【実施例】
【0037】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「%」は、特に明記しない限り「質量%」を表す。
【0038】
(実施例1〜41、比較例1〜14)
下記表1〜8に示す組成及び含有量に従い、25℃で、精製水をスリーワンモータ(BL−1200、HEIDON社製)で攪拌しながら(E)成分を均一分散させた後、ここに(C)成分又は(C’)成分及び前記(D)成分を添加して溶解させ、次いで、(A)成分及び前記(B)成分を添加して攪拌しながら溶解させ、pH調整剤としてのトリエタノールアミンを添加してpHを表1〜8に示す値に調整することで、透明ゲル状皮膚用殺菌剤(透明ゲル状手指殺菌剤)を調製した。
【0039】
<粘度の測定>
実施例1〜41及び比較例1〜14の透明ゲル状手指殺菌剤の粘度は、BL型粘度計(東京計器株式会社製)を用い、No.3ローター又はNo.4ローターを用い、25℃において、回転数30rpmで1分間の条件で測定した。結果を下記表1〜8に示す。
【0040】
<評価>
実施例1〜41及び比較例1〜14の透明ゲル状手指殺菌剤について、下記評価方法に基づき、「透明性」、「殺菌力」、「伸ばしやすさ」、「乾きの速さ」、「乾燥後のべたつきのなさ」、及び「皮膚刺激性」について評価した。結果を下記表1〜8に示す。
【0041】
−透明性の評価−
紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製)を用い、実施例及び比較例の各透明ゲル状手指殺菌剤の660nmにおける透過率(%T)を測定した。この測定値に基づき、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:90%T以上
○:80%T以上90%T未満
△:70%T以上80%T未満
×:70%T未満
【0042】
−殺菌力の評価−
対象菌として、大腸菌(
Escherichia coli NBRC3972、独立行政法人製品評価基盤機構より入手)を用い、定量的懸濁法にて評価した。
前記大腸菌(
E.
coli NBRC3972)を、SCD寒天培地(日本製薬株式会社製)を用いて、好気条件下で37℃にて18時間静置培養した。SCD寒天培地上に形成されたコロニーを適量かきとり、生理食塩水(大塚製薬株式会社製)に懸濁して10
8cfu/mLの菌濃度に調整し、試験菌液とした。この試験菌液0.005mLを、実施例及び比較例の各透明ゲル状手指殺菌剤0.495mLに摂取し、30秒間接触させた後、直ちにこの混合液をSCDLP液体培地(日本製薬株式会社製)で10倍に希釈し、不活化した。不活化した溶液(以下、「不活化液」と称することがある)を、SCDLP培地で更に100倍希釈、1,000倍希釈、10,000倍希釈と10倍段階希釈した。SCDLP寒天培地(日本製薬株式会社製)(9cmシャーレ)に、各濃度に希釈した不活化液を、各々1mL播種(n=3)し、混釈平板培養法により好気条件下で37℃にて24時間静置培養した。培養後、形成された全コロニー数をカウントし、残存生菌数を測定した。コロニーが観測されない時は、検出限界の10cfu/mL未満とした。測定した残存生菌数を下記評点で判定し、その評点の平均値に基づき、下記評価基準で評価した。
なお、cfuとは、コロニー形成単位(colony forming unit)である。
[評点]
5点:残存生菌数が10cfu/mL未満(検出限界未満)
4点:残存生菌数が10cfu/mL以上100cfu/mL未満
3点:残存生菌数が100cfu/mL以上1,000cfu/mL未満
2点:残存生菌数が1,000cfu/mL以上10,000cfu/mL未満
1点:残存生菌数が10,000cfu/mL以上
[評価基準]
◎:4.0点以上
○:3.0点以上、4.0点未満
△:2.0点以上、3.0点未満
×:2.0点未満
【0043】
−伸ばしやすさの評価−
専門パネラー10名が、実施例及び比較例の各透明ゲル状手指殺菌剤1gを、25℃の環境下で手に取り、手の平及び手の甲にすり込みながら、手指全体への伸ばしやすさについて、下記評点に基づき官能評価を行い、その評点の平均値に基づき、下記評価基準で評価した。
[評点]
4点:非常に伸ばしやすい
3点:伸ばしやすい
2点:伸ばしにくい
1点:非常に伸ばしにくい
[評価基準]
◎:4.0点
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0044】
−乾きの速さの評価−
専門パネラー10名が、実施例及び比較例の各透明ゲル状手指殺菌剤1gを、25℃の環境下で手に取り、手の平及び手の甲にすり込みながら透明ゲル状手指殺菌剤が乾くまでの時間を測定した。10名の測定時間の平均値に基づき、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:30秒間未満
○:30秒間以上60秒間未満
△:60秒間以上90秒間未満
×:90秒間以上
【0045】
−乾燥後のべたつきのなさの評価−
専門パネラー10名が、実施例及び比較例の各透明ゲル状手指殺菌剤1gを、25℃の環境下で手に取り、手の平及び手の甲にすり込み、透明ゲル状手指殺菌剤が乾いた後に、手のべたつきのなさについて、下記評点に基づき官能評価を行い、その評点の平均値に基づき、下記評価基準で評価した。
[評点]
4点:全くべたつかない
3点:べたつかない
2点:べたつく
1点:非常にべたつく
[評価基準]
◎:4.0点
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0046】
−皮膚刺激性の評価−
専門パネラー10名が、実施例及び比較例の各透明ゲル状手指殺菌剤1gを、25℃の環境下で手に取り、手の平及び手の甲にすり込む際の、皮膚に対する刺激性について、下記評点に基づき官能評価を行い、その評点の平均値に基づき、下記評価基準で評価した。
[評点]
4点:全く刺激を感じない
3点:刺激を感じない
2点:刺激を感じる
1点:非常に刺激を感じる
[評価基準]
◎:4.0点
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
(実施例42)
下記に示す組成及び配合量に従い、25℃で、精製水をスリーワンモータ(BL−1200、HEIDON社製)で攪拌しながら(E)成分を均一分散させた後、ここに(C)成分及び前記(D)成分を添加して溶解させ、次いで、(A)成分、前記(B)成分、及びその他の添加成分を添加して攪拌しながら溶解させ、pH調整剤を添加してpHを7.5に調整することで、実施例42の透明ゲル状手指殺菌剤を調製した。
実施例42の透明ゲル状手指殺菌剤について、実施例1〜41及び比較例1〜14と同様の方法で、「透明性」、「殺菌力」、「伸ばしやすさ」、「乾きの速さ」、「乾燥後のべたつきのなさ」、及び「皮膚刺激性」について評価した。
[組成及び配合量]
塩化ベンザルコニウム〔(A)成分〕 ・・・0.05%
N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩〔(B)成分〕 ・・・0.1%
ヘキシレングリコール〔(C)成分〕 ・・・10.0%
エタノール〔(D)成分〕 ・・・30.0%
カルボキシビニルポリマー(*1)〔(E)成分〕 ・・・0.3%
DL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%水溶液)(*4) ・・・0.2%
香料 ・・・0.2%
エチレンジアミン−N,N,N’,N”−テトラ−2−プロパノール(pH調整剤) ・・・適量
精製水 ・・・残部(合計100%となるように添加)
・質量比〔(C+D)/(A+B)〕:266.7
・粘度:3,850mPa・s(25℃)
・pH :7.5
[評価結果]
・透明性:◎
・殺菌力:◎
・伸ばしやすさ:◎
・乾きの速さ:◎
・乾燥後のべたつきのなさ:◎
・皮膚刺激性:◎
【0056】
(実施例43)
実施例42において、組成及び配合量を下記に示す組成及び配合量に変えたこと以外は、実施例42と同様の方法で、実施例43の透明ゲル状手指殺菌剤を調製した。
実施例43の透明ゲル状手指殺菌剤について、実施例1〜41及び比較例1〜14と同様の方法で、「透明性」、「殺菌力」、「伸ばしやすさ」、「乾きの速さ」、及び「乾燥後のべたつきのなさ」について評価した。
[組成及び配合量]
塩化ベンゼトニウム〔(A)成分〕 ・・・0.05%
N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩〔(B)成分〕 ・・・0.1%
キシリトール〔(C)成分〕 ・・・10.0%
エタノール〔(D)成分〕 ・・・30.0%
カルボキシビニルポリマー(*2)〔(E)成分〕 ・・・0.3%
エチレンジアミン−N,N,N’,N”−テトラ−2−プロパノール(pH調整剤) ・・・適量
グリチルリチン酸ジカリウム(*5) ・・・0.01%
香料 ・・・0.2%
精製水 ・・・残部(合計100%となるように添加)
・質量比〔(C+D)/(A+B)〕:266.7
・粘度:4,500mPa・s(25℃)
・pH :7.5
[評価結果]
・透明性:○
・殺菌力:○
・伸ばしやすさ:○
・乾きの速さ:◎
・乾燥後のべたつきのなさ:◎
・皮膚刺激性:◎
【0057】
実施例及び比較例に用いた各成分は、下記表9に示すとおりである。
【0058】
【表9】
【0059】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> (A)塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩化セチルピリジニウムから選ばれる少なくとも1種の4級アンモニウム塩殺菌剤と、
(B)N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩と、
(C)ヘキシレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びキシリトールから選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと、
(D)エタノールと、
(E)カルボキシビニルポリマーと、
を含有し、
前記(B)成分の含有量が0.01質量%〜0.3質量%であり、前記(D)成分の含有量が15質量%〜35質量%であり、
前記(A)成分及び前記(B)成分の合計含有量と、前記(C)成分及び前記(D)成分の合計含有量との質量比〔(C+D)/(A+B)〕が100〜400であり、pH6.0〜8.0であり、外観が透明であることを特徴とする透明ゲル状皮膚用殺菌剤である。
<2> (A)成分の含有量が0.01質量%〜0.3質量%であり、(C)成分の含有量が5質量%〜15質量%であり、(E)成分の含有量が0.1質量%〜0.5質量%である前記<1>に記載の透明ゲル状皮膚用殺菌剤である。
<3> (A)成分及び(B)成分の合計含有量と、(C)成分及び(D)成分の合計含有量との質量比〔(C+D)/(A+B)〕が、150〜300である前記<1>から<2>のいずれかに記載の透明ゲル状皮膚用殺菌剤である。
<4> (C)成分が、ヘキシレングリコール及び1,2−ペンタンジオールの少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の透明ゲル状皮膚用殺菌剤である。
<5> pH6.5〜7.5である前記<1>から<4>のいずれかに記載の透明ゲル状皮膚用殺菌剤である。