(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定手段は、前記推定経路における前記補正先候補への到着時刻と現在時刻との比較により、補正先として適切であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
前記判定手段は、各補正先候補についてのユーザの利用頻度に基づいて、補正先として適切であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理システム。
前記判定手段は、前記入場している駅から各補正先候補までの他のユーザの移動情報に基づいて、補正先として適切であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理システムの概略ブロック図である。情報処理システムは、端末装置1と、サーバ2と、ネットワーク3とを備えている。図示のように、端末装置1はネットワーク3を介してサーバ2と通信を行う。本情報処理システムは、端末装置1で測位された現在位置を、サーバ2で補正するものである。
【0013】
端末装置1はユーザが使用するものであり、例えば携帯電話、スマートフォンもしくはタブレット端末等のモバイル電子機器、または、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等の据え置き型の電子機器、あるいはこれらの組み合わせである。サーバ2は、例えば一定の場所に設置され、端末装置1からの要求に応じて、種々の処理を行う。端末装置1およびサーバ2の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。また、ネットワーク3は有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0014】
端末装置1は、通信部11と、制御部12とを有する。
【0015】
通信部11はネットワーク3を介して制御部12とサーバ2との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0016】
制御部12は、現在位置測位部121と、入場情報取得部122と、情報送信部123と、情報受信部124と、表示部125とを有する。
【0017】
現在位置測位部121は、例えばGPS受信装置であり、受信したGPS衛星信号に基づいて端末装置1、すなわち、ユーザの現在位置を測位し、現在位置測位情報を生成する。現在位置は、例えば緯度および経度で表される。現在位置測位部121により測位された現在位置は必ずしも精度が高いわけではない。
【0018】
入場情報取得部122は、所定の施設への入場記録を含む入場情報を取得し、記憶する。所定の施設とは、例えば電車へ乗降可能な駅等である。入場記録は、入場した旨が入場した施設のIDと関連付けられており、さらに入場時刻を含んでいてもよい。また、入場情報は退場記録を含んでいてもよい。同様に、退場記録では、退場した旨が退場した施設のIDと関連付けられており、さらに退場時刻を含んでいてもよい。
【0019】
例えば施設が電車の駅である場合、入場情報取得部122は、ある駅の自動改札機を通過して入場した際に、入場記録として当該駅のIDを取得する。そして、入場情報取得部122は、同駅あるいは同駅と接続された他の駅の自動改札機を通過して退場した際に、退場記録を取得してもよい。
【0020】
また、入場記録は後に退場記録が取得されるか否かの情報を含んでもよい。例えば、電車の駅の改札から入場すると、後に同駅または他の駅の改札から退場するはずであり、後に退場記録が取得される。一方、例えば航空機の場合、搭乗の際に搭乗ゲートを通過するが、降機の際には特に退場手続きを行わないため、退場記録が取得されない。
【0021】
入場情報が記録される施設は、電車の駅や航空機の空港といった交通機関の乗降施設の他、バス等の交通機関そのもの、美術館や屋外のイベント会場等をも含み、少なくとも入場を記録可能であれば、特に限定はない。施設が交通機関に関する場合、入場情報には、施設で利用可能な交通機関の種別を含んでいてもよい。例えば、施設が電車のA駅である場合、A駅から乗車可能な路線の情報を含んでいてもよい。また、入場情報は、入場した施設の滞在予定時間(時刻表やタイムスケジュール等)を含んでいてもよい。
【0022】
情報送信部123は、現在位置測位情報および入場情報を、通信部11からネットワーク3を介して、サーバ2に送信する。
【0023】
情報受信部124は、サーバ2により補正された現在位置情報を、ネットワーク3を介して通信部11から受信する。
【0024】
表示部125は、例えば液晶ディスプレイであり、補正された現在位置情報が表示される。現在位置情報として、緯度および経度を表示してもよいし、現在地を含む所定範囲の地図情報上に現在位置を示すアイコンを表示してもよい。
【0025】
一方、サーバ2は、通信部21と、制御部22とを有する。
【0026】
通信部21はネットワーク3を介して制御部22と端末装置1との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0027】
制御部22は、情報受信部221と、判定部222と、現在位置補正部223と、情報送信部224とを有する。
【0028】
情報受信部221は、端末装置1から送信される、現在位置測位情報および入場情報を、ネットワーク3を介して通信部21から受信する。
【0029】
判定部222は、受信された入場情報を用いて、現在位置の補正先の候補である位置、または、現在位置の補正先となるネットワークを含む補正先候補が、測位された現在位置の補正先として適切であるか否かを判定する。現在位置の補正先の候補である位置とは、入場した施設(駅)や測位された現在位置近辺の駅(停車駅でもよいし通過駅でもよい)等である。また、ここでのネットワークとは現在位置近辺の電車の線路等の公共交通機関ネットワークでもよいし、道路ネットワークでもよい。このような補正先候補は複数あることもある。ネットワークは、サーバ2内にデータベースとして保持しておいてもよいし、駅の緯度および経度から擬似的なネットワークを設定するようにしてもよい。また、現在位置の補正先の候補である位置は、店舗などのPOI(point of interest)や、上記ネットワーク上の地点でもよい。
【0030】
判定部222は、このような補正先候補の中から、入場情報と関連付けられた地点(駅等)やネットワーク(鉄道の路線等)を適切であると判定してもよい。このような判定により、現在位置の補正先を絞り込むことができ、補正の精度を向上できる。あるいは、電車の場合には、1つの駅から乗車可能な路線が複数あったり、他の駅で乗り換えたり、他社の路線と直通運転したり乗り入れたりすることがある。このような場合、入場記録は変更されないまま、ユーザが乗車している路線が変化することになる。特に、直通運転や乗り入れを繰り返すことで、ユーザが利用可能な路線が増えていく場合もあるため、入場施設である駅と現在ユーザがいる路線とが必ずしも1対1で対応しているわけではない。そこで、駅や鉄道の路線上を適切であると判定する場合に限らず、入場駅から乗車できる路線を考慮したうえで、補正先として適切であるかを判定してもよい。例えば、補正先候補のうち入場駅から乗車可能な路線の電車が走行する駅や線路上を、補正先として適切であると判定する。
【0031】
現在位置補正部223は、判定部222により適切であると判定された補正先候補のいずれかに、現在位置を補正する。補正の際、測位された現在位置と入場情報が記録された施設の位置との距離を考慮してもよい。
【0032】
情報送信部224は、補正された現在位置を示す補正後現在位置情報を、通信部21からネットワーク3を介して、端末装置1へ送信する。
【0033】
図2は、
図1の情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。なお、端末装置1の入場情報取得部122は、予め、入場情報を取得して記憶している。
【0034】
現在位置測位部121は端末装置1の現在位置を測位し、現在位置測位情報を生成する(ステップS101)。なお、現在位置測位部121により測位された現在位置は、必ずしも精度が高いわけではない。そして、情報送信部123は、現在位置測位情報と、入場情報取得部122に記憶されている入場情報とを、通信部11からネットワーク3を介して、サーバ2に送信する(ステップS102)。
【0035】
サーバ2の情報受信部221が現在位置測位情報および入場情報を受信すると(ステップS121)、判定部222は、補正先候補が適切であるか否かを判定する(ステップS122)。
【0036】
判定部222は、入場駅から補正先候補まで入場情報が変更されることなく移動可能か否かや、以下のような点を考慮して判定してもよい。
【0037】
例えば、直近の入場記録における入場時刻から所定時間以上経過していれば施設等内にはない、と判定してもよい。所定時間は任意の固定値でもよいし、施設等内にあると考えられる滞在予定時間が入場情報に含まれる場合、その滞在予定時間を所定時間としてもよい。入場のみが記録され、退場が記録されない施設において特に有効な判定手法である。
【0038】
また、入場情報が、航空機への入場記録に加え、搭乗する便の飛行予定時間を含んでいる場合、飛行予定時間に基づいて所定時間を定めてもよい。あるいは、入場情報が、空港木への入場記録に加え、搭乗する便の情報を含んでいる場合、例えばインターネットを介して当該便の飛行予定時間を取得して、所定時間を定めてもよい。
【0039】
あるいは、イベント会場への入場記録がイベントの終了予定時刻の情報を含んでいる場合、終了予定時刻をもとにイベント会場からの退場予定時間を推定し、所定時間を定めてもよい。
【0040】
また、退場記録が退場時刻を含む場合、退場時刻からの経過時間に基づいて施設等内か否かを判定してもよい。例えば駅の改札の退場記録があっても、ごく短時間しか経過していなければ、端末装置1は改札の外ではあっても駅構内(施設等内)にあると判定するが、所定時間以上経過していれば、駅構内にはないと判定してもよい。
【0041】
入場情報がある施設の種別や属性に応じて、複数の判定手法のうちのいずれかを選択したり、適宜組み合わせたりして判定してもよい。例えば、電車の駅への入場の場合には入場記録および退場記録に基づいて判定し、航空機の場合には時刻表を併用するなどが考えられる。
【0042】
上記のようにして判定を行った後、現在位置補正部223は、測位された現在位置と入場情報がある施設の位置との距離に応じて、適切であると判定された補正先候補のいずれかに現在位置を補正し(ステップS123)、補正後現在位置情報を生成する。以下、現在位置の補正処理の具体例について説明する。
【0043】
図3は、現在位置の補正処理の一例を示すフローチャートであり、
図4は、現在位置の補正処理を説明する図である。
図3および
図4の例では、入場記録がある駅はA駅であり、A駅に入場したユーザは、線路41上を走行する電車を利用して、B駅に行くことができるものとする。B駅はA駅と隣接する駅でもよいし、A駅とB駅との間に1以上の駅があってもよい。
【0044】
測位された現在位置PがA駅から所定範囲42内にある場合(ステップS201のYES)、端末装置1はA駅構内にある可能性が高いため、現在位置をA駅の位置に補正する(ステップS202)。A駅構内のさらに詳しい地図情報を利用できる場合、自動改札機の内側に補正するのが好ましい。
【0045】
測位された現在位置QがA駅から所定範囲42内にないが(ステップS201のNO)、線路41から所定範囲43内にある場合(ステップS203のYES)、端末装置1は電車内で線路上にある可能性が高いため、現在位置を線路上の位置、例えば位置Qと最も近い線路上の位置に補正する(ステップS204)。
【0046】
一方、測位された現在位置Rが所定範囲41,42内でない場合(ステップS203のNO)、位置Rから最も近い駅(
図4の例ではB駅)の位置に補正する(ステップS205)。
【0047】
ステップS204,S205では、乗車した電車および時刻表の情報を利用できる場合は、現在時刻を参照して線路上あるいは駅の位置に補正してもよい。また、測位された現在位置QがA駅から所定範囲42内にない場合に、ステップS203を省略して、線路上の位置に補正するか測位された現在位置と最も近い別の駅の位置に補正するか、を予めユーザが設定できるようにしておいてもよい。また、測位された現在位置Rが所定範囲43内(ステップS203のYES)の場合でも、駅に補正するようにしてもよい。
【0048】
図2に戻り、以上のようにして得られた補正後現在位置情報は、サーバ2の情報送信部224により通信部21からネットワーク3を介して、端末装置1へ送信される(ステップS124)。なお、測位された現在位置の補正が不要と判定された場合(ステップS122のNO)、現在位置補正部223が補正を行うことなく、情報送信部224は、端末装置1から受信した現在位置測位情報を補正後現在位置情報として、端末装置1へ送信する。
【0049】
端末装置1の情報受信部124が現在位置情報を受信すると(ステップS103)、補正された現在位置が表示部125に表示される(ステップS104)。
【0050】
このように、第1の実施形態では、施設への入場情報を利用して測位された現在位置の補正を行うため、ユーザを煩わせることなく、簡易に高精度な現在位置を取得できる。
【0051】
なお、入場記録がない場合であっても、通常行われている現在位置の補正を行ってもよい。例えば、現在位置がネットワーク上からずれており、そのずれがある閾値未満であれば、現在位置を最も近いネットワーク上に補正するマッピングを行ってもよい。一方、入場記録がある場合、
図3および
図4より簡易な補正の例として、上記の閾値をより大きくしてマッピングを行ってもよい。閾値を大きくできる理由は、ずれが多少大きくても、端末装置1が施設等内にある可能性が高いためである。
【0052】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は測位された現在位置を補正するものだが、以下に説明する第2の実施形態では、補正された現在位置を出発地として経路探索を行うものである。
【0053】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理システムの概略ブロック図である。
図5では、
図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0054】
端末装置1aの制御部12aは、さらに、操作入力部126と、探索条件設定部127と、探索要求送信部128とを有する。
【0055】
操作入力部126は、ユーザが端末装置1aに操作を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル電子機器におけるキーボード、タッチパッドもしくはダイヤルボタン等や、据え置き型の電子機器におけるタッチパネルやマイク等である。
【0056】
探索条件設定部127は、操作入力部126を介したユーザからの操作に応じて、探索条件を設定する。探索条件は、少なくとも出発地および目的地を含んでいればよく、その他、利用する交通機関の種別、出発時刻および到着時刻等、さらに詳しい条件を含んでいてもよい。本実施形態では、入場情報を用いて、測位された現在位置を精度良く補正できる。そのため、ユーザは、現在位置を出発地としたい場合、現在地を示す位置(住所や駅名等)を設定しなくてもよく、出発地としての現在位置を自動的に取得できる。
【0057】
探索要求送信部128は、通信部11からネットワーク3を介して、探索条件を含む探索要求をサーバ2aに送信し、探索条件に基づいて経路探索を行うようサーバ2に要求する。
【0058】
一方、サーバ2aは、さらに記憶部23を備える。また、制御部22aは、さらに、情報取得部225と、探索要求受信部226と、経路探索部227とを有する。
【0059】
情報取得部225は経路探索に必要な情報を記憶部23から取得するインターフェースである。
【0060】
探索要求受信部226は、端末装置1aから送信される探索要求を、ネットワーク3を介して通信部21から受信する。探索要求は経路探索部227へ転送される。
【0061】
経路探索部227は、後述する地図データベース231および経路ネットワークデータベース232を用い、探索条件に基づいて経路探索を行って、経路情報を生成する。経路探索部227は、出発地として、現在位置補正部223により生成された補正後の現在位置を用いることができる。
【0062】
記憶部23は、経路探索に必要な情報として、地図情報を含む地図データベース231および経路ネットワーク情報を含む経路ネットワークデータベース232を記憶する。
【0063】
地図データベース231の地図情報は、地図データと、地図データに対応付けられた施設に関する施設情報とを含む。地図データは、一般道路、有料道路、及び高速道路等の車両用道路の地図を示す。
【0064】
経路ネットワークデータベース232の経路ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0065】
図6は、
図5の情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0066】
ユーザは操作入力部126を介して探索条件設定部127に探索条件を設定する(ステップS151)。
図6では、出発地としての現在位置を自動で取得することを念頭に置いている。すなわち、ユーザは具体的な出発地を設定しなくてもよい。続いて、現在位置測位部121は端末装置1aの現在位置を測位し、現在位置測位情報を生成する(ステップS152)。そして、情報送信部123が現在位置測位情報および入場情報を、探索要求送信部128が探索要求を、それぞれサーバ2に送信する(ステップS153)。
【0067】
サーバ2では、情報受信部221が現在位置測位情報および入場情報を、探索要求受信部226が探索要求を、それぞれ受信する(ステップS171)。そして、判定部222は、入場情報に基づいて、現在位置の補正先候補が適切であるか否かを判定する(ステップS172)。そして、現在位置補正部223は、適切であると判定された補正先候補のいずれかに現在位置を補正し(ステップS173)、補正された補正後現在位置情報を生成する。ステップS172,S173は、
図2のステップS122,S123と同様なので、詳細を説明は省略する。
【0068】
続いて、経路探索部227は、補正された現在位置を出発地とし、探索条件に含まれる目的地までの経路を、情報取得部225が取得する地図データベース231および経路ネットワークデータベース232を用いて探索し、経路情報を生成する(ステップS174)。生成された経路情報は、情報送信部224により、通信部21からネットワーク3を介して端末装置1aに送信される(ステップS175)。
【0069】
端末装置1aの情報受信部124が経路情報を受信すると(ステップS154)、経路情報が表示部125に表示される(ステップS155)。
【0070】
このように、第2の実施形態では、補正された現在位置を出発地として経路探索を行うため、より適切な経路情報がユーザに提供される。
【0071】
図4の例において、端末装置1aを持ったユーザがA駅の改札を通過し、駅のホームで経路探索を行ったとする。測位された現在位置の精度があまり良くなく、位置Pであると測位されたとき、仮に上述した現在位置の補正を行わない場合、位置Pを出発地とする経路が探索されてしまう。すると、ユーザはホームにいて、本来であればすぐにでも電車に乗ることができるにも関わらず、位置Pからホームまでの移動時間を考慮した電車の情報がユーザに提供されてしまう。この情報は必ずしも適切ではない。
【0072】
これに対し、本実施形態では、端末装置1aの現在位置がA駅内に補正されるために、既にA駅内にいることを前提とした経路が探索される。結果として、より適切な経路情報が得られる。
【0073】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、入場情報がある施設の位置(以下、入場地点という)から各補正先候補までの経路探索を行って、補正先候補が適切か否かを判定するものである。
【0074】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理システムの概略ブロック図である。本実施形態の端末装置1bにおける制御部12bは、第1の実施形態の制御部12と同様の構成である。また、本実施形態のサーバ2bは、第2の実施形態のサーバ2aから探索要求受信部226を省略した構成である。そして、本実施形態の経路探索部227は、入場地点から現在位置の補正先候補への経路を探索する。
【0075】
図8は、
図7の情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。以下、
図2との相違点を中心に説明する。
【0076】
サーバ2bの情報受信部221が現在位置測位情報および入場情報を受信すると(ステップS121)、経路探索部227は、入場情報に含まれる入場地点を出発地とし、各補正先への候補地点を目的地として、経路を探索する(ステップS1211)。そして、判定部222は、探索の結果得られる推定経路に基づいて、補正先候補が、補正先として適切か否かを判定する(ステップS122)。以下、判定の具体例を示す。
【0077】
図9は、判定手法の第1の例を説明する図である。本例では、入場情報が入場施設であるA駅への入場時刻を含むものとする。そして、A駅に10時に入場し、補正先候補はB,CおよびD駅であり、現在時刻は10時30分であるとする。
【0078】
経路探索部227がA駅からB駅までの経路探索を行った結果、B駅への推定到着時刻が、現在時刻より前の時刻(例えば10時20分)である場合、判定部222はB駅を補正先として適切と判定する。ユーザがすでにB駅に到着し、その後もB駅に留まっている可能性があるためである。
【0079】
一方、C駅への推定到着時刻が、現在時刻より後の時刻(例えば10時40分)である場合、判定部222はC駅を補正先として不適切と判定する。現在時刻10時30分においてC駅に到着することはできないためである。
【0080】
また、D駅への推定到着時刻が、現在時刻ときわめて近い時刻(例えば10時29分)である場合、判定部222はD駅を補正先としてより適切と判定するなど、推定到着時刻と現在時刻との差分によって、補正先候補が適切な補正先である可能性の度合いを評価するようにしてもよい。
【0081】
図10は、判定手法の第2の例を説明する図である。本例では、入場施設がA駅であり、補正先候補の1つがF駅であるとする。また、経路探索部227は、経路ネットワークデータベース232を用い、経路探索を行うとともに、推定経路において入場情報が更新されるか否かを推定する。
【0082】
経路探索部227が経路探索を行った結果、A駅からF駅への最適経路はE駅での乗換を伴う経路であり、しかも、E駅では改札を通過しなければならないとする。このとき、経路探索部227は入場情報に含まれる入場施設がA駅からE駅へ変更されることを推定する。しかし、実際の入場情報における入場施設がA駅のままであれば、E駅を通過しておらず最適経路を利用していないと推定できる。そのため、判定部222はF駅が補正先である可能性を低く評価するようにしてもよい。なお、A駅からF駅への経路が当該経路以外には存在しないなど、他の経路を利用する可能性が考えられない場合(F駅へ行くためにはE駅での乗換が必須である場合)には、F駅を補正先として不適切と判定してもよい。
【0084】
このように、第3の実施形態では、入場施設から補正先候補までの経路を探索するため、より正確に補正先として適切か否かの判定を行うことができる。
【0085】
なお、その他にも種々の判定法が考えられる。例えば、判定部222は現在位置の測位履歴に基づいて判定してもよい。すなわち、入場施設からどちらの方向に移動したか、どの駅で乗り換えたか、等の履歴を考慮することで、より高精度に判定できる。
【0086】
また、各補正先候補についてのユーザの利用頻度に基づいて、判定してもよい。例えば、ユーザが頻繁に訪れる駅等をサーバ内に記憶しておき、そのような駅は適切であると判定してもよい。
【0087】
さらに、入場施設から各補正先候補までの、他のユーザの移動情報に基づいて、判定してもよい。他のユーザの移動情報として、例えば乗車駅と降車駅との組み合わせ等をデータベース化したOD(Origin to Destination)データが挙げられる。例えば、入場施設がP鉄道会社のp1駅であり、補正先候補がP鉄道会社のp2駅、および、これと近接するQ鉄道会社のq駅である場合、ODデータに基づいて、p1駅から乗車してp2駅から降車したユーザは多いものの、q駅から降車したユーザは少ないことが明らかであれば、実際の移動状況を考慮したうえで、p2駅は適切でありq駅は不適切と判定してもよい。
【0088】
なお、判定部222は、ユーザが入場駅から簡易な方法で移動できる補正先候補を、適切と判定してもよい。例えば、入場駅から乗車可能な路線の電車が走行する駅や路線を、補正先として適切であると判定してもよい。特に、直通運転や乗り入れを繰り返すことで、ユーザが利用可能な路線が増える場合もあるため、入場駅から直接利用可能である、同一路線の補正先候補や、入場駅から利用可能な路線と直接乗り入れている補正先候補を、適切と判定するようにしてもよい。また、入場駅と同じ路線の補正先候補や、入場駅と同じ鉄道会社の路線の補正先候補を適切と判定するようにしてもよい。他にも、各補正先候補までの推定経路に基づいて、乗換回数が少ない補正先候補、所要時間の短い補正先候補、運賃の安い補正先候補、定期券区間を利用可能な補正先候補などを、適切と判定してもよい。
【0089】
図1および
図5の情報処理システムの構成はあくまで例であって、種々の変形が考えられる。例えば、入場情報を端末装置1,1aから直接サーバ2,2aに送信する構成でなくてもよい。すなわち、入場情報を取得する、端末装置1,1aとは異なる入場情報取得装置と、ユーザの入場情報を記憶する、サーバ2,2aとは異なる入場情報サーバと、を設け、サーバ2,2a内の情報受信部221が、入場情報サーバから入場情報を受信してもよい。
【0090】
また、サーバ内の構成要件の少なくとも一部が端末装置内にあってもよいし、逆に端末装置内の構成要件の少なくとも一部がサーバ内にあってもよい。例えば、サーバ内の制御部(および記憶部)を端末装置内に設けて、通信をすることなく端末装置のみで現在位置の補正(および経路探索)を可能な情報処理装置を構成してもよい。この場合、構成に応じて、情報送信部123,224や情報受信部124,221等を適宜省略してもよい。また、複数台の装置を用いてサーバを構成してもよく、例えば、記憶部のみを別個の装置に設けてもよい。
【0091】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0092】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0093】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。