特許第6121188号(P6121188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121188
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】充電用クレードル
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170417BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H02J7/00 301A
   H02J7/10 N
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-26689(P2013-26689)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-158320(P2014-158320A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉山 健介
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−105551(JP,A)
【文献】 特開2003−152344(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3169751(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置を支持する受台を有する筐体と、ケース内に交流を直流に変換する変換回路を内蔵して前記受台に支持された前記無線通信装置に直流電力を供給するAC/DCアダプタを有する充電用クレードルにおいて、
前記ケースの共通側面には前記変換回路からの熱を外部へ放熱する放熱部と、マグネットが設けられ、前記マグネットにて前記ケースが吸着対象物に吸着された際、前記吸着対象物に前記放熱部を相対させて熱を伝達し、
前記筐体は、前記AC/DCアダプタを取付けする複数の取付部を備え、
前記AC/DCアダプタは、前記複数の取付部のいずれか1つに対して着脱自在に取り付けられている充電用クレードル。
【請求項2】
前記放熱部は、前記マグネットにより前記AC/DCアダプタが前記吸着対象物を吸着しているとき、前記吸着対象物に対して接触可能に配置されている請求項1に記載の充電用クレードル。
【請求項3】
前記AC/DCアダプタは、前記変換回路の周辺環境の温度を検出する温度検出部を備え、
前記筐体は、装着された無線通信装置に対して前記温度検出部からの検出信号を伝達する伝達部を有する請求項1又は請求項2に記載の充電用クレードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械を稼働させる工場内で使用される可搬式操作装置等の無線通信装置の充電用クレードルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ティーチペンダントと呼ばれる可搬式操作装置とロボットコントローラとの間で、無線通信を行いながら運用するロボット制御システムが提案されている。このようなシステムに使用される無線式のティーチペンダントでは、充電が可能な二次電池を有することが多い。前記二次電池はAC/DCアダプタを備えた充電用クレードルにティーチペンダントを装着することにより充電が行われる。AC/DCアダプタは、前記クレードルに対して外付けされているか、クレードル内部に内蔵されるタイプがある。
【0003】
なお、無線式のティーチペンダントに関するものではないが、小型携帯端末装置の充電用クレードルに関しては特許文献1が公知である。特許文献1では、前記小型携帯端末装置をクレードル本体に装着し、前記クレードル本体とは分離した外付けAC/DCアダプタを内蔵可能とするとともに、AC/DCアダプタを商用電源に接続することによりクレードルを介して携帯端末装置が内蔵する二次電池を充電可能としている。特許文献1では、AC/DCアダプタをクレードル内部に収納できるようにして、省スペース化及び外観の向上を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−147344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、産業用途で使用する無線式のティーチペンダントやその他の無線通信装置の充電用クレードルは、高温状態の工場内で使用されることが多い。充電用クレードルを使用して前記ティーチペンダントの二次電池を充電している場合、前記高温状態に加えてAC/DCアダプタ自体が発熱するため、アダプタの規定の性能を発揮できず、場合によっては故障する虞がある。AC/DCアダプタが発熱するのは、交流から直流への変換時に生ずる電力損失が熱エネルギーの形で放出されるためである。また、近年では、AC/DCアダプタにシリーズレギュレータを使用した安定化電源回路を搭載しているものは、この部分での熱損失もある。
【0006】
なお、特許文献1で提案されている充電用クレードルは、例えば、一般家庭における使用を前提とし、産業用途での使用を前提としておらず、AC/DCアダプタの発熱の対策は何ら提案されていない。
【0007】
本発明の目的は、高温状態の工場内でも正常に充電できる充電用クレードルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、充電用クレードルは、無線通信装置を支持する受台を有する筐体と、ケース内に交流を直流に変換する変換回路を内蔵して前記受台に支持された前記無線通信装置に直流電力を供給するAC/DCアダプタを有する充電用クレードルにおいて、前記ケースの共通側面には前記変換回路からの熱を外部へ放熱する放熱部と、マ
グネットが設けられ、前記マグネットにて前記ケースが吸着対象物に吸着された際、前記吸着対象物に前記放熱部を相対させて熱を伝達するものである。また、前記筐体は、前記AC/DCアダプタを取付けする複数の取付部を備え、前記AC/DCアダプタは、前記複数の取付部のいずれか1つに対して着脱自在に取り付けられている。
【0009】
前記放熱部は、前記マグネットにより前記AC/DCアダプタが前記吸着対象物を吸着しているとき、前記吸着対象物に対して接触可能に配置されていることが好ましい
【0011】
また、前記AC/DCアダプタは、前記変換回路の周辺環境の温度を検出する温度検出部を備え、前記筐体は、無線通信装置に対して前記温度検出部からの検出信号を伝達する伝達部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の充電用クレードルによれば、高温状態の工場内でもティーチペンダント等の無線通信装置を正常に充電できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を具体化した第1実施形態の無線式ティーチペンダント用クレードルの概略断面図。
図2】AC/DCアダプタの断面図。
図3】(a)、(b)は、AC/DCアダプタを支持部材に取付けた状態の説明図。
図4】第2実施形態の無線式のティーチペンダント用クレードルの概略断面図。
図5】同じくクレードルの筐体の背面図。
図6】第3実施形態の無線式のティーチペンダント用クレードルの概略断面図。
図7】同じくクレードルの筐体の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した充電用クレードルの実施形態を図1図3を参照して説明する。
【0015】
無線式のティーチペンダントを充電するためのクレードル(以下、単にクレードルという)は、図1に示すようにクレードルの筐体10と、AC/DCアダプタ30を有する。なお、図1では説明の便宜上、AC/DCアダプタ30の大きさは、筐体10の大きさよりも誇張して大きく図示されている。無線式のティーチペンダントは無線通信装置に相当する。
【0016】
図1に示すように筐体10は、上下方向に延びる背側側壁11と、背側側壁11の下部前面に設けられて上面を開放した受け凹部12を有する受台13を備えている。なお、図1では、説明の便宜上、筐体10及びティーチペンダントTPを断面視した上で、回路及び機能ブロックを合わせて簡略化して図示している。
【0017】
受け凹部12は、ティーチペンダントTPの下部を収納可能に設けられるとともに、ティーチペンダントTPの下部を受け凹部12に収納した際に、背側側壁11は、ティーチペンダントTPの背面を支持する。
【0018】
受け凹部12の底面14にはティーチペンダントTPに対して電力供給のため及び信号を入力するための複数の接続端子15、16、17が設けられている。接続端子15、16、17は、ティーチペンダントTPの下面に設けられた接続電極20,21,22とそれぞれ接続可能である。接続端子15,16,17は、AC/DCアダプタ30に対して電力線L1,L2及び信号線L3を介して接続されている。
【0019】
図1及び図2に示すようにAC/DCアダプタ30は、ケース32内に設けられて交流を所定電圧の直流に変換処理を行なう変換回路34を備えている。前記変換回路34は、公知のトランス方式またはスイッチング方式のいずれであってもよい。変換回路34の入力側は、前記ケース32から延出された入力用コード35を介して図示しない電源コンセントに差し込まれるプラグ36を有する。また、変換回路34の図示しない二次側出力端子は出力用コード38を介して前記電力線L1,L2に接続されている。なお、出力用コード38及び入力用コード35は、説明の便宜上、短くして図示されている。
【0020】
前記ケース32は金属製であって、例えば四角箱状をなし、前記変換回路34とは絶縁して設けられている。なお、ケース32の形状は四角箱状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。ケース32の一つの側壁33、たとえば下部の側壁は平板状に形成されているが、側壁33は、下部側壁に限定されるものではないが、平板状に形成されているところが好ましい。この側壁33の内面には、前記変換回路34がケース32の他の側面よりも近接して配置されている。この結果、前記変換回路34から側壁33に熱伝達をし易くされている。この側壁33は、図3(a)、(b)に示すようにAC/DCアダプタ30を工場に設けられた鉄製の支持板50、或いは鉄製の支持壁60に対して相対して取付けする際に使用される。側壁33において、変換回路34に近接した領域33aは放熱部に相当する。
【0021】
また、変換回路34の近傍には、変換回路34の周辺環境の温度を検出する温度検出部としての温度センサ31が配置され、信号線L3に電気的に接続されている。信号線L3及び接続端子17は伝達部に相当する。
【0022】
前記側壁33の外面には、単数または複数の収納凹部40が凹設され、収納凹部40にはマグネット42が収納状態で固定されている。本実施形態では、収納凹部40は複数、たとえば一対設けられている。マグネット42の収納凹部40に対する固定方法は、適宜の方法でよく、限定するものではない。例えば、固定方法としては接着剤による固定等がある。マグネット42は、収納凹部40に対して収納された状態では、マグネット42が外方に露出した面は側壁33と面一となるように平面に形成されている。前記側壁33の外面は、共通側面に相当する。
【0023】
図1に示すようにクレードルの筐体10の受け凹部12に下部が収納されるティーチペンダントTPは、無線式であって、ロボットを制御する図示しないロボットコントローラと無線通信を行うことが可能となっている。
【0024】
ティーチペンダントTPは、接続電極20,21に電気的に接続する充電回路70と、充電回路70により充電される二次電池からなるバッテリ72が内蔵されている。また、ティーチペンダントTPは、接続電極22に電気的に接続された警告制御部74と、警告制御部74により警告制御される警告部76を備えている。警告部76は、例えば警告灯、液晶表示装置、或いは音響生成装置(例えばブザー、合成音声発生部装置)である。警告制御部74はAC/DCアダプタ30が備える温度センサ31からの検出信号が、警告レベル閾値を越える場合には、温度センサ31が検出した温度が警告レベルの温度であると判定して、前記警告部76を作動させ、閾値を越えない場合には、温度センサ31が検出した温度は、警告レベル以下であるとして前記警告部76を警告作動させないようにしている。なお、本実施形態では、警告レベル閾値は、AC/DCアダプタ30が載置又は支持された場所(以下、取付場所という)、すなわち現在の放熱場所では、領域33aからの放熱が不十分であるとして、AC/DCアダプタ30の取付場所の変更を促すための閾値である。
【0025】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成されたクレードルの作用を説明する。
クレードルの筐体10は、図示はしないが、図3(a)に示す支持壁60の近傍の壁等に公知の手段で取付けておく。また、AC/DCアダプタ30を壁掛けのようにして図3(a)の鉄製の支持壁60に対して、側壁33を支持壁60に相対させた状態でマグネット42にて吸着させて支持する。或いは、図3(b)に示すように、例えば、卓上置きのように鉄製の支持板50上に、側壁33を支持板50に相対させた状態でマグネット42にて吸着させて載置(支持)する。本実施形態では、マグネット42が収納凹部40に対して収納された状態では、マグネット42が外方に露出した面は側壁33と面一となるように平面に形成されているため、マグネット42が支持壁60または支持板50を吸着すると、前記側壁33の領域33aは、支持壁60または支持板50に当接する。なお、支持壁60にAC/DCアダプタ30をマグネット42にて取り付ける場合、マグネット42の吸着力は、AC/DCアダプタ30の重量によっても支持壁60から落ちない吸着力を有するものとする。
【0026】
前記支持壁60または支持板50は吸着対象物に相当する。
ティーチペンダントTPのバッテリ72を充電する場合、AC/DCアダプタ30のプラグ36は図示しない交流電源に接続する。この状態で、図1に示すように筐体10の受台13の受け凹部12にティーチペンダントTPの下部を収納し、接続電極20〜22と接続端子15〜17を接続する。するとAC/DCアダプタ30の変換回路34により交流は直流に変換され、ティーチペンダントTPのバッテリ72は、充電回路70により充電される。充電中に変換回路34が発熱するが、この発熱は、例えば、変換回路34に含まれるトランス、或いはスイッチング素子等からである。変換回路34で発生した熱は、側壁33の領域33aから、支持壁60または支持板50に伝えられる。支持壁60または支持板50は鉄製であるため、側壁33の領域33aから支持壁60または支持板50に伝達された熱は、図3(a)、(b)に示すように、支持壁60または支持板50の領域33aに相対する部位から急速に他の領域に移動して放熱される。この結果、良好にAC/DCアダプタ30の変換回路34の熱を放熱することができる。
【0027】
また、温度センサ31の検出信号は、ティーチペンダントTPの警告制御部74が受信し、この検出信号が、警告レベル閾値を越える場合には、警告レベルの温度であると判定して、前記警告部76を作動させる。
【0028】
このような場合は、AC/DCアダプタ30の取付場所では放熱するのに不十分な場所であるとして警告するのである。警告部76が警告灯である場合は、警告灯を発光させる。また、警告部76が液晶表示装置である場合は、液晶表示装置にその旨を表示させる。また、警告部76が音響生成装置である場合には、警告の音響または音声でその旨を知らせる。
【0029】
本実施形態のクレードルによれば、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のクレードルは、ティーチペンダントTPを支持する受台13を有する筐体10と、ケース32内に交流を直流に変換する変換回路34を内蔵して受台13に支持されたティーチペンダントTPに直流電力を供給するAC/DCアダプタ30を有する。そして、ケース32の側壁33の外面(共通側面)には変換回路34からの熱を外部へ放熱する領域33a(放熱部)と、マグネット42が設けられ、マグネット42が支持壁60または支持板50(吸着対象物)を吸着した際、支持壁60または支持板50は(吸着対象物)に領域33a(放熱部)を相対させて熱を支持壁60または支持板50(吸着対象物)に伝達する。
【0030】
この結果、本実施形態のクレードルによれば、変換回路34の熱を放熱部から吸着対象物に伝熱することにより効果的に放熱でき、バッテリの充電の支障を抑制することが可能となり、高温状態の工場内でも正常に充電できる効果を奏する。
【0031】
(2) 本実施形態のクレードルは、AC/DCアダプタ30のケース32において、側壁33の領域33aの(放熱部)は、マグネット42によりAC/DCアダプタが支持壁60または支持板50(吸着対象物)を吸着しているとき、支持壁60または支持板50に対して接触可能に配置されている。
【0032】
この結果、本実施形態では、側壁33の領域33aの(放熱部)から支持壁60または支持板50(吸着対象物)に直に伝熱できるため、効率的に放熱を行うことができる。
(3) 本実施形態のクレードルのAC/DCアダプタ30は、筐体10とは分離している。この結果、AC/DCアダプタを、交流電源のコンセント近くに配置できるとともに、筐体をできるだけ、作業者の近く配置することも可能となる。
【0033】
(4) 本実施形態のクレードルでは、AC/DCアダプタ30は、変換回路34の周辺環境の温度を検出する温度センサ31(温度検出部)を備え、筐体10は、装着されたティーチペンダントTPに対して温度センサ31からの検出信号を伝達する信号線L3及び接続端子17(伝達部)を有する。
【0034】
この結果、本実施形態によれば、ティーチペンダントTPに、変換回路34の温度を伝達することができる。ティーチペンダントTPでは、変換回路34の温度に基づいて、温度が高い場合は、AC/DCアダプタ30の取付場所では放熱するのに不十分な場所であるとして警告することも可能となる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図4及び図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一構成または相当する構成ついては同一符号を付して、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。本実施形態では、AC/DCアダプタ30が、筐体10に一体に組み付けられているところが前記実施形態と異なっている。
【0036】
図4に示すように、本実施形態では、筐体10の背側側壁11において受台13とは反対側面にアダプタ収納凹部18が形成されている。AC/DCアダプタ30のケース32はアダプタ収納凹部18に全体が収納可能に形成されている。側壁33の上下の両縁部にはフランジ37が上下方向にそれぞれ延出されている。
【0037】
アダプタ収納凹部18の上下両端には、雌ねじ孔18cを有する段部18bが設けられている。AC/DCアダプタ30は、前記段部18bに対し前記フランジ37を当接させた状態で雌ねじ孔18cに螺退可能に螺合する複数の六角穴付きボルト39にて締め付け固定されている。
【0038】
筐体10の背側側壁11の外面は平面に形成されている。そして、背側側壁11の外面、側壁33の領域33aの外面、フランジ37の外面、及びマグネット42の外面は面一となっている。
【0039】
ケース32において、アダプタ収納凹部18の底部に相対する壁部には、絶縁部材45が固定されている。絶縁部材45には、変換回路34の二次側出力端子に接続された一対の雌形接続端子46,47及び温度センサ31に接続された雌形接続端子48が固定されている。
【0040】
一方、アダプタ収納凹部18の底部には、電力線L1,L2,信号線L3にそれぞれ接続された雄型接続端子51,52,53が設けられている。雄型接続端子51,52,53は、前記雌形接続端子46〜48が接離自在に接続されている。また、図5に示すように、背側側壁11の外面には、AC/DCアダプタ30の入力用コード35を収納する収納溝11aが形成されており、入力用コード35は、図4の紙面とは直交方向する方向において筐体10から外部に向かって延出されている。
【0041】
(第2実施形態の作用)
上記のように構成されたクレードルは、図4に示すようにAC/DCアダプタ30が筐体10の背側側壁11に対して一体に組み付けられている。また、背側側壁11の外面、側壁33の領域33aの外面、フランジ37の外面、及びマグネット42の外面は面一となっている。このため、第1実施形態の支持板50また支持壁60に対してマグネット42で吸着することにより筐体10自体を支持板50また支持壁60に取付けすることができる。
【0042】
なお、支持壁60に筐体10をマグネット42にて取り付ける場合、マグネット42の吸着力は、ティーチペンダントTP、筐体10、及びAC/DCアダプタ30の合計重量によっても支持壁60から落ちない吸着力を有するものとする。
【0043】
このよう構成しても、本実施形態では、充電中において、変換回路34の熱は、側壁33の領域33aから、支持壁60または支持板50に伝えられて急速に他の領域に移動して放熱される。この結果、良好にAC/DCアダプタ30の変換回路34の熱を放熱することができる。
【0044】
本実施形態のクレードルによれば、第1実施形態の(1)、(2)、(4)の効果の他に下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のクレードルは、AC/DCアダプタ30は、筐体10とは一体に配置されている。この結果、AC/DCアダプタを筐体10と分離した場合に比して、AC/DCアダプタと筐体を個別に支持板または支持壁に取り付ける必要なく、簡便にクレードルを支持板または支持壁に取り付けることができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図6及び図7を参照して説明する。なお、第2実施形態と同一構成または相当する構成ついては同一符号を付して、第2実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0046】
第3実施形態では、第2実施形態の構成に加えて、受台13の下面に、アダプタ収納凹部18と同一構成のアダプタ収納凹部18Aを設けたところが異なっている。アダプタ収納凹部18Aの段部18bには、六角穴付きボルト39が螺入及び螺退可能な雌ねじ孔18cが設けられている。
【0047】
また、アダプタ収納凹部18Aの内頂面には、アダプタ収納凹部18の雄型接続端子51,52,53と同一配置及び同一構成の雄型接続端子51A,52A,53Aが設けられているところが第2実施形態と異なっている。
【0048】
雄型接続端子51A,52A,53Aは、それぞれ図6に示すように、電力線L1,L2、信号線L3にそれぞれ電気的に接続されている。
また、第2実施形態の収納溝11aと同様に、図7に示すように受台13の下面には、入力用コード35を収納するとともに入力用コード35を図6の紙面とは直交方向する方向において筐体10から外部に向かって延出させる収納溝13aが設けられている。
【0049】
このようにして、本実施形態では、アダプタ収納凹部18,18Aのいずれかに対して、AC/DCアダプタ30を選択的に一体に組み付け可能とするとともに取り外し可能としている。図6の例では背側側壁11のアダプタ収納凹部18に対してAC/DCアダプタ30が一体に組み付けられている。アダプタ収納凹部18,18Aは取付部に相当する。
【0050】
(第3実施形態の作用)
上記のように構成されたクレードルは、AC/DCアダプタ30を筐体10に対してアダプタ収納凹部18、またはアダプタ収納凹部18AのいずれかにAC/DCアダプタ30が選択的に取付けられる。このことは、筐体10の取付け箇所の自由度が上がることになる。すなわち、アダプタ収納凹部18にAC/DCアダプタ30を組み付けた場合には、筐体10は、背側側壁11で第1実施形態の支持板50又は支持壁60に取り付けられることになる。
【0051】
また、アダプタ収納凹部18AにAC/DCアダプタ30を組み付けた場合には、受台13で第1実施形態の支持板50又は支持壁60に取り付けられることになる。
本実施形態のクレードルによれば、第1実施形態の(1)、(2)、(4)、第2実施形態の(1)の効果の他に下記の特徴がある。
【0052】
(1) 本実施形態のクレードルでは、筐体10は、AC/DCアダプタ30を取付けする一対のアダプタ収納凹部18、18A(取付部)を備え、AC/DCアダプタ30は、一対のアダプタ収納凹部18、18Aのいずれか1つに対して着脱自在に取り付けられている。この結果、本実施形態によれば、筐体の取付け箇所の自由度を上げることができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように構成してもよい。
・ 第1実施形態では、マグネット42が収納凹部40に対して収納された状態では、マグネット42が外方に露出した面(すなわち、吸着面)は側壁33と面一となるように平面に形成されているため、マグネット42が支持壁60または支持板50を吸着した状態で、前記側壁33は、支持壁60または支持板50に当接する。この構成に代えて、前記マグネット42の吸着面を側壁33よりも若干突出させてもよい。この場合、支持壁60または支持板50にマグネット42を吸着した状態では、側壁33と支持壁60または側壁33と支持板50間には空隙が介在することになるが、近接しているため、側壁33から支持壁60または支持板50への伝熱の阻害を大きくすることはない。
【0054】
また、第2実施形態、及び第3実施形態においても同様に放熱部と、吸着対象物とを若干離間してもよい。
・ 前記各実施形態では、温度センサ31、及び警告制御部74を設けたが、これらを省略してもよい。
【0055】
・ 第3実施形態では、取付部をアダプタ収納凹部18,18Aとして、2つ設けたが、取付部を筐体の大きさに応じて3つ以上設けてもよく、数は限定されるものではない。
・ 前記各実施形態では、警告レベル閾値は、放熱場所を促すための閾値としたが、AC/DCアダプタ30の故障時の発熱に起因する温度域(正常時には達しない温度域)に達したか否かを判定するための閾値としてもよい。
【0056】
・ 前記実施形態では、充電用クレードルを無線式のティーチペンダント用に具体化したが、その他の無線通信装置の充電用クレードルに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…筐体、13…受台、15,16…接続端子、
30…AC/DCアダプタ、31…温度センサ(温度検出部)、
32…ケース、33…側壁、33a…領域(放熱部)、
34…変換回路、42…マグネット、
L1,L2…電力線、L3…信号線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7