【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する真空システムによって、特に、冒頭に記載した形式の真空システムが、第一のシールが軟性の金属材料から形成されているか、またはエラストマーから成るフラットシールとして形成されていることによって解決される。
【0007】
発明に従い、第一のシールは軟性の金属材料から、またはエラストマーから成るフラットシールとして形成されているので、いずれにせよわずかなのみしかガス放出しないので、特に適当な真空ポンプの設計においては、レシーバー内に長期にわたってUHV領域の圧力、特に10
−9hPaより低い圧力が達成されることが可能である。
【0008】
好ましくは、真空ポンプのインレット部分は真空ポンプのハウジングの一部であり、そしてレシーバーのアウトレット部分は、好ましくはレシーバーのハウジングの一部である。
【0009】
軟性の金属の材料を第一のシールに使用することによって、第一のシールは特に真空ポンプ又はレシーバーのハウジングよりも柔らかい。真腔ポンプのインレット部分とレシーバーのアウトレット部分の間にその様に配置された第一のシールは、よって変形されることが可能である。これは、例えば両方の部分をお互いに抑えることによって可能である。その際、インレット部分及びアウトレット部分における変形は基本的に引き起こされない。その様な損傷又は変形によって生じる真空(度合)の悪化はよって防止される。
【0010】
特に、軟性の金属から形成される第一のシールが、アルミニウムハウジングを有するレシーバー、及び/又は真空ポンプとの組み合わせで使用されると有利である。これによって、第一のシールがインレット部分及び/又はアウトレット部分よりも明らかに低い高度を有するということが達成可能である。よって第一のシールは、インレット又はアウトレットにおける損傷又は変形が生じないか、僅かに生じるのみである。
【0011】
好ましくは、金属材料は、HB35よりも低いブリネル硬さ(HB)を有する。これは、好ましくはHB30よりも低く、更に好ましくはHB25よりも低く、もっと更に好ましくは最高HB20の値をとる。これによって、金属材料から形成される第一のシールが、アルミニウム製のハウジングを有する真空ポンプ又はレシーバーよりも明らかに低い硬度を有するということが保証されることが可能である。
【0012】
金属材料は、特にアルミニウム合金、特にEN AW 1050a H111である。これによって、低いガス放出(程度)を有する軟性でそして安価な第一のシールが実現されることが可能である。
【0013】
金属材料から成る第一のシールは、好ましくはフラットシールとして形成されている。これによって良好なシール性のもと材料節約が達成されることができる。
【0014】
好ましくは、エラストマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はKFMまはたバイトン(独語:Viton)である。フラットシールとして上述の材料から形成される第一のシールは、低い透過性及びガス放出性を有するので、レシーバー内に長期にわたってUHV領域の圧力、特に10
−9hPaより低い圧力が達成されることが可能である。
【0015】
エラストマーからなるフラットシールは、型成形シールとして形成されていることが可能であるので、ここで使用される概念「フラットシール」は、型成形シールも含むべきである。
【0016】
軟性の金属材料から又はフラットシールとしてエラストマーから形成される第一のシールは、好ましくは最大2mmの高さを有する。更に好ましくは0.03mmから1.5mmの間の高さを有し、もっと更に好ましくは0.05mmから1mmの間の高さを有し、そしてもっと更に好ましくは0.05mmから0.5mmの間の高さを有している。その様なシールによって、低いガス放出性のもと良好なシール作用が達成されることが可能である。
【0017】
好ましくは軟性の金属材料から形成される第一のシールは、インレット部分とアウトレット部分の間で0.05mmから0.5mm、好ましくは0.05から0.1mmだけ、特に平らに、押しつぶされていることが可能である。第一のシールのその様なわずかな押しつぶしによって、特に、吸引部に基づいておよび第一のシールの半径方向外側に設けられる第二のシールに基づいて、レシーバー内に高真空領域の真空を長期にわたって生じさせるのに十分なシール性が既に達成される。第一のシールのわずかな押圧は、その際、インレット部分又はアウトレット部分における損傷が防止されることが可能であるという利点を有する。
【0018】
本発明の発展形に従い、第二のシールは、エラストマーから形成され、特にKFMまたはバイトンから形成され、そして好ましくはOリングの形式で形成されている。よって第二のシールは安価に実現可能である。
【0019】
本発明の一つの態様に従い、吸引部は少なくとも一つの吸引開口部を有する。これはインレット部分に設けられている。吸引開口部を介して、第一及び第二のシールの間の容積の真空引きが行われることが可能である。吸引開口部は、チャネルを介して真空ポンプのポンプ段と接続されていることが可能であるので、容積はポンプ段によってポンプアウトされることが可能である。ポンプ段は、特に、ポンプ段に対して後配置されて配置されている中間ポンプ段であることが可能である。これによってレシーバーがポンプアウトされる。その際、チャネルは特に中間ポンプ段内への中間インレットである。吸引開口部は、しかしまた独立した真空ポンプと接続されていることも可能である。
【0020】
好ましくは、吸引部は少なくとも一つの吸引開口部を有する。これはアウトレット部分内に設けられている。アウトレット部分内の吸引開口部は、例えばチャネルを介して真空ポンプのポンプ段と接続されていることが可能であるので、第一及び第二のシールの間に位置する容積が当該ポンプ段を介してポンプアウト(独語:auspumpen)されることが可能である。その際、ポンプ段は、ポンプ段に後配置された中間ポンプ段であることが可能である。これを介してレシーバーがポンプアウトされる。アウトレット部分内の吸引開口部は、しかしまた独立した真空ポンプと接続されていることが可能である。
【0021】
好ましくはインレット部分には、インレット部分の周りを周回する収容部が第一のシールの為に形成されている。第一のシールは、収容部内に挿入されることができる。収容部は、その際好ましくは、その中に収容されるシールがこれから突き出るような深さに形成されるので、シールは、向かい合ったアウトレット部分によって押しつぶされることが可能である。
【0022】
収容部は、特に、インレット開口部の周りを周回する沈降部又は溝の形式で形成されていることが可能である。収容部は、よって特別簡単に製造されることが可能である。
【0023】
好ましくは、収容部内には、好ましくはその中央には、インレット開口部の周りを周回する切断エッジが形成されている。
【0024】
適当な方法で、アウトレット部分には、アウトレット開口部の周りを周回するよう推移する、好ましくは溝の形式に形成された収容部が、第一のシールの為に形成されていることが可能である。収容部内には、好ましくはその中央部に、アウトレット開口部の周りを周回する切断エッジが形成されていることが可能である。インレット部分内の収容部、及び/又は、アウトレット部分内の収容部は、しかしまた切断エッジ無で形成されていることも可能である。これによって第一のシールの平坦な押しつぶしが可能である。
【0025】
アウトレット部分内、及び/又はインレット部分内に設けられた各収容部は、これらが深くなるほど先細であるように形成されていることが可能である。各収容部は、よって特に基本形状がひし形状に形成された型成形シールの収容の為に設けられていることが可能であり、その際、収容部の先細となった形状によって、余りにも大きな組立力が第一のシールに作用することが無いということが達成される。これによって特に、組立力によって引き起こされる場合によっては起こり得る、真空ポンプ又はレシーバーの損傷又は変形が防止されることが可能である。
【0026】
インレット部分及び/又はアウトレット部分は、インレット部分及びアウトレット部分が集まった際に、これらの間に配置された第一のシールの少なくとも一つのエッジが押しつぶされるよう形成されていることが可能である。これによって、第一のシール少ない押しつぶしの際に、十分なシール作用が達成されることが可能である。第一のシールの押しつぶしは、特に、インレット部分及び/又はアウトレット部分に、各押しつぶしエッジ、または押しつぶしを行うアールが形成されていることにより達成されることが可能である。
【0027】
両方のシールが互いに一体に形成されていると特に有利である。一体に形成された両方のシールの使用によって、特に、真空ポンプのインレットをレシーバーのアウトレットと接続するための組立時間が節約されることが可能である。
【0028】
特に、両方のシールは、金属のフラットシールの形式、またはエラストマーフラットシールの形式で形成されていることが可能である。これによって、少ないガス放出のもと良好なシール作用が達成されることが可能である。その上、平坦な形成によって、材料が節約されることが可能である。
【0029】
本発明の好ましい発展形に従い、真空ポンプのハウジングが、特にインレット部分も含めてアルミニウムから形成されている。ステンレス(独語:Edelstahl)のハウジングの製造に比べてコストが節約されることが可能である。
【0030】
好ましくは、レシーバーのハウジングは、特にアウトレット部分も含めて、アルミニウムから形成されている。ステンレスの使用に比べて、同様にコストが削減されることが可能である。
【0031】
本発明の発展形に従い、インレットは少なくとも二つのインレット開口部を有する。その際インレット部分はインレット開口部を取り囲んでいる。相応して、レシーバーのアウトレットも同様に二つのアウトレット開口部を有することが可能である。これをアウトレット部分が取り囲んでいる。その際、真空ポンプと接続されるレシーバーのもとで、其々一つのアウトレット開口部が其々一つのインレット開口部と合わされていることが可能である。
【0032】
特に好ましくは、少なくとも二つのインレット開口部の其々の周りに、其々、第一のシールが設けられている。これは、真空ポンプとレシーバーの間で、インレット開口部と、これに合わされたアウトレット開口部の間を推移する接続チャネルをシールしする。
【0033】
好ましくは、少なくとも二つの第一のシールの半径方向外側に、少なくとも二つの第一のシールの周りを周回するよう推移する第二のシールが設けられている。その上、第二のシールは、好ましくは、第一のシールの半径方向外側に位置する吸引部を取り囲んでいる。少なくとも二つの第一のシールと第二のシールの間に取り囲まれている容積は、よって、吸引部によって真空引きされることが可能である。
【0034】
本発明の一つの発展形に従い、少なくとも二つの第一のシールは互いに一体に形成されている。これによって真空システムの組立が簡易化されることが可能である。
【0035】
更に本発明は、レシーバーのアウトレットと真空ポンプのインレットの間の接続のシールの為のダブルシールに関する。接続の際、アウトレット内に設けられるアウトレット開口部は、インレット内に設けられるインレット開口部に合わせられており、そしてアウトレット開口部の周りを周回するよう推移するアウトレットの部分は、インレット開口部の周りを周回するよう推移するインレットの部分と向かい合っている。ダブルシールは、第一のシールと第二のシールを有し、第二のシールが、第一のシールの半径方向外側でインレット開口部の周りを周回するよう推移し、そして両方のシールが少なくとも一つの容積を取り囲み、この容積が、少なくとも一つの吸引部を介して真空引きされることが可能であるよう、前記第一のシールと第二のシールは配置されている、または配置可能であり、そしてその際、両方のシールは互いに一体に形成されている。
【0036】
特に、ダブルシール(と、互いに一体に形成された両方のシール)は、第一のシール及び/又は第二のシールと関連してここに開示されている特徴の少なくとも一つを有している。
【0037】
好ましくは、ダブルシール(と互いに一体に形成された両方のシール)は、金属のフラットシールの形式、またはエラストマーフラットシールの形式で形成されていることが可能である。これによって、ダブルシールの少ないガス放出が達成されることが可能である。
【0038】
金属のフラットシールは、好ましくは、アルミニウム合金、特にEN AW 1050a H111からなるシールである。
【0039】
エラストマーフラットシールは、好ましくは、PTFE,FKMまたはバイトンから成る。
【0040】
フラットシールは、好ましくは最大2mmの高さ、好ましくは0.03mmから1.5mmの間の高さ、更に好ましくは0.05mmから1mmの間の高さ、もっと好ましくは0.05mmから0.5mmの間の高さを有する。
【0041】
更に本発明は、少なくとも二つのアウトレット開口部を有するレシーバーのアウトレットと、少なくとも二つのインレット開口部を有する真空ポンプのインレットの間の接続のシールの為のシール装置に関する。接続の際、其々アウトレット開口部は、其々インレット開口部に合わせられており、そしてアウトレット開口部の周りを周回するよう推移するアウトレットの部分は、インレット開口部の周りを周回するよう推移するインレットの部分に向かい合っている。シール装置は、少なくとも二つのシールを有しており、シールの其々一方が、インレット開口部の其々一方の周りを周回するよう推移するよう、前記二つのシールは、インレット部分とアウトレット部分の間に配置されている、または配置可能である。そしてその際、少なくとも二つのシールは互いに一体に形成されている。
【0042】
好ましくは、少なくとも二つのシールの其々は、上述した第一のシールと同様の材料及び/又は形状で形成されている。
【0043】
真空ポンプは、特にターボ分子ポンプであり、特に一つよりも多い真空ポートを有するターボ分子ポンプである。その様な真空ポンプは、スプリットフロー真空ポンプとも称される。
【0044】
以下に本発明を添付の図面を参照しつつ例示的に説明する。図は以下の内容を簡略的に示している。