特許第6120953号(P6120953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6120953界面活性剤溶液中における低温安定剤としてのN−メチル−N−アシルグルカミンの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120953
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】界面活性剤溶液中における低温安定剤としてのN−メチル−N−アシルグルカミンの使用
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/32 20060101AFI20170417BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20170417BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20170417BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20170417BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20170417BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20170417BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170417BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170417BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20170417BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20170417BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   C11D3/32
   C11D1/52
   C11D17/08
   A61K8/46
   A61K8/42
   A61K8/44
   A61Q5/02
   A61Q19/10
   C11D1/14
   C11D1/90
   C11D1/29
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-514481(P2015-514481)
(86)(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公表番号】特表2015-519451(P2015-519451A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013061046
(87)【国際公開番号】WO2013178670
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】102012010700.5
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398056207
【氏名又は名称】クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】クルーク・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ミルトナー・カリナ
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−048618(JP,A)
【文献】 特表平06−510326(JP,A)
【文献】 特表平06−501505(JP,A)
【文献】 特表平06−505032(JP,A)
【文献】 特表2001−520305(JP,A)
【文献】 特表2003−508585(JP,A)
【文献】 特表2001−511472(JP,A)
【文献】 特表2003−503582(JP,A)
【文献】 特表2011−501961(JP,A)
【文献】 特表2015−518027(JP,A)
【文献】 国際公開第98/000496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/32
A61K 8/42
A61K 8/44
A61K 8/46
A61Q 5/02
A61Q 19/10
C11D 1/14
C11D 1/29
C11D 1/52
C11D 1/90
C11D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートからなる群からのアニオン性界面活性剤、及びベタイン系−界面活性剤を含有する界面活性剤水溶液中におけるN−メチル−N−アシルグルカミンの低温安定剤としての使用であって、その際、N−メチル−N−アシルグルカミンの少なくとも90重量%が、C−アシル−基又はC10−アシル基を有する、上記の使用。
【請求項2】
前記界面活性剤水溶液が、線状のC−C20−アルキルサルフェート及び/又は線状のC−C20−アルキルエーテルサルフェートを含有することを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項3】
前記界面活性剤水溶液が、ラウリルサルフェート及び/又はラウリルエーテルサルフェートを含有することを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項4】
前記界面活性剤水溶液が、アシルアミドプロピルベタイン又はアルキルベタインを含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の使用。
【請求項5】
(a)成分(A)として、少なくとも90重量%がC−アシル基又はC10−アシル基を有する、N−メチル−N−アシルグルカミン、
(b)成分(B)として、一種又は多種のアルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートからなる群からのアニオン性の界面活性剤、
(c)成分(C)として、一種又は多種のベタイン系−界面活性剤、
(d)場合によって、成分(D)として更なる界面活性剤、
(e)成分(E)として、水、
(f)場合によって、成分(F)として、更なる添加剤、
を含有する組成物。
【請求項6】
(a)0.01〜5.0重量%の成分(A)、
(b)1.0〜20.0重量%の成分(B)、
(c)0.1〜10.0重量%の成分(C)、
(d)0〜5.0重量%の成分(D)、
(e)55.0〜98.89重量%の成分(E)、
(f)0〜5.0重量%の成分(F)、
を含有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
毛髪用シャンプー、シャワーソープ、ハンドソープ及び洗顔料の形態の請求項5又は6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤水溶液中における低温安定剤としてのN−メチル−N−アシルグルカミンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
短鎖の糖型界面活性剤が表面活性化剤における可溶化剤として投入されることは知られている。
【0003】
毛髪用シャンプー、食器洗浄機用洗剤又は食器用洗剤のような液状界面活性化剤を製造する際に、しばしば、界面活性剤の含有物が、十分な水溶性を有さないために、特に、塩の存在下で曇ったり、また多くの相が形成されたりといった問題に遭遇する。洗浄剤、リンス剤、並びに化粧品又は医薬品のような表面活性化剤中の界面活性剤の含有物を可溶化するために、国際公開第96/14374号パンフレット(特許文献1)は、次の式のカルボン酸−N−アルキル−N−ポリヒドロキシアルキルアミドを開示している。
【0004】
CO−NR−[Z]
(式中、RCOは、1〜8個のC−原子を有する脂肪族アシル残基であり、Rは、水素又は1〜8個のC−原子を有するアルキル残基又はヒドロキシアルキル残基であり、[Z]は、3〜12個のC−原子及び3〜10個のOH−基を有するポリヒドロキシアルキル残基である。)好ましいものとして、カルボン酸−N−アルキルグルカミンが知られており、その場合、RCOは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸又はカプロン酸のアシル残基であり、かつ、アルキル残基Rは、メチル又はオクチルである。実施例では、油酸スルホナート−ナトリウム塩、ヤシ脂肪アルコールエーテルサルフェート−ナトリウム塩及びヤシ脂肪酸−トリエタノールアンモニウム塩を含有する混合物の可溶化剤として、酢酸−N−オクチルグルカミン、酪酸−N−オクチルグルカミン及びカプロン酸−N−メチルグルカミンが使用されている。
【0005】
国際公開第95/17880号パンフレット(特許文献2)は、アルキルグリコールエーテルサルフェート及びアルキルサルフェート並びにポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドを含有する毛髪用シャンプーを記載している。アルキルグリコールエーテルサルフェートとして、ラウリルトリエチレングリコールエーテルサルフェート等が、そしてアルキルサルフェートとしてラウリルサルフェートが知られている。ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドとして、次の一般式で表される化合物が挙げられる。
【0006】
−CO−NR−Z
(式中、Rは、好ましくはC−C−アルキル、特に、メチルであり、Rは、好ましくは直鎖状のC−C19−アルキル又は−アルケニル、特に、直鎖状のC11−C16−アルキル又は−アルケニルであり、そしてZは、好ましくは、1−デオキシドグルシチル、2−デオキシフルクチチル、1−デオキシマルチチル、1−デオキシラクチチル、1−デオキシガラクチチル、1−デオキシマンニチル又は1−デオキシマルトトリオチチルである。実施例は、アンモニウムラウリル-サルフェート、アンモニウムラウリルトリエチレングリコールサルフェート及びラウリル−N−メチルグルカミンを含有する毛髪用シャンプー組成物を開示している。
【0007】
界面活性剤水溶液が一方で線状のアルキルサルフェート及び/又はアルキルエーテルサルフェート、並びに他方でベタイン系界面活性剤を含有する場合、温度が低下すると共に粘度も減少する。これは、低温時に溶液から界面活性剤が析出することによって起こり得る。この効果は、実施上におけるスポーツバッグ効果として知られていて望ましいものではない。というのも、ボディ用洗浄剤及び毛髪用洗浄剤は、低温での貯蔵時に水の様に薄くなってしまい、もはや望ましい取扱プロフィルを有さなくなるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第96/14374号パンフレット
【特許文献2】国際公開第95/17880号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0 550 637 B1号
【特許文献4】欧州特許第0 550 637 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、界面活性剤水溶液の低温安定性を改善するための安定剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、界面活性剤水溶液中におけるN−メチル−N−アシルグルカミンの低温安定剤としての使用であって、その際、該N−メチル−N−アシルグルカミンの少なくとも90重量%が、C−アシル基又はC10−アシル基を有する、該使用によって解決される。
【0011】
N−メチル−N−アシルグルカミンは、次の一般式(I)を有する。
【0012】
【化1】
【0013】
式中、Rは、対応するアルキル残基又は一価又は多価の不飽和アルケニル残基を意味し、C−アシルグルカミン又はC10−アシルグルカミンの場合、C−アルキル残基又はC−アルキル残基、又は一価又多価の不飽和アルケニル残基である。
【0014】
本発明により使用されるN−メチル−N−C−C10−アシルグルカミンの存在下では、界面活性剤水溶液の粘度は、低温においてもなお驚くほど高いことが見出された。
【0015】
本発明により使用されるN−メチル−N−アシルグルカミンは、その少なくとも90重量%までが、C−アシル基又はC10−アシル基を含有するN−メチル−N−アシルグルカミンからなる。特に好ましくは、C−アシル基又はC10−アシル基を含有するN−メチル−N−アシルグルカミンの割合は、少なくとも95重量%である。本発明により可溶化剤として使用されるN−メチル−N−アシルグルカミンは、低い割合の短鎖及び/又は長鎖脂肪酸から誘導された、特に、C−C−アシル、C−アシル、C12−アシル、C14−アシル、C16−アシル、C18−アシル及び/又はC20−アシルを含有するようなN−メチル−N−アシルグルカミンを含有する。
【0016】
N−メチル−N−アシルグルカミンは、欧州特許第0 550 637 B1号(特許文献3)に開示されるように、対応する脂肪酸エステル又は脂肪酸エステル混合物を、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有する溶剤の存在下で、N−メチルグルカミンと反応させることによって製造できる。適当な溶剤は、例えば、C−C−モノアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン並びにアルコキシル化アルコールである。好ましくは、1,2−プロピレングリコールである。N−メチルグルカミンは、同様に、欧州特許第0 550 637 A1号(特許文献4)に開示されるように、グルコースのメチルアミンとの還元性アミン化によって得ることができる。
【0017】
N−メチルグルカミンと共にN−メチルN−アシルグルカミンに転化させるのに適した脂肪酸エステルは、一般に、例えば、トリグリセリドのような天然の脂肪及び油脂からのエステル化によって得られるメチルエステルである。
【0018】
脂肪酸メチルエステルを製造するのに適した原材料は、例えば、ヤシ油又はパーム油である。
【0019】
一般に、界面活性剤水溶液は、アニオン性の界面活性剤又はベタイン系の界面活性剤のいずれかを含有する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、該界面活性剤は、アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートの群からの一種又は二種のアニオン性界面活性剤である。
【0021】
好ましいアルキルサルフェートは、C−C20−アルキルサルフェート、特に、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩の形態の線状のC−C20−アルキルサルフェートである。アルキルサルフェートの例は、ラウリルサルフェート、ヤシ脂肪アルキルサルフェート及び獣脂アルキルサルフェートである。特に好ましくはラウリルサルフェートである。
【0022】
好ましいアルキルエーテルサルフェートは、C−C20−アルキルエーテルサルフェートであり、特に好ましくは、線状のC−C20−アルキルエーテルサルフェート、特に、エトキシル化脂肪アルコールから誘導された、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩の形態のアルキルグリコールエーテルサルフェートである。アルキルエーテルサルフェートの例は、ラウリルエーテルサルフェート、ヤシ脂肪酸アルキルエーテルサルフェート及び獣脂アルキルエーテルサルフェートである。グリコールエーテルサルフェートの例は、ラウリルトリエチレングリコールエーテルサルフェート、ヤシ脂肪酸アルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート及び獣脂アルキルヘキサエチレングリコールエーテルサルフェートである。特に好ましくは、ラウリルグリコールエーテルサルフェート、例えば、ラウリルジエチレングリコールエーテルサルフェート及びラウリルトリエチレングリコールエーテルサルフェート、特にそのナトリウム塩の形態のものである。
【0023】
好ましくは、界面活性剤水溶液は、それ以外に、ベタイン系界面活性剤であるアニオン界面活性剤を少なくとも一種含有する。
【0024】
ベタイン系界面活性剤は、その同じ分子中に一つのカチオン基、特にアンモニウム基及びカルボキシレート基、硫酸基又はスルホナート基であることができるアニオン基を含有する。適当なベタインは、アルキルベタイン、例えば、ココベタイン又は脂肪酸アルキルアミドプロピルベタイン、例えば、ヤシ脂肪酸アシルアミドプロピルジメチルベタイン、C12−C18−ジメチルアミノヘキサノエート又はC10−C18−アシルアミドプロパンジメチルベタインである。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、界面活性剤水溶液は、次の一般式(I)のアミドプロピルベタインを一種又は二種含有する。
【0026】
【化2】
【0027】
式中、Rは、線状又は分岐状の飽和C−C21アルキル基又は線状又は分岐状の一価又は多価の不飽和のC−C21アルケニル基である。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態では、界面活性剤水溶液は、次式(II)のベタインを一種又は二種含有する。
【0029】
【化3】
【0030】
式中、Rは、線状又は分岐状の飽和C−C22アルキル基又は線状又は分岐状の一価又は多価の不飽和のC−C22アルケニル基である。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態では、界面活性剤水溶液は、次式(III)のスルホベタインを一種又は二種含有する。
【0032】
【化4】
【0033】
式中、Rは、線状又は分岐状の飽和C−C22アルキル基又は線状又は分岐状の一価又は多価の不飽和のC−C22アルケニル基である。
【0034】
本発明のより好ましいさらなる実施形態では、界面活性剤溶液は、式(I)のアミドプロピルベタイン、式(II)のベタイン及び式(III)のスルホベタインからなる化合物の群から選択される一種又は二種のベタイン系界面活性剤を含有する。
【0035】
本発明の特に好ましい実施形態では、界面活性剤溶液は、式(I)のアミドプロピルベタインから選択される一種又は二種のベタイン系界面活性剤を含有する。
【0036】
本発明のより好ましいさらなる実施形態では、界面活性剤溶液は、式(II)のベタインから選択される一種又は二種のベタイン系界面活性剤を含有する。
【0037】
本発明の特に好ましいさらなる実施形態では、界面活性剤溶液は、式(III)のスルホベタインから選択される一種又は二種のベタイン系界面活性剤を含有する。
【0038】
好ましくは、式(I)の一種又は二種のアミドプロピルベタイン中の残基Rは、線状又は分岐状の飽和C−C17アルキル基である。線状及び分岐状の飽和アルキル基Rの中でも、線状の飽和アルキル基が好ましい。
【0039】
特に好ましくは、式(I)のアミドプロピルベタインは、コカミドプロピルベタインである。
【0040】
好ましくは、式(II)の一種又は二種のベタイン中の残基Rは、線状又は分岐状の飽和C−C18−アルキル基であり、そしてより好ましくは線状又は分岐状の飽和C12−C18−アルキル基である。線状及び分岐状の飽和アルキル基Rの中では、線状の飽和アルキル基が好ましい。
【0041】
好ましくは、一種又は二種の式(III)のスルホベタイン中の残基Rは、線状又は分岐状の飽和C−C18アルキル基、そしてより好ましくは、線状又は分岐状の飽和C12−C18アルキル基である。線状及び分岐状の飽和アルキル基Rの中では、線状の飽和アルキル基が好ましい。
【0042】
特に好ましくは、界面活性剤水溶液は、式(I)のアミドプロピルベタイン及び/又は式(II)のアルキルベタインを含有する。
【0043】
本発明の対象は、
(a)成分(A)として、少なくとも90重量%がC−アシル基又はC10−アシル基を有するN−メチル−N−アシルグルカミン、
(b)成分(B)として、一種又は二種のアニオン性の界面活性剤、
(c)成分(C)として、ベタイン系−界面活性剤、
(d)場合によって、成分(D)として更なる界面活性剤、
(e)成分(E)として、水、
(f)場合によって、成分(F)として、保存料、香料、着色料及び保湿剤のような更なる添加剤、
を含有する組成物である。
【0044】
一般に、該組成物は、
(a)0.01〜5.0重量%、好ましくは、0.1〜3.0重量%の成分(A)、
(b)1.0〜20.0重量%、好ましくは、5.0〜15重量%の成分(B)、
(c)0.1〜10.0重量%、好ましくは、1.0〜10.0重量%の成分(C)、
(d)0〜5.0重量%、好ましくは、0〜3.0重量%の成分(D)、
(e)55.0〜98.89重量%、好ましくは、75〜95重量%の成分(E)、
(f)0〜5.0重量%、好ましくは、0〜2.0重量%の成分(F)、
を含有する。
【0045】
好ましくは、本発明の化粧料組成物は、上述のアルキルサルフェート及び/又はアルキルエーテルサルフェート及びベタイン系界面活性剤を含有する。
【0046】
任意のさらなる界面活性剤(D)は、カチオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤であることができる。
【0047】
好適なカチオン性界面活性剤は、RN(CHX、RN(CHX、RN(CH)X又はRNXの種類の、置換された、又は置換されていない、直鎖状の又は分岐鎖状の第四級アンモニウム塩である。残基R、R、R及びRは、好ましくは、相互に独立して、8〜24個のC原子、好ましくは、10〜18個のC原子の鎖長を有する置換されていないアルキル、1〜4個のC原子を有するヒドロキシアルキル、フェニル、C−〜C18−アルケニル、C−〜C24−アラルキル、(CO)H(式中、xは1〜3を意味する。)、一つ又は二つ以上のエステル基を含有するアルキル残基又は環状の第四級アンモニウム塩であることができる。Xは、適当なアニオンである。好ましくは、(C−C22)−アルキルトリメチルアンモニウムクロリド又は−ブロミド、特に好ましくは、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又は−ブロミド、ジ−(C−C22)−アルキルジメチルアンモニウムクロリド又は−ブロミド、(C−C22)−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド又は−ブロミド、(C−C22)−アルキル−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、−ホスフェート、−サルフェート、−ラクテートであり、さらに好ましくは、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジ(C−C22)−アルキルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及び−メトサルフェートである。
【0048】
非イオン性界面活性剤としては、例えば次の化合物が挙げられる。
−アルキルフェノールの、ポリエチレン−、ポリプロピレン−及びポリブチレンオキシド縮合物。これらの化合物は、C−〜C20−アルキル基を有するアルキルフェノールの、アルケンオキシドとの縮合生成物を含み、線状又は分岐状であることができる。これらの界面活性剤は、アルキルフェノールアルコキシレート、例えば、アルキルフェノールエトキシレートと呼ばれる。
−脂肪族アルコールと1〜25モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。この脂肪族アルコールのアルキル鎖又はアルケニル鎖は、線状又は分岐状、第一級又は第二級であることができ、そして、全部で8〜22個の炭素原子を有する。特に好ましくは、この縮合生成物は、C10−〜C20−アルコールと、そのアルコール1モル当たり2〜18モルのエチレンオキシドとからの生成物である。アルコールエトキシレートは、エチレンオキシドの狭い同族体分布(“狭い範囲のエトキシレート”)又はエチレンオキシドの広い同族体分布(“広い範囲のエトキシレート”)を有することができる。市場から入手可能なこの種の非イオン性の界面活性剤の例は、Tergitol(登録商標) 15−S−9(線状の第二級のC11−C15−アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、Tergitol(登録商標) 24−L−NMW(線状の第一級のC12−C14−アルコールと6モルのエチレンオキシドとの、狭い分子量分布の場合の縮合生成物)である。同様に、この製品のクラスは、Clariantの登録商標であるGenapol(登録商標) PFを包含する。
−プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって得られる疎水性のベースを有するエチレンオキシドからの縮合生成物。この化合物の疎水性の部分は、好ましくは、1500〜1800の分子量を有する。この疎水性の部分に対するエチレンオキシドの付加により、水溶性が向上する。この生成物は、縮合生成物の全重量の約50%のポリオキシエチレン含有量までの液体であり、約40モルまでのエチレンオキシドとの縮合物に相当する。市場から入手可能なこの生成物の例は、BASFの登録商標Pluronic(登録商標)及びClariantの登録商標Genapol(登録商標)の製品である。
−エチレンオキシドと、プロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合生成物。この化合物の疎水性の部分は、エチレンジアミンと、過剰のプロピレンオキシドとの反応生成物からなり、一般に2500〜3000の分子量を有する。この疎水性の部分に、40〜80重量%のポリオキシエチレンの含有量まで、そして5000〜11000の分子量までエチレンオキシドが付加される。市場から入手可能なこの種の化合物の例は、BASFの登録商標Tetronic(登録商標)及びClariantの登録商標Genapol(登録商標) PNの製品である。
【0049】
さらに適した非イオン性の界面活性剤は、アルキル−及びアルケニルオリゴグリコシド並びに脂肪酸ポリグリコールエステル又は脂肪アミンポリグリコールエステルであり、それぞれ、脂肪アルキル残基、アルキルオリゴグリコシド、アルケニルオリゴグリコシド及び脂肪酸−N−アルキルグルカミド中に、8〜20個、好ましくは12〜18個のC−原子を有する。
【0050】
さらに、本発明の組成物は、両性の界面活性剤を含有することができる。これは、8〜18個のC原子を有するアルキル基を有する、長鎖の第二級又は第三級アミンの誘導体として説明することができ、その際、さらなる基は水溶性をもたらすアニオン性の基、例えば、カルボキシル基、サルフェート基又はスルホネート基で置換される。好ましい両性界面活性剤は、アルカリ塩、モノ−、ジ−及びトリアルキルアンモニウム塩としての、N−(C12−C18)−アルキル−β−アミノプロピオネート及びN−(C12−C18)−アルキル−β−イミノジプロピオネートである。これは、8〜18個のC原子の長鎖の基一つ及び1〜4個のC原子を有する常に短い鎖のアルキル基二つを有する第三級アミンの酸化物である。ここで好ましい例は、C10−〜C18−アルキルジメチルアミンオキシド、脂肪酸アミドアルキルジメチルアミンオキシドである。
【0051】
更なる添加剤(F)は、例えば、保存料、香料、着色料及び保湿剤(Rueckfettungsmittel)である。
【0052】
保存料としては、欧州の化粧品の法令の付記に関連してあげられている保存料が適しており、例えば、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、パラベン、安息香酸及びソルビン酸であり、例えば、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(Nipaguard(登録商標) DMDMH)が特に適している。
【0053】
本発明の組成物中の保存料の量は、完成した組成物の全重量に基づき、一般に、0〜2.0重量%である。
【0054】
香料としては、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素の種類の合成生成物のような個々の匂い化合物を使用できる。エステルの種類の匂い化合物は、例えば、酢酸ベンジル、フェノキシエチルイソブチラート、p−tert.−酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチル−メチルフェニルグリシナート、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル、及びサリチル酸ベンジルである。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、8〜18個のC原子を有する線状のアルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、ユリ及びボーシュナールが挙げられ、ケトンとしては、例えば、イオノン、アルファ−イソメチルイオノン及びメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオン、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピネオールが挙げられ、炭化水素としては、主として、テルペン及びバルサムが包含される。好ましくは、一緒に好感をもたらす香りを生じさせる、様々な香り成分の混合物が使用される。
【0055】
香料としては、例えば、植物源及び動物源由来の、例えば、松油、柑橘油、ジャスミン油、ユリ油、バラ油又はイランイラン油のような、天然の匂い物質の混合物も包含される。多くの場合、アロマ成分として使用される揮発性の低いエッセンシャル油も香油として適しており、例えば、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ(レモンバーム)油、ミント油、シナモンリーフ油、ライムの花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油及びラブダナム油である。
【0056】
本発明の組成物中の香料の量は、完成した組成物の全重量に基づき、一般に、0〜2重量%である。
【0057】
過脂肪剤(Ueberfettungsmittel)としては、例えば、ラノリン及びレシチン、エトキシ化されていない及びポリエトキシ化されていない、又はアシル化されたラノリン誘導体及びレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノ−、ジ−及びトリグリセリド及び/又は脂肪酸アルカノールアミドを使用でき、その際、後者はまた泡安定剤としても利用され、これらは、好ましくは、0.01〜10.0重量%、より好ましくは0.1〜5.0重量%、特に好ましくは0.5〜3.0の量で使用される。
【0058】
本発明の組成物中に含有される着色料及び着色顔料は、有機系及び無機系のいずれの着色料も、対応する化粧品規制のポジティブリスト又は化粧料の着色剤のEG−リストから選択できる。真珠光沢顔料、例えば、魚銀(魚鱗由来のグアニン/ヒポキサンチン混晶)及び真珠雲(粉砕されたムール貝)、単結晶の真珠光沢顔料、例えば、ビスマスオキシクロリド(BiOCl)、層状基板顔料、例えば、雲母/金属酸化物、TiOからなる銀白色の真珠光沢顔料、干渉顔料(様々な層の厚さのTiO)、有色光沢顔料(Fe)及び混合顔料(TiO/Fe、TiO/Cr、TiO/ベルリンブルー、TiO/カーマイン)もまた有利に適している。
【0059】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の組成物は、毛髪用シャンプー、シャワーソープ、ハンドソープ及び洗顔料のような毛髪及び皮膚を洗浄するための製品の形態にある。
【実施例】
【0060】
本発明は次の例により詳細に説明する。
例1及び2並びに比較例1〜4
以下に開示されるN−アシル−N−メチルグルカミンを、欧州特許第0 550 637号(特許文献3又は4)に従って、対応する脂肪酸メチルエステル及びN−メチルグルカミンから、溶媒としての1,2−プロピレングリコールの存在下で製造し、活性物質及び1,2−プロピレングリコールからなる固体物質として得た(全て重量%で与えられる)。
【0061】
【表1】
【0062】
ブルックフィールド粘度計、モデルDV IIを用い、スピンドルの設定RV、20回転/分及び20℃のスピンドルで粘度を測定した。スピンドルの設定RVからのスピンドル1〜7を使用した。この測定条件下で、最大500mPa・sの粘度にはスピンドル1、最大1000mPa・sの粘度にはスピンドル2、最大5000mPa・sの粘度にはスピンドル3、最大10000mPa・sの粘度にはスピンドル4、最大20000mPa・sの粘度にはスピンドル5、最大50000mPa・sの粘度にはスピンドル6、そして最大200000mPa・sの粘度にはスピンドル7が選択された。
【0063】
7:3の比のナトリウムラウリルエーテルサルフェート(Genapol LRO liq.、Clariant)、コカミドプロピルベタイン(Genagen CAB 818、Clariant)及び総計で15重量%の活性物質から界面活性剤溶液を製造し、そして、約5000mPa・sの均一な粘度になるまで食塩を添加して調整した。
【0064】
さらなる試験において、この界面活性剤溶液に1重量%の追加の糖界面活性剤を加え、そして、同様に、約5000mPa・sの粘度まで塩で調整した。
【0065】
粘度を20℃で測定し、そして例の調合物を4℃に冷却して再度粘度を測定した。
【0066】
低温安定性の程度を、冷却時の粘度の低下率(%)として測定した。
【0067】
【表2】
【0068】
上記の表から明らかなように、本発明の例1は、界面活性剤溶液の冷却時の粘度の低下率が著しく小さく、その際、界面活性剤溶液はまた、比較例と比較して透明であった。