(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121251
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】開閉装置及びその開閉方法
(51)【国際特許分類】
H01H 33/42 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
H01H33/42 M
H01H33/42 D
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-120346(P2013-120346)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-238950(P2014-238950A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】土屋 賢治
(72)【発明者】
【氏名】森田 歩
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−220086(JP,A)
【文献】
米国特許第03532843(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電極、該固定電極と対向して配置されると共に、該固定電極に対して閉極又は開極される可動電極を各々備える複数の開閉部と、該複数の開閉部のそれぞれの前記固定電極に対して閉極又は開極する可動電極を操作する操作手段と、前記複数の開閉部を電気的に接続する通電手段とを備え、
前記操作手段は、1つの原動部位と2つの従動部位から成ると共に、該原動部位及び従動部位は、互いに間欠動作し、かつ、前記従動部位の一部が前記原動部位と当接することによって前記原動部位から前記従動部位に動力が伝達されない状態においては前記従動部位の状態が固定され、前記原動部位が初期位置から最終位置まで変位する状態においては一方の前記従動部位の状態を遷移させ、それに遅れて他方の前記従動部位の状態を変更することによって、時間差を発生させながら前記複数の開閉部が駆動されるものであって、
前記原動部位は一部に歯部を有する原動歯車から成ると共に、前記従動部位は一部に歯部を有する従動歯車から成り、かつ、前記原動歯車は、原動機の動力が動力伝達手段を介して伝達されて駆動され、この前記原動歯車の駆動力が前記従動歯車の各々に、前記原動歯車の歯部と前記従動歯車の歯部が噛み合うことで伝達されると共に、前記従動歯車の各々に伝達された駆動力が、該従動歯車の各々に接続されている操作ロッドを介して伝達されて前記可動電極が操作されることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、
前記原動歯車の歯部と前記従動歯車の歯部との噛み合いは、一方の前記従動歯車の歯部と前記原動歯車の歯部が噛み合った後に、時間差をもつて他方の前記従動歯車の歯部と前記原動歯車の歯部が噛み合うことを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉装置において、
前記操作ロッドのそれぞれは、一端が前記従動歯車に浮動ピンを介して係合されていると共に、他端が前記可動電極に連結され、かつ、前記従動歯車のそれぞれは固定ピンを中心に回動可能に固定され、前記原動歯車は固定ピンを中心に回動可能に固定されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置において、
前記開閉部は、その駆動方向が並行となるように配置されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置において、
前記開閉部は、その駆動方向が同一軸上となるように配置されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項6】
固定電極、該固定電極と対向して配置されると共に、該固定電極に対して閉極又は開極される可動電極を各々備える複数の開閉部と、該複数の開閉部のそれぞれの前記固定電極に対して閉極又は開極する可動電極を操作する操作手段と、前記複数の開閉部を電気的に接続する通電手段とを備え、
前記操作手段は、1つの原動部位と2つの従動部位から成ると共に、該原動部位及び従動部位は、互いに間欠動作し、かつ、前記従動部位の一部が前記原動部位と当接することによって前記原動部位から前記従動部位に動力が伝達されない状態においては前記従動部位の状態が固定され、前記原動部位が初期位置から最終位置まで変位する状態においては一方の前記従動部位の状態を遷移させ、それに遅れて他方の前記従動部位の状態を変更することによって、時間差を発生させながら前記複数の開閉部が駆動されるものであって、
前記原動部位は一部に歯部を有する原動歯車から成ると共に、前記従動部位は全周に歯部を有する従動歯車から成り、かつ、前記原動歯車は、原動機の動力が動力伝達手段を介して伝達されて駆動され、この前記原動歯車の駆動力が前記従動歯車の各々に、前記原動歯車の歯部と前記従動歯車の歯部が噛み合うことで伝達されると共に、前記従動歯車の各々に伝達された駆動力が、該従動歯車の各々に接続されている操作ロッドを介して伝達されて前記可動電極が操作されることを特徴とする開閉装置。
【請求項7】
固定電極、該固定電極と対向して配置されると共に、該固定電極に対して閉極又は開極される可動電極を各々備える複数の開閉部と、該複数の開閉部のそれぞれの前記固定電極に対して閉極又は開極する可動電極を操作する操作手段と、前記複数の開閉部を電気的に接続する通電手段とを備え、
前記操作手段は、1つの原動部位と2つの従動部位から成ると共に、前記原動部位は、該原動部位と共に回転する浮動ピンを有し、かつ、前記2つの従動部位の各々には、前記原動部位の浮動ピンが係合する案内溝が形成され、前記原動部位の回転に伴って前記浮動ピンが一方の前記従動部位の案内溝に係合し、この両者の係合が解かれたら前記浮動ピンが他方の前記従動部位の案内溝に係合するゼネバ機構によって、時間差を発生させながら前記複数の開閉部が駆動されることを特徴とする開閉装置。
【請求項8】
請求項7に記載の開閉装置において、
前記原動部位は、原動機の動力が動力伝達手段を介して伝達されて駆動され、この前記原動部位の駆動力が前記従動部位の各々に伝達されると共に、該従動部位の各々に伝達された駆動力で前記可動電極が操作されることを特徴とする開閉装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の開閉装置において、
前記開閉部は、その駆動方向が直交する方向に配置されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項10】
固定電極、該固定電極と対向して配置されると共に、該固定電極に対して開極又は開極される可動電極を各々備え、通電手段により電気的に接続されている複数の開閉部のそれぞれの前記固定電極に対して閉極又は開極する可動電極を、1つの原動部位と2つの従動部位から成る操作手段で操作する際に、
前記原動部位及び従動部位は、互いに間欠動作し、かつ、前記従動部位の一部が前記原動部位と当接することによって前記原動部位から前記従動部位に動力が伝達されない状態においては前記従動部位の状態が固定され、前記原動部位が初期位置から最終位置まで変位する状態においては一方の前記従動部位の状態を遷移させ、それに遅れて他方の前記従動部位の状態を変更することによって、時間差を発生させながら前記複数の開閉部が駆動されるものであって、
原動機の動力が動力伝達手段を介して伝達されて前記原動歯車が駆動され、この原動歯車の駆動力が前記従動歯車の各々に、前記原動歯車の一部に形成されている歯部と前記従動歯車の一部に形成されている歯部が噛み合うことで伝達されると共に、前記従動歯車の各々に伝達された駆動力が、該従動歯車の各々に接続されている操作ロッドを介して伝達されて前記可動電極が操作されることを特徴とする開閉装置の開閉方法。
【請求項11】
請求項10に記載の開閉装置の開閉方法において、
前記原動歯車の歯部と前記従動歯車の歯部との噛み合いは、一方の前記従動歯車の歯部と前記原動歯車の歯部が噛み合った後に、時間差をもって他方の前記従動歯車の歯部と前記原動歯車の歯部が噛み合うことを特徴とする開閉装置の開閉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開閉装置及びその開閉方法に係り、特に、複数の開閉部が電気的に直列に接続され、機械的に駆動されるものに好適な開閉装置及びその開閉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、新幹線などの高速鉄道では、大電力を得るために交流電化方式を採用している。この交流電化方式は、各変電所から電力を供給するため、異電源を区分するためのセクションが存在しており、具体的な構成を
図9に示す。
【0003】
図9に示す如く、交流電化方式は、2つの電源G1及びG2を区分するために、中セクション100が電源G1及びG2間に配置されている。通常、中セクション100の長さは、約1kmに設定されている。
【0004】
そして、列車101が中セクション100を紙面左方向から右方向へ通過する場合、先ず、区分開閉器VS1を投入して中セクション100を充電しておく。次に、列車101が中セクション100を通過中に、区分開閉器VS1を遮断し、区分開閉器VS2を投入して中セクション100の充電電源をG1からG2に切り替える。この間の無電時間は、0.05〜0.3秒程度に抑制され、列車101は高速状態を維持したまま中セクション100を通過できる。なお、列車101が中セクション100を通過した後、区分開閉器VS2は遮断される。
【0005】
上記した区分開閉器VS1及びVS2に適用される開閉装置として、例えば、特許文献1に記載された2点切り開閉装置がある。この特許文献1に記載されている2点切り開閉装置では、2つの直列開閉器が、ほぼ同時に開閉するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−188734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、区分開閉器VS1及びVS2には、真空スイッチが用いられる。真空スイッチを上述した方法で使用する場合は、下記の問題がある。
【0008】
即ち、区分開閉器VS2は列車101が通過中に負荷電流が投入され、列車101が中セクション100を通過した後で無負荷遮断される。
【0009】
区分開閉器VS1及びVS2が真空スイッチの場合、負荷電流を投入すると先行放電やチャタリングによって電極表面が荒れるが、その後、負荷電流を遮断すれば、アークによって電極表面が溶かされて荒れが収まることが知られている。
【0010】
しかしながら、区分開閉器VS2の場合には、無負荷で遮断するために電極表面の荒れが蓄積され、絶縁性能が低下する恐れがある。特に、区分開閉器VS2の極間が閃絡すると、電源G1と電源G2が短絡し、重大事故となって列車の運行を妨げる恐れがある。
【0011】
上述した特許文献1に記載の2点切り開閉装置は、端子間の絶縁性能低下を目的として適用することはできるが、2つの開閉器をほぼ同時に開閉しているため、区分開閉器VS2に適用した場合には、2つの開閉器の接点が両方とも荒れて絶縁性能が低下する可能性がある。
【0012】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、電極表面の荒れを防止することは勿論、絶縁性能が高い開閉装置及びその開閉方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の開閉装置は、上記目的を達成するために、固定電極、該固定電極と対向して配置されると共に、該固定電極に対して閉極又は開極される可動電極を各々備える複数の開閉部と、該複数の開閉部のそれぞれの前記固定電極に対して閉極又は開極する可動電極を操作する操作手段と、前記複数の開閉部を電気的に接続する通電手段とを備え、前記操作手段は、1つの原動部位と2つの従動部位から成ると共に、該原動部位及び従動部位は、互いに間欠動作し、かつ、前記従動部位の一部が前記原動部位と当接することによって前記原動部位から前記従動部位に動力が伝達されない状態においては前記従動部位の状態が固定され、前記原動部位が初期位置から最終位置まで変位する状態においては一方の前記従動部位の状態を遷移させ、それに遅れて他方の前記従動部位の状態を変更することによって、時間差を発生させながら前記複数の開閉部が駆動される
ものであって、前記原動部位は一部に歯部を有する原動歯車から成ると共に、前記従動部位は一部に歯部を有する従動歯車から成り、かつ、前記原動歯車は、原動機の動力が動力伝達手段を介して伝達されて駆動され、この前記原動歯車の駆動力が前記従動歯車の各々に、前記原動歯車の歯部と前記従動歯車の歯部が噛み合うことで伝達されると共に、前記従動歯車の各々に伝達された駆動力が、該従動歯車の各々に接続されている操作ロッドを介して伝達されて前記可動電極が操作されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の開閉装置は、上記目的を達成するために、固定電極、該固定電極と対向して配置されると共に、該固定電極に対して閉極又は開極される可動電極を各々備える複数の開閉部と、該複数の開閉部のそれぞれの前記固定電極に対して閉極又は開極する可動電極を操作する操作手段と、前記複数の開閉部を電気的に接続する通電手段とを備え、前記操作手段は、1つの原動部位と2つの従動部位から成ると共に、前記原動部位は、該原動部位と共に回転する浮動ピンを有し、かつ、前記2つの従動部位の各々には、前記原動部位の浮動ピンが係合する案内溝が形成され、前記原動部位の回転に伴って前記浮動ピンが一方の前記従動部位の案内溝に係合し、この両者の係合が解かれたら前記浮動ピンが他方の前記従動部位の案内溝に係合するゼネバ機構によって、時間差を発生させながら前記複数の開閉部が駆動されることを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の開閉装置の開閉方法は、上記目的を達成するために、固定電極、該固定電極と対向して配置されると共に、該固定電極に対して開極又は開極される可動電極を各々備え、通電手段により電気的に接続されている複数の開閉部のそれぞれの前記固定電極に対して閉極又は開極する可動電極を、1つの原動部位と2つの従動部位から成る操作手段で操作する際に、前記原動部位及び従動部位は、互いに間欠動作し、かつ、前記従動部位の一部が前記原動部位と当接することによって前記原動部位から前記従動部位に動力が伝達されない状態においては前記従動部位の状態が固定され、前記原動部位が初期位置から最終位置まで変位する状態においては一方の前記従動部位の状態を遷移させ、それに遅れて他方の前記従動部位の状態を変更することによって、時間差を発生させながら前記複数の開閉部が駆動される
ものであって、原動機の動力が動力伝達手段を介して伝達されて前記原動歯車が駆動され、この原動歯車の駆動力が前記従動歯車の各々に、前記原動歯車の一部に形成されている歯部と前記従動歯車の一部に形成されている歯部が噛み合うことで伝達されると共に、前記従動歯車の各々に伝達された駆動力が、該従動歯車の各々に接続されている操作ロッドを介して伝達されて前記可動電極が操作されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電極表面の荒れを防止することは勿論、絶縁性能が高い開閉装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の開閉装置の実施例1であり、2つの開閉部が投入状態を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の開閉装置の実施例1であり、一方の開閉部が遮断状態を示す概略構成図である。
【
図3】本発明の開閉装置の実施例1であり、2つの開閉部が遮断状態を示す概略構成図である。
【
図4】本発明の開閉装置の実施例1における2つの開閉部の開閉動作タイミングを説明するための図である。
【
図5】本発明の開閉装置の実施例2であり、2つの開閉部が遮断状態を示す概略構成図である。
【
図6】本発明の開閉装置の実施例3における開閉器の原動歯車及び従動歯車を示す構成図である。
【
図7】本発明の開閉装置の実施例4における開閉器の原動歯車及び従動歯車を示す構成図である。
【
図8】本発明の開閉装置の実施例5であり、2つの開閉部が遮断状態を示す概略構成図である。
【
図9】一般的な交流電化方式における区分開閉器の機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の開閉装置及びその方法について説明する。なお、以下に説明する各実施例において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0019】
図1乃至
図3に、本発明の開閉装置の実施例1を示す。該図に示す如く、本実施例の開閉装置は、駆動方向が並行となるように配置され、電流の開閉を行う開閉部10A、10Bと、開閉部10A、10Bを電気的に接続する通電手段15と、開閉部10A、10Bの電極を操作する操作ロッド14A、14Bと、操作ロッド14A、14Bを操作する1つの原動歯車1及び2つの従動歯車2A、2Bから成る操作手段と、原動歯車1を駆動する動力源である原動機5と、原動機5の動力を原動歯車1に伝達する動力伝達手段6とから概略構成されている。
【0020】
更に詳述すると、開閉部10A、10Bの消弧室13A、13Bの内部には、固定電極11A、11B及び可動電極12A、12Bが収納されており、これら固定電極11A、11B及び可動電極12A、12Bを開極又は閉極することによって、電流が投入又は遮断される。
【0021】
開閉部10Aの固定電極11Aは電源20と、開閉部10Bの固定電極11Bは負荷21とそれぞれ電気的に接続されている。開閉部10Aの可動電極12Aと開閉部10Bの可動電極12Bは、フレキシブル導体等の通電手段15で電気的に接続されており、これにより、開閉部10A及び10Bが電気的に直列に接続されている。
【0022】
また、可動電極12A及び12Bは、それぞれ操作ロッド14A及び14Bの一端に連結され、この操作ロッド14A及び14Bの他端は、従動歯車2A及び2Bに浮動ピン4A及び4Bを介して係合されている。更に、従動歯車2A及び2Bは、固定ピン3A及び3Bを中心に回動可能に固定され、原動歯車1は、固定ピン3Cを中心に回動可能に固定されている。
【0023】
そして、
図1に示すように、原動歯車1の全周の一部に形成されている歯部1Aが初期位置Aにある状態では、開閉部10A及び10Bは投入状態(固定電極11A、11Bと可動電極12A、12Bが接触状態)になっている。このとき、従動歯車2A及び2Bの歯部2A1及び2B1側方の凹面部(曲面部)2A2及び2B2が、円形の原動歯車1の非歯部外周面に当接しているため、従動歯車2A及び2Bは、固定ピン3A及び3Bを中心として回動せず、その状態を保持している。
【0024】
この状態から原動歯車1に動力伝達手段6を介して原動機5から反時計方向の駆動力を作用させると、原動歯車1は固定ピン3Cを中心として反時計方向に回動する。原動歯車1の歯部1Aが、従動歯車2Bの歯部2B1に噛み合うと、従動歯車2Bは、固定ピン3Bを中心として時計回りに回動し、
図2に示す状態に遷移する。このとき、開閉部10Bは遮断状態(固定電極11Bと可動電極12Bが開極)となり、従動歯車2Bの歯部2B1側方の凹面部2B2が原動歯車1の非歯部外周部に当接するため、開閉部10Bの遮断状態が維持される。
【0025】
なお、電源20から開閉部10A、通電手段15、開閉部10Bを経由して負荷21に電流が通電されていれば、電流は開閉部10Bで遮断される。
【0026】
更に、原動歯車1が反時計方向に回動させられ、原動歯車1の歯部1Aが従動歯車2Aの歯部2A1に噛み合うと、従動歯車2Aは固定ピン3Aを中心として時計回りに回動させられ、
図3に示す状態に遷移する。このとき、開閉部10Aは無負荷状態で遮断される。
図3に示す状態では、従動歯車2Aの歯部2A1側方の凹面部2A2が原動歯車1の非歯部外周部に当接するため、開閉部10Aの遮断状態が維持される。
【0027】
逆に、
図3に示す状態から原動歯車1を時計方向に回動させれば、
図2に示す状態を経由して
図1に示す状態に復帰することになる。
【0028】
上述した開閉部10A及び10Bの動作において、具体的には、
図4に示すようなタイミングを設定する。即ち、投入時には開閉部10Aを先に投入し、時間t1後に開閉部10Bを投入する。両開閉部10A及び10Bは直列に配置されているので、実際に電源20と負荷21が接続されるのは、後に投入される開閉部10Bの投入時である。一方、遮断時には、開閉部10Bが開極してから時間t3後に開閉部10Aを開極させる。
【0029】
以上説明した本実施例を要約すると、原動歯車1及び従動歯車2A、2Bは、互いに間欠動作し、かつ、従動歯車2Bの一部(凹面部2B2)が原動歯車1と当接することによって原動歯車1から従動歯車2Bに動力が伝達されない状態においては従動歯車2Bの状態が固定され、原動歯車1が初期位置Aから最終位置Cまで変位する状態においては一方の従動歯車2Bの状態を遷移させ、それに遅れて他方の従動歯車2Aの状態を変更することによって、時間差を発生させながら開閉部10A、10Bを駆動するものである。
【0030】
次に、上述した本実施例における効果について説明する。
図9に示す区分開閉器VS1及びVS2には、一般に真空スイッチが用いられるが、上述のように使用すると、区分開閉器VS2については、負荷投入−無負荷遮断を繰り返すため、電極表面の荒れが徐々に進展し耐電圧が低下する恐れがあった。
【0031】
これに対し、本実施例に示す2点切り開閉装置を区分開閉器に適用すれば、開閉部10Bが開極してから電流が切れた後に開閉部10Aを開極することから、アークによって電極表面が溶かされて荒れが収まり電極表面の荒れを防止されることは勿論、開閉部10Aは電流を開閉しないため、初期の絶縁性能を維持できる。
【0032】
また、逆に開閉部10Bは、電流遮断性能に特化できるため、低サージ材料であるAg−W−C系材料を適用すれば、2点切り開閉装置としては、高耐電圧と低サージ性能を両立することも可能になる。
【0033】
なお、投入動作時に断路用の開閉部10Aの先行放電を回避するためには、t1を10ms以上、遮断動作時に断路用の開閉部10Aで電流を遮断させないためには、t3を20ms以上とすることが目安となり、この時間を確保できるように、原動歯車1の回転速度や歯車半径などを適切に設計すれば良い。
【0034】
このような本実施例によれば、電極表面の荒れを防止することは勿論、絶縁性能が高い開閉装置を得ることができる。
【実施例2】
【0035】
図5に、本発明の開閉装置の実施例2を示す。該図に示す本実施例は、開閉部10A、10Bが、その駆動方向が同一軸上となるように配置されていることを特徴とする。他の構成は、実施例1と同様である。
【0036】
このような本実施例によれば、実施例1と同様な効果を得ることができることは勿論、電源20が接続される開閉部10Aの固定電極11Aと、負荷21が接続される開閉部10Bの固定電極11Bとの離隔距離を長く設計することが可能になり、高い定格電圧の開閉装置として適用し易くなる効果がある。
【実施例3】
【0037】
図6に、本発明の開閉装置の実施例3を示す。該図に示す本実施例は、原動歯車1は全周の一部に歯部1Aを有しているが、従動歯車2A、2Bは、全周に歯部2A1、2B1を有しているものである。他の構成は、実施例1と同様である。
【0038】
このような本実施例によれば、実施例1と同様な効果を得ることができることは勿論、標準の平歯車が入手できる場合には欠け部(凹面部2A2、2B2)を追加工するだけで従動歯車2A、2Bを製作することが可能となる。
【実施例4】
【0039】
図7に、本発明の開閉装置の実施例4を示す。該図に示す本実施例は、原動歯車1は全周の一部に歯部1Aを有しているが、従動歯車2A、2Bを、円盤をベースとして歯部2A1、2B1と凹面部2A2、2B2を追加工して製作したものである。他の構成は、実施例1と同様である。
【0040】
このような本実施例によれば、実施例1と同様な効果を得ることができることは勿論、従動歯車2A、2Bは、円盤をベースとして歯部2A1、2B1と凹面部2A2、2B2を追加工するだけで製作できるので、加工費の低減が図れる効果がある。
【実施例5】
【0041】
図8に、本発明の開閉装置の実施例5を示す。該図に示す本実施例は、開閉部10A、10Bの機械的間欠動作をゼネバ機構によって実現した構造である。
【0042】
即ち、本実施例の開閉装置は、固定電極11A、11Bと、この固定電極11A、11Bと対向して配置されると共に、固定電極11A、11Bに対して閉極又は開極される可動電極12A、12Bを各々備える開閉部10A、10Bと、この開閉部10A、10Bのそれぞれの固定電極11A、11Bに対して閉極又は開極する可動電極12A、12Bを操作する1つの原動歯車22及び2つの従動歯車23A、23Bからなる操作手段と、開閉部10A、10Bを電気的に接続する通電手段15Aとから成り、しかも、原動歯車22は、原動歯車22と共に回転する浮動ピン4Cを有し、かつ、2つの従動歯車23A、23Bの各々には、原動歯車22の浮動ピン4Cが係合する案内溝7A、7Bが形成され、原動歯車22の回転に伴って浮動ピン4Cが一方の従動歯車23Bの案内溝7Bに係合し、この両者の係合が解かれたら浮動ピン4Cが他方の従動歯車23Aの案内溝7Aに係合するゼネバ機構によって構成され、時間差を発生させながら開閉部10A、10Bが駆動されるものである。なお、従動歯車23A、23Bの各々は、原動歯車22に固定されている円弧状の案内部材24に沿って回動するようになっている。
【0043】
このような本実施例によれば、実施例1と同様な効果を得ることができることは勿論、開閉部10A、10Bを直交配置しやすいメリットがある。
【0044】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1、22…原動歯車、1A…原動歯車の歯部、2A、2B、23A、23B…従動歯車、2A1、2B1…従動歯車の歯部、2A2、2B2…従動歯車の凹面部、3A、3B、3C…固定ピン、4A、4B、4C…浮動ピン、5…原動機、6…動力伝達手段、7A、7B…案内溝、10A、10B…開閉部、11A、11B…固定電極、12A、12B…可動電極、13A、13B…消弧室、14A、14B…操作ロッド、15、15A…通電手段、20、G1、G2…電源、21…負荷、24…案内部材、100…中セクション、101…列車、VS1、VS2…区分開閉器、A…初期位置、B…中間位置、C…最終位置。