(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パチンコ遊技機によっては、始動口への入賞が集中して発生したり、分散して発生する。始動口への玉の入賞が分散した場合、入賞口に玉が入賞しにくいパチンコ遊技機であると遊技者が考え易く、実際には始動口への玉の入賞頻度が高いにも関わらず稼動が低下してしまう。このように、パチンコ遊技機の稼動の良し悪しでは、始動口に玉が入賞し易いと遊技者が感じるか否かが重要となっている。
【0005】
本発明は、始動口に玉が入り易いと遊技者が感じ易い遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
通常状態、該通常状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態、及び該特別遊技状態の発生期待度が高くなる確変状態を含む複数の遊技状態が発生する遊技機において、
遊技領域を流下する玉が入賞可能な入賞部と、
前記入賞部に玉が入賞した場合に遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
前記入賞部よりも前記遊技領域の上流側に設けられ、前記入賞部に玉が入賞し易い開状態と、前記開状態よりも玉が入賞しにくい閉状態と、に切換可能な可動部材と、
前記遊技領域における玉の流下結果とは無関係に、
前記遊技状態によって異なる開閉パターンで前記可動部材を前記閉状態から前記開状態に切り換える可動部材制御手段と、を備えたことを特徴とする遊技機にある(請求項1)。
【0007】
本発明の遊技機では、玉の流下結果とは無関係に前記可動部材が開閉を繰り返すため、開状態となる頻度が玉の流下結果によって変化しない。このような仕様の遊技機によれば、開状態となる機会が最低限担保されているかのように見せることができ、これにより、入賞部に玉が入賞し易いと遊技者に思わせることができる。遊技者の多くは、入賞部に玉が入賞し易い遊技機にて遊技を行いたいと考えているので、本発明の遊技機によれば、遊技者の遊技意欲を高めることができる。
【0008】
この遊技機では、前記可動部材が開状態となって玉が入賞したとき、入賞部への玉の入賞を遊技者が認識し易く、入賞部への入賞を印象付けることが容易である。このように入賞部への入賞を遊技者に印象付けできれば、入賞部への入賞頻度を実際よりも高く錯覚させる効果が生じる可能性がある。遊技者側にこのような錯覚が生じれば、遊技者の遊技意欲を高める効果がより顕著なものとなる。
【0009】
以上のように、本発明の遊技機は、入賞部に玉が入り易いと遊技者に感じさせることができる遊技機である。
【0010】
本発明の遊技機としては、玉を遊技価値として使用するタイプであっても良いが、玉を遊技価値として利用しない、いわゆる封入式のタイプであっても良い。
本発明の遊技機が備える可動部材制御手段が前記可動部材を前記閉状態から前記開状態に切り換えるタイミングとしては、一定時間毎のタイミングや、玉の流下結果とは関係なく制御回路等が決定するランダムな時間的なタイミングや、制御回路等が玉の流下結果とは関係なく実行する抽選に当選したタイミングなど、様々なタイミングがある。
【0011】
本発明における好適な一態様の遊技機
が備える可動部材制御手段は、前記通常状態において、前記開状態の前記可動部材に到達した後に前記入賞部に入賞する玉の総数が、前記閉状態の前記可動部材に到達した後に前記入賞部に入賞する玉の総数よりも多くなるように前記可動部材の制御を実行する(請求項2)。
【0012】
ここで、従来の一般的な遊技機では、入賞口の真上に到達する玉の割合を減らすように調整することにより、入賞口への入賞頻度を低くすることが可能である。例えば、入賞口の真上の遊技領域のみを調整するだけで効率良く入賞頻度を抑制できる。これに対して、前記可動部材が開状態となり易く、開状態の可動部材によって玉を拾うことができる本発明の遊技機では、入賞部の真上に行く玉の割合を減らすだけでは入賞頻度を十分に抑制できない。入賞頻度を十分に抑制するためには、例えば、可動部材に到達する経路となる遊技領域を広範囲に調整することで、可動部材に到達する玉の数自体を減らす必要がある。
【0013】
一般的に、遊技領域の調整度合が大きいと、遊技者側に不利となる調整に気付いて遊技を嫌う遊技者が多くなる。遊技領域の大きな調整は、稼動を損ない経営上の不利を誘発するという遊技場側の事情がある。
上記のように開状態下で入賞する玉の総数が、閉状態下で入賞する玉の総数よりも多くなるように可動部材を制御する場合、前記入賞部の入賞数を抑制するためには、可動部材に到達する玉の数自体を減らす必要がある。上記のように、可動部材に到達する玉の数自体を減らすためには、遊技領域を広範囲に調整する必要があり遊技者側に目立ってしまう可能性が高くなる。したがって、本発明において、開状態下で入賞する玉の総数が、閉状態下で入賞する玉の総数よりも多くなるように可動部材を制御する場合には、遊技領域の広範囲な調整を行いにくいという上記の遊技場側の事情を逆手に取って利用できるようになり、入賞部の入賞頻度を極端に低減させるような調整を行わないように遊技場側を仕向けることが可能になる。
【0014】
本発明における好適な一態様の遊技機における入賞部は、当該入賞部に入賞した玉が入賞可能な第1入賞口と第2入賞口とを備え、
前記第1入賞口及び前記第2入賞口のいずれかに玉が入賞した場合に抽選処理を実行する抽選手段と、
前記第1入賞口及び前記第2入賞口に対してそれぞれ設定された上限保留数を限度として、前記抽選手段による抽選結果を特図保留として所定の上限保留数まで記憶する記憶手段と、
前記第1入賞口及び前記第2入賞口への入賞に基づいた前記特図保留をそれぞれ記憶している場合、前記第1入賞口への入賞に基づいた特図保留と前記第2入賞口への入賞に基づいた前記特図保留とを交互に1つずつ読み出すと共に、前記特図保留の読み出しに応じて前記記憶手段の保留数を減少させる読出手段と、
前記読出手段が読み出した前記特図保留の当否を判定する当否判定手段と、
前記当否判定手段による判定結果に基づいて図柄変動を実行する図柄変動手段と、
前記入賞部に入賞した玉を前記第1入賞口及び前記第2入賞口のいずれかに誘導すると共に、前記第1入賞口と前記第2入賞口とに玉が交互に入賞するよう誘導先を切り換える誘導手段と、を備えている(請求項3)。
【0015】
この場合には、入賞部に玉が入賞した場合の実質的な上限保留数を、第1入賞口に対応した上限保留数と、第2入賞口に対応した上限保留数と、の合計数に設定できる。例えば、一の入賞口に対応した上限保留数が規則等により定められている遊技機についても、本構成を採用すれば、一の入賞口に対応した上限保留数を変更することなく、見た目上の上限保留数を増加させることが可能になる。
【0016】
本発明における好適な一態様の遊技機における入賞部は、前記遊技領域を第1方向に向けて流下した玉が入賞し易い第1方向入賞部であり、
前記遊技領域を前記第1方向とは異なる第2方向に向けて流下した玉が入賞し易い第2方向入賞部と、
前記第2方向入賞部に玉が入賞した場合に遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
前記第2方向入賞部よりも前記遊技領域の上流側に設けられ、前記第2方向入賞部に玉が入賞し易い第2開状態と、前記第2開状態よりも玉が入賞しにくい閉状態と、に切換可能な第2可動部材と、
遊技領域に設けられた特別領域を玉が通過した場合に前記第2可動部材を前記第2開状態にするか否かを決定し、前記第2開状態とすると決定した場合に、前記第2可動部材を前記第2開状態に切り換える第2可動部材制御手段と、を備え、
前記可動部材は、前記第2可動部材と形状が同じ又はほぼ同じである(請求項4)。
【0017】
前記第2可動部材は多くの遊技機に設けられている一般的なものである。前記可動部材の形状仕様を第2可動部材と同じ又はほぼ同じにすれば、前記可動部材が開状態となると玉が入賞し易いことを遊技者に認識させ易くなり、入賞部への入賞頻度を実際よりも高く錯覚させ遊技意欲を高める効果を一層高めることができる。
【0018】
また、玉を第1方向に向けて流下させるか、第2方向に向けて流下させるか遊技者が選択できるようになり、遊技機における遊技性を向上できる。さらに、多くの遊技機に設けられる一般的な第2可動部材に加えて、玉の流下結果とは無関係に開閉する前記可動部材を設ける場合であれば、開状態と閉状態とが切り換わる部材を複数具備することになった場合であっても、開状態とするか否かの抽選を複数種類行う必要がない。
【0019】
なお、前記可動部材が前記第2可動部材と形状が「ほぼ同じ」の範囲には、少なくとも同じ機能によって玉が入賞易い状態と入賞しにくい状態とを切り換えるものが含まれる。例えば、各部材に1対の回動翼片が設けられ、回動翼片の動きによって開状態と閉状態に切り換わるものであれば、回動翼片の形状が大きく異なっているものや、可動部材の見た目が大きく異なっているものであっても、上記の「ほぼ同じ」範囲に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、玉の入賞等の流下結果とは無関係に開閉動作を行う第1電チュー(可動部材)を備えたパチンコ遊技機1に関する例である。この内容について、
図1〜
図5を用いて説明する。
【0022】
図1に示すパチンコ遊技機1は、パチンコ玉を遊技媒体として遊技される遊技機である。このパチンコ遊技機1は、所定の入賞口110A、110B(
図2)、120への入賞に応じて大当たり抽選が実行され、16R(ラウンド)大当たりに当選したときに大当たり図柄が表示されて大当たりが発生する、いわゆるセブン機である。
【0023】
本例のパチンコ遊技機1は、
図1に示すような外観的な構成を備えている。パチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13と、開閉扉13の内側の遊技盤面に形成された略円形状の遊技領域130と、遊技領域130の下部両側に配置された一対のスピーカ131と、遊技領域130の下側に設けられた上皿135及び下皿137と、上皿135の右下に配置された操作ハンドル15と、を備えている。
【0024】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側のヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
【0025】
上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れるための受け皿である。上皿135は、遊技者側に向けて張り出すように形成されている。上皿135の玉は、図示しない供給通路を経由して発射装置341に供給されるようになっている。
下皿137は、上皿135の玉が一杯になったときに賞球を払い出したり、遊技者の操作に応じて上皿135の玉を回収するための受け皿である。
【0026】
遊技領域130は、遊技媒体であるパチンコ玉が流下する領域である。遊技領域130は、液晶表示部190を含む表示装置19を中心として形成されている。表示装置19とアウト孔138との間隙のスペースに形成される表示装置19の下側領域130B(アウト孔138は含まない)には、入賞口110A・Bを含む第1入賞部11等が配設されている。遊技者側から向かって表示装置19の右側に位置する右側領域130Rには、上から順番に、通過ゲート14、入賞口120を含む第2入賞部12、大入賞装置16等が配置されている。下側領域130Bのさらに下側に当たる遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。遊技者側から向かって表示装置19の左側に位置する左側領域130Lの左縁部には、普図表示部181、普図保留表示部182が配置されている。
【0027】
液晶表示部190の表示画面の手前側を玉が通過しないよう、表示装置19の外枠は、遊技領域130を覆うガラス面近くまで張り出すように形成されている。遊技領域130を流下する玉は、表示装置19の張り出し形状により、右側領域130Rと左側領域130Lとに振り分けられる。
【0028】
右側領域130Rに配置された第2入賞部12は、表示装置19によって右側(第2方向)に振り分けられた玉が入賞可能な第2方向入賞部となっている。表示装置19の右下には、玉の流れを規制する障害役物145が配置されている。この障害役物145は、右側領域130Rを流下する玉について、下側領域130Bへの回り込みを阻害する。下側領域130Bに配置された第1入賞部11は、表示装置19の左側(第1方向)の左側領域130Lを流下する玉が専ら入賞可能な第1方向入賞部となっている。
【0029】
通過ゲート14は、通過玉を検知するゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。特別領域に当たる通過ゲート14が通過玉を検知すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。
【0030】
普図表示部181は、普図判定の当否の表示部である。普図表示部181は、LEDを点灯させることにより当選を表示し、消灯に応じてハズレを表示する。
普図保留表示部182は、普図の変動表示中に抽出された普図判定用の抽選用乱数の保留数の表示部である。
【0031】
図2の第1入賞部11は、特別図柄の当否判定(以下、特図判定という。)の契機となる入賞口110A・Bが設けられた振分部材112に対して、一対の回転翼片よりなる第1電チュー111(可動部材)を組み合わせて構成されている。閉状態の一対の回転翼片は、隙間を空けて相互に対面するように起立する状態(図中破線の状態)にある。この状態では、真上に位置する1対の釘の玉1個分の隙間を介してのみ玉が流入可能である。一方、相互に離隔するように回動した開状態(図中実線の状態)の一対の回動翼片は、玉の流入をガイドする受け皿のように作用する。この状態では、第1電チュー111への玉の流入が容易になり入賞率が一気に高くなる。
【0032】
本例の第1電チュー111は、入賞など玉の流下によって生じる一切の結果とは関係なく、開閉動作を繰り返し実行する。本例の開閉動作は、1秒閉鎖→0.1秒開放→1秒閉鎖→0.1秒開放の繰り返し動作である。この開閉動作は、玉の流下に起因する抽選や玉の入賞等に全く関係なくパチンコ遊技機1が動作している間、繰り返し実行される。
【0033】
振分部材112は、末広がりの台形状をなすプラスチック部品であり、振分入賞口110に連通する分岐通路が内部に形成されている。分岐箇所には、玉の通路を切り換える切換弁(誘導手段)113が設けられている。この切換弁113は、回動可能に軸支された仕切り板により構成されている。例えば、切換弁113を構成する仕切り板が
図2中の左側に回動すると入賞口110Aへの通路が閉鎖される一方、入賞口110Bへの通路が開放され、これにより振分入賞口110に流入した玉が入賞口110Bに導かれる。例えば、切換弁113を構成する仕切り板が
図2中の右側に回動すると入賞口110Bへの通路が閉鎖される一方、入賞口110Aへの通路が開放され、これにより振分入賞口110に流入した玉が入賞口110Aに導かれる。このように、振分部材112では、切換弁113の位置に応じて、振分入賞口110に流入した玉が入賞口110Aに導かれるか、入賞口110Bに導かれるか、が切り換わる。より詳細には、切換弁113は、各入賞口110A、Bへの入賞が発生する度に回動する構成となっている。例えば、切換弁113が左側に回動し、入賞口110Aへの通路が封鎖されている状態で入賞口110Bへの玉の入賞が発生すると切換弁113が右側に回動する。このため、入賞口110A及び入賞口110Bへの入賞が交互に発生する。
【0034】
第1入賞部11では、開放中の第1電チュー111からの入賞玉と、閉鎖中の第1電チュー11からの入賞玉と、の割合が概ね5:1となっている。また、第1電チュー111が設けられたスルー111Aと、振分入賞口110との間に経路的な隙間が設けられている。この経路的な隙間により、スルー111Aを通過した玉の一部が入賞経路外に弾かれて入賞できない場合が設定される。
【0035】
第2入賞部12は、特図判定の契機となる入賞口120の開口部に、第1電チュー111と同じ形状の第2電チュー(第2可動部材)121を設けた電動チューリップタイプの入賞部である。第2電チュー121は、第1電チュー111と同様、回動翼片の動作によって開状態と閉状態とを切換可能である。ただし、第2入賞部12では、第2電チュー121が入賞口120の開口部に設けられている。第2電チュー121に流入した玉は、入賞経路外に弾かれることなく全て入賞口120に入賞する。
【0036】
入賞口110A・B、入賞口120に玉が入賞(始動入賞)すると、特図判定用の抽選用乱数が抽出され、特図判定(大当たり抽選)が実行される。入賞口110Aは、第1特図判定の契機となる第1入賞口であり、入賞口110B及び入賞口120は、第2特図判定の契機となる第2入賞口となっている。
【0037】
入賞口110Aの入賞を契機とした第1特図判定用の乱数、及び入賞口110B、120を契機とした第2特図判定用の乱数は、いずれも4個を上限としてその当否が表示されるまで記憶される。なお、以下の説明では、入賞口110Aの入賞を第1始動入賞、入賞口110B、120の入賞を第2始動入賞という。入賞口110A・B、入賞口120に玉が入賞したときの払出は、それぞれ3個となっている。
【0038】
大入賞装置16は、大入賞口160を開口する、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。このアタッカー16は、第2入賞部12の下側に配置されている。アタッカー16は、横長略矩形状を呈する大入賞口160と、手前側に回動する蓋部材161と、を有している。アタッカー16では、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置したときに大入賞口160が閉鎖状態となる。一方、蓋部材161が手前に回動したときに大入賞口160が開放状態となる。なお、大入賞口160に入賞したときの払出は15玉となっている。
【0039】
表示装置19は、略中央に液晶表示部190が配置された装置である。液晶表示部190の表示画面(
図3)の最下段には、特図判定用の抽選用乱数の保留数を表示する特図保留表示部195A・Bが配置されている。特図保留表示部195Aは、第1特図判定の保留数を表し、特図保留表示部195Bは、第2特図判定の保留数を表している。
【0040】
液晶表示部190は、特図判定の当否(抽選結果)を報知する演出画像193を表示する図柄変動手段201としての機能を備えている。図柄変動手段201としての液晶表示部190では、演出用の図柄が変動表示された後、停止表示された図柄の組合せに応じて特図判定の当否(大当たりかハズレか)が報知される。大当たりに当選した場合、所定の図柄変動時間に渡る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字(1〜9のいずれか)が表示される。
【0041】
本例のパチンコ遊技機1の遊技状態としては、
図4に示すごとく、遊技者にとって不利な通常状態、及び非常に有利な特別遊技状態である大当たりのほか、大当たりの発生期待度が高くなる確変状態がある。通常状態あるいは確変状態下では、大当たり抽選としての特図判定が実行される。この特図判定の判定結果が当選のとき、大当たりが発生する。
【0042】
大当たりは、10玉入賞あるいは30秒経過するまでアタッカー16が開放されるラウンド処理が、16回繰り返される有利な特別遊技状態である。大当たり1回当たりの出玉は約1000玉となっている。大当たりの終了後には100%の割合で確変状態が発生し、特図判定の当否を表示するための図柄変動が70回実行されるまで継続する。この確変状態は、特図変動時間、普図変動時間が短縮される時短状態を伴って発生する。
【0043】
なお、本例のパチンコ遊技機1では、通常状態における大当たり抽選(特図判定)の当選確率が1/300、確変状態(時短状態)の当選確率が1/60となっている。また、普図の当選確率は、通常状態が1/30、確変状態が1/1となっている。第2電チュー121の開放時間は、通常状態では0.2秒×1回、確変状態では1.5秒×3回となっている。これにより、確変状態(時短状態)での入賞口120への入賞確率が格段に高くなる。
【0044】
特図判定の当否を報知するための図柄変動時間は、リーチ演出以外であれば、通常状態で30秒、時短状態を伴う確変状態で1秒となっている。普図変動時間は、通常状態で30秒、時短状態を伴う確変状態で1秒となっている。また、1000円分250玉で遊技したときの特別図柄の平均図柄変動回数である千円スタートが約31回となっている。
【0045】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、
図5を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、玉の払出を制御する払出制御回路33、玉の打込を制御する発射制御回路34、遊技演出を制御する演出制御部35、液晶表示部190を制御する表示制御回路36、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311〜314、第1電チュー111を駆動する第1電チューソレノイド321、第2電チュー121を駆動する第2電チューソレノイド322、切換弁113を駆動する切換ソレノイド323、アタッカー16を開放させる大入賞口ソレノイド324、普図表示部181、普図保留表示部182、電力供給のための電源回路328等が電気的に接続されている。
【0046】
演出制御部35には、スピーカ131を駆動するアンプ351や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、表示制御回路36が通信可能に接続されている。
表示制御回路36には、液晶表示部190が電気的に接続されている。
【0047】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、第1始動入賞を検出する第1特図始動センサ311、第2始動入賞を検出する第2特図始動センサ312A・B、通過ゲート14の通過玉を検出する普図始動センサ313、及びアタッカー16への入賞玉を検出する大入賞センサ314がある。第1特図始動センサ311は、入賞玉を検出できるように入賞口110Aに取り付けられている。第2特図始動センサ312A・Bは、入賞口110B、入賞口120にそれぞれ取り付けられている。
【0048】
払出制御回路33は、入賞が発生したとき、主回路20からの指示を受けて払出装置331を制御し、所定数の玉の払出を実行させる。
発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作量に応じて発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0049】
図5に示す主回路20は、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0050】
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない第1及び第2特図判定用の抽選テーブル及び普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
第1及び第2特図判定用の抽選テーブルでは、通常状態における大当たりの当選乱数、及び確変状態における大当たりの当選乱数が規定されている。確変状態の当選乱数の数は、通常状態の当選乱数よりも多く規定され、これにより、確変状態における大当たりの当選確率(1/60)が通常状態の当選確率(1/300)よりも高くなっている。
【0051】
図5のRAM24は、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、各4データ分の特図保留エリア241・242、普図保留エリア243、及び各1データ分の特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。
【0052】
特図保留エリア241・242は、特図判定の当否を表す保留乱数の記憶領域である。第1特図保留エリア241は第1始動入賞に対応し、第2特図保留エリア242は第2始動入賞に対応している。普図保留エリア243は、普図判定の保留乱数の記憶領域である。特図読出エリア245は、特図保留エリア241・242から読み出された保留乱数の格納領域である。普図読出エリア246は、普図保留エリア243から読み出された保留乱数の格納領域である。
【0053】
本例の主回路20(
図5)は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各機能を実現している。
(1)抽選手段211:乱数抽出部26が抽出する抽選用乱数を取得することで抽選を実行する手段。
(2)保留手段(記憶手段)212:特図判定用及び普図判定用の抽選用乱数を記憶して保留する手段。
(3)読出手段213:特図判定用の抽選用乱数、普図判定用の抽選用乱数を読み出す手段。
(4)当否判定手段214:読み出された特図判定用の抽選用乱数、普図判定用の抽選用乱数の当否を判定する手段。
(5)大当たり発生手段215:アタッカー16を開放するラウンド処理を実行して大当たりを発生させる手段。
(6)確変状態発生手段216:大当たりの終了に応じて確変状態を発生させる手段。
(7)特典付与手段217:玉の払出や抽選手段211による抽選等の特典を、入賞に応じた特典として付与する手段。
(8)第1可動部材制御手段(可動部材制御手段)219A:遊技領域130における玉の流下結果とは無関係に、予め定められたタイミングにて第1電チュー111が開閉を繰り返すように制御する手段。
(9)第2可動部材制御手段219B:普図判定に当選したときに第2電チュー121を開状態(第2開状態)に切り換える手段。
【0054】
以上のように構成された本例のパチンコ遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、第1入賞部11等が配置された遊技領域130を流下する。第1入賞部11等に入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
【0055】
玉が流下する間に通過ゲート14を通過を検出したとき、主回路20は、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選を実行する。主回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブルと照合し、普図判定の当否を決定する。普図判定に当選したとき、主回路20は、普図表示部181を構成するLEDを点滅動作(普図変動)の後、LEDを点灯させる。ハズレの場合には、点滅動作の後、LEDを消灯させる。普図判定に当選すると、主回路20は、第2電チュー121を開放(第2開状態)する。これにより、入賞口120の入賞確率が高められる。
【0056】
第1入賞部11あるいは第2入賞部12等に玉が入賞し、これにより、上記の第1(第2)始動入賞が発生した場合には、主回路20は、第1(第2)特図判定用の抽選用乱数を抽出することで特図抽選を実行する。主回路20は、抽出した第1(第2)特図判定用の抽選用乱数を、第1(第2)特図保留エリア241(242)に随時、格納(保留)する。ただし、第1(第2)特図保留エリア241(242)の保留数が4個である場合には、第1(第2)特図保留エリア241(242)に格納することなく消去する。
【0057】
主回路20は、演出画像193中の演出用の図柄が停止しており、かつ、大当たりの発生中ではないとき、特図保留エリア241・242の保留乱数(特図保留)を記憶タイミングが古いものから順番に1つずつ読み出し、特図読出エリア245に移し替える。読み出した特図判定用の抽選用乱数を特図判定用の抽選テーブルと照合し、特図判定の当否を判定する。なお、本例のパチンコ遊技機1では、第1始動入賞に応じて記憶された第1特図保留と、第2始動入賞に応じて記憶された第2特図保留と、が記憶時点の前後に関係なく交互に読み出される。
【0058】
主回路20は、特図判定の当否を判定したとき、演出画像193による図柄変動を開始する。本例の演出画像193では、演出用図柄である3つの数字を変動表示させる演出動作が実行された後、停止表示された3桁数字によって特図判定の当否が表示される。主回路20は、演出画像193中の3つの演出用図柄を左→右→中の順番で停止させる。大当たりに当選したとき、主回路20は、3桁のゾロ目の大当たり図柄を演出画像193として停止表示させる。
【0059】
主回路20は、大当たり図柄の停止表示に続いて大当たりを発生させる。大当たりでは、アタッカー16を開放するラウンド処理を16回に渡って繰り返し実行する。大当たりが終了すると確変状態が発生する。確変状態は、特図判定の当選に応じて終了するか、あるいは、70回の図柄変動に応じて終了する。特図判定に当選したときには再度、大当たりを発生させる。特図判定に当選しなかったときには、通常状態への移行を実行する。
【0060】
以上のような構成の本例のパチンコ遊技機1では、第2電チュー121の開放契機となる普図当選の確率が低い通常状態では第1電チュー111に玉を供給できるよう、左側領域130Lに玉を流下させる遊技が有利となる。一方、通過ゲート14の玉通過を契機とした普図判定に100%の確率で当選する時短状態(確変状態)では、通過ゲート14及び第2電チュー121に玉を供給できるよう、右側領域130Rに玉を流下させる遊技が有利となる。
なお、大当たりが発生した際には、アタッカー16が配置された右側領域130Rに玉を流下させる必要がある。また、本例では、右側領域130Rを玉が通過した場合、高頻度で通過ゲート14を玉が通過するようになっている。このため、時短状態においては、普図の変動表示(平均1秒)が行われているか、普図の変動表示が終了し第2電チュー121が開閉を繰り返している状態のいずれかとなっている時間が長くなり、結果的に時短状態においては左側領域130Lに玉を流下させる遊技よりも右側領域130Rに玉を流下させる遊技の方が有利となる。
【0061】
このパチンコ遊技機1は、玉の流下結果とは無関係に開閉を繰り返す可動部材である第1電チュー111を備えている。この第1電チュー111が開状態となる頻度は玉の流下結果によって変化しない。このパチンコ遊技機1によれば、第1電チュー111が開状態となる機会が最低限担保されているかのように見せることができ、これにより、入賞口110A・Bに玉が入賞し易いと遊技者に思わせることができる。これにより、玉が入賞し易い遊技機で遊技したいと考えている多くの遊技者の遊技意欲を高めることができる。さらに、第1電チュー111は、一般的な第2電チュー121と同じ形状のものが採用されている。このような第1電チュー111であれば、開状態となったときに入賞が発生し易いことを遊技者に認識させ易い。
【0062】
本例のパチンコ遊技機1では、第1電チュー111が開状態となって玉が入賞したとき、玉の入賞を遊技者に印象付けし易い。このように玉の入賞を遊技者に印象付けできれば、第1入賞部11への入賞頻度を実際よりも高く遊技者に錯覚させることができる可能性がある。遊技者側にこのような錯覚が生じれば、遊技者の遊技意欲を高める効果がより一層顕著なものとなる。
【0063】
以上のように、本発明の遊技機は、第1入賞部11に玉が入り易いと遊技者に感じさせることができ、遊技意欲を刺激できる遊技機である。
【0064】
本例のパチンコ遊技機1が備える第1電チュー111は、玉の流下結果とは関係なく開閉動作を行う電チューである。そのため、第2電チュー121の他に第1電チュー111を設けて電チューを複数にした場合であっても、開状態とするか否かの抽選を複数種類行う必要性は生じない。第1電チュー111を追加しても、遊技機側の電気的な構成を大きく変更する必要性が生じず、遊技機側の設計変更を最小限に抑制できる。
【0065】
このパチンコ遊技機1では、開状態の第1電チュー111に到達した後に入賞する玉の総数が、閉状態の第1電チュー111に到達した後に入賞する玉の総数よりも多くなるように第1電チュー111が制御されている。開状態下で入賞する玉数が多い場合、第1電チュー111に到達する経路をなす遊技領域を広範囲に調整しなければ第1入賞部11の入賞頻度を効果的に低減できなくなる。この場合、遊技領域130の広範囲な調整は遊技者に嫌われて経営上の不利となるという遊技場側の事情を逆手に取って利用でき、第1入賞部11の入賞頻度を極端に低くするような調整を行わないように遊技場側を仕向けることができる。
【0066】
本例のパチンコ遊技機1では、第1始動入賞及び第2始動入賞に対応する上限保留数がそれぞれ4個に設定されている。これにより、入賞部11、12に玉が入賞した場合の実質的な上限保留数が8個となっている。例えば、一の入賞口に対応した上限保留数が規則等により定められている遊技機についても、この構成を採用すれば、一の入賞口に対応した上限保留数を変更することなく、見た目上の上限保留数を増加させることが可能になる。
【0067】
なお、本例に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。なお、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例のパチンコ遊技機1は、入賞に応じて玉を払い出す仕様の遊技機である。これに代えて、流下する玉が内部に封入されており、遊技者が直接玉に触れることができない封入式パチンコ機に適用しても良い。
本例は、入賞口110A・B、入賞口120に玉が入賞した場合、特典として大当たりを発生させるか否かを抽選する遊技機の例である。このような構成には限定されず、例えば、入賞に応じて玉を付与するようにしても良いし、大当たりを発生させるか否かの抽選を行うことなく特別遊技状態が発生するようにしても良い。
【0068】
本例では、第1電チュー111が閉鎖している場合にも玉が入賞可能な構成としたが、閉鎖している状態では玉が入賞できない構成を採用しても良い。また、第1電チュー111の構成を任意に変更しても良く、相対的に玉が入賞し易い状態と、玉が入賞しにくい又はできない状態と、を発生できれば良い。例えば、開状態では、入賞部の下に設けられた部材が突出しその部材に乗った玉が入賞部に入賞し易くなり、閉状態ではその部材が突出しておらず、入賞部の前を玉が通過してしまい入賞部に入賞しにくくなる構成を採用することも良い。
【0069】
第1電チュー111と第2電チュー121の形状を同じものとしたが、例えば、回動翼片の形状が異なる等、各電チューが同一ではなく類似している構成を採用しても良い。同じ動作で玉が入賞し易い状態としにくい状態とが切り替われば、遊技者は類似していると考える。また、第1電チューと第2電チューとが異なった形状を採用しても良い。
【0070】
第1電チュー111の開放パターンを任意に変更しても良い。また、第1電チュー111の開閉パターンは遊技状態に関わらず同じとしたが、遊技状態によって開閉パターンが異なっていても良い。例えば、大当たり中、時短状態中、通常状態中で、それぞれ開閉パターンが異なるようにしても良い。つまり、「玉の流下結果とは無関係」には、遊技状態によって可動部材の開閉パターンが変化する場合に、玉の流下結果によって遊技状態の移行を行うものが含まれる。つまり、玉の流下結果によって直接的に開放状態とするか否かの抽選を行わなければ本願発明に含まれる。
【0071】
また、第1電チュー111の開放状態とそれ以外の状態とで玉が入賞する比率をおよそ5:1としたが、この比率を変更しても良いのはいうまでもなく、例えば比率を1:1としても良いし、1:0としても良い。1:0とした場合、第1電チュー111が開放した状態で玉が通過しなければ入賞部に玉が入賞しないこととなる。
【0072】
第1電チュー111及び第2電チュー121の位置関係を変更しても良く、例えば、同じ方向に流下した玉が第1電チュー111と第2電チュー121とのいずれにも入賞し得る配置としても良い。さらには、第1電チュー111及び第2電チュー121がそれぞれ設けられている構成としたが、第2電チュー121が設けられていなくとも良い。
【0073】
入賞口110A・B及び入賞口120は、遊技領域から玉を排出するための開口としたが、スルーゲートのように玉の通過を検知するのみでも良い。つまり、所定領域を玉が通過した場合に特典を付与するものも入賞部に含まれる。
第1入賞部11内に入賞口を2個設け、実質上限保留数を8個としたが、第1入賞部11内の入賞口の数を変更しても良く、1個でも良いし3個以上でも良い。
【0074】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは組み合わせた技術を包含している。