(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121190
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ホットセル
(51)【国際特許分類】
G21F 7/015 20060101AFI20170417BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20170417BHJP
G21F 7/06 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
G21F7/015
F24F7/06 C
G21F7/06 R
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-29161(P2013-29161)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2013-200302(P2013-200302A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-36427(P2012-36427)
(32)【優先日】2012年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】甲村 巌根
【審査官】
関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−021696(JP,A)
【文献】
特開2000−320872(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/158763(WO,A1)
【文献】
特開2005−282953(JP,A)
【文献】
特開昭60−113079(JP,A)
【文献】
特開2005−337815(JP,A)
【文献】
特開2009−047668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 7/015
G21F 7/06
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の透過を抑制する放射線遮蔽壁を有するホットセルであって、
前記放射線遮蔽壁によって単一の前記ホットセルの外壁を形成する箱であるホットセル本体と、
前記ホットセル本体内に一つ形成され、又は仕切板で区切られることによって複数形成され、内部を第1の気圧に保持可能であると共に放射性薬剤取り扱い装置が収容される陽圧室と、
前記ホットセル本体内に形成され、内部を前記第1の気圧より低く且つ大気圧より低い第2の気圧に保持可能な陰圧室と、を有し、
前記ホットセル本体には、前記ホットセルの外部から前記放射性薬剤取り扱い装置の出し入れを行うための開口部が形成され、
前記陰圧室は、前記ホットセル本体の前記開口部と前記陽圧室との間に配置されているホットセル。
【請求項2】
前記陽圧室は、内部を大気圧よりも高い前記第1の気圧に保持可能である請求項1に記載のホットセル。
【請求項3】
前記陽圧室内の圧力を上昇させる昇圧手段と、
前記陽圧室内に導入される気体中から異物を除去するフィルターとを備える、請求項1又は2に記載のホットセル。
【請求項4】
前記陽圧室内に導入される気体は、前記陽圧室の上部側から導入され、
前記陽圧室から導出される気体は、前記陽圧室の下部側から導出される、請求項1〜3の何れか一項に記載のホットセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットセルに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線の透過を遮蔽する放射線遮蔽壁によって構成されたホットセル(放射線遮蔽箱)が知られている。放射性物質を他の物質に標識する合成装置など、放射性物質を取り扱う装置は、ホットセル内の室内に収容されて使用される(例えば特許文献1参照)。なお、このように、室内に合成装置を収容可能であり、放射線の外部への透過を抑制可能な部屋を合成室ともいう。ホットセルには、清浄度が向上された空気を合成室内に供給するためのクリーンユニットが設けられている。クリーンユニットは、空気中のちり(異物)除去するHEPAフィルターと、合成室内へ空気を導入するファンとを備えている。クリーンユニットによって異物が除去されて清浄度が向上された空気が、合成室内に導入される。一方、ホットセルは、合成室内の空気を外部に漏らさないようにするため、合成室内は陰圧に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−343289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ホットセルの合成室内の清浄度の更なる向上が求められている。上記の従来のホットセルでは、合成室内が陰圧に保持されているため、クリーンユニットを通過せずに、合成室内に外部の空気が侵入してしまうおそれがあった。本発明は、合成室内の清浄度の向上を図ることが可能なホットセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、放射線の透過を抑制する放射線遮蔽壁を有するホットセルであって、放射線遮蔽壁によって
単一のホットセルの外壁を形成する箱であるホットセル本体と、当該ホットセル本体内に
一つ形成され、又は仕切板で区切られることによって複数形成され、内部を第1の気圧に保持可能であると共に放射性薬剤取り扱い装置が収容される陽圧室と、ホットセル本体内に形成され、内部を第1の気圧より低く且つ大気圧より低い第2の気圧に保持可能な陰圧室と、を有
し、ホットセル本体には、ホットセルの外部から放射性薬剤取り扱い装置の出し入れを行うための開口部が形成され、陰圧室は、ホットセル本体の開口部と前記陽圧室との間に配置されているホットセルを提供する。
【0006】
このようなホットセルは、室内の圧力を大気圧より低い第2の圧力に保持可能な陰圧室と、室内を陰圧室より高い圧力に保持可能な陽圧室とを備える構成であるため、陰圧室からホットセル外部への放射性物質の流出を防止すると共に、陰圧室から陽圧室への異物(ちり、埃など)の侵入を防止することができる。そのため、陽圧室内への異物の侵入を抑制して清浄度の向上を図ると共に、放射性物質の流出を防止することが可能なホットセルを提供することができる。
【0007】
さらに、この構成によれば、ホットセル本体の開口部側に陰圧室を配置し、その奥(背面側)に陽圧室を配置することができる。陽圧室よりも開口部側に陰圧室を備える構成であるため、陰圧室からホットセル外部への放射性物質の流出を防止する共に、陰圧室から陽圧室への異物(ちり、埃など)の侵入を防止することができる。そのため、陽圧室内への異物の侵入を一層抑制して清浄度の向上を図ることができる。
【0008】
また、陽圧室は、内部を大気圧よりも高い第1の気圧に保持可能であることが好ましい。陽圧室内が大気圧より高い場合には、陰圧室と陽圧室との圧力差を大きくすることができ、陽圧室の外部からの異物の混入を防止することができる。
【0009】
ホットセルは、陽圧室内の圧力を上昇させる昇圧手段と、陽圧室内に導入される気体中から異物を除去するフィルターとを備える構成としてもよい。この構成のホットセルによれば、昇圧手段によって陽圧室内の圧力を上昇させることができ、フィルターによって異物が除去された気体を、陽圧室内へ導入することができる。
【0010】
陽圧室内に導入される気体は、陽圧室の上部側から導入され、陽圧室から導出される気体は、陽圧室の下部側から導出されることが好適である。上部側から気体を導入し、下部側から気体を導出することで、陽圧室内に上方から下方への気体の流れ
を形成することができる。陽圧室の異物を舞い上げることなく、陽圧室外へ排出することができる。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明のホットセルによれば、陽圧室(合成室)内の清浄度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るホットセルの断面図であり、側面と平行な断面を示すものである。
【
図2】本発明の実施形態に係るホットセルの断面図であり、正面と平行な断面を示すものである。
【
図3】ホットセル本体の正面断面図であり、内扉及び小扉の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るホットセルの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、図面の位置関係に基づくものとする。
【0014】
図1及び
図2に示すホットセル10は、箱型を成すホットセル本体11を備えている。ホットセル本体11は、ホットセル本体11の正面開口部を開閉する正面扉(開閉扉)12と、正面扉12と対向して配置された壁体である背面壁13と、天面
に配置された壁体である天面壁14と、底面に配置された壁体である底面壁15と、側面に配置された壁体である一対の側壁16とを有する。なお、以下の説明において、背面壁13、天面壁14、底面壁15、及び側壁16を区別する必要がない場合には、壁体13〜16と称することもある。
【0015】
ホットセル本体11を構成する正面扉12、及び壁体13〜16は、放射線の透過を抑制する放射線遮蔽壁によって形成されている。放射線遮蔽壁は、例えば鉛によって形成されている。ホットセル本体11内に収容される放射性物質に応じて、放射線遮蔽壁の材質を適宜変更してもよい。
【0016】
ホットセル本体11の正面開口部は、ホットセル本体11の内部に収容される対象物100の出し入れに利用されるものである。ホットセル本体11の内部に収容される対象物100としては、例えば、放射性物質を他の物質に標識する(放射性物質を基に放射性薬剤を合成する)合成装置、放射性薬剤の品質を検定する品質検定装置などが挙げられる。これらの対象物を以降は「放射性薬剤取り扱い装置(放射性物質取り扱い装置)」とする。
【0017】
ホットセル本体11の開口部は、正面側に形成されるものに限定されず、側面、天面、底面、背面に形成されているものでもよい。また、開口部は、複数形成されていてもよい。正面扉12は、放射性遮蔽壁によって形成されている。
【0018】
正面扉12は、例えば、側壁16の正面側の端部に設けられたヒンジ(不図示)に固定されて、揺動可能に支持されている。正面扉12は、左右一対の扉を有する構成とされている。正面扉12は、開口部を開閉可能なものであればよく、扉を形成する壁体が摺動するものでもよく、揺動するものでもよい。なお、正面扉12は、対向する背面壁13と同一の面積でもよく、背面壁13よりも小さい面積の開口部を覆う扉でもよい。ホットセル10が正面壁を備え、その正面壁に形成された開口部を開閉する正面扉を備える構成でもよい。
【0019】
ホットセル本体11には、内部を第1の気圧に保持可能な陽圧室21と、内部を第1の気圧よりも低い第2の気圧に保持可能な陰圧室22とが形成されている。第1の気圧は、大気圧より高い圧力であることが好ましい。
【0020】
陽圧室21は、放射性薬剤取り扱い装置100(例えば合成装置)を収容可能な空間を形成する。なお、ホットセル本体11内は、他の壁体(仕切板24)によって複数の空間に区切られ、複数の陽圧室21を備える構成でもよい。ホットセル本体11は、内部を左右方向に区切る仕切板24を備え、左右方向に複数の陽圧室21を有する。本実施形態では、仕切板25によって上下方向に区切られている。仕切板24,25は、放射線遮蔽壁によって形成されていてもよく、放射線を透過する壁体によって形成されていてもよい。
【0021】
陽圧室21は、陽圧室21の正面開口部を開閉する内扉23と、上記の背面壁13と、天面壁14と、底面壁15と、側壁16と、仕切板24〜26とによって形成されている。なお、陽圧室21内は、他の壁体(仕切板25)によって複数の空間に区切られていてもよい。本実施形態では、仕切板25によって上下方向に区切られている。仕切板25は、放射線遮蔽壁によって形成されていてもよく、放射線を透過する壁体によって形成されていてもよい。仕切板25には、図示しない通気孔が設けられ、上段側の陽圧室21と、下段側の陽圧室21とが連通している。また、下段側の陽圧室21の底部は、仕切板26によって覆われている。なお、仕切板26と底面壁15との間には、陰圧室22に連通する空間22bが形成されている。
【0022】
陽圧室21の開口部は、内部に収容される放射性薬剤取り扱い装置100の出し入れに利用されるものである。陽圧室21の開口部は、正面側に形成されるものに限定されない。陽圧室21の開口部は、ホットセル本体11の開口部に対応する位置に形成されている。本実施形態では、ホットセル本体11の開口部が正面側に配置されているため、陽圧室21の開口部も陽圧室21の正面側に形成されている。内扉23は、陽圧室21の開口部を開閉可能なものであればよく、扉を形成する壁体が摺動するものでもよく、揺動するものでもよい。内扉23は、放射性遮蔽壁によって形成されていてもよく、放射線を透過する壁体によって形成されているものでよい。
【0023】
陰圧室22は、陽圧室21よりもホットセル本体11の開口部(正面扉12)側に形成されている。陰圧室22は、正面扉12と、内扉23と、天面壁14の正面側の端部と、底面壁15の正面側の端部と、一対の側壁16の正面側の端部によって形成されている。陰圧室22は、ホットセル本体11の開口部(正面扉12)と陽圧室21との間に配置され、内部を第1の気圧より低く且つ大気圧より低い第2の気圧に保持可能である。
【0024】
また、ホットセル10は、陽圧室21内に清浄度が向上された空気を導入するクリーンユニット31と、陰圧室22内の気体(空気)をホットセル10の外部に排出する排気ユニット41とを備えている。本実施形態のホットセル10は、複数の陽圧室21を備えている。上段側に設けられた陽圧室21にクリーンユニット31が設けられている。
【0025】
クリーンユニット31は、空気中の異物(ちり、ほこりなど)を除去するHEPAフィルターと、空気を陽圧室21内に供給するためのファンとを有する。なお、HEPAフィルターは、ファンの上流側に配置されていてもよく、ファンの下流側に配置されていてもよい。クリーンユニット31は、例えば、天面壁14に設けられている。なお、クリーンユニット31は、その他の壁体(側壁16、背面壁13など)に設けられていてもよい。また、陽圧室21に連通する配管(給気管)に、クリーンユニット31が設けられていてもよい。
【0026】
排気ユニット41は、陰圧室22に連通する排気管42と、排気管42に設けられた排気用ブロア43とを備えている。排気管42は、例えば、陰圧室22(22b)の底面側に接続され、ホットセル本体11の下方から、背面壁13の外側を上方へ進むように配置されている。排気用ブロア43は、例えば、ホットセル本体11の天面壁14上に配置されている。排気用ブロア43は、例えば、排気用ブロア43よりも上流側(陰圧室22側)の排気管42内の空気を吸引するためのファン等の吸引手段により構成される。なお、吸引手段は、ファンに限定されず、他の機構を用いても良い。
【0027】
また、正面扉12及び内扉23に開口部が設けられ、この開口部を開閉する小扉23bを備える構成としてもよい。
図3に示すように、例えば下段の内扉23に、小扉23bが設けられ、上段の内扉23に小扉23bが設けられていない構成でもよい。なお、正面扉12の小扉は図示していないが、内扉23の小扉23bに対応する位置に設けられている。正面扉12及び内扉23を開閉せずに、小扉23bを開閉することで、陽圧室21内の圧力、清浄度への影響を抑えつつ、陽圧室21内への物の出し入れや、陽圧室21内の放射性薬剤取り扱い装置100の操作などを行うことができる。
【0028】
次に、ホットセル10の作用について説明する。ホットセル
10の陽圧室21内には、例えば合成装置が配置されている。クリーンユニット31によって異物が除去されて清浄度が向上された空気が、陽圧室21内に導入される。陽圧室21内は、第1の気圧に保持される。第1の気圧は、例えば、大気圧よりも高い圧力である。
【0029】
排気用ブロア43は、陰圧室22内の空気を吸引する。陰圧室22内は、第1の気圧よりも低く、大気圧よりも低い第2の気圧に保持される。陽圧室21内の空気は、内扉23の周囲に形成された隙間などを通じて、陰圧室22内に流入する(陽圧室21と陰圧室22とは連通している)。陰圧室22内の空気は、排気用ブロア43によって吸引され、排気管42内を流れてホットセル10外に排出される。また、正面扉12の周囲に形成された隙間などを通じて、陰圧室22内に侵入した空気は、陽圧室21内へ侵入することなく、排気ユニット41によりホットセル10外へ排気される。ホットセル10から排出される空気は、例えば、活性炭フィルターなどを通って、排気設備へ送られ所定の処理が行われる。
【0030】
放射性薬剤取り扱い装置100は、PET(Positron Emmision Tomography)診断等で使用される放射性薬剤を取り扱い、この放射性薬剤は患者に投与されるため異物の混入はできる限り少なくすることが要求される。このため、ホットセル10内において放射性薬剤取り扱い装置100が設けられる部屋は、その外部からの異物の侵入ができる限り抑制されていることが望ましい。
【0031】
本実施形態のホットセル10によれば、内部を第1の気圧に保持可能な陽圧室21、及び内部を第1の気圧より低く且つ大気圧より低い第2の気圧に保持可能な陰圧室22を備える構成であるため、陰圧室22からホットセル本体11外への放射性物質の流出を防止すると共に、陰圧室22から陽圧室21への異物(ちり、埃など)の侵入を防止することができる。そのため、陽圧室21内への異物の侵入を抑制して清浄度の向上を図ると共に、放射性物質の流出を防止することが可能なホットセルを提供することができる。本実施形態のホットセル10では、陽圧室21内を例えばクラス100の清浄度に維持することができる。陽圧室21よりも正面扉12(開口部)側に陰圧室22を備える構成であると、陰圧室22から開口部を通じて放射性物質が流出してしまうおそれを低減することができる。
【0032】
また、陽圧室21の内部が大気圧よりも高い第1の気圧に保持されているので、ホットセル10の外部から陽圧室21内への異物の侵入が確実に防止される。
【0033】
また、本実施形態のホットセル10では、陽圧室21内に導入される空気は、陽圧室21の上部側から導入され、陽圧室21から導出される空気は、陽圧室21の下部側から導出されている。上部側から空気を導入し、下部側から空気を導出することで、陽圧室21内に上方から下方への気体の流れ形成することができる。例えば、陽圧室21内に異物が存在する場合であっても、異物を舞い上げることなく、陽圧室21外へ排出することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、陽圧室内の圧力(第1の気圧)は、大気圧よりも高い場合に限定されず、大気圧でもよく、大気圧よりも低い圧力でもよい。
【0035】
また、ホットセルは、クリーンユニット(昇圧手段(ファンなど)、フィルター)を備えていない構成でもよい。例えば、清浄度が向上された空気が充填された容器(ボンベなど)から、陽圧室21内に空気を導入してもよい。
【0036】
また、陽圧室21内に導入される気体は、空気に限定されず、その他の気体(例えば、不活性ガスなど)でもよい。また、陽圧室21の上部側から気体を導入してもよく、例えば、下部側や中段から導入してもよい。同様に陽圧室21の下部側から気体を導出してもよく、上部側や中段から導出してもよい。例えば、陰圧室22の上部側から空気を導出する構成でもよい。
【0037】
また、昇圧手段は、クリーンユニット31のファンに限定されず、コンプレッサーなどその他の昇圧手段でもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、複数の陽圧室21を備える構成を例示しているが、一つの陽圧室21を備える構成でもよい。また、陰圧室22は、複数の陽圧室21に対して共通の陰圧室でもよく、各陽圧室21に対応してそれぞれ陰圧室22を備える構成でもよい。また、上記実施形態では、陽圧室21の底面側に陰圧室22に連通する空間22bが形成されているが、陽圧室21の底面側に空間22bが形成されていない構成でもよい。
【0039】
また、放射性薬剤取り扱い装置100が放射性薬剤の品質を検定する放射性薬剤の品質検定装置であると、品質検定した放射性薬剤を破棄せずにそのまま患者に投与することができる。従来の放射性薬剤の品質検定では、その1工程である無菌試験用バイアルびんへの放射性薬剤の滴下操作を作業者による手動で行っていた。作業者の手がホットセル内に侵入するため、ホットセル内に異物が混入しやすかった。そのため、品質検定で使用された放射性薬剤は、患者への投与には使用されず、破棄されていた。しかし、最近では、放射性薬剤の品質検定の自動化が要求されている。品質検定を機械により自動化し、且つ、本発明のようなホットセルを用いることで、品質検定を行った放射性薬剤への異物の混入を抑制でき、品質検定を行った放射性薬剤をそのまま患者へ投与することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
10…ホットセル、11…ホットセル本体、12…正面扉(放射線遮蔽壁)、13…背面壁(放射線遮蔽壁)、14…天面壁(放射線遮蔽壁)、15…底面壁(放射線遮蔽壁)、16…側壁(放射線遮蔽壁)、21…陽圧室(合成室)、22…陰圧室、31…クリーンユニット、100…放射性薬剤取り扱い装置。