特許第6121208号(P6121208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6121208-燃焼装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121208
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   F24H9/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-62351(P2013-62351)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-185830(P2014-185830A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔平
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−185937(JP,A)
【文献】 実開昭53−050542(JP,U)
【文献】 特開2008−025979(JP,A)
【文献】 特開2011−027352(JP,A)
【文献】 特開2013−011409(JP,A)
【文献】 特開2006−078162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内の下位に、第一のバーナと第二のバーナとが並設されると共に、前記装置本体内で第一の熱交換器が前記第一のバーナの上位に、前記装置本体内で第二の熱交換器が前記第二のバーナの上位にそれぞれ配設されて、前記第一のバーナの燃焼熱により前記第一の熱交換器が加熱され、前記第二のバーナの燃焼熱により前記第二の熱交換器が加熱されるようにして、前記第一のバーナと前記第二のバーナとの間を仕切るバーナ仕切部材と、前記第一の熱交換器と前記第二の熱交換器との間を仕切る熱交換器仕切部材と、を備えた燃焼装置であって、
前記熱交換器仕切部材を、互いに対向する一対の側板が前記バーナ仕切部材側に開口を有するように連設された逆U字の二股状に形成して、一方の前記側板の内面で該側板の長さ方向の全長にシール部材を取り付けて、
前記一対の側板を、前記第一の熱交換器と前記第二の熱交換器とに圧接させて前記第一の熱交換器と前記第二の熱交換器との間に収容した際に、前記バーナ仕切部材は、前記開口から前記一対の側板の間に挿入されて、前記全長に亘り前記シール部材に接触して前記一対の側板の対向方向で該シール部材から押圧される第一の押受部を有することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記バーナ仕切部材は、前記第一の押受部に連続させて、他方の前記側板の内面の長さ方向の全長に接触して該他方の側板から押圧される第二の押受部を有することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第一の押受部は、前記バーナ仕切部材の前記熱交換器仕切部材側の端部が前記対向方向における前記一方の側板側へ突出するように折り曲げられて、突出方向の先端が前記一方の側板の長さ方向の全長に亘り前記シール部材に接触可能とし、
前記第二の押受部は、前記第一の押受部と連続して、前記対向方向における前記他方の側板側へ突出するように折り曲げられて、突出方向の先端が前記他方の側板の前記全長に接触可能としたことを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記第一の熱交換器と前記第二の熱交換器との内で、前記一方の側板が圧接する一方の熱交換器の外周に、該第一の熱交換器と該第二の熱交換器との間に対する前記一対の側板の収容方向と直交する方向に当たる前記一方の側板の長さ方向に所定間隔をおいて複数のフィンを突設させて、
前記一対の側板を、前記第一の熱交換器と前記第二の熱交換器との間に収容した際に、前記一方の側板は、前記対向方向で前記複数のフィンから押圧されることを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記他方の側板が圧接する他方の熱交換器の外周に、前記収容方向と直交する方向に当たる前記他方の側板の長さ方向に所定間隔をおいて複数のフィンを突設させて、
前記一対の側板を、前記第一の熱交換器と前記第二の熱交換器との間に収容した際に、前記他方の側板は、前記対向方向で前記他方の熱交換器における前記複数のフィンから押圧されることを特徴とする請求項4に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記熱交換器仕切部材を、前記一対の側板が接離方向へ弾性変形可能となるように形成し、
前記第一の押受部及び前記第二の押受部を弾性変形可能に構成したことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、単一の缶体内に、第一のバーナと第二のバーナとの間を仕切るバーナ仕切部材と、第一の熱交換器と第二の熱交換器との間を仕切る熱交換器仕切部材と、を備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、燃焼装置の上下方向の下段から上段に向けて、バーナ用缶体と、熱交換器用缶体と、排気用缶体とを順次固定して積み上げることで単一の缶体を形成し、バーナ用缶体内に第一のバーナと第二のバーナとが横並びに併設され、熱交換器用缶体内で、第一の熱交換器が前記第一のバーナの上位の位置に、第二の熱交換器が前記第二のバーナの上位の位置にそれぞれ設けられた燃焼装置が開示されている。この燃焼装置では、バーナ用缶体内に、前記第一のバーナと前記第二のバーナとの間を仕切るバーナ仕切部材が固定され、熱交換器用缶体内に、前記第一の熱交換器と前記第二の熱交換器との間を仕切る熱交換器仕切部材を備えている。この熱交換器仕切部材は、第一の熱交換器と第二の熱交換器との間に差し込まれて、弾性変形可能な寸法吸収体を挟んでバーナ仕切部材の上端部に当接し、排気用缶体内に固定された排気用缶体仕切部材が、熱交換器仕切部材の上端部を押圧することで、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材とを前記寸法吸収体を介して一体にすることがなされている。このようにすると、例えばバーナ用缶体等の製作寸法にばらつきがあることでバーナ仕切部材の位置がばらつくことがあったとしても、上記の寸法吸収体が弾性変形することでバーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との双方に密接する結果、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との間をシールできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−27352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように特許文献1の燃焼装置では、排気用缶体を熱交換器用缶体にねじで締め付けて、このねじの締付力によって、上記の排気用缶体仕切部材が、熱交換器仕切部材を寸法吸収体へ押し付けて、該寸法吸収体がバーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との双方に密接するようにしていた。このため、排気用缶体を熱交換器用缶体にねじで締め付ける位置から寸法吸収体までの位置が離れていると、ねじの締付力だけでは、熱交換器仕切部材を寸法吸収体へ十分に押し付けることができないことが考えられる。このような場合には、寸法吸収体をバーナ仕切部材と熱交換器仕切部材とに密接させることができず、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との間のシール性能が劣ることが懸念される。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との間のシール性能を向上させた燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、装置本体内の下位に、第一のバーナと第二のバーナとが並設されると共に、装置本体内で第一の熱交換器が第一のバーナの上位に、装置本体内で第二の熱交換器が第二のバーナの上位にそれぞれ配設されて、第一のバーナの燃焼熱により第一の熱交換器が加熱され、第二のバーナの燃焼熱により第二の熱交換器が加熱されるようにして、第一のバーナと第二のバーナとの間を仕切るバーナ仕切部材と、第一の熱交換器と第二の熱交換器との間を仕切る熱交換器仕切部材と、を備えた燃焼装置であって、熱交換器仕切部材を、互いに対向する一対の側板がバーナ仕切部材側に開口を有するように連設された逆U字の二股状に形成して、一方の側板の内面で側板の長さ方向の全長にシール部材を取り付けて、一対の側板を、第一の熱交換器と第二の熱交換器とに圧接させて第一の熱交換器と第二の熱交換器との間に収容した際に、バーナ仕切部材は、開口から一対の側板の間に挿入されて、全長に亘りシール部材に接触して一対の側板の対向方向でシール部材から押圧される第一の押受部を有することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、バーナ仕切部材は、第一の押受部に連続させて、他方の側板の内面の長さ方向の全長に接触して他方の側板から押圧される第二の押受部を有することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、第一の押受部は、バーナ仕切部材の熱交換器仕切部材側の端部が対向方向における一方の側板側へ突出するように折り曲げられて、突出方向の先端が一方の側板の長さ方向の全長に亘りシール部材に接触可能とし、第二の押受部は、第一の押受部と連続して、対向方向における他方の側板側へ突出するように折り曲げられて、突出方向の先端が他方の側板の全長に接触可能としたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、第一の熱交換器と第二の熱交換器との内で、一方の側板が圧接する一方の熱交換器の外周に、第一の熱交換器と第二の熱交換器との間に対する一対の側板の収容方向と直交する方向に当たる一方の側板の長さ方向に所定間隔をおいて複数のフィンを突設させて、一対の側板を、第一の熱交換器と第二の熱交換器との間に収容した際に、一方の側板は、対向方向で複数のフィンから押圧されることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、他方の側板が圧接する他方の熱交換器の外周に、収容方向と直交する方向に当たる他方の側板の長さ方向に所定間隔をおいて複数のフィンを突設させて、一対の側板を、第一の熱交換器と第二の熱交換器との間に収容した際に、他方の側板は、対向方向で他方の熱交換器における複数のフィンから押圧されることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかの構成において、熱交換器仕切部材を、一対の側板が接離方向へ弾性変形可能となるように形成し、第一の押受部及び第二の押受部を弾性変形可能に構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、バーナ仕切部材の第一の押受部が、熱交換器仕切部材を構成する一方の側板の長さ方向の全長に亘り、一対の側板の対向方向でシール部材から押圧されることで、該シール部材を、前記全長に亘り第一の押受部に圧接させることができる。よって、バーナ仕切部材の第一の押受部と、熱交換器仕切部材のシール部材との間に隙間が生じることを抑制できるため、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との間のシール性能を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、バーナ仕切部材の第二の押受部が、熱交換器仕切部材を構成する他方の側板の内面の長さ方向の全長に亘り該他方の側板から押圧されることで、他方の側板を、前記全長に亘り第二の押受部に圧接させることができる。よって、バーナ仕切部材の第二の押受部と、熱交換器仕切部材の他方の側板との間にも隙間が生じることを抑制できる。
請求項3に記載の発明によれば、一対の側板を、第一の熱交換器と第二の熱交換器とに圧接させて第一の熱交換器と第二の熱交換器との間に収容すると、第二の押受部の突出方向先端が他方の側板から押圧されることに伴って、第二の押受部と連続する第一の押受部の突出方向先端を、シール部材に押し付けることが可能になる。したがって、第一の押受部の突出方向先端とシール部材とを密接させることができるため、第一の押受部とシール部材との間のシール性能をより向上させることが可能になる。
請求項4に記載の発明によれば、一方の熱交換器における複数のフィンによって一方の側板を、該一方の側板の長さ方向で均一に他方の側板側に位置する第一の押受部に向けて押圧できる。その結果、一方の側板に取り付けられたシール部材を、該一方の側板の長さ方向で第一の押受部に均一に押し付けて、第一の押受部とシール部材との間のシール性能をさらに向上させることができる。加えて、一方の側板が、一対の側板の対向方向で一方の熱交換器における複数のフィンから押圧されると、一方の側板と各フィンとの間に隙間が生じることを抑制できる。これにより一方の熱交換器は、装置本体内の下位から燃焼熱を安定して受けることが可能になって、該一方の熱交換器の熱効率を向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、他方の熱交換器における複数のフィンによって他方の側板を、該他方の側板の長さ方向で均一に、一方の側板側に位置する第二の押受部に向けて押圧できる。その結果、他方の側板を該他方の側板の長さ方向で第二の押受部に均一に押し付けて、第二の押受部と他方の側板との間に隙間が生じることをより抑制できる。加えて、他方の側板が、一対の側板の対向方向で他方の熱交換器における複数のフィンから押圧されると、他方の側板と各フィンとの間に隙間が生じることを抑制できる。これにより、他方の熱交換器は、装置本体内の下位から燃焼熱を安定して受けることが可能になって、該他方の熱交換器の熱効率を向上させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、一対の側板を、第一の熱交換器と第二の熱交換器との間に収容した状態では、各側板や各押受部の弾性復帰力によって、一方の側板のシール部材と第一の押受部とを密接させ易くすることができると共に、他方の側板と第二の押受部とを密接させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の燃焼装置の要部断面図である。
図2図1中のA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図1及び図2を参照しつつ説明する。図1には本発明の実施形態の一缶多水路式の燃焼装置1の要部の内部構造を示した。この燃焼装置1では、該燃焼装置1の上下方向(図1の上下方向)の下段から上段に向けて、バーナ用缶体3と、熱交換器用缶体4と、排気用缶体5とを順次固定して積み上げることで缶体2が形成されている。本実施形態では、図1の下側を缶体2の下位とし、図1の上側を缶体2の上位とする。なお缶体2は本発明の装置本体の一例である。
【0010】
バーナ用缶体3は、内部に第1バーナ群7と第2バーナ群8とバーナ仕切部材9とを配設するものである。図1に示すようにバーナ用缶体3の内部には、複数のバーナを燃焼装置1の左右方向(図1の左右方向)に並べてそれぞれ構成した第1バーナ群7と第2バーナ群8とが、前記左右方向に間隔をおいて並設されている。このバーナ用缶体3の下側(図1の下側)には、図示しない送風ファンが取り付けられており、この送風ファンによって、両バーナ群7,8の燃焼に必要な空気がバーナ用缶体3の内部に供給される。本実施形態では、第1バーナ群7の燃焼能力を第2バーナ群8の燃焼能力よりも大きくして、第1バーナ群7を給湯に、第2バーナ群8を風呂の追い焚きにそれぞれ用いることとした。なお第1バーナ群7は本発明の第一のバーナの一例であり、第2バーナ群8は本発明の第二のバーナの一例である。
【0011】
さらに図1に示すようにバーナ仕切部材9は、バーナ用缶体3の内面に固定されている。このバーナ仕切部材9は、ステンレス製で第1バーナ群7と第2バーナ群8との間でバーナ用缶体3の底面に燃焼装置1の上下方向へ立設されて、バーナ仕切部材9の第1バーナ群7側の側面は第1バーナ群7と当接し、バーナ仕切部材9の第2バーナ群8側の側面は第2バーナ群8と当接する。このようにすることで、バーナ仕切部材9は、バーナ用缶体3の内部を燃焼装置1の左右方向で第1バーナ群7の配設側と第2バーナ群8の配設側とに仕切っている。そして図1及び図2に示すようにバーナ仕切部材9の上端は、バーナ用缶体3の上端部(図1の上側)を越えて熱交換器用缶体4の内部に突出する。さらに図2に示すようにバーナ仕切部材9の上端に、第一の押受部11と第二の押受部12とが設けられている。この第一の押受部11は、バーナ仕切部材9の上端部を後述の風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に収容される側板31側(図1,2の右側)へ突出するように正面視で逆くの字状に折り曲げて、バーナ仕切部材9の長さ方向(図1,2の手前奥方向)に延びるように形成されている。加えて第二の押受部12は、第一の押受部11の先端に連設されている。この第二の押受部12は、バーナ仕切部材9における第一の押受部11よりも上端側を後述の風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に収容される側板32側(図1,2の左側)へ突出するように正面視でくの字状に折り曲げて、バーナ仕切部材9の長さ方向に延びるように形成されている。そして第一の押受部11は、後述のシール部材38(図2参照。)と接触可能で該シール部材38から押圧されると弾性変形可能とされている。第二の押受部12についても、後述する熱交換器仕切部材30の側板32(図2参照。)と接触可能で該側板32から押圧されると弾性変形可能とされている。なお、バーナ仕切部材9の上端は本発明のバーナ仕切部材の熱交換器仕切部材側の端部の一例である。
【0012】
また熱交換器用缶体4は、内部に風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17と熱交換器仕切部材30とを配設するものである。図1に示すように熱交換器用缶体4の内部には、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17とが、燃焼装置1の左右方向に間隔をおいて互いに対向するように並設されている。この風呂追い焚き用熱交換器16は、図示するように缶体2の内部で第2バーナ群8の上方側に配設されている。この第2バーナ群8の上方側は、第2バーナ群8で発生する燃焼ガスの流れの下流側に当たる。加えて風呂追い焚き用熱交換器16の外周面には、フィン18が該風呂追い焚き用熱交換器16の左右方向(図1の左右方向)と直交する前後方向(図1の手前奥方向)に所定間隔をおいて複数配列されている。この前後方向は、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に対する熱交換器仕切部材30の収容方向(図1,2の上下方向)と直交する方向に当たる。各フィン18は、前記外周面に突設させている。そして、各フィン18に、一続きの管で構成された受熱管19を貫通させている。この受熱管19の内部には、風呂内の湯水が供給されて、この湯水は第2バーナ群8で発生する燃焼ガスが持つ熱によって加熱されて風呂に戻される。なお風呂追い焚き用熱交換器16は本発明の第二の熱交換器の一例であり、第2バーナ群8の上方側は本発明の第二のバーナの上位の一例である。
【0013】
さらに図1に示すように、風呂追い焚き用熱交換器16の各フィン18の外面であって、燃焼装置1の左右方向で給湯用熱交換器17の各フィン22と対向する部分に、燃焼装置1の上下方向に延びる縦ガイド部20が設けられている。
【0014】
一方、給湯用熱交換器17は、図1に示すように缶体2の内部で第1バーナ群7の上方側に配設されている。第1バーナ群7の上方側は、第1バーナ群7で発生する燃焼ガスの流れの下流側に当たる。加えて給湯用熱交換器17の外周面にも、風呂追い焚き用熱交換器16と同様に、フィン22を突設させて、該フィン22が、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に対する熱交換器仕切部材30の収容方向と直交する方向(図1の手前奥方向)に所定間隔をおいて複数配列されている。そして、各フィン22に、一続きの管で構成された受熱管23を貫通させている。この受熱管23の内部には、給水源(図示せず。)から水が供給されて、この水は前記燃焼ガスが持つ熱によって加熱されて出湯管(図示せず。)に供給される。なお給湯用熱交換器17は本発明の第一の熱交換器の一例であり、第1バーナ群7の上方側は本発明の第一のバーナの上位の一例である。
【0015】
さらに図1に示すように、給湯用熱交換器17の各フィン22の外面であって、燃焼装置1の左右方向で風呂追い焚き用熱交換器16の各フィン18と互いに対向する部分に、燃焼装置1の上下方向に延びる縦ガイド部24が設けられている。この縦ガイド部24は、前記左右方向に間隔をおいて縦ガイド部20(図1参照。)と対向すると共に該縦ガイド部20と平行に前記上下方向に延びている。
【0016】
図1及び図2に示すように熱交換器仕切部材30は、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に燃焼装置1の上下方向へ延びるように収容する。これにより熱交換器仕切部材30は、熱交換器用缶体4の内部を燃焼装置1の左右方向で風呂追い焚き用熱交換器16の配設側と給湯用熱交換器17の配設側とに仕切る。ステンレス製で互いに対向させた一対の側板31,32の各上側端部同士を、ステンレス製の板状部材で構成した水平面部33(図1参照。)を介して連設させることで、熱交換器仕切部材30は、下側(バーナ仕切部材9側)に開口部34(図2参照。)を有する略逆U字状の二股となるように形成されている。ここでは、一対の側板31,32が、該側板31,32の接離方向(図1,2の左右方向)へ弾性変形可能に水平面部33と連設されている。なお水平面部33は、両側板31,32の対向方向で各側板31,32の外側へ突出するように設けられている。
【0017】
そして図2に示すように側板31の下端には、該側板31の下端側を該側板31の内側へ水平方向に折り曲げることで該側板31の長さ方向(図2の手前奥方向)に延びて開口部34に接する平板部35が形成されている。加えて側板31には、前記長さ方向の両端部に補強板37がそれぞれ設けられている。各補強板37は、側板31の前記両端部を側板31の内側へ該側板31と直角に折り曲げることで形成されている。各補強部37によって、側板31が上下方向に撓むことを抑制できる。また図2に示すように側板31の下端内面に、可撓性のシール部材38が固定されている。このシール部材38は、側板31の長さ方向の全長に延びる帯状で、両補強部37,37に挟まれて前記下端内面及び平板部35の内面に沿って設けられている。このシール部材38は、後述するようにバーナ仕切部材9と熱交換器仕切部材30との間に隙間が生じることを抑制するため、第一の押受部11を押圧する。本実施形態では、シール部材38を耐熱パッキンで構成した。なお、側板31は本発明の一方の側板の一例である。
【0018】
さらに側板32にも、側板31と同様の補強部39が、該側板32の長さ方向(図1,2の手前奥方向)の両端部にそれぞれ設けられている。熱交換器仕切部材30を、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に収容すると、各補強部39は、各補強部37の裏面に沿うように配置される。この側板32は、後述するように該側板32と第二の押受部12との間に隙間が生じることを抑制するために、第二の押受部12を押圧する。なお、側板32は本発明の他方の側板の一例である。
【0019】
図1に示すように排気用缶体5は、風呂追い焚き用熱交換器16を通過した燃焼ガスや給湯用熱交換器17を通過した燃焼ガスを導入するものである。この排気用缶体5の前面左側には第2排気口(図示せず。)が形成され、排気用缶体5の前方右側には第1排気口(図示せず。)が形成されている。本実施形態では後述するように、風呂追い焚き用熱交換器16を通過した燃焼ガスは、前記第2排気口を通じて排気用缶体5の外部に排出される。一方、給湯用熱交換器17を通過した燃焼ガスは、前記第1排気口を通じて排気用缶体5の外部に排出される。そして図1に示すように排気用缶体5の内面であって、排気用缶体5の左右方向(図1の左右方向)で前記第1排気口と第2排気口との間には、排気用缶体仕切部材42(以下「仕切部材42」という。)が固定されている。この仕切部材42は、燃焼装置1の上下方向に延設されて、排気用缶体5の内部を燃焼装置1の左右方向で第1排気口の形成側と第2排気口の形成側とに仕切っている。また仕切部材42には押え部43が設けられている。この押え部43は、仕切部材42の下端部を該仕切部材42と略直角に折り曲げることで形成されている。熱交換器仕切部材30を風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に収容した上で、排気用缶体5を熱交換器用缶体4に積んで固定すると、押え部43は、熱交換器仕切部材30の水平面部33を燃焼装置1の下方向へ押えるようになっている。
【0020】
次に、バーナ仕切部材9と熱交換器仕切部材30との間をシールする動作を説明する。バーナ用缶体3の上端フランジと熱交換器用缶体4の下端フランジとにねじを締め付けることで、図1に示すように熱交換器用缶体4をバーナ用缶体3に積んで固定する。その後熱交換器仕切部材30を、熱交換器用缶体4の上方から燃焼装置1の下方に向けて、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に押し込む。その際には、一対の側板31,32は、水平面部33を支点として互いに接近する方向に弾性変形しながらフィン22の縦ガイド部24とフィン18の縦ガイド部20とに沿って風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間を熱交換器用缶体4の下方へ進む。図1及び図2に示すように両押受部11,12は、燃焼装置1の上下方向の下側で、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間の隙間と対向して配置されており、両縦ガイド部20,24の形成方向を燃焼装置1の上下方向と同じにしたことで、一対の側板31,32は、両押受部11,12に向けて誘導される。続けて熱交換器仕切部材30を、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間を熱交換器用缶体4の下方へ向けて順次押し込む。すると、第二の押受部12の突出方向先端部14が、側板32の長さ方向の全長で該側板32の内面を摺動しつつ該内面から両側板31,32の対向方向(図2の左右方向)に押圧されて弾性変形することで、第二の押受部12は開口部34から両側板31,32の間に挿入される。それと共に第一の押受部11の突出方向先端部13が、側板31の長さ方向の全長でシール部材38の側面を摺動しつつ該側面から前記対向方向に押圧されて弾性変形することで、第一の押受部11は開口部34から両側板31,32の間に挿入される。
【0021】
熱交換器仕切部材30を、水平面部33が各熱交換器16,17の外面から上方に突出する各フィン18,22に当接する位置まで風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に押し込むと、側板31が弾性復帰力によって各縦ガイド部24(各フィン22)に圧接する。このとき、各縦ガイド部24は、側板31の長さ方向(図2の手前奥方向)で所定間隔をおいて該側板31と対向することになるため、両側板31,32の対向方向で該側板31を均一に押圧することになる。すると、側板31と各縦ガイド部24とが密接し易くなるので、側板31と各縦ガイド部24との間に隙間が生じることを抑制できる。その際には、各縦ガイド部24によって側板31が、長さ方向の全長に亘り、前記対向方向で第一の押受部11に向けて均一に押圧されることで、該側板31に固定したシール部材38を、前記全長で第一の押受部11の突出方向先端部13に均一に押し付ける。その結果シール部材38は、前記全長に亘り突出方向先端部13に圧接する。よって、前記対向方向でシール部材38と第一の押受部11との間に隙間が生じることが抑制できるため、バーナ仕切部材9と熱交換器仕切部材30との間をシールすることが可能になる。しかも、側板31に加えて第一の押受部11も弾性変形可能なことから、側板31の弾性復帰力と第一の押受部11の弾性復帰力とによって、シール部材38と第一の押受部11とを密接させ易くすることができる。なお、給湯用熱交換器17は本発明の一方の熱交換器の一例である。
【0022】
これらに加えて、側板32も弾性復帰力によって各縦ガイド部20(各フィン18)に圧接する。このとき、各縦ガイド部20は、側板32の長さ方向(図2の手前奥方向)で所定間隔をおいて該側板32と対向することになるため、両側板31,32の対向方向で該側板32を均一に押圧することになる。すると、側板32と各縦ガイド部20とが密接し易くなるので、側板32と各縦ガイド部20との間に隙間が生じることを抑制できる。その際には、各縦ガイド部20によって側板32は、長さ方向の全長に亘り、前記対向方向で第二の押受部12に向けて均一に押圧されることで、側板32の内面を、前記全長で第二の押受部12の突出方向先端部14に押し付ける。その結果、側板32の内面は、前記全長に亘り突出方向先端部14に圧接する。よって、前記対向方向で側板32と第二の押受部12との間にも隙間が生じることを抑制できる。しかも、側板32に加えて第二の押受部12も弾性変形可能なことから、側板32の弾性復帰力と第二の押受部12の弾性復帰力とによって、側板32と第二の押受部12とを密接させ易くすることができる。さらには、図2に示すように第一の押受部11は第二の押受部12と連設されたことから、側板32の内面が、前記対向方向で第二の押受部12の突出方向先端部14に向けて押圧されると、第一の押受部11の突出方向先端部13を、シール部材38に押し付けることが可能になる。したがって、突出方向先端部13をシール部材38に密接させることができるため、第一の押受部11とシール部材38との間のシール性能をより向上させることが可能になる。なお、風呂追い焚き用熱交換器16は本発明の他方の熱交換器の一例である。
【0023】
続いて排気用缶体5を熱交換器用缶体4の上端フランジにねじで締め付けることで、排気用缶体5を熱交換器用缶体4に積んで固定する。これにより、図1に示すように、押え部43が熱交換器仕切部材30の水平面部33(図1参照。)を燃焼装置1の下方向へ押える。以上のようにした結果、押え部43が熱交換器仕切部材30に密接した状態で、バーナ仕切部材9と熱交換器仕切部材30との間をシールする。よって、缶体2の内部を、燃焼装置1の左右方向で風呂追い焚き用空間45と給湯用空間46とに仕切ることができる。この風呂追い焚き用空間45の内部では、側板32と縦ガイド部20との間に隙間が生じ難いため、第2バーナ群8で発生する燃焼ガスが該隙間から漏れることが抑制される。その結果、風呂追い焚き用熱交換器16は、当該燃焼ガスが持つ熱を安定して受けることができる。この風呂追い焚き用空間45では、第2バーナ群8で発生する燃焼ガスが風呂追い焚き用熱交換器16を通過した後に第2排気口に導かれる。そしてこの燃焼ガスは第2排気口を通じて排気用缶体5の外部に排出される。
【0024】
一方、給湯用空間46では、側板31と縦ガイド部24との間に隙間が生じ難いため、第1バーナ群7で発生する燃焼ガスが該隙間から漏れることが抑制される。その結果給湯用熱交換器17は、当該燃焼ガスが持つ熱を安定して受けることができる。給湯用空間46では、第1バーナ群7で発生する燃焼ガスが給湯用熱交換器17を通過した後に第1排気口に導かれる。そしてこの燃焼ガスは第1排気口を通じて排気用缶体5の外部に排出される。
【0025】
<本実施形態の効果>
本実施形態の燃焼装置1では、側板31に固定したシール部材38を、該側板31の長さ方向の全長に亘り、一対の側板31,32の対向方向で第一の押受部11の突出方向先端部13に均一に押し付けることで、シール部材38を、前記全長に亘り突出方向先端部13に圧接させることができる。よって、前記対向方向でシール部材38と第一の押受部11との間に隙間が生じることが抑制できるため、バーナ仕切部材9と熱交換器仕切部材30との間のシール性能を向上させることができる。
【0026】
また側板32は、該側板32の長さ方向の全長に亘り、一対の側板31,32の対向方向で第二の押受部13の突出方向先端部14に均一に押し付けられることで、側板32の内面を、前記全長に亘り突出方向先端部14に圧接させることができる。よって、前記対向方向で側板32と第二の押受部12との間にも隙間が生じることを抑制できる。
【0027】
さらに、側板32の内面が、一対の側板31,32の対向方向で第二の押受部12の突出方向先端部14に向けて押圧されると、第一の押受部11の突出方向先端部13を、シール部材38に押し付けることが可能になる。したがって、突出方向先端部13をシール部材38に密接させることができるため、第一の押受部11とシール部材38との間のシール性能をより向上させることが可能になる。
【0028】
加えて、給湯用熱交換器17における各縦ガイド部24(各フィン22)によって側板31を、該側板31の長さ方向で均一に押圧できる。その結果、側板31に固定したシール部材38を、前記長さ方向の全長で第一の押受部11の突出方向先端部13に均一に押し付けて、両側板31,32の対向方向でシール部材38と第一の押受部11との間のシール性能をさらに向上させることができる。加えて、各縦ガイド部24は、両側板31,32の対向方向で側板31を均一に押圧すると、側板31と各縦ガイド部24とが密接し易くなるので、側板31と各縦ガイド部24との間に隙間が生じることを抑制できる。これにより、給湯用熱交換器17は、第1バーナ群7で発生する燃焼ガスが持つ熱を安定して受けることができる。よって、給湯用熱交換器17の熱効率を向上させることができる。
【0029】
さらに加えて、風呂追い焚き用熱交換器16における各縦ガイド部20(各フィン18)によって側板32を、該側板32の長さ方向で均一に押圧できる。その結果、側板32を、前記長さ方向の全長で第二の押受部12の突出方向先端部14に均一に押し付けて、両側板31,32の対向方向で側板32と第二の押受部12との間にも隙間が生じることをより抑制できる。これ加えて、各縦ガイド部20は、両側板31,32の対向方向で側板32を均一に押圧すると、側板32と各縦ガイド部20とが密接し易くなるので、側板32と各縦ガイド部20との間に隙間が生じることを抑制できる。これにより、風呂追い焚き用熱交換器16は、第2バーナ群8で発生する燃焼ガスが持つ熱を安定して受けることができる。よって、風呂追い焚き用熱交換器16の熱効率を向上させることができる。
【0030】
また、両側板31,32を、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に収容した状態では、各側板31,32や各押受部11,12の弾性復帰力によって、シール部材38と第一の押受部11とを密接させ易くすることができると共に、側板32と第二の押受部12とを密接させ易くすることができる。
【0031】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。上述した実施形態とは異なり、例えば、第一の押受部を、風呂追い焚き用熱交換器16と給湯用熱交換器17との間に収容される側板32側へ突出するように正面視でくの字状に折り曲げて形成すると共に、第二の押受部を、当該第一の押受部の先端に連設させて、側板31側へ突出するように正面視で逆くの字状に折り曲げて形成してもよい。この場合には、側板32の下端内面に、該側板32の長さ方向の全長に延びる帯状のシール部材を固定して、このシール部材が、前記くの字状の第一の押受部を押圧することで、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との間に隙間が生じることを抑制してもよい。その際には、側板31の内面を当該第二の押受部に圧接させることで、当該側板31と当該第二の押受部との間に隙間が生じることを抑制してもよい。
【0032】
また上述した実施形態とは異なり、バーナ仕切部材9に、第一の押受部11のみを設けて、バーナ仕切部材9と熱交換器仕切部材30との間に隙間が生じることを抑制するために、シール部材38が第一の押受部11を押圧するだけであってもよい。さらに、シール部材38は、耐熱性パッキンに限らず、例えばメタルパッキンで構成してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1・・燃焼装置、2・・缶体、7・・第1バーナ群、8・・第2バーナ群、9・・バーナ仕切部材、11・・第一の押受部、12・・第二の押受部、13・・第一の押受部の突出方向先端部、14・・第二の押受部の突出方向先端部、16・・風呂追い焚き用熱交換器、17・・給湯用熱交換器、18・・風呂追い焚き用熱交換器のフィン、22・・給湯用熱交換器のフィン、30・・熱交換器仕切部材、31,32・・一対の側板、34・・熱交換器仕切部材の開口部、38・・シール部材。
図1
図2