(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検査手段は、予め記憶された半田付けの良否判断の基準となる情報と、前記第2の撮像手段によって撮像された撮像画像とを比較することにより、半田付けの良否判断を実施することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の部品実装装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る部品実装装置は、基板に形成されるスルーホールに対して挿入される端子を備えた部品を実装する部品実装装置であり、基板に対する部品の挿入、部品の半田付け及び半田付けの仕上がり検査等、部品実装の一連の工程を単一の装置で実施するものである。以下においては、本発明に係る部品実装装置の特徴ごとに順次説明をする。しかしながら、本発明に係る部品供給装置は、以下に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。
【0017】
先ず、
図1を参照して、本発明に係る部品実装装置の第1の特徴について説明する。
図1は、本発明に係る第1の部品実装装置における概要説明図である。
【0018】
端子を備えた電子部品を基板に実装する際には、端子の先端部分を基板のスルーホールに挿入する必要がある。この場合、スルーホールに対する電子部品(端子)の位置決めに精度が要求されるため、従来は手実装が主流であった。また、スルーホールに端子を挿入した後、電子部品を基板に半田付けするため、電子部品が配置された基板は、フロー槽に搬送される。フロー槽内は、熱せられた液状の半田によって満たされており、槽内の半田は下から上に向かって吹き上げられている。電子部品が配置された基板は、裏面から突出した端子の先端部分を下方に向けてフロー槽の上面を移動することにより半田付けされる。この場合、槽内の半田が下から上に向かって吹き上げられることにより、基板上の部品が位置ずれを起こしてしまうという問題があった。また、従来では、部品挿入工程と半田付け工程とが別々に実施されていたため、部品実装工程が全体として煩雑なものとなっていた。
【0019】
そこで、本発明においては、部品挿入ロボットと半田付けロボットの動作を同期させることで、部品挿入と半田付けを同一の装置内で連続的に行うことが可能になった。さらに、半田付けロボットに撮像手段を設けることにより、半田付け後の仕上がりを検査することも可能になっている。これらにより、本発明では、部品実装の一連の工程を1つの装置で実施することができる。
【0020】
図1に示すように、第1の部品実装装置100は、基板Bに部品Pを実装する部品実装装置である。基板Bは、PWB(Printed Wiring Board)やPCB(Printed Circuit
Board)等で代表されるプリント基板である。基板Bには、部品Pの端子部分が挿入されるスルーホールHが上面から下面に向かって貫通するように形成されている。基板Bは、部品Pが挿入される表面側を下方に向けて装置内の所定位置に搬送される。
【0021】
部品Pは、スルーホールHに対して挿入される端子L(リード線)を備えた電子部品である。
図1に示す部品Pは、例えば直方体状のパッケージの一表面から一対の端子Lが突出するように設けられている。なお、部品の形状は
図1に示す構成に限定されず、パッケージの形状や端子の本数等は、部品Pの種別によって異なるものとする。
【0022】
部品実装装置100は、基板Bに部品Pを挿入する部品挿入ロボット1と、基板Bに挿入された部品Pを半田付けする半田付けロボット2と、部品挿入ロボット1及び半田付けロボット2の動作を制御する制御手段3とを含んで構成される。
【0023】
部品挿入ロボット1は、例えば、複数のリンクを連結したアーム10を有する6軸多関節ロボットで構成され、基板Bの表面側(下方)に設けられている。アーム10の先端には、部品Pを把持する把持ハンド11が設けられている。詳細は後述するが、部品挿入ロボット1は、実装する部品Pの種別に応じて把持ハンド11を切替え可能な把持ハンド切替機構12を備えている。また、アーム10の先端の把持ハンド11近傍には、基板Bの表面を撮像する第1の撮像手段C1が設けられている。
【0024】
半田付けロボット2は、例えば、複数のリンクを連結したアーム20を有する6軸多関節ロボットで構成され、基板Bの裏面側(上方)に設けられている。アーム20の先端には、半田付け用のヘッド21が取り付けられている。なお、半田付けロボット2は、部品挿入ロボット1と同一の6軸多関節ロボットを用い、把持ハンド11の代わりに半田付け用のヘッド21を取り付けて構成してもよい。また、アーム
20の先端のヘッド21近傍には、基板Bの裏面を撮像する第2の撮像手段C2が設けられている。
【0025】
制御手段3は、部品実装装置100の各部を統括制御するものであり、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。第1の撮像手段C1、第2の撮像手段C2によって撮像された基板Bの撮像画像は、制御手段3に出力される。制御手段3は、第1の撮像手段C1によって撮像された撮像画像に基づいて部品Pの実装位置を把握し、部品挿入ロボット1の動作を制御する。
【0026】
また、制御手段3は、半田付け後の基板Bの仕上がりを検査する検査手段30を有している。制御手段3には、半田付けの良否判断の基準となる情報(例えば、半田のはみ出し寸法や形状等)が予め記憶されている。検査手段30は、第2の撮像手段C2によって撮像された撮像画像と予め記憶した上記情報とを比較して、半田付けの良否判断を実施する。
【0027】
このように構成される第1の部品実装装置100では、先ず、部品挿入ロボット1によってトレー(不図示)から部品Pがピックアップされる。そして、第1の撮像手段C1を用いて基板Bの表面が撮像され、基板Bに対する部品の挿入位置(スルーホールHの位置)が認識される。部品挿入ロボット1は、部品Pの端子LをスルーホールHに所定の挿入量で挿入した後、所定位置で保持する。このとき、基板Bの裏面からは、端子Lの先端が僅かに突出している。半田付けロボット2は、この端子Lの先端部分に向かってヘッド21を近付けて半田付けを行う。半田付け後、第2の撮像手段C2を用いて基板Bの裏面側から半田付け箇所が撮像され、半田付けの仕上がり具合が検査される。
【0028】
第1の部品実装装置100によれば、第1の撮像手段C1によって基板Bに対する部品Pの挿入位置(スルーホールHの位置)が特定され、部品Pが所定位置に挿入される。また、部品挿入ロボット1によって部品Pが所定位置に挿入された状態で保持されるため、基板Bに対する部品Pの位置がずれることなく半田付けを実施することができる。さらに、半田付け後、第2の撮像手段C2によって基板Bの裏面側が撮像されることにより、半田付けの仕上がりを検査することができる。このように、基板Bに対する部品挿入、半田付け及び検査の一連の工程を1つの装置で実施することができる。よって、各工程ごとに専用の装置を用意する必要が無く、部品実装のための装置導入コストを抑えることができる。
【0029】
次に、
図2を参照して、本発明に係る部品実装装置の第2の特徴について説明する。
図2は、本発明に係る第2の部品実装装置における概要説明図である。なお、
図2において、
図1に示す第1の部品実装装置と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与、又は構成を不図示としてその説明を省略する。
【0030】
上記のように、スルーホールに端子を挿入する場合、部品と基板との間には、絶縁を確保するために所定の距離を確保する必要がある。例えば、導電性を有するパッケージ部品にあっては、基板上の回路パターンに接触すると導通してしまうため、ある程度、基板の上面から浮かせた状態で実装する必要がある。従来では、端子の先端に絶縁チューブを挿入したり、端子の先端を特殊加工することで、この所定距離(絶縁距離)を保持していた。しかしながら、この場合、材料や加工工程が別途必要となるため、コストを上昇させる原因となっていた。
【0031】
そこで、本発明では、
図2に示すように、部品挿入ロボット1が把持する部品Pを撮像することにより、部品Pの把持状態(姿勢)を認識し、部品挿入ロボット1から突出した端子Lの突出量を予め算出している。そして、端子Lの突出量に応じてスルーホールHに対する部品P(端子L)の挿入量を調整している。このため、部品挿入ロボット1が部品Pを保持する度に、把持ハンド11に対する部品Pの保持位置が変わっても適切に部品Pを所定位置に配置することができる。よって、絶縁距離を保持するための構成が不要となり、コストを抑えることが可能になっている。
【0032】
図2に示す第2の部品実装装置200は、第3の撮像手段C3を備えている。第3の撮像手段C3は、部品挿入ロボット1の可動範囲内に配置されており、部品挿入ロボット1が保持する部品Pを撮像する。また、制御手段3は、基板Bに対する部品Pの挿入位置を算出する算出手段31を有している。算出手段31は、第3の撮像手段C3によって撮像された撮像画像に基づいて部品Pの位置を算出する。
【0033】
このように構成される第2の部品実装装置200では、部品挿入ロボット1によって部品Pがピックアップされると、把持ハンド11で把持した部品Pが第3の撮像手段C3によって撮像される。部品Pの撮像画像は制御手段3に出力され、算出手段31では、撮像画像に基づいて、把持ハンド11に対する部品Pの保持位置(例えば、端子Lの突出量)が認識される。制御手段3はその保持位置に基づいて基板Bに対する部品Pの挿入位置を調整するように部品挿入ロボット1を制御する。この結果、部品Pを適切な位置に挿入することができる。また、部品挿入ロボット1によって適切な位置に部品Pが挿入された状態で半田付けロボット2(
図1参照)による半田付け工程が実施されるため、絶縁距離を保持するための絶縁チューブや端子Lの先端を特殊加工が不要となる。
【0034】
次に、
図3及び
図4を参照して、本発明に係る部品実装装置の第3の特徴について説明する。
図3は、本発明に係る第3の部品実装装置における概要説明図である。
図4は、基板の表面に印刷されるシルクパターンの一例を示す図である。なお、
図3において、
図1又は
図2に示す部品実装装置と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与、又は構成を不図示としてその説明を省略する。また、
図4においては、基板の面方向をXY方向とし、基板の厚み方向(基板に対する部品の挿入方向)をZ方向とする。
【0035】
従来では、基板に部品を自動実装する場合に基板の種類ごとにスルーホールの位置を調べ、基板に対する部品の挿入位置を部品実装装置(部品挿入ロボット)側に全教示する必要があった。しかしながら、部品の実装対象となる基板の種類に応じてその都度部品の挿入位置を調べるのでは、非常に非効率であり、実装工程に時間を要するという問題があった。
【0036】
そこで、本発明では、
図3に示すように、予め、部品Pの実装対象となる基板Bのレイアウト(回路パターンやスルーホールHの位置)や実装すべき部品Pの種別等の情報を記憶しておき、第1の撮像手段C1で撮像した基板表面の撮像画像に基づいて、部品Pの挿入位置を決定するようにしている。これにより、基板Bが変わる度に部品Pの挿入位置を調べる必要が無く、生産性が向上される。
【0037】
図3に示すように、第3の部品実装装置300の制御手段3は、部品Pの種別と基板B上に設けられた部品識別コードS3(
図4参照)とを対応付け、基板Bに対する部品Pの挿入位置を部品Pの種別ごとに記憶する第1の記憶部32を有している。
【0038】
ここで、部品の挿入位置には、部品の極性(向き)、挿入座標(XY)及び挿入量(Z)が含まれるものとする。例えば、
図4に示すように、部品P(
図3参照)が実装される基板Bの表面には、部品Pの実装位置(挿入位置)を示す情報が予めシルク印刷されている。
図4では、矩形状の枠S1が部品Pの概略形状及び実装位置(挿入位置)を示している。また、矩形状の枠S1の一辺が帯状に太く塗りつぶされている。この帯状部分は、実装される部品Pの極性方向(プラスマイナスの向き)を示す極性識別情報S2を表している。
【0039】
また、矩形状の枠S1の外側(右側)には、端子L(
図3参照)が挿入される2つのスルーホールHが形成されている。一方のスルーホールHは部品Pのプラス側に接続され、他方のスルーホールHは部品Pのマイナス側に接続される。なお、
図4では、帯状の極性識別情報が印刷される部分が、部品Pのマイナス側を示している。これらのスルーホールHの位置座標(XY座標)は、端子Lの挿入座標として、第1の記憶部32(
図3参照)に記憶されている。
【0040】
また、矩形状の枠S1の右側には、部品Pの種別を示す部品識別コードS3が印刷されている。
図4に示す例では、「C4」と記載された部分が部品識別コードS3を示している。この部品識別コードS3により、この枠S1内には「C4」に対応する部品Pが実装されることが認識される。また、上記した挿入位置には、部品Pの種別に応じた部品Pの絶縁距離(端子Lの挿入量(Z座標))も含まれている。これにより、部品Pの種別に応じて基板Bに対する部品Pの絶縁距離を確保することが可能になっている。
【0041】
また、図示はされていないが、基板Bには、部品実装装置300に対する基板Bの配置位置を認識するための基準マークが形成されている。本発明では、基板Bの表面を撮像する際にこの基準マークを撮像することで、部品実装装置300に対する基板Bの傾きや位置ずれを認識することができる。
【0042】
このように構成される第3の部品実装装置300では、部品挿入ロボット1で部品Pを基板Bに挿入する際に、予め第1の撮像手段C1を用いて基板Bの表面が撮像される。第1の撮像手段C1によって撮像された撮像画像には、
図4に示すように、部品Pの種別、部品Pの実装位置座標(枠S1の位置座標)、極性識別情報S2、スルーホールHの位置座標等の部品Pの挿入位置を示す各種情報が含まれている。これらの情報(撮像画像)は、制御手段3に出力される。
【0043】
制御手段3は、第1の記憶部32に予め記憶された部品種別ごとの挿入位置情報と、撮像画像から得られる各種情報とを照らし合わせて、撮像画像に含まれる部品識別コードS3から部品Pの種別を認識し、部品Pの挿入位置を算出する。そして、その挿入位置に基づいて部品挿入ロボット1が制御され、部品Pが所定位置に挿入される。
【0044】
このように、部品Pの種別に応じた部品Pの挿入位置を予め記憶しておくことにより、第1の撮像手段C1によって撮像される撮像画像から部品Pの種別を認識することで、異なる部品Pであっても所定位置に挿入することができる。また、部品Pの挿入位置の情報として、部品Pの極性、挿入座標及び挿入量を含めることにより、これらの挿入位置の情報に応じて、部品Pを適切な位置に挿入することができる。
【0045】
次に、
図5を参照して、本発明に係る部品実装装置の第4の特徴について説明する。
図5は、本発明に係る第4の部品実装装置における概要説明図である。なお、
図5において、
図1から
図3に示す部品実装装置と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与、又は構成を不図示としてその説明を省略する。
【0046】
図5に示す第4の部品実装装置400では、部品挿入ロボット1がトレーTから部品Pをピックアップする前に、トレーT上の部品Pを撮像し予め部品Pの種別を認識してから部品Pに種別に応じた把持ハンド11に切替えるように構成されている。
【0047】
図5に示すように、第4の部品実装装置400は、トレーT上に配置された部品Pの種別に応じて把持ハンド11を切替え、部品PをトレーTからピックアップして基板B(
図1参照)上の所定位置に挿入するように構成されている。第4の部品実装装置400は、トレーT上に配置された部品Pを撮像する第4の撮像手段C4を備えている。第4の撮像手段C4は、トレーTの搬送経路上に設けられ、部品挿入ロボット1で部品Pをピックアップする前にトレーT上の部品Pを撮像する。
【0048】
部品挿入ロボット1は、部品を把持する把持ハンド11と、部品Pの種別に応じて把持ハンド11を切替え可能な把持ハンド切替機構12と、を有している。把持ハンド切替機構12は、例えばツールチェンジャーで構成され、エアー駆動されることで把持ハンド11を脱着可能に構成される。把持ハンド11は、例えば、部品Pの種別ごとに予め用意されており、図示しないトレー上の所定位置に複数の把持ハンド11が並べられている。なお、把持ハンド切替機構12は、
図5に示すように、アーム10の先端に複数の把持ハンド11(
図5では2つのみ図示)を取り付け、ピックアップ対象となる部品Pの種別に応じてアーム10の先端を回転させて把持ハンド11を切替えるように構成されてもよい。
【0049】
制御手段3は、部品Pの種別と把持ハンド11の種別とを対応付けて記憶する第2の記憶部33を備えている。本発明では、第4の撮像手段C4によって撮像される撮像画像から部品Pの種別を認識し、部品Pの種別に対応した把持ハンド11の種別に基づいて把持ハンド11を切替える。
【0050】
このように構成される第4の部品実装装置400では、複数の部品Pが配置されたトレーTが搬送されると、第4の撮像手段C4により、トレーT上の部品Pが撮像される。この撮像画像は制御手段3に出力される。制御手段3は、第2の記憶部33に予め記憶された部品種別ごとの把持ハンド11の情報と、撮像画像から得られる各種情報とを照らし合わせて部品Pの種別を認識し、部品Pの種別に応じた把持ハンド11を選択する。そして、選択された把持ハンド11の種別に基づいて部品挿入ロボット1が制御され、把持ハンド11が切替えられる。
【0051】
このように、部品Pの種別に応じた把持ハンド11の種別を予め記憶しておくことにより、第4の撮像手段C4によって撮像される撮像画像から部品Pの種別を認識することで、部品Pの種別に応じた把持ハンド11の切替えを容易に行うことができる。
【0052】
次に、
図6から
図12を参照して、本実施の形態に係る部品実装装置及び部品実装工程の一連の流れについて説明する。
図6は、本実施の形態に係る部品実装装置の説明図である。
図7は、本実施の形態に係る部品把持工程の一例を示す図である。
図8は、本実施の形態に係る把持部品撮像工程の一例を示す図である。
図9は、本実施の形態に係る基板表面撮像工程の一例を示す図である。
図10は、本実施の形態に係る部品挿入工程の一例を示す図である。
図11は、本実施の形態に係る半田付け工程の一例を示す図である。
図12は、本実施の形態に係る検査工程の一例を示す図である。
【0053】
なお、以下に示す本実施の形態においては、上述した第1〜第4の部品実装装置100〜400の全てを組み合わせた場合について説明する。しかしながら、本実施の形態においては、必ずしも第1〜第4の部品実装装置100〜400を組み合わせる必要はない。任意の部品実装装置100〜400のうち、いずれかのみで実施することも可能である。また、以下に示す本実施の形態において、説明の便宜上、
図1〜
図5に示す部品実装装置100〜400と共通の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、以下に示す部品実装工程は一例を示すものであり、各工程の順番や内容はこれに限定されず、適宜変更が可能である。
【0054】
図6に示すように、本実施の形態に係る部品実装装置500は、部品挿入ロボット1、半田付けロボット2、第1〜第4の撮像手段C1〜C4、及び制御手段3とを含んで構成される。制御手段3は、部品実装装置500の一連の動作を統括制御するものであり、検査手段30、算出手段31、第1の記憶部32、及び第2の記憶部33を含んで構成される。これらの各構成は、
図1から
図5において説明した内容と共通するため、説明を省略する。
【0055】
このように構成される部品実装装置500は、部品実装の一連の工程を全て自動で行うものである。部品Pの実装工程では、部品撮像工程(
図6参照)、部品把持工程(
図7参照)、把持部品撮像工程(
図8参照)、基板表面撮像工程(
図9参照)、部品挿入工程(
図10参照)、半田付け工程(
図11参照)、及び検査工程(
図12参照)がこの順番に実施される。以下、各工程を順番に説明する。
【0056】
図6に示すように、先ず部品撮像工程が実施される。部品撮像工程では、複数の部品Pが配置されたトレーTが部品挿入ロボット1の近傍に搬送されると、第4の撮像手段C4によってトレーTの上方からトレーT内の部品Pが撮像される。
【0057】
第4の撮像手段C4によって撮像された撮像画像は制御手段3に出力され、制御手段3では、この撮像画像に基づいて実装対象となる部品Pの種別が認識される。そして、制御手段3は、第2の記憶部33から部品Pの種別に応じた把持ハンド11を選択し、把持ハンド切替機構12を用いて、最適な把持ハンド11に切替えるように部品挿入ロボット1の動作を制御する。
【0058】
次に、部品把持工程が実施される。
図7に示すように、部品把持工程では、部品挿入ロボット1が、把持ハンド11を用いてトレーT上の部品Pをピックアップする。ピックアップする部品Pの位置座標は、先に第4の撮像手段C4(
図6参照)で撮像した撮像画像から認識してもよい。
【0059】
次に、把持部品撮像工程が実施される。
図8に示すように、把持部品撮像工程では、トレーT(
図7参照)からピックアップした部品Pを第3の撮像手段C3によって撮像する。このとき、第3の撮像手段C3の撮像方向に対して端子Lの延在方向が垂直となるようにアーム10の角度が調整され、端子Lが第3の撮像手段C3の撮像範囲に入るようにアーム10の位置が調整される。
【0060】
算出手段31(
図6参照)では、第3の撮像手段C3で撮像された撮像画像に基づいて把持ハンド11に対する端子Lの突出量が認識され、端子Lの突出量に応じた部品P(端子L)の最適な挿入量が算出される。なお、把持部品撮像工程では、第3の撮像手段C3の撮像方向に対して端子Lの延在方向が垂直となるようにアーム10の角度が調整された状態で撮像する構成としたが、この構成に限定されない。把持ハンド11で把持した部品Pの撮像方向は適宜変更が可能である。例えば、複数の方向で部品Pを撮像し、端子Lの突出量だけでなく、把持ハンド11に対する部品Pの位置ずれ、傾き等を認識してもよい。
【0061】
次に、基板表面撮像工程が実施される。
図9に示すように、基板表面撮像工程では、第1の撮像手段C1によって基板Bの表面が撮像される。第1の撮像手段C1によって撮像された撮像画像には、部品Pの実装位置周辺のシルクパターンやスルーホールHが含まれている(
図4参照)。この撮像画像は制御手段3に出力され、制御手段3では、この撮像画像に基づいて実装対象となる部品Pの種別が認識される。
【0062】
次に、部品挿入工程が実施される。
図10に示すように、部品挿入工程では、部品挿入ロボット1により、部品Pが基板Bの所定位置に挿入される。上記したように、基板表面撮像工程において部品Pの種別が認識されると、制御手段3(
図6参照)は、第1の記憶部32から部品Pの種別に応じた部品Pの実装位置(端子Lの挿入位置)を検索する。そして、制御手段3は、検索された部品Pの実装位置に応じて部品挿入ロボット1の動作を制御する。これにより、部品Pは、基板Bに対して所定の絶縁距離を保った状態で適切な位置に挿入される。
【0063】
次に、半田付け工程が実施される。
図11に示すように、半田付け工程では、基板Bの裏面から突出した端子Lに半田付けが行われる。上記したように、基板Bに対して端子Lが挿入されると、端子Lの先端は基板Bの裏面から僅かに突出し、部品Pのパッケージ部分は基板Bに表面から所定の距離(絶縁距離)の分だけ離れた状態で保持される。
【0064】
基板Bの裏面側では、半田付けロボット2により、ヘッド21の先端が端子Lの先端近傍に位置付けられ、半田付けが行われる。これにより、部品Pが基板Bの所定位置に実装される。このように、部品挿入ロボット1により、スルーホールHに対して端子Lを挿入して保持されたまま半田付けが実施されるため、絶縁距離を保持するための構成が不要となる。
【0065】
次に、検査工程が実施される。
図12に示すように、検査工程では、半田付けの仕上がり具合が検査される。具体的には、第2の撮像手段C2により、基板Bの裏面側から半田付け箇所が撮像され、撮像画像が制御手段3(
図6参照)に出力される。検査手段30では、制御手段3に予め記憶された半田付けの良否判断の基準となる情報と、第2の撮像手段C2によって撮像された撮像画像とを比較することにより、半田付けの良否判断を実施する。以上により、本実施の形態に係る部品実装工程の一連の流れが終了する。
【0066】
なお、半田付けロボット2によって検査工程が実施されている間に、部品挿入ロボット1は、次に実装予定の部品Pのピックアップ(部品把持工程)を開始してもよい。半田付け後の部品挿入ロボット1は、検査工程の間は待機時間となってしまうため、次の部品実装工程に移行することで、時間の有効活用をすることができる。すなわち、検査工程は、部品挿入ロボット1が新しい部品Pをピックアップして基板Bに挿入するまでの間に実施されることが好ましい。これにより、検査工程の為の時間を要することが無く、タクトタイムの短縮化を実現することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態に係る部品実装装置500によれば、部品実装の一連の工程を1つの装置で実施することができるため、各工程ごとに専用の装置を用意する場合に比べ、部品実装のための装置の導入コストを抑えることができる。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【0069】
例えば、上記実施の形態において、把持ハンド11で部品Pをピックアップ(把持)する構成としたが、この構成に限定されない。例えば、吸着式のハンドで部品Pをピックアップしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、部品挿入ロボット1及び半田付けロボット2は、6軸多関節ロボットで構成されるとしたが、この構成に限定されない。部品挿入ロボット1及び半田付けロボット2は、例えば、3軸タイプのロボットで構成されてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、部品挿入ロボット1がトレーTから部品Pをピックアップした後に基板表面撮像工程を実施する構成としたが、この構成に限定されない。基板表面撮像工程は、部品Pを基板Bに挿入する前であればどのタイミングで実施されてもよく、例えば、部品把持工程に前に実施されてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、制御手段3が第1の記憶部32、又は第2の記憶部33を有する構成としたが、この構成に限定されない。第1の記憶部32、又は第2の記憶部33は、外部の記憶媒体に各種情報を記憶するように構成されてもよい。
ここで、上記部品実装装置は、基板に形成されるスルーホールに対して挿入される端子を備えた部品を実装する部品実装装置であって、前記基板に対して前記部品の前記端子を前記スルーホールに挿入して保持する部品挿入ロボットと、前記部品挿入ロボットの動作を制御する制御手段と、前記基板に挿入された前記部品の前記端子を前記基板に半田付けする半田付けロボットと、前記半田付けロボットによって半田付けされた前記部品及び前記基板の仕上がりを検査する検査手段と、を備え、前記部品挿入ロボットは、前記基板を撮像する第1の撮像手段を有し、前記半田付けロボットは、前記基板を撮像する第2の撮像手段を有し、前記制御手段は、前記第1の撮像手段によって撮像される撮像画像に基づいて前記部品挿入ロボットの動作を制御し、前記検査手段は、前記第2の撮像手段によって撮像される撮像画像に基づいて半田付けの仕上がりを検査する。
この構成によれば、第1の撮像手段によって基板に対する部品の挿入位置(スルーホールの位置)が特定され、部品が所定位置に挿入される。また、部品挿入ロボットによって部品が所定位置に挿入された状態で保持されるため、基板に対する部品の位置がずれることなく半田付けを実施することができる。さらに、半田付け後、第2の撮像手段によって基板が撮像されることにより、半田付けの仕上がりを検査することができる。このように、基板に対する部品挿入、半田付け及び検査の一連の工程を1つの装置で実施することができる。よって、各工程ごとに専用の装置を用意する必要が無く、部品実装のための装置導入コストを抑えることができる。
また、上記部品実装装置は、前記部品挿入ロボットが保持する前記部品を撮像する第3の撮像手段を更に備え、前記制御手段は、前記第3の撮像手段によって撮像される撮像画像に基づいて前記基板に対する前記部品の挿入位置を調整することが好ましい。この構成によれば、第3の撮像手段によって撮像される撮像画像から、部品挿入ロボットが保持した部品の保持位置を認識することができる。そして、この保持位置に基づいて部品の挿入位置が調整されることにより、部品を適切な位置に挿入することができる。
また、上記部品実装装置は、前記部品の挿入位置を算出する算出手段を更に備え、前記算出手段は、前記第3の撮像手段によって撮像される撮像画像に基づいて前記部品の挿入位置を算出することが好ましい。この構成によれば、部品挿入ロボットが部品を保持する度に部品の保持位置がずれた場合であっても、撮像画像に基づいて部品の挿入位置が算出されることにより、部品を適切な位置に挿入することができる。
また、上記部品実装装置は、前記部品の種別と前記基板上に設けられた部品識別コードとを対応付け、前記基板に対する前記部品の挿入位置を前記部品の種別ごとに記憶する第1の記憶部を更に備え、前記制御手段は、前記第1の撮像手段によって撮像される撮像画像に含まれる前記部品識別コードから前記部品の種別を認識し、当該部品の種別に対応した前記部品の挿入位置に基づいて前記部品挿入ロボットの動作を制御することが好ましい。この構成によれば、部品の種別に応じた部品の挿入位置を予め記憶しておくことにより、第1の撮像手段によって撮像される撮像画像から部品の種別を認識することで、異なる部品であっても所定位置に挿入することができる。
また、上記部品実装装置において、前記部品の挿入位置には、前記部品の極性、挿入座標及び挿入量が含まれることが好ましい。この構成によれば、部品の極性、挿入座標及び挿入量に応じて、部品を適切な位置に挿入することができる。
また、上記部品実装装置において、前記部品挿入ロボットは、前記部品を把持する把持ハンドと、前記部品の種別に応じて前記把持ハンドを切替え可能な把持ハンド切替機構と、を有し、前記部品挿入ロボットが保持する前の前記部品を撮像する第4の撮像手段と、前記部品の種別と前記部品に応じた前記把持ハンドの種別とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、を更に備え、前記制御手段は、前記第4の撮像手段によって撮像される撮像画像から前記部品の種別を認識し、当該部品の種別に対応した前記把持ハンドの種別に基づいて前記把持ハンドを切替えるように前記部品挿入ロボットの動作を制御することが好ましい。この構成によれば、部品の種別に応じた把持ハンドを予め記憶しておくことにより、第4の撮像手段によって撮像される撮像画像から部品の種別を認識することで、把持ハンドの切替えを容易に行うことができる。