特許第6121005号(P6121005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社TANAーXの特許一覧

<>
  • 特許6121005-梱包材 図000002
  • 特許6121005-梱包材 図000003
  • 特許6121005-梱包材 図000004
  • 特許6121005-梱包材 図000005
  • 特許6121005-梱包材 図000006
  • 特許6121005-梱包材 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121005
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】梱包材
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/64 20060101AFI20170417BHJP
   B65D 85/68 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   B65D85/64 C
   B65D85/68 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-1490(P2016-1490)
(22)【出願日】2016年1月7日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3182405号
【原出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2016-74486(P2016-74486A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133157
【氏名又は名称】株式会社TANAーX
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 道広
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−132446(JP,A)
【文献】 実開平06−059216(JP,U)
【文献】 実開昭60−169172(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/64
B65D 85/68
B65D 21/08
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底面部である第1底面部及び該第1底面部の対向する両辺で折り曲げて立設された側壁部である一対の第1側壁部を備えた第1包装体と、
該第1包装体の一部が上に重ね合わせられた包装体であって、矩形状の底面部である第2底面部及び該第2底面部の対向する両辺で折り曲げて立設された側壁部である一対の第2側壁部を備えた第2包装体と、
前記第1包装体の第1側壁部に、前記第1底面部に平行に形成されたスリットと、
前記第2包装体の第2側壁部に固定され前記スリットにスライド可能に挿入された、前記第1包装体と前記第2包装体を連結する連結部材と、
前記スリットに形成され、前記第1底面部と逆の方向に突出する、前記連結部材が進入可能な逃がし孔と、
を備えることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
矩形状の底面部である第1底面部及び該第1底面部の対向する両辺で折り曲げて立設された側壁部である一対の第1側壁部を備えた第1包装体と、
該第1包装体の一部が上に重ね合わせられた包装体であって、矩形状の底面部である第2底面部及び該第2底面部の対向する両辺で折り曲げて立設された側壁部である一対の第2側壁部を備えた第2包装体と、
前記第2包装体の第2側壁部に、前記第2底面部に平行に形成されたスリットと、
前記第1包装体の第1側壁部に固定され前記スリットにスライド可能に挿入された、前記第1包装体と前記第2包装体を連結する連結部材と、
前記スリットに形成され、前記第2底面部の方向に突出する、前記連結部材が進入可能な逃がし孔と、
を備えることを特徴とする梱包材。
【請求項3】
前記逃がし孔が前記スリットの、前記第1包装体と前記第2包装体の重なりが最大になるときの前記連結部材の位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記連結部材が前記スリットに複数個挿入されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包材。
【請求項5】
前記第1底面部及び前記第2底面部のうち上側のものに第2のスリットが設けられ、下側のものに第2の連結部材が設けられ、該第2の連結部材が該第2のスリットにスライド可能に挿入されていることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬の際に該物品を梱包する梱包材に係り、特にサイズ調整が可能な梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫や流し台のような大型の物品を住宅等の建物に搬入、或いは搬出する際に、建物の床や壁に物品がぶつかったり擦れたりすると、物品、或いは建物の床や壁が傷ついたり汚れたりする。このため、通常は、梱包材で物品を梱包して搬送するようにしている。
【0003】
例えば特許文献1には、冷蔵庫や流し台の上面及び下面に被せられる一対の浅箱状の梱包材が記載されている。冷蔵庫に被せられた梱包材は、バンドや紐などにより固定され、これにより、冷蔵庫の上下面やかどの部分が保護される。
【0004】
また、特許文献2には、様々な大きさの物品に対応可能な梱包材が記載されている。この梱包材は2つの分割梱包材を互いにスライド可能に嵌合したもので、両者をスライドさせることにより梱包材全体の長さを調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-341790号公報
【特許文献2】特開2005-132446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サイズ調節可能な梱包材は、不使用時に2つの分割梱包材に分離することによりコンパクトに保管することができる反面、物品に取り付ける際に分割梱包材を嵌合させたり、分割梱包材がバラバラにならないように注意してバンドや紐で物品に固定しなければならず、手間がかかる。
【0007】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、物品への取付作業が容易でサイズ調節が可能な梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る梱包材は、
矩形状の底面部及び該底面部の対向する両辺から折り曲げ可能に立設された一対の側壁部を備えた第1の包装体と、
該第1の包装体の一部が上に重ね合わせられた包装体であって、矩形状の底面部及び該底面部の対向する両辺から折り曲げ可能に立設された一対の側壁部を備えた第2の包装体と、
前記第1の包装体の各側壁部に、前記底面に沿って形成されたスリットと、
前記第2の包装体の側壁部に固定され前記スリットにスライド可能に挿入された、前記第1の包装体と前記第2の包装体を連結する連結部材と、
前記スリットに形成された底面と逆の方向に突出する、前記連結部材が進入可能な逃がし孔と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成の梱包材では、第1と第2の包装体が連結部材で連結されているので、両包装体がバラバラになってしまうことがない。さらに、連結部材がスリットに沿って移動することで、スリットの長さの範囲内において、梱包材のサイズを変えることができる。
【0010】
第1包装体と第2包装体を連結するためには、下にある第2の包装体の両側壁部に固定された連結部材間の距離を、上にある第1の包装体の両側壁部に形成されたスリット間の距離よりも、第1の包装体の厚さの2倍だけ長くしなければならない。しかしそうすると、第1と第2の包装体の側壁部を外側に倒して梱包材を展開しようとしても、スリット内に連結部材が位置している状態では、両者を重ね合わせて(すなわち梱包材をフラットにして)展開することができない。そこで、本発明に係る梱包材では、連結部材を逃がし孔に進入させることで、その距離のズレを吸収するようにし、両者を重ね合わせて展開することができるようにした。
【0011】
また、本発明に係る梱包材においては、スリットを、第1の包装体ではなく、第2の包装体の各側壁部に形成しても良い。その場合、連結部材を第1の包装体の側壁部に固定し、逃がし孔はスリットの底面方向に突出するよう形成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る梱包材は、連結部材をスリットにスライド可能に挿入させたことによりサイズ調整が可能となっている。また、物品を梱包する際に、第1と第2の包装体がバラバラになることもないため、物品への取り付け作業が容易である。さらに、第1と第2の包装体が連結された状態のまま、梱包材をフラットに展開することができるため、輸送や保管等の際に嵩張らない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の梱包材を示す図面。(a)はサイズを大きめに調整した状態、(b)はサイズを小さめに調整した状態を示す。
図2】本発明の梱包材を、梱包対象である流し台の大きさに合わせてサイズ調整した状態を示す図面。(a)は比較的大きな流し台を、(b)は比較的小さな流し台を、それぞれ梱包する場合を示す。
図3】本発明の梱包材を流し台に被せて紐で固定する際の状態を示す図面。(a)は比較的大きな流し台を、(b)は比較的小さな流し台を、それぞれ梱包する場合を示す。
図4】第1と第2の包装体の連結部分の断面を示す図面。(a)は側壁部が立設した状態を、(b)は側壁部を倒した状態を示す。
図5】本発明の梱包材をフラットに展開した状態を示す図面。
図6】本発明の別の態様の梱包材を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例に係る梱包材について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施例に係る梱包材1の形状を図1(a)に示す。梱包材1は共に半浅箱状の第1の包装体10と第2の包装体11から成り、第1の包装体10の開放端を第2の包装体11の開放端上に重ね合わせた構成を有している。第1の包装体10は、底面部10a、底面部10aの対向する両辺から折り曲げ可能に立設された側壁部10b、及び底面部10aの一辺から折り曲げ可能に立設され、側壁部10bに挟まれた側壁底部10cを含む。第2の包装体11も同様に、底面部11a、底面部11aの対向する両辺から折り曲げ可能に立設された側壁部11b、及び底面部11aの一辺から折り曲げ可能に立設され、側壁部11bに挟まれた側壁底部11cを含む。
【0016】
第1の包装体10の側壁部10bには、底面に沿ってスリット12がそれぞれ形成されている。スリット12の内側(図1(a)でいう左方向)には、底面と逆の方向に突出した逃がし孔14が形成されている。底面部10aにも同様にスリットが形成されているが、このスリットには逃がし孔はない。
【0017】
第2の包装体11の側壁部11bには、面ファスナーの一方の面部材を備えた延出部11dが側壁底部11c側に向けて延出して設けられ、側壁底部11cに面で接触するよう折り曲げられている。側壁底部11cの接触面には面ファスナーの他方の面部材が備えられており、延出部11dが側壁底部11cに脱着可能に固定される。ここでは、延出部11dを側壁部11bに設けているが、側壁底部11cに設けるようにしても良い。なお、図1(a)では隠れていて見えないが、第1の包装体10においても同様に、側壁部10bに延出部10dが設けられ、面ファスナーにより延出部10dが側壁底部10cに固定される。
【0018】
梱包材1では、ボルト13が第2の包装体11の側壁部11bに固定されるとともに、第1の包装体の側壁部10bに形成されたスリット12に挿入されることで、第1の包装体10と第2の包装体11を連結している。第1の包装体の底面部10aに形成されたスリットにも同様に、第2の包装体の底面部11bに固定されたボルトが挿入されている。
【0019】
このようにして連結された第1の包装体と第2の包装体を備えた梱包材1は、ボルト13がスリット12に沿って移動することでスライドさせることができる。なお、スライドの際は、第2の包装体の底面部11bに固定されたボルトも、第1の包装体の底面部10aに形成されたスリットに沿って移動する。図1(a)は、ボルト13をスリット12の外側(図1(a)でいう右方向)まで移動させた状態であり、図1(b)は、ボルト13をスリット12の内側まで移動させた状態である。スリット12におけるボルト13の位置を変えることで、スリット12の長さの範囲内において梱包材1のサイズを調整できるため、大きさの異なる物品の梱包が可能となる。
【0020】
ここでは、物品として「流し台」を例とし、梱包する際の手順を説明する。まずは、流し台の両側を保護するために、梱包材1を2つ用意する。比較的大きな流し台20aを梱包するには、梱包材1のサイズも大きめに(図2(a))、比較的小さな流し台20bを梱包するには、梱包材1のサイズも小さめに(図2(b))、それぞれサイズ調整する。次に、図3に示すように、流し台20a(図3(a))、或いは流し台20b(図3(b))の両側に梱包材1を被せ、紐21を締結して固定する。
【0021】
このようにして、物品の側面やかどの部分を保護するように梱包する。なお、梱包材を物品に固定する際には、紐の他に、プラスチックバンドや粘着テープなどを用いてもかまわない。
【0022】
梱包した物品はその状態で運搬し、運搬作業等が終わると、紐を緩め、梱包材を物品から取り外す。そうして使用済みとなった梱包材は、輸送や保管の際に嵩張らないようにしておく。上述のとおり、第1の包装体10の側壁部10b、側壁底部10c、及び第2の包装体11の側壁部11b、側壁底部11cは、折り曲げることができる。そこで、面ファスナーをはずして各側壁部を外側に倒せば、梱包材1をフラットに展開できる。
【0023】
しかし、第1の包装体10の側壁部10bと第2の包装体11の側壁部11bは、立設しているときと外側に倒したときで、重なり方がズレる。
図4は、第1の包装体10と第2の包装体11の連結部分の断面を表した図面であるが、側壁部10bと11bが立設した状態では、ボルト13がスリット12内に位置するように重なっている(図4(a))。一方、側壁部10bと11bを倒すと、ボルト13とスリット12の位置が、第1の包装体10の厚さだけズレる(図4(b))。そのため、ボルト13がスリット12に引っ掛かってしまい、梱包材1を展開することができない。
【0024】
そこで、梱包材1を展開する際には、図1(b)のように、ボルト13をスリット12の逃がし孔14の位置まで移動させる。そうすると、側壁部10bと側壁部11bを外側に倒した際にボルト13が逃がし孔14に進入して上述のズレを吸収するので、ボルト13がスリット12に引っ掛かることなく、梱包材1をフラットに展開することができる。図5は、上記の手順で梱包材1をフラットに展開した状態を表した図面である。
【0025】
このようして、第1の包装体10と第2の包装体11を連結した状態のまま梱包材1をフラットに展開することができ、また、後に別の物品を梱包する際には、側壁部10b及び11bを折り曲げて立設させるだけで、容易に梱包材1を組み立てることができる。
【0026】
また、第1の包装体ではなく、第2の包装体にスリットを設ける構成としても良い。その場合は、図6に示す梱包材2のように、逃がし孔14をスリット12の底面方向に突出して形成し、そこにボルト13を移動させることで、梱包材をフラットに展開できるようになる。
【符号の説明】
【0027】
1、2…梱包材
10…第1の包装体
10a…底面部
10b…側壁部
10c…側壁底部
10d…延出部
11…第2の包装体
11a…底面部
11b…側壁部
11c…側壁底部
11d…延出部
12…スリット
13…ボルト
14…逃がし孔
20a、20b…流し台
21…紐
図1
図2
図3
図4
図5
図6