特許第6121177号(P6121177)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6121177ソースビデオ画像から動脈拍動経過時間を導出すること
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121177
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ソースビデオ画像から動脈拍動経過時間を導出すること
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20170417BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20170417BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   A61B5/02 634H
   A61B5/02 800Z
   A61B5/02ZDM
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-16785(P2013-16785)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-169464(P2013-169464A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2016年1月29日
(31)【優先権主張番号】13/401,286
(32)【優先日】2012年2月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ラリット・ケシャブ・メスタ
(72)【発明者】
【氏名】サーヴィ・キアル
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−246010(JP,A)
【文献】 特開2009−131628(JP,A)
【文献】 古畑貞彦、他,脈波伝播特性のワンポイント計測手法の開発,医科器械学,2003年,Vol.73, No.1,第23−29頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02−5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触リモートセンシング環境内のビデオ画像システムを用いて取得したソースビデオ画像から、対象の被検者の近位領域と遠位領域の間の動脈拍動経過時間を決定する方法であって、
ビデオ画像システムの少なくとも1つのチャネルを介して取得されかつ前記対象の被検者の皮膚露出領域の近位領域と遠位領域とについて記録したビデオ画像を含む時変ソース画像を受け取ることと、
前記時変ソース画像から、前記近位領域および前記遠位領域のそれぞれに対する時系列信号を抽出することと、
前記時系列信号のそれぞれに対する振動数に対して位相角を計算することと、
プロセッサを用いて、前記計算された位相の間の、前記時系列信号内の振動数の単調関数を含む位相差を決定することと、
前記単調関数から、前記被検者の前記動脈拍動経過時間を抽出することと、
を含み、
前記皮膚露出領域の前記動脈拍動経過時間は決定され、
前記ビデオ画像には、複数の画像フレームの画像が含まれ、
前記時系列信号を抽出することは、
前記複数の画像フレームの各々の画像において、前記近位領域および前記遠位領域のそれぞれの全ての画素の値の平均値を第1の平均値として計算し、
前記複数の画像フレームの全体で、前記近位領域および前記遠位領域のそれぞれにおける前記第1の平均値を加算し、
前記複数の画像フレームの全体での前記近位領域および前記遠位領域のそれぞれにおける前記第1の平均値の加算値を、前記複数の画像フレームの総数で割ることにより、前記複数の画像フレームの全体における前記第1の平均値の第2の平均値を求め、
前記近位領域および前記遠位領域のそれぞれにおける前記第2の平均値から前記第1の平均値を差し引くことで、第3の平均値を求め、
前記近位領域および前記遠位領域のそれぞれにおける前記第3の平均値を、前記複数の画像フレームの全体についての前記近位領域および前記遠位領域のそれぞれにおける画素の値の標準偏差で割る
ことにより行う、方法。
【請求項2】
前記時変ソース画像が、NIR画像、RGB画像、NIRを含むRGB画像、多重スペクトル画像、およびハイパースペクトルビデオ画像の所定の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビデオ画像が単一NIRチャネルにより取得されており、
各領域に対する前記チャネルからのフレームを分割して非皮膚領域と皮膚領域とに区分することと、
心拍数信号と位相差の両方を取得するためにソース分離を行うことと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記単調関数から、前記被検者の動脈拍動経過時間を抽出することが、前記近位領域と前記遠位領域との間の拍動経過時間である前記単調関数の勾配を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者について取得したソースビデオ信号から、その患者の動脈拍動経過時間を決定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触手段により生理学的信号を捕捉する能力は、健康産業において非常に望ましい。1つの重要な生理学的信号は、さまざまな理由から拍動経過時間であり、理由の1つは、拍動経過時間が血圧と相関を有しているためである。このような測定値を得るには、心電図(ECG)装置の電極を患者の皮膚に直接貼り付ける必要がある。これは、敏感な皮膚を有する未熟児の面倒を見ている新生児集中治療部では問題となる可能性がある。この技術分野で必要とされているのは、非接触、非侵襲的な方法で患者の動脈拍動経過時間を取得できるシステムおよび方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ビデオ画像から生成された時変ソース信号から、対象の被検者の動脈拍動経過時間を決定するためのシステムおよび方法を開示している。一実施形態では、ビデオ画像システムを使用して、対象の被検者の近位領域と遠位領域との時変ソース画像を記録する。画像フレームを処理して、被検者の皮膚露出部の近位領域と遠位領域との局部を分離する。ソースビデオ画像から近位領域および遠位領域のそれぞれに対する時系列信号を抽出し、抽出した時系列信号のそれぞれの位相を各領域に対して計算する。2つの領域の時系列信号の間の位相差を計算して、これらの信号内の振動数の単調関数を求める。単調関数から、被検者の動脈拍動経過時間を導出する。その後、被検者の動脈拍動経過時間はコンピュータシステムに伝えられる。本明細書のさまざまな実施形態では、コンピュータシステムは続けて被検者の血圧、長期にわたる血管肥大、血管閉塞、血流速度、または被検者の末梢神経障害の存在をさらに判断する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、対象の被検者の右腕で柱を握っているところを示し、人間の腕の動脈系内の2つの近位部位および遠位部位を図示する図である。
図2図2は、非接触リモートセンシング環境内のビデオ画像システムを用いて取得したソースビデオ画像から、対象の被検者の近位領域と遠位領域の間の動脈拍動経過時間を決定するための本方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図3図3は、1つの試験実施形態での振動数(rad/秒)に対する位相微分のプロットであり、この試験実施形態では、近位領域を首および顔の周囲の領域上に選択し、遠位領域を手の甲付近に選択したビデオ画像に対して拍動経過時間を求めた。
図4図4は、ネットワークで結ばれたビデオ画像処理システム例のブロック図であり、図2のフローチャートに関して説明したように本方法のさまざまな態様を実現している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ビデオ画像システムを用いて対象の被検者について取得したソースビデオ画像から、その被検者の近位領域と遠位領域の間の動脈拍動経過時間を決定するためのシステムおよび方法を開示している。
【0006】
「対象の被検者」は、本明細書で使用する場合、動脈拍動を記録できる任意の被検者を示している。本方法は、動脈拍動を記録できる任意の被検者に等しく適用される。説明のために本明細書で「人」または「患者」などの用語を使用しても、それによって、添付請求項の範囲を人間の被検者に限定していると見なすべきではない。
【0007】
「近位の」(「〜に最も近い」を意味するラテン語のproximusから)は、上行大動脈内にある動脈拍動の源に、より近い部位を示している。全身動脈系が大動脈から由来することに注目すべきである。心臓の左心室が収縮すると、血液は波の形で上行大動脈から出て全身動脈に流れ込む。心臓は、前胸壁付近の胸骨の直後に位置している。動脈拍動測定の目的では、動脈内の近位部位とは、心臓により近い、すなわち、遠位部位から上流の部位のことである。
【0008】
「遠位の」(「〜から離れて」を意味するラテン語のdistareから)は、体の中心からより遠い部位を示している。動脈拍動測定の目的では、動脈内の遠位部位とは、動脈網が血液を大動脈弓および下行大動脈の分岐を通って上流および下流に運ぶとき、心臓からより遠い、すなわち、近位部位から上流または下流の部位のことである。近位部位と遠位部位の間に想像線を引くことにより、近位遠位軸を作成する。肘は手首に対しては近位であるが、肩に対しては遠位であり、その理由は、血液が橈骨動脈および尺骨動脈を通って上腕動脈から手首に向かって流れるためである。また、血管は、「入口部の」(血管が分岐する部位を示す)、および「遠位の」(分岐部位から離れた部位を示す)と呼んでもよい。
【0009】
「動脈拍動波」は、心臓筋の左心室が収縮して大動脈に大量の血液を押し込むときに脈管系のいたるところで生成される圧縮波である。これは、心臓から動脈網の中に伝わる擾乱を生成する。動脈拍動波は2つの主成分、すなわち、左心室が収縮するときの前進波と、微小血管から戻ってくる反射波と、を有している。大動脈内の実際の圧力は、最初の波と反射波との合計である。
【0010】
「拍動経過時間」は、脈圧が近位動脈部位から遠位動脈部位まで伝わるのにかかる時間を示している。拍動経過時間(PTT)は脈波速度の関数であり、脈波速度は血圧、血管径、血液密度の関数である。局所化されたPTTは、さまざまな病態の間接的マーカとして使用される。血圧変動の代用指標として利用する場合、PTTは高い相関を有している。現在の文献は、PTTに基づく技術を用いれば疾患特異的な心血管反応性パターンの記述が実現可能であることを示唆している。PTT信号は、患者の血管網内の心拍間血圧および血流速度を抽出するために較正でき、例えば、長期にわたる血管肥大、対象の2つの部位(または領域)の間の血管閉塞、糖尿病患者などに対する末梢神経障害など、さまざまな診断を容易にすることを含んでいる。図1は、対象の被検者の右腕100を外側に延ばして、柱102の部分を握っているところを示している。被検者の上腕動脈103が腕の下流に延びて、104および105で、それぞれ橈骨動脈および尺骨動脈に枝分かれする。上腕動脈内の部位106が、橈骨動脈内の部位107に対して近位である。図1の図解例では、および議論の目的では、拍動経過時間は、動脈拍動波が近位領域108内の部位106から、遠位領域109の中の部位107まで伝わるのにかかる時間である。さらに、ビデオ撮影中に被検者の前腕が動いている場合、処理のために、それぞれのビデオフレーム内で各領域を特定する必要がある。これは、特別な画像処理手法により動脈の経路の特定を行い、その後、フレームごとに動脈の経路を追跡することで行うことができる。
【0011】
「画像センサ」は、1つ以上のチャネルを介してソース・ビデオ・データを記録するための装置である。画像センサは、例えば、黒/白ビデオ画像を記録するためのモノクロカメラ、またはカラービデオ画像を記録するためのカラーカメラなどの高フレームレートと高空間分解能とを備えた装置であってもよい。画像センサは、マルチスペクトルシステムまたはハイパースペクトルシステムのようなスペクトルセンサであってもよい。スペクトルセンサは、比較的低いフレームレートと低い空間分解能であるにもかかわらず、高いスペクトル分解能を有する装置である。画像センサは、高フレームレートと高空間分解能とを備えた従来のビデオモードと、低フレームレートと高スペクトル分解能とを備えたスペクトルモードと、で運転できるハイブリッド装置であってもよい。標準的なビデオカメラを含む画像センサ、およびスペクトルセンサを含む画像センサは、商業のさまざまな流れの中で多数の業者から容易に入手できる。
【0012】
「ソースビデオ画像」は、画像センサを用いて取得した時変ビデオ画像関する。ソースビデオ画像は、NIR画像、RGB画像、NIRを含むRGB画像、多重スペクトル画像、およびハイパースペクトルビデオ画像の任意の組み合わせである可能性がある。NIRバンドでビデオキャプチャを行う場合、赤外線波長で撮像するには十分な照明が必要となることを理解されたい。
【0013】
「リモートセンシング環境」は、非接触で非侵襲的な検出を示しており、すなわち、画像センサは検出中の被検者に対して物理的に接触しない。リモートセンシング環境は、例えば、病院、救急車、診療所などの任意の設定であってもよい。
【0014】
ここで、図2のフローチャートを参照すると、非接触リモートセンシング環境内のビデオ画像システムを用いて取得したソースビデオ画像から、対象の被検者の近位領域と遠位領域の間の動脈拍動経過時間を決定するための本方法の一実施形態を示している。フロー処理はステップ200で始まり、すぐにステップ202に進む。
【0015】
ステップ202で、対象の被検者について記録した時変ソース画像を受け取る。このソースビデオ画像は、ビデオ画像システムの少なくとも1つのチャネルを介して取得されたものである。このソース画像は、複数の画像フレームを含んでいる。
【0016】
ステップ204で、ビデオ画像を処理して、被検者の皮膚露出領域を含む近位領域と遠位領域とを特定する。近位領域の例および遠位領域の例を、図1の領域108および領域109のそれぞれに関して図示して説明している。フレームごとにビデオ画像を分析して、それらの画像フレーム内に含む画素を分類することにより画像内の皮膚露出領域を判断できる。人間の皮膚として分類される画素は、例えば、先に組み込んだ画素分類法などを用いて特定できる。
【0017】
ステップ206で、特定された近位領域および遠位領域のそれぞれに関連するビデオ画像をソース画像から抽出して、各チャネルに対する時系列信号を取得する。これは、各画像フレームの中の特定された近位領域および遠位領域のそれぞれの中のすべての画素の平均を計算して、領域のそれぞれに対するフレームごとのチャネル平均を取得することにより達成できる。その後、複数のフレーム全体でチャネル平均を加えて、フレームの総数で割ることにより、各チャネルに対する広範囲のチャネル平均を計算できる。広範囲のチャネル平均からチャネル平均を差し引き、その結果を広範囲のチャネルの標準偏差で割って、近位領域および遠位領域のそれぞれに対するゼロ平均単位分散の時系列信号を取得する。これらの時系列信号は振動数成分を含んでいる。拍動経過時間を決定するには、単色チャネルだけを用いた処理で十分である。例えば、RGBビデオでは、緑色チャネルからの時系列信号が十分な信号を含んでいる。近位領域および遠位領域のそれぞれに対する正規化された時系列信号を取得すると、その後、これらの時系列信号はプレフィルタリングを受けて、FFTを用いて望ましくない振動数を取り除く。結果として得られた前処理されプレフィルタリングされた時系列信号は、各領域の中の体積圧力変化の総和を含んでいる。さらなる前処理を行って、上述の引用文献に記載するように独立成分分析または制約付き独立成分分析などのブラインドソース分離アルゴリズムを用いてソース血液容量信号(プレチスモグラフ信号など)を抽出できる。第1および第2の領域内の体積変化は、それらの領域のそれぞれの中のすべての血管に起因することを理解されたい。動脈拍動は、これらの信号内の主成分である。毛細血管および終末細動脈などの、より小さい構造からの成分は、記録される拍動に対して小さい寄与を与えるだけであるため、それほど重要ではない。カメラ関連ノイズまたはビデオキャプチャに影響を与える他の環境因子が存在している場合、Mestha他による「Removing Environment Factors From Signals Generated From Video Images Caputured For Biomedical Measurements(生物医学的測定用に記録したビデオ画像から発生する信号からの環境因子の除去)」と題する先に組み込んだ引用文献に記載されているように補正を導入できる。補正後の信号は、非相関のチャネルおよびノイズ補正されたチャネル、すなわち、近位領域および遠位領域のそれぞれに対して環境面で補正された信号を含んでいる。
【0018】
ステップ208で、対象の選択されたチャネルに対する時系列信号のそれぞれに対して位相角を計算する。位相差を決定するにはチャネルのうちの1つだけを使用する必要があるであろう。ソース分離アルゴリズムを使用する場合には、近位領域および遠位領域からのソース信号を使用して位相差を計算することになる。当業者は、時系列信号を考慮して振動数ωに関して位相角
【数1】
を計算する方法を容易に理解するであろう。
【0019】
ステップ210で、時系列信号のそれぞれの位相の間の位相差を計算する。
【数2】
が近位領域の時系列信号の位相であり、
【数3】
が遠位領域の時系列信号の位相であるとき、位相差
【数4】

【数5】
で与えられる。すべての振動数が2つの領域の間の同様の遅延を経験するため、位相差信号は周波数である線形、しかも、その結果として得られる位相差曲線は、これらの信号の中に含まれる振動数の単調関数である。図3は、振動数(rad/秒)に対する位相微分のプロットである。X軸に沿って、5rad/秒および25rad/秒。
【0020】
ステップ210で、振動数に対する位相差曲線(単調関数)の一次導関数を計算する。位相差曲線の一次導関数は拍動経過時間をもたらす。図3では、PTTは直線の勾配の21.7秒である。このPTTは、近位領域を首および顔の周囲の領域上に選択し、遠位領域を手の甲付近に選択したビデオ画像に対して求めた。
【0021】
ステップ212で、被検者の動脈拍動経過時間をコンピュータシステムに伝える。この実施形態では、さらなる処理が止まる。他の実施形態では、コンピュータシステムが、動脈拍動経過時間から、被検者の血管網内の血圧と、長期にわたる血管肥大と、血管閉塞と、血流速度と、被検者の末梢神経障害の存在と、のうちのいずれかを判断する。
【0022】
ここで、ネットワークで結ばれたビデオ画像処理システム例400のブロック図である図4を参照すると、図2のフローチャートに関して説明したように本方法のさまざまな態様を実現している。
【0023】
図4では、画像センサ402が、ビデオカメラの視界403内に捕捉された対象の被検者のソースビデオ画像401(被検者の右腕だけを図示している)を取得する。このソースビデオ画像を、少なくとも1つの画像チャネルを介して取得して、各チャネルに対する信号404をビデオ画像処理システム405に伝えて、本方法のさまざまな態様を実行する。処理用にソース信号をバッファリングするためのバッファ406を含むシステム405を示している。バッファ406は、本明細書の教示に基づいてソースビデオ画像を処理するのに必要なデータ、式、数学的表現、およびその種の他のものをさらに保存してもよい。画像安定化モジュール407が画像を処理して、動作誘発性のぶれ、画像化のぼやけ、ゆっくりとした光源変動などの変則性に対して必要に応じて補正する。領域検出プロセッサ408が、ビデオ画像を受け取り、皮膚露出領域を含む記録されたビデオ画像401内の被検者の近位領域および遠位領域を決定する(408および409のそれぞれで)ために、ビデオ画像の中に含まれた画像を処理する。記録されたソースビデオ画像のうちの1つ以上のフレームを、ワークステーション420上のディスプレイ423用に、ワークステーション420まで経路(図示せず)を通って伝達してもよく、使用者は、例えば、マウスのクリックおよびドラッグにより生成された輪ゴム箱を用いて、または処理するために(408および409のそれぞれで)動画像列のうちの1つ以上の画像フレーム内の、例えば、図1の近位領域108および遠位領域109などの皮膚露出部の局部を他の方法で強調することにより、記録された画像フレームのうちのいずれかから、近位領域および遠位領域のうちのいずれかを選択できる。近位領域および遠位領域のそれぞれに関連するソース画像の部分をビデオ画像プリプロセッサ410に提供して、このビデオ画像プリプロセッサ410は、特定された近位領域および遠位領域のそれぞれに関連するソース画像を受け取り、各領域の各チャネルに対するソース画像から時系列信号を抽出する。通信経路(図示せず)を用いて、記憶デバイス411に、さまざまな信号成分を保存/取り出してもよい。近位領域および遠位領域のそれぞれに対して抽出した正規化された時系列信号412および413をFFTモジュール414に提供して、これらの時系列信号はプレフィルタリングを受けて、望ましくない振動数を取り除く。フィルタリングされた時系列信号を、415でまとめて、位相角確定器416に提供して、この位相角確定装置416は、近位領域および遠位領域のそれぞれに対するフィルタリングされた時系列信号を受け取り、対象の選択されたチャネルに対する時系列信号のそれぞれに対する振動数に対して位相
【数6】
を計算して、それぞれ、
【数7】
および
【数8】
と示す。位相差生成器417が、対象の選択されたチャネルに対する近位領域および遠位領域のそれぞれに対して計算された位相を受け取り、位相差
【数9】
を計算する。位相差は、プロットすると、図3の実施例で示す曲線のような曲線を含んでいる。信号発生器418が位相差をプロットして、そのプロットの勾配を計算して、拍動経過時間419を出力する。生成された動脈拍動経過時間を、ネットワークで結ばれたコンピュータシステム420に伝える。
【0024】
ワークステーション420は、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM、DVD、磁気テープなどのコンピュータ可読媒体422に読み出し/書き込みを行う。ケース421が、プロセッサおよびメモリを含むマザーボード、ネットワークカード、およびグラフィックカードなどと、他のソフトウェアおよびハードウェアと、を内蔵している。この実施形態では、ワークステーションは、CRT、LCD、タッチスクリーンなどのディスプレイ423と、キーボード424およびマウス425と、を含むユーザインタフェースを含んでいる。使用者または技術者はキーボードおよび/またはマウスを使用して、近位領域および遠位領域を特定すること、パラメータを設定すること、処理する画像を選択すること、および結果を見ることなどを行ってもよい。ワークステーションは、表示装置423上に表示される情報を入力したり、選択したり、または変更したりするために、さまざまな数値、文字列、スクロールバー、使用者が選べる選択肢を有するプルダウンメニュー、およびその種の他のものを表示するように構成されたオペレーティングシステムおよび他の専門ソフトウェアを有していることを理解されたい。ビデオキャプチャ装置402で記録したソースビデオ信号のさまざまな部分を、処理のためにワークステーション420に伝達してもよく、記憶デバイス426に保存してもよい。ワークステーション420は、ケース421の内部にある通信インタフェースを介してネットワーク427の1つ以上の遠隔装置と通信する。
【0025】
信号処理システム405のモジュールおよび処理ユニットのうちのいずれかが実行する機能の一部またはすべては、その全部または一部をワークステーション420により実行できることを理解されたい。これらのうちのいずれかを記憶デバイス426に保存してもよく、またはコンピュータ媒体422に書き込んでもよい。図4のモジュールおよび処理ユニットのうちのいずれかを、記憶デバイス411および426と通信させることができ、図4のモジュールおよび処理ユニットの意図された機能を実行するのに必要なデータ、変数、記録、パラメータ、関数、機械可読/実行可能プログラム命令を記憶デバイス411および426から保存/取り出してもよい。システム405のモジュールのそれぞれを1つ以上の装置とネットワーク427を介して通信させてもよい。コンピュータシステム420をデスクトップコンピュータとして図示しているが、コンピュータシステム420はラップトップ、メインフレーム、サーバ、またはASIC、回路基板、もしくは専用プロセッサなどの専用コンピュータのうちのいずれかである可能性があることを理解されたい。
【0026】
また、さまざまなモジュールが1つ以上の構成要素を指定してもよく、この1つ以上の構成要素は、意図された機能を実行するように設計されたソフトウェアおよび/またはハードウェアを含んでいてもよいことを理解されたい。複数のモジュールが共同で単一機能を実行してもよい。各モジュールが、機械可読プログラム命令を実行処理できる専門化したプロセッサを有していてもよい。モジュールが、ASIC、電子回路、または専用プロセッサなどの単一のハードウェアを含んでいてもよい。複数のモジュールは、単一の専用コンピュータシステムにより、または並列運転している複数の専用コンピュータシステムにより実行してもよい。モジュール間の接続が、物理接続と論理接続の両方を含んでいる。モジュールが、1つ以上のソフトウェア/ハードウェアモジュールをさらに含んでいてもよく、この1つ以上のソフトウェア/ハードウェアモジュールは、オペレーティングシステム、ドライバ、デバイスコントローラ、および他の装置をさらに含んでいてもよく、この1つ以上のソフトウェア/ハードウェアモジュールの一部またはすべてを、ネットワークを介して接続してもよい。また、本方法の1つ以上の態様は、専用コンピュータシステム上で実現してもよく、また、ネットワークを通じてリンクされた遠隔装置がタスクを実行する分散コンピューティング環境内で実施してもよいと想定される。当業者は、本明細書の教示を、関連技術の一般知識とともに本明細書で提供する機能的記載から必要以上の実験を行うことなしに、任意の既知のまたは後から開発されるシステム、構造、装置、および/またはソフトウェアを用いて、ハードウェアまたはソフトウェアの形で実現できる。
【0027】
本明細書に記載の方法の1つ以上の態様は、コンピュータ使用可能媒体または機械可読媒体を有する1つ以上のコンピュータプログラム製品を含む製造品に組み込むよう意図されている。本明細書の目的上、コンピュータ使用可能媒体または機械可読媒体は、その上に、本明細書に記載の機能、性能、および方法を実現して促進するコンピュータ可読プログラム、1つ以上の論理命令、または他の機械実行コードもしくはコマンドを具体化できた、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、メモリ、CD−ROM、DVD、テープ、カセット、または他のデジタルもしくはアナログ媒体、またはその種の他のものである。さらに、製造品は、フローチャートに記載の方法を実行できる実行可能プログラム命令を具体化する機械アーキテクチャまたは画像処理システムにより読み込み可能な少なくとも1つの記憶媒体上に含まれていてもよい。製造品は、オペレーティングシステム、プラグインの一部として含まれていてもよく、または単独で、もしくはアドオン、アップデート、アップグレード、もしくは製品一式の一部として、出荷されたり、販売されたり、リースされたり、もしくは他の方法で別々に提供されてもよい。
【0028】
上述のおよび他の特徴および機能、またはそれらの代替が、他の多くの異なるシステムまたは応用において組み合わされることが好ましい可能性があることが理解されるであろう。これらの特徴および機能、またはそれらの代替の、現在のところ予見できない、または思いがけないさまざまな代替手段、変更、変形、または改良が、明らかになる可能性があり、および/またはその後に当業者により行われる可能性があるが、これらの代替手段、変更、変形、または改良もまた下記請求項により含まれるものとする。したがって、上述の実施形態は、例を示すためのものであり、限定するためのものではないと見なされる。本発明の要旨および範囲を逸脱することなく、上述の実施形態に、さまざまな変更を行ってもよい。特許および特許出願を含む任意の刊行物の教示を引用することにより、その全体を、それぞれ別々に、本明細書の一部となす。
図1
図2
図3
図4