【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、入力画像内の認識対象物の姿勢パラメータを推定する姿勢パラメータ推定装置であって、予め定められた2種類以上の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点と、後述のNs点の補助特徴点と、に相当)の中から特徴点を追跡用特徴点として選択する特徴点選択手段(例えば、
図5の特徴点選択部133に相当)と、前記特徴点選択手段により選択された追跡用特徴点を追跡する特徴点追跡手段(例えば、
図5の特徴点追跡部134に相当)と、前記特徴点追跡手段による追跡結果に基づいて、前記認識対象物の姿勢パラメータを求める姿勢パラメータ更新手段(例えば、
図5の姿勢パラメータ更新部135に相当)と、を備え、前記特徴点選択手段は、前記2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点に相当)の中から優先的に特徴点を前記追跡用特徴点として選択することを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群の中から優先的に特徴点を追跡用特徴点として選択することとした。このため、追跡に適した特徴点で第1の特徴点群を構成しておくことで、姿勢パラメータの推定精度を向上させることができる。
【0015】
この発明によれば、2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群の中から優先的に特徴点を追跡用特徴点として選択することとした。このため、第1の特徴点群の中から追跡用特徴点として選択した特徴点の中に、認識対象物が見切れていることによって入力画像内に存在しておらず(その画像の外側に存在しており)追跡できないものや、オクルージョンの発生や光源の変化により追跡できないものが存在する場合には、他の特徴点群の中から特徴点を追跡用特徴点として選択することができる。したがって、追跡する特徴点の数を予め増やすことなく、追跡可能な特徴点の数が減少してしまうのを防止できる。よって、処理負荷を増加させることなく、姿勢パラメータの推定精度の低下を抑制することができる。
【0016】
(2) 本発明は、(1)の姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点選択手段は、前記第1の特徴点群として、配置の偏りを取り除かれた複数の特徴点を用いることを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、(1)の姿勢パラメータ推定装置において、第1の特徴点群として、配置の偏りを取り除かれた複数の特徴点を用いることとした。このため、追跡用特徴点として、偏りなく配置された特徴点を選択することができるので、姿勢パラメータの推定精度を向上させることができる。
【0018】
(3) 本発明は、(1)または(2)の姿勢パラメータ推定装置について、前記姿勢パラメータ更新手段により求められた前フレームにおける姿勢パラメータ、または、前記入力画像から求められる初期姿勢パラメータを用いて、前記認識対象物の姿勢パラメータの予測値を求める姿勢パラメータ予測手段(例えば、
図5の姿勢パラメータ予測部131に相当)を備え、前記特徴点選択手段は、前記姿勢パラメータ予測手段により求められた姿勢パラメータの予測値を用いて、前記追跡用特徴点として選択した各特徴点の前記入力画像における位置を推定し、前記特徴点追跡手段は、前記特徴点選択手段により推定された位置を、特徴点追跡の初期位置として、前記追跡用特徴点の追跡を行うことを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、(1)または(2)の姿勢パラメータ推定装置において、前フレームにおける姿勢パラメータまたは入力画像から求められる初期姿勢パラメータを用いて、姿勢パラメータの予測値を求め、求めた姿勢パラメータの予測値を用いて、特徴点を追跡する際の初期位置を求めることとした。このため、入力画像の中から特徴点を追跡する領域を限定することができるので、処理負荷を軽減させることができる。
【0020】
(4) 本発明は、(1)から(3)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点選択手段は、前記第1の特徴点群の中から前記追跡用特徴点として選択した特徴点の中に、前記入力画像に存在していない特徴点が存在すれば、当該追跡用特徴点から当該特徴点を除外するとともに、除外した特徴点の数だけ、前記2種類以上の特徴点群のうち当該第1の特徴点群を除くものの中から特徴点を選択して当該追跡用特徴点に追加することを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0021】
この発明によれば、(1)から(3)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置において、第1の特徴点群の中から追跡用特徴点として選択した特徴点の中に、入力画像に存在していない特徴点が存在していれば、この特徴点の代わりに他の特徴点群の中の特徴点を同じ数だけ、追跡用特徴点とすることとした。このため、追跡する特徴点の数を一定に保つことができるので、姿勢パラメータの推定精度の低下を抑制することができる。
【0022】
(5) 本発明は、(4)の姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点選択手段は、前記2種類以上の特徴点群のうち前記第1の特徴点群を除くものの中から特徴点を前記追跡用特徴点として選択する際に、当該追跡用特徴点として選択されている他の特徴点までの距離が大きいものから順に選択することを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0023】
この発明によれば、(4)の姿勢パラメータ推定装置において、2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群を除くものの中から特徴点を追跡用特徴点として選択する際に、追跡用特徴点として選択されている他の特徴点までの距離が大きいものから順に選択することとした。このため、追跡する特徴点が偏ってしまうのを抑制できるので、姿勢パラメータの推定精度を向上させることができる。
【0024】
(6) 本発明は、(1)から(5)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点選択手段は、予め定められた数の特徴点を、フレームごとに前記追跡用特徴点として選択することを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0025】
この発明によれば、(1)から(5)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置において、予め定められた数の特徴点を、フレームごとに追跡用特徴点として選択することとした。このため、追跡する特徴点の数は、フレームが切り替わっても一定になるので、処理負荷や姿勢パラメータの推定精度がフレームごとに変動してしまうのを抑制できる。
【0026】
(7) 本発明は、(1)から(6)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点選択手段は、予め定められた数以上のフレームで連続して追跡に失敗した特徴点については、以降のフレームにおいて予め定められた数のフレームだけ、前記追跡用特徴点として選択しないことを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0027】
ここで、オクルージョンの発生や光源の変化による画像への影響は、連続するフレーム間で相関性を有することが期待される。このため、あるフレームにおいてオクルージョンの発生や光源の変化により追跡できなかった特徴点は、次のフレームでも追跡に失敗する可能性が高くなる。
【0028】
そこで、この発明によれば、(1)から(6)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置において、予め定められた数以上のフレームで連続して追跡に失敗した特徴点については、以降のフレームにおいて予め定められた数のフレームだけ、追跡用特徴点として選択しないこととした。このため、オクルージョンの発生や光源の変化によって追跡可能な特徴点の数が減少してしまうのを抑制できる。
【0029】
(8) 本発明は、(1)から(7)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置について、前記入力画像と、当該入力画像と同一の画像であって当該入力画像より解像度の低い1つ以上の画像と、を求める複数解像度画像取得手段(例えば、
図5の画像ピラミッド生成部132に相当)を備え、前記複数解像度画像取得手段により求められた画像のうち解像度の低いものから高いものに向かって順番に、前記特徴点選択手段による特徴点の選択と、前記特徴点追跡手段による特徴点の追跡と、前記姿勢パラメータ更新手段による姿勢パラメータの取得と、を繰り返し、前記特徴点選択手段は、現在の処理対象である画像の解像度よりも1つ解像度の低い画像を用いて前記姿勢パラメータ更新手段により求められた姿勢パラメータを用いて、特徴点の選択を行うことを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0030】
この発明によれば、(1)から(7)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置において、解像度の低い画像から高い画像に向かって順番に、特徴点の選択と、特徴点の追跡と、姿勢パラメータの取得と、を繰り返すこととした。また、特徴点の選択の際には、現在の処理対象である画像の解像度よりも1つ解像度の低い画像を用いて求めた姿勢パラメータを、用いることとした。このため、認識対象物や撮像手段の動きに対して頑健な姿勢パラメータを推定することができる。
【0031】
(9) 本発明は、(1)から(8)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置について、前記認識対象物の特徴点の中から、配置に偏りなく特徴点を選択し、選択した特徴点のそれぞれを2種類以上の特徴点群のいずれかに登録する特徴点登録手段(例えば、
図2の特徴点登録部22に相当)を備えることを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0032】
この発明によれば、(1)から(8)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置において、認識対象物の特徴点の中から、配置に偏りなく特徴点を選択し、選択した特徴点のそれぞれを2種類以上の特徴点群のいずれかに登録することとした。このため、偏りなく配置された特徴点を用いて姿勢パラメータを推定することができるので、姿勢パラメータの推定精度を向上させることができる。
【0033】
(10) 本発明は、(9)の姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点登録手段は、前記認識対象物の特徴点をクラスタリングして、配置に偏りなく特徴点を選択することを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0034】
この発明によれば、(9)の姿勢パラメータ推定装置において、認識対象物の特徴点をクラスタリングして、配置に偏りなく特徴点を選択することとした。このため、偏りなく配置された特徴点を用いて姿勢パラメータを推定することができるので、姿勢パラメータの推定精度を向上させることができる。
【0035】
(11) 本発明は、(10)の姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点登録手段は、前記第1の特徴点群として登録する特徴点の数(例えば、後述のNb個に相当)に、前記認識対象物の特徴点をクラスタリングし、各クラスから1点ずつ特徴点を選択することを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0036】
この発明によれば、(10)の姿勢パラメータ推定装置において、第1の特徴点群として登録する特徴点の数に、認識対象物の特徴点をクラスタリングし、各クラスから1点ずつ特徴点を選択することとした。このため、第1の特徴点群として登録する特徴点の数を設定することで、姿勢パラメータの推定に必要な数の特徴点を、第1の特徴群として登録することができる。
【0037】
(12) 本発明は、(10)または(11)の姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点登録手段は、前記認識対象物の特徴点をクラスタリングする際に、k-means型の手法を用いることを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0038】
この発明によれば、(10)または(11)の姿勢パラメータ推定装置において、認識対象物の特徴点をクラスタリングする際に、k-means型の手法を用いることとした。このため、第1の特徴点群として、偏りなく配置された特徴点を登録することができる。
【0039】
(13) 本発明は、(9)から(12)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置について、前記特徴点登録手段は、前記第1の特徴点群として特徴点を登録した後に、第2の特徴点群として特徴点を登録し、前記第2の特徴点群には、前記認識対象物の特徴点のうち前記第1の特徴点群として登録された特徴点と前記第2の特徴点群として登録された特徴点とを除くものの中から、当該第1の特徴点群または当該第2の特徴点群として登録された特徴点からの距離が大きいものから順に登録することを特徴とする姿勢パラメータ推定装置を提案している。
【0040】
この発明によれば、(9)から(12)のいずれかの姿勢パラメータ推定装置において、認識対象物の特徴点のうち、第1の特徴点群として登録された特徴点と、第2の特徴点群として登録された特徴点と、を除くものの中から、第1の特徴点群または第2の特徴点群として登録された特徴点からの距離が大きいものから順に、第2の特徴点群として登録することとした。このため、第2の特徴点群として登録されている特徴点は、第2の特徴点群として登録されている他の特徴点や、第1の特徴点群として登録されている特徴点からできる限り離れていることになる。したがって、偏りなく配置された特徴点を用いて姿勢パラメータを推定することができるので、姿勢パラメータの推定精度を向上させることができる。
【0041】
(14) 本発明は、入力画像内の認識対象物の姿勢パラメータを推定する姿勢パラメータ推定システム(例えば、
図1の姿勢パラメータ推定システムAAに相当)であって、姿勢パラメータ推定装置(例えば、
図1の姿勢パラメータ推定装置1に相当)と、前記姿勢パラメータ推定装置と通信可能に設けられたサーバ(例えば、
図1のサーバ2に相当)と、を備え、前記サーバは、前記認識対象物の特徴点の中から、配置に偏りなく特徴点を選択し、選択した特徴点のそれぞれを2種類以上の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点と、後述のNs点の補助特徴点と、に相当)のいずれかに登録する特徴点登録手段(例えば、
図2の特徴点登録部22に相当)を備え、前記姿勢パラメータ推定装置は、前記2種類以上の特徴点群の中から特徴点を追跡用特徴点として選択する特徴点選択手段(例えば、
図5の特徴点選択部133に相当)と、前記特徴点選択手段により選択された追跡用特徴点を追跡する特徴点追跡手段(例えば、
図5の特徴点追跡部134に相当)と、前記特徴点追跡手段による追跡結果に基づいて、前記認識対象物の姿勢パラメータを求める姿勢パラメータ更新手段(例えば、
図5の姿勢パラメータ更新部135に相当)と、を備え、前記特徴点選択手段により、前記2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点に相当)の中から優先的に特徴点を前記追跡用特徴点として選択することを特徴とする姿勢パラメータ推定システムを提案している。
【0042】
この発明によれば、認識対象物の特徴点の中から、配置に偏りなく特徴点を選択して、選択した特徴点のそれぞれを2種類以上の特徴点群のいずれかに登録し、これら2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群の中から優先的に特徴点を追跡用特徴点として選択することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0043】
(15) 本発明は、特徴点選択手段(例えば、
図5の特徴点選択部133に相当)、特徴点追跡手段(例えば、
図5の特徴点追跡部134に相当)、および姿勢パラメータ更新手段(例えば、
図5の姿勢パラメータ更新部135に相当)を備え、入力画像内の認識対象物の姿勢パラメータを推定する姿勢パラメータ推定装置における姿勢パラメータ推定方法であって、前記特徴点選択手段が、予め定められた2種類以上の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点と、後述のNs点の補助特徴点と、に相当)の中から特徴点を追跡用特徴点として選択する第1のステップと、前記特徴点追跡手段が、前記第1のステップにより選択された追跡用特徴点を追跡する第2のステップと、前記姿勢パラメータ更新手段が、前記第2のステップによる追跡結果に基づいて、前記認識対象物の姿勢パラメータを求める第3のステップと、を備え、前記第1のステップでは、前記特徴点選択手段が、前記2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点に相当)の中から優先的に特徴点を前記追跡用特徴点として選択することを特徴とする姿勢パラメータ推定方法を提案している。
【0044】
この発明によれば、2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群の中から優先的に特徴点を追跡用特徴点として選択することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0045】
(16) 本発明は、特徴点選択手段(例えば、
図5の特徴点選択部133に相当)、特徴点追跡手段(例えば、
図5の特徴点追跡部134に相当)、および姿勢パラメータ更新手段(例えば、
図5の姿勢パラメータ更新部135に相当)を備え、入力画像内の認識対象物の姿勢パラメータを推定する姿勢パラメータ推定装置における姿勢パラメータ推定方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記特徴点選択手段が、予め定められた2種類以上の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点と、後述のNs点の補助特徴点と、に相当)の中から特徴点を追跡用特徴点として選択する第1のステップと、前記特徴点追跡手段が、前記第1のステップにより選択された追跡用特徴点を追跡する第2のステップと、前記姿勢パラメータ更新手段が、前記第2のステップによる追跡結果に基づいて、前記認識対象物の姿勢パラメータを求める第3のステップと、をコンピュータに実行させ、前記第1のステップでは、前記特徴点選択手段が、前記2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群(例えば、後述のNb点の基本特徴点に相当)の中から優先的に特徴点を前記追跡用特徴点として選択するためのプログラムを提案している。
【0046】
この発明によれば、コンピュータを用いてプログラムを実行することで、2種類以上の特徴点群のうち第1の特徴点群の中から優先的に特徴点を追跡用特徴点として選択することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。