(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口部を閉鎖している前記シャッタ部材は、前記第3方向に向かうにしたがって前記第2方向側へ向かうように前記カードの搬送方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
前記シャッタ部材は、前記搬送路の幅方向へ移動する前記磁気ヘッドの移動力によって、前記開口部を閉鎖または開放することを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
前記第5方向へ移動する前記キャリッジが前記キャリッジ当接部に当接するときに、前記磁気ヘッドのギャップは、前記磁気ストライプの磁気データ記録領域よりも前記第5方向側に配置されていることを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
前記搬送路の幅方向における前記開口部の幅および前記シャッタ部材の幅は、前記カードリーダ内で搬送される前記カードの長手方向の幅よりも広くなっていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカードリーダ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すカードリーダ1の概略構成を側面から説明するための図である。
図3は、
図1に示すカード2の平面図である。
【0020】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取およびカード2への磁気データの記録の少なくとも一方を行うための装置であり、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されて使用される。このカードリーダ1は、カード2が挿入される挿入口3が形成されるカード挿入部4を備えている。
図2に示すように、カードリーダ1の内部には、カード2が搬送される搬送路5が形成されている。搬送路5は、挿入口3に繋がるように形成されている。
【0021】
また、カードリーダ1は、カード2を搬送するカード搬送機構6と、カード2に当接してカード2に記録された磁気データの読取やカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッド7と、カード2の搬送方向に直交する方向へ磁気ヘッド7を移動させるヘッド移動機構8と、カードリーダ1内に取り込まれたカード2を位置決めするための位置決め機構10とを備えている。搬送路5には、磁気ヘッド7を通過させるための開口部13が形成されている。カードリーダ1は、開口部13を塞ぐためのシャッタ部材14と、シャッタ部材14を作動させるシャッタ作動機構15とを備えている。
【0022】
カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードである。本形態のカード2は、国際規格(たとえば、ISO/IEC7811)やJIS規格(たとえば、JISX6302)に準拠した磁気ストライプ付きのカードであり、四隅に丸みを持った略長方形状に形成されている。カード2の裏面には、磁気データが記録される磁気ストライプ2aが形成されている。なお、カード2には、ICチップが内蔵されても良い。
【0023】
磁気ストライプ2aは、略長方形状に形成されるカード2の長手方向(
図3のU方向)に平行な細長い帯状に形成されている。この磁気ストライプ2aは、カード2の長手方向の全域に形成されている。また、磁気ストライプ2aは、カード2の短手方向(
図3のV方向)において、カード2の短手方向における一端2d側に形成されている。具体的には、国際規格やJIS規格に基づいて、磁気ストライプ2aは、カード2の短手方向において、カード2の一端2dを基準とする所定の範囲内に形成されている。
【0024】
本形態では、
図1等に示すX方向でカード2が搬送される。具体的には、X1方向にカード2が取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向であり、X1方向は、カード2の取込方向であり、X2方向は、カード2の排出方向である。また、本形態では、カード2の短手方向とX方向とが一致するように、カードリーダ1にカード2が取り込まれる。また、カード2の短手方向とX方向とが一致するように、カードリーダ1内でカード2が搬送される。すなわち、カードリーダ1は、カード2の短手方向でカード2を搬送して所定の処理を行う。
【0025】
また、X方向に直交するY方向は、搬送路5の幅方向であり、カードリーダ1内に正しい姿勢で取り込まれたカード2の長手方向である。また、X方向とY方向とに直交する
図1等のZ方向は、搬送路5の高さ方向であり、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の厚み方向である。本形態では、Z方向と鉛直方向とが一致するようにカードリーダ1が配置されている。以下の説明では、X方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とし、また、X1方向側を「奥(後ろ)」側、X2方向側を「前」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0026】
本形態のZ2方向(下方向)は、カード2の厚み方向の一方である第1方向であり、Z1方向(上方向)は、カード2の厚み方向の他方である第2方向であり、X1方向(奥方向)は、カード2の取込方向である第3方向であり、X2方向(前方向)は、カード2の排出方向である第4方向である。また、Y2方向(左方向)は、搬送路5の幅方向の一方である第5方向であり、Y1方向(右方向)は、搬送路5の幅方向の他方である第6方向である。
【0027】
(カード搬送機構の構成および搬送路の構成)
搬送路5は、前後方向におけるカードリーダ1の略全域に形成されている。カード搬送機構6は、カード2の上面に接触してカード2を搬送する搬送ローラ18〜20と、下側から搬送ローラ18〜20に対向配置されるパッドローラ21〜23とを備えている。搬送ローラ18は、カード挿入部4の内部に配置されている。搬送ローラ19、20は、カード挿入部4の奥側に配置されるカードリーダ1の本体部25の内部に配置されている。搬送ローラ19は、前後方向において、磁気ヘッド7よりも前側に配置されている。搬送ローラ20は、磁気ヘッド7よりも奥側に配置されるとともに、位置決め機構10を構成する後述の位置決め部材50のカード当接部50aよりも奥側に配置されている。搬送ローラ18〜20には、ベルト、プーリおよび歯車列等によって構成される動力伝達機構26を介してモータ27が連結されている。パッドローラ21は、搬送ローラ18に向かって付勢され、パッドローラ22は、搬送ローラ19に向かって付勢され、パッドローラ23は、搬送ローラ20に向かって付勢されている。
【0028】
本体部25の内部には、カード2の下面を案内するガイド部材29、30が配置されている。ガイド部材29、30は、カードリーダ1の本体部25のフレームに固定されている。このガイド部材29、30は、搬送路5の下側の一部を構成するガイド部29a、30aを備えており、ガイド部29a、30aによってカード2の下面が案内される。ガイド部29aは、前後方向において、磁気ヘッド7よりも前側に配置されている。ガイド部30aは、前後方向において、磁気ヘッド7よりも奥側に配置されるとともに、位置決め機構10と略同じ位置に配置されている。
【0029】
搬送路5の下面の、ガイド部29aとガイド部30aとの間は、上述の開口部13となっている。すなわち、開口部13は、搬送路5の下面側に形成されている。この開口部13は、左右方向における搬送路5の略全域に形成されている。左右方向における開口部13の幅は、搬送路5で搬送されるカード2の長手方向の幅W1(
図3参照)よりも広くなっている。また、開口部13は、左右方向へ移動する磁気ヘッド7が通過するように形成されている。また、位置決め機構10を構成する後述の位置決め部材50は、前後方向において、ガイド部材30のガイド部30aと略同じ位置に配置されており、開口部13は、前後方向におけるガイド部29aと位置決め部材50との間に形成されている。
【0030】
(ヘッド移動機構の構成および磁気ヘッドの周辺部分の構成)
図4は、
図2に示すヘッド移動機構8の構成を上面から説明するための図である。
図5は、
図2に示すヘッド移動機構8の構成を正面から説明するための図である。
【0031】
磁気ヘッド7は、前後方向において、ガイド部29aとガイド部30aとの間に配置されている。ヘッド移動機構8は、磁気ヘッド7が搭載されるキャリッジ32と、左右方向へキャリッジ32を案内するガイド軸33と、キャリッジ32を左右方向へ送るリードスクリュー34と、磁気ヘッド7を上下動させるためのカム板35と、ガイド軸33を中心とするキャリッジ32の回動を防止するための回動防止軸36とを備えている。キャリッジ32は、キャリッジ本体37と、磁気ヘッド7を保持するヘッド保持部材38とを備えている。キャリッジ本体37には、リードスクリュー34に係合するメネジ部材39と、ガイド軸33に係合する摺動軸受40と、回動防止軸36に係合する摺動部材41とが取り付けられている。リードスクリュー34には、プーリおよびベルトから構成される動力伝達機構42を介してモータ43が連結されている。
【0032】
キャリッジ本体37には、ヘッド保持部材38を回動可能に保持する固定軸44が左右方向を軸方向として固定されている。キャリッジ本体37とヘッド保持部材38との間には、ネジリコイルバネ45が配置されており、ヘッド保持部材38は、ネジリコイルバネ45の付勢力によって、固定軸44を中心にして、磁気ヘッド7が上昇する方向へ付勢されている。カム板35は、左右方向に細長い長尺状に形成されており、ヘッド保持部材38には、左右方向におけるカム板35の両端側に形成されるカム35aに当接するローラ46が回転可能に取り付けられている。
【0033】
本形態では、モータ43が駆動して、リードスクリュー34が回転すると、ガイド軸33に沿って、磁気ヘッド7がキャリッジ32とともに左右方向へ移動する。左右方向における両端側では、カム35aにローラ46が当接しており、
図5の二点鎖線で示すように、磁気ヘッド7は、ネジリコイルバネ45の付勢力に抗して搬送路5よりも下側へ退避している。すなわち、左右方向へ移動する磁気ヘッド7は、左右方向の両端側においては、搬送路5から下側へ退避するヘッド退避位置にある。
【0034】
一方、磁気ヘッド7がキャリッジ32とともに左右方向へ移動して、カム35aからローラ46が外れると、カム35aによって搬送路5よりも下側に退避するように案内されていた磁気ヘッド7がネジリコイルバネ45の付勢力で上昇して、カード2の磁気ストライプ2aに下側から当接可能になる。すなわち、カム35aからローラ46が外れているときには、磁気ヘッド7は、磁気ストライプ2aに当接可能なヘッド当接位置にある。磁気ヘッド7が磁気ストライプ2aに当接しながら、キャリッジ32が左右方向へ移動することで、磁気ヘッド7によって磁気データの読取や記録が行われる。磁気ヘッド7が左右方向へ移動する際には、磁気ヘッド7は、開口部13を通過する。
【0035】
このように、ヘッド移動機構8は、磁気ヘッド7を左右方向へ移動させるとともに、磁気ヘッド7が磁気ストライプ2aに当接可能なヘッド当接位置と磁気ヘッド7が搬送路5から退避するヘッド退避位置との間で磁気ヘッド7を移動させる。また、カードリーダ1にカード2が挿入される前の待機状態では、磁気ヘッド7は、その移動範囲の左端のヘッド退避位置で待機している。このときには、磁気ヘッド7およびキャリッジ32は、搬送路5よりも左側に配置している。すなわち、カードリーダ1にカード2が挿入される前の待機状態では、磁気ヘッド7およびキャリッジ32は、磁気ヘッド7が搬送路5から下側に退避した状態で、かつ、搬送路5よりも左側で待機している。
【0036】
磁気ヘッド7の上側には、ヘッド当接位置にある磁気ヘッド7とカード2とを所定の当接圧で当接させるための対向面47aが形成される対向部材47が配置されている。この対向部材47は、カードリーダ1の本体部25のフレームに固定されている。対向面47aは、搬送路5の上側の一部を構成している。また、対向面47aは、上下方向に直交する平面状に形成されている。磁気ヘッド7がヘッド当接位置にあるときには、
図5に示すように、対向面47aと磁気ヘッド7との間にカード2が挟まれている。このときには、正しい姿勢で挿入されたカード2の磁気ストライプ2aに磁気ヘッド7が下側から所定の当接圧で当接している。
【0037】
(位置決め機構の構成)
図6は、
図2に示す位置決め機構10の動作およびシャッタ部材14の動作を側面から説明するための図である。
【0038】
位置決め機構10は、前後方向において磁気ヘッド7に対するカード2の位置決めを行うための位置決め部材50を備えている。本形態の位置決め機構10は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置される2個の位置決め部材50を備えている。また、位置決め機構10は、回動可能な位置決め部材50の動きを検知するセンサ51を備えている。センサ51は、発光素子とこの発光素子からの光を受光する受光素子とを備える透過型の光学式センサである。
【0039】
位置決め部材50は、平板状に形成されており、その厚み方向と左右方向とが略一致するように配置されている。この位置決め部材50は、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の奥端が当接するカード当接部50aと、カード2の奥端がカード当接部50aに当接しているときにカード2の下面側が接触可能なカード支持部50bと、カード当接部50aの上端から略上側に向かって延びる腕部50cとを備えている。位置決め部材50は、カード当接部50aと腕部50cとの境界部において、左右方向を軸方向として配置される固定軸に回動可能に保持されている。また、位置決め部材50は、前後方向において、ガイド部材30のガイド部30aと略同じ位置に配置されている。
【0040】
カード当接部50aは、上下方向に細長い略長方形状に形成されている。カード支持部50bは、カード当接部50aの下端に繋がっており、位置決め部材50の下端側部分を構成している。このカード支持部50bは、左右方向から見たときの形状が略台形状となるように形成されている。カード支持部50bの前端側は、カード当接部50aの前端よりも前側へ突出している。また、カード支持部50bの前端面の上端側は、前側に向かうにしたがって下方向へ向かうように傾斜した傾斜面となっており、この傾斜面にカード2の下面側が接触可能となっている。すなわち、この傾斜面によってカード2の下面側を支持することが可能となっている。
【0041】
腕部50cの上端側には、センサ51の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部50dが形成されている。遮光部50dの下側には、図示を省略する引張りコイルバネの一端が係合するバネ係合部50eが形成されている。引張りコイルバネの他端は、本体部25のフレームに固定されており、位置決め部材50は、引張りコイルバネによって、
図6の反時計回りの方向(反時計方向)へ付勢されている。
【0042】
本形態では、カード当接部50aにカード2が当接していないときには、引張りコイルバネの付勢力によって、位置決め部材50は、カード当接部50aの前端面が上下方向に対して奥側へわずかに傾くように、反時計方向へ付勢されている(
図6(A)参照)。この状態で、挿入口3から挿入されカード搬送機構6によって奥側へ搬送されたカード2の奥端がカード当接部50aに当接すると、
図6(B)に示すように、カード当接部50aがカード2に押されて、位置決め部材50が
図6の時計回りの方向へ回動し、図示を省略するストッパに当接する。
【0043】
位置決め部材50がストッパに当接すると、前後方向において、カード2が位置決めされる。このときには、カード当接部50aの前端面は、上下方向と略平行になっている。カード2の奥端がカード当接部50aに当接してカード2が位置決めされているときの、前後方向におけるカード当接部50aとガイド部材29のガイド部29aの奥端との距離L(
図6(C)参照)は、カード2の短手方向の幅W2よりも短くなっている。すなわち、本形態では、前後方向におけるカード当接部50aとガイド部29aの奥端との距離は、カード2の短手方向の幅W2よりも短くなっている。
【0044】
図6(A)に示すように、カード当接部50aにカード2が当接していないときには、遮光部50dは、センサ51の発光素子と受光素子との間から外れている。一方、
図6(B)に示すように、カード2の奥端がカード当接部50aに当接しているときには、遮光部50dは、センサ51の発光素子と受光素子との間を遮っている。本形態では、センサ51の発光素子から受光素子へ向かう光が遮光部50dによって遮られることで、カード2の奥端が2個のカード当接部50aに当接して前後方向においてカード2が位置決めされたことが検知される。
【0045】
なお、位置決め機構10は、搬送路5からカード当接部50aおよびカード支持部50bを退避させる退避機構(図示省略)を備えている。この退避機構が駆動すると、カード当接部50aおよびカード支持部50bが搬送路5から上側へ退避して搬送ローラ20およびパッドローラ23に向かってカード2が通過可能になる。本形態では、カード当接部50aおよびカード支持部50bは、通常、カード2の奥端がカード当接部50aに当接可能な位置にあり、所定の処理を行う場合に、搬送路5から上側へ退避する。
【0046】
(シャッタ部材の構成およびシャッタ作動機構の構成)
図7は、
図2に示すシャッタ部材14およびシャッタ作動機構15の斜視図であり、(A)はシャッタ部材14が開口部13を閉鎖している状態を示す図、(B)はシャッタ部材14が開口部13を開放している状態を示す図である。
図8は、
図2に示すシャッタ部材14が開口部13を閉鎖している状態のシャッタ部材14およびシャッタ作動機構15の平面図である。
図9は、
図2に示すシャッタ部材14が開口部13を開放している状態のシャッタ部材14およびシャッタ作動機構15の平面図である。
【0047】
シャッタ部材14は、平板状に形成されている。このシャッタ部材14は、その厚み方向が上下方向と略一致するように配置されている。また、シャッタ部材14は、左右方向に細長い略長方形状に形成されている。シャッタ部材14の左右方向の幅W10(
図8参照)は、カードリーダ1内で搬送されるカード2の長手方向の幅W1よりも広くなっている。
【0048】
シャッタ部材14の奥端側には、位置決め部材50との干渉を防止するための切欠き部14aが形成されている。切欠き部14aは、シャッタ部材14の奥端面から前側に向かって窪むように形成されている。シャッタ部材14の前端側には、前側に向かって真っすぐ突出する2個の突出部14bが形成されている。また、前後方向におけるシャッタ部材14の略中心位置には、丸孔状の2個の貫通孔14cが形成されている。貫通孔14cは、シャッタ部材14を上下方向で貫通するように形成されている。
【0049】
2個の突出部14bは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成され、2個の貫通孔14cは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。具体的には、シャッタ作動機構15を構成する後述の2本のレバー部材58の左右方向における配置間隔と同じ間隔で、2個の突出部14bおよび2個の貫通孔14cが形成されている。2個の突出部14cのうちの一方の突出部14cは、シャッタ部材14の右端側に形成されている。また、2個の貫通孔14cのうちの一方の貫通孔14cは、シャッタ部材14の左端側に形成されている。
【0050】
シャッタ作動機構15は、左右方向に直線的にスライドするスライド部材55と、スライド部材55をスライド可能に保持する保持部材56と、スライド部材55を左方向へ付勢する付勢部材としての引張りコイルバネ57と、保持部材56に回動可能に保持されるとともにシャッタ部材14およびスライド部材55に回動可能に連結される2本のレバー部材58とを備えている。
【0051】
保持部材56は、スライド部材55およびレバー部材58を保持する保持部56aと、本体部25のフレームに固定される2個の被固定部56bとを備えている。保持部56aは、平板状に形成されており、その厚み方向と上下方向とが略一致するように配置されている。被固定部56bは、平板状に形成されており、その厚み方向と左右方向とが略一致するように配置されている。2個の被固定部56bのそれぞれは、保持部56aの左右両端から上側に向かって立ち上がるように形成されている。
【0052】
保持部56aの奥端側には、奥側に向かって真っすぐ突出する2個の突出部56cが形成されている。2個の突出部56cは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。具体的には、2個の突出部56cは、左右方向における2本のレバー部材58の配置間隔と同じ間隔で形成されている。2個の突出部56cのうちの一方の突出部56cは、保持部56aの右端側に形成されている。また、突出部56cは、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうように、前後方向と左右方向とから構成されるXY平面に対してわずかに傾いている。具体的には、突出部56cは、XY平面に対して3°〜5°程度傾いている。突出部56cの先端側(奥端側)には、レバー部材58の回動中心となる固定軸60が固定されている。固定軸60は、その軸方向と上下方向とが一致するように、突出部56cの上面側に固定されている。
【0053】
また、保持部56aの前端側には、スライド部材55を左右方向へ案内する2本のガイド軸61が固定されている。2本のガイド軸61は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で保持部56aに固定されている。具体的には、2本のガイド軸61は、左右方向における2本のレバー部材58の配置間隔と同じ間隔で固定されている。また、ガイド軸61は、その軸方向と上下方向とが一致するように、保持部56aの上面側に固定されている。さらに、左右方向における2本のガイド軸61の間には、上下方向に貫通する略長方形状の開口部56dが形成されている。開口部56dには、引張りコイルバネ57が配置されている。また、開口部56dの右側の縁には、引張りコイルバネ57の一端が取り付けられるバネ取付部56eが形成されている。
【0054】
スライド部材55は、保持部56aの上側に配置されるスライド部55aと、右端側から左方向へ移動するキャリッジ32が当接可能なキャリッジ当接部55bと、スライド部55aとキャリッジ当接部55bとを繋ぐ連結部55cとを備えている。スライド部55aは、平板状に形成されており、その厚み方向と上下方向とが略一致するように配置されている。キャリッジ当接部55bは、平板状に形成されており、その厚み方向と左右方向とが略一致するように配置されている。連結部55cは、平板状に形成されており、その厚み方向と前後方向とが略一致するように配置されている。
【0055】
連結部55cは、スライド部55aの左奥端側から左方向へ伸びるように形成されている。また、連結部55cは、スライド部55aの下面に繋がるように形成されており、スライド部55aよりも下側に配置されている。キャリッジ当接部55bは、連結部55cの左端から奥側に向かって立ち上るように形成されている。また、キャリッジ当接部55bは、2個の被固定部56bのうちの左側に配置される被固定部56bよりも左側に配置されている。キャリッジ当接部55bには、キャリッジ32の左側面が当接可能となっている(
図4参照)。連結部55cの右端側は、保持部材56の下側に配置されている。
【0056】
スライド部55aの奥端側には、奥側に向かって突出する2個の突出部55d、55eが形成されている。突出部55dは、スライド部55aの左端側に形成され、突出部55eは、スライド部55aの右端側に形成されている。突出部55dは、奥側に向かって直線状に突出している。突出部55eは、奥側に向かって突出した後、右側に向かって突出しており、上下方向から見たときの突出部55eの形状は、略L形状となっている。突出部55d、55eの先端側(奥端側)には、レバー部材58に形成される後述の係合溝58aに係合する係合軸62が固定されている。係合軸62は、その軸方向と上下方向とが一致するように、突出部55d、55eの上面側に固定されている。また、2本の係合軸62は、左右方向における2本のレバー部材58の配置間隔と同じ間隔で配置されている。
【0057】
また、スライド部55aの前端側には、2本のガイド軸61のそれぞれが係合する2個の係合溝55fが形成されている。係合溝55fは、左右方向に長い長孔状に形成されている。また、係合溝55fは、スライド部55aを上下方向で貫通するように形成されている。2個の係合溝55fは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。ガイド軸61は、保持部材56に対してスライド部材55が左右方向へスライド自在となるように、係合溝55fに係合している。
【0058】
また、左側に配置される係合溝55fの右端に繋がるように、開口部55gが形成されている。開口部55gは、スライド部55aを上下方向で貫通するように形成されている。開口部55gの右側の縁には、引張りコイルバネ57の他端が取り付けられるバネ取付部55hが形成されている。スライド部材55は、引張りコイルバネ57の付勢力によって右側に付勢されている。なお、スライド部材55の右方向への移動範囲は、
図9に示すように、係合溝55fの左端にガイド軸61が当接することで規制される。
【0059】
レバー部材58は、平板状に形成されており、その厚み方向と上下方向とが略一致するように配置されている。2本のレバー部材58は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。レバー部材58の一端側かつ奥端側には、固定軸60が挿通される貫通孔が形成されている。この貫通孔には、固定軸60が下側から挿通されており、レバー部材58は、保持部材56の保持部56aよりも上側に配置されている。固定軸60は、保持部材56に対してレバー部材58が相対回動可能となるように、貫通孔に係合している。
【0060】
また、レバー部材58の一端側かつ前端側には、係合軸62が係合する係合溝58aが形成されている。係合溝58aは、レバー部材58を上下方向で貫通するように形成されている。係合溝58aには、係合軸62が下側から係合しており、レバー部材58は、スライド部材55のスライド部55aよりも上側に配置されている。係合軸62は、スライド部材55に対してレバー部材58が相対回動可能となるように、係合溝58aに係合している。
【0061】
レバー部材58の他端側は、レバー部材58の一端側よりも左側に配置されている。レバー部材58の他端側には、固定軸63が固定されている。固定軸63は、その軸方向と上下方向とが一致するように、レバー部材58の上面側に固定されている。固定軸63は、シャッタ部材14の貫通孔14cに下側から挿通されており、シャッタ部材14は、レバー部材58よりも上側に配置されている。固定軸63は、レバー部材58に対してシャッタ部材14が相対回動可能となるように、貫通孔14cに係合している。
【0062】
上述のように、保持部材56の突出部56cは、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうようにXY平面に対してわずかに傾いている。そのため、突出部56cに固定された固定軸60を中心に回動可能なレバー部材58も、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうようにXY平面に対してわずかに傾いている。また、レバー部材58に固定された固定軸63を中心に回動可能なシャッタ部材14も、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうようにXY平面に対してわずかに傾いている。すなわち、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているとき、および、シャッタ部材14が開口部13を開放しているときの両者において、シャッタ部材14およびレバー部材58は、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうようにXY平面に対してわずかに傾いている。
【0063】
本形態では、搬送路5よりも左側で磁気ヘッド7およびキャリッジ32が待機している待機位置にキャリッジ32があるときには、キャリッジ32の左側面にキャリッジ当接部55bが当接しており、スライド部材55は、引張りコイルバネ57の付勢力に抗して左側へ移動している。このときには、シャッタ部材14は、
図7(A)および
図8に示すように、奥側に配置されており、
図6(A)に示すように、開口部13を閉鎖している。
【0064】
待機位置にあるキャリッジ32が右方向へ移動すると、引張りコイルバネ57の付勢力で、スライド部材55が右方向へスライドする。スライド部材55が右方向へスライドすると、レバー部材58が固定軸60を中心にして
図8の反時計回りの方向(反時計方向)へ回動する。レバー部材58が反時計方向へ回動すると、
図7(B)および
図9に示すようにシャッタ部材14が前側へ移動して、
図6(C)に示すように、開口部13を開放する。
【0065】
また、待機位置に向かって右側から左方向へキャリッジ32が移動して、キャリッジ当接部55aにキャリッジ32の左側面が当接すると、ヘッド移動機構8の動力(具体的には、モータ43の動力)でスライド部材55が左方向へスライドする。スライド部材55が左方向へスライドすると、レバー部材58が固定軸60を中心にして
図8の時計回りの方向(時計方向)へ回動する。レバー部材58が時計方向へ回動すると、
図7(A)および
図8に示すようにシャッタ部材14が奥側へ移動して、
図6(A)に示すように、開口部13を閉鎖する。
【0066】
このように、本形態では、シャッタ部材14は、引張りコイルバネ57の付勢力によって、開口部13を開放するとともに、左方向へ移動する磁気ヘッド7の移動力によって、開口部13を閉鎖する。また、本形態では、磁気ストライプ2aに当接可能なヘッド当接位置まで磁気ヘッド7が移動する前に、シャッタ部材14は開口部13を開放する。さらに、本形態では、左方向へ移動するキャリッジ32の左側面がキャリッジ当接部55bに当接するときには、磁気ヘッド7のギャップは、カード2の磁気ストライプ2aの磁気データ記録領域よりも左側に配置されている。すなわち、左方向へ移動するキャリッジ32の左側面は、磁気ヘッド7のギャップが磁気ストライプ2aの磁気データ記録領域を抜けた後にキャリッジ当接部55bに当接する。より具体的には、左方向へ移動するキャリッジ32の左側面がキャリッジ当接部55bに当接するときに、磁気ヘッド7のギャップは、カード2の左端よりも左側に配置されており、磁気ヘッド7は、退避位置に向かって退避し始めている。すなわち、左方向へ移動するキャリッジ32の左側面は、磁気ヘッド7のギャップがカード2から外れて磁気ヘッド7が退避位置に向かって退避し始めた後にキャリッジ当接部55bに当接する。
【0067】
図6(A)、(B)に示すように、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているときに、シャッタ部材14の前端は、ガイド部材29のガイド部29aよりも下側に配置されている。具体的には、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているときに、シャッタ部材14の前端は、ガイド部29aの下に配置されている。また、
図6(C)に示すように、シャッタ部材14が開口部13を開放しているときに、シャッタ部材14は、ガイド部29aよりも下側に配置されている。具体的には、シャッタ部材14が開口部13を開放しているときに、シャッタ部材14の全体がガイド部29aの下に配置されている。すなわち、シャッタ部材14が開口部13を開放しているときに、シャッタ部材14の前端および奥端は、ガイド部29aの下に配置されている。
【0068】
また、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているときであって、かつ、位置決め部材50のカード当接部50aにカード2が当接していないときには、
図6(A)に示すように、位置決め部材50のカード支持部50bの前上端側の一部がシャッタ部材14の切欠き部14aの中に配置されており、左右方向から見たときにカード支持部50bの前上端側の傾斜面の一部がシャッタ部材14と重なっている。そのため、開口部13を閉鎖しているシャッタ部材14によって、カード支持部50bへのカード2の奥端の案内が可能となっている。
【0069】
また、本形態では、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているときであって、かつ、カード当接部50aにカード2が当接してカード2が前後方向で位置決めされているときには、シャッタ部材14の奥端は、カード当接部50aとカード支持部50bとの境界部分よりもわずかに上側に配置されている。また、カード当接部50aにカード2が当接してカード2が前後方向で位置決めされているときの、カード当接部50aとカード支持部50bとの境界部分は、上下方向において、ガイド部29aの上面と略同じ位置に配置されている。
【0070】
なお、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているとき、および、シャッタ部材14が開口部13を開放しているときの両者において、レバー部材58の全体は、シャッタ部材14およびガイド部29aの少なくともいずれか一方の下に配置されている。また、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているとき、および、シャッタ部材14が開口部13を開放しているときの両者において、保持部材56の保持部56aおよびスライド部材55のスライド部55aは、ガイド部29aの下に配置されている。
【0071】
(カードリーダの概略動作)
以上のように構成されたカードリーダ1では、挿入口3からカード2が挿入される前の待機時には、
図6(A)に示すように、シャッタ部材14は、開口部13を閉鎖している。また、この待機時には、搬送路5よりも左側で磁気ヘッド7およびキャリッジ32が待機している待機位置にキャリッジ32がある。この状態で、カード2が挿入口3から挿入されたことが検知されると、モータ27が起動して、カード搬送機構6がカード2を奥側へ搬送する。
図6(B)に示すように、カード2の奥端が位置決め部材50のカード当接部50aに当接すると、センサ51の発光素子から受光素子へ向かう光が遮光部50dによって遮られて、前後方向においてカード2が位置決めされたことが検知される。
【0072】
カード2が位置決めされたことが検知されると、モータ27が停止する。その後、モータ43が起動し、待機位置にあるキャリッジ32が右方向へ移動して、上述のように、シャッタ部材14が開口部13を開放する。また、
図6(C)に示すように、磁気ヘッド7がカード2の磁気ストライプ2aに当接しながら右方向へ移動するとともに、その後、左方向へ移動して、磁気データの読取や記録を行う。また、待機位置に向かって左方向へキャリッジ32が移動して、上述のように、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖する。
【0073】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、位置決め部材50は、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の奥端が当接するカード当接部50aと、カード2の奥端がカード当接部50aに当接しているときにカード2の下面側が接触可能なカード支持部50bとを備えており、カード2の奥端がカード当接部50aに当接すると、前後方向においてカード2が位置決めされる。また、本形態では、開口部13を閉鎖しているシャッタ部材14によって、カード支持部50bへのカード2の奥端の案内が可能となっている。そのため、本形態では、
図10に示すように、カード2の短手方向における両端が下側に配置されるように曲がっているカード2(以下、この曲がりカード2を「カード2A」とする)がカードリーダ1に挿入されても、カード2Aが位置決めされたときに、カード2Aの奥端をカード支持部50bで支持することが可能になる。
【0074】
また、本形態では、カード2の奥端がカード当接部50aに当接してカード2が位置決めされているときの、前後方向におけるカード当接部50aとガイド部材29のガイド部29aの奥端との距離Lがカード2の短手方向の幅W2よりも短くなっており、かつ、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているときに、シャッタ部材14の前端は、ガイド部29aの下に配置されている。そのため、本形態では、カード2Aがカードリーダ1に挿入されても、カード2Aが位置決めされたときに、カード2Aの前端をガイド部29aで支持することが可能になる。
【0075】
このように、本形態では、カード2Aがカードリーダ1に挿入されても、カード2Aが位置決めされたときに、
図10に示すように、カード2Aの奥端をカード支持部50bで支持し、かつ、カード2Aの前端をガイド部29aで支持することが可能になる。また、本形態では、シャッタ部材14が開口部13を開放しているときに、シャッタ部材14の全体がガイド部29aの下に配置されている。したがって、開口部13を閉鎖しているときのシャッタ部材14の位置を閉鎖位置(
図10(A)参照)とし、開口部13を開放しているときのシャッタ部材14の位置を開放位置(
図10(B)参照)とすると、カード2Aの位置決め後に、閉鎖位置にあるシャッタ部材14を開放位置に向かって移動させる際に、カード2Aの奥端側および前端側がシャッタ部材14に接触するのを防止することが可能になるか、あるいは、カード2Aの奥端側がシャッタ部材14に接触しても、その接触圧を小さくすることが可能になる。また、カード2Aが位置決めされた状態で、開放位置にあるシャッタ部材14を閉鎖位置に移動させる際に、カード2Aの奥端側および前端側がシャッタ部材14に接触するのを防止することが可能になるか、あるいは、カード2Aの奥端側がシャッタ部材14に接触しても、その接触圧を小さくすることが可能になる。したがって、本形態では、閉鎖位置と開放位置との間でシャッタ部材14を移動させる際に、カード2Aの接触圧に起因するシャッタ部材14の負荷を少なくとも低減することが可能になる。その結果、本形態では、左右方向へ移動する磁気ヘッド7を通過させるための開口部13が搬送路5に形成されていても、シャッタ部材14を円滑に動かすことが可能になる。
【0076】
本形態では、開口部13を閉鎖しているシャッタ部材14は、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうようにXY平面に対してわずかに傾いている。そのため、本形態では、カード2Aがカードリーダ1に挿入されたときに、カード2Aの奥端をカード支持部50bへ確実に案内することが可能になる。
【0077】
本形態では、シャッタ部材14は、引張りコイルバネ57の付勢力によって、開口部13を開放するとともに、左方向へ移動する磁気ヘッド7の移動力によって、開口部13を閉鎖する。そのため、本形態では、シャッタ部材14を動作させるための駆動源を別途設ける必要がない。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0078】
本形態では、左方向へ移動するキャリッジ32の左側面は、磁気ヘッド7のギャップが磁気ストライプ2aの磁気データ記録領域を抜けた後にキャリッジ当接部55bに当接する。そのため、本形態では、ヘッド移動機構8の動力を用いて、シャッタ部材14を開放位置から閉鎖位置へ移動させても、磁気ヘッド7による磁気データの読取精度や記録精度の低下を防止することが可能になる。
【0079】
本形態では、シャッタ部材14およびレバー部材58は、平板状に形成されており、その厚み方向が上下方向と略一致するように配置されている。また、本形態では、保持部材56の保持部56aおよびスライド部材55のスライド部55aは、平板状に形成されており、その厚み方向が上下方向と略一致するように配置されている。そのため、本形態では、上下方向において、シャッタ部材14およびシャッタ作動機構15を小型化することが可能になり、その結果、上下方向において、カードリーダ1を小型化することが可能になる。
【0080】
本形態では、左右方向における開口部13の幅は、カード2の長手方向の幅W1よりも広くなっている。そのため、本形態では、退避位置からヘッド当接位置に移動した磁気ヘッド7が磁気ストライプ2aに当接する際に、磁気ヘッド7の移動速度等の磁気ヘッド7の挙動を安定させることが可能になる。したがって、本形態では、磁気ヘッド7による磁気データの読取精度や記録精度を確保することが可能になる。また、本形態では、シャッタ部材14の左右方向の幅W10がカード2の長手方向の幅W1よりも広くなっているため、左右方向における開口部13の幅が広くなっていても、開口部13からの異物や塵埃の侵入をシャッタ部材14によって阻止することが可能になる。
【0081】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0082】
上述した形態では、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているときであって、かつ、カード当接部50aにカード2が当接してカード2が前後方向で位置決めされているときに、シャッタ部材14の奥端は、カード当接部50aとカード支持部50bとの境界部分よりもわずかに上側に配置されている。この他にもたとえば、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているときであって、かつ、カード当接部50aにカード2が当接してカード2が前後方向で位置決めされているときに、シャッタ部材14の奥端は、上下方向において、カード当接部50aとカード支持部50bとの境界部分と同じ位置に配置されても良いし、カード当接部50aとカード支持部50bとの境界部分よりも下側に配置されても良い。この場合には、カード2Aがカードリーダ1に挿入されて位置決めされたときに、カード2Aの奥端側がシャッタ部材14に接触しないように、カード2Aの奥端をカード支持部50bによって支持することが可能になる。
【0083】
上述した形態では、シャッタ部材14は、引張りコイルバネ57の付勢力によって、開口部13を開放するとともに、左方向へ移動する磁気ヘッド7の移動力によって、開口部13を閉鎖している。この他にもたとえば、シャッタ部材14は、右方向へ移動する磁気ヘッド7の移動力によって、開口部13を開放するとともに、引張りコイルバネ等の付勢部材の付勢力によって、開口部13を閉鎖しても良い。また、上述した形態では、引張りコイルバネ57の付勢力および磁気ヘッド7の移動力を利用して、シャッタ部材14の開閉を行っているが、シャッタ部材14を開閉するための駆動源を設けても良い。
【0084】
上述した形態では、シャッタ部材14およびレバー部材58は、奥側に向かうにしたがって上側へ向かうようにXY平面に対してわずかに傾いている。この他にもたとえば、シャッタ部材14およびレバー部材58は、XY平面と平行になっていても良い。
【0085】
上述した形態では、カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。この他にもたとえば、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。また、上述した形態では、カード2の裏面に磁気ストライプ2aが形成されているが、カード2の裏面に代えて、あるいは、カード2の裏面に加えて、カード2のおもて面に磁気ストライプが形成されても良い。たとえば、JISX6302の規格に準拠した磁気ストライプがカード2のおもて面に形成されても良い。カード2のおもて面のみに磁気ストライプが形成される場合には、搬送路5の上側に磁気ヘッド7が配置される。また、磁気ストライプ2aに加えて、カード2のおもて面に磁気ストライプが形成される場合には、搬送路5の上側および下側の両方に磁気ヘッド7が配置される。
【0086】
なお、上述した形態では、搬送路5にカード2を検知するための光学式のセンサが配置されている。このセンサを用いて、シャッタ部材14が開口部13を閉鎖しているのかそれとも開放しているのかを検知しても良い。