。この断面は、活性層部分を上流フォトダイオードPD1に接続する狭いフィンガを通過している。上流フォトダイオードPD1のN拡散は、前記ゲートの左端の狭いゲート・フィンガの下およびこの狭いフィンガの下のみで活性P
−型層部分に接触している。
【0043】
図5は、
図3のラインB−B沿いに一時蓄積ゲートG21を通る垂直断面、すなわち、狭いフィンガの外側を示す。上流フォトダイオードPD1のN拡散は、ゲートの下に位置する活性P
−型層部分に接触しない。それは、狭いフィンガを枠にはめているP
+領域によりそこから離隔されているからである。下流フォトダイオードから、ゲートはフォトダイオードのところまで進み、ゲートの全幅にわたりそれと隣接する。
【0044】
電荷は、上流フォトダイオードPD1から一時蓄積ゲートへ狭い通路のみを通って流れることができる。それ以外の至る所にP
+領域が存在し、フォトダイオードとゲートにより監視される領域の間の電子の通過を阻止する電位障壁を形成する。電荷は、以下で分かるようにゲートから上流フォトダイオードへ通過できない。
【0045】
図6は、最初に電荷集積期間中、次に集積期間終了時の一時蓄積信号の印可時、最後に一時蓄積信号の終了時における活性半導体層中の半導体における電位の図を示す。
図6の左側の部分は、
図4に対応するラインA−A沿いに作成した電位図、したがって狭い通路の電位図である。右側の部分は、
図5に対応するラインB−B沿いに作成した電位図である。電位は、電子のポテンシャル井戸および電位障壁の慣例的表現に従って、電位は下方に向かって上昇する。
【0046】
図6の第1行において:集積期間中、一時蓄積信号の前、ゲートG21は、フォトダイオードPD1とPD2間の電荷の通過を阻止するゲート全体の下の電位障壁を形成する低電位に保たれている。光によりピクセル中に生成された電荷は、フォトダイオードPD1およびPD2に蓄積する。電位障壁は、狭いフィンガDGTの下で、ゲートの残余の部分の下より、わずかに高く、かつ、P
+領域においてさらに高いが、しかしこれは、この段階では重要ではない。
【0047】
図6の第2行において:電荷グループ化の要求がある場合にのみ送出される一時蓄積信号は、ゲートの下にポテンシャル井戸を形成する高電位のニッチである。この井戸は、電荷を含まないと考えられるフォトダイオードの下のポテンシャル・レベルより深い。フォトダイオードPD1上のすべての電荷は、狭いフィンガ(
図6の左側の部分)の下を通ることにより、しかし、ほかの部分(P
+領域中の高い電位障壁の存在する
図6の右側の部分)を通らずに、ゲートG21の下に放電する。狭い通路中の活性層の電位は、この狭い通路を枠にはめるP
+層の電位の影響のために蓄積ゲートのほかの部分の下の電位より低いが、それからもたらされる段は、フォトダイオードPD1からゲートG21への電荷の通過を阻止しない。反対側では、上流フォトダイオードPD2からの電荷も、ゲートG21に下に作成されたポテンシャル井戸中に、電位障壁なしに、放電する。
【0048】
図6の第3行において:蓄積信号の終了によりゲートの電位は低い値に戻る。狭いフィンガDGT(
図6の左側の部分)の下の電位は、この狭い通路を枠にはめるP
+領域の影響のためにゲートG21の下の電位より低くなる(より高い障壁)。狭いフィンガの下にこのように形成される電位障壁は、P
+領域(
図6の右側の部分)により形成される障壁と同じ効果(同じ高さでないとしても)をもつ。それは、そのような障壁の存在しない上流側から電荷を放電させる。すべての電荷は、フォトダイオードPD2に流れ込む。
【0049】
図7は、
図3の4個のピクセルからの電荷をグループ化したい場合におけるマトリクスのピクセルの制御信号のタイミング図を示す。グループ化する要望がない場合、制御信号は、通常のピクセル・マトリクスのための制御信号であり、一時蓄積ゲートは単に低電位に保たれて、フォトダイオード間の電荷転送を阻止する。ピクセルは、お互いに独立に読み取られ、かつ、行導電体によりアドレスされた各ピクセルは、そのそれぞれの列導電体上のその照明に対応する電位レベルを与える。
【0050】
グループ化の場合、手順は次のとおりである。第1に、電荷集積は在来のままである。一例として、マトリクス全体のフォトダイオードのグローバル再初期設定信号GRをすべてのピクセルのゲートG5に加える。この信号の終了は、集積期間の開始を規定する。一時蓄積ゲートは、集積期間T
int全体を通じて低電位レベルに保持されるのみである。
【0051】
集積期間の終了の直前に、3個の一時蓄積パルス、ST21、ST32およびST43を連続して送出し、それぞれ、ゲートG21、G32、次にG43に加える。第2パルスは、第1パルスの終了後に初めて始まり、第3パルスは、第2パルスの終了後に初めて始まる。各パルスは、
図6の略図に従って、対応するゲートを低電位に戻す前に、それを低電位から高電位に変える。
【0052】
第1のパルスは、フォトダイオードPD1およびPD2上の電荷をフォトダイオードPD2中にグループ化する。第2のパルスは、フォトダイオードPD1、PD2およびPD3上の電荷をフォトダイオードPD3中にグループ化する。第3のパルスは、フォトダイオードPD1、PD2、PD3およびPD4上の電荷の合計をフォトダイオードPD4中にグループ化する。
【0053】
これらのパルスは、マトリクス中の4個のピクセルからなるすべてのグループに共通である。
【0054】
3個のパルスから構成されるグループ化時間T
binは、集積時間T
intよりはるかに短い。
【0055】
第3のパルスST43の終了後、マトリクスのピクセルのすべての転送トランジスタT1を導通させ、これによりピクセルのフォトダイオードに存在する電荷をこのピクセルからの電荷を蓄積するそれぞれのノード中に転送する。この時刻においてすべての電荷を含んでいるのはフォトダイオードPD4であるから、これらの電荷を収集するのは、第4ピクセルの蓄積ノードである。
【0056】
グループ化されたピクセルは、4個からなる各グループ中の第4のピクセルをアドレス指定することにより読み取られる。これは、この第4ピクセルに対応する行を選択すること、およびこの第4ピクセルに対応する列導電体上の電位を監視することを含む。
【0057】
読み取りは、二重抽出法の手段により、行ごとに(第4ピクセルのみ影響を受けるのであるからマトリクスの2行中の1行)連続して行うことが好ましい。列導電体上に存在し、かつ、(アドレス指定された行中の第4ピクセルのフォトダイオード中にグループ化され、かつ、放電された電荷)に対応する電位レベルがこのピクセルの蓄積ノードに蓄積される。次に考察対象のピクセルの行中の蓄積ノードの再初期設定トランジスタが駆動され、そして列導電体上に存在する電位レベルが蓄積される。2つの電位レベル間の差異が測定され、デジタルに変換される。
【0058】
「巻き上げシャッター」と呼ばれる集積モードで操作することも可能である。この場合、転送トランジスタは、以下のように各行について連続して行ごとに制御される:行中の蓄積ノードの再初期設定、再初期設定レベルの読み取り、一時蓄積ゲートに加えられる信号による電荷の単一フォトダイオードへのグループ化、蓄積ノードへの電荷転送および転送された電荷の読み取り。
【0059】
図8に示した変形実施形態では、フォトダイオードPD1とPD2の間に一時蓄積ゲートG21は設けないが、しかしフォトダイオードPD1とPD4の間に蓄積ゲートG41が設けられ、フォトダイオードPD1が上流フォトダイオードとなる。2つの連続一時蓄積信号のみ使用する。最初の信号は、フォトダイオードPD1とPD4の上の電荷をPD4中にグループ化するために、かつ、フォトダイオードPD2とPD3の上の電荷をPD3中にグループ化するために、ゲートG41およびG32を同時に制御する。第2の信号は、
図3の場合と同様に、フォトダイオードPD3およびPD4の上の電荷をフォトダイオードPD4中にグループ化するためにゲートG43を制御する。
【0060】
図8におけるゲートの構成では、最初にゲートG32を制御し、次にゲートG41およびG43を同時に制御することも可能である。
【0061】
本発明は、4個のピクセルのグループ化について説明した。しかし、それは、ただ2個ずつのピクセルをグループ化したい場合にも適用できる。したがって、2個のピクセルのフォトダイオード相互間の一時蓄積ゲートで十分である。本発明は、行中の2個超のピクセルおよび列中の2個超のピクセルをグループ化したい場合にも適用できる。nxm個のピクセル(ただし、(n+m)≧2)をグループ化したい場合、ピクセルのフォトダイオードと隣接ピクセルのそれぞれとの間に(nxm−1)個の一時蓄積ゲートを設ける必要がある。原理上、マトリクス中のグループのそれぞれの最終ピクセル中へのグループ化を行うために、(m+n−2)個の連続グループ化信号が必要である。
【0062】
一般的に、たとえ全部がグループ化のために使用されないとしても、すべての隣接ピクセル間に一時蓄積ゲートを設けることが可能である。これは、所望グループ化に基づいて制御信号をゲートに加えることにより可変個数のピクセルのグループ化の選択を可能にする。これは、全く使用されない蓄積ゲートの存在のおかげで、ピクセルすべての挙動を標準化することも可能にする。