特許第6120975号(P6120975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6120975井戸におけるプランジャの位置を識別するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120975
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】井戸におけるプランジャの位置を識別するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 47/107 20120101AFI20170417BHJP
【FI】
   E21B47/107
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-534561(P2015-534561)
(86)(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公表番号】特表2015-530505(P2015-530505A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013060540
(87)【国際公開番号】WO2014052142
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】13/630,783
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】ヘドケ,ロバート,シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィアター,ネイサン,エル.
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0193091(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0084071(US,A1)
【文献】 米国特許第07819189(US,B1)
【文献】 特開平07−294658(JP,A)
【文献】 Dieter Joseph Becker, O.L. Rowlan, J.N. McCoy, A.L. Podio,Plunger Lift Optimization by Monitoring and Analyzing Wellbore Acoustic Signals and Tubing and Casing Pressures,Society of Petroleum Engineers Eastern Regional Meeting 2006,米国,Curran Associates, Inc.,2006年10月11日,第283頁−第298頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00
E21B 43/12
E21B 47/04
E21B 47/09
E21B 47/107
E21B 47/12
E21B 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
井戸の長さに沿って移動するプランジャの位置を識別するシステムであって、
前記井戸内に設けられ、前記プランジャが前記井戸内の感知位置に達するとき、音響信号を送信するように構成された音響源と、
前記井戸の上端に位置し、前記音響信号を受信するように構成された音響受信機と、
前記受信された音響信号を検出し、前記プランジャが前記感知位置に達したことを示す出力を提供するように構成された処理回路と、
備え、
前記音響源は前記プランジャに設けられ、プランジャの底面側に設けた突起が前記井戸の底部に設けた突起に衝突し、ヒンジポイントを中心にピボット動作して前記プランジャの側面側に設けた遠位端部が前記井戸の内壁を打撃することで音響信号を発生する構成を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記音響源は、前記井戸内の前記感知位置に配置され、前記プランジャは、前記感知位置で前記音響源と接触することによって、前記音響源が前記音響信号を生成するようにすることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プランジャは、前記感知位置で前記音響源を打撃することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記音響源は、音具メカニズムを含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記音響信号は、前記プランジャの移動によるエネルギーで生成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記井戸は、地表面から前記感知位置まで延びるチューブを含み、前記音響信号は、前記チューブによって伝達されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記音響源は、前記プランジャが前記感知位置に達した時に前記チューブを打撃することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記音響源は、前記プランジャに設けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理回路は、雑音に直面して前記音響信号を識別するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理回路は、学習モードを選択可能に構成され、前記音響信号を識別するように学習することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理回路は、前記井戸のモータ弁の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理回路は、さらに時間に基づいて前記プランジャが前記感知位置に達することを示す出力を提供することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記感知位置は、前記プランジャが前記井戸の底に達することを表示するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記感知位置は、前記井戸内の水位で前記プランジャを示すように配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
井戸において、該井戸の長さに沿って移動するプランジャの位置を識別するための方法であって、
前記プランジャが前記井戸内で移動できるようにし、
前記プランジャが前記井戸内で感知位置に達するとき、プランジャの底面側に設けた突起が前記井戸の底部に設けた突起に衝突し、ヒンジポイントを中心にピボット動作して前記プランジャの側面側に設けた遠位端部が前記井戸の内壁を打撃することで、前記プランジャに設けられて前記感知位置に配置された音響源から音響信号を提供し、
前記井戸の上端で前記音響信号を受信し、
前記受信された音響信号に基づいて前記プランジャの位置を判定する
ことを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガス井戸などから液体を除去するのに用いられるタイプのプランジャに関する。特に、本発明は、井戸の長さに沿って移動するプランジャの位置を識別するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
深い井戸は、地中からガス及び液体を抽出するのに用いられる。例えば、このような井戸は、地下ガスポケットから天然ガスを抽出するのに用いられる。この井戸は、地面に穴を開けて形成されたホールに置かれる長いチューブを含む。この井戸が天然ガスのポケットに達するとき、ガスが地表面に抽出され得る。
【0003】
天然ガス井戸が古くなるにつれ、水のような液体が井戸の底に溜まるようになる傾向にある。この水は動きが遅く、結果的に天然ガスが地表面に出てくることを妨害する。井戸の寿命を延長させるのに用いられた一つの技術として、井戸の底から液体を除去するのに用いられるプランジャ基盤リフトシステムがある。井戸内のプランジャの位置は、井戸の上部にある弁を開閉することによって制御される。弁が閉められると、井戸からのガスの流れは停止し、プランジャは水を通過して井戸の底にまで下降する。プランジャが井戸の底に達するとき、弁が開けられ、これによって井戸内からの圧力がプランジャを地表面にまで押し上げるようになる。プランジャが上昇するにつれて、プランジャ上にある液体を地表面にまで持ち上げ、これによって井戸からほとんどの液体を除去することとなる。
【0004】
効率的にプランジャを作動するために、いつプランジャが井戸の底に達するのかを識別することが好ましい。いつプランジャが井戸の底に達するのかを判定するのに各種の技術が用いられてきたが、例えば、Giacominoにより「油及びガス井戸で指標として下降時間と共に圧力特性を利用する方法及び装置」という名称で2011年6月21日付で登録された米国特許番号7,963,326は、一つの技術を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許番号7,963,326
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
井戸の長さに沿って移動するプランジャの位置を識別するシステムは、プランジャが井戸内の感知位置に達するとき、音響信号を送信するように構成され、井戸内で伝達される音響源を含む。音響受信機は、井戸の上端に位置し、音響信号を受信するように構成され、音響信号処理回路は、受信された音響信号を処理し、プランジャが感知位置に達することを示す出力を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るプランジャの位置を識別するシステムを用いた井戸の概略図である。
図2】本発明の一実施例に係る音響源を示す図1の井戸の下部断面説明図である。
図3】本発明の他の実施例に係る音響源を示す図1の井戸の下部断面説明図である。
図4】音響源によって生成された音響信号を検出するために用いられる回路を示す概略ブロック図である。
図5】井戸のプランジャによって生成された音響信号の振幅対時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、このような天然ガス井戸などのような井戸の長さに沿ってプランジャが移動するとき、プランジャの位置を識別するシステムを提供する。より具体的には、本発明によると、音響源は、井戸内に設けられ、プランジャが感知位置に達する時に井戸内の感知位置から音響信号を伝送するように構成される。音響信号は、音響受信機により受信され、プランジャが感知位置に達したことを判定するのに用いられる。一つの構成例として、音響源は、感知位置に配置される。プランジャが感知位置に達すると、プランジャが音響源を打撃して音響源が振動するようにし、これによって音響信号が生成される。音響信号は、井戸のパイプに連結され得、パイプは、音響信号を地表面に伝達するのに利用され得る。他の構成において、プランジャは、感知位置にある物体を打撃するか、またはプランジャが感知位置に達するとき、井戸配管を打撃するのに用いられる「音具」を持っていてもよい。一般に、感知位置は、井戸の底または底の近くに位置する。
【0009】
天然ガス井戸は、初めて作動を開始すると、ガスは、通常、貯蔵所に一般に存在する高圧に助けられて、地下から地表にまで自由に流れる。しかし、井戸の寿命が進む間、水は、ガス井戸の底に流れ始める。貯蔵所圧力の減少による水柱の結果的な背圧は、天然ガスの流れを遅くし、最後には、完全に止まるようにする。
【0010】
この問題に対する一つの解決策は、井戸を遮断(井戸ヘッドにある弁を閉鎖)して貯蔵所の圧力を再び構築することである。圧力が十分に構築されるとき、弁は再び開けられ、構築された圧力は、水を上部に押し上げる。しかし、この方法の短所は、多量の水が井戸の底にまた落ちて、結局、井戸は、多くのさらなるガス生産を得ることができないということである。
【0011】
さらに好ましい解決策、および最も一般的にガス井戸で用いられるものは、プランジャを使用して、井戸の外に水を持ち上げるというものである。図1は、プランジャリフトシステムを備えた典型的なガス井戸100を示した図である。プランジャ110は、井戸100の中央チューブ112とほぼ同一の直径を有するデバイスであり、井戸で自由に上下に移動する。モータ弁120は、後述するように、井戸を開閉するのに用いられ、これによってプランジャ110が井戸の上端116または底118に運行する。井戸の底118には、バンパースプリング124があり、このバンパースプリング124は、プランジャ110が底118を打撃する時にプランジャ110が損傷することを防止する。井戸ヘッドには、キャッチャー及び到達センサ130があり、キャッチャー及び到達センサ130は、プランジャ100が井戸の上端116に達した時にプランジャ110を捕捉し、プランジャ110の到達を示す電気信号を生成する。キャッチャー上には、給油装置140があり、給油装置140は、プランジャ110に油または他の潤滑油を供給し、チューブを通して自由に移動できるようにする。電気制御装置144は、入手可能な測定信号(例えば、チューブの圧力とプランジャの到着)を受信することにより、また適切な時間にモータ弁120に開閉命令を伝送することにより井戸を操作する。
【0012】
井戸の流体生産物を地表面にまで持ち上げるのに用いられるプランジャアッセンブリは、非常に長いストロークを伴うポンプとして動作する。プランジャ110は、流体柱とリフティングガスとの間で固体インターフェースとして働くように設計されている。プランジャ110が運行するとき、プランジャ100を横切って圧力差が存在するが、これは、任意の流体の下降を抑制する。従って、地表面に運搬される量は、本来の負荷と事実上等しくなる。プランジャ110は、底118から上端116へ運行しながら掃除道具の役割をして一連のチューブで液体を除去する。利用可能な多くの類型のプランジャがある。
【0013】
プランジャ110そのものは、様々な形態を取ることができる。一部のプランジャは、上方向ストロークに対する圧力差を生成するために、井戸のチューブ壁に対して密封したブレードを延ばして取り付けられたスプリングを含む。他の類型のプランジャは、密封を得るために、ラビリンスリングを備えたプランジャ、プランジャがより速く下降できるように内部バイパスを備えたプランジャなどを含む。
【0014】
ガス生産者は、数千個の井戸を操作することがあるため、ある与えられた井戸での計測及び制御は、一般的に非常に小さなことに過ぎない。ある場合には、井戸でなされ得る唯一の測定は、二つの絶対圧力送信機でなされ得るが、一つはチューブ圧力(プランジャが下降し、ガスが正常に流れる中央チューブ)を測定するものであり、もう一つは、ケーシング圧力(または環帯ともいう−チューブを含む外側空間)を測定するものである。モータ弁120は、開閉されることで、プランジャ110が井戸100の底118に下降するか、または上端116に上がるようにプランジャ110を制御し、しばしばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)または遠隔操作コンソール(ROC)という電気制御装置144を制御する。電気制御装置144は、入手可能な測定信号を受信し、井戸を最適な動作に維持するために、適切な時間にモータ弁120を開閉する。一部の構成では、(いつプランジャが井戸ヘッドに達したのかを感知する)プランジャ到達センサ、温度測定センサや流量センサがあってもよい。このような測定のいずれもが存在し、これらはいずれも井戸の上端でなされる測定である。井戸の内部または底では、通常、永続的な計測または測定は行われない。従って、制御装置144は、単に井戸ヘッドでのこれらの測定に基づいてプランジャサイクル制御を行う必要がある。
【0015】
プランジャリフトによるガス制御の重要な側面の一つは、井戸が適当な時間の間、閉められていなければならないということである。具体的には、プランジャが底に達するために、十分に長い時間の間、井戸が遮断されなければならない。プランジャが底に終始置かれていなければ、モータ弁が開けられるとき、全ての水が除去されず、井戸は、最適な生産に戻らない。このことが発生すると、プランジャが下降してから戻るまでにかかる時間(30分以上となり得る)が無駄になる。さらに重要な側面は、プランジャが任意の水に接触する前にモータ弁が開けられると、水なしに、プランジャがゆっくりと下降し、上昇するプランジャの速度が非常に大きくなって(井戸内で大きな圧力が発生)、プランジャまたは給油機/キャッチャーを損傷するか、または井戸ヘッドからキャッチャーを完全に落とし得る。
【0016】
プランジャが過度に早く戻っても危険であるため、最も良い制御戦略は、内蔵された「安全因子(safety factor)」を備えることである。これらは、単にプランジャが底にきちんと当たっているようにするために、プランジャが底に達するに十分な時間に一部の追加時間を加えた時間の間、十分に長く井戸を閉める。ここでの短所は、プランジャが底にある時間は、ガス井戸が生産しない時間となるということである。プランジャが底に位置しなければならない時間が長くなるほど、ガス井戸が全体生産に復帰する前の状態である時間も長くなる。
【0017】
いつプランジャが井戸の底に達するのかを検出するために、様々な技術が採用される。例えば、圧力及び音響信号を監視できるが、これらの信号は、しばしば背景雑音の量、井戸の拡張された長さ、及び井戸内で液体及びガスを通って流れる時の信号損失に起因し、小さいか、または識別が困難となることがある。このような一つの技術が、プロダクション制御サービス会社が権利を持っており、「油及びガス井戸で指標として下降時間と共に圧力特性を利用する方法及び装置」という名称で2011年6月21日に発行された米国特許番号7,963,326に開示されている。
【0018】
図2は、本発明の一実施例に係る井戸100の下部の断面図である。図2において、プランジャ110は、チューブ112内で井戸100の底118に向かって下に動くものと示されている。音響源160は、井戸100の底118に配置されている。音響源160は、ベルなどと同様に動作する。プランジャ110の下部164は、音響源160を打撃するように配列され、これによって音響源が振動する。一つの構成例として、音響源160は、プランジャ110が音響源160を打撃した時に作動される「音具」メカニズムなどを含む。プランジャ110が音響源160を打撃したとき、音響信号が生成されて井戸100の上端116に向かって伝播される。この音響信号は、任意の適切な媒体を用いて地表面に向かって伝達され得る。しかし、井戸100のチューブ112は、特に、音響信号を伝達するに適している。音響信号が井戸100の上端116に達したとき、その信号を検出するのに用いられ得、また井戸の底にプランジャ110が達したという表示を提供できる回路(以下、詳細に後述する)が利用され得、これは、図1に示されたモータ弁120を開口することによって回復できる。図3は、本発明の他の例示的な実施例を示す井戸100の下部の断面図を示した図である。図3において、音響源170は、プランジャ110に設けられている。プランジャ110が井戸100の底118に達すると、音響源の突起174が突起172を打撃し、これによって音響源170がヒンジポイント176を中心にピボットするように動く。この動作は、遠位端部178がチューブ112を打撃し、これによって音響信号がチューブ112で発生し、後続検出のために地表面に進行する。他の例示的な実施例において、類似音響源が、井戸100の底118に配置され、チューブ112を打撃するように構成されるか、それとも音響信号をチューブ112に誘導するように構成される。
【0019】
図4は、地表面に位置し、かつ井戸100に連結された検出回路182を示す概略ブロックである。検出回路182は、プランジャ110が井戸100の底に達する時に生成される音響信号を感知するように構成された井戸100の上端116にある音響受信機またはセンサ184を含む。図4において、音響受信機184は、パイプ112に連結されているものと示されている。このような構成において、パイプ112によって伝達される音響信号は、受信機184によってさらに効率的に受信され得る。受信機184からの出力は、例えば、アナログ増幅器及び/又はフィルタを含むことのできるセンサ回路186に提供される。一つの構成例として、センサ回路186は、受信されたアナログ信号を代表するデジタル信号出力を提供するアナログ/デジタル変換器を含む。処理回路188は、感知回路186から信号を受信する。処理回路188は、アナログまたはデジタル回路を含むことができる。デジタル回路が用いられる場合、これは、メモリ190に格納された命令によって動作するマイクロプロセッサを含むことができる。例えば、受信された音響信号は、メモリ190に格納された波形と比較されるか、またはメモリ190に格納された規則に基づいて検出され得る。他の例示的な実施例において、処理回路188は、感知回路186からの信号を一つ以上の臨界値と比較して出力回路192に出力を確実に提供するアナログ回路を含むことができる。例えば、バンドパスフィルタは、狭い周波数範囲の信号のみ処理回路188に提供されるように感知回路186で具現され得る。これは、プランジャ110が井戸100の底に達したとの誤った判断を招き得る他のソースから雑音を除去するのに用いられ得る。
【0020】
デジタル回路に具現されるとき、処理回路188は、ユーザによりプログラムされてもよく、学習機能を含むことができる。例えば、プロセッサは、プランジャ110が井戸100の底に達するとき、音響信号を受信する学習モードに置かれ得る。学習モードの間に受信されたこの受信音響信号に関連した情報は、メモリに格納され得、プランジャの位置を順次に検出するのに用いられ得る。他の実施例において、検出回路182は、図1に示されたモータ弁120が閉められてプランジャ110が井戸100の下に下降していることを示した時と関連した情報を受信することができる。この情報は、検出シーケンスを初期化するのに用いられ得、処理回路188が、プランジャ100が井戸100の底に達する時にプランジャ110から音響信号を検出するために感知回路186からの出力を監視するようにする。この情報はまた、プランジャ110の位置を誤って識別することを減らすことを助けるのに用いられ得る。例えば、モータ弁が閉められた時にタイマーが開始され得、これによって、処理回路は、プランジャ110が井戸100の底に達したということを検出する前に少なくとも任意の時間の間、待機しなければならない。同様に、任意の時間より大きな時間周期が経った場合、処理回路188は、音響信号が検出されていない場合にも、プランジャ110が井戸100の底に達したことを示す出力を提供することができる。これは、音響信号が正確に検出され得ない状況でも井戸100内の流体が抽出され得るようにする。
【0021】
図5は、受信された音響信号を示す振幅対時間のグラフである。プランジャ110が井戸100の底に達するとき、音響源に起因した音響信号は、受信された信号で大きな突起を引き起こす。この突起は、プランジャ110の位置を検出するために用いられ得、好ましくは、プランジャが井戸100内の水を打撃する時に受信される信号のような他の受信信号よりかなり大きいか、または周波数が異なる。
【0022】
音響信号は、任意の適切な技術を用いて処理され得る。例えば、簡単な閾値の比較だけでなく、一つまたはそれ以上の受信された信号の周波数を監視することを含むさらに複雑な技術が含まれる。さらに一層複雑な技術としては、井戸の底に達したプランジャの反射信号特性の特定の特徴を観察することが含まれる。検出技術は、適切なアナログ及び/又はデジタル回路で具現され得る。井戸の底に達したプランジャの検出は、いくつかの場合に、井戸の深さが増加するに伴い調整される必要がある。同様の調整が、井戸を囲む材料、井戸内の材料、用いられる特定の井戸チューブ及びその構成に基づいてなされ得る。図4を参照すると、出力回路192がモータ弁120を制御するのに用いる出力を提供することができる。検出回路182は、図1に示した電気制御装置144内に具現され得るか、またはプランジャ110が井戸の底に達したことを示す出力信号を電気制御装置144に提供する別途の回路となり得る。また、検出回路は、さらなる入力/出力回路200を含むことができる。例えば、さらなる回路は、プランジャ110の状態を示すローカル出力を運営者に提供するのに用いられるか、または運営者からの命令または質疑を受信するのに用いられ得る。他の例示的な実施例において、出力は遠隔位置に提供され得る。例えば、情報は、プランジャ110の位置に関連した中央位置に対して提供され得る。この情報は、通常のパラメータ内で井戸100が作動することを明確にするための診断の目的で用いられ得る。この出力は、有線通信リンクを通して提供され得、または無線周波数通信技術のような無線技術を用いて提供され得る。
【0023】
本発明は、好ましい実施例を参照して説明したが、当該分野における通常の技術者であれば、本発明の趣旨及び範疇を外れずに形態及び細部事項において変更が行われ得るということを認識するだろう。例えば、音響源は、本明細書において説明された特定の実施例に限定されず、プランジャが井戸内の特定の位置に達した時に音響信号を提供する任意の音響源となり得る。底の位置が具体的に説明されてはいるが、本発明は、このような構成に制限されない。特定の一実施例において、音響信号は、プランジャが井戸で下降する時のプランジャからのエネルギーを利用して生成される。しかし、いくつかの構成においては、電気回路または他の構成要素に電力が供給され得る他のエネルギー源を提供することが好ましい場合もある。プランジャ井戸内の特定の位置に達するとき、例えば、プランジャは、音響出力を提供するように構成された回路を有してもよい。省エネ技術は、井戸内で電池などを充電するために利用され得る。例えば、プランジャが井戸内で上昇及び下降するにつれて生成されるエネルギーは、回収されるか、または電池を充電するのに用いられ得る。本願において用いられた用語「感知位置」は、プランジャ位置が、音響源が音響信号を生成できるようにする位置をいう。一つの構成例として、音響源は機械的メカニズムを含み、音響信号のみ機械的エネルギーを利用して生成される。
【符号の説明】
【0024】
100…ガス井戸、 110…プランジャ、 112…中央チューブ、 116…上端、 118…底、 120…モータ弁、 130…到達センサ、 144…電気制御装置、 160…音響源、 170…音響源、 182…検出回路、 184…音響受信機、 186…センサ回路、 188…処理回路、 192…出力回路。
図1
図2
図3
図4
図5