(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121115
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】整流子
(51)【国際特許分類】
H02K 13/00 20060101AFI20170417BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
H02K13/00 J
H02K13/00 X
H02K15/02 P
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-173369(P2012-173369)
(22)【出願日】2012年7月18日
(65)【公開番号】特開2013-27313(P2013-27313A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】201110200809.5
(32)【優先日】2011年7月18日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201110442129.4
(32)【優先日】2011年12月26日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201110442363.7
(32)【優先日】2011年12月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】チュン キット チャン
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン イウ ルン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ チン シック ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルフリード ゴルト
【審査官】
柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−162922(JP,A)
【文献】
実開昭57−052776(JP,U)
【文献】
実開平01−131258(JP,U)
【文献】
特開平11−164510(JP,A)
【文献】
特開平09−009584(JP,A)
【文献】
特開2002−010580(JP,A)
【文献】
実開昭49−103903(JP,U)
【文献】
特開2010−011673(JP,A)
【文献】
特開2004−040855(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02203291(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子であって、
第1の本体が第1及び第2の軸線方向端部を備えた中空円筒である電気絶縁材料で別々に作られた第1の本体及び第2の本体と、
前記第1の本体の外面上に配置された複数の整流子セグメントと、
各端子が前記整流子セグメントの対応する1つに接触するための接触区域を有する複数の整流子端子と、
を含み、
前記第2の本体は、基部と該基部から延びるリング壁とを有し、前記第1の本体の第1の端部は、該基部及び該リング壁によって形成された空間に受け取られ、各整流子端子の前記接触区域は、該リング壁の内側で前記対応する整流子セグメントと緊密に接触し、
各整流子端子は、2つの対向する分岐を備えたU字形端部を有し、前記リング壁は、該2つの分岐の間に緊密に挿入される、
ことを特徴とする整流子。
【請求項2】
各整流子端子は、前記リング壁に形成されたスロットに周方向に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の整流子。
【請求項3】
電極を有するリングバリスタを更に含み、各整流子端子と該電極の対応する1つとは、互いに面するように該端子の表面を該電極の表面に接続する半田接続によって互いに電気接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の整流子。
【請求項4】
電極を有するリングバリスタを更に含み、各整流子端子と該電極の対応する1つとは、互いに垂直であるように該端子の表面を該電極の表面に接続する半田接続によって互いに電気接続されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の整流子。
【請求項5】
少なくとも2つの突起が、前記基部から遠隔である前記リング壁の一方の端面上に形成され、前記整流子は、更に、該少なくとも2つの突起の外面の上に押圧される内面を備えたリングバリスタを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の整流子。
【請求項6】
前記基部は、前記第1の本体の前記第1の端部の端面に接触する第1の面を有し、該第1の面及び該端面の一方は、溝を有し、他方は、適合するリブを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の整流子。
【請求項7】
複数のフィンが、前記第1の本体の前記外面上に形成され、各整流子セグメントは、2つの隣接するフィンの間に位置決めされることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の整流子。
【請求項8】
電気モータであって、
回転子と、
固定子と、
を含み、
前記回転子は、シャフトと、該シャフト上に固定された回転子コアと、該回転子コアに隣接して該シャフト上に固定された整流子と、該回転子コア上に巻かれて該整流子に電気接続された回転子巻き線とを含み、
前記整流子は、
第1の本体が第1及び第2の軸線方向端部を備えた中空円筒である電気絶縁材料で別々に作られた第1の本体及び第2の本体と、
前記第1の本体の外面上に配置された複数の整流子セグメントと、
各端子が前記整流子セグメントの対応する1つに接触するための接触区域を有する複数の整流子端子と、
を含み、
前記第2の本体は、基部と該基部から延びるリング壁とを有し、前記第1の本体の第1の端部は、該基部及び該リング壁によって形成された空間に受け取られ、各整流子端子の前記接触区域は、該リング壁の内側で前記対応する整流子セグメントと緊密に接触し、
前記固定子は、前記整流子に隣接するオイル含浸ベアリングを有し、該整流子は、更に、該ベアリングに隣接して前記第1の本体の前記第2の軸線方向端部から一体的に延びるオイルストッパを有し、
前記オイルストッパは、前記第2の本体に面する前記オイルストッパの表面から延びる少なくとも1つの軸線方向に延びる部分を有し、前記整流子セグメントは、前記第1の本体と該少なくとも1つの軸線方向に延びる部分との間で半径方向に位置決めされる、
ことを特徴とする電気モータ。
【請求項9】
前記オイルストッパは、環状先端を有し、その外径は、前記整流子セグメントの外面によって形成される仮想円筒の直径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記環状先端は、前記ベアリングを保持するベアリングホルダの中に延びることを特徴とする請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記基部は、前記第1の本体の前記第1の端部の端面に接触する第1の面を有し、該第1の面及び該端面の一方は、溝を有し、他方は、適合するリブを有することを特徴とする請求項8、請求項9、又は請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記第2の本体は、更に、前記回転子コア上に形成された少なくとも1つの受け取り孔の中に突出する少なくとも1つの突起を有し、前記オイルストッパは、更に、該突起に周方向に整列したマーカを有することを特徴とする請求項11に記載のモータ。
【請求項13】
電気モータであって、
回転子と、
固定子と、
を含み、
前記回転子は、シャフトと、該シャフト上に固定された回転子コアと、該回転子コアに隣接して該シャフト上に固定された整流子と、該回転子コア上に巻かれて該整流子に電気接続された回転子巻き線とを含み、
前記整流子は、請求項1乃至請求項7のいずれかによって規定される整流子であることを特徴とする電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータのための整流子に関し、特に、別々に形成された整流子セグメント及び端子を有する組み付け整流子に関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び2は、JP5244752Aによって開示された組み付け整流子を示している。整流子10は、整流子基部5によって支持されるいくつかのセグメント1を有する。各セグメント1は、別々に形成された端子2及びセグメント部分3を有する。セグメント部分3の一端は、整流子基部5の開口部6に挿入される。接合区画2aは、端子2の一端を曲げることによって形成される。端子2は、セグメント部分3に対して接合区画2aを締結する固定リング4の手段によってセグメント部分3に接続される。これは、セグメント材料の良好な利用を提供するが、端子とセグメント部分間の接続が確保されず、接続の問題をもたらす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP5244752A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、端子とセグメント部分の間に確実なコネクタを有する新しい組み付け整流子に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、その1つの態様では、本発明は、第1の本体が第1及び第2の軸線方向端部を備えた中空円筒である電気絶縁材料で別々に作られた第1の本体及び第2の本体と、第1の本体の外面上に配置された複数の整流子セグメントと、各々が整流子セグメントの対応する1つに接触するための接触区域を有する複数の整流子端子とを含み、第2の本体が、基部と基部から延びるリング壁とを有し、第1の本体の第1の端部が、基部及びリング壁によって形成された空間に受け取られ、各整流子端子の接触区域が、リング壁の内側で対応する整流子セグメントと緊密に接触する整流子を提供する。
【0006】
好ましくは、各整流子端子は、2つの対向する分岐を備えたU字形端部を有し、リング壁は、2つの分岐間に緊密に挿入される。
【0007】
好ましくは、各整流子端子は、リング壁内に形成されたスロットに周方向に位置決めされる。
【0008】
好ましくは、電極を有するリングバリスタが設けられ、各整流子端子と電極の対応する1つとは、互いに面するように端子の表面を電極の表面に接続する半田接続によって互いに電気接続される。
【0009】
代替的に、電極を有するリングバリスタが設けられ、各整流子端子と電極の対応する1つとは、互いに垂直であるように端子の表面を電極の表面に接続する半田接続によって互いに電気接続される。
【0010】
好ましくは、基部から遠隔であるリング壁の一方の端面上に少なくとも2つの突起が形成され、整流子は、更に、少なくとも2つの突起の外面上に押圧された内面を備えたリングバリスタを有する。
【0011】
好ましくは、基部は、第1の本体の第1の端部の端面と接触する第1の面を有し、第1の面及びこの端面の一方は、溝を有し、他方は、適合するリブを有する。
【0012】
好ましくは、第1の本体の外面上に複数のフィンが形成され、各整流子セグメントは、2つの隣接するフィンの間に位置決めされる。
【0013】
その第2の態様により、本発明はまた、回転子及び固定子を含み、回転子が、シャフトと、シャフト上に固定された回転子コアと、回転子コアに隣接してシャフト上に固定された整流子と、回転子コア上に巻かれて整流子に電気接続された回転子巻き線とを有し、整流子が、第1の本体と、第2の本体と、複数の整流子セグメントと、複数の整流子端子とを含み、第1の本体及び第2の本体が、電気絶縁材料で別々に作られ、第1の本体が、第1及び第2の軸線方向端部を備えた中空円筒であり、整流子セグメントが、第1の本体の外面上に配置され、各整流子端子が、整流子セグメントの対応する1つに接触するための接触区域を有する電気モータを提供し、第2の本体は、基部と基部から延びるリング壁とを有し、第1の本体の第1の軸線方向端部は、基部及びリング壁によって形成された空間に受け取られ、各整流子端子の接触区域は、リング壁の内側で対応する整流子セグメントと緊密に接触する。
【0014】
好ましくは、固定子は、整流子に隣接するオイル含浸ベアリングを有し、整流子は、更に、ベアリングに隣接する第1の本体の第2の軸線方向端部から一体的に延びるオイルストッパを有する。
【0015】
好ましくは、オイルストッパは、環状先端を有し、その外径は、整流子セグメントの外面によって形成される仮想円筒の直径よりも大きい。
【0016】
好ましくは、環状先端は、ベアリングを保持するベアリングホルダの中に延びる。
【0017】
好ましくは、オイルストッパは、第2の本体に面するオイルストッパの表面から延びる少なくとも1つの軸線方向に延びる部分を有し、整流子セグメントは、第1の本体と少なくとも1つの軸線の延びる部分との間に半径方向に位置決めされる。
【0018】
好ましくは、基部は、第1の本体の第1の端部の端面に接触する第1の面を有し、第1の面及びこの端面の一方は、溝を有し、他方は、適合するリブを有する。
【0019】
好ましくは、第2の本体は、更に、回転子コア上に形成された少なくとも1つの受け取り孔の中に突出する少なくとも1つの突起を有し、オイルストッパは、更に、突起に周方向に整列したマーカを有する。
【0020】
その第3の態様により、本発明はまた、電気絶縁材料で作られた第1の本体の外面上に複数の整流子セグメントを配置する段階と、電気絶縁材料で作られた第2の本体に複数の整流子端子を組み付ける段階と、各整流子端子が整流子セグメントの対応する1つと緊密に接触するように、整流子端子を備えた第2の本体に整流子セグメントを備えた第1の本体を組み付ける段階とを含む整流子を形成する方法を提供する。
【0021】
好ましくは、本方法は、第1の本体を第2の本体に組み付ける前に整流子端子にバリスタを電気接続する段階を含む。
【0022】
好ましくは、本方法は、第1の本体を第2の本体に組み付ける前に電気モータの回転子巻き線を整流子端子に電気接続する段階を含む。
【0023】
本発明の実施形態では、基部から延びるリング壁は、整流子セグメントと端子の間に安定した接触が得られるように端子及び整流子セグメント上に安定した圧力を発生させることができる。更に、整流子セグメントの同心度及びモータ回転子の均衡が保証される。
【0024】
ここで、本発明の好ましい実施形態を単に一例として添付図面の図を参照して以下に説明する。図では、1つよりも多くの図に出現する同一の構造体、要素、又は部品は、一般的に、それが出現する全ての図において同じ参照番号を用いてラベル付けされる。図に示す構成要素及び特徴部の寸法は、一般的に、呈示の都合及び明瞭性によって選択され、必ずしも縮尺に従って示していない。以下にこのような図を列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】本発明の第1の好ましい実施形態による組み付け整流子を示す図である。
【
図6】本発明の第2の好ましい実施形態に従ってバリスタが装着された
図3の整流子を示す図である。
【
図7】本発明の第3の好ましい実施形態による組み付け整流子を示す図である。
【
図8】本発明の第4の好ましい実施形態に従って整流子を組み込んだ電気モータの断面図である。
【
図9】
図8の電気モータの一部分の拡大断面図である。
【
図11】本発明の第5の実施形態に従ってバリスタが装着された
図10の整流子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図3から5を参照すると、本発明の第1の好ましい実施形態による整流子20は、複数の整流子セグメント22と、複数の端子24と、第1の本体26及び第2の本体28とを有する。整流子セグメント22及び端子24は、別々に形成され、かつ導電材料で作られている。第1及び第2の本体26、28はまた、別々に形成され、かつ電気絶縁材料で作られている。整流子20は、ブラシモータに使用することができる。
【0027】
第1の本体26は、整流子の軸線を形成する細長い中空円筒であり、第1の円形の貫通孔30が、回転子のシャフトを受け取るために軸線に沿って延びている。整流子セグメント22は、周方向に規則的な間隔で第1の本体26の外面上に固定される。第2の本体28は、基部32とリング壁34とを有する。基部32は、細長い中空円筒であり、2つの対向する端面36、38と、シャフトを受け取るために軸線に沿って延びる第2の円形の貫通孔40とを有する。リング壁34は、第2の端面38から離れる方向に基部32の第1の端面36の外縁から一体的に延びている。基部32及びリング壁34は、第1の本体26を受け取るための空間39を形成する。リング壁34の内面は、第2の貫通孔40と同軸である。リング壁34の内径は、第1の本体26に固定された整流子セグメント22の外面によって形成された仮想円筒の直径に等しいか又はそれよりも僅かに大きい。第1及び第2の円形の貫通孔30及び40の直径は、同じであり、第1及び第2の貫通孔30、40は、第1の本体26の第1の端部が空間39に挿入された後に同軸になる。
【0028】
各端子24は、U字形端部42とフック端部44とを有する。U字形端部42は、基部部分46と、基部部分42から延びる2つの対向する分岐48、50とを有する。好ましくは、基部32から離れる方向にリング壁34の端面54上に複数の半径方向に延びるスロット52が形成される。複数の段差部56が、半径方向に延びるスロット52に対応する位置でリング壁34の外面から突出する。端子24は、周方向に規則正しい間隔でリング壁34に組み付けられる。組み付けられた後に、リング壁34は、各U字形端部42の分岐48、50の間に緊密に挿入され、各U字形端部42の基部部分46は、対応する半径方向に延びるスロット52内で半径方向に位置決めされ、第1の分岐48の半径方向内面は、リング壁34の内側で対応する整流子セグメント22に接触するための接触区域58を形成し、第2の分岐50は、リング壁34の外側で段差部56によって支持される。
【0029】
整流子セグメント22が第1の本体26の外面上に固定され、かつ端子24が第2の本体28に組み付けられた後に、第1の本体26及び第2の本体28は、基部32及びリング壁34によって形成された空間39に第1の本体の第1の端部を挿入することによって互いに組み付けられ、同時に、端子24の接触区域58が整流子セグメント22に緊密に接触するように、各端子24の第1の分岐48は、リング壁34の内面に及び対応する整流子セグメント22の外面の間に締結される。
【0030】
図6は、本発明の第2の好ましい実施形態による整流子60の組み付け図である。整流子60は、基本的には整流子20と同じであるが、バリスタが追加されている。リングバリスタ61は、リング壁34の外側に同軸に配置される。リングバリスタ61は、リング形状要素本体62とリング形状要素本体62の上面上に形成された平面電極63とを含む。各端子24は、端子24のフック端部44の外面65と対応する平面電極63の間に半田64によってリングバリスタ61に電気接続される。
【0031】
図7は、本発明の第3の好ましい実施形態による整流子67の組み付け図である。整流子67は、バリスタの位置を除けば基本的には整流子60と同じである。この実施形態では、リングバリスタ61は、リング壁34の上方に同軸に配置される。バリスタ61の平面電極63は、リング壁34に面するリング形状要素本体62の表面上に形成される。各端子24は、端子24のU字形端部の基部部分46と対応する平面電極63の間に半田64によってリングバリスタ61に電気接続される。
【0032】
整流子60では、基本的に互いに垂直な2つの面が互いに半田付けされる。整流子67では、2つの対向する面の間に半田付けすることによって端子24がリングバリスタ62に電気接続され、それによって半田64を少ししか使用しないことになるので、結果としてコストを低減することができる。更に、半田を少ししか使用しないことにより、異なる端子間に使用される半田間の不均衡を低減する助けになるので、より良好な均衡を有する回転子をもたらすことができる。
【0033】
図8は、本発明の第4の好ましい実施形態による整流子を組み込むブラシDCモータを示している。ブラシDCモータ68は、固定子と回転子を有する。回転子は、シャフト70、シャフト70に固定された回転子コア72、回転子コア72に隣接してシャフト70に固定された整流子74、及び回転子コア72の極の周りに巻かれ、かつ整流子74に電気接続された回転子巻き線(図示せず)を有する。固定子は、開放端部及び閉鎖端部80を有する軸線方向に延びる円形ハウジング78、ハウジング78の内面に固定された永久磁石82、ハウジング78の開放端部を閉じる末端キャップ84、及び整流子と摺動接触するためのブラシ86を有する。ハウジング78は、導磁性材料で作られる。末端キャップ84は、ハウジング78に固定して装着される。シャフト70は、それぞれハウジング78の末端キャップ84と閉鎖端部80とのベアリングホルダ90に位置付けられた2つのオイル含浸ベアリング88、89によって支持され、回転子コア72が、空隙にわたって永久磁石82と対峙している。ブラシ86に電気接続された2つのモータ端子91は、末端キャップ84に装着される。モータ端子91、ブラシ86、及び整流子74を通じて回転子巻き線に電力が供給される。
【0034】
整流子20と比較すると、整流子74は、第1の本体26から一体的に延びるオイルストッパ92を除けば基本的には同じである。
図9は、
図8のモータの一部分の拡大断面図であり、整流子74、シャフト70、及びベアリング88の配置を示している。
図10は、組み付け整流子74を示している。図示のように、オイルストッパ92は、本体部分94とオイル収集部分とを有する。本体部分94は、第2の本体28から遠隔である第1の本体26の第2の端面の内縁からベアリング88の中に一体的にかつ軸線方向に延びる。オイル収集部分は、ディスク部分96及び外側リング98を含む。ディスク部分96は、第1の本体26の第2の端部から半径方向かつ外向きに延びている。外側リング98は、ディスク部分96の外縁からベアリング88の中に外向きに延びている。本体部分94、ディスク部分96、及び外側リング98は、ベアリング88から漏れるオイルを受け取るための空間100を形成する。本体部分94は、空間100内のオイルがシャフト70とオイルストッパ92の間を通過することを防止するために油密方式でシャフト70に押圧される。外側リング98の内面は、ディスク部分96の面に対して外向きに傾斜した環状面を形成する。オイル収集部分の外径D1は、整流子セグメント22の外面によって形成された仮想円筒の直径D2よりも大きい。オイル収集部分の先端102は、ベアリング88を保持するためのベアリングホルダ90の中に延びている。上述の構成により、空間100内のオイルがベアリング88に戻され、整流子74へのオイルの移行が防止される。
【0035】
好ましくは、第1の本体28の外面と同軸の環状フランジ104は、第2の本体28に面するディスク部分96の一方の端面から一体的にかつ軸線方向に延びている。整流子セグメント22の軸線方向外端は、環状フランジ104の内面と第1の本体28の外面の間に位置決めされ、セグメントの外端を軸線方向に保持する。従って、シャフト70に対する整流子セグメント22の同心度を保証することができる。
【0036】
好ましくは、複数の周方向に離間したフィン106は、第1の本体26の外面上で軸線方向に延びている。各整流子セグメント22は、周方向に2つの隣接するフィン106の間に位置決めされ、セグメントの周方向間隔を設定する。
【0037】
好ましくは、いくつかの周方向に離間した突起108は、第2の本体28の第2の端面38から突出し、突起108を受け取るための複数の受け取り孔110が、回転子コア72に形成される。この構成により、整流子74と回転子コア72が周方向にインターロックされ、整流子74と回転子コア72の間に正しい周方向の向きが確保される。更に、突起108の1つに周方向に整列したノッチ112が、オイルストッパ92の本体部分94に形成される。ノッチ112は、突起の位置をマーク付けするためのマーカとして機能し、従って、組み付け中に突起108を受け取り孔110内に容易に挿入することが可能になる。マークは、代替的に、
図11の突起113などの小さい突起のような別のタイプのものとすることができることは理解可能であるはずである。
【0038】
図11は、本発明の第5の好ましい実施形態による整流子114の組み付け図である。
図12は、整流子114の正面図である。整流子114は、バリスタを装着するための突起が追加されているが整流子74と本質的に同じである。この実施形態では、周方向に離間した突起116が、リング壁34の端面54に形成される。リングバリスタ61は、リングバリスタ61の内面が突起116の外面の上に押圧されることにより、端面54によって支持される。この構成により、半田付けする前にリングバリスタ61を第2の本体28に位置決めし、回転子シャフトに対するリングバリスタ61の同心度を確保し、それによって回転子の均衡を改善することができる。リングバリスタ61の平面電極と端子24の基部部分46の間に間隙118が形成される。間隙118に半田を適用することにより、リングバリスタ61と端子24とが互いに電気接続される。
【0039】
更に
図13及び14を参照すると、リブ120及び適合する溝122は、それぞれ第1及び第2の本体26、28の対向する面に形成される。この構成によりかつ突起108と共に、整流子セグメント22は、所定の周方向位置で対応する端子24に接触し、モータの望ましい整流角度が達成される。
【0040】
本発明の上述の実施形態では、整流子セグメントと端子間に安定した接触が得られるように、基部から延びるリング壁は、端子及び整流子セグメントに対して安定した圧力を発生させることができる。更に、整流子セグメントの同心度と回転子の均衡が改善される。
【0041】
本発明は、更に、整流子を形成する方法を提供する。本方法は、電気絶縁材料で作られた第1の本体の外面に複数の整流子セグメントを固定する段階と、電気絶縁材料で作られた第2の本体に複数の整流子端子を組み付ける段階と、各整流子端子が整流子セグメントの対応する1つに緊密に接触するように、整流子セグメントを備えた第1の本体を整流子端子を備えた第2の本体に組み付ける段階とを含む。
【0042】
好ましくは、本方法は、更に、バリスタを整流子端子に半田付けする段階と、第1の本体を第2の本体に組み付ける前にモータの回転子巻き線を整流子端子に固定する段階とを含む。第1の本体が第2の本体に装着される前のバリスタと回転子巻き線が整流子端子に接続される時に整流子セグメントの汚染に対する保護が必要ないので、工程が簡略化され、かつコストが低減される。
【0043】
本出願の説明及び特許請求の範囲では、動詞「comprise」、「include」、「contain」、及び「have」の各々及びその変形は、包含的な意味で使用され、記述される項目の存在を指定するが、付加的な項目の存在を除外しない。
【0044】
本発明を1つ又はそれよりも多くの好ましい実施形態に関連して説明したが、様々な修正が可能であることは当業者によって認められるべきである。従って、本発明の範囲は、以下に続く特許請求の範囲を参照することによって判断されるものとする。
【0045】
例えば、整流子セグメントを位置決めするための環状フランジ104は、周方向に離間した複数の軸線方向に延びる部分によって置換することができる。
【符号の説明】
【0046】
20 整流子
22 整流子セグメント
24 整流子端子
26 第1の本体
28 第2の本体