特許第6121269号(P6121269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6121269-吸収性物品 図000012
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121269
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20170417BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20170417BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   A61F13/511 200
   A61F13/514 120
   A61F13/53 300
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-140043(P2013-140043)
(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公開番号】特開2015-12918(P2015-12918A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】糸井 隆
(72)【発明者】
【氏名】石岡 智
(72)【発明者】
【氏名】組橋 堅太郎
(72)【発明者】
【氏名】白井 智大
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−268221(JP,A)
【文献】 特開2008−303194(JP,A)
【文献】 米国特許第04610812(US,A)
【文献】 特表2004−528090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールを含む吸収性物品。
【請求項2】
清涼剤が、メントール、p−メンタン−3,8−ジオール、及びイソプレゴールから選ばれるシクロヘキサノール誘導体、乳酸メンチル、メンチルエチルアミノシュウ酸、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、コハク酸メンチル、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、l−メンチル−4−ヒドロキシペンタノエート、及びl−メンチル−3−ヒドロキシブチレートから選ばれるシクロヘキシル誘導体、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−(l−メチルエチル)−ブタンアミド、及びl−メンチル酢酸N−エチルアミドから選ばれるカルボキサミド類、よりなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
清涼剤が、メントール、乳酸メンチル及びN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドから選ばれる1種以上である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
清涼剤2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール及びキャリアビヒクル含まれている請求項1〜3の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項5】
吸収性物品は表面シートと吸収体を備えており、
表面シートは使用時に直接着用者に面するトップシートを少なくとも含み、
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、トップシートに含まれて
いる請求項1〜4の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項6】
吸収性物品は表面シートと吸収体を備えており、
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、吸収性物品の幅方向中央部に含まれている請求項1〜5の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項7】
吸収性物品当たりの2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール含有量が、0.1mg以上50mg以下である請求項1〜6の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項8】
収性物品当たりの清涼剤含有量が、0.5mg以上50mg以下である請求項1〜の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項9】
清涼剤と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールの含有比率(清涼剤/2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール)が、0.2以上5以下である請求項1〜の何れか1項記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、おむつ等の吸収性物品を着用すると、蒸れ等によって皮膚にかぶれが生じることがある。そのため、従来より、スキンケア効果を付与してかぶれの発生を抑制するべく、エモリエント剤等を含有させた吸収性物品や(例えば、特許文献1)、乳酸メンチル等の冷感効果を有する清涼剤を含有し、爽快感及びドライ感を付与した吸収性物品(特許文献2)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−298643号公報
【特許文献2】特表2004−528090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、清涼剤を含有させた場合、冷感効果が強すぎたり、皮膚への刺激が強いと感じる着用者もおり、過度の刺激は清涼感よりもむしろ違和感を与えるという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、清涼剤によって着用者に過度の刺激が与えられることを防止し、蒸れなどによる不快感をより確実に抑制できる吸収性物品を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために検討した結果、清涼剤に、香料として知られている2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールを組み合わせて用いた場合に、清涼剤による刺激感が効果的抑制でき、且つ清涼感が損なわれずに持続することを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール及びを含む吸収性物品に係るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清涼剤による清涼感が損なわれずに、清涼剤によって着用者に齎される過度の刺激を防止することができ、蒸れやべたつきなどによる不快感を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明吸収性物品の一実施形態としてのパンティライナーを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール)
本発明の吸収性物品に含有させる「清涼剤」とは、当該吸収性物品の着用者の皮膚又は粘膜表面の温度受容器(TRPM8等の冷感受容体)を刺激して、着用者に爽快感を伝えることのできる物質を意味する。斯かる物質としては、皮膚又は粘膜表面の温度受容器の膜を脱分極することができる化合物であればよく、具体的には、「冷感剤」として知られている化合物(Handbook of cosmetic science and technology,3rd ed.,Andre’O.Barel,Marc Paye,Howard I.Maibach,Eds.,Informa Healthcare(Pub.),New York,2009)が挙げられる。例えば、以下に示す1)シクロヘキシル誘導体(式(1))、2)シクロヘキサノール誘導体(式(2a)及び(2b))、3)カルボキサミド類(メンタンカルボキサミド(式(3a))、第3級又は第2級脂肪族カルボキサミド(式(3b))等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
1)シクロヘキシル誘導体
【0012】
【化1】
【0013】
〔式中、Rは、基−CH2CH(R1)(OH)CH2OR2(ここで、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基又は2−アルコキシエチル基を示す。)、基−(CH2n−OH(ここで、nは1〜10の整数を示す)、又は基−CO−R3(ここで、R3は水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル若しくはアルケニル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐ヒドロキシアルキル基を示す)を示し、R’は水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。〕
【0014】
2)シクロヘキサノール誘導体
【0015】
【化2】
【0016】
〔式中、R4は水素原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、R5及びR6は独立して水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R’は水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。〕
【0017】
3)カルボキサミド類
【0018】
【化3】
【0019】
〔式中、R7は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R8は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R9は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R10及びR11は独立して炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示す。〕
【0020】
本発明において好ましく使用することができる冷感剤を具体的に例示すると、以下のものが挙げられる。
1)シクロヘキシル誘導体:
乳酸メンチル、メンチルエチルアミノシュウ酸、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、コハク酸メンチル、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、l−メンチル−4−ヒドロキシペンタノエート、l−メンチル−3−ヒドロキシブチレート等。
2)シクロヘキサノール誘導体:
メントール、p−メンタン−3,8−ジオール、イソプレゴール等。
3)カルボキサミド類:
N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサン−1−カルボキサミド)、N,2,3−トリメチル−2−(l−メチルエチル)−ブタンアミド、l−メンチル酢酸N−エチルアミド等。
このうち、清涼感及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールによる刺激抑制効果の点から、メントール、乳酸メンチル及びN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドが好ましい。
【0021】
また、本発明において用いられる清涼剤は、上記の化合物を1つ以上含有する植物抽出物等であっても良い。清涼剤は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明において、「2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール」は、下記式で表され、残香性の高い香料してスキンケア、柔軟剤などに使用されている物質であり、「Pamplefleur」として市販されている。本出願人は、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、一過性受容器電位(TRP)イオンチャネルのスーパーファミリーに属する非選択性陽イオンチャネルであるTRPA1の活性を抑制し、メントール等の刺激感原因物質による皮膚や粘膜に対する刺激感の緩和に有効であることを見出し、既に特許出願している(PCT/JP2013/050347)。
【0023】
【化4】
【0024】
2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールには、不斉炭素原子が存在し、立体異性体が存在するが、本発明においては、各異性体の混合物や単離されたものの何れであってよい。
【0025】
2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールは、公知の方法(例えば、J.Org.Chem.2005,70,1281−1290)に準じて化学合成することができる。また、市販の「pamplefleur」(IFF社)を使用することもできる。
【0026】
本発明の吸収性物品中に含有させる、清涼剤の含有量は、当該物品が接触する皮膚及び/又は粘膜表面の領域の温度受容器を刺激し、それによって所望の爽快感を送給するのに十分な量であれば良く、吸収性物品当たり、0.5mg以上、好ましくは1mg以上、より好ましくは2mg以上であり、且つ50mg以下、好ましくは40mg以下、より好ましくは30mg以下である。また、0.5〜50mg、好ましくは1〜40mg、より好ましくは2〜30mgである。
また、当該物品の少なくとも一部において、面積10cm2当たり平均0.05g/m2以上、好ましくは0.1g/m2以上、より好ましくは0.15g/m2以上であり、且つ10g/m2以下、好ましくは5g/m2以下、より好ましくは3g/m2以下である。また、0.05〜10g/m2、好ましくは0.1〜5g/m2、より好ましくは0.15〜3g/m2である。
【0027】
本発明の吸収性物品中に含有させる、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールの含有量は、清涼剤による刺激を緩和するのに十分な量であれば良く、吸収性物品当たり、0.1mg以上、好ましくは0.5mg以上、より好ましくは1mg以上であり、且つ50mg以下、好ましくは30mg以下、より好ましくは20mg以下である。また、0.1〜50mg、好ましくは0.5〜30mg、より好ましくは1〜20mgである。
また、当該物品の少なくとも一部において、面積10cm2当たり平均0.01g/m2以上、好ましくは0.05g/m2以上、より好ましくは0.1g/m2以上であり、且つ10g/m2以下、好ましくは5g/m2以下、より好ましくは3g/m2以下である。また、0.01〜10g/m2、好ましくは0.05〜5g/m2、より好ましくは0.1〜3g/m2である。
【0028】
さらに、本発明の吸収性物品中に含有させる、清涼剤(A)と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール(B)の含有比率((A)/(B)、即ち、清涼剤/2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール)は、0.2以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上であり、且つ5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。また、0.2〜5、好ましくは0.25〜4、より好ましくは0.3〜3である。
【0029】
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールは、そのまま吸収性物品へ含有させること、或いは適宜エタノール、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解して含有させることも可能であるが、物品の着用者の皮膚への移動が直接的又は間接的に促進されるような状態で、物品中に含有せしめるのが好ましい。すなわち、清涼剤及び/又は2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールを、適当なキャリアビヒクルを用いて、溶液、懸濁液、分散液、エマルション、ワックス等の形態とし、物品に含有させるのが好ましい。ここで、代表的なキャリアビヒクルとしては、多価アルコール、炭化水素油、脂肪酸エステル、長鎖アルコール、及びシリコーン油のような油及び脂質、デンプン又はタルク等のような超微粒子状固体が挙げられる。
【0030】
ここで、多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、ミンク油、ホホバ油、オリーブ油、ひまし油、カルナバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、セレシン、ワセリン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、石油ワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル、グリセリン誘導体(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)等が挙げられる。
長鎖アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、イソステアリルアルコール、コレステロール等が挙げられる。
シリコーン油としては、直鎖又は環状のシリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。
【0031】
このうち、刺激緩和効果及び清涼効果の持続の点から、グリセリンを用いるのが好ましい。また、キャリアビヒクル(例えば、グリセリン)の使用量は、吸収性物品当たり、0.1mg以上、好ましくは0.5mg以上、より好ましくは1mg以上であり、且つ50mg以下、好ましくは30mg以下、より好ましくは20mg以下である。また、0.1〜50mg、好ましくは0.5〜30mg、より好ましくは1〜20mgである。
【0032】
また、清涼剤及び/又は2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールは、体液から出る水分との接触によって溶解するような、可溶性マイクロカプセルの形態としてもよい。
【0033】
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールは、吸収性物品中に両者が含有されていればよく、当該物品への組み込み方法は特に限定されない。すなわち、両者を混合した後に物品中に含有させることでもよく、別個に調製した各溶液を別々に含有させることでもよい。別々に組み込む場合は、両者は物品の同一の場所(構成要素)に組み込むことでも、異なる場所に組み込むことでも良いが、同じ場所に組み込むことが好ましい。
【0034】
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールの吸収性物品への組み込みは、物品の通常着用時に着用者の皮膚に直接的若しくは間接的に剤を送給できるように、物品のいずれかの構成要素、すなわち、表面シート(トップシート、セカンドシート)、バックシート、吸収体等の1つ以上の構成要素の表面或いは内部に組み込まれる。
具体的には、清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールの各溶液を、適当なキャリアビヒクル(例えばグリセリン)と混合した後、吸収性物品のいずれかの構成要素に、噴霧、浸漬、転写、ソーキングすること等によって、含有させることができる。
【0035】
また、適用位置は、吸収性物品の幅方向両サイドより、中央部(いわゆる中心帯)、すなわち体液が排出される領域に、清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが多く存在するように含有するのが好ましい。特に、表面シート表面の中心帯、後述するパンティライナーの例では、トップシートの着用者に面する表面の中心帯に多く存在するように含有するのが好ましい。
【0036】
(吸収性物品)
本発明において、「吸収性物品」とは、流体及び/又は滲出物、とりわけ体液/身体滲出物を、受け取ること及び/又は吸収すること及び/又は収容すること及び/又は保持することのできる、あらゆる物品を意味し、好適には生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、おむつ等が挙げられる。また、その形状及び構成は特に限定されないが、少なくとも、使用時に着用者面側に位置する表面シート、使用時に直接衣類面側に位置するバックシート、その間に介挿された吸収体を具備するものが、典型例として挙げられる。ここで、表面シートは、使用時に直接着用者に面するトップシートの他に、トップシートと吸収体の間に位置するセカンドシートを含むことができる。図1に、吸収性物品として、パンティライナーの例を示す。すなわち、当該吸収性物品1は、使用時に直接着用者に面するトップシート2、使用時に直接衣類に面するバックシート3、トップシート2と吸収体4bとの間にあるセカンドシート4a、及びセカンドシート4aとバックシート3の間に介挿された吸収体4bを具備する。
以下に、吸収体、表面シート、バックシートについて説明するが、夫々の構成要素は、この種の物品に従来使用されているものと同様のものを用いることができ、これらに限定されるものではない。
【0037】
1)吸収体
吸収体は、高分子吸収体若しくは親水性繊維等の繊維材料又はこれらの組み合わせから構成される。
親水性繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、又は、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維等を単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、低コストと吸収体の成形し易さとを考慮すると、粉砕パルプを使用することが好ましい。
【0038】
高分子吸収体としては、吸収性、吸湿性のあるアクリル酸ナトリウム共重合体等の粒状ポリマーが挙げられる。
親水性繊維と高分子吸収体とを被覆材で覆うことにより、吸収体を構成しても良い。
【0039】
吸収体は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよい。エアレイドシートの例としては、繊維と粒子状ポリマーとをバインダー等でシート物に成形したものが挙げられる。なお、粒子状ポリマーは、エアレイドシートにおいて、層状に分散されていてもよいし、厚み方向に偏っていてもよい。
また、吸収体は、例えば、銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライト等の粒状消臭材、又は粒状抗菌材を添加してもよい。
【0040】
吸収体には、着用中の型崩れやヨレの防止、又は厚みを調整するため、エンボスが形成されていてもよい。
【0041】
2)表面シート
表面シートは、単一の層又は多数の層で構成される。好適には、表面シートの着用者に面する表面を提供する第一層(トップシートとも呼ばれる)、及びその第一層と吸収体との間にある第二層(セカンドシートとも呼ばれる)を具備するものが挙げられる。
【0042】
表面シートは、織布、不織布、有孔プラスチックシート(開孔フィルム)等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0043】
天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、又は親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。
【0044】
熱可塑性疎水性化学繊維の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、ポリエチレンとポリプロピレンをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。
【0045】
不織布のウェブフォーミング方法としては、乾式(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式のいずれか一つの方法を用いることができる。乾式法と湿式法のうち、複数の方法を組み合わせてもよい。また、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等の方法が挙げられる。不織布を作成する方法は、上述の方法に限定されない。
【0046】
3)バックシート
バックシートは、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。バックシートは、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収性物品を開示する。
【0047】
<1>清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールを含む吸収性物品。
【0048】
<2>吸収性物品は表面シートと吸収体を備えており、
清涼剤が、メントール、p−メンタン−3,8−ジオール、及びイソプレゴールから選ばれるシクロヘキサノール誘導体、乳酸メンチル、メンチルエチルアミノシュウ酸、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、コハク酸メンチル、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、l−メンチル−4−ヒドロキシペンタノエート、及びl−メンチル−3−ヒドロキシブチレートから選ばれるシクロヘキシル誘導体、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−(l−メチルエチル)−ブタンアミド、及びl−メンチル酢酸N−エチルアミドから選ばれるカルボキサミド類、よりなる群から選ばれる1種以上である<1>記載の吸収性物品。
<3>清涼剤が、メントール、乳酸メンチル及びN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドから選ばれる1種以上である<1>記載の吸収性物品。
<4>清涼剤が下記式(1)で表される<1>記載の吸収性物品。
【0049】
【化5】
【0050】
〔式中、Rは、基−CH2CH(R1)(OH)CH2OR2(ここで、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基又は2−アルコキシエチル基を示す。)、基−(CH2n−OH(ここで、nは1〜10の整数を示す)、又は基−CO−R3(ここで、R3は水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル若しくはアルケニル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐ヒドロキシアルキル基を示す)を示し、R’は水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。〕
<5>清涼剤が下記式(2a)又は(2b)で表される<1>記載の吸収性物品。
【0051】
【化6】
【0052】
〔式中、R4は水素原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、R5及びR6は独立して水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R’は水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。〕
<6>清涼剤が下記式(3a)又は(3b)で表される<1>記載の吸収性物品。
【0053】
【化7】
【0054】
〔式中、R7は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R8は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R9は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R10及びR11は独立して炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基を示す。〕
【0055】
<7>清涼剤及び/又は2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、キャリアビヒクルとの混合状態で含まれている<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>キャリアビヒクルが、多価アルコール、炭化水素油、脂肪酸エステル、長鎖アルコール、及びシリコーン油のような油及び脂質、デンプン又はタルク等のような超微粒子状固体から選ばれる一又は複数である<7>に記載の吸収性物品。
<9>キャリアビヒクルが、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びソルビトールから選ばれる多価アルコールである<7>又は<8>記載の吸収性物品。
<10>キャリアビヒクルが、スクワラン、スクワレン、ミンク油、ホホバ油、オリーブ油、ひまし油、カルナバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、セレシン、ワセリン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、石油ワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる炭化水素油である<7>又は<8>記載の吸収性物品。
<11>キャリアビヒクルが、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル及びグリセリン誘導体(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)から選ばれる脂肪酸エステルである<7>又は<8>記載の吸収性物品。
<12>キャリアビヒクルが、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、イソステアリルアルコール及びコレステロールから選ばれる長鎖アルコールである<7>又は<8>記載の吸収性物品。
<13>キャリアビヒクルが、直鎖又は環状のシリコーン及び変性シリコーンから選ばれるシリコーン油である<7>又は<8>記載の吸収性物品。
<14>吸収性物品当たりのキャリアビヒクル含有量が、0.1mg以上、好ましくは0.5mg以上、より好ましくは1mg以上である<7>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>吸収性物品当たりのキャリアビヒクル含有量が、50mg以下、好ましくは30mg以下、より好ましくは20mg以下である<7>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0056】
<16>吸収性物品は表面シートと吸収体を備えており、
表面シートは使用時に直接着用者に面するトップシートを少なくとも含み、
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、トップシートに含まれている<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>吸収性物品は表面シートと吸収体を備えており、
清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、吸収性物品の幅方向中央部に含まれている<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18>吸収性物品当たりの2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール含有量が、0.1mg以上、好ましくは0.5mg以上、より好ましくは1mg以上である<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19>吸収性物品当たりの2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール含有量が、50mg以下、好ましくは30mg以下、より好ましくは20mg以下である<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0057】
<20>吸収性物品の面積10cm2当たりの2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール含有量が、平均0.01g/m2以上、好ましくは0.05g/m2以上、より好ましくは0.1g/m2以上である<1>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
<21>吸収性物品の面積10cm2当たりの2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール含有量が、平均10g/m2以下、好ましくは5g/m2以下、より好ましくは3g/m2以下である<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22>吸収性物品当たりの清涼剤含有量が、0.5mg以上、好ましくは1mg以上、より好ましくは2mg以上である<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23>吸収性物品当たりの清涼剤含有量が、50mg以下、好ましくは40mg以下、より好ましくは30mg以下である<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0058】
<24>吸収性物品の面積10cm2当たりの清涼剤含有量が、平均0.05g/m2以上、好ましくは0.1g/m2以上、より好ましくは0.15g/m2以上である<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25>吸収性物品の面積10cm2当たりの清涼剤含有量が、平均10g/m2以下、好ましくは5g/m2以下、より好ましくは3g/m2以下である<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26>清涼剤と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールの含有比率(清涼剤/2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール)が、0.2以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上である<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収性物品。
<27>清涼剤と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールの含有比率(清涼剤/2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール)が、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である<1>〜<26>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0059】
<28>清涼剤及び/又は2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、水溶性マイクロカプセルに封入されている<1>〜<27>の何れか1に記載の吸収性物品。
<29>吸収性物品は表面シートと吸収体を備えており、清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、夫々吸収性物品中の異なる場所に組み込まれている<1>〜<28>の何れか1に記載の吸収性物品。
<30>吸収性物品は表面シートと吸収体を備えており、清涼剤及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールが、吸収性物品中の同一の場所に組み込まれている<1>〜<29>の何れか1に記載の吸収性物品。
<31>吸収性物品が生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド及びおむつのいずれかである<1>〜<30>の何れか1に記載の吸収性物品。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲は斯かる実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0060】
以下の実施例及び比較例で製造したパンティライナーは、長さ140mm、最大幅59 mm、最小幅50mmの方形の四隅を略円形に形成したものであり、吸収紙は、長さ100mm、幅30mmである。当該パンティライナーは、花王(株)きれいスタイル無香料(パンティライナー)に使用されている下記の材料を用いて作製した。実施例及び比較例において共通して使用した構成材料は以下の通りである。
【0061】
〔表面シート〕
エアスルー方式にて製造した25g/m2の不織布をトップシートとして使用した。
エアスルー方式にて製造した40g/m2の不織布をセカンドシートとして使用した。
〔吸収体〕
35g/m2の台紙を吸水紙のみからなる吸収体として使用した。
〔バックシート〕
34g/m2の透湿フィルムを使用した。
〔トップシートとセカンドシート、吸水紙、バックシートの固定材〕
ホットメルト剤を塗布して使用した。
〔ずれ止め材〕
ホットメルト剤を塗布して使用した。
【0062】
1)清涼剤(A)溶液の調製
乳酸メンチル溶液は、乳酸メンチル(和光純薬工業製)をエタノール溶液(和光純薬工業製)で溶解し10質量%濃度とした。また、メントール溶液は、l−メントール(和光純薬工業製)をエタノール溶液(和光純薬工業製)で溶解し10質量%濃度とした。またN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド溶液はN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(RENESSENZ社製)をエタノール溶液(和光純薬工業製)で溶解し10質量%濃度とした。
【0063】
2)2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール(B)溶液の調製
2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液は、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール(IFF社製)をエタノール溶液(和光純薬工業製)で溶解し10質量%濃度とした。
【0064】
3)1,8−シネオール(C)*溶液の調製
1,8−シネオール溶液は、1,8−シネオール(和光純薬工業製)をエタノール溶液(和光純薬工業製)で溶解し10質量%濃度とした。
*1,8−シネオールはTRPA1活性抑制剤として知られ、メントールの刺激を抑制できる物質として報告されている(特開2012−62304号公報)。
【0065】
4)グリセリン溶液の調製
グリセリン溶液は、グリセリン(和光純薬工業製)をエタノール溶液(和光純薬工業製)で溶解し10質量%濃度とした。
【0066】
〔実施例1〕
乳酸メンチル溶液と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液を1対1の比率で混合した後、長さ100mm、幅65mmの吸水紙の全面にスプレー塗布した。エタノールを蒸発させる目的で乾燥させ(恒温室:23℃/50%に設定、24時間放置)、乾燥後の重量を測定した(塗布量:乳酸メンチル33mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール33mg)。この吸水紙にホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りに曲げた状態(長さ100mm、幅30mm)に固定した。ホットメルト剤でこの吸水紙をバックシートに固定後、吸水紙の上にセカンドシート、トップシートを載せ、それぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0067】
〔実施例2〕
乳酸メンチル溶液と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液とグリセリン溶液を1対1対0.3の比率(含有比率(A)/(B)が1.0)で混合した後、長さ100mm、幅65mmの吸水紙の全面にスプレー塗布した。エタノールを蒸発させる目的で乾燥させ(恒温室:23℃/50%に設定、24時間放置)、乾燥後の重量を測定した(塗布量:乳酸メンチル33mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール33mg、グリセリン10mg)。この吸水紙にホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りに曲げた状態(長さ100mm、幅30mm)に固定した。ホットメルト剤でこの吸水紙をバックシートに固定後、吸水紙の上にセカンドシート、トップシートを載せ、それぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0068】
〔実施例3〜6、9、13〜15、28〕、〔比較例1、4〜7〕
表1−1及び表1−2に示す配合比で、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0069】
〔実施例10、18、29〕
表1−1及び表1−2に示す配合比で、実施例2と同様にサンプルを作製した。
【0070】
〔実施例7〕
吸水紙を幅方向に3分割にカット(幅30mm×1、17.5mm×2)した1枚(長さ100mm、幅30mm)に、乳酸メンチルの2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液(1対1混合(含有比率(A)/(B)が1.0)、エタノールで希釈せず)を、幅方向の中心線上に33mm間隔で2箇所塗布した(塗布量:乳酸メンチル10mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール10mg)。恒温室で乾燥させた(23℃/50%に設定、24時間放置)後、ホットメルト剤で残り2枚の吸水紙を2重(中央部3重)に貼りあわせた。次いで、ホットメルト剤でこの吸水紙をバックシートに固定後、吸水紙の上にセカンドシート、トップシートを載せ、それぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0071】
〔実施例8〕
吸水紙を幅方向に3分割にカット(幅30mm×1、17.5mm×2)した2枚(長さ100mm、幅17.5mm)に、乳酸メンチル溶液と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液を1対1の比率(含有比率(A)/(B)が1.0)で混合したものを、全面塗布した(塗布量:乳酸メンチル13mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール13mg)。恒温室で乾燥させた(23℃/50%に設定、24時間放置)後、ホットメルト剤で吸水紙を2重(中央部3重)に貼りあわせた。次いで、ホットメルト剤でこの吸水紙をバックシートに固定後、吸水紙の上にセカンドシート、トップシートを載せ、それぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0072】
〔実施例11、12〕
表1−1に示す配合比で、実施例8と同様にサンプルを作製した。
【0073】
〔実施例16〕
乳酸メンチル溶液と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液を1対1の比率で混合した後、セカンドシート(長さ140mm、最大幅59mm、最小幅50mm)の全面にスプレー塗布した。エタノールを蒸発させる目的で乾燥させ(恒温室:23℃/50%に設定、24時間放置)、乾燥後の重量を測定した(塗布量:乳酸メンチル13mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール13mg)。このセカンドシートにホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りした吸水紙に(長さ100mm、幅30mm)に固定した。その後、ホットメルト剤でバックシート、トップシートをそれぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0074】
〔実施例17、19、21〜24〕、〔比較例2〕
表1−1及び表1−2に示す配合比で、実施例16と同様にサンプルを作製した。
【0075】
〔実施例18〕
乳酸メンチル溶液と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液とグリセリン溶液を所定の比率で混合した後、セカンドシート(長さ140mm、最大幅59mm、最小幅50mm)の全面にスプレー塗布した。エタノールを蒸発させる目的で乾燥させ(恒温室:23℃/50%に設定、24時間放置)、乾燥後の重量を測定した(塗布量:乳酸メンチル13mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール13mg、グリセリン10mg)。このセカンドシートにホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りした吸水紙に(長さ100mm、幅30mm)に固定した。その後、ホットメルト剤でバックシート、トップシートをそれぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0076】
〔実施例20〕
セカンドシートを幅方向に3分割にカット(最大幅59mmに相当する部分の幅19.7mm×3)した両端2枚のシートに、乳酸メンチル溶液と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液を1対1の比率(含有比率(A)/(B)が1.0)で混合したものを、全面塗布した(塗布量:乳酸メンチル13mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール13mg)。恒温室で乾燥させた(23℃/50%に設定、24時間放置)後、ホットメルト剤で幅方向に向けて3つ折りした吸水紙(長さ100mm、幅30mm)に、塗布した2枚のシートを両側に、未塗布のシートを中央に固定した。その後、ホットメルト剤でバックシート、トップシートをそれぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0077】
〔実施例25〕
乳酸メンチル溶液と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液を1対2の比率(含有比率(A)/(B)が0.5)で混合した後、トップシート(長さ140mm、最大幅59mm、最小幅50mm)の全面にスプレー塗布した。エタノールを蒸発させる目的で乾燥させ(恒温室:23℃/50%に設定、24時間放置)、乾燥後の重量を測定した(塗布量:乳酸メンチル13mg、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール26mg)。バックシートにホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りした吸水紙に(長さ100mm、幅30mm)に固定した。その上に、セカンドシートと前述のトップシートをそれぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
【0078】
〔実施例26、27、30〜32〕、〔比較例3〕
表1−2に示す配合比で、実施例25と同様にサンプルを作製した。
【0079】
〔サンプルの評価〕
以下の様にして装着テストを行い、官能評価を行った。
1)試験条件
テスト環境:温度27℃、湿度60%
衣服:下着、ポロシャツ、スラックス
ショーツにサンプル製品を装着し、デスクワーク
装着者 女性1〜3名
装着1時間後、又は3時間後及び4時間後の清涼感、痛みとムレ感を評価した。
【0080】
2)官能評価の基準
2−1)清涼感の官能値は、以下の8段階で表した。
5 : 清涼感が強すぎる
4 : 清涼感がやや強い
3 : ちょうど良い清涼感
2 : 清涼感を感じるが、やや弱い
1 : 清涼感を感じるが、弱い
0 : 感じない(リファレンスもしくは外部環境と同じ)
−1 : ムレ感をやや感じる
−2 : ムレ感を感じる
【0081】
2−2)痛みの官能値は、以下の6段階で表した。
5 : 激しく痛い
4 : 強く強い
3 : 痛い
2 : 少し痛い
1 : やや痛い
0 : 感じない(リファレンスもしくは外部環境と同じ)
【0082】
2−3)ムレ感の官能評価は、以下の3段階で表した
○: ムレを感じない
△: ややムレを感じる
×: ムレを感じる
【0083】
結果を表1−1、表1−2及び表2に示す。
装着者は、実施例1〜32において、痛みなくムレ感低減効果が得られた。さらに、キャリアビヒクル(グリセリン)を添加した実施例2,11,18、29では添加していない系と比較し、長時間効果が持続した。一方、清涼剤(A)と2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール(B)を併用しない比較例1〜7では、ムレ感が低減しなかった。
また、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール(B)の代わりに、メントールに対して刺激緩和効果を有することが報告されている1,8−シネオール(C)を用いた場合には、ムレ感が低減しなかった。
【0084】
【表1-1】
【0085】
【表1-2】
【0086】
【表2】
【符号の説明】
【0087】
1 吸収性物品
2 トップシート
3 バックシート
4a セカンドシート
4b 吸収体
4c 延出部
5 周縁接合部
図1