(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本発明に関して、加熱装置を備えた塗布器具が特許文献1に公知である。そこでは、マスカラ液を収容する容器およびキャップと、塗布ヘッドを備えた塗布具と、塗布ヘッドを加熱する加熱装置などで塗布器具(美容器具)を構成している。摘みを兼ねるキャップの内部には、加熱装置の電源となる電池が配置してあり、キャップと一体化された塗布具の塗布ヘッドの内部には、抵抗加熱素子が配置してある。容器にねじ込まれたキャップを容器から取外すと、給電用の回路が閉じられて抵抗加熱素子を発熱させることができ、この熱で塗布ヘッドの基部表面に付着したマスカラ液を加熱して均一に拡散し流動させた状態でまつ毛に塗布できる。
【0003】
同様の美容器具は特許文献2にも開示されている。そこでは、マスカラ液を収容する容器と、ブラシ棒を支持する取っ手(キャップ)とでマスカラパッケージ(美容器具)を構成している。ブラシ棒の下部には、発熱体を備えた発熱塗布部が設けてあり、取っ手の外面に配置したスイッチノブをオン操作することにより発熱体に通電して発熱塗布部を加熱できる。使用時には、容器にねじ込まれた取っ手を取外すことにより、発熱塗布部の外面のブリッスルに付着したマスカラ液を、加熱された状態でまつ毛に塗布できる。さらに、発熱塗布部を容器内に収容した状態のままで、スイッチノブをオン操作することにより、低温のマスカラ液を加熱してその粘度を低下させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の美容器具によれば、キャップを容器から取外す動作に連動して抵抗加熱素子を発熱させ、塗布ヘッドに付着したマスカラ液を加熱し均一に拡散し流動させた状態でまつ毛に塗布できる。しかし、特許文献1のマスカラ塗布具は、マスカラ液をまつ毛に塗布する機能を備えているに過ぎない。そのため、前段のまつ毛をカールする作業と、後段のまつ毛に付着したダマ(マスカラ塊)を除去する作業を行う際に、別途まつ毛整形具とマスカラコームを用意する必要があり、一連の作業が煩雑で化粧に多くの手間が掛かってしまう。
【0006】
その点、特許文献2の美容器具は、発熱塗布部にまつ毛をカールする櫛と、マスカラ液を塗布するブラシとが設けてあるので、一連の作業を少ない手間で行うことができる。しかし、まつ毛をカールするための櫛がブラシと共に、容器内のマスカラ液に浸漬されるため、まつ毛をカールする際には、櫛に付着したマスカラ液を除去する必要があり、余分な手間が掛かる。マスカラ液が無駄に消費される不利もある。
【0007】
上記のように従来の美容器具は、美容処理を順序だてて行う際に手間が掛かる点、あるいは、化粧料等が無駄に消費される点で改善の余地があった。本発明者等は、これらの問題点を解決するために検討を重ねた結果、それぞれ異なる機能を発揮できる複数の部材で美容器具を構成すると、美容器具を多機能化して使い勝手を向上できることを見出した。例えば、まつ毛を整形する機能を備えた部材と、マスカラ液を塗布する機能を備えた部材とで美容器具を構成し、さらに、個々の部材を必要に応じて加熱した状態で使用できるようにすると、美容処理を順序だてて手際よく行なうことができる。しかし、加熱した状態で使用される部材は、個々の部材の機能に応じて温度状態を異ならせる必要があり、さらに個々の部材の構造や熱伝導状態が大きく異なるため、これらの問題をいかにして解決するかを検討した結果、本発明を提案するに至ったものである。
【0008】
本発明の目的は、それぞれ異なる機能を発揮する複数の部材をアタッチメント化して、順序だてて行われる美容処理を手際よく行なうことができる、多機能化された美容器具を提供することにある。
本発明の目的は、アタッチメント化された各部材の温度状態を、個々の部材の機能や構造に応じて適温に保持でき、一連の美容処理を好適に行なえる美容器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の美容器具は、
電池205と制御基板が配置され、一端に加熱ロッド207が形成された本体部200と、加熱ロッド207の一端に設けられてヒーター210を含む加熱部208と、本体部200に対して着脱自在に装着されて、装着状態において加熱部208の外面を覆う複数種のアタッチメントAと、本体部200とアタッチメントAとの間の連結部に設けられて、本体部200にアタッチメントAが装着されているか否かを検知するための検知構造とを備える。アタッチメントAは、本体部200に対して第1連結構造を介して着脱自在に装着されて、マスカラ液を塗布する際に装着される塗布体201と、加熱ロッド207に対して第2連結構造を介して着脱自在に装着されて、まつ毛を整形する際に装着されるまつ毛整形体202とを含む。アタッチメントAである塗布体201は、本体部200に第1連結構造を介して装着されるキャップ218と、キャップ218で支持される中空軸状の塗布ロッド219と、塗布ロッド219に設けられる塗布部220とを備え、塗布部220によりマスカラ液をまつ毛に塗布できるように構成されている。アタッチメントAであるまつ毛整形体202は、加熱ロッド207に第2連結構造を介して装着されるコーム枠230と、コーム枠230の外面に設けられてまつ毛を整形する整形コーム部231とを備える。第1連結構造を介して塗布体201を本体部200に装着した状態において、加熱部208の外面が塗布部220で覆われて、加熱部208により塗布部220が加熱され、同様に第2連結構造を介してまつ毛整形体202を加熱ロッド207に装着した状態において、加熱部208の外面がコーム枠230で覆われて、加熱部208によりコーム枠230が加熱されるようになっている。そして、検知構造の検知結果に基づ
いて、ヒーター210の発熱温度
が、本体部200
に装着された塗布体201を使った使用状態に対応した温度状態と、加熱ロッド207に装着されたまつ毛整形体202を使った使用状態に対応した温度状態のいずれか一つの温度状態に切換えられるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
検知構造は、本体部200の側に設けた一対の接続端子248
・248・255・255と、アタッチメントAの側に設けられる導通端子249・25
6とを含み、アタッチメントAを本体部20
0に装着した状態において、導通端子249・25
6により、いずれか一対の接続端子248
・248・255・255を導通して、アタッチメントAの装着状態を検知する。
【0013】
検知構造は、本体部200の側に設けた光センサー261と、アタッチメントAの側に設けられる遮光体262とで構成する。アタッチメントAを本体部200に装着した状態において、光センサー261の受光状態を遮光体262で切換えて、アタッチメントAの装着状態を検知する。
【0014】
検知構造は、本体部200の側に設けたリードスイッチ281と、アタッチメントAの側に設けられる磁石282とで構成する。アタッチメントAを本体部200に装着した状態において、リードスイッチ281を磁石282で切換えて、アタッチメントAの装着状態を検知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る美容器具においては、異なる機能を発揮する部材をアタッチメント化して、これを本体部200の加熱部208に換装することにより、美容器具を多機能化するので、順序だてて行われる美容処理に従ってアタッチメントAを付換えることにより、一連の美容処理を手際よく行なうことができる。また、本体部200あるいは加熱部208に装着されたアタッチメントAを検知構造で検知して、個々のアタッチメントAの温度状態を、美容処理に適した温度に制御するので、各アタッチメントAによる美容処理を的確にしかも好適に行なうことができる。さらに、本体部200あるいは加熱部208に装着されたアタッチメントAを検知構造で識別できるので、ユーザーは各アタッチメントAを所定の姿勢で所定の位置に装着すればよく、スイッチの切換などの煩雑な操作を行う必要もなく各アタッチメントAを適温に加熱できる。
【0016】
本体部200にまつ毛を整形する加熱整形部208を設け、マスカラ液を塗布する塗布体201をアタッチメントAとする美容器具によれば、まつ毛の整形を加熱整形部208で行ったのち、塗布体201を本体部200に装着してマスカラ液の塗布を行なうことができる。また、まつ毛の整形を加熱整形部208で行う場合と、マスカラ液の塗布を塗布体201で行なう場合に、加熱整形部208および塗布体201の温度状態を、それぞれの処理に対応して好適化するので、マスカラ塗布のための一連の美容処理を手際よく行なうことができる。
【0017】
本体部200にまつ毛を整形する加熱整形部208を設け、さらに、まつ毛を整形するまつ毛整形体202・203をアタッチメントAとする美容器具によれば、まつ毛の整形処理を複数に分化した状態で好適に行なえる。例えば、まつ毛を加熱整形部208で大まかに整形したのち、まつ毛整形体202・203を加熱整形部208に装着して、上まつ毛をより緻密に整形し、あるいは下まつ毛をより緻密に整形することができる。
【0018】
本体部200の側に設けた一対の接続端子248・255・257を、アタッチメントAの側に設けられる導通端子249・256・258で導通して、アタッチメントAの装着状態を検知する検知構造によれば、アタッチメントAが加熱部208に装着されているか否かを明確に検知できる。さらに、接続端子248・255・257および導通端子249・256・258を、個々のアタッチメントAに応じて設けておくと、加熱部208に装着されているアタッチメントAを識別することができる。従って、加熱部208に装着されているアタッチメントAを制御回路側で特定して自動的に適温に加熱できる。
【0019】
光センサー261と遮光体262とで構成した検知構造によれば、アタッチメントAが加熱部208に装着されているか否かを非接触で検知できるので、接触端子を検知要素とする検知構造に比べて磨耗や接触不良を考慮する必要がなく、信頼性を向上できる。
【0020】
リードスイッチ281と磁石282を検知要素とする検知構造によれば、検知動作をさらに安定化でき、必要があればリードスイッチ281および磁石282を埋設した状態で組込むことが可能であるので、検知構造の信頼性をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るマスカラ塗布具を示す分解断面図ある。
【
図3】検知構造を示す
図1におけるB−B線断面図である。
【
図4】検知構造と制御回路の関係を示すブロック図である。
【
図5】加熱整形部の使用形態を示す一部破断側面図である。
【
図6】アタッチメントの使用形態を示す縦断面図である。
【
図7】別のアタッチメントの使用形態を示す一部破断側面図である。
【
図8】第2実施形態に係るまつ毛整形具を示す一部破断側面図である。
【
図9】
図8に係る検知構造と制御回路の関係を示すブロック図である。
【
図10】第3実施形態に係るまつ毛整形具を示す一部破断側面図である。
【
図11】
図10に係る検知構造と制御回路の関係を示すブロック図である。
【
図12】第4実施形態に係るまつ毛整形具を示す一部破断側面図である。
【
図13】
図12に係る検知構造と制御回路の関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1ないし
図7は本発明をマスカラ塗布具(美容器具)に適用した第1実施形態を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図1においてマスカラ塗布具は、本体部(第1部材)200と、本体部200に対して着脱される3種のアタッチメント(第2部材)Aと、マスカラ液を収容する容器(第3部材)204とで構成する。3種のアタッチメントAのうちのひとつは塗布体(第1塗布体)201であり、他のふたつは第1まつ毛整形体(まつ毛整形体)202と第2まつ毛整形体(まつ毛整形体)203とからなる。
【0023】
図1および
図2において本体部200は、上下に長い丸筒状のケースからなり、その内部に電池205や図示していない制御基板などが配置してある。本体部200の前面には、オン・オフの切換えが可能な、押しボタン型の電源スイッチ206が設けてある。本体部200の下端には、丸棒状の加熱ロッド207が下向きに突出する状態で設けてあり、その下端に加熱ロッド207より直径が小さな加熱整形部(加熱部)208が設けてある。加熱整形部208は、上下方向へ一定間隔おきに配置した複数個の櫛歯209で構成されて、その内部に面状ヒーター(ヒーター)210とサーミスター(図示していない)などが配置してある。櫛歯209の間は加熱窓211として開口されており、各加熱窓211において面状ヒーター210の外表面が露出させてある。加熱ロッド207の基端部の周囲は筒壁212で囲まれており、この筒壁212の内部に後述するキャップ218を差込み装着することができる。電池205は、本体部200の上部に設けた電池蓋213を取外すことにより交換することができる。
【0024】
容器204は円筒状のガラス成形品からなり、その上端に塗布体201の出入口214が開口してある。出入口214の周面にはねじ軸215が形成してあり、出入口214の内面には余分に付着したマスカラ液をしごき落とすワイパー216が設けてある。
【0025】
塗布体201は、容器204の出入口214に着脱される円筒状のキャップ218と、容器204の内部に差込まれる中空軸状の塗布ロッド219と、塗布ロッド219の下端部に設けられる塗布部220とで構成する。キャップ218には、容器204用の連結部と本体部200用の連結部とが設けてある。容器204用の連結部は、キャップ218の殆どを占めるねじキャップ221で構成されており、その内面に先のねじ軸215に対応するねじ穴222が形成してある。
【0026】
キャップ218をねじ軸215にねじ込むことにより、出入口214を塞ぐ状態で塗布体201を容器204と一体化できる。キャップ215の外面には上下方向に長い位置決めリブ223が形成してある。位置決めリブ223を、先の筒壁212に設けた位置決め溝224と係合することにより、塗布体201を本体部200に装着するときの装着位置を一定にすることができる。本体部200用の連結部は、ねじキャップ221の上部に連続する連結ボス225の周面に周回状に形成される連結溝226からなる。先の塗布ロッド219の上端は連結ボス225と一体化してある。
【0027】
図1に示すように、塗布部220はその周囲に形成した櫛歯227の一群で構成されており、隣接する櫛歯227の間にマスカラ液を保持することができる。櫛歯227の隣接ピッチは、後述する第1まつ毛整形体202と第2まつ毛整形体203における櫛歯234・241の隣接ピッチより小さくしてある。
【0028】
第1まつ毛整形体202は、主に上まつ毛を整形するために設けてあり、有底筒状のコーム枠230と、コーム枠230の外面の一側に設けられる整形コーム部231とを一体に備えている。コーム枠230の内部には、加熱整形部208の全体を差込むことができる装着穴232が形成してあり、その上開口の近くに連結溝233が周回状に凹み形成してある。整形コーム部231は、8個の櫛歯234で構成してある。
【0029】
第2まつ毛整形体203は、主に下まつ毛を整形するために設けてあり、有底筒状のコーム枠237と、コーム枠237の外面の一側に設けられる整形コーム部238とを一体に備えている。コーム枠237の内部には、加熱整形部208の全体を差込むことができる装着穴239が形成してあり、その上開口の近くに連結溝240が周回状に凹み形成してある。整形コーム部238は4個の櫛歯241で構成してある。
【0030】
塗布体201は、本体部200に対して第1連結構造を介して着脱自在に装着してある。第1連結構造は、キャップ218の連結ボス225に設けた連結溝226と、本体部200の筒壁212の内面に周回状に形成した連結リブ244とで圧嵌係合構造として構成してあり、塗布体201を筒壁212の内部に抜差しすることにより着脱できる。同様に、第1・第2の両まつ毛整形体202・203は、加熱整形部208に対して第2連結構造を介して着脱自在に装着してある。第2連結構造は、両まつ毛整形体202・203に形成した連結溝233・240と、加熱整形部208の上端寄りに周回状に形成した連結リブ245とで圧嵌係合構造として構成してあり、各まつ毛整形体202・203を加熱整形部208に抜差しすることにより着脱できる。
【0031】
本体部200と塗布体201との連結部には、塗布体201が加熱整形部208に装着されているか否かを検知する検知構造が設けてある。この検知構造は、筒壁212の内奥に設けた一対の接続端子248と、連結ボス225の上端面に埋め込んだ導通端子249とで構成してある。
図3に示すように、各接続端子248は筒壁212の内奥に設けた端子凹部250に収容されて、ばね251で押出し付勢されている。端子凹部250の開口面は受板252で塞がれており、この受板252で押出し付勢された接続端子248を受止めて、接続端子248の接触端部のみを受板252の外面に露出させている。導通端子249は、一対の接続端子248と同時に接触できる部分円弧状に形成してある。なお、各接続端子248および導通端子249は、導電性を備えた金属を素材にして形成してある。
【0032】
加熱整形部208と両まつ毛整形体202・203の連結部には、各まつ毛整形体202・203が加熱整形部208に装着されているか否かを検知する検知構造が設けてある。この検知構造は、加熱ロッド207の下端面に配置される第1まつ毛整形体202用の一対の接続端子255と、コーム枠230の上端面に埋め込んだ導通端子256と、第2まつ毛整形体203用の一対の接続端子257と、コーム枠237の上端面に埋め込んだ導通端子258とで構成してある。接続端子255・257、および導通端子256・258は、導電性を備えた金属を素材にして形成してある。各接続端子255・257は、先に説明した接続端子248と同様の端子凹部に収容されて、ばねで押出し付勢してあるが、端子凹部の形成位置が加熱ロッド207の下端面である点が異なるだけであるので、その説明を省略する。導通端子256・258は、先の導通端子249と同様に部分円弧状に形成してある。
【0033】
以上のように構成したマスカラ塗布具は、3種のアタッチメントAを外した状態と、塗布体201を加熱整形部208に装着した状態と、いずれか一方のまつ毛整形体202・203を加熱整形部208に装着した状態の4種類の態様で使用することができる。4種類の態様においては、個々の使用態様に応じて面状ヒーター210に供給される電圧が制御回路で調整されて、各使用態様ごとに好適な温度状態を保持できる。
【0034】
具体的には、電源スイッチ206をオンした状態において、全てのアタッチメントAを加熱整形部208から取外した状態(
図5に示す状態)では、3個の検知構造のいずれもが導通のないオフ状態となる。そのため、制御回路はアタッチメントAが装着されていないと判定して、面状ヒーター210の温度状態を、加熱整形部208を使用するのに適した温度状態(70℃)に保持する。加熱整形部208でまつ毛を整形する際には、櫛歯209が上向きになる状態で本体部200を水平に支持し、まつ毛の湾曲中央部を櫛歯209で梳き分けながら、面状ヒーター210の外表面にまつ毛を接触させる。この状態で、まつ毛を上向きにすくい上げ、さらに加熱窓211を眉毛の側へ回転させてまつ毛をカールさせる。さらに、カール部分を面状ヒーター210で加熱しながら、加熱整形部208の全体を上向きに押し上げることにより、まつ毛を毛先部分まで確実にカールすることができる。
【0035】
次に、
図6に示すように、第1まつ毛整形体202を加熱整形部208に装着して、上まつ毛を梳き分けながら整形する。この使用態様では、一対の接続端子255がコーム枠230に設けた導通端子256で導通されるので、制御回路は第1まつ毛整形体202が装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、第1まつ毛整形体202を使用するのに適した温度状態(80℃)に保持する。第1まつ毛整形体202を加熱整形部208に装着した状態では、コーム枠230の装着穴232が加熱整形部208に密着するので、面状ヒーター210の熱をコーム枠230を介して櫛歯234に伝えることができる。第1まつ毛整形体202は、加熱整形部208と同様にしてまつ毛を上向きにすくい上げながら、上まつ毛を1本ずつ梳き分けて整形する。
【0036】
上まつ毛の整形が終了したら、第1まつ毛整形体202に換えて、第2まつ毛整形体203を加熱整形部208に装着して、下まつ毛を梳き分け、あるいは目頭や目尻のまつ毛を梳き分ける。この使用態様では、一対の接続端子257がコーム枠237に設けた導通端子258で導通されるので、制御回路は第2まつ毛整形体203が装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、第2まつ毛整形体203を使用するのに適した温度状態(75℃)に保持する。第2まつ毛整形体203は、第1まつ毛整形体202と同様にしてまつ毛を下向きに梳き分け、あるいは目頭や目尻のまつ毛を1本ずつ梳き分ける。なお、第1まつ毛整形体202の温度状態を、第2まつ毛整形体203の温度状態より僅かに高く設定するのは、第1まつ毛整形体202の櫛歯234の数が、第2まつ毛整形体203の櫛歯241の数より多く、第1まつ毛整形体202における放熱量が大きいからである。
【0037】
以上によりまつ毛の整形が終了したら、第2まつ毛整形体203を加熱整形部208から取外したのち、筒壁212をキャップ218に外嵌して、位置決めリブ223と位置決め溝224が係合する状態で、本体部200を塗布体201に連結し、連結溝226と連結リブ244を係合させる。この状態で、本体部200を回動操作することにより塗布体201を同行回転させて、
図7に示すように塗布体201を容器204から取外すことができる。
【0038】
この使用態様では、一対の接続端子248が連結ボス225に設けた導通端子249で導通されるので、制御回路は塗布体201が装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、塗布体201を使用するのに適した温度状態(40℃)に保持する。塗布体201を加熱整形部208に装着した状態では、塗布部220の内面壁が加熱整形部208に密着するので、面状ヒーター210の熱を塗布部220の筒壁を介して櫛歯227に伝えることができる。
【0039】
次に、塗布体201の塗布ロッド219を容器204内に出し入れして、塗布部220にマスカラ液を付着させ、さらに余分なマスカラ液をワイパー216でしごき落としたのち、櫛歯227でまつ毛を梳き流すことにより、櫛歯227の間に保持されたマスカラ液をまつ毛に付着させることができる。櫛歯227の間に保持されたマスカラ液は、加熱整形部208の熱で加熱されて均一に拡散し流動しやすい状態に調整されるので、マスカラ液をまつ毛に過不足なく塗布することができる。最後にマスカラコームを使用して、まつ毛を数回梳き流すことにより、まつ毛のカール形状を整えることができる。
【0040】
上記構成のマスカラ塗布具によれば、3種のアタッチメントAを加熱整形部208から取外した状態と、3種のアタッチメントAのいずれかひとつを加熱整形部208に装着した状態の4種の態様で、まつ毛の整形やマスカラ液の塗布を行なうことができる。従って、順序だてて行われる美容処理に従ってアタッチメントAを付換えることにより、一連の美容処理を手際よく行なうことができる。また、本体部200あるいは加熱整形部208に装着されたアタッチメントAを検知構造で識別して、個々のアタッチメントAの温度状態を、まつ毛の処理に適した温度に制御するので、各アタッチメントAによるまつ毛の処理を的確にしかも好適に行なうことができる。さらに、本体部200あるいは加熱整形部208に装着されたアタッチメントAを検知構造で識別できるので、ユーザーは各アタッチメントAを所定の姿勢で所定の位置に装着すればよく、スイッチの切換などの煩雑な操作を行う必要もなく各アタッチメントAを適温に加熱できる。
【0041】
(第2実施形態)
図8および
図9は、先の実施形態における検知構造を変更した実施形態を示す。そこでは、アタッチメントAを第1まつ毛整形体202で構成する点と、検知構造を光量検知式の光センサー(CDSセンサー)261と、第1まつ毛整形体202に設けた遮光壁(遮光体)262とで構成する点が、第1実施形態の検知構造と異なる。光センサー261は、その受光面が露出する状態で加熱ロッド207の下端面に埋設してある。そのため、第1まつ毛整形体202が加熱整形部208に装着してある状態では、受光面が遮光壁262で覆われて受光量が殆どゼロとなる。また、第1まつ毛整形体202を加熱整形部208から取外した状態では、受光面が開放されるので受光量が増加し、受光量に見合った受光信号を制御回路に出力する。
【0042】
この実施形態における検知構造においては、第1まつ毛整形体202を加熱整形部208から取外した状態では、光センサー261から受光信号が出力されるため、制御回路は第1まつ毛整形体202が加熱整形部208に装着されていないと判定して、面状ヒーター210の温度状態を、加熱整形部208を使用するのに適した温度状態(70℃)に保持する。また、第1まつ毛整形体202を加熱整形部208に装着した状態では、光センサー261から受光信号が出力されないため、制御回路は第1まつ毛整形体202が加熱整形部208に装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、第1まつ毛整形体202を使用するのに適した温度状態(80℃)に保持する。他は第1実施形態と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施形態においても同じとする。
【0043】
(第3実施形態)
図10および
図11は、アタッチメントAの構造および、先の実施形態における検知構造などを変更した、マスカラ塗布具の実施形態を示す。そこでは、第1実施形態における加熱整形部208の櫛歯209を省略して、加熱ロッド207より下側の部分を加熱ヘッド(加熱部)208とした。またアタッチメントAを、第2塗布体264と第3塗布体265とで構成して、各塗布体264・265を加熱ヘッド208に交換装着できるようにした。第2塗布体264は、有底筒状の塗布枠266の周囲にブリッスル267を放射状に植設して構成してある。塗布枠266の内部には、加熱ヘッド208の全体を差込むことができる装着穴268が形成してあり、その上開口の近くに連結溝269が周回状に凹み形成してある。
【0044】
第3塗布体265は、有底筒状の塗布枠271と、塗布枠271の外面の一側に設けられる塗布コーム部272とを一体に備えている。塗布枠271の内部には、加熱ヘッド208の全体を差込むことができる装着穴273が形成してあり、その上開口の近くに連結溝274が周回状に凹み形成してある。塗布コーム部272は、8個の櫛歯275で構成してある。塗布枠271の上端面には、遮光壁(遮光体)262が突設してある。検知構造は、加熱ロッド207の下部に形成したスリット276を間にして配置される発光部277および受光部278と、前記スリット276に差込まれて光センサー間の光路を遮る遮光壁262とで構成してある。
【0045】
第2塗布体264と第3塗布体265は、それぞれ加熱ヘッド208に装着された状態で、マスカラ容器に差込まれて、ブリッスル267にマスカラ液を含ませた状態、あるいは、塗布コーム部272の櫛歯275の間にマスカラ液を含ませた状態で使用する。第2塗布体264を加熱ヘッド208に装着した状態では、発光部277から照射された検知光が受光部278で受光され、受光信号が制御回路へ出力される。そのため、制御回路は第2塗布体264が加熱ヘッド208に装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、第2塗布体264を使用するのに適した温度状態(45℃)に保持する。また、第3塗布体265を加熱ヘッド208に装着した状態では、発光部277から照射された検知光が遮光壁262で遮られるため、受光信号が制御回路へ出力されることはない。そのため、制御回路は第3塗布体265が加熱ヘッド208に装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、第3塗布体265を使用するのに適した温度状態(40℃)に保持する。なお、第2塗布体264の温度状態を、第3塗布体265の温度状態より幾分高めにするのは、櫛歯275に比べてブリッスル267の表面積が大きく、その放熱量が大きいからである。
【0046】
(第4実施形態)
図12および
図13は、アタッチメントAの構造および、先の実施形態における検知構造などを変更した、まつ毛整形具の実施形態を示す。そこでは、第1実施形態における加熱整形部208の櫛歯209を省略して、加熱ロッド207より下側の部分を加熱ヘッド(加熱部)208とした。またアタッチメントAを、束になったまつ毛を細かく梳き分けながら整形するための第1まつ毛整形体202と、大きなまつ毛の束を保持し整形する、ボリュームアップ用の第2まつ毛整形体203で構成して、各まつ毛整形体202・203を加熱ヘッド208に交換装着できるようにした。第1まつ毛整形体202と、第2まつ毛整形体203の構造は、概ね第1実施形態において説明した通りであるが、第2まつ毛整形体203の櫛歯241の隣接間隔を、第1まつ毛整形体202の櫛歯234の隣接間隔より大きくする点が異なる。
【0047】
検知構造は、加熱ヘッド208の下部に配置したリードスイッチ281と、リードスイッチ281をオン状態に切換える磁石282とで構成してあり、磁石282は第1まつ毛整形体202のコーム枠230の上端に埋設するようにした。第1まつ毛整形体202を加熱ヘッド208に装着した状態では、磁石282の磁気によってリードスイッチ281がオン状態に切換わり、オン信号が制御回路へ出力される。そのため、制御回路は第1まつ毛整形体202が加熱ヘッド208に装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、第1まつ毛整形体202を使用するのに適した温度状態(80℃)に保持する。また、第2まつ毛整形体203を加熱ヘッド208に装着した状態では、リードスイッチ281がオフ状態のままであるため、制御回路は第2まつ毛整形体203が加熱ヘッド208に装着されていると判定して、面状ヒーター210の温度状態を、第2まつ毛整形体203を使用するのに適した温度状態(75℃)に保持する。
【0048】
上記の実施形態においては、各アタッチメントAおよび加熱整形部208の温度状態を例示したが、各アタッチメントAおよび加熱整形部208の温度状態は、各部材の構造や機能に応じて適宜設定してあればよい。