特許第6120912号(P6120912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6120912オプトエレクトロニクスモジュール、および、オプトエレクトロニクスモジュール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120912
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクスモジュール、および、オプトエレクトロニクスモジュール装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20170417BHJP
【FI】
   H01L33/48
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-137431(P2015-137431)
(22)【出願日】2015年7月9日
(62)【分割の表示】特願2011-509850(P2011-509850)の分割
【原出願日】2009年5月13日
(65)【公開番号】特開2015-173300(P2015-173300A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】102008024927.0
(32)【優先日】2008年5月23日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102008049777.0
(32)【優先日】2008年9月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(72)【発明者】
【氏名】ディーター アイスラー
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート ヘルマン
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−167018(JP,A)
【文献】 特開2004−031872(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/099860(WO,A1)
【文献】 特表2004−511878(JP,A)
【文献】 特開2007−027357(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3117281(JP,U)
【文献】 特開2008−021987(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0048200(US,A1)
【文献】 特開2005−136224(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/104249(WO,A1)
【文献】 特開2005−142447(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/000695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体層(10,20,100,200)を備えた層構造体を含むオプトエレクトロニクスモジュールにおいて、
・前記複数の半導体層(10,20,100,200)は、基板層(10)および第1層列(100)および第2層列(200)を含み、
・前記基板層(10)は、シリコンまたはSiCまたはゲルマニウムまたは窒化ガリウムまたはこれらの材料の化合物から形成されており、
・前記第1層列(100)と前記第2層列(200)とは導体路(30)によって接続されており、
・前記第1層列(100)は、1つまたは複数の発光層(101,102)を含む複数の発光ダイオードを有しており、
・前記発光層(101,102)は、少なくとも部分的に上下方向に積層されて、前記基板層(10)上に配置されており、
・前記第2層列(200)は、前記複数の発光ダイオードの動作状態を制御するための複数の回路(201,202,203,204)を含み、
・第1の回路は前記複数の発光ダイオードの輝度を制御するための制御回路(202)を含み、
・第2の回路は周囲輝度を検出するための輝度センサ(203)を含み、該輝度センサ(203)に固有のレンズが後置されており、
・前記第2の回路は、前記第1層列(100)に横方向で並んで、前記基板層(10)上に配置されており、
・前記第1の回路は前記基板層(10)内に集積されており、かつ、前記基板層(10)によって完全に包囲されている、
ことを特徴とするオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項2】
前記複数の発光ダイオードと前記第2の回路とは直接に前記基板層(10)上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項3】
前記第2層列(200)は、前記オプトエレクトロニクスモジュールを静電的放電から保護するための回路(201)と、前記第1層列(100)の放射を発生するための電圧または電流を供給するように構成された回路(204)とを含む、
ことを特徴とする請求項1または2記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項4】
前記第2層列(200)の少なくとも1つの回路(201,202,203,204)に電気的に接続された少なくとも1つの導体路(30)が、前記基板層(10)によって包囲されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項5】
前記第2層列(200)は、前記オプトエレクトロニクスモジュールを静電的放電から保護するための回路(201)を含み、
前記オプトエレクトロニクスモジュールを静電的放電から保護するための回路(201)は、前記第1層列(100)のコンタクト用のコンタクト端子として構成された導体路(30)の下方に、前記基板層(10)のドーピング領域(201a,201b)によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項6】
前記第2層列(200)は、前記第1層列(100)の放射を発生するための電圧または電流を供給するために構成された回路(204)を含む、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項7】
前記導体路(30)は前記基板層(10)上に蒸着されているかまたはスパッタリングされている、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項8】
前記発光ダイオードは基板レス発光ダイオードである、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項9】
前記基板層(10)はSiから形成されており、
前記複数の発光ダイオードは複数のLEDチップまたは複数の有機発光ダイオードであり、
前記複数の発光ダイオードは、赤色光または緑色光または青色光を放出し、
前記基板層(10)の上方に、前記第1層列(100)および前記第2層列(200)を保護するための放射透過性の保護層(20)が設けられており、
前記保護層(20)は、アクリル樹脂またはエポキシド樹脂またはシリコン樹脂またはシリコンを含む、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項10】
前記制御回路(202)は、動作中、前記第1層列(100)の発光を、優勢的な周囲輝度に調整する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項11】
前記第2層列(200)はオプトエレクトロニクスモジュールの温度を検出する回路(205)を含み、
レンズの形態の光学要素(80)が前記第2層列(200)内に構成されたフォトダイオード(203)上に設けられており、
炭素を含有するダイヤモンドから形成されるヒートシンク(300)が前記基板層(10)の内部または表面に集積されている、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項12】
前記第2層列(200)は、高性能シリコンリレー回路、および/または、前記モジュール装置に給電するためのソーラーセル、および/または、冷却のためのマイクロポンプ(206)、および/または、ロジック回路素子を有する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール(1,2,3)を複数個含む、オプトエレクトロニクスモジュール装置において、
・前記複数のオプトエレクトロニクスモジュールのうちの1つのオプトエレクトロニクスモジュール(1)は第3層列を含み、該第3層列は、前記複数のオプトエレクトロニクスモジュール(1,2,3)のうちの1つのオプトエレクトロニクスモジュールの基板層(10)上に載置されているか、または、前記複数のオプトエレクトロニクスモジュール(1,2,3)のうちの1つのオプトエレクトロニクスモジュールの基板層(10)によって包囲されており、
・前記第3層列は、前記複数のオプトエレクトロニクスモジュール(1,2,3)のそれぞれから放射される放射を制御する回路(202)を含む、
ことを特徴とするオプトエレクトロニクスモジュール装置。
【請求項14】
前記第3層列は、前記複数のオプトエレクトロニクスモジュール(1,2,3)のそれぞれから放射される放射の輝度または色または色混合を調整する回路を含む、
ことを特徴とする請求項13記載のオプトエレクトロニクスモジュール装置。
【請求項15】
前記第3層列は、前記複数のオプトエレクトロニクスモジュール(1,2,3)のそれぞれから放射される放射を無線遠隔制御する回路を含む、
ことを特徴とする請求項13または14記載のオプトエレクトロニクスモジュール装置。
【請求項16】
前記支持体基板層(10)に集積された制御回路(202)によって実現されており、かつ、周囲輝度に依存せずに、前記モジュール装置内で色混合または白色点の発見を行うように構成されているマスター/スレーブ技術によって作動される、
ことを特徴とする請求項13から15のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール装置。
【請求項17】
個々のオプトエレクトロニクスモジュール(1,2,3)が相互に関連して調整される、請求項13から16のいずれか一項記載のオプトエレクトロニクスモジュール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光構造体を制御するための集積回路を含むオプトエレクトロニクスモジュールに関する。本発明はさらに、複数のこのようなオプトエレクトロニクスモジュールからなるオプトエレクトロニクスモジュール装置に関する。本発明はさらに、オプトエレクトロニクスモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を効果的に照明するために、複数の発光素子を有するオプトエレクトロニクスモジュールが使用される。発光素子は例えばLEDとすることができる。LEDは、モジュールのモジュール基板上に固定されて電気的にコンタクトされている。モジュールの照明は大抵ハイブリッド技術によって行われ、この際、使用される個々の発光素子は、複数のモジュール基板上に分布することもできる。発光素子の光放射を制御するために、開ループ制御回路および閉ループ制御回路が使用される。LEDの制御は、別個の構成素子として例えばモジュール基板上に載置されているセンサによって行うことができる。この別個の構成素子は、チップが内部に配置されているケーシングを有する。したがってモジュール基板にはLEDチップの他にも、例えばケーシング内部に光、温度、または色点測定のためのセンサを備えているチップが配置された構成部材が装備されている。
【0003】
閉ループ制御および開ループ制御エレクトロニクス、センサ、および高性能ヒートシンクは、発光素子が載置されたモジュールの上または中には集積されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、発光構造体による発光を効果的に制御可能にするオプトエレクトロニクスモジュールを提供することである。本発明の別の課題は、発光構造体による発光が効果的に制御されるオプトエレクトロニクスモジュール装置を提供することである。本発明の別の課題は、このようなオプトエレクトロニクスモジュールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
オプトエレクトロニクスモジュールは、複数の半導体層を備えた層構造体を有する。複数の半導体層は、基板層、第1層列、および少なくとも1つの第2層列を含む。第1層列は、基板層の上に配置されている発光層を有する。第2層列は、発光層の動作状態を制御するための少なくとも1つの回路を含む。
【0006】
第2層列は、基板層の上に配置することができる、および/または、基板層によって包囲することができる。この場合、第2層列のうち少なくとも1つの回路を基板層の上に配置し、第2層列のうち少なくとも1つの回路を基板層によって包囲することが可能である。さらには全ての回路、すなわち第2層列全体を基板層によって包囲することも可能である。この場合第2層列は基板層の中に完全に集積されており、ひいては省スペースに配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、オプトエレクトロニクスモジュールの第1実施形態を示す。
図2図2Aは、ESD保護回路を有するオプトエレクトロニクスモジュールの第2実施形態の平面図を示す。図2Bは、ESD保護回路を有するオプトエレクトロニクスモジュールの第2実施形態の断面図を示す。
図3図3は、オプトエレクトロニクスモジュールの第3実施形態を示す。
図4図4は、支持体層の上に成長された発光層を示す。
図5図5は、事前に形成された支持体基板を示し、該支持体基板には、発光層の発光を制御するための回路が集積されている。
図6図6は、集積された複数のオプトエレクトロニクスモジュールを備えるオプトエレクトロニクスモジュール装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第2層列は、モジュール内で種々のタスクを担う2つ以上の異なる回路を含むことができる。
【0009】
この場合、複数の回路のうち少なくとも1つの回路を基板層によって完全に包囲し、そして少なくとも1つの別の回路を基板層の上に配置するか、または部分的に基板層によって包囲することが可能である。つまり、複数の回路のうち1つの回路は基板層の中に集積されており、別の回路は少なくとも部分的に基板層から露出している、ないし自由になっている。
【0010】
第1層列は、例えば発光ダイオード、とりわけ基板レス発光ダイオード、CSP(chip scale package)発光ダイオード、有機発光ダイオード、または高出力発光ダイオードを含む。CSP発光ダイオードは例えば刊行物WO2008/131736に記載されており、この刊行物の開示内容は引用によって本願に含まれるものとする。
【0011】
第2層列は、オプトエレクトロニクスモジュールを静電気放射から保護するための回路を含むことができる。オプトエレクトロニクスモジュールを静電的放電から保護するための回路は、第1層列のコンタクト用のコンタクト端子の下のドーピング領域によって形成することができる。
【0012】
第2層列は、第1層列の発光層によって放射される放射の輝度または色を制御するための回路を含むことができる。
【0013】
第2層列はさらに、集積回路の周囲の輝度を検出するための回路を含むことができる。
【0014】
第2層列はさらに、第1層列の発光層の放射を発生するための電圧または電流を供給するために構成された回路を含むことができる。
【0015】
基板層は、例えばシリコン、SiC、ゲルマニウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化ケイ素、またはこれらの材料の化合物を含むことができるか、またはこれらの材料の1つから形成することができる。本発明の別の1つの実施形態によれば、基板層をシートとして構成することができる。
【0016】
以下、オプトエレクトロニクスモジュール装置について説明する。オプトエレクトロニクスモジュール装置は、上述した実施形態に基づいた複数の集積されたオプトエレクトロニクスモジュールを含む。複数のオプトエレクトロニクスモジュールのうちの1つは1つの層列を含み、該層列は、前記モジュールの基板層の上に設けられているか、または該モジュールの基板層によって包囲されている。この1つの層列は、複数のオプトエレクトロニクスモジュールの各発光層から放射される放射を制御するための1つの回路を含む。
【0017】
この層列は、複数のオプトエレクトロニクスモジュールの各発光層から放射される放射の輝度、色、または色混合を調整するための1つの回路を含むことができる。
【0018】
この層列は、例えば、複数のオプトエレクトロニクスモジュールの各発光層から放射される放射を無線遠隔制御するための回路を含むことができる。
【0019】
以下、オプトエレクトロニクスモジュールの製造方法について説明する。本発明の製造方法によれば、支持体層の上に、発光層を備える第1層列を成長させる。さらに、複数の半導体層を備える層構造体を準備する。この複数の半導体層は、基板層および第2層列を含み、該第2層列は、発光層の動作状態を制御するための回路を含む。第1層列は、基板層の上に載置される。
【0020】
本発明の方法の発展形態によれば、複数の半導体層を備える層構造体を、第2層列を基板の上に設けることによって、または基板の中に集積することによって準備する。
【0021】
本発明の別の1つの実施形態によれば、第2層構造体は基板層の上に層析出によって堆積されるか、またはイオン注入によって基板層の中に集積される。
【0022】
本発明のさらなる特徴、有利な実施形態、および有効性を、以下の実施例の説明において図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0023】
図1は、能動電子素子および受動電子素子200を備えた集積回路を有するオプトエレクトロニクスモジュール1の実施形態を示す。能動電子素子および受動電子素子200は、支持体基板層において事前に形成されている。支持体基板層10は例えばSiウェハであり、該Siウェハの中/上には、種々異なる集積回路200が事前に形成されている。支持体基板の事前形成は、既にフロントエンドにおいてウェハ平面上にて実施され、このようにして集積回路を有するオプトエレクトロニクスモジュールが形成される。
【0024】
支持体基板層10の上には発光半導体層構造体100が載置される。半導体層構造体100は例えば発光層101,102を含む。半導体層構造体100は例えば、赤色、緑色、または青色光を放出する1つまたは複数のLEDチップを含むことができる。各LEDチップは固定層40によって支持体基板層10上に固定されている。放射を放出する構成素子100として例えば有機発光ダイオード(OLED)、高性能LED、またはCSP発光ダイオードを、支持体基板層10の上に配置することができる。
【0025】
発光半導体層構造体100を例えば基板レスLEDとすることも可能である。基板レスLEDの場合には、発光層101,102は、もはや支持体10の支持体材料、例えばゲルマニウムまたはシリコン支持体の支持体材料の上には配置されておらず、支持体の上に直接載置されている。発光半導体層構造体100は、支持体基板層10の上に接着またははんだ付けすることができる。このような基板および表側コンタクトのないLEDチップを使用することによって、オプトエレクトロニクスモジュールの平面状の均一な構造が可能となる。
【0026】
半導体層構造体100を支持体基板層10の上に設ける場合には、支持体基板層10は既に事前に形成されている。事前形成は、フロントエンドにおいて別の層列200を支持体基板層10の中または上に設けることによって実施される。支持体基板層10、例えばSi半導体ウェハの中には、例えばフロントエンドにおいて、発光半導体層構造体100を静電的放電から保護するための回路として構成された、ないしは支持体基板層10の中または上に載置された別の集積回路を静電的放電から保護するための回路として構成された層列201を設けることができる。支持体基板層10の中に集積された層列201は、例えば集積された保護ダイオードとすることができる。さらに回路201は、支持体基板層10の中に集積されたESDフィルタを含むことができる。
【0027】
図1に図示したオプトエレクトロニクスモジュール1においては、支持体基板層10の上に例えば2つの発光半導体層構造体100、例えばLEDチップが載置されている。オプトエレクトロニクスモジュールはさらなる別のLEDチップを有することができる。放射特性、輝度、またはLEDチップの発光層102,102から放射される色を制御するために、オプトエレクトロニクスモジュールの製造時にフロントエンドにて、別の層列202を支持体基板層10の上に配置することができる。層列202によって例えば、支持体基板層10の上に配置された複数のLEDチップ100の輝度、色、放射特性の相互調整を可能にする集積回路構造を実現することができる。これによって個々の目立つ色の発光体による望まれない効果を均質化することができる。
【0028】
図1に図示したオプトエレクトロニクスモジュールの実施形態においては、支持体基板層10の上にさらなる別の層列203が載置されている。層列203は例えばフォトダイオード回路を含む。層列203も同じく、既にフォトリソグラフィによるオプトエレクトロニクスモジュールの製造時にフロントエンドにおいて、支持体基板層10の上に配置される。
【0029】
従前は、モジュール実装前の製造プロセスにおいて個々のLEDチップの均質な放射特性を生成するために、輝度または色(波長)の点で同じまたは少なくとも類似した放射特性を有するLEDチップグループにソートされていた。フォトダイオード203によって、図1に図示したオプトエレクトロニクスモジュールの周囲輝度を検出することが可能となる。これによって発光層100の発光を、優勢的な周囲輝度に調整することが可能となる。この調整は、LEDチップ100の輝度、色、および放射特性を制御する制御回路202によって行われる。LEDチップの放射を適合させることにより、高価でありかつ大きなコストを以てしか実施できなかったLEDチップのグループ細分化を回避することができる。このグループ細分化は従前、制御のないモジュールに必要だったものである。
【0030】
個々の発光層101,102の放射パラメータを制御することによって、個々の発光ダイオードの放射特性のズレを、最終用途においてコスト的に有利にかつ効果的に修正することが可能となる。したがって、これまでは売り物にならなかったLED構成素子の欠損品も、まだまだ使用することが可能となる。例えばレンズの障害的影響、または、発光半導体層構造体100の上に配置されている変換材料の色ズレも補償することができる。発光層の動作条件および製造公差に依存して、および、とりわけ使用者または製造者の要望に応じて、放射特性を現場または工場で調整および調節することが可能である。
【0031】
支持体基板層10の上にはさらなる別の層列204を設けることができる。層列204も層列201,202,203と同じく、既にフロントエンドにおいて、フォトリソグラフィ工程によって支持体基板層10の上に設けられる。層列204によって、発光半導体層構造体100ないし別の能動集積回路、例えば制御回路202の電流/電圧制御のため使用される回路構造体を、オプトエレクトロニクスモジュール1に集積することができる。
【0032】
回路構造体204は、発光層の電流安定性および出力安定性のために使用される回路とすることもできる。回路構造体204は例えば固定層40によって支持体基板層10の上に配置されている。
【0033】
オプトエレクトロニクスモジュール1のコンタクトのために、支持体基板層10には、接続導体50、すなわちいわゆるビアが設けられている。支持体基板層の裏側には、のちに行われるはんだコンタクトのためのコンタクト部60が配置されており、該コンタクト部60はビア50と接続されている。コンタクト部は、例えばバンプコンタクト61とすることも、ボンドパットコンタクト62とすることもできる。
【0034】
層列100と200とを相互接続するため、ないしは、層列100および200をコンタクト60に接続するために、支持体基板層10の上にはさらなる別の層列が設けられている。この層列は例えば導体路30として、支持体基板層10の上に蒸着またはスパッタリングすることができる。
【0035】
構造体100および200を保護するために、図1に図示した実施形態においては、支持体基板層10の上に放射透過性の保護層20が載置されている。保護層20は例えばアクリル樹脂、エポキシド樹脂、またはシリコン樹脂またはシリコンを含むことができる。保護層20にはルミネセンス変換粒子を埋め込むことができる。
【0036】
図2Aはオプトエレクトロニクスモジュールの1つの実施形態を図示しており、この実施形態は図2Bにおいては断面図にて図示されている。発光半導体層構造体100は例えばSi層のような支持体基板層10の表面に配置されている。半導体層構造体100は導体路30と接続されており、該導体路30も同じく支持体基板層10の表面に配置されている。導体路30は例えば金製のコンタクト端子として構成することができる。コンタクト端子はスルーコンタクトホール51を通って裏側コンタクト部31と接続されている。裏側コンタクト部は金属層、例えば金層とすることができる。
【0037】
コンタクト端子の部分平面の下には層列201が位置している。層列201は例えば図2Aに図示したドーピング領域201aおよび201bを含むことができる。これらのドーピング領域はイオン注入によって支持体基板層10に形成される。ドーピング領域201aおよび201bからなる層構造体は、ESD保護ダイオード、例えばショットキーダイオードを形成する。ダイオードの特性は、ドーピング領域201aおよび201bの製造時に、該ドーピング領域の寸法およびドーピング領域の距離を変化することによって予め決めることができる。
【0038】
導通方向に関してESD保護ダイオード201は、発光半導体層構造体100のダイオード構造体の導通方向に対して逆平行になるよう配置されている。半導体層100のダイオード構造体の静電充電の場合には、電荷キャリアを、支持体基板層10に埋め込まれたESD保護ダイオード201によって排出することができる。
【0039】
図3はオプトエレクトロニクスモジュール1の別の実施形態を示す。図3に図示したオプトエレクトロニクスモジュールの実施形態では、支持体基板層10に、別の層列201,202,205,206が、フォトリソグラフィ工程により、フロントエンドにおいて集積された。これらの層列は、ESD保護のため、および、発光層100の制御/調節のために使用される集積回路を実現している。
【0040】
例えばLEDチップとすることができる発光層100は、図1に図示した実施形態と同様に支持体基板層10の上に配置することができる。LEDは例えば支持体基板層の上に接着またははんだ付けされている。発光層は例えば有機発光ダイオード(OLED)、高出力発光ダイオード、またはCSP発光ダイオードとして構成することができる。発光層100の上には、制御部または変換部70を配置することができる。このような変換部70によって、層列100の発光層101,102によって生成された放射を別の波長の放射に変換することができる。これによってオプトエレクトロニクスモジュールは、混合色光、有利には白色光を放射することができる。
【0041】
個々の発光層101,102の放射特性を制御するために、とりわけ放射光の輝度および色を制御するために、オプトエレクトロニクスモジュールの製造時にフロントエンドにおいて、支持体基板層10の中に層列202が集積された。この制御回路202によって、例えば発光層101,102から放射された光の色混合を生成することが可能となる。これによって、とりわけ複数のLED構造体100が支持体基板10の上に配置されている場合に、白色点を見つけることが可能となる。
【0042】
発光半導体層構造体100の光放射の制御は、例えば温度に依存して行うことができる。このために層列202は、オプトエレクトロニクスモジュールの温度を検出するための回路205を含むことができる。
【0043】
発光層100の放射特性の制御は周囲輝度に依存して行うことができる。このために支持体基板層10の表面には、フォトリソグラフィ工程によって、例えばフォトダイオード回路として構成された層列203が設けられている。フォトダイオードの上には、光学要素80、有利には放射形成用要素、例えばレンズを配置することができる。制御回路202は、フォトダイオードによって検出された周囲輝度の評価に応じて発光層100の発光を制御する。
【0044】
光放射の変化は、別の実施形態においては、ユーザによる無線遠隔制御によって行うことができる。このために層列202は、送信ユニットから無線接続によって伝送される制御信号を受信するための受信回路を含むことができる。
【0045】
支持体基板層10の中または上に集積された能動回路構造体ならびに発光層101,102を静電的放電による破壊から保護するために、基板層10には層列201が事前に形成されている。層列201によってESD保護回路が実現される。ESD保護回路は、例えば基板層10に集積された保護ダイオードとすることができる。回路構造体201によってESDフィルタを実現することもできる。回路構造体201は、支持体基板層10の製造時にフロントエンドにてフォトリソグラフィ工程によりウェハ10に集積されるその他の受動回路網とすることもできる。
【0046】
オプトエレクトロニクスモジュールの回路構造体200ならびに発光層100によって発生した熱を排出するために、ヒートシンク300が設けられている。LED半導体構造体100はこのヒートシンクと接続されている。ヒートシンク300は、例えば炭素質のダイヤモンドから形成された高性能ヒートシンクとすることができる。ヒートシンクは、例えばシリコンウェハの支持体基板層10の中ないしは表面に集積することができる。
【0047】
シリコンサブマウント10の裏側部分に、能動的または受動的な冷却装置を集積することもできる。オプトエレクトロニクスモジュールの要素を能動的に冷却するために、例えばマイクロポンプ206を支持体基板層10の中に集積することもできる。オプトエレクトロニクスモジュールの製造時に別のマイクロ電子機械システムを、既にウェハ加工時において、LEDが支持体基板層10の表面に接着またははんだ付けされる前に、フロントエンドにおいて、支持体基板層10の中または上に集積ないし事前形成することができる。このようなシステムには、例えば高性能シリコンリレー回路、または、例えばアクセス不能な小さい制御モジュールのための電流供給部として使用されるソーラーセルが属する。
【0048】
LED構造体100は、ウェハの中または上に事前に形成ないし集積された回路構造体200に、導体路30を含む配線面を介して接続されている。LEDは、導体路30を介して、ウェハ裏面に集積されている閉ループおよび開ループ制御素子と接続されている。
【0049】
シリコンサブマウント10の裏面にはさらに、プログラミング可能かつ記憶可能なロジック回路素子を集積することができる。これらの制御素子ないし回路素子も、無線遠隔制御することができるか、または導体路30によってプログラミング可能に制御するか、または定常制御することができる。裏側の代わりに表側へ集積することも可能である。シリコン回路のコストが大きくなる場合には、複数のSi層を積層することができる。このロジック配線によって、オプトエレクトロニクスモジュールの動作点を、特定の用途に応じて調整することができる。オプトエレクトロニクスモジュール1のトリミングは、工場において耐久性が出るように行うこともできる。これによって経年劣化を調整することができる。
【0050】
オプトエレクトロニクス集積回路のコンタクトのために、外部端子60が設けられている。外部端子60は、バンプコンタクト61またはボンドパットコンタクト62として構成することができる。外部端子をオプトエレクトロニクスモジュールの回路構造体と接続するために、支持体基板層10の内部に接続導体(ビア)50が設けられている。集積オプトエレクトロニクスモジュール1を、モジュール装置のための別の集積オプトエレクトロニクスモジュールに接続するために、例えば支持体基板層10の表面に、例えば該支持体基板層10の一方の側にて直接光放射路ではない場所に、モジュール中間接続のための端子63を設けることができる。端子63は、例えば電気的、機械的、または光学的なプラグコネクションまたはネジ接続部として構成することができる。
【0051】
支持体基板層10用の材料として、有利にはSi,SiC,Ge,GaNが使用される。さらに支持体基板層用の材料は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化ケイ素を有することができる。発光層から発生した光が、半導体ウェハとして構成された支持体基板層において自由電荷キャリアを生成するのを阻止するために、支持体基板層10は、とりわけ発光層100の領域においてパッシベーション層400によって被覆されている。パッシベーション層400の上には、別の保護層、変換層、反射防止層、または別の光学素子を配置することができる。
【0052】
シリコンウェハを使用する代わりに、支持体基板層10としてフレキシブルシートを使用することもできる。このシートは接着することができる。熱排出ないし電流供給は、本実施例においては適当なバンドによって制御することができる。
【0053】
図1,2,3に図示したオプトエレクトロニクスモジュールの実施形態は、ケーシング内に配置することができる。多くの場合ケーシングはもはや必要ない。モジュールは、例えばハロゲンレトロフィットソケット(Halogenretrofitfassung)の中に直接収容することができる。
【0054】
図4および5は、図1,2,3に図示したようなオプトエレクトロニクスモジュールを製造するための製造方法を図示している。図4は支持体層500を示し、該支持体層500の上には発光層101,102を備える層列100が成長されている。発光層は、例えば、支持体層としてのサファイヤの上に成長したエピタキシャル層とすることができる。発光層101,102は支持体層500から取り外され、コンタクト部、例えば金属コンタクト部が設けられる。
【0055】
図5に図示するように、金属コンタクト部を有する発光層を含むLEDチップは、事前に形成された支持体基板層10の上に配置される。支持体基板層10は例えばシリコンウェハとすることができ、シリコンウェハの中には既にウェハの製造時にフロントエンドにおいて、図1,2,3にて説明したような回路200が集積されている。回路200は例えば、LEDチップの放射特性、輝度、または色混合を制御するための閉ループおよび開ループ制御回路、またはESD保護回路とすることができる。LEDチップ100によって発生した放射の輝度を制御するために、半導体ウェハ10には既にフロントエンドにおいて、フォトダイオードとして構成された層列が事前に形成されている。図1,2,3において説明した個々の回路201,202,203,204,205,206は、例えばフォトリソグラフィ法によって、半導体ウェハ10の製造時ないし加工時に集積しておくことができる。回路は、例えば層構造体として個々の層の析出により支持体基板層10の上に堆積される。さらに層を、ドーピングプロセスまたはイオン注入によって直接支持体基板の中に集積することができる。
【0056】
オプトエレクトロニクスモジュールの製造時に、できるだけ多くの要素が支持体基板10の上または中に、フロントエンドプロセスにおいて集積される。図5に図示した回路の他に、ロジック回路、ビア、伝熱層、ならびにコンタクト部、とりわけのちに行われるはんだコンタクトのためのボンドパットコンタクトおよびバンプコンタクトも、半導体ウェハの上または中に事前に形成しておくことができる。これによって例えばピックアンドプレース法による個々の構成素子の載置が回避される。機能的ユニットはウェハ上に平行に集積されて組み立てられ、製造終了時に初めて分離されるので、このようなオプトエレクトロニクスモジュールは特にコンパクトであり、低コストに製造できる。
【0057】
図6は、複数のオプトエレクトロニクスモジュール1,2,3が互いに接続されている、モジュール装置の1つの実施形態を示す。モジュール装置に属する個々のオプトエレクトロニクスモジュールは、例えば図1,2,または3に図示した構造を有することができる。オプトエレクトロニクスモジュールは、モジュール中間接続部63によって互いに接続されている。
【0058】
図6に図示したモジュール装置の場合には、オプトエレクトロニクスモジュール1は、集積された制御回路202を有しており、該制御回路202は支持体基板層10にて事前に形成されている。制御回路202は、モジュール装置全体を制御するために使用される。個々のオプトエレクトロニクスモジュール1,2,3は、自律的に調整することも、相互に関連して調整することも、周囲、例えば周囲輝度に合わせて調整することもできる。したがって例えば空間を、発光体から発光体に亘る均質な暖色または寒白色の放射によって照明することができる。個々の目立つ色の発光体による効果を均質化することができる。
【0059】
支持体基板層10に集積された制御回路202を使用することにより、図6に図示したモジュール装置をマスター/スレーブ技術によって作動することも可能となる。これによって例えば色混合、ひいては白色点を見つけることを、モジュール装置において、および他のモジュールに相応するようにも行うことができる。
【0060】
図6に図示したモジュール装置は、例えば空間または空間の一部を照明するため、例えば食料品店を照明するために使用することができる。モジュール装置をマスター/スレーブ技術によって作動できることにより、オプトエレクトロニクスモジュールの上に配置された個々のLEDチップを、例えば全ての食材が周囲輝度や売り場内部に依存せずに均一に照明されるように制御することが可能となる。マスター回路は、例えば個々のモジュールの接続された集積回路を、例えば店の前に客がいない場合に節電プログラムが作動されるよう制御することができる。
【0061】
発光ダイオードの放射特性を変化できることにより、例えば発光ダイオードの経年劣化による影響を調整することも可能である。とりわけ例えば同一のモジュール装置内で赤色ダイオードが青色ダイオードよりも最初は明るく照明し、後に不均一に暗く照明しているような場合に、発光ダイオードの経年劣化による影響を調整することが可能である。放射特性を開ループ制御および閉ループ制御することにより、色混合を変化することができ、これによって例えば食料品店の精肉コーナーにおける緑色の照明を確実に回避することが可能になる。
【0062】
本願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102008024927.0号および第102008049777.0号を優先権として主張するものであり、その開示内容は本願に含まれるものとする。
【0063】
本発明は上述した実施例に限定されるものではない。むしろ本発明はあらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴のあらゆる組み合わせが含まれる。このことはこのような特徴またはこのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていない場合であっても当てはまる。
【符号の説明】
【0064】
1,2,3 オプトエレクトロニクスモジュール、 10 支持体基板層、 20 保護層、 30 導体路、 31 裏側コンタクト部、 40 固定層、 50 ビア、 51 スルーコンタクトホール、 60 外部端子、 61,62 コンタクト、 63 中間接続のための端子、 100 発光半導体層構造体、 101,102 発光層、 200 電子素子、 201,202,203,204,205,206 層列;回路、 201a,201b ドーピング領域、 400 パッシベーション層、 500 支持体層
図1
図2
図3
図4
図5
図6